MirantisのModel Designerツールでオンプレミスクラウドの構成を楽に

OpenStackの初期を担った主要企業として記憶に残るMirantisは米国時間4月29日、企業がオンプレミスのクラウドの構築とデプロイを容易にできるためのサービスを立ち上げた。

そのMirantis Model Designerと呼ばれるサービスによりITのオペレーターたちは、自分たちのクラウドを容易にカスタマイズできる。来月はOpenStackのクラウド、その後はKubernetesのクラスターに関し、それらのデプロイのための構成の作成を支援する。

従来の構成作業は、大量のYAMLファイルを手書きすることを要し、間違いも起きやすいので、それが好きだというデベロッパーはまずいない。

でもそれがまさに、Infrastructure as Codeモデルの中核だ。しかしModel Designerは、MirantisがOpenStack用の人気の高いインストーラーFuelから学んだことを拡張している。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが今日の発表の前にデモしてくれたところによると、Model Designerはユーザーに提示するGUIで構成を一歩々々進めていく。

うまいな、と思ったのは、その各ステップに難度のレベルがあって、設定をどれだけカスタマイズしたいかによってユーザーが選ぶ。レベルはDoomを参考にしたとあって、「I’m too young to die」とか「Ultraviolence」などがあるが、なぜか「Nightmare!」はない(Infrastructure as Code参考記事)。

Model Designerはクセの強いツールだが、ユーザーの自由度もかなりある。構成の段階が終わったらMirantisはその設定を実際にJenkinsのオートメーションサーバーで動かして、その構成を検証する。

Renskiによると、その段階では各プラットホームの特異性に十分対応していないが、ファイルが正しいことは確証される。そのあと、このツールはユーザーに構成ファイルを提供し、OpenStackのクラウドの実際のデプロイは、それらのファイルとMirantisからダウンロードできる中核的なバイナリを一緒にしてオンプレミスのクラウドに持って行き、コマンドラインのスクリプトを実行するだけだ。それが、この工程のすべてである。

そこからはMirantisのDrive Trainツールにバトンが渡ってクラウドをプロビジョニングする。アップグレードは、以上のプロセスを繰り返すだけだ。

Mirantisの収益源はサポートで、それにはベーシックから顧客のクラウドの完全管理まで何段階かある。Model Designerは多くの企業に同社の存在を知ってもらうための方法の一環であり、そうやって同社のツールを使ってもらえるようになれば、次はそのサポートという算段だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

OpenStackがオープンソースのCI/CDプラットホームZuulを切り離して独立化

OpenStackほど複雑なオープンソースプロジェクトはほかにないと思われるが、これは要するに、AmazonのAWSのような総合的なクラウドコンピューティング環境を、企業が自分のデータセンターの(主としてプライベートな)インフラストラクチャとして装備するためのシステムだ。それを構成するさまざまなサブシステムを作るためにチームは、独自のDevOpsツールを作らざるをえなかった。2012年には、その一環として、オープンソースの継続的インテグレーションとデリバリ(CI/CD)プラットホームZuulを作った。そしてこのほど、Zulu v3のリリースを契機に、ZuluをOpenStackから切り離して独立のプロジェクトにした。でもOpenStackのエコシステムを去るわけではなく、依然としてそれは、OpenStack Foundationがホストするツールだ。

構造をざっと展望すると、OpenStack Foundationは一種の母体的組織であり、その傘下のメインプロジェクトとしてOpenStack本体のほかに、昨年おそく登場したKata Containersと、今回のZuulがある、という構造になる。すなわちOSFは近年、本体OpenStackのほかに、関連のインフラストラクチャプロジェクトも揃えよう、としているのだ。

Zuulはデベロッパーたちに、プロジェクトに新たな変更を加えようとするときの、コードのマージ、ビルド、そしてテストの工程を自動化するシステムを提供する。サポートする開発プラットホームはかなり幅広くて、GitHubや、コードレビューとプロジェクト管理のツールGerritなどもサポートしている。

Zuulの現在のコントリビューターは、BMW, GitHub, GoDaddy, Huawei, Red Hat, そしてSUSEだ。BMWのソフトウェアエンジニアTobias Henkelは語る: “ソフトウェアプロジェクトがCD/CIを幅広く採用することは、高品質なソフトウェアをタイムリーにデリバリするための基盤だ。それにより、個々のコミットチェックからフルリリースに至るまでの、開発サイクルの重要な部分を、すべて自動化できる。弊社BMWのCI/CDチームは、Zuulコミュニティの一員であることを誇りとし、オープンソースのZuulプロジェクトの積極的なコントリビューターであり続けたい”。

Zuulがスピンオフして独立した今の時期は、CI/CDに関して選択肢がとても多くなっている。GoogleとNetflixはオープンソースのSpinnakerで、Zuulと同様の機能を提供しようとしているし、またJenkinsとその類似プロジェクトたちも依然として強い。これらに対してZuulは、大規模で複雑な開発プロジェクトをうまく扱えるmulti-repo gatingマルチリポジトリ・ゲーティング)機能の有利性を強調している。

今カナダのバンクーバーで、これらのオープンソースプロジェクトの代表者たちによるOpenDevカンファレンスが行われており、そこでOpenStack Summitも併催されているので、数日〜数週間後にはこれらのプロジェクトすべてに関するより詳しい情報が出てくることだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa