家族追跡アプリのLife360がウェアラブル位置情報デバイスJiobitを40.3億円で買収する

人気の家族追跡アプリLife360(ライフ360)がハードウェアに投資する。同社は米国時間4月27日、シカゴを拠点とするJiobit(ジオビット)を3700万ドル(約40億3000万円)で買収したことを発表した。Jiobitは、幼い子どもやペット、高齢者のいる家庭での使用を想定したウェアラブル位置情報端末のメーカーだ。この3700万ドル(約40億3000万円)は主に株式と債務で構成されているが、買収完了後2年以内に特定の業績指標を達成した場合には、取引価格は最大5450万ドル(約59億3000万円)まで増額する可能性があるとLife360は述べている。

Jiobitが初めて市場に登場したのは2018年だ。主に子供やペットのトラッカーとしての利用が想定されていた。この小型軽量デバイスは、ベルトループや靴ひも、ランドセルなど、子供が身につけたり持ち歩いたりするものに取り付けることができ、特にまだ自分の携帯電話を持てない小さな子どもを、追跡する方法を探していた家族にアピールした。今年初めにはJiobitは、無線(Bluetooth、Wi-Fi、携帯電話、GPS)のほかに、加速度計/歩数計、温度センサー、気圧計などのセンサーを組み合わせたアップデート版(129.99ドル(約1万4200円))を発売した。

この新しいシステムは、学校や店舗、高層ビルなどの厳しい電波環境下でのパフォーマンスを特に向上させるために設計された。また、携帯電話の電波が届かなかったり不十分だったりする地域でのサービス向上のために、LPWA(Low-Power Wide-Area)無線ネットワークを活用している。そして、新しいデバイスは、最大5フィート(約1.52メートル)の水に30分間まで沈められても大丈夫な防水機能(IPX8)を備え、バッテリーの寿命も長くなった。

画像クレジット:Jiobit

Life360は、既存のファミリーセーフティメンバーシップにJiobitを加えることで、Jiobitを装着した家族やペットが、Life360のモバイルアプリの地図上に他の家族と一緒に表示されるようになることを狙っている。Life360の有料ユーザー(プレミアムメンバー)は、サブスクリプションと同時にJiobitを割引価格で手に入れることができる。

Life360のCEOで共同創業者のChris Hulls(クリス・ハルス)氏は、今回の買収について次のように述べている「私たちは以前から、スマートフォンだけでなくウェアラブルデバイスにも進出したいと考えていました。Jiobitはペット、幼児、高齢者向けの市場をリードするデバイスを提供しています」。さらにハルス氏は「買収が完了すれば、Life360は家族向けのハードウェアとソフトウェアの両方の製品で市場をリードする立場となります。今後も、家庭向けデジタル・セーフティ・ブランドのリーダーとしての地位をさらに強固なものにするために、さらなる機会を模索していきます」と付け加えた。

画像クレジット:Life360

サンフランシスコに本社があるLife360のアプリは、親には好かれているものの、10代の若者には嫌われるアプリとして、長年にわたってその名を馳せてきた。とはいえ最近では、ヘリコプターペアレントに見張られてプライバシーの自由がないという10代の若者の批判に応えて、正確な居場所の代わりにおおよその位置を返せるbubbles(バブル)などの新機能を発表している。また、ハルス氏はTikTokを通じて日常的にティーンエイジャーと交流することで、巧みなマーケティング活動を展開している。

2020年末の時点で、Life360は195カ国で2600万人以上の月間アクティブユーザーを獲得したと公表している。

今回の買収は、現在両社の取締役会の承認を待っている。

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Jiobit
原文へ
(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

米Jiobitが子供はもちろんペットも追跡する小型トラッカーJiobit Nextを発表

シカゴに拠点を置くスタートアップのJiobitは、大きくて扱いにくいスマートウォッチや市場に存在する信頼できない設計の製品よりも優れたデバイスで子供の居場所を追跡することを目指している。同社は2018年にキッズトラッカーを発売した。靴ひもやベルト通し、ランドセルなどに取りつけられる小さなデバイスだ。米国時間2月8日、同社はこのデバイスの次世代版で精度、バッテリー駆動時間、信頼性などが向上したJiobit Nextを発表した。

同社は、2年間で学んだことや顧客からのフィードバックを新たなデザインの開発に活かし、子供だけでなくペットにも使えるようにしたと述べている。

Jiobitの次世代版は129.99ドル(約1万3600円)で、25セント硬貨4枚より軽い小さなデバイスだ(25セント硬貨1枚は5.67g)。Bluetooth、Wi-Fi、携帯電話回線、GPSを利用でき、加速度 / 歩数、温度、気圧のセンサーも搭載されている。

画像クレジット:Jiobit

次世代版には電波の状況が厳しい学校や店舗、高層ビルの中などでパフォーマンスを上げる新しいアンテナシステムが内蔵されていると同社は説明している。

大都市以外など携帯電話回線のサービスが弱いエリアでもサービスを向上できるように、LPWA(Low Power Wide Area)ワイヤレスネットワークも利用している。このため、Wi-FiやBluetoothのメッシュネットワーク外でもデバイスを追跡できる。

新しいJiobitは防水性能(IPX8)も最深5フィート(約1.5m)の水深で最長30分間までと強化され、デバイスの持ち主が迷子になったり危険な状況になったりしたときに家族などにすぐに通知するためのアラートボタンも備えている。このボタンはJiobitアプリで誰にアラートを送信するかを設定できる。ボタンをオフにすることもできるので、子供がまだ小さくて使い方を理解できない場合などに便利だろう。

管理者はアプリでデバイスをモニターできるほか、アラートや通知の制御も含めて新たにウェブアプリでもモニターできるようになった。これにより家族だけでなく、組織が現場にJiobitを配備する際にもサービスを利用できるようになった。

ソフトウェアベースの追跡アプリの一部で実現しているように、Jiobitのデバイスは「信頼できる場所」の機能をサポートしている。信頼できる場所とは、たとえば学校や犬の一時預かりなどのように、ある時間帯にデバイスがあるはずの場所のことだ。デバイスが信頼できる場所にない場合は「ライブモード」を有効にしてリアルタイムで動きを見ることができる。

画像クレジット:Jiobit

進化した点としてもう1つ重要なのが、バッテリー駆動時間だ。次世代版は以前の製品よりバッテリー駆動時間が50%長くなっているという。標準的な使い方では充電後に最大10日間駆動するが、スタンバイモードになっていてアクティブに使われていない場合にはさらにそれより長くもつ(このため、ペットに着けている場合などには10〜20日間動作するだろう)。

Jiobitの元のアイデアは、Motorolaのバイスプレジデントだった創業者のJohn Renaldi(ジョン・レナルディ)氏が、市場にあるキッズトラッカーの大半は証明書の鍵が平文で保存されハッキングできる状態であることに気づいて衝撃を受けたことから生まれた。同氏はもっとセキュアな製品を作りたいと考え、Motorolaのエンジニアリング担当ディレクターだった共同創業者でCTOのRoger Ady(ロジャー・アディ)氏に話を持ちかけた。

現在、Jiobitには専用のセキュリティチップが使われ、同社のサーバと通信している。AES-256の「Jiobit TrustChip」テクノロジーで、静止中と移動中の両方のデータをTLS1.2で暗号化する。また、マルウェアや「悪さをする」ソフトウェアがインストールされることを防ぐため、Jiobitが暗号化された署名をしていないソフトウェアは一切ダウンロードできない。

画像クレジット:Jiobit

一方、サービス自体は米国のCOPPA(自動オンラインプライバシー保護法)に準拠している。

新製品のJiobit Nextは米国内でのみ動作するが、第1世代の製品は146カ国で動作する。どちらの製品もサブスクリプションで今後も利用できる予定だ。ユーザーは2年契約(毎月8.99ドル、約940円)、6カ月契約(毎月12.99ドル、約1360円)、長期契約なし(毎月14.99ドル、約1570円)のいずれかのプランを選択する。他のキッズトラッカーやスマートウォッチとは異なり、携帯電話回線の契約や現在使っている携帯電話会社のSIMカードは必要ない。

JiobitはこれまでにNetgearや米国中西部のVCから1200万ドル(約12億5500万円)を調達したと述べている。これまでに販売したデバイスの台数は公表していないが、「5桁台の半ば」だという。

新しいデバイスは現在予約受付中で、2021年2月後半からJiobitのウェブサイトで、その後Amazon、Chewy、Targetで販売が開始される。従来は家族追跡アプリのLife360との協力で特別価格で提供されていた。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Jiobitトラッカー

画像クレジット:Jiobit

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)