セキュリティが強化されたエンタープライズ向けブラウザのIslandが約140億円調達

ダラスのIslandは、エンタープライズのための安全なブラウザを開発している。同社はこのほどシリーズBで1億1500万ドル(約140億円)を調達した。それは同社が最初の資金調達として1億ドル(約121億円)を獲得して、ステルスを脱してからわずか数週間後のことだが、同社の評価額は13億ドル(約1579億円)に達していた。

この驚くべきスピードの資金調達は、これまでのリード投資家であるInsight Partnersが主導し、ニューヨークに拠点を置くベンチャーキャピタルが12番目の旗艦ファンドとして200億ドル(約2兆4287億円)以上を調達したわずか数週間後に行われたものだ

2020年に創業されたIslandは、Chromiumをベースとして、エンタープライズ向けにセキュリティを強化したブラウザを作っている。そのエンタープライズブラウザはコピー&ペーストやスクリーンショットなどの機能を無効にして、重要なデータが企業の外へ出ないようにし、契約社員や自機持ち込み労働者にも安全なアクセスを提供する。さらにそのブラウザは、ウェブのフィルタリングや隔離、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなど独自のセキュリティ機能を揃えている。

IslandのCEOであるMichael Fey(マイケル・フェイ)氏はTechCrunchに「今回の投資は2月にローンチして以降の『極めて幸運な』需要の結果だ」と語っている。

「私たちのチームは、いろいろな分野と規模の企業や組織のセキュリティに貢献できました。それは、市場のニーズとプロダクトのスケーラビリティ、それら両方のおかげでありとても感謝している。今度の調達に最初の投資家たちが参加していることは、顧客の間での評判がとても良いことを彼らが実際に見聞きしていることを物語っている。このような活気ある投資は、私たちにスケールとイノベーションを可能にし、もっと多くの顧客の問題を解決して、私たちをこの分野のトップに押し上げるだろう」とフェイ氏はいう。

「エンタープライズブラウザを立ち上げるという私たちのミッションは、ステルスを脱したときから、セキュリティのプロフェッショナルたちに価値をご提供することだった。その目標を、こんなに短い時間で達成できたことは、とてもエキサイティングです」。

この巨額な調達はStripesやSequoia Capitalなど既存の投資家も支えており、またサイバーセキュリティへのVCの投資が記録的だった年の続きでもある。Momentum Cyberの最近のデータによると、サイバーセキュリティのスタートアップは2021年に295億ドル(約3兆5841億円)という「記録破りの」額のベンチャー資本を調達し、2020年の120億ドル(約1兆4579億円)の倍を超え、2年分を合わせた額よりも大きくなった。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

ダラスを拠点とし、Chromium(クロミウム)ベースのエンタープライズ向けブラウザを開発しているスタートアップ「Island(アイランド)」が、約1億ドル(約114億7000万円)の資金を得てステルス状態から脱却した。

Islandによると、同社が約2年前から開発を進めてきた、わかりやすい名前の「Enterprise Browser」は、既存のコンシューマー向けブラウザと、ますます複雑化するエンタープライズのIT・セキュリティ要件との間にあるギャップを解消することを目的としているという。

Symantec(シマンテック)で社長兼COO、McAfee(マカフィー)でGM兼CTOを歴任したIslandのMike Fey(マイク・フェイ)CEOは、TechCrunchの取材に対しこう語った。「企業内で最も広く導入されているアプリケーションはブラウザですが、それはコンシューマー向けに設計されたものです。一般の消費者は、無限の自由を求めています。好きなものをインストールし、好きな場所に行き、問題なくブラウザを使って何でもできることを望んでいます。ですがエンタープライズの場合は、顧客データが安全であること、重要な情報が保護されていること、そして顧客が良い体験をしていることを確かめる必要があります」。

Islandのブラウザは、Google ChromeやMicrosoft Edge、BraveやVivaldiなど、多くの主要なブラウザを支えているオープンソースプロジェクトであるChromiumをベースにしている。これにより、企業のアプリケーションやデータに対する重要なセキュリティコントロールとガバナンスを組み込むことが可能になり、ブラウザを親しみやすいものにできるという。

このブラウザは、重要なSaaSや社内ウェブアプリケーションをデータ漏洩から守り、契約社員やBYODワーカーに安全なアクセスを提供し、セキュリティチームがコピー、ペースト、ダウンロード、アップロード、スクリーンショットなど、重要なデータを漏洩させる可能性のあるラストマイル操作を制御することを可能にする。また、セーフブラウジング、Webフィルタリング、Webアイソレーション、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなどのセキュリティ機能を内蔵している。

フェイ氏はこう語る。「この製品は、エンタープライズ向けの無限のラストマイル・コントロールを備えたブラウザと考えてください。私たちは、環境を強化し、アイテムを暗号化し、より多くのコントロールを提供しています。必ずしもハッカーを排除するわけではありませんが、(彼らの)勝利を排除しているのです。実際には、ハッカーがアクセスしたいデータが、彼らが盗めるようなエンドポイントに置かれていないということです」。

100人以上の従業員を擁するIslandは、Insight Partners、Sequoia Capital、Cyberstarts、Stripesなど、アーリーステージの有力投資家から1億ドル(約114億7000万円)近い資金を獲得した。同社はTechCrunchに対し、今回の投資をスタッフの増強と市場投入戦略の拡大に活用すると述べている。

「才能の点で妥協することなく、できるだけ早く200人のエンジニアを確保したいと考えています」とフェイ氏はいう。「それだけの素晴らしいエンジニアを見つけるのに可能な限りのスピードで、増員していきます」。

同社は、すでに次の資金調達も視野に入れているという。「シリーズAやシリーズBは当然あるでしょうし、私たちの夢や希望を実現するためには、近く資金を調達しなければなりません」とフェイ氏は語った。

画像クレジット:Island / YouTube(video)

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)