カザフスタン政府によるブラウザー閲覧盗聴行為をGoogleとMozillaが共同でブロック

Google(グーグル)とMozilla(モジラ)が珍しくも協力して、カザフスタン政府が発行した信頼できない証明をブロックしている。その証明発行行為を批判する人たちによると、政府は国民のインターネットトラフィックを監視する取り組みの一環として、一般市民にその証明のインストールを強制している。

2つのブラウザーメーカーは米国時間8月21日の共同声明で、政府が発行した証明をブロックするための「技術的ソリューション」を適用したと表明している。

国民監視政策の一環として、一般市民が自分のコンピューターやデバイスに政府発行の証明をインストールするよう命じられた。インストールすると、そのデバイス上のネットワークトラフィックに政府がrootアクセスできるようになり、政府が一般市民のインターネット閲覧行為を傍受し、盗聴・盗視ができる。

研究者たちは、実際にモニタされているサイトがFacebookやTwitter、Googleなどごくわずかであることを見つけた。

カザフスタン政府は、彼らが「システムテスト」と称するものを中止し、その証明を削除してもよい、と言っているが、しかしGoogleとMozillaによれば、彼らの技術的ソリューションは証明がインストールされていてもデータの傍受などを不能にする。

Mozillaのセキュリティ担当上級ディレクターであるMarshall Erwin(マーシャル・アーウィン)氏は、「我々はこれを軽い気持ちでやっているのではない」と言う。そしてGoogleのブラウザー担当チーフParisa Tabriz(パリサ・タブリッツ)氏は、「Chromeのユーザーのデータを危険にさらす試みは、誰がやろうとも、たとえ政府の行為であっても、絶対に許さない」とコメントしている。

Apple(アップル)のスポークスパーソンによると、「その証明が信用されないようSafariに手を加えたので、現在ユーザーはこの問題から保護されている」そうだ

その悪質な証明に対するMozillaらのブロックは、ユーザーのアクションを必要とせず、不可視の状態で有効になる。

カザフスタンの人口は1800万人だ。研究者たちによると、インターネットのトラフィックを傍受しようとする政府の取り組みは、この国最大のインターネットプロバイダーを通るインターネット接続のごく一部にしか及んでいない。

中央アジアに位置するこの国は、インターネットの自由のランキングでずっと下のほうにいる。監視団体のFreedom Houseが作ったそのリストによると、同国よりもランクが低いのはロシアとイランのみである。

ニューヨークのカザフスタン領事館のスポークスパーソンは、コメントの要求に応じなかった。

関連記事:Mozillaは悪名漂うUAEDarkMatterHTTPSの証明提供者として否認

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Slackが一時ダウンするも復帰

アップデート:Slackは公式にサービスが復帰したと発表した。

同僚と連絡がとれない?あなたは一人ではない。おそらくそれは、Slackがダウンしているからだろう(米東部時間7月29日11時)。ステータスページによると、一部のワークスペースでメッセージの送受信に問題が発生している。

今回のサービス停止は人気のビジネスチャットツールに近日起きている問題に続くもので、6月後半には大きな問題が発生した。興味深いことに、Slackはインフラを大規模改善したばかりだ。この更新は表面的なサービスの変更は含まれていなかったが、jQueryや他の古い技術の代わりに新しいスタックが採用されている。

Slackの障害が終わった時点で、この記事を更新する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

レトロPCの時代を思い起こさせてくれるウェブサイト「Poolside.fm」

ここ数年、インターネットはますます複雑化するばかりだ。しかし時には、Poolside.fmを訪れてみるのも面白い。このウェブサイトは1980年代後半のデスクトップをブラウザのウィンドウに再現し、完璧なサウンドトラックと低解像度のレトロビデオが再生される、コンピューターがシンプルだった時代のタイムマシンだ。

Poolside.fm自体は新しいものではない(2014年にサイトが開設された)が、クラシックなMac OSをベースにした新しいデザインにより、さらに洗練された。これはNiek DekkerLewis KingMarty Bellといったデザイナーや開発者のクループによるプロダクトで、この新鮮な外観はテーマを変えてパーソナライズすることができる。

「オーディオ・プレーヤー・アプリ」はいくつかの異なるステーションが用意されており、より活用したい場合にはアカウントを登録して自分のプレイリストに曲を保存することができる。また、アカウントがなくても、3つのステーション(Poolside.fm、Hangover Club、Tokyo Disco)のお気に入りの曲をリンク経由で友達と共有することもできる。

つまり、仕事用のタブのなかに紛れ込ませ、バックグラウンドのサウンドトラックに最適なのが、このPoolside.fmなのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インターネット上の民族国家:インターネット民族国家を成立させるための要件は、デジタル遊牧民か、ブロックチェーンか?

インターネットは一種のコミュニティであることは間違いないが、民族国家になることは可能なのだろうか? 私は、そのことについて、今年一年、あれこれじっくり考えてきた。というのも、デジタル遊牧民が勃興し、ブロックチェーンコミュニティの一部に、深く根付いたリバタリアン的な精神が目立つようになってきたからだ。同じように感じているのが私一人ではないのは確かだ。何週間か前にNorwest Venture PartnersのMatt Howardにインタビューしたとき、彼はUberがIPOするときには、「民族国家」の状態に達することができる数少ない企業の1つであると(自ら)述べていた。

明らかに、インターネットは、同じような考えを持つ人々の、数多くの多様なコミュニティにとって母体となる存在だ。しかしどうすれば、そうしたコミュニティは、異質なものの集まりから民族国家にまで変容できるのだろうか?

この疑問は、1983年に出版された『Imagined Communities(日本語版:『想像の共同体』)』を思い出させる。それは、これまでに出版された社会科学を扱った本の中で、もっとも賞賛された(そして論争をまき起こした)ものだ。当然ながら、それはもっとも頻繁に引用されてきた。Google Scholarによれば、ほとんど9万3000件に近い引用があったとされている。

著者のBenedict Andersonは、政治学者および歴史学者であり、ナショナリズムはどこから来るのかという単純な疑問について熟考している。我々は、すべての戦友に直接会ったこともなく、これからも会うことはないだろうに、どうして旗のようなシンボルによって他人と連帯することができるのか? なぜ、すべての国は自分たちを「特別」だと考えているのか。どこからどう見ても、(国家元首、人種、国旗、その他含めて)みんな同じに見えるのに。そして、民族国家というものは、どうしてこんなに最近になって発明されたのか?

Andersonの答えは、その本のタイトルに示されている。人々は、自分たちのコミュニティと、それが擁する価値観や人間を想像することができれば、国家を形成することになる。そして、その仮想的な共同体のメンバーと、そうでない人々を隔てる境界(物理的にも認知的にも)を画定することができるのだ。

しかし、コミュニティを想像するには、そのコミュニティを結束させるためのメディアが必要となる。印刷機の発明は必須だったが、国家の勃興には、その地域特有のメディアの発展が不可欠だとAndersonは言う。たとえば、カトリック教会のラテン語に対するフランス語のようなものである。辞書編集者は、情報を収集して辞書やシソーラスを出版し、印刷機は、資本主義による指図の圧力を受けながら、多くの本が詰まった本棚を生み出した。それらの本には、ほんの数十年前には認識の中に「存在」すらしなった人々の物語や神話が記述されていた。

民族国家自体は、スペインとポルトガルの帝国が衰退した後、南米で最初に発生した。Andersonは、それらの国家がどこに起源を持つのか、社会学的見地から論じている。そうした国家の官僚、弁護士、専門家といった地方のエリートの間の頻繁な情報の流布と、彼らの元の帝国の首都には戻れなくなったという状況もあって、大西洋の反対側にいる人達よりも互いに多くの共通点を持つことに気付いた人々のコミュニティが生まれた。

世界中の他のコミュニティが、それぞれ世界の中でユニークな位置にあることを理解し始めるにつれて、豊富な書籍や新聞の印刷文化を通じて、彼らはこれらの初期の民族国家モデルを取り入れることになる。我々は、収束する進化を見ているのではなく、世界中で実施されている、国家を組織するための1つのモデルのクローンを見ている、というわけだ。

実際のところ、これがこの200ページをわずかに超える、ときおり誇張はあるとしても、非常に読みやすい、薄めの本の論旨の心臓部なのだ。それらのページの中には、他にも数多くの本質的な指摘と熟考が散りばめられている。それらを完全に把握するためには、古本を手に入れて読み込んでみるのがいちばんだ。

とはいえ、私の目的としては、Andersonの論点が、インターネットの民族国家にもうまく適用できるかどうか、ということに興味が向く。確かに、インターネット自体が主権的な存在であるという概念は、それが発明されてたときからずっと指摘されてきた(もしまだなら、John Perry Barlowが書いた声明文を読んでみるといい)。

インターネットは、一連の想像上のコミュニティに過ぎないのではないか? subredditsは、文字通り、民族国家の種子なのではないだろうか? Andersonが印刷機や「印刷資本主義」について触れるたびに、私は「press」という言葉をWordPressに置き換え、印刷資本主義を、広告、あるいは監視資本主義に置き換えずにはいられない。我々は、数世紀前に最初の民族国家を生み出したのと同じメディア革命を経験しているのではないだろうか?

そうかもしれないが、それは過度に単純化し過ぎた比較であり、こうした民族国家の重要な起源のいくつかを見逃してしまうものだ。

写真はGetty Imagesにあるmetamorworksによるもの

重要な問題の1つは、民族国家は時間軸上の断裂ではなく、むしろ既存の権力構造と連続するものであるということ。この点に関して、Andersonの説は確固たるものだ。南米では、民族国家は植民地統治から生まれた。権力を失うことを恐れたエリート達が、芽生え始めた民族国家を利用して彼らの利益を守ったのだ(Andersonはこれを「官僚的ナショナリズム」と呼んでいる)。アンダーソンは、このパターンをあちこちに見出している。それは植民地時代の政府に限ったものではなく、中世後期の封建体制にも見ることができる。

そうした目でインターネットを見直してみると、エリートに相当するのは誰だろうか? おそらく、それ自体が本質的に帝国であり、「民族国家」の状態にある会社、GoolgeやFacebook(そしてUber)がそうだろう。私としては、それほどの類似性はないようにも思えるが。

しかし、さらに大きな問題もある。Andersonの世界では、言語が、民族国家がその市民を1つの想像上のコミュニティに結びつけておくための決定的な手段であるとされている。フランス語のないフランス、英語のないイギリスを想像するのは難しい。我々が我々のコミュニティを連想するためのシンボルは、そのコミュニティのシンボルそのものであり、それこそがコミュニティに対する不可欠なフィードバックループを形成し、差別化を強化する自己参照にほかならない。

だとすれば、ちっぽけなsubredditなどは、潜在的な民族国家としては除外されることになるだろう。しかし、それはまた別の問題を提起する。プログラマーはどうなのか、ということだ。

たとえば私がPythonでコードを書く際には、その言語を使い、その言語でコミュニケーションを取り(信じてもらえないかもしれないが)、その言語の選択による価値観を共有するグループの人たちとつながることになる。実のところ、ソフトウェアエンジニアは、プログラミング言語の選択を自分のアイデンティティと強く結びつける傾向がある。「Pythonの開発者」や「Goのプログラマー」であると言う方が、「アメリカ人」や「中国人」というよりも、その人のことをよく表すということもまったく納得できる。

そのことをブロックチェーンに注意深く接続することを考えれば、がぜん興味がわいてくるだろう。自律的に「富」を分配できる技術という意味での話だ。そこには、忽然としてソフトウェアエンジニアの想像上のコミュニティが浮かび上がってくる。そこで彼らは自分たちの利益にかなう官僚制度を作り出すことのできる独自の「言語」を話し、彼らすべてを(インターネットを通して)結びつけるメディアを手にしている。少なくともAndersonによるレシピに従えば、材料はすべて揃っているのだ。

私はこの方向に深く分け入るつもりはないが、Andersonの説に驚くのは、彼が人々の物理的な凝集について、ほとんど議論していない点だ。物理的な境界線を想像することは、コミュニティにとって非常に重要であり、各国における地図の発達は、歴史的な発展過程に見られる共通のパターンとなっている。しかし地図は、本質的に単なるシンボルであり、「この場所は我々のものだ」ということを想起させるものではあるが、それ以上のものではない。

実際、民族国家はいつも国境を逸脱する。アメリカ人は、全世界的な課税は普通のことだと思っている。フランスは、国民議会に海外地域の代表の議席を確保している。それによって、かつての帝国すべてに属していたフランス国民が投票して、その国の立法府の代表を選出することを可能にしているのだ。そして、先日カナダでHuaweiのCFOが逮捕されたことを聞き及んだ人は、今日の「司法権」には物理的な国境はほとんどないことを思い知らされることになる。

インターネットやその住人が民族国家になることを妨げる障壁は、物理的なものではなく認知的なものだろう。単にコミュニティを想像するだけでなく、それを最優先のコミュニティとして想像する必要がある。人々が、現実世界の国家に対する忠誠心や愛国心よりも、そうしたデジタルコミュニティへの忠義を優先させるようになったとき、私たちはインターネット民族国家を目にすることになるだろう。そうしたコミュニティには、すでにいち早く信奉者となった人たちがいて、まさにそのように行動している。残る問題は、それ以外の支持者も力を合わせて、想像の(サイバー)空間を創造しようとするかどうかである。

画像クレジット:iLexx/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FirefoxやFacebookなどがインターネットの新しいセキュリティプロトコルTLS 1.3をすでにサポート

先週の金曜日(米国時間8/10)に、Internet Engineering Task Force(IETF)はTLS 1.3をリリースした。これはWebのセキュリティプロトコルTLS 1.2のメジャーアップデートで、HTTPS接続による暗号化を扱うレイヤなど多くのセキュリティ機能がこのプロトコルで定義されている。

今回のアップデートで、セキュリティが向上するとともにスピードもやや上がる。それはブラウザーとサーバーがセキュリティの設定を折衝するときに必要とされるラウンドトリップの回数を減らしたからだ。そしてMozillaの今日(米国時間8/13)の発表によると、Firefoxは現バージョンがすでにTLSの新しい規格をサポートしている。Chromeも、バージョン65から(初期のドラフトにより)新しいプロトコルをサポートしている。

TLS 1.3は策定にかなりの年月を要し、前バージョンのローンチから10年かかっている。TLS 1.2に問題があることは広く知られていたが、それらは主に実装のレベルの問題で、しかも遍在的だったためにハッカーの餌食となり、また悪名高い脆弱性バグHeartbleedのような傷口を広げた。しかしそれだけではなく、TLS 1.2のアルゴリズムの一部も、攻撃が成功されてしまった。

そこで当然ながらTLS 1.3は、現代的な暗号化方法へのアクセスにフォーカスしている(Cloudflareの連中がその技術的詳細を書いている)。

これはユーザーにとってはWebがより安全になることであり、また暗号化の方法に関するブラウザーとサーバーの折衝がはやくなるぶん、Webアクセスもややはやくなる。

TLS 1.3をすでにサポートしているFacebookは、トラフィックの半分近くが新しいプロトコルでサーブされている、という。GoogleやCloudflareも、サポート済みだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

東南アジアは世界で三番目に大きいインターネット市場だ…Googleらの調査報告より

東南アジアは今や、世界で三番目にインターネットユーザーが多い地域だ。そのオンライン人口はアメリカの全人口よりも多く、インターネットが地域に与える影響も、思った以上に大きい…Googleらが共著した最新の報告書が、そう言っている。

アジアの新興経済が話題になるときは、中国とインドがもっぱら取り上げられる傾向があるが、インターネットが人びとの生活を変えて新しい機会を作り出しつつある市場としては東南アジアが急速に脚光を浴びつつある。これまではデータが少なくて、そのポテンシャルを特定することも困難だったが、しかしGoogleとシンガポールの政府系ファンドTemasekが今日(米国時間12/12)リリースした、当時から多く参照された2015年の‘e-Conomy SEA’報告書の改訂版は、成長が当初の予測を超えていることをとくに強調している。

その最初の報告書は、2025年における東南アジアのインターネット経済の規模を2000億ドルと予測していたが、新しい報告書は、2017年には500億ドルに達しており、その成長率を2025年に延伸すれば2000億を超える、としている。

当地域におけるインターネット上で最大の支出項目である旅行関連は、2015年の191億ドルから2017年には266億ドルに飛躍している〔下図下から二番目の色分け〕。しかし成長率が大きいのは、eコマース〔下図いちばん下の色分け〕とライドシェアサービス〔下図いちばん上の色分け(黒)〕だ。

ここでのeコマースは中古品や消費者間取引を含まないが、2015年から2017年にかけての成長率が41%で、2017年には初めて100億ドルを超えている〔下図〕。そしてこの報告書の予想値としては2025年に880億ドルに達し〔下図〕、上記4分類の中では最大の項目になる〔上図〕。

UberとGrabが東南アジアのライドシェア市場を争っている中で、ご当地ユニコーンのGo-Jekは地元インドネシアを超える拡大をねらっており、そのことが今回の報告書の数字にも反映している。

すなわちライドシェアサービスへの支出は2年間で倍増以上となり、2017年には50億ドルを超えた〔下図〕。そして2025年の予測は200億ドル超、その額は最初の報告書では130億ドルだった。

東南アジア最大の経済圏インドネシアが最大のシェアを握ると思われるが、具体的な数字を挙げている2015年の報告書では、その売上シェアを40%超としている。

さらに旅客数については、2015年から2017年にかけて4倍超増〔下図左〕(2017: 600万/日)、ドライバーの数も同じく4倍超増〔下図右〕(2017: 250万)、としている。

このほか、以下のような所見もおもしろい:

  • 東南アジアにおけるモバイル上のインターネット時間は1日平均3.6時間で、世界最長。最長はタイの4.2時間、次位がインドネシアの3.9時間だ。アメリカは1日2時間、イギリスは1.8時間、日本は1時間だ。
  • 毎月のネットショッピング時間は140分。東南アジアの人びとがeコマースのマーケットプレースで過ごす時間はアメリカ人のほぼ2倍である。当地域のeコマースの市場規模は2025年で881億ドルだ。
  • ライドシェアサービスの一日の利用者数は2017年で600万人〔上図〕、東南アジアにおけるこの業態は2025年の売上が201億ドルとなり、2015年の4倍である。
  • 東南アジアのスタートアップは2016年以来、120億ドルあまりを調達した。それはGDPの0.18%に相当し、インドと並んでインターネットのポテンシャルへの信任は厚い。

報告書の全文はここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スタートアップ時代が終わった後に何が来るのか?

最近シリコンバレーとサンフランシスコには奇妙な空気が漂っている。他所では、つまりデンバーサンチャゴトロントベルリンなどではSilicon GlenSilicon AlleySilicon RoundaboutStation Fなどスタートアップのセンターを育成している。こうした都市は皆、第2のシリコンバレーになることを夢見ているのだ。しかしシリコンバレー自体ではどうだろう? ここでは「スタートアップの黄金時代は去った」という空気が支配的だ。

世界中いたるところで工学や経営学の学位を得た若者たちが第2のFacebook、Uber、Airbnbを創立しようと懸命だ…ポール・グレアムが創立したY Combinator方式のスタートアップ・アクセラレーターがどこの大都市にも生まれている…テクノロジー起業家は生活、経済のあらゆる面をディスラプトしつつある…ビッグビジネスは神経痛の恐竜も同様、動きが鈍く、俊敏で鋭い牙を持った哺乳動物―スタートアップにとって代われられてしまうだろう…。

残念ながら、ノーだ。上に述べたようなことは10年前の話だ。 時代は変わった。いまやスモールではなくビッグであることがもてはやされる。しばらく前から振り子は反対側に揺れ始めた。来るべき10年の主役はスタートアップと起業家ではなく大企業と大企業経営者たちだ。今の優秀な若者は第2のザッカーバーグになろうとするよりザッカーバーグの会社で働くことを目標にしている。

1997年から2006年ごろのインターネット時代の到来はAmazon、Google、Facebook、Salesforce、Airbnbといった新たな企業を登場させた。インターネットはそれほど革命的だった。数人の若者がガレージや学生寮の1室で新しいサイトを立ち上げ、数百万ドルの資金を手に入れ、世界を変えるような存在に成長することが可能だった。その後、2007年から2016年にかけてのスマートフォンの時代にはUber、Lyft、Snap、WhatsApp、Instagramなどが注目された。スマートフォン・アプリの登場はインターネットの登場に近い大きな影響を与えた。

しかし周囲を見回してもインターネットやスマートフォンに匹敵するような革命が起こりつつある様子はない。ウェブはすでに巨大企業に分割占領されている。誰もがすでにスマートフォンを持っており、アプリの世界を支配するのもビッグビジネスだ。ウェブにせよスマートフォンにせよ、現在のテクノロジーはきわめて複雑で開発には莫大なリソースを必要とし、ビッグビジネス以外には手に負えない規模となっている。

2017年のシード投資がダウンしたのは偶然ではない。Alphabet、Amazon、Apple、Facebook、Microsoftは「テクノロジー分野のビッグ5」から世界でももっっとも時価総額が大きい上場企業5社へと成長した。世界の支配者はこの5社とそれに続く大企業グループだ。

次世代の重要テクノロジーにはAI、ドローン、AR/VR、暗号通貨、自動運転車、IoTが含まれることは常識となっている。これらの技術が全体として社会を大きく変えることは確実だが、当初のウェブやスマートフォン・アプリに比べると圧倒的に複雑であり、多くのスタートアップの手が届かない範囲にある。以下個別に問題点を見ていく。

AI:実装には並外れた才能を必要としない。というか機械が学習する基礎となる膨大なデータなしにはいかに才能があっても役に立たない。それでは誰がそうした巨大データの山を所有しているかといえば、先程述べたビッグ5だ。プラス中国のTencent、Alibaba、Baiduだろう。

ハードウェア:これはドローンやIoT(モノのインターネット)デバイスが中心になるが、プロトタイピングが困難で大きな資金を必要とする。また一般に製造業はマージンが低く、スケールさせるのも難しい。FitbitJawboneJuiceroHTCなどの例を見てみるとよい(ただし新しく登場しつつあるハードウェアを基礎とするソフトウェアやサービスは例外だろう。こうした分野のスタートアップは成功の確率が平均よりずっと高いと思われる)。

自動運転車: 言うまでもなく金がかかる分野だ。バイオもそうだが、こうした分野は巨大企業による資金投入の競争の場となっている。少数のスタートアップは有利な条件で買収される可能性があるが、それ自身で大企業に成長できる可能性はほとんどない。

AR/VR: 現在すでに当初の楽観的な普及の予測は大きく外れている。ハードウェアは依然高価であり、ソフトウェアの開発も依然として難しい。スタートアップのMagic Leapは20億ドル近く(!)の投資を集めたにもかかわらず、まだ何のプロダクトも発表できない。(根拠の有無はともかくとして)Theranosと比較する懐疑的な意見も出ている。一方、MicrosoftのHoloLens、GoogleのCardboard / Tango / ARCore、AppleのARKitは着実に前進し続けている。

暗号通貨: これは別にスタートアップに価値を与えるようなテクノロジーではない。これは新たな分散型の通貨とそれによるエコシステムを創造しようとするテクノロジーだ。Bitcoin自体の価値はBitcoinをベースにしたスタートアップの会社評価額とは比べ物にならないほど大きい。Ethereumについても同じことがいえる。信奉者は暗号通貨が世界のすべてを変えるはずだと主張するが、このTwitterのスレッドを読めば、私のようにインターネット経済は非中央集権化されるべきだと信じている私でさえ、そこここでうなずかざるをえない。

Blockchain/暗号通貨に関する賛否の意見 

とすると、テクノロジー・スタートアップの出番はどこに求めたらよいのだろうか? 成功へのハードルは高いだろう。大企業、願わくばトップ5に買収されるというのがベストの可能性かもしれない。もちろん例外的に独自の成長を遂げるスタートアップも現れるだろう。しかしスタートアップがブームであった頃に比べるとその数はずっと少ないはずだ。

こうした移り行きをすでに現実のものだ。たとえばY Combinatorを考えてみるとよい。スタートアップ・アクセレーターというコンセプトのパイオニアであり、あらゆる意味でその模範となる存在だ。YCのクラスに入るのはハーバード大学に入るより難しいと噂されるくらいだ。ではその卒業チームはどうなっただろう? 5年前、 2012年にはYC出身のトップ3といえばAirbnb、Dropbox、Stripeであり、まさに世界を変革する勢いだった。

では早送りして現在の状態を見よう。YCを代表とするスタートアップのトップ3は…変わっていない。この6年、YCはそれ以前の全期間(最初の6年)の2倍以上のスタートアップに投資してきた。しかし2012年のビッグ3ほどの成功を収めたスタートアップを1チームでも覚えているだろうか? 唯一の例外になる可能性があるのは生鮮食品配送のInstacartだが、AmazonがAmazon FreshとWhole Foodsスーパーマーケットチェーンの買収でこの市場に参入を図っているのは大きな不安材料だ。

Amazon、Apple、Googleを始めとする巨大テクノロジー企業はますます支配力を強め、スタートアップの成功はますます難しくなる。もちろん歓迎すべき事態ではない。ビッグ・ビジネスの支配力は今でも強すぎる。AmazonとGoogleはあまり圧倒的なので公的規制を受けるべきだという声もある。Facebookに掲載されたフェイクニュースが大統領選に影響を与えた可能性もある。

スタートアップは新しいアプローチ、新しい思考をもたらし、時代遅れの巨大企業が支配する非効率な市場を変革する。しかしテクノロジーの進化の現状を見ると、次の5年から10年は、時代遅れであろうがなかろうが、巨大企業が支配を強める時代になりそうだ。私としては振り子がいつかまた逆の方向に振れ始めればよいと祈っている。

画像: Wikimedia Commons UNDER A Public domain LICENSE

〔日本版〕トップ画像はアニメ番組『ルーニー・テューンズ』のエンディング。「これでお終い」。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Microsoft、YouTube、Twitterの4社、テロ撲滅のために世界インターネットフォーラムを結成

本日(米国時間6/26)、Facebook、Microsoft、YouTube、Twitterの4社は
テロリストがインターネットサービスを使う機会を減らすことを目的とする新たな協力関係を結ぶことを共同発表した。Global Internet Forum to Counter Terrorism[テロリズムに反対する全世界インターネットフォーラム]は、各企業が既に行っている取り組みを組織化することで、主要ウェブプラットフォームがテロリストグループの募集手段として使われることを防ぐ。

テクノロジーのリーダー4社が協力して技術的解決策を共同研究し、コンテンツの識別技術やユーザーへの効果的な告知方法を共有していく。また各社は、技術的および政策的な研究を支援し、カウンタースピーチ戦略のためのベストプラクティスを共有する。

去る2016年12月、同じ4社が産業用共有ハッシュデータベースを作成することを発表した。ハッシュデータを共有することによって、各社が協力してテロリストのアカウントを識別することが可能になり、個々の会社が費用と時間をかけて面倒な作業を行う必要がなくなる。今回結成された新しい組織では、正式な管理機構を作ることでこのデータベースを改善する。

同様に、Facebook、Microsoft、YouTube、およびTwitterは、小規模な企業や組織に対して、テロと戦うために独自の事前計画をたてるよう自分たちのやり方を伝える。この運動の中には、YouTubeのCreators for ChangeやFacebookのP2PおよびOCCIといった既存のカウンタースピーチ・プログラムの核をなす戦略が含まれている。

いずれに行動も、公共機関の活動と歩調を合わせて実施される。G7は、過激思想に対して多方面から戦うことの重要性を強く訴えてきた。今日のパートナーシップは多国籍IT企業4社の間の関係を強化することで、それぞれのプラットフォームでテロを排除すべく戦うことを目的としている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleとFacebookが共同で新しい太平洋横断ケーブル施設へ―120TbpsでLA・香港を結ぶ

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GoogleとFacebookは共同で120Tbps(テラビット/秒)の海底ケービルをロサンゼルス・香港間に施設する計画だ。両社はこのためにChina Soft Power Technologyが全額出資する子会社、Pacific Light Data Communicationと協力する。China Soft Powerが海底ケーブル・ビジネスに参入したのは比較的最近だ。

全長1万2800kmとなるこのケーブルがフルスピードで稼働するようになれば、太平洋横断ケーブルとして史上最大の容量となる。これまでの最大は台湾と日本を結ぶFASTERケーブルで、これもGoogleが関わったプロジェクトだった。

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Pacific Light Cable Networkがこの計画を最初に発表したのは昨年で、このときにはGoogleとFacebookが参加する予定は伏せられていた。建設コストは4億ドルと見積もられていた。この海底ケーブルは5組の光ファイバー・ペアから構成される。一つのペアは24Tbpsの伝送容量がある。

Googleは私の取材に答えて「プロジェクトの参加各社はそれぞれ独自の伝送能力を持つ。つまり各社はそれぞれ固有の光ファイバー・ペアを所有することになり、トラフィックは各社ごとに完全にプライベートなものになる」と述べた。

新しい海底ケーブルはGoogleが関与した6番目のケーブルだ(他はUnitySJCFASTERMONETTannat)。

GoogleとFacebookが共同事業に参加するというのは奇異に感じられるかもしれないが、海底ケーブルの施設事業ではこの種の協力は珍しいことではない。FacebookとMicrosoftは最近、大西洋横断ケーブルでチームを組んだ。こちらは160TbpsとPacific Lightの太平洋横断ケーブルよりさらに速い(ただし距離は半分くらいだ)。Amazonもまた独自の海底ケーブル建設に投資を開始する。ただしAmazonは他の大企業とパートナーを組む計画は持っておらず、すべて独自のケーブルとなる。

Googleは「新しいケーブルは伝送容量を大きく拡大し、遅延を抑え、アジア太平洋地区の顧客に大きなメリットをもたらす」としている。 もちろんFacebookも同様の改善が見込めるはずだ。

〔日本版〕 China Soft Power Technology(中国軟実力科技集団有限公司)は香港に本社を置く企業。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

非集中型ネットワークの実証モデルMaidSafeが10年の研究開発期間を経てやっと一般ユーザー向けアルファを開始

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【抄訳】
10年の研究開発期間ののちにやっとローンチするスタートアップは、そんなに多くない。でも、インターネットの構造を根底から考えなおそう、作り変えよう、と志向するスタートアップも、そんなに多くはない。

イギリスのMaidSafeは、Steve Jobsが最初のiPhoneを発売する前から、今のインターネットに代わる、非集中的なP2Pネットワークを作っていた。そしてやっと今日、ついに、試行的なローンチにこぎつけ、ネットワークの最初のアルファテストを開始した。

アルファにアクセスするために必要なさまざまなダウンロード物は、同社のWebサイトが提供している。

もっと小さなネットワークによるテストは前にも行っているが、一般公開という形でのテストは今回が初めてだ。しかしあくまでもアルファリリースなので、“きわめて初期的なアーリーアダプター”がターゲットだ、とファウンダーのDavid Irvineは言っている。

アルファテストの目的は、ネットワークの動作の確認、フィードバックの獲得、そしてデベロッパーコミュニティの育成だ。アプリケーションのエコシステムを活発にして、採用を広げていかなければならない。APIの公開は、今週行う。

MaidSafeが志向する安全な(Safe)ネットワークとは、社名/製品名の中のSafeが‘Secure Access For Everyone’(みんなが安全なアクセス)の頭字語だと称するように、ネットワーク(インターネット)が今のように一部の熱心なマニアのものでなく、もっともっと広い層が安心して利用できるものになることだ。だからインストールのやり方も、平均的なユーザーを想定している。

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“インストールも実行も、非常にシンプルなものにしたい。クリックしたらインストールして動き出す、というように。その点では、モバイルアプリの配布方式を見習いたい。ダウンロードすれば即動く、というようにね”、Irvineはそう述べる。

アルファのネットワークは、MaidSafeの大きなビジョンの完全なローンチではない。その基本的なコンセプトは“ボルト(vault(s), 大金庫/大貯蔵庫)”と呼ばれ、ネットワークが、ユーザーがリソースを寄与貢献する場…すなわちボルト…になる。この点が、リソースが中央集権的な巨大サーバー群に集中している現状のインターネットの姿と大きく違う。ネットワークの基本構造はどこかの巨大サーバーの上にあるのではなく、ユーザー自身と自分たちが拠出したリソース(たとえば自分のハードディスク上のスペース)の上にある。リソース提供者は、Safecoinと呼ばれる暗号化通貨を稼ぐ。みんながそうやってリソースを持ち寄るから‘ボルト(巨大貯蔵庫)’だが、今回はそこまではテストできない。アルファの段階ではボルトは、MaidSafeが動かすリソースのみだ。

ユーザーがネットワークに(を)参加構成するためのソフトウェアは、Windows, Mac, Linux用がすでにあり、またRaspberry PiのようなARM系のデバイス用もある。

“最初はネットワークのユーザーサイドを重視し、それに関するフィードバックを集めていく”、Irvineはアルファテストのねらいをこう語る。“それによってアプリケーションのデベロッパーは、APIを使ってユーザー用のアプリケーションを作っていける。すでにフォーラム上にはそんな動きが見られる。しかし中核的なサポーターたちを超えて、もっと広いオーディエンスに広げていかなけらばならない”。

今チームが取り組んでいる懸案事項は、ネットワークのP2Pボルトの部分だ。非集中ネットワークのアーキテクチャでは、それが(従来の集中的ネットワークにおける)サーバーの役を担う。だから、ノードのクォリティが悪いと、ネットワークが劣化する。それを防ぐ方策が必要だ。

“現時点ではほとんど、われわれがDigitalOceanのドロップレット(Droplets,AWSのVMインスタンスに相当)の上に作ったボルトだけだ。でもこのアルファの過程では、ユーザーはスマートフォンや粗悪なインターネット接続から参加しているので、多くを望めない。こんな現状でユーザーボルトを構成したら、あまりにもネガティブな結果になるだろう”。

“今後の、二度目三度目のアルファでは、誰もがリソースを寄与貢献(コントリビューション)できるようにしたい”、と彼は付言する。あなたがリソースを寄与貢献できるか、それはあなたのインターネット接続やハードウェアのクォリティから、ネットワーク自身が判断する。だから、ボルトの寄与貢献がいつから始まるかを、現時点で具体的に言うことはできない。

このP2Pボルトのストレージ成分が、非集中化というMaidSafeのビジョンの中核であり、それをベースに、“自己治癒的(自然治癒的)で自己管理的な完全分散ネットワーク”が構成される。

サーバーを抹消したインターネットアーキテクチャには、セキュリティとプライバシーの面で大きなアドバンテージがある。サーバーがないから、どこかにストレージをたくさん集めて、そこにデータを集中しない。だからハッカーや盗視者にとって、ハニーポットとなるターゲットがない。サービスへのアクセスが、(政府などに)コントロールされることもない。データは暗号化され、巨大な分散状態で保存される。どれくらい巨大かというと、Safeネットワークのユーザーは、究極的にはグローバルなネットワークを構成する。

IrvineはMaidSafeの技術的な見地を次のように語る: “このプロジェクトを始めた理由は、サーバーベースのインターネットが持つロジックが、完全に反技術的かつ反工学的だからだ。MaidSafeのように、どこにもサーバーがなく、すべてのコンピューターが実質的にすべてのコンピューターおよびすべてのリソースと接続している、と考えると、YahooとGoogleとAppleをすべて合わせたものですら、矮小に見えてくるだろう。彼らは、みんなのデスクの上にある(未来の)ものに比べたら、無に等しい。

“しかも今、インターネットの現在の構造は、日に日に瓦解しつつある。人びとはインターネットから、略奪されハックされ盗視され、しかもやられ放題だ。そうなってしまった唯一の原因は、今のインターネットの中核的な設計が完全に非論理的で破綻しているところにある”。

プライバシーとセキュリティはネットワークに最初から組み込まれていなければならない。それらを、あとからのアドオンにすることは、不可能だ。

“サーバーは、セキュアでありえない。だからサーバーのところにあるパスワードも、セキュアではありえない。だのに、なんで今さらセキュリティなんかに努力するんだ? MaidSafeのようなものへのニーズは、ほとんど絶対的だ。万人が必ず、それを利用しなければならない。プライバシーとセキュリティはネットワークに最初から組み込まれていなければならない。あとからのアドオンにすることは、不可能だ”。

という大きなビジョンに向けて、今回の最初のアルファは小さな一歩だ。でもそれが一般公開の状態でのアルファであることは、重要だ。誰もがこの新しい車の、タイヤを蹴ってみれるのだから。またアルファに入ったことによって、今後の開発のピッチが上がる、とチームは考えている。必要なR&Dの大部分は、すでに終えている。

同社はbnktothefutureからの200万ポンドの資金調達と、技術者の増員を計画している。この前は目標額670万ポンドでクラウドファンディングしたが、bitcoinが多くてしかもそれらが値下がりしたため、失敗した

また、ボルトを作った人や、ブラウザーなど今後の重要なアプリケーションを作ってくれるデベロッパーへの支払いとして、500万Safecoinを確保している。このネットワークはサーバー不在が前提だから、これまでのアプリケーションはほとんど使えない。新たに作ることが必要であり、そのためにはアプリケーションのエコシステムを作らなければならない。新しいアーキテクチャのネットワークも、その価値は、その上で何ができるかで決まる。それゆえ、アプリケーションが重要だ。

今、外部のデベロッパーがSafeネットワークのために取り組んでいるプロジェクトのひとつ、プロジェクトdecorum〔礼儀作法プロジェクト〕は、非集中ネットワークにおけるソーシャルサービス(フォーラム、コミュニティ、コメントシステムなど)とそのためのオープンソースのプロトコルを作ろうとしている。MaidSafeは、このような外部努力がどっさりと必要である。Safeネットが、おもしろいエンジニアリングの実験で終わらないためには。

Irvineは言葉を続ける: “これまでの10年間は、最小限の人とお金で、サーバーの存在しない新しいネットワークアーキテクチャが実現可能で、しかも使い物になることを実証するための、努力を積み重ねてきた。しかし今では、技術的に難しい部分はもうほとんど残っていない。これから重要なのは商用化だ。まあそれは、これまでやってきた新しいインターネットの発明よりはやさしいけどね”。

でも、今およびこれからは、モバイルデバイスの時代ではないのか? コンピューティングの多くが、デスクトップからモバイルへ移った。そのことと、MaidSafeの非集中型インターネットは、どんな関係になるのか?

チームの考えでは、アルファはもっぱらデスクトップ機で行うが、将来的にはスマートフォンも今のデスクトップに劣らぬ“ネットワーク構成員としてのリソース”を持つに至るだろう。ただしそれらが十分な力を発揮できるためには、セルネットワーク(キャリアのデータライン)ではなくWi-Fiが主体になるし、充電の頻度も増すだろう。ただしこれらの話はすべて、将来の課題であり、今のアルファの対象にはなっていない。モバイル対応は、とりあえず、トゥドゥリストには載っている、という状態。

彼によると、ここから先は、自分にもチームにも鞭を当ててピッチを早めたいという。協力デベロッパーが増えてアプリケーションが増えてくれば、チームももっと、インフラストラクチャに専念できる。また、世界中でユーザーが増えるためにも、商用化を進めるためのパートナー作りが欠かせない。

Irvineは曰く、“うちは今、研究企業から商用企業への変わり目にいる。B2Cコンポーネントを作ったのも、多くの人たちに、アプリケーションを作る気になってもらうためだ。言い換えると、サードパーティに関心を持ってもらうための契機としてだ。たとえばHadoop Cassandraのストレージも、それを非集中型にする、というオルタナティブがあるはずなのだ。その方が、ずっと良いと思う”。

【中略】

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“アルファ以降には、アプリケーションを増やす方向に舵をきりたい”、とIrvineは語る。“Safeのネットワークの上なら、Web上のプライベートな情報を、当人しか見れないようにできる。またWebページ/Webサイトをどこかのサーバーにサーブさせなくても、手元のどんな情報でも、公開と共有を、自分のWebサイト上で指定できる。Wordのドキュメントでも、Skypeの会話でも、何でもだ。もちろん、それらを見た人に、そのオリジナルを改変や削除等する能力はない”。

“Webサイトも、自分のWebサイトはMaidSafeのアプリケーションが動き出したら1分以内に自分のマシン上に自動的に作られる。そのWebサイトは、各ユーザーの一生ものだ。どこかのサーバーに、それを委ねる必要はない”。

このような、サーバーがないネットワーク、サーバーがない世界を、多くの人たちが理解するには、時間がかかるだろう。しかし、その先例となるMaidSafeでさえ、アルファテストまでこぎつけるのに10年を要したのだ。なお、ブラウザーに関しては、Safeネットワーク専用ブラウザーに関する議論が、ここにある。

従来のブラウザーを使ってアルファテスターになりたい人は、MaidSafeからランチャーを入手して情報にアクセスする必要がある。また、いくつかのデモアプリケーションを試すこともできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleも投資した日米間高速海底ケーブルFASTERがいよいよ供用を開始

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Googleが海底ケーブルへの投資を始めたのは2008年だが、その中でも最大の投資は日本とアメリカ西海岸を結ぶFASTERケーブルへの、3億ドルの投資だった。2014年にGoogleは、NEC, China Mobile, China Telecom, Global Transit, KDDIなどから成る、二国間の接続を改良するためのコンソーシアムに参加した。そして同社の発表によれば、このケーブルが今夜(米国時間6/29)、供用を開始する。

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この9000キロメートル、6ファイバーペアのケーブルは、毎秒60テラビット(60Tbps)の帯域を提供する。Googleのテクニカルインフラストラクチャ担当SVP のUrs Holzleはそれを、“家庭のケーブルモデムの1000万倍速い”、と説明する。

Googleは一つのペアケーブル(10Tbps)を自社専用とし、それは日本の千倉および志摩とオレゴン州バンドン(Bandon)を結ぶ。後者は、同州内にある同社のThe Dallesデータセンターに比較的近い。

これと並行してGoogleは、同社のGoogle Cloud Platform(GCP)の東アジアリージョンを今年後半東京で立ち上げる。同社によれば、このたび専用帯域を得たことによって、“GCPの顧客は、全世界の顧客に対して、より高速なデータ転送とレイテンシーの減少を伴うサービス提供が可能になる”、という。

なお、Googleの発表はアメリカと日本間の接続を強調しているが、このFASTERのネットワークは日本と台湾間を二つのファイバーペア(当初能力20Tbps)で結ぶ。この、台湾と日本の二つのランディングサイト間の延長部分は、Googleが100%保有する(同社の100%子会社Google Cable Bermudaが保有)。

Googleはそのほかの海底ケーブルにも投資を続けている。たとえばアメリカ東海岸とヨーロッパ間には、Facebookとのパートナーシップにより、容量160Tbpsの、最高速の大西洋横断海底ケーブルを敷設する、と最近発表した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネットの使いすぎがティーンの学校バーンアウトを導く…フィンランドの研究が結論

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あなたのいまいましい子どもたちはコンピューターを離れて庭仕事の手伝いでもすべきである、という説の最終的決定的な証拠を、ヘルシンキ大学の心理学科の研究者たちが見つけた。インターネットの使いすぎ、ほとんど中毒のような使い方は、ティーンの学校バーンアウト(school burnout, 学校燃え尽き症候群)をもたらす、というのだ。

使いすぎの詳しい定義はないが、それは見れば分かるだろう。研究者たちは、こう書いている:

この研究が示唆しているのは、デジタル中毒と学校バーンアウトの問題に取り組むべきもっとも重要な段階が13歳から15歳までの時期であることだ。青少年の心の健康を支え、インターネットの過度の使用を防ぐためのもっとも効果的な方法は、学校への関心を高め、児童生徒の学習意欲を増進し、学校バーンアウトを防止することである。

青年期後期における抑うつ的症状と学校バーンアウトは、男子よりも女子に多く見受けられる。過度なインターネット利用による被害は、女子よりも男子が深刻である。

学校バーンアウトの定義は、学校へ行く意欲や学校で勉強する意欲の欠如、である。

この研究は、数千人の児童生徒のインターネット利用と心理学的問題を調べたMind the Gapプロジェクトに関連している。その結論は重い: “これらの結果は、青少年における過度なインターネット利用が、学校バーンアウトとその後の抑うつ的症状の原因でありうることを示している”。…このプロジェクトの研究者Katariina Salmela-Aroは、そう述べている。

結局のところ、子どものインターネットへの過剰接触を防ぐのは親の責任だ。しかし残念ながら具体的な指針は乏しく、この研究もその点では貧しい。しかしながらインターネット利用と抑うつ的症状の直接的な因果関係を示したことは決定的であり、小さな家族のためには数日おきにプラグを抜き、目の前にスクリーンのない時間を確保してあげるべき、とあらためて自覚させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

今年から‘Internet’は死語になる

[筆者: Henry Pickavet]
AP通信の書式ルール集Associated Press Stylebookを作っている人たちが、今後”Internet”は大文字で始まらない、と決めたので、ぼくの心は張り裂け、そして本誌のライターの一部はとても喜んでいる。

[ツイート訳: Stylebookが発行される6月1日より、小文字で始まるinternetを使用する。]

AP Stylebookは、多くの新聞やWebサイト(一つの単語’website’になる?)が自分たちの記法の参考にしている。それは、インターネットをこう定義している: “お互いにコミュニケートできるコンピュータの全世界的な分散ネットワーク”(上図)。それは相当でっかい定義だから、大文字のIがふさわしかったのだ。しかし、それも終わりだ。それだけではない。AP Stylebookは、”Web”も小文字の”web”にすると決めたのだ。

この変更が発表されたのは、エイプリルフールの日ではない。Stylebookの2016年版が発行される6月1日に有効になる。そのとき、そしてまさにそのとき、“Internet”は過去にStylebookが行った不可解な変更の仲間入りをする。”over”ではなく”more than”を使え、副詞句”under way”を廃し形容詞”underway”に統一する、などなど。ぼくにとっては、この二つは今でも悩ましい。

でもまだこのルール集は、‘文字通り(literally)’を‘比喩的に(figuratively)’の意味で使ってもよい”、とは言ってないな。〔’文字通り’を’比喩的に’使うとは、たとえば「文字通り臍(へそ)が茶を沸かしたよ」…もちろん、本当に臍が茶を沸かしてはいない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Starryはまったく新しい無線インターネット―Aereoのファウンダーが既存ISPに挑戦

2016-01-28-starry

スタートアップはインターネットを使ってありとあらゆる産業を変革中だ。しかし誰もインターネットそのものの構造に手を触れようとしていないのは不可解だ。

なるほどインターネット接続サービスは巨額の費用を必要とするビジネスだ。そして日毎に増大するビデオのトラフィックによる輻輳を理由としてますます料金を吊り上げることが可能となっている。決まり文句のように聞こえたらお許しいただきたいが、これこそまさに変革を必要とする状況ではないだろうか。

そこでStarry Internetが登場する。

計算

テレビの無料中継というサービスに失敗したAereoだが、ファウンダーのChet Kanojiaは現在新しいインターネット接続サービスであるStarryを立ち上げ中だ。

Starryはミリ波の無線テクノロジーを利用することにより、ブロードバンド接続のインターネット・サービスのあらゆる側面をカバーできるとしている。つまり各家庭に最大1GBpsの接続をワイヤレスで提供できるとしている。

われわれはKanojiaに電話でインタビューし、このビッグ・プロジェクトについて取材した。Kanojiaは次のように説明した。

既存のISPの場合、家庭にインターネット回線を施設するごとに2500ドル程度のコストがかかる。コストだけでなく、さまざまな規制がさらにスピードを遅らせている。Starryなら各家庭にわずか25ドルでブロードバンド接続を提供できる。しかも当局の規制による遅れはゼロだ。

Kanojiaは実際のユーザーへの課金の詳細については明らかにしなかったが、接続速度(最高1Gbps)に応じた各種のプランを用意しているようだ。KanojiaによればComcastやTime Warner Cableなど、現在のアメリカのISPの料金体系に比べて、「家庭の負担は一桁以上少ない」という。

Starryはまた「転送量の月当たり上限」などは決して設けないという。Kanojiaによれば、この「データ転送量の上限」は既存ISPにとって今後ますます大きな問題になってくるはずだという。

テクノロジー

Starryの作動の仕組みはこうだ。

このサービスはミリ波帯におけるアクティブ・フェーズドアレイと呼ばれるテクノロジーに基いている。そう聞くと難解だが、なんとかわかりやすく説明しみたい。

Starryは各都市の建物の屋上に無線ノードを設置する(Starry Beamと呼ばれる)。このノードはStarryが接続をカバーする人口密集地に置かれ、現在未使用の30GHz以上の波長の電波を用いる。

Starry Beamは多数の方向にミリ波を発信する(アクティブ・フェーズドアレイ)。この電波はビル壁などに反射し、最後にStarry Pointと呼ばれるユーザーのノードに達する。

Starry Pointはユーザーの家庭の窓外に置かれ、Starry Stationと呼ばれる室内の革新的なWiFiルーターと有線接続される(この点についてはすぐに詳しく説明する)。

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WiFiインターネット接続はかなり以前から実用化されているが、通常は見通し範囲でのみ作動し、最大速度もケーブルモデムなどと同等だ。無線接続は戸毎にに配線するとコストが高くなる田園地帯などでISPに利用されている。.

Starryのテクノロジーは、これと逆に、人口が密集した都市部を対象としており、アクティブ・フェーズドアレイ・テクノロジーを利用するため、接続に中継無線タワーが見通せることを必要としない。

ビジネス

しかしStarryがユニークなのはテクノロジー面だけではないとKanojiaは言う。Starryはルーターやらモデムやら配線やらのややこしいテクノロジーを一切廃している。そのためインストールに専門家は必要ない。簡単な英語さえ読めればいいのだという。

Starryとブロードバンド接続の契約をしたときにユーザーが受け取るパッケージにはStarru Beamと接続できるStarry Point送受信機が入っている。これは窓の外の適当な場所に設置するだけで終わりだ。専門知識は必要ない。

価格349ドルのStarry Stationはこれまでのインターネット・ルーターの常識を覆すものだとKanojiaは説明する。

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パッケージにはインストールと設定を容易にする3.6インチ・スクリーンのAndroidデバイスが含まれる。Starry StationにはInternet Health Scorと呼ばれるソフトウェアが付属し、 スピードテストの大手Ooklaによるインターネット接続のモニタリングが常時行われる。

Starry Stationにはデバイス探索ソフト、ネットワーク・マップ、時間と内容を規制できるペアレンタルコントロールなどのソフトウェアと、利用のためのアプリがバンドルされている。

なおユーザーは349ドルのStarry Stationを必ずしも購入しなくてもよい。.

歴史

ファウンダー、CEOであるKanojiaは、Starryには既存のISPに比べて3つの大きなな優位性があるとしている。 その1と2はコストに関連するもので、回線開設のためのコスト、その後の運用と維持のコストがStarryの場合、格段に安いという。

3番目の優位性はビデオに関するものだが、これはKanojiaのこれまでの苦闘に深く関連している。

Kanojiaの前回のスタートアップ、Aereoは画期的な集合アンテナにより、テレビ信号を家庭のコンピュータなどに配信するサービスを提供して大成功を収めかけたが、全国をネットするキー局に訴えられ、法廷で完膚なきまでに打ちのめされた

Aereoがテレビ局にとってかくまで脅威だったのはわれわれのビデオの視聴方法と深く関連する。つまり現在のビデオ視聴は断固として既得権にしがみつく構えの既存のケーブルネットワークごとに寸断されている。ところが視聴者はコード・カッターという新語ができたことでも分かるように、徐々にかつ不可逆的にケーブルテレビから去りつつある。

「バンドルの魅力は薄れてきた」とKanojiaは言う。バンドルとは多くの既存ISPがケーブルテレビとインターネット接続をパッケージにしてユーザーに提供している現状を指している。

Aereoはケーブルテレビに関する前例からいえば合法的なはずだったが、訴訟は最高裁まで持ち込まれ、そこで「〔Aereoは〕あまりにもケーブルテレビの事業に似ている〔ので違法だ〕」と認定されてしまった( こちらで全記録を読める)。

要するにAereoも新しい無線テクノロジーでインターネットに変革をもたらそうとしていたが、その対象はテレビ番組の配信に限られていた。

Aereoチームのメンバーを多数含むStarryは、今回、インターネットのブロードバンド接続という全く新しい武器を手にしている。

Starry Internetは2月5日にボストンで運用を開始する。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インターネット・ヘビーユーザーの10代は、高血圧なデブになる?!

giphyティーンエイジャーが長時間にわたってインターネットを利用すると高血圧になりやすいという報告を、デトロイトにあるヘンリーフォード病院(Henry Ford Hospital)の研究者が行なっている。1週間でのインターネット利用時間が14時間を下回らない生活を続けていると、血圧が上がってしまうのだとのこと。インターネットを長時間利用する134人のティーンエイジャーを対象に調査をしたところ、26人の血圧が上昇したそうだ。

EurekAlertの記事を引いておこう。

今回の研究は、インターネットの利用時間と血圧の関係について行った最初のものとなります。インターネットを長時間利用することで、中毒(addiction)になってしまったり、不安神経症(anxiety)や鬱(depression)を発症してしまったり、あるいは肥満を招き、ひきこもり(social isolation)になってしまうということを報告する研究はこれまでにもありました。今回の研究は、長時間のインターネット利用によるリスクに、またひとつ新しい具体例を加えることとなるものです。今回の研究を主導したAndrea Cassidy-Bushrow(ヘンリーフォード病院のDepartment of Public Health Sciencesの研究者でPh.D.、MPH)は、節度を持った利用が重要であると述べています。

「インターネットは既に生活の一部となっているものの、健康に害を及ぼすまで使い続けてはなりません」とのこと。「ヘビーユーザーとされるティーンたちは平均的に週で25時間もインターネットを利用していました」ということです。

Cassidy-Bushrow曰く、子供が抵抗しても利用時間の制限は行うべきだとしている。

「コンピューターやスマートフォンを利用する際には、定期的に休憩を入れることが大切です。そして休憩時間には身体を動かすことも大事です。保護者は子供の利用時間についても目を配るべきでしょう。1日に2時間、そして1週間で5日までというのが目安になると思います」とも記している。

なお、この研究調査によれば、生徒たちは1週間で平均的に15時間ほどインターネットを利用しているのだとのこと。「ヘビーユーザー」は女子で39%、男子で43%になるらしい。さらに「ヘビーユーザー層の43%は肥満気味となっていて、これは通常の26%の比率を大幅に上回っている」のだそうだ。

極端にまとめてしまえば、インターネットはティーンの身体を蝕んでいるわけだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

インターネットは過剰と過密による窒息死を防ぐためにHTTPからIPFSへ大改造すべきだ

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[筆者: Amber Case](位置対応ソフトウェア企業GeoloqiのCEO、同社は2012年にEsriが買収。過去にSXSWiやTEDでキーノートスピーカーを経験。 Calm Technology: Designing for Billions of Devices and the Internet of Thingsの著者。)

IPFSはまだ、シリコンバレー界隈でもよく知られていない技術だが、オープンソースの人たちのあいだでは口コミで急速に広まりつつある。多くの人たちが、インターネット上のファイル転送やストリーミングのスピードを大きく高速化する技術として、IPFSに注目している。

でも私から見れば、それは単なる高速化技術ではなくて、実際はもっと重要な技術だ。IPFSによって、Webサイトはコンテンツやサービスの起点となる中心的なサーバが不要になり、インターネットのアーキテクチャを抜本的に変える良い機会になると思われる。しかしそのためには、業界が未来に関して抱える自己矛盾を早期に(間に合うタイミングで)解決する必要がある*。〔*: 一点サーバ主義はボトルネックだが今の利益の源泉、など。〕

それではまず、背景事情から説明しよう。

なぜWebは遅くて脆くて何でもすぐなくなるのか

IPFSは新しい、ピアツーピアのハイパーメディアプロトコルで、今のWebを支配しているHTTP(Hypertext Transfer Protocol)を補完、もしくは置換する規格だ。HTTPにはこんな問題がある: どこかのWebサイトを訪れるとき、ブラウザはそのサイトをサーブしているコンピュータに直接接続することになり、サーバが遠くにあって転送処理が大量の帯域を消費するときでも、それは変わらない。

データの転送が複数のネットワークにまたがる場合は、データのプロバイダは各ネットワークで課金され、帯域を浪費する。しかもHTTPでは一度に一つのコンピュータからファイルをダウンロードし、複数のコンピュータから同時に少しずつダウンロードすることができない。

そのため今日のわれわれは、遅くて高価なインターネットを我慢し、しかも合衆国などでは最後の1マイルを提供するキャリアの貪欲と、加速度的に増加するモバイルデバイスからの接続リクエストに苦しめられる。その結果今のインターネットは、遅くて高価なだけでなく、信頼できない。HTTP転送は、何かの事情でリンクが一つ切れただけで、転送は完全に断たれる。Webページやメディアファイル(画像、ビデオなど)のロードが遅いとき、その犯人はたいてい、HTTPチェーンを構成するリンクのひとつだ)。

IPFSでインターネットを改造する

IPFS(InterPlanetary File System)(惑星間ファイルシステム)は、J.C.R. Lickliderのヴィジョン“intergalactic” Internet(“惑星間”インターネット)に触発されて、Juan Benetが構想した。10代でメキシコから合衆国に移住した彼はスタンフォード大学でコンピュータ科学の学位を取り、その後自分の会社を興したが、それは2013年にYahoo!が買収した。その後Y Combinatorに在籍した彼は昨年Protocol Labsを作ってIPFSの普及活動を開始し、20年間既成事実のようにのさばってきたプロトコルを置換する、という謙虚な*目標を掲げた。〔*: 謙虚な…大事業を“ささやかな”と形容するようなジョーク。〕

ピアツーピアの分散ファイルシステムであるIPFSは、すべてのコンピューティングデバイスを同じファイルシステムで結びつける。Juanによると、それによってIPFSは、HTTPの欠点のいくつかを取り除く。中でもとくに重要なものが二つある:

Juanは語る: “IPFSでは、アドレスとしてコンテンツを指定し、起点のサーバを指定しない。コンテンツは特定のサーバ上ではなく、どこかに恒久的に保存できる。そのコンテンツを、ユーザにとても近いところに保存してサーブできるし、極端に言うと同じ部屋の別のコンピュータでもよい。指定するアドレスがIPではなくコンテンツになると、データを特定のホストに縛られずに検証できる。単一のサーバを指定するHTTP方式では、それが信頼できないホストかもしれない。ユーザのデバイスがそのコンテンツを一度持てば、それを無期限にキャッシュすることもできる”。

IPFSはHTTPベースのインターネットにつきまとっていたセキュリティの問題も解決する。コンテンツをアドレスし、コンテンツにサインインするIPFSベースのサイトでは、DDoS攻撃が不可能である。また、Webサイトが突然落ちるという、従来からよくあるダメージを減らすためにIPFSでは重要な公共的コンテンツをアーカイブし、重要な情報を容易に(分散的に)保存できる。

IPFSによってインターネットが、われわれが理想としてきたシステムに成長できる。

IPFSの究極の利点は、コンテンツの分散配布だ。言い換えるとコンテンツへのアクセスが、特定のサービスの調子の良し悪しに左右されない。オフラインでのアクセスも可能だ。“IPFSでは、WebサイトやWebアプリケーションに特定の起点サーバというものがない”、とJuanは説明する。“それらは、Bitcoinのネットワークが分散しているように分散できる”。まさにそれこそが、今のHTTPには逆立ちしてもできないことであり、とくにそれほど接続性の良くないネットワーク(すべての途上国)や、大都市圏以外の地域にとって恩恵だ。

2月にアルファでリリースされたIPFSを、今多くのアーリーアダプター(初期的採用者)たちが実験している。たとえば9月8日にはNeocitiesが、メジャーなサイトとしては初めてIPFSを実装した。それはInternet Archiveからの分散Webの呼びかけに応えたものだ。今や、Webサイトがどんどん減っている。長い年月の間にサイトのオーナーたちが、それらを放棄し、無メンテないし閉鎖してしまうからだ。インターネットという、記憶/記録の集大成が、崩壊しつつある。IPFSの今後の普及が早ければ、恒久的なコンテンツやサービスが増え、崩壊を最小限で食い止められるだろう。

しかし、“ピアツーピア”という言葉を聞いただけでびびってしまう大企業が、Neocitiesの例に倣って、未実証のプロトコルを採用するだろうか? この点に、最後の問題がある。

IPFSがインターネットビジネスの将来にとって重要である理由

私の次の本でも説明しているが、インターネット上のコンテンツはますます、そこから得られる利益よりも制作と配布の費用の方が上回るようになりつつある。そのためメジャーなインターネット企業でも、コンテンツの需要にいち早く応えるのが難しくなっている。Akamai、Google、Amazonなどの大企業では、大量のエンジニアを、このたった一つの問題への対応に投入している。

でも、最悪の状態が訪れるのはこれからだ。低価格のスマートフォンの大普及により、全世界のコンテンツ消費者の全員が次の10年間でオンライン化する。そして物のインターネット(Internet of Things, IoT)が何十億ものデバイスをインターネットに接続することによって、インターネットの過密と、それによる性能劣化はさらに激化する。

かなり前から緊急に必要になっているのは、私が小さなシンギュラリティ(micro-singularities)〔Wikipedia〕と呼んでいるものに対するヘッジだ。その超ミニシンギュラリティにおいては、ヴァイラルなイベントが突然何10億ものインターネットユーザをフリーズし、システム全体が窒息する。これに自然災害やそのほかの緊急事態が絡めば、文字通り人命に拘わるだろう。

Netflixは最近、ストリーミングのための大規模なピアツーピア技術の実験を開始した。これだけ大きくてユーザ数も多い企業が、早くから、よりスマートなコンテンツ配布方法を探求していることは、希望の兆候かもしれない。NetflixやYouTubeのような帯域大食らいの人気サービスは、IFPSで改造されたインターネットの上で、より一層栄えるだろう。そしてコンテンツをサーブするために要する時間と費用も、激減する。

IPFSでネットワーク上のサービスが良くなるだけでなく、IPFSによってインターネットが、われわれが理想としてきたシステムに成長できる。その理想は、現在のプロトコルでは絶対に実現しない。世界中の人びとを(オフラインにおいてさえ)本当に結びつけ、人間の現状が恒久的にそしてコンスタントに進化し、誰もが望むような未来が実現していく。そんな理想は。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

OK、アルファベット! ―Googleの企業再編を展望する

2015-08-12-alphabet

GoogleがAlphabetという会社に再編されたというニュースを聞いてカレンダーをチェックした読者も多かっただろう。いや、やっぱり4月1日ではなかった! その後、詳しい内容も判明した

Googleは現在も本質的にインターネット企業だ。16年前に誕生したGoogleはわれわれが現在知っているインターネットを形成するのに決定的な役割を果たしてきた。5万7000人の社員に「Googleといえば何を連想するか?」と尋ねれば、おそらく全員の答えに「インターネット」が含まれるだろう。

Googleが会社の使命を述べた有名な一節がそれを証明している。

Googleの使命は世界の情報を組織化し、われわれに役立つような形で普遍的にアクセス可能にすることだ。

しかしGoogleは次第にその枠に収まらなくなってきた。

今やAlphabetという名で知られるようになった巨人は数年前からインターネット以外の分野への進出が目立ち始めた。ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは地球上で最良の頭脳を集めていくつかの野心的プロジェクトを立ち上げた。明らかに彼らは「検索企業」という範疇に安住するつもりはない。

会社の使命は、たとえば次のように改定される必要があるだろう。

Alphabetの使命は現実世界をわれわれに役立つよう形で普遍的にアクセス可能にすることだ。

現実世界の中にはもちろん情報も重要な要素として含まれる。その分野はスンダル・ピチャイが指揮を取るGoogleが担当する。

では再編されたGoogleの各ユニットはそれぞれどんな役割を担うことになるのだろう?

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モバイル・インターネット

インターネットで何かを探すことは相当以前から「ググる」と呼ばれている。それにはもっともな理由がある。Googleが最良の検索エンジンだからだ。Googleの圧倒的な検索シェアに近い将来変化がるとは思えない。当分Googleはインターネットへのポータルであり続けるだろう。

しかし、検索はモバイル・インターネットへのポータルではない。この点に対処することがピチャイに課せられた使命だ。

検索、広告、AndroidというGoogleのコア・ビジネスはスンダル・ピチャイの新Google事業部に残された。ピチャイはGoogleサービスのモバイル体験の改良に全力を挙げるだろう。再編によってピチャイは他の事業に精力を割かずにすむようになった。

爆発的な成功を収めたスタートアップはこれまでのGoogle(に買収される)というエグジットの代わりにAlphabetというエグジットを考える必要がある。Alphabetに買収された場合、それがNestのようなすでに大規模なオペレーションになってるなら、ラリー・ペイジの直属となる。これまでのようにGoogleの巨大な官僚組織の迷路のどこかに埋もれてしまうという心配をしなくてよくなる。当然、意思決定も速くなるだろう。

これまで新たに買収された企業は、Googleのコア・ビジネスを補完する場所をあてがわれてきた。コア・ビジネスを補完するような位置づけができない企業は、多くの場合、そのまま放置されてしまった。

もしAlphabetがもっと早く誕生していたら、Oculus Riftはその傘下企業になっていたかもしれない。 たとえば、そういうことだ。

ムーンショット事業

アポロ計画に匹敵するような野心的プロジェクトという意味でムーンショットと呼ばれているGoogleの各種事業は投資家を苛立たせてきた。自動運転車だって? 気球でインターネットを中継するって? なんで広告テクノロジーの改良とかに集中しないのだ?

ムーンショット事業にとってAlphabetは大きな朗報だ。決算発表のたびに浴びせられる厄介な質問(「グラウンドホッグデーのジリスの行動を観察するために5人のエンジニアを派遣した理由は?」)はペイジが直接さばいてくれる。

Alphabetはますます奇妙な会社になっていくだろう。

ベンチャー投資の拡大

成功した巨大持株会社としてはウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイという前例もある。Googleはすでにリアル世界のあらゆる側面に投資を行っている。今回の再編でAlphabetはGoogle事業と、それどころかインターネットとも無関係な事業への投資がしやすくなる。Bill Maris率いるGoogle Venturesチームは「世界を組織化する」というAlphabetの新たな使命に即していっそう大胆な投資をするようになるだろう。火星のテラフォーミング? バーテンダーを対象としたUber事業? われわれの多くはGoogleが世界中の道路を写真に撮ると聞いて正気かと疑ったものだ。ともあれ、Alphabetから今後何が飛び出してくるのか大いに楽しみだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新興国の利用者曰く、インターネットはモラル面でマイナスの効果を及ぼす?!

新しく発表されたPew Researchのレポートでは、新興国においてインターネットがもたらす影響を調査している。人々が「インターネット」についてどのように考えているかに力点をおいている。

昨今、新興国にもインターネットに繋がる環境を構築しようと、FacebookやGoogleなどはかなりの投資を行なっている。たとえばFacebookは特定地域に無料のモバイルインターネットを提供しようとするInternet.orgなるプロジェクトを運営している。Googleの方も気球高高度を飛ぶドローンなどを通じたアクセス手段を提供しようとしている。こうした動きは加速していると言って良いだろうが、しかしインターネットに接続できるようになることが、途上国の人たちの役に立っているのか、あるいは喜ばれているのかどうかについては、まだ十分な調査が為されていないともいえそうだ。

TechCrunchなどのテック系メディアでは、インターネットの存在自体や、あるいはインターネットに接続できるようになるということについては肯定的な評価をすることが多いだろう。しかし、世界中の人がネットに繋がるようになることについて、肯定的な面にばかり目を向けているということはないだろうか。たとえば最近は、政府が市民の監視を行うのにネットワークを利用しているというようなことも言われている。人々同士の間でも、加害者がキーボードやモバイルデバイスの画面に隠れた状態で匿名のうちにいやがらせ行為を行ったり、あるいは病力的な振る舞いに出る旨のおどしに使っているようなケースもある。

既にネットワークの存在に多くを依拠している先進国では、多少の不利益があってもインターネットに繋がることを選ぶ(選ばざるを得ない)だろう。しかしこれまで繋がっていなかった地域の人達も同様に考えるはずだと前提して良いものだろうか。誰もがネットに繋がることを良いことだと考えるようになるものだろうか。

Pew Researchは今回、32の新興国および発展途上国を対象に調査を行なってレポートをまとめている。そうした国々ではインターネットについての意見もいろいろにわかれているようで、インターネットというものはモラル面での悪影響をもたらすと回答している人も多いようだ。民主化推進などの政治面についても、賛否両論があるようだ。ただし、教育や人間関係、および経済の面ではプラスになると考えている人が多い。

新興国市場において、インターネット非利用者を含めた64%の多数が、インターネットは教育に役立つと回答したそうだ。友人関係にも役に立つと回答した人も53%にのぼっている。さらに経済面でも52%の人が役立つと考えているのだそうだ。しかしモラル面で良い影響をもたらすと考えている人は29%に過ぎず、むしろ42%がマイナスの影響をもたらすと回答している。

モラル面で悪影響をもらたすという考えは、今回の調査対象国すべてに共通するものであるというところも面白い。モラル面に好影響をもたらすという回答が多数を占めた国はなかったのだ。

ところでインターネットへのアクセスが可能になった人たちの多くが、「ソーシャル」面にプラスの効果をもたらすと考えている。たとえば新興国の人々の65%が、個人同士のつながりい好影響をもたらすだろうと回答している。これをインターネットにアクセスできない人たちについてみると、同じように判断する人の割合は44%に低下する。教育レベルにもよるようで、高学歴な人々の10人に6人が人間関係にプラスとなると回答しているのに対し、低学歴の人々の賛同率は44%になる。

こうしたことを見ると、Facebookなどがネットワークに繋がる人たちを増やそうとするのは正しい判断であると言えるだろう。インターネットに繋がるようになれば、発展途上国でも多くの人が友人などと繋がるためにネットを利用するようになる。86%の人々が友人や家族とオンラインでの繋がりを持ち、また82%がソーシャルネットワークにも参加している。調査対象となった国々でも、インターネット利用者のうち82%がFacebookやTwitterを使っていることがわかった。

ちなみに、インターネットを政治面で利用している人は少ない(54%)ようだ。さらに健康関連情報の入手に利用した人は46%で、政府や各種サービスからの情報を得るのに活用した人も42%に留まった。さらに、キャリア活動ないしコマースに用いる人も少ない様子。求職活動に利用した人は35%で、支払いに利用した人が22%、ショッピングが15%で、オンラインコースを試してみた人も13%という結果になっている。

残念ながらPewのレポートでは、モラル面で悪影響があるとした人々の回答について、詳細な検討は行なっていない。インターネットが導入されることで、どういうマイナス面が出てくるのかということについて、具体的な内容の確認も行なっていない。どのようなサービスないし行動がモラル面にどのような影響を及ぼすと考えられているのかについて、もう少し突っ込んだ調査が欲しかったところだ。

レポートを見る限り、ネットが利用できるようになるや否や、多くの人が「ソーシャル」な行動を行うようになる。人々の心配は、そうした人々の行動パターンと関係があるものなのかもしれない。フェイス・トゥ・フェイスの関係が減り、そしてこれまでのさまざまな束縛から逃れ、「自由」を感じるようになるというのも、ネットワークの特徴のひとつだ。そこで人を「自由」に避難したり、公開の場では言えないような「本音」を表に出すことも行い始める。そうした社会的行動の変化により、インターネットが道徳面に悪影響を及ぼすと考える人も出てくるのだろう。

インターネットへの接続状況などを国ごとにまとめたレポートの全文もこちらから見ることができる。尚、途上国の人々をネットに繋ごうという行動は積極的に行われているものの、今回の調査対象国にはインターネットにアクセスできていない人が数多く存在する。ごくたまにであれインターネットを利用するという人は、調査対象32ヵ国の中で44%に過ぎない。米国では成人の87%がインターネットを利用している。

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(翻訳:Maeda, H


ヘビメタのスーパーバンド、アイアン・メイデンは著作権海賊が大好きという作り話がネットで事実に化けたわけ

もしヘビメタ・ロックのスーパーバンド、アイアン・メイデン(Iron Maiden)が世界のどの地域で音楽海賊がこのバンドの曲を違法に流通させているかという情報をベースに数千万ドル規模の世界ツアーを企画していると聞いたら? それが本当ならスーパークールな話だ!

Rolling Stoneの記事をリブログしようとしたが、しかし、私のようなアナーキー大好きな人間の耳にさえ余りにクール過ぎて、躊躇した。少し調べてみると、この記事に書かれていることを事実とする証拠は皆無だった。

ところが過去48時間にわたってテクノロジーと音楽業界は80年代に登場したメタル・バンドがかくもスマートなテクノロジーの利用法を採用したことを熱心に称賛した。

アイアン・メイデンは広く利用されているP2Pファイル共有システム、Bittorrentのデータを解析して南アメリカにファンが多いことを発見し、現地でのコンサートを企画したというのだ。

MusicmetricはBittorrentと各種ソーシャルメディアのエンタテインメント情報を分析するスタートアップだが、11月29日のGuardianの記事は「同社がアイアン・メイデンはそうしたオンライン情報を利用してコンサートを企画することで莫大な利益を得られると助言した」と書いた。

続いて12月20日にテクノロジーブログのCiteworldが、「アイアン・メイデンが最悪の音楽海賊を発見し、彼らのために演奏することに決めたわけ」という思わずクリックしたくなるようなタイトルの記事を載せた。この記事ではMusicMetricがアイアン・メイデンに南アメリカで予定外のコンサートを開催するよう直接アドバイスしたとほのめかされていた。

しかし私の取材に対してMusicMetricの広報担当は「残念ながらCiteWorldの記事は事実とはいえません。アイアン・メイデンが当社の分析データをツアーの企画のために使ったとわれわれが述べたことはありません」とメールしてきた。

匿名の広報担当者は続けて「誰かが何かを書き、大勢がそれについてツイートしてしまえば、もう打つ手はほとんどありません」と述べた。MusicMetricは自分たちがやりもしなかったことを手柄にしていると非難されるのを恐れているという。

告白しておけば、私にもこの根拠ない話を広めた責任の一端がある。私は問題の記事をよく読む前にその記事に関するツイートをリツイートしてしまった。現在、Citeworldは記事の訂正と謝罪を発表しているが、オンラインの噂ネットワークは活動を止めていない。間違った記事をベースにしたツイートや投稿が今日も大量に生産されている。

結局、この話はそれ自体荒唐無稽というわけではなかった。たとえば人気SF作家のニール・ゲイマンは、海賊版が一番読まれている地域は同時に正規の本の売上も一番多いことを知ってすっかり著作権海賊の贔屓になった(上にゲイマンのインタビューをエンベッドした)。

つまりIron MaidenがBittorrentのデータを利用して南アメリカ・ツアーを企画することは可能だった。私はアイアン・メイデンにコメントを求めているが、アイアン・メイデンがそうしたことを実行することはまずなさそうだ。

インターネットの「噂工場」がもっともらしいが間違った結論に達するのは珍しいことではない。ボストン・マラソン爆弾事件ではアマチュア探偵が所在不明だった学生、SunilTripathiを間違って犯人だと決めつけた。この噂は手に負えない勢いで広がり、とうとうTripathiはメディアのトップページで公衆の敵ナンバーワンにされてしまった。

私はMusicMetricが実際にアイアン・メイデンにBittorrent情報を使って効果的なツアー企画をアドバイスしてたらよかったのにと思う。しかし、よく言われるように、「それでは話がうますぎる」ということだったようだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Cirlceは、家族のインターネットを制御して人間性を取り戻す(Kickstarter)

はっきり言っておこう。われわれはインターネットをコントロールしていない。インターネットがわれわれをコントロールしている。これに対するいかなる反論も無用だが、新しいKickstarterプロジェクト、Circleは、家庭内LANに接続されたデバイスを個々に制御するハードウェアとソフトウェアを使って、インターネットの遍在に逆襲する家族たちの力になろうとしている。

Circleはルーターではない。Xerox PARC出身のPowerCloud Systemsが、類似のコンセプトに基づいて作ったSkydogとはそこが異なる。ルーターおよびそこに接続された全デバイスとやりとりすることによって、家族のデバイスとインターネットの間にフィルターをかけ、子供たちのデバイスに年齢、時刻、広告コンテンツ等によって制限をかける。インターネット上の様々な行動に関して、自分のパソコンに通知させることができる。「ネガティブ」および「ポジティブ」な閲覧、どちら関しての通知も受けられる、とCircleは説明する。

言い換えれば、Circleは、NSAのPRISMプログラムの家庭版にファイアーウォールの要素を加えたものだ。サイトのカテゴリー別にアクセス時間をスケジューリングし、FacebookやYouTubeの利用時間がとんでもないことにならいよう、Pauseモードを使って寝る時間になったら全アクセスを遮断できる。子供の使う端末の広告を全部ブロックすることもできる。管理はすべてiPhoneアプリから行う。

彼らのソリューションの特長は、ユーザープロフィールを設定したり、個々のデバイスに監視ソフトウェアをインストールしなくてもよいところだとCirlceは言う。そして、既存のルーターと共にに動作するため、高価なデバイスを買ったりネットワーク設定を変更したりする必要がない。

Circleを支えるチームには、元国防省向けネットワークセキュリティー技術者のTiebin Zhang、HoneywellのWi-Fi制御システムエンジニア、およびデザイン、スポーツ、ビジネス開発その他多くの経験を持つ起業家、Jelani Memoryらがいる。Circleの外観は間違いなく美しく、おそらくこれは、ファウンダーでプロダクトマネージャーのSean Kellyのおかげだろうが、このルックスに負けない性能を出せるかどうかはまだわからない。

Circleは、Kickstarterで150ドルのプレッジ(支援金)を出せば予約注文が可能で、出荷予定は2014年8月。ハードウェアのスタートアップが、出荷までに十分な期間を置くのは良いことだ。同スタートアップは、プロジェクトのために総額25万ドル程度の資金を調達し、現在のプロトタイプを元に量産化するつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)