ブラウザベースの契約書プラットフォームを提供するJuroが約26.4億円を調達

ロンドンを拠点とするリーガルテックのスタートアップ「Juro」が、ブラウザベースの契約書自動化プラットフォームのためにシリーズBで2300万ドル(約26億4000万円)を調達した。2016年の創業以来、同社の調達金額は合計で3150万ドル(約36億1600万円)となった。

シリーズBを主導したのはEight Roadsで、これまでに投資していたUnion Square Ventures、Point Nine Capital、Seedcamp、Wise(旧TransferWise)共同創業者のTaavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス)氏も参加した。

Eight RoadsのパートナーであるAlston Zecha(アルストン・ゼシャ)氏がJuroの経営陣に加わる。

Juroによれば、同社の年間経常収益は対前年比で3倍になった。今回のラウンドでの評価額は発表していないが、同社は5倍以上になったとしている。

顧客の数はついに明らかにした。Deliveroo、Cazoo、Trustpilot、TheRealRealなど約6000社がJuroのプラットフォームを利用し、顧客は85カ国以上にわたっているという。

Juroの共同創業者でCEOのRichard Mabey(リチャード・メイビー)氏は「現在、我々はユニコーンの評価額となっている20社以上のスケールアップ企業と取引をしています。こうした企業は膨大な量の契約を扱うことが多く、その状況を我々はしっかりと支援しています。しかしReach plcのような歴史のあるエンタープライズもJuroを全面的に採用することが増えているので、我々は2022年にエンタープライズの需要にさらに応えていきます」と述べた。

Juroは契約におけるWordやPDFのようなレガシーなツールの使用を破壊しようとしている。単にファイルがあちこち動き回るクラウドベースのワークフローを構築するのではなく、専用のブラウザベースの契約締結プラットフォームを提供している。

メイビー氏はTechCrunchに対し「我々は、契約には静的なファイルが必要だという考え方に挑戦しています。契約書をWordではなく専用に構築したブラウザネイティブのエディタで扱うことにより、これを実現しています」と語った。

同氏はさらに「このエディタは高度にモジュール化され、企業の技術スタックにシームレスに統合されます。2021年は25万件の契約が処理され、場合によっては魔法のようにすばらしいものです(当社のNPSは72です)」と述べた。

「開発者がGitHubを使ったりデザイナーがFigmaを使ったりして共同作業をするのと同様に、Juroでは契約書の作成から署名までブラウザで処理できます。こうした意味で、我々の主なライバルはMicrosoft Wordであると考えています」とメイビー氏はいう。

同社は今回調達した資金で米国とヨーロッパの市場を拡大し、プロダクトに投資し、今後の拡大を支える役員を迎える予定だ。

Juroのオフィスはロンドンとラトビアのリガにあり「リモートハブ」も増えていることから、すべての拠点で増員しているところだという。

メイビー氏は、マーケティング担当VPとエンジニアリング担当VPを優先的に雇用したいと述べた。

同氏は「Juroの中心である強みは契約書の作成であり、ここにさらに力を入れていきます。我々は契約専用に設計されたブラウザネイティブのエディタを備える唯一のプラットフォームです。この部分を進化させ、エディタとの統合も開発していきます(例えばCRMシステムなど)。このようにして、お客様にとっては契約書の作成、承認、検討、署名、管理が1つに統一されたエクスペリエンスとなります」。

JuroのシリーズBに関する発表の中でEight Roadsのゼシャ氏は次のようにコメントした。「Juro以前には、契約を自動化し、クライアントのワークフローとフリクションなく統合できるオールインワンのプラットフォームは存在しませんでした。Juroはヨーロッパで顕著に成長している企業の法務、営業、人事などの部門で使われており、その中にはEight Roadsのポートフォリオに含まれる企業も多くあります。顧客満足度で市場をリードし、スケールアップ企業の従業員満足度も最高レベルです。我々はリチャード、Pavel(訳注:共同創業者のPavel Kovalevich[パベル・コバレビッチ]氏)、Juroのチームと連携できることをうれしく思います」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)