新興国の利用者曰く、インターネットはモラル面でマイナスの効果を及ぼす?!

新しく発表されたPew Researchのレポートでは、新興国においてインターネットがもたらす影響を調査している。人々が「インターネット」についてどのように考えているかに力点をおいている。

昨今、新興国にもインターネットに繋がる環境を構築しようと、FacebookやGoogleなどはかなりの投資を行なっている。たとえばFacebookは特定地域に無料のモバイルインターネットを提供しようとするInternet.orgなるプロジェクトを運営している。Googleの方も気球高高度を飛ぶドローンなどを通じたアクセス手段を提供しようとしている。こうした動きは加速していると言って良いだろうが、しかしインターネットに接続できるようになることが、途上国の人たちの役に立っているのか、あるいは喜ばれているのかどうかについては、まだ十分な調査が為されていないともいえそうだ。

TechCrunchなどのテック系メディアでは、インターネットの存在自体や、あるいはインターネットに接続できるようになるということについては肯定的な評価をすることが多いだろう。しかし、世界中の人がネットに繋がるようになることについて、肯定的な面にばかり目を向けているということはないだろうか。たとえば最近は、政府が市民の監視を行うのにネットワークを利用しているというようなことも言われている。人々同士の間でも、加害者がキーボードやモバイルデバイスの画面に隠れた状態で匿名のうちにいやがらせ行為を行ったり、あるいは病力的な振る舞いに出る旨のおどしに使っているようなケースもある。

既にネットワークの存在に多くを依拠している先進国では、多少の不利益があってもインターネットに繋がることを選ぶ(選ばざるを得ない)だろう。しかしこれまで繋がっていなかった地域の人達も同様に考えるはずだと前提して良いものだろうか。誰もがネットに繋がることを良いことだと考えるようになるものだろうか。

Pew Researchは今回、32の新興国および発展途上国を対象に調査を行なってレポートをまとめている。そうした国々ではインターネットについての意見もいろいろにわかれているようで、インターネットというものはモラル面での悪影響をもたらすと回答している人も多いようだ。民主化推進などの政治面についても、賛否両論があるようだ。ただし、教育や人間関係、および経済の面ではプラスになると考えている人が多い。

新興国市場において、インターネット非利用者を含めた64%の多数が、インターネットは教育に役立つと回答したそうだ。友人関係にも役に立つと回答した人も53%にのぼっている。さらに経済面でも52%の人が役立つと考えているのだそうだ。しかしモラル面で良い影響をもたらすと考えている人は29%に過ぎず、むしろ42%がマイナスの影響をもたらすと回答している。

モラル面で悪影響をもらたすという考えは、今回の調査対象国すべてに共通するものであるというところも面白い。モラル面に好影響をもたらすという回答が多数を占めた国はなかったのだ。

ところでインターネットへのアクセスが可能になった人たちの多くが、「ソーシャル」面にプラスの効果をもたらすと考えている。たとえば新興国の人々の65%が、個人同士のつながりい好影響をもたらすだろうと回答している。これをインターネットにアクセスできない人たちについてみると、同じように判断する人の割合は44%に低下する。教育レベルにもよるようで、高学歴な人々の10人に6人が人間関係にプラスとなると回答しているのに対し、低学歴の人々の賛同率は44%になる。

こうしたことを見ると、Facebookなどがネットワークに繋がる人たちを増やそうとするのは正しい判断であると言えるだろう。インターネットに繋がるようになれば、発展途上国でも多くの人が友人などと繋がるためにネットを利用するようになる。86%の人々が友人や家族とオンラインでの繋がりを持ち、また82%がソーシャルネットワークにも参加している。調査対象となった国々でも、インターネット利用者のうち82%がFacebookやTwitterを使っていることがわかった。

ちなみに、インターネットを政治面で利用している人は少ない(54%)ようだ。さらに健康関連情報の入手に利用した人は46%で、政府や各種サービスからの情報を得るのに活用した人も42%に留まった。さらに、キャリア活動ないしコマースに用いる人も少ない様子。求職活動に利用した人は35%で、支払いに利用した人が22%、ショッピングが15%で、オンラインコースを試してみた人も13%という結果になっている。

残念ながらPewのレポートでは、モラル面で悪影響があるとした人々の回答について、詳細な検討は行なっていない。インターネットが導入されることで、どういうマイナス面が出てくるのかということについて、具体的な内容の確認も行なっていない。どのようなサービスないし行動がモラル面にどのような影響を及ぼすと考えられているのかについて、もう少し突っ込んだ調査が欲しかったところだ。

レポートを見る限り、ネットが利用できるようになるや否や、多くの人が「ソーシャル」な行動を行うようになる。人々の心配は、そうした人々の行動パターンと関係があるものなのかもしれない。フェイス・トゥ・フェイスの関係が減り、そしてこれまでのさまざまな束縛から逃れ、「自由」を感じるようになるというのも、ネットワークの特徴のひとつだ。そこで人を「自由」に避難したり、公開の場では言えないような「本音」を表に出すことも行い始める。そうした社会的行動の変化により、インターネットが道徳面に悪影響を及ぼすと考える人も出てくるのだろう。

インターネットへの接続状況などを国ごとにまとめたレポートの全文もこちらから見ることができる。尚、途上国の人々をネットに繋ごうという行動は積極的に行われているものの、今回の調査対象国にはインターネットにアクセスできていない人が数多く存在する。ごくたまにであれインターネットを利用するという人は、調査対象32ヵ国の中で44%に過ぎない。米国では成人の87%がインターネットを利用している。

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(翻訳:Maeda, H


ヘビメタのスーパーバンド、アイアン・メイデンは著作権海賊が大好きという作り話がネットで事実に化けたわけ

もしヘビメタ・ロックのスーパーバンド、アイアン・メイデン(Iron Maiden)が世界のどの地域で音楽海賊がこのバンドの曲を違法に流通させているかという情報をベースに数千万ドル規模の世界ツアーを企画していると聞いたら? それが本当ならスーパークールな話だ!

Rolling Stoneの記事をリブログしようとしたが、しかし、私のようなアナーキー大好きな人間の耳にさえ余りにクール過ぎて、躊躇した。少し調べてみると、この記事に書かれていることを事実とする証拠は皆無だった。

ところが過去48時間にわたってテクノロジーと音楽業界は80年代に登場したメタル・バンドがかくもスマートなテクノロジーの利用法を採用したことを熱心に称賛した。

アイアン・メイデンは広く利用されているP2Pファイル共有システム、Bittorrentのデータを解析して南アメリカにファンが多いことを発見し、現地でのコンサートを企画したというのだ。

MusicmetricはBittorrentと各種ソーシャルメディアのエンタテインメント情報を分析するスタートアップだが、11月29日のGuardianの記事は「同社がアイアン・メイデンはそうしたオンライン情報を利用してコンサートを企画することで莫大な利益を得られると助言した」と書いた。

続いて12月20日にテクノロジーブログのCiteworldが、「アイアン・メイデンが最悪の音楽海賊を発見し、彼らのために演奏することに決めたわけ」という思わずクリックしたくなるようなタイトルの記事を載せた。この記事ではMusicMetricがアイアン・メイデンに南アメリカで予定外のコンサートを開催するよう直接アドバイスしたとほのめかされていた。

しかし私の取材に対してMusicMetricの広報担当は「残念ながらCiteWorldの記事は事実とはいえません。アイアン・メイデンが当社の分析データをツアーの企画のために使ったとわれわれが述べたことはありません」とメールしてきた。

匿名の広報担当者は続けて「誰かが何かを書き、大勢がそれについてツイートしてしまえば、もう打つ手はほとんどありません」と述べた。MusicMetricは自分たちがやりもしなかったことを手柄にしていると非難されるのを恐れているという。

告白しておけば、私にもこの根拠ない話を広めた責任の一端がある。私は問題の記事をよく読む前にその記事に関するツイートをリツイートしてしまった。現在、Citeworldは記事の訂正と謝罪を発表しているが、オンラインの噂ネットワークは活動を止めていない。間違った記事をベースにしたツイートや投稿が今日も大量に生産されている。

結局、この話はそれ自体荒唐無稽というわけではなかった。たとえば人気SF作家のニール・ゲイマンは、海賊版が一番読まれている地域は同時に正規の本の売上も一番多いことを知ってすっかり著作権海賊の贔屓になった(上にゲイマンのインタビューをエンベッドした)。

つまりIron MaidenがBittorrentのデータを利用して南アメリカ・ツアーを企画することは可能だった。私はアイアン・メイデンにコメントを求めているが、アイアン・メイデンがそうしたことを実行することはまずなさそうだ。

インターネットの「噂工場」がもっともらしいが間違った結論に達するのは珍しいことではない。ボストン・マラソン爆弾事件ではアマチュア探偵が所在不明だった学生、SunilTripathiを間違って犯人だと決めつけた。この噂は手に負えない勢いで広がり、とうとうTripathiはメディアのトップページで公衆の敵ナンバーワンにされてしまった。

私はMusicMetricが実際にアイアン・メイデンにBittorrent情報を使って効果的なツアー企画をアドバイスしてたらよかったのにと思う。しかし、よく言われるように、「それでは話がうますぎる」ということだったようだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Cirlceは、家族のインターネットを制御して人間性を取り戻す(Kickstarter)

はっきり言っておこう。われわれはインターネットをコントロールしていない。インターネットがわれわれをコントロールしている。これに対するいかなる反論も無用だが、新しいKickstarterプロジェクト、Circleは、家庭内LANに接続されたデバイスを個々に制御するハードウェアとソフトウェアを使って、インターネットの遍在に逆襲する家族たちの力になろうとしている。

Circleはルーターではない。Xerox PARC出身のPowerCloud Systemsが、類似のコンセプトに基づいて作ったSkydogとはそこが異なる。ルーターおよびそこに接続された全デバイスとやりとりすることによって、家族のデバイスとインターネットの間にフィルターをかけ、子供たちのデバイスに年齢、時刻、広告コンテンツ等によって制限をかける。インターネット上の様々な行動に関して、自分のパソコンに通知させることができる。「ネガティブ」および「ポジティブ」な閲覧、どちら関しての通知も受けられる、とCircleは説明する。

言い換えれば、Circleは、NSAのPRISMプログラムの家庭版にファイアーウォールの要素を加えたものだ。サイトのカテゴリー別にアクセス時間をスケジューリングし、FacebookやYouTubeの利用時間がとんでもないことにならいよう、Pauseモードを使って寝る時間になったら全アクセスを遮断できる。子供の使う端末の広告を全部ブロックすることもできる。管理はすべてiPhoneアプリから行う。

彼らのソリューションの特長は、ユーザープロフィールを設定したり、個々のデバイスに監視ソフトウェアをインストールしなくてもよいところだとCirlceは言う。そして、既存のルーターと共にに動作するため、高価なデバイスを買ったりネットワーク設定を変更したりする必要がない。

Circleを支えるチームには、元国防省向けネットワークセキュリティー技術者のTiebin Zhang、HoneywellのWi-Fi制御システムエンジニア、およびデザイン、スポーツ、ビジネス開発その他多くの経験を持つ起業家、Jelani Memoryらがいる。Circleの外観は間違いなく美しく、おそらくこれは、ファウンダーでプロダクトマネージャーのSean Kellyのおかげだろうが、このルックスに負けない性能を出せるかどうかはまだわからない。

Circleは、Kickstarterで150ドルのプレッジ(支援金)を出せば予約注文が可能で、出荷予定は2014年8月。ハードウェアのスタートアップが、出荷までに十分な期間を置くのは良いことだ。同スタートアップは、プロジェクトのために総額25万ドル程度の資金を調達し、現在のプロトタイプを元に量産化するつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)