アウトドアクッキングの人気メーカーWeberがスマートクッキングのJuneを買収、Weber会長はJuneの大ファン

アウトドアクッキング業界のリーダーであり、バーベキューコンロの人気メーカーとして名高いWeber(ウェーバー)は、2013年にMatt Van Horn(マット・バン・ホーン)氏とNikhil Bhogal(ニクヒル・ボガル)氏が設立したスマートクッキングのスタートアップJune(ジューン)を買収した。この取引の金銭的な条件は公表されていないが、JuneはWeberーStephen Products(ウェバースティーブンプロダクツ)の完全子会社として、今後もJuneブランドで事業を続け、June Ovenと関連製品の販売と開発を継続するとWeberは認めている。一方、Juneの共同創設者ニクヒル・ボガル氏は、Weber製品のテクノロジーおよびネット接続デバイス担当上級副社長の役職に就く。

Weberは以前からJuneとは協力関係にあり、Weber Connected(ウェーバー・コネクテッド)スマートグリルプラットフォームにはJuneのテクノロジーと専門知識が活かされている。ネット接続によるスマートグリルの機能をすべてのグリルに適用できるWeber Connetedスマートグリルハブ、木質ペレット式グリルSmokeFire(スモークファイヤー)シリーズに内蔵されているスマートクッキング機能などがそうだ。両社の提携関係は、2018年、Weberの創業者の息子であり、当時のWeberのCEO、現会長のJim Stephen(ジム・スティーブン)氏から突然届いた謎のメールから始まった。

「彼はファンであり、顧客であり、Juneの技術がWeberのすべての製品に力を与える未来を想像して止まないと話してきました」とバン・ホーン氏はインタビューで私に話した。「私はこう聞きました。『ちょっと待って、なんの話ですか?というか、あなたは誰?』と。すると彼は『これからそっちに向かう。月曜日には着く』というのです。いつもはデモ用の準備を整えて、チョコレートラバケーキやステーキをJune Ovenで焼いて見せているので、15分は早く現場に行かなければなりません。しかしジムはすでにオフィス前の階段に立っていて、私のためにドアを開けようと待ち構えていました。そしてこういったのです。『デモは結構。持ってるから』と」。

「彼のエネルギーと、誰よりも早く物事を見抜く才能には、度肝を抜かれました」とバン・ホーン氏は言葉をつなぐ。「そのすぐ後に、私はCEOになる予定のクリス(Weberの現CEOのChris Scherzinger[クリス・シャージンガー]氏)と会い、一緒に歴史あるWeberブランドの、正直大変な驚きの素晴らしい文化に初めて触れることができました」。

前述のとおり、JuneはWeberのパートナーとなり、2020年のCESで初披露されたネット接続クッキングプラットフォームの技術を支えている。Weberはまた、JuneのシリーズC投資ラウンドを主導した。それは今回のエグジット前の2018年にWeber主導で実施された、これまで非公開だった最後の資金調達ラウンドだ。

バン・ホーン氏は、新しい取り決めのもとでJuneの社長を務め、現行と将来の製品開発の指揮を継続することになる。

国際的な規模の、また現在展開されているグローバルな足がかりを通じた流通網によるWeberの支援力は、この創立63年の老舗企業との合併を決める大きな誘因になったと彼は話す。だがもう1つ、常に顧客を中心に考え、食べ物を愛するJuneの企業文化にWeberがどれほど相応しい場所であるかが証明された点も重要な鍵だった。

「ニクヒルと私がJuneを立ち上げたのは、いうまでもなく食べ物が大好きだからです。料理が大好きだからです」とバン・ホーン氏。「そして、私たちの製品の作り方を考える際の原則は、Apple(アップル)の原則と大きく重なっています。Juneの従業員の大半がApple(アップル)出身者です。私たちはそれを、見てのとおりの従業員60人という小さなスタートアップに凝縮しました。しかし、Weberの非常に熱心なチームと仕事ができるようになり、最初から本当にエキサイティングで、ずっと驚きの連続です」。

Weberは、技術優先の視点から調理にアプローチするというアイデアから生まれたJuneのソフトウェアと技術を手に入れた。その専門知識を、高品質の伝統と顧客の熱烈な支持を見すえつつ、Weberの製品全般に吹き込む考えだ。

「今あるソフトウェアのエンジニアリング、ネット接続を前提としたデザイン、機械知能の専門知識を吹き込むだけで、そのコアコンピタスや能力を得ることができますが、それは実に控えめな見方です」とシャージンガー氏はインタビューで私に語った。「マットはスーパースターのチームを作り上げ、私たちはそれをドラフトの第1巡で獲得したのです。それがWeberのゲームを別次元に高めます。これにより、私たちの無数の取り組みが加速され、消費者に新しい体験、新しいサービス、新しい製品を確実に届けるという意味において、Weber Connectの未来は拡大されます。それは早ければ2021年から2022年に始まります」。

前にも述べたとおり、今回の取引の詳細はWeberもJuneも公表していないが、シャージンガー氏は「マット(・バン・ホーン)と彼のチーム、彼の投資家は、みんなよくやってくれました」と話している。Juneの以前からの投資企業にはAmazon Alexa Fund、Lerer Hippeau、First Round Capital、Promus Ventures、Industry Ventures、Eclipse Venturesなど数多い。

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タグ:WeberJune買収料理

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(翻訳:金井哲夫)

Juneの第3世代のスマートオーブンが予約開始、価格は約6万3000円から

2020年はJuneが輝く時だ。ますます多くの人が家に閉じこもり、キッチンで自分の身を守ろうと(それでも失敗することもある)する中、このスマートオーブンのスタートアップにはユーザー数を大幅に拡大する確かなチャンスがある。

「家庭における調理の増加により私たちはJuneの調理プログラムを見直し、標準的な家庭用オーブンでは得られない料理の可能性を実現しました」と、CTO兼共同創業者のNikhil Bhogal(ニクヒル・ボーガル)氏はリリースで述べている。

最後のメジャーアップデートから2年後となる米国時間10月21日、Juneは第3世代オーブンの発売を発表した。聞くところによると、今回のアップデートは比較的マイナーなものだという。オーブンのハードウェアには、新しいハンドル、加熱要素の上に追加されたガードレール、より静かなファン、新しいチップセットによりワイヤレス接続も向上するなどいくつかのアップグレードがある。

画像クレジット:June Oven

機能面での最大の変更点は6個の発熱体を個別にコントロールすることで(以前のモデルではグループ制御のみが可能だった)、より均一なローストを実現している。ソフトウェアインターフェイスもアップグレードされ、内蔵AIカメラシステムは食品の場所が最適な調理のために配置されているかどうかを認識することが可能で、何百もの食品の種類を識別できる。

価格は599ドル(約6万3000円)と、依然として高価なキッチン用品だ。製品は大きくてスマートなオーブントースターだが、高温の空気で焼く、脱水する、焼くなど、さまざまな調理オプションがある。年間保証付きの799ドル(約8万4000円)のバンドルには、Juneプレミアムサービスの1年間のサブスクリプションが含まれ、999ドル(約10万5000円)のバージョンにはエアバスケット、ピザとグリルキット、追加温度計などの追加アドオンが多数含まれている。

製品の予約販売は本日から開始されるが、正確な発売日は不明だ。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter