クラウドキッチンスタートアップJustKitchenがカナダのTSX Venture Exchangeに上場へ

クラウドキッチンのスタートアップであるJustKitchenは米国時間4月15日木曜日の朝、トロント証券取引所(TSX)のVenture Exchangeの取引を開始する。すでに同社は3000万ドル(約33億円)の評価額で800万ドル(約8億7000万円)を調達しており、普通株式による直接上場を行う。

JustKitchenによると、これは北米で最初ではないにしても、クラウドキッチン企業として初期に上場した会社の1つとなる。同社は2020年に台湾で事業を開始し、現在はカナダで法人化され、香港、シンガポール、フィリピン、米国にも進出する計画だ。TSX Ventureは、業種によって一定のしきい値に達するとメインボードに移行できる、スタートアップを含む新興企業のためのトロント証券取引所のボードだ。

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「これは市場に参入するための非常に便利な方法で、特にゴーストキッチン業界ではアーリーステージであり、多くの滑走路があります」と、共同創業者兼CEOのJason Chen(ジェイソン・チェン)氏はTechCrunchに次のように語っている。「私達はできるだけ早く事業を開始し、市場に進出する必要性を感じていました」。

JustKitchenのIPOラウンドには、(2020年同社のアクセラレータープログラムに参加した)以前からの投資家であるSparkLabs Taipeiや、トロントの投資機関、リテール顧客などが参加した。チェン氏によると、JustKitchenの発行済み株式の半分以上は同社の役員、取締役、従業員が所有しているという。

JustKitchenがTSX Venture Exchangeへの上場を決めた理由の1つは、チェン氏がカナダの資本市場と密接な関係にあることだ。同氏は投資銀行家として勤務した後、台湾に渡ってスタートアップを立ち上げた。またJustKitchenの役員の中にも、TSX Venture ExchangeのLocal Advisory CommitteeのメンバーであるDarren Devine(ダレン・ディバイン)氏をはじめ、カナダの資本市場で活躍している人が数名いる。

これらの要因のため、JustKitchenの今回のボードへの上場は自然な選択だったと、チェン氏はTechCrunchに語った。その他の理由としては、企業が一定の基準(時価総額や純利益率など)をクリアすれば、自動的にTSXのメインボードに進めることや、他国での二重上場が容易であることなどが挙げられる。JustKitchenも、米国のOTCQBとドイツのフランクフルト証券取引所に上場する準備を進めている。

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画像クレジット:JustKitchen

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クラウドキッチンで次世代のレストランフランチャイズを作る台湾のJustKitchen

JustKitchen(ジャストキッチン)はクラウドキッチンを運営している。しかし同社は配達用の料理にのための調理施設を提供する以上のことをしている。同社は音楽や番組の代わりに、レシピやブランディングなど食をコンテンツとしてとらえており、食品フランチャイズの次の再実行を創造したいと考えている。JustKitchenは現在、台湾で「ハブアンドスポーク」モデルを展開しており、香港やシンガポールなど他の4つのアジアマーケットに、そして2022年には米国に事業を拡大する計画だ。

2020年創業のJustKitchenは現在、台湾でSmith & WollenskyやTGI Fridaysなど14のブランドに対応している。材料はまず「ハブ」キッチンで下準備される。その後、下準備されたものが最終的に組み合わされる小規模の「スポーク」に送られ、そこでUber EatsやFoodpandaといった配達パートナーにピックアップされる。運営コストを抑制するために、すばやい配達につながるようスポークは街のあちこちにある。そして各ブランドはそのエリアでどの料理の注文が最も多いかに基づいて準備する。

ライセンス契約に加えて、JustKitchenは自前のブランドも展開し、パートナーのためのR&Dも請け負っている。それを可能にするためにJustKitchenは分散型のモデルに移行している、と最高執行責任者のKenneth Wu(ケネス・ウー)氏はTechCrunchに語った。これはハブキッチンが主にR&Dに使われ、一部のスポークキッチンでの製造が他の食品販売業者や製造業者に外注されることを意味する。JustKitchenの長期的計画はスポークの運営をフランチャイズにライセンス貸しし、その一方で品質を一定に保つために注文管理ソフトウェアやコンテンツ(レシピや包装、ブランディングなど)を提供することだ。

食事やグローサリーの配達の需要は新型コロナウイルスパンデミックの間に急激に増えた調査会社Statistaによると、米国では2020年のレストランマーケットの約13%をフードデリバリーが占めた。この数字はパンデミック前の予測では9%で、2025年までに21%に増えることが予想されている。

しかしオンデマンドフードデリバリー事業は、値上げや手数料にもかかわらずマージンが少なく、運営コストが高いことで知られている。食品の下準備とピックアップを集約することで、クラウドキッチン(ゴーストキッチン、ダークキッチンとも呼ばれている)は標準化された品質を確保しながら収益を増やすようだ。驚くことではないが、この分野の企業はかなりの注目を集めてきた。こうした企業には、Uberの前CEOであるTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏のCloudKitchensKitchen United、そして最近ソフトバンクがリードしたラウンドで10億ドル(約1040億円)を調達したREEFが含まれる。

自身のフードデリバリースタートアップMilk and Eggsが2019年にGrubHubに買収されたウー氏は、JustKitchenがキッチンのインフラに加えて主に運営とコンテンツにフォーカスしていることで他社と差異化を図っていると話した。レストランや他のブランドと提携する前に、JustKitchenはテークアウトとデリバリー専用のメニューをデザインするためにミーティングを持つ。メニューが決まれば、ブランドに変わってJustKitchenが開発し、ロイヤルティーが支払われる。実在店舗1店のみを運営するレストランにとって、JustKitchenのクラウドキッチンは近隣や複数の町(あるいは、JustKitchenが海外展開を始めたら海外)に同時に事業を拡張する機会となる。オンデマンド配達時代にとってフランチャイズモデルの新たなテイクだ。

JustKitchenの配達食事の1つ(画像クレジット:JustKitchen)

各スポークキッチンは配達パートナーに渡す前に食事の最終仕上げをする。スポークキッチンはハブよりも小さく、顧客に近い。そして最終目標は高い面積比売上を出すことだ。

「一般的な定説は、どのように規模の経済、ハブでの容量、調理するセントラルキッチンを経て、顧客までの短いラストマイル配達を行えるスポークからコミュニティ各地に届けるかです」とウー氏は述べた。

JustKitchenは業界の標準配達時間を半分にすることができ、提携しているレストランは前月比40%成長している、と同社は話す。また、Uber Eatsのような配達プロバイダーが注文を整理しやすくなるようにしており、1人のドライバーが異なる住所への配達3、4件を1度にピックアップすることもできる。これはコストを削減するが、通常ファーストフード店のような取扱量の多いレストランでのみ可能だ。JustKitchenは1つのスポークで複数のブランドに対応しているため、デリバリープラットフォームは異なるブランドからの注文を扱うことができる。

提携に加え、JustKitchenは需要を予測するのにいくつかのソースからのデータ分析を使いながら自前のフードブランドを展開している。第1のソースは自前のプラットフォームで、顧客はJust Kitchenから直接注文できる。それぞれの地域における食事の好みや購買の規模を把握することができる配達パートナーからのハイレベルなデータも入手し、また人口密度、年齢層、平均年収と支出に関する情報を提供している政府やサードパーティプロバイダーからの一般的な人口統計データも使っている。JustKitchenは朝食、昼食、夕食を提供しているため、こうしたデータ分析によって、どのブランドをどの地域で、そしてどの時間帯で展開するかを計画できる。

JustKitchenはカナダで法人化されているが、人口密度とフードデリバリーの人気ゆえにまず台湾で事業を開始した。新型コロナパンデミック前、米国と欧州におけるフードデリバリー浸透率は20%以下だった。しかし台湾では30〜40%に達していた、とウー氏は話した。米国の新たなフードデリバリー需要は「ニューノーマルの一部であり、今後も続くと確信しています」と同氏は付け加えた。JustKitchenはシアトルとカリフォルニア州のいくつかの都市で立ち上げを準備していて、すでにパートナーとキッチンインフラを確保している。

「当社の最終目標はソフトウェアとコンテンツにフォーカスし、フランチャイズ事業者がすぐさま展開できるようただただちに使える状態を提供することです」とウー氏は述べた。「当社はコンテンツを持っていて、彼らはほしいものを選択できます。彼らは統合するソフトウェアとレシピを持っていて、当社は食品製造と品質管理のためのソーシングを行い、最終的に彼らは1カ所で操業します」。

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(翻訳:Mizoguchi