空港内小売のOTGが来週からAmazonのレジなし技術を導入

今週初めAmazon(アマゾン)は「Just Walk Out」というレジなし技術を他の小売に販売すると発表した。そして米国時間3月11日、北米の空港で350店超のレストランや小売店を展開するOTGはアマゾンの技術を導入する最初の小売の1つになることを明らかにした。導入初店舗となるCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットは3月16日の週にニューアーク・リバティ空港Cターミナルにオープンする。その後、ラガーディア空港でも展開するとOTGは話している。

OTGは100店以上のCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットを北米の主要10空港で展開している。調理済みの食品、フレッシュな食品、健康・美容アイテム、ギフト、電化製品などを扱っている。買い物客はクレジットカードをスワイプしてから店内に入ることになる。

そして、買い物客が棚やラックから商品を取ると、AmazonのJust Walk Outシステムがカメラ、棚センサー、コンピュータービジョン、深層学習を使ってその行為を認識する。ピックアップされた商品は自動的に客の「ヴァーチャル・カート」に加わる。もし客が商品を棚に戻したら、カートからも取り除かれる。そして客が店を後にすると、買った商品の代金が自動的にクレジットカードに課金される。

Amazon GoとAmazon Go Groceryでは、このテクノロジーのおかげでスタッフは商品棚の補充や顧客へのあいさつ、質問対応などに専念できる。

しかしCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットでは、どちらかというと精算のスピードアップに主眼を置いている。旅行客が飛行機を乗り継ぐためにダッシュするときや、買い物する時間があまりないときなどは、かなり素早い精算が求められる。

OTGのCEOであるRick Blatstein(リック・ブラトステイン)氏によると、同社は店舗での買い物がスムーズなものになる方策を常に模索している。

「AmazonのJust Walk OutテクノロジーをOTGの空港店舗に導入することを大変誇りに思う」とブラトステイン氏は声明文で述べた。「OTGは、客に時間をとらせないよう、空港での体験を最適なものにする手段としてテクノロジーを活用している。世界で最も高度な買い物テクノロジーを我々のCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットに導入することで、客が自分の時間をコントロールできるようにする」とブラトステイン氏は話した。

OTGとの取引は、AmazonにとってAmazon Goブランド店舗の利用者ではない買い物客に、同社のテクノロジーがいかにより良い精算体験につながるかを示す好例となるだろう。言い換えれば、OTG店舗への導入は、Amazon店舗以外の小売にJust Walk Outテクノロジーを広く展開するうえで足掛かりとなる。

「ニューアーク・リバティ空港Cターミナルを利用する旅行客は来週から、スナックや水のボトル、飛行機に乗り込む前に買う旅行必需品などをさっと買えるかどうか、レジ待ちの列から推測しなくてもよくなる」と、Amazonで実在店舗とテクノロジーを担当する副社長Dilip Kumar(ディリップ・クマール)氏は声明文で述べた。「Just Walk Outテクノロジーを導入するOTGのCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットでは、旅行者は買いたい商品を手にし、列にならんで精算を待つことなく、次の行動に移れる。旅行者がこうした買い物体験を楽しむのが待ちきれない」と話した。

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参考:Amazonがレジなし店舗技術をほかの小売業者に販売開始

(翻訳:Mizoguchi

Amazonがキャッシャーレス店舗技術を他の小売業者に販売開始

Amazonは3月9日、「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」と呼ばれるキャッシャーレス店舗技術を販売すると発表した。この技術はカメラ、センサー、コンピュータービジョン、深層学習を使い、買い物客が支払いの列に並ぶことなく、そのまま店を出られるようにするものだ。現在、キャッシャーレスコンビニのAmazon Goと、シアトルに新しくオープンしたAmazon Go Grocery(食品)ストアでも、同じ技術が使われている。

Amazonの公式発表に先駆けて最初に報道したロイターは、さらにAmazonはJust Walk Outを導入したい最初の顧客と「複数の」契約を交わしたと話していることも伝えている。だが、その顧客が誰なのかは同社は明かしていない。

Amazonはまた、Just Walk Outの仕組みを解説するWebサイトもオープンし、この新事業に関する質問に答えている。

Webサイトでは、この技術には何年も前から他店舗が興味を示していたため、Just Walk Outの販売に踏み切ったと書かれている。Amazonが提供するシステムには「会計不要な買い物を可能にするために必要なあらゆる技術」が含まれるとサイトでは説明されている。つまり、同社はソフトウェア技術の他にも、カメラのハードウェアやセンサー技術も提供するということだ。価格は示されていないが、このシステムには電話と電子メールによる年中無休24時間体制のサポートが付く。

Amazonによると、システムの設置はAmazonが店舗を視察してからわずか数週間以内に完了するという。新店舗の場合は、建設段階からAmazonが参加し、店舗側と協力してJust Walk Outの設置を進めることができる。店舗改装の際にも、同じように対応できる。既存の店舗に設置する場合でも、営業への影響を最小限に抑えつつ、この技術を設置するという。

間違いのないように言っておくが、これはあくまで、客がレジに並ばずに買い物ができるようにするために店舗にその技術を販売するというものだ。その店舗をAmazon Goコンビニエンスストアのフランチャイズにすることは意図していない。

客の側からすれば、キャッシャーレスの店ではレジに並ぶ必要がないため、時間の節約になる。買い物の時間も惜しむ客が利用するコンビニや、カートに商品を山積みにした客が長い列を作る食料品店においてこのシステムは理に適ったものだ。しかし棚に商品を陳列していない、または売り場面積が非常に広い大型のデパートには向かない。

AmazonのJust Walk Outでは、客はクレジットカードを使って入店すると、Amazonのウェブサイトでは説明されている。客はアプリをインストールする必要も、Amazonのアカウントを作る必要もない。店内の客の動きをカメラが追跡し、商品が棚から取られたとき、または棚に戻されたとき、棚のセンサーがリストに記録する。客が商品を手に取ると、それが仮想カートに入れられる。店を出ると、買った品物の代金がその人のクレジットカードに請求される。紙のレシートが欲しい場合は、店内のキオスクで印刷できるとAmazonは話しているが、いずれにせよレシートは自動的にメールで送られてくる。

ただし、このシステムが結果的に店舗側の増収につながるか否かは定かではない。これによって必要経費が削減できたとしても、設置費用と管理費はかかる。当然のことながら、Amazonも店の従業員を減らすための技術として売り込みをかけているわけではない。従業員は、別の仕事に専念できるようにできるとAmazonでは話している。例えば、客をもてなしたり、質問に答えたり、商品を補充したりなどだ。こうした仕事には、通常の店舗ならすでに人が割り当てられているものだが、そうでないケースもある。とりわけ、オンライン販売のハブに移行しつつある店舗がそうだ。

こうしたシステムへの客の反応も、まだ未知数だ。Amazonの店舗はいまだに目新しい存在であり、こんな人を監視するような技術が一般化されるとしたら、または実際にそうなったとき、客は敬遠するかもしれない。

キャッシャーレスシステムを売り出している企業はAmazonだけではない。Amazonはいち早く自社店舗にこの技術を導入した先駆者ではあるが、それ以来、いくつもの技術系スタートアップが同様のシステムの販売を始めている。AiFi、Grabango、Standard Cognition、Zippinなどがそうだ。米セブンイレブンやWalmartのSam’s Clubなど、独自の自動支払い技術やキャッシャーレス技術のテストを開始する小売り店も現れている。

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(翻訳:金井哲夫)

Amazonが初のレジなし食品スーパーをシアトルに出店

米国時間2月25日、Amazonは同社初の食品スーパーを開店し、レジのない 「Just Walk Out(そのまま店を出る)」テクノロジーのパイロットテストを行う。この方式は全米の主要都市のコンビニエンスストアAmazon Go、25店舗ですでに利用されている。Amazonのお膝元シアトルに新しく開店したAmazon Go食料品ストアでは生鮮野菜、肉、魚、パン類、家庭用品、乳製品、簡単ディナー製品、ビール、ワイン、蒸留酒などが販売される。

売り場面積は約715平方メートル、店舗全体では966平方メートルで、AmazonのJust Walk Outテクノロジー導入店舗としては最も広い。

コニビニエンスストアのAmazon Goと同じく、利用者は入店時にAmazon Goアプリを使ってスキャンしたあと、普通に買い物をする。カメラとセンサーが棚から離れた商品を追跡し、利用者のバーチャルカートに追加していく。利用者が店を出ると、カートは登録済みの支払いカードを使って自動的にチェックアウトされる。

それは行列もレジもない食品スーパーだ。店員は、棚の補充やカスタマーサービスなどほかの仕事に専念できる。

このモデルは、客が商品を取ってすぐに出ていくコンビニのAmazon Goではうまく機能している。しかし食料品の販売はAmazonのレジなしテクノロジーにとって新しい挑戦だ。食料品の買い物客は概して商品を慎重に選ぶ。生鮮食品を手に取り、指で押してから棚に戻すこともある。商品を2つ手にとってラベルを見比べてから1つをカートに入れ、もう1つを棚に戻すこともある。ときには間違えた場所に戻すことも。気が変わったとき、正しい位置に戻さず別の通路に戻す客もいる。

従来の食品スーパーではこれは問題にならない。別の客が場所を間違えた商品を取ったとしても、レジで正しく計算される。しかしAmazonのテクノロジーは、商品の識別に苦労するかもしれない。

シアトル店はAVA Capital Hill(610 E. Pike Street)にある。営業時間は月曜日から木曜日は午前7時から午後11時、金、土、日曜日は午前7時から深夜0時までになっている。

通常の食料品に加えて、同店舗ではオーガニック製品や特選品も取り扱う。地元ブランドのLa Parisienne、Donut Facttory、Tony’s Coffee、Seattle Bagel Bakery、Lopez Island Creamery、Ellenos Yogurt、Uli’s Fmous Sausage、Beecher’s、Eat Local、Sri Bella、Carso’s Pasta Company、Theo Chocolateの商品も販売される。

Amazonが傘下のWhole Foodsとは別に食品スーパーを開業するという情報は2019年から出回っていた。しかし、Amazonの食品スーパー計画がレジなしAI技術を使うのかどうか、新店舗は通常の食料品店に加えてAmazonの食料品配達ビジネスのハブとしても機能するのかどうかなどはわかっていなかった。

Amazonは自社のレジなし技術をどこまでスケーリングできるかを試したいのだろう。しかし数カ月、数年のうちにあと何店舗つくりたいかはまだわかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook