下方修正や不適切な取引などIPOを巡る問題、JPXが異例の対応発表

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日本取引所グループ(JPX)は3月31日、新規公開(IPO)会社経営者による不適切な取引など、株主や投資者の信頼を損ないかねない事例が散見されるとして、異例とも言える対応策を発表した。

JPXが発表したのは次の3点だ。

1.新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応
経営者の不適切な取引について、上場審査を強化
上場申請会社の経営者・社外役員等に対して、不適切な取引防止のための啓発セミナーを実施

2.上場直後の業績予想の大幅な修正への対応
上場時に公表される業績予想について、前提条件やその根拠の適切な開示を要請(上場直後に業績予想の修正開示を行う場合には、それらに関する特に丁寧な説明を要求)

3.上場時期の集中への対応
上場予定時期について、東証における集計及び周知を通じて全体日程を共有し、集中緩和を要請(2014年は年間計80社のうち28社が12月に上場している)

上場から3カ月もたたずに業績予想の大幅な下方修正を発表したgumiを思い浮かべるかもしれないが、同社に限った話ではない。日本経済新聞の報道にもあるように、エナリスの不正会計やジャパンディスプレイの3度にわたる下方修正だって記憶に新しいところ。また2014年11月にはみんなのウェディングが「実体の伴わない売上が含まれていた」なんて開示をしていた。

JPXでは、あわせて日本証券業協会や日本公認会計士協会を通じて、証券会社や監査法人あてに協力の要請を行っている。その文面には以下のような文言が並んでいる。

(日本証券業協会向けに)対応の実効性の確保には、引受証券会社における適切な上場指導及び引受審査の実施を欠くことができません。貴協会では、新規公開における引受審査に際し、経営者の法令遵守に対する意識や、利益計画の策定根拠の妥当性などについて厳正な審査を行うよう引受証券会社に求めておられますので、昨今の動向を踏まえ、引き続きお取組みくださいますようお願い申し上げます。

(日本公認会計士協会向けに)新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応の実効性の確保には、とりわけ公認会計士及び監査法人における適切な監査の実施や不正リスクへの適切な対応を欠くことができません。監査の品質確保を担う自主規制機関のお立場として、監査実務の点検や実効性の確保に引き続きお取組みくださいますようお願い申し上げます。