電子タバコのJuulが全労働力の約3分の1にあたる800〜950人の従業員を解雇か

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)の新しい報告によれば、電子タバコ大手のJuulは800〜950個のポストを削減する予定だ。この大規模な削減は、ベイエリアを本拠と同社のの全労働力の約3分の1に相当する。

レイオフの報告が各社から頻発している最中のニュースではあるが、Juulの問題は新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行の直接の結果ではないと言われている。むしろ、それらは別途進行中のより大きな問題から生じているのだ。実のところ、同社がスタッフの大幅な削減を行ったのはこれが初めてではない、昨年10月にも約650人を解雇している。

Juulはニュースの詳細については回答していないが、同社は困難の後の再構築を進めているため、いくつかの大きな変化が進行中であることを認めてはいるようだ。「現在進行中の新規巻き直しの一環として、当社は常に、業務そのものと長期的に当社を位置づけるための最善の方法を評価し続けています」と同社は声明の中で述べている。「私たちは、未成年者の利用問題と闘いながら、成人喫煙者に対する害軽減の可能性を押し進めるために、利害関係各位の信頼を獲得することに引き続き焦点を当てています」。先の報告によれば、その「評価」の一部は、どれだけの職を削減するかの計算式というかたちで示されているという。数字は、そのスタッフの25%から40%の間のどこかになるようだ。最終決定は「今後数週間のうちに」届く予定だ。

CEOのK.C. Crosthwaite(K.C.クロスウェイト)氏からのものとして、プレスに漏れたメモには以下のように書かれている。

私たちは、当社の事業と、長期的に当社を位置付ける最良の方法を評価し続けています。過去6か月の間、厳しい決断を下してきましたが、それでもなお難しい決断を迫られています。私たちが最終的な決定と詳細を発表するときには、皆さんの前でお話しすることを約束します

最近では、進行中の規制問題が同社にとって大きな障害となっており、販売面でも大きな打撃を受けている。同社は昨年、急上昇後の急激な落ち込みによって10億ドル(約1065億円)の損失を被った。

同社に対しては、追加のコメントを要求している最中だ。

画像クレジット Scott Olson / Getty Images under a license.

原文へ

(翻訳:sako)

シナモン、フルーツ、ミント味のニコチンガムでLucy Goodsは次のJuulになれるのか?

栄養食品Soylentの共同ファウンダーで、新しいニコチンガムメーカーLucy Goodsの共同ファウンダー・CEOであるDavid Renteln(デビッド・レンテルン)氏は、禁煙しようとしている人々のために、もっと美味しくて、薬っぽくない製品があるべきだと考えている。

レンテルン氏がLucy Goodsを設立し、RRE Ventures、Vice Ventures、FundRXらが既存投資家のYCombinatorとGreycroftとともに、同社の1000万ドル(約11億円)の調達ラウンドに参加したのもそれが理由だ。

「我々の考案したニコチンガムは、味と噛み心地とニコチン摂取速度を改善した」とレンテルン氏は言う。

昨今、禁煙やタバコ製品に関わるスタートアップは、Juulとの比較を避けてを通ることができない。Juulは数十億ドル(数千億円)規模のスタートアップで、ティーンエージャーによるニコチン摂取の高まりの中心にいる。

「Juulとの比較が人々の頭にまず浮かぶことはたしかだ」とレンテルン氏は語る。「しかし、ニコチン製品の間には大きな違いがあることを知っておく必要がある」

レンテルン氏は、食品医薬品局(FDA)の元長官であり、現在はベンチャーキャピタル、New Enterprise AssociatesのパートナーであるScott Gottlieb(スコット・ゴットリーブ)氏の声明を引用し、燃焼式タバコ製品とニコチンガム、ニコチンパッチとの境界線を示した。

「ニコチンはタバコ製品に関連付けられている主要な有害物質ではない」とレンテルン氏は言う。「中毒性はあるが本質的に有害ではない」

Lucy Goodsは、タバコを吸ったときのクラクラ感を再現しようとしている電子タバコとは異なり、ニコチンの放出速度が遅いとレンテルン氏。

「刺激性があり興奮を誘発するが、タバコを深く吸い込んだときほど強くはない」

会社のウェブサイトも若者向けのライフスタイルのマーケティングをイメージしたものではなく、年長の元喫煙者によるLucy Gumを宣伝する証言が載っている。

「年少者にはニコチン製品も薬物も一切使って欲しくない……。フレーバーはずっと続く」

よりよいニコチンガムを作ろうとするレンテルン氏の旅に加わったSamy Hamdouch(サミー・ハムドウチ)氏は、南カリフォルニアの複数のバイオ技術スタートアップでビジネス開発担当幹部を務め、Soylentの調査担当副社長だった人物だ。

両者にとっての目標は、社会的汚名を着せられることなく禁煙できる新製品を市場に出すことだという。

RRE VenturesのJason Black(ジェイソン・ブラック)氏は声明で「喫煙は米国における最大の予防可能な死亡原因で、毎年48万人が亡くなり、直接医療費と生産性の損失は推定3000億ドル(約33兆2700億円)に上る。Lucyは革新的なニコチン製品を市場に送り出すことによって、タバコ関連の害をなくすことに全力を注いでおり、彼らの旅に参加できることを誇りに思う」と語っている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電子タバコのJuulが未成年をターゲットして広告を出稿した疑い

米国マサチューセッツ州司法長官が起訴した裁判で、電子タバコメーカーのJuulは、Seventeen Magazine、Cartoon Network、Nickelodeon、およびNick Jr.の各ウェブサイトで、故意にティーンエージャーをターゲットした違法広告の詳細が報告されている。

同裁判でMaura Healey(マウラ・ヒーリー)司法長官は、2018年に同氏が、Juulのマーケティングおよび広告キャンペーンについて、未成年に対する違法なターゲティング の疑いがあるので捜査すると発表したことを実行した。

本日同州サフォーク郡上級裁判所に提出された訴状では、Juulが当初の計画だった成人喫煙者に焦点を絞ったマーケティングプランを捨て、若手のモデルを起用して若者向けウェブサイトで商品を宣伝し、広告キャンペーンやソーシャルネットワークで未成年をターゲットにしていたことが暴露している。

Juulはコメント要求に返信していない。

「Juulには、全米数百万人に上る電子タバコ中毒の若者に対する責任がある。これは数十年にわたる未成年によるタバコ、ニコチンの服用との戦いを無に帰すものだ」とヒーリー氏は語った。「この裁判では、同社が意図的に若者をターゲットにしていることを明るみに出し、彼らがマサチューセッツ州に対して起こした公衆衛生危機の代償を払わせるつもりだ」。

裁判の新たな陳述によると、Juulは同社の電子タバコのVaporizedを、Nickelodeon、Nick Jr.、The Cartoon Network、およびSeventeen Magazineで展開する広告キャンペーンを購入した。ほかにも、子供たちが数学や社会を学習するためのウェブサイト、coolmath-games.comsocialstudiesforkids.comなどにも広告を掲載した。

マサチューセッツ州の司法長官は、同社が使用しているソーシャルメデアのスターや有名人たちをフォローしている10代の子供たちが多数いることを指摘する。Miley Cyrus(マイリー・サイラス)氏、Cara Delevingne(カーラ・デルヴィーニュ)氏、Kristen Stewart(クリステン・スチュワート)氏、Luka Sabbat(ルカ・サバト)氏、Tavi Gevinson(タヴィ・ゲヴィンソン)氏といったスターたちのことだ。

しかも同社は、マーケティング資料を配布する際に使用するために同社が用意してた年齢検証ツールすら無視していたことを司法長官が指摘している。事実、Juulは同社の年齢検証プロセスを通っていない4万人の個人に対してマーケティング・メールを送信している。同社が集めた42万人分のメールアドレスのうち、83%は18歳以上の人物の記録と一致しなかった。

大胆にも、この会社はマサチューセッツ州ビバリー、モールデン、ブレインツリーの高校と関連のあるメールアドレスを使用しているアカウント、1万2000件以上の作成を許している。

裁判では、Juulのカスタマーサービス担当者が潜在顧客に対して、法定販売制限を回避する方法を助言した疑いも指摘している。

マサチューセッツ州では、Juulを始めとする複数の電子タバコメーカーによるマーケティング・キャンペーンや戦術の結果、高校生の50%以上が電子タバコを試したことがあり、30%が過去30日以内に電子タバコを使用したと答えている。

Juulの2018年9月~2019年8月の米国小売売上は33億ドルで、電子タバコ市場シェアの約75%を占めている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

転換社債で資金調達するスタートアップが増加した理由とJuulの場合

転換社債は今やアーリーステージのスタートアップに限られる資金調達方法ではなくなった。転換社債は借用証書の一種であり、企業が所定の金額を借り入れたこと、その負債は期日、株価などある条件で株式に転換可能であることを示す。最近、ベンチャーキャピタルから多額の投資を受けた会社が追加の資金を転換社債で調達することが増えている。

以前はスタートアップが転換社債を発行するのは創業者が会社表額を決定できないときに採用されることが多かった。まだ十分なユーザーを得ていないスタートアップがベンチャーキャピタルに対して投資と引き換えに固定したパーセンテージの株式を与えるなら、会社の持ち分の大きな部分を不当に低い金額で売却することになる可能性がある。こうした場合に適切な会社評価額を決定するまでの時間を稼ぐくために転換社債による資金借り入れが行われることがあった。

しかしこの数カ月、成長が後期の段階に達しているスタートアップが転換社債による借り入れを行う例が増えている。Wall Street Journalによれば米国の電子タバコのメーカーであるJuulが転換社債による7億ドルの借り入れを行っている。SEC(証券取引委員会)への申請書によれば、 創立9年目になるニューヨークのクリエーター向けオフィス賃貸のNeueHouseは1500万ドルの転換社債の発行を準備中だ。暗号通貨取引所のLedgerXは380万ドルをこうした借り入れによって調達したところだ。

なぜ創立後時間を経た企業が転換社債発行を好むようになったのだろうか?ごく簡単にいえば、スタートアップはいわゆる「ダウン・ラウンド」を避けようとするからだ。ダウン・ラウンドというのは前回のラウンドよりも会社評価額が下がることで、スタートアップのイメージを低下させる。

ベンチャーキャピタリストもダウン・ラウンドを嫌う。これはファンドの出資者向けの財務報告に会社評価額の減価として明記しなければならないからだ。市場はスタートアップの成長が減速していることを知るし、なによりベンチャーキャピタリストが前回のラウンドでスタートアップを買いかぶっていたと自認することになる。

転換社債はこうした傷の応急処置に便利なバンドエイドだ。スタートアップはプロダクトを修正・改良して再度成長を軌道に乗せる余裕ができる。また会社の売却先を探したり、場合によっては現在のプロダクトに見切りをつけて事業をピボットさせることもできる。

外から見たかぎり、波乱の電子タバコ業界にいるJuulには事業見直しの時間が必要と思われる。電子タバコに対する規制は急激に強まっており、カリフォルニア州のモデスト学校区、ペンシルバニア州のバックス郡など、学校区や自治体からの訴訟も多発している。資金調達もそれだけ困難さを増している。

Juulは一時は成長確実な投資先とみられ、フィリップ・モリス、クラフト、ナビスコなどの著名ブランドを持つAltriaが株式の35%を128億ドルで買ったほどだった。しかし現在は同社は予断を許さない状況に置かれている。今年1月30日にAltriaはJuulの会社評価額を120億ドルと修正し、持株の価値を41億ドルと68%減価した。

Wall Street Journalの報道によれば、7億ドルが株式に転換されるのは次回のラウンドでJuulが100億ドルから250億ドルの会社評価額を得たときに限られる。つまり100億ドル未満、あるいは250億ドルを超えた場合、7億ドルは負債のまま据え置かれる。

会社評価額が低かった場合、投資家は株式より債券を好むことはわかりやすいが高かったときも転換が行われない理由は、新しい投資家が不当に高い評価額で投資を行うことにより既存投資家の持株が希薄化されないようにするためだという。万事うまく運べば、既存の投資家は次回新しい投資家が得るよりも良い条件で株式を得ることができるわけだ。

一般論としては転換社債の発行は会社にとって良いサインだ。もし破綻確実ならどんな名目であろうと新たに資金を調達できるわけがない。しかしJuulは2018年には「市場で最も有望な企業」と見られていたのだから現在の状況はかなり深刻だ。

転換社債で資金を調達したことは、将来の見通しが不透明で株式でベンチャー資金を調達することが困難であることを意味する。株式の売却でラウンドを実施するためにはスタートアップ側は売上高、キャッシュフローなどの財務指標が予め定められた目標に達し、また所定の手元現金を保有していることも求められる。

画像:JUSTIN TALLIS/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Altriaが電子たばこJuul出資に伴う4900億円の評価損を計上

国内外の当局から厳しい調査を受けている事態を受け、世界最大のタバコメーカーであるAltria Group(アルトリア・グループ)は電子たばこメーカーのJuulへの出資で45億ドル(約4900億円)の評価損を計上することを決めた。この額は、1年足らず前にAltriaがJuulに投資した128億ドル(約1兆4000億円)のおおよそ3分の1に相当する。1年でなんという差だろうか。

米国を風靡したベーピング(電子たばこ)現象の同義語となったJuulは、従来のたばこを時代遅れのものにし、また消費者のためにニコチン消費を安全なものにした企業の中でも最先端をいっている企業とされていた。その人気が急激に高まるにつれ、Juulは問題に直面するようになった。伝えられているところによると、たばこ大手がかつて未成年をターゲットとしていたのと同じような戦略をとっていたとされている。

苦情が増えるにつれ、そして米国の未成年の間でのたばこ製品の使用の爆発的増加にJuulが関わっていたため、規制当局による調査も本格化した。最初、Juulはフレーバー付きのたばこ製品の販売を制限するよう強いられた。そしていま、フレーバー付きのたばこ製品すべての販売をやめさせられそうだ。

電子たばこに関連する疾患の患者が全米で確認され、そしていくつかの州では何人かが死亡し、Juulを取り巻く状況は一段と悪化している。実際、同社を相手取った新たな訴訟が2日前に起こされた。この訴訟では、少なくとも1人の従業員の警告にもかかわらず、Juulは汚染されたポッドをそうだと知りながら販売したとされている。

参考記事:電子たばこのJuulが大量解雇発表、同日に汚染品出荷の疑いで訴訟中との報道

最初にBuzzFeedが報じたこの訴訟は、2018年5月から2019年3月までJuulでグローバルファイナンス担当上級副社長を務めたSiddharth Breja(シダース・ブレジャ)氏が起こした。同氏は「汚染されたポッドの件を非難したために解雇された」と主張している。これについて、Juulの広報は「根拠がない」と一蹴した。

「ブレジャ氏は求められていた役割に必要なリーダーシップを発揮できなかったため2019年3月に解雇された」とJuulの広報は電子メールに書いている。Juul製品の安全性の問題に関する主張については訴えの利益がない。当社は関連する製造上の問題を調査済みであり、製品が該当するすべての仕様を満たしていると判断した」。

Altriaによる評価損計上の前には、Juulが従業員の10%にあたる500人ほどを解雇することが発表されていた。

画像クレジット:Scott Olson / Getty Images under a license.

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

電子タバコのJuulが大量解雇発表、同日に汚染品出荷の疑いで訴訟中との報道

Juul(ジュール)の元幹部は訴訟で、同社が今年初めに小売業者に出荷した約100万のポッドで、汚染された電子たばこリキッドが使用されたことを知っていたにもかかわらず、顧客に通知しなかったと主張した。BuzzFeedが最初に報道した訴訟では、2018年5月〜2019年3月までJuulのグローバルファイナンス担当上級副社長だったSiddharth Breja(シダース・ブレジャ)氏が、汚染されたポッドについて不満を示した後に自身が解雇されたと主張している。

訴訟は、Juulが約500人を解雇すると発表した日に報道された。500人は従業員の10%〜15%に相当する。CFOのTim Danaher(ティム・ダナハー)氏を含む4人の重役も同時に会社を去る。Juulを現在調査している米食品医薬品局は、同社が10代の若者をターゲットにして自社製品に関して誤解を招くような声明を出したと指摘した。

ブレジャ氏は訴訟で、小売業者に出荷された25万セットのリフィルキット(100万個のポッドに相当)に、汚染されたミントの電子たばこリキッドが使われていたことを3月12日の会議で知ったと主張した。

ブレジャ氏はまた、会社が製品のリコールや安全衛生に関する通知の発行を拒否したことについてダナハー氏が不満を表明した際、そんなことをすれば数十億ドルの売り上げを失い、当時380億ドル(約4兆円)のバリュエーションがダメージを受けるとダナハー氏が述べた、と主張している。ブレジャ氏は、その約1週間後に解雇され、それは同氏がUberの元CFOだと偽ったためだと会社から説明を受けた、と主張している。ブレジャ氏は訴訟で「会社の主張は「馬鹿げた」ものであり、Uberの1部門のCFOだったと明確に説明した」と主張した。

ブレジャ氏は訴訟で、Juulがほぼ1年前のポッドを販売しようとしたため、同氏が使用期限、賞味期限、パッケージの製造日などを記載するよう提案したとき、元CEOのKevin Burns(ケビン・バーンズ)氏が「我々の顧客の半分はバカみたいに酔っ払っているか電子たばこを吸っているかだ。だれが我々のポッドの品質に気付く?」と言ったと主張した。

Juulの広報担当者はメールで「ブレジャ氏の主張には根拠がない。同氏は求められていた役割に必要なリーダーシップを発揮できなかったため2019年3月に解雇された。Juul製品の安全性の問題に関する主張については訴えの利益がない。当社は関連する製造上の問題を調査済みであり、製品が該当するすべての仕様を満たしていると判断した。会社は断固としてこの訴訟を戦い抜く」と述べた。

TechCrunchはJuulとブレジャ氏を担当する法律事務所にコメントを求めた。ブレジャ氏の弁護士Harmeet Dhillon(ハーミート・ディロン)氏はBuzzFeedへの声明で「ブレジャ氏は社内の問題ある動きに気付き、社内でそれを報告し、株主と取締役会に対する義務を果たした。それと引き換えに、彼は不当に解雇された。彼が提起した問題が重要なのは公共の安全に関わるからだ」と述べた。

9月にJuulの筆頭株主Altriaの役員だったK.C. Crosthwaite(K.C. クロスウェイト)氏がバーンズ氏の後を引き継いでCEOに就任した。ダナハー氏の後任CFOはまだ発表されていない。

画像クレジット:EVA HAMBACH / AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

電子タバコのJUULがフルーツ味やクリーム味のポッドの販売を一時中止

JUULはフレーバー付きの電子タバコ(マンゴー、クリーム、フルーツ、キュウリ)の米国での販売を中止し、米国食品医薬品局の審査を待つ。同社は米国時間10月18日、たばことミント、メントール味のフレーバーのみを米国内で販売すると発表した。

JUULのCEOであるK.C.Crosshwaite(K.C.クロスウェイト)氏は声明で、「私たちは社会の信頼を得て、未成年者による使用を撲滅するために規制当局、政治家、株主と協力し、さらに成人喫煙者に別の選択肢を提供することで、電子タバコのカテゴリーをリセットしなければならない」と述べた。

今回の販売停止は、JUULがサンフランシスコのProposition Cへの積極的な支持を止め、米国での広告キャンペーンを中止し、フレーバーガイダンスの草案に関してFDAへのロビー活動を中止した後に決定された。

しかし、これはJUULがこれらのフレーバーの販売を将来も諦めるという意味ではない。同社は、フレーバー付き電子タバコの使用を支持する科学的証拠の発見や、未成年者による使用を撲滅するためのより厳格なルールの策定に、引き続き取り組むと述べている。なお、JUULは今でも米国外で全てのフレーバーを販売している。

今週には、子どもを亡くした両親がJUULを相手取って訴訟を起こした。この訴訟は、JUULが直面している訴訟のうちの1つにすぎない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

FDAはJuulが「法律を無視した」と非難し何らかの対応をとる可能性があると警告

FDA(米国食品医薬品局)は、電子たばこ大手のJuul(ジュール)に対して、同社がその製品ならびに10代の若者を対象にして行っている誤解を招くような主張を、非難する2通の書簡を送った。その書簡は関連する大量の質問に対して、書面による回答を要求しており、Juulに対して2週間以内の対応を迫っている。もしそれが果たされない場合には「より積極的な行動も辞さない」と規制当局は警告している。

FDAが争う具体的な内容は、Juulが自社の製品を、禁煙のための製品として位置付けていることと関係している。さて、べーピング(電子タバコの喫煙)が、スモーキング(実際のタバコの喫煙)をやめるために役立つという主張は、なんとなく明らかな気がするかもしれない。だが、ニコチンパッチや他の製品とは異なり、べーピングに伴う危険に関する包括的な文献は多くない。そして複数の人間がべーピングとの関連が疑われる肺疾患で死亡していることから、何らかの考慮がなされるべきだと思われる。

関連記事:米CDCが電子たばこの使用を控えるよう警告、関連が疑われる肺疾患が増加

「彼らは、その具体的な製品が、実際にリスクや有害性が低いことを、科学的証拠と共に実証する必要があります」とニュースリリースの中で語るのは、FDAのコミッショナーであるNed Sharpless(ネッド・シャープレス)氏だ。「Juulは法律を無視しており、非常に憂慮すべきことに、私たちの国の若者を狙って、彼らの主張を行ってきました」。

Juulは若者が頻繁に出入りしているソーシャルメディアチャンネルを直接ターゲットにしていると伝えられている。そしてシャープレス氏は「この流行に対して、Juulは何らかの対処を行うという約束をしたのにも関わらず、Juulの電子タバコ製品の消費の大きな割合が、子供たちに流れ続けているのです。こうした若者による利用が伸びた理由の一部は、Juulの製品デザインとプロモーション活動、アウトリーチ活動による直接的な結果なのです」。

「電子式ニコチン供給システム」(ENDS、electronic nicotine delivery systems)のリスクに関する最近の議会公聴会では、Juulの代表者が学生に対して、同社の製品は「紙巻きタバコよりもはるかに安全」「完全に安全」「FDAはもうすぐ、電子タバコが紙巻きタバコよりも99%安全だと発表しようとしている」と語った証拠が提出された。

関連記事:Using the same tactics as ‘Big Tobacco,’ Juul may have intentionally targeted teens

このような表現は、明らかに学生の間で、そしてネイティブアメリカンコミュニティの間でも、幅広く行われたようだ。しかし、それは気軽に口に出して良いような種類の発言ではない。禁煙製品は規制された、本質的には医療製品であり、FDAはそれを注意深く精査している。主張は文書化され、評価されなければならない。

これまでJuulは、その公式声明の中では、一線を超えないぎりぎりの場所を歩いてきたように見える。そして非常に注意深くそのメッセージを準備して人々にそのデバイスが喫煙の良い代替手段になるということを納得させようとして来た一方で、FDAの注意を引くような主張は行ってこなかった。しかし、彼らはついにその一線を乗り越えてしまったようだ。そのために彼らが避けたいと思ってきた精査を招き寄せてしまったのだ。

FDAはJuulに対して「当局は貴社に対して、Juul製品が他のタバコ製品よりもリスクが低く、有害性が低く、曝露量が少なく、また安全であることを(明示的あるいは暗示的であることを問わず)述べている声明や表現に関わる、ありとあらゆる科学的証拠およびデータを、消費者認知度調査も含めて提供するように要請する」と伝えている。

さらには、Juulに対してなぜニコチン依存症を高める可能性のある、5%というニコチン濃度を使用しているのか、そしてなぜとげとげしさを緩和し高いニコチン濃度を可能にするニコチン塩を使用しているのか、についての説明を求めている。

べーピングが原因だと思われる現在調査中の肺の問題とは独立した質問だと思われるが、FDAはまた、デバイスから生まれたエアロゾル粒子のパーティクルサイズ分析、デバイス、e液体、そして燃焼した紙巻きタバコの、薬物動態学調査に関する実験デザインとデータ、ニコチンとニコチン塩の発生の比較、ニコチンのレベル、成分量、そして発生のスペックを含むデバイスとe液体のデザインと性能が、使用を重ねるうちにどのように肺への堆積に影響するのか、そして製品への依存を引き起こす可能性があるのかなどについても報告を求めている。

言い換えるなら、なぜそのプロダクトをこのように依存的で、かつ非喫煙者にとって魅力的なものとしてデザインしたのか、そして発生した物資が肺に障害を与えると知っていたにも関わらずこのようなデザインにしたのか否かを報告せよということだ。

Juulは声明の中で、「現在書簡を精査している最中です。当局への協力は惜しみません」と述べている。

関連記事:Juulはいかにして人びとを電子タバコの煙に巻いて、380億ドルもの価値を生み出したのか

[原文へ]
(翻訳:sako)

Juulはいかにして人びとを電子タバコの煙に巻いて、380億ドルもの価値を生み出したのか

中毒性のあるプロダクトデザインの秘訣

Juulはタバコではない。それよりずっと手軽なものだ。以下に説明する悪魔的に巧みな製品デザインによって、このスタートアップは人がニコチンの虜になる障壁を大幅に引き下げた。Juulはタバコを一服する道に立ちふさがる、あらゆる障壁を解体したのだ。

その結果は、先週行われたマルボロ(タバコの銘柄)の製造者であるAltriaからの128億ドルの投資を受けて、新しい評価額が380億ドルになったことや、爆発的に広がるティーンエージャーやその他の世代の間での、電子タバコ習慣の広がりとして現れている。ゲームはゲームを知る。この場合Altriaのゲームとはニコチン中毒である。AltriaはJuulの戦術に一歩先行されたことをよく認識していたために、自身の時価総額の10分の1以上の資金を、現金でスタートアップに投資することによって、自身の地位を守ろうとしているのだ。

Juulは、人びとを明らかに危険性のある本物の喫煙習慣から、より健康的だと考えられている電子タバコへと切り替える手助けをできると主張している。しかし実際には、その小さなアルミニウム製のデバイスは、これまで何も吸っていなかった人びとが電子タバコを吸うようになることを助けている…その中にはやがて実際のタバコの喫煙を始める者も出てくるだろう。ある研究では、これを通してタバコを始める人のほうが、タバコを止める人よりも多いことが示されている。その報告によれば、2015年には2070人の喫煙成人が電子タバコのおかげで実際の喫煙を止めているが、その一方で電子タバコを使ったティーンや若者のうちの16万8000人が日常で本物のタバコ喫煙を始めたと推定している。

写真:Gabby Jones / Bloomberg via Getty Images

Juulはどれほどの速さで全国に広まったのだろうか?調査会社のNielsenによれば、昨年9月に米国電子タバコ市場の27%を占めていたJuulは、現在75%のシェアを占めていると言う。それからの1年で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は過去30日間に電子タバコを利用した高校生の割合が75パーセント増加したと言う。それは10代の中の300万人、あるいは全高校生のおよそ20%に相当する数だ。CNBCによれば、2018年のJuulの収益は約15億ドルになりそうだ。

健康への影響はさておき、Juulは生涯続く悪習慣を身に付けることを途轍もなく容易にする。親たち、規制当局、そして潜在的電子タバコ利用候補者たちは、この先Juulの誘惑を抑えたいという希望を持っているならば、なぜJuulがこれほど成功したのかを理解する必要がある。

共有可能性

初めてタバコを試すのは大変だ。熱と煙で喉が焼ける。味は不快で圧倒的だ。匂いが吸うものの指と服を覆い、喫煙者としてマークされる。タバコを無駄にしないように、丸々1本を吸い切らせる圧力を感じる。たとえ友人のタバコを試そうとしているときでも、まずは1本に火を点ける必要がある。そして、より大型の最新型の電子タバコ(温度や味をカスタマイズできる)とは違い、Juulは吸う者を間抜けな電子タバコ中毒者には見せないという特徴がある。

Juulは喉にとって普通のタバコよりもはるかに優しい。味はより穏やかで、それも様々な風味で隠すことができる。蒸気はそれほど迅速にあなたを染め上げたりしない。バーで友人のJuulを一吸いさせて貰うことも可能だし、吸い始めた後でも気にすることなくいつでも中断することができる。エレガントで分離可能な形状は、利用者をヘビーな電子タバコユーザーには見せることがない。とてもカジュアルだ。それでも、公共の場における、利用者の仕草や人びとが吐き出す「煙」は、「それって何?ちょっと試してもいい?」という質問を引き出すのには十分だ。デバイスの普及に拍車をかけたニコチン供給機を、メディアで持ち上げた、JuulのミームとInstagram Storiesについて書かれた記事も、沢山存在している。

そしておそらくとても狡猾なのは、電子タバコはより健康に見える点だ。生まれてからずっと続いている禁煙広告とタバコの害を訴えるラベルは、私たちの脳髄に危険性を深く埋め込んでいる。だが、少量の蒸気がどれほどの害をおよぼし与えうるのだろうか?まあ、蒸気中のニコチンや他の化学物質は、血管の柔軟性を損ない、動脈硬化を促し、血圧と心拍数を増し、そして肺胞マクロファージに対して有毒であることによって肺を傷つける。たとえタバコほど悪くないとしても、それでも蒸気を吸うことは危険だ。そしてそれは必ずしも人に禁煙をさせる力があるわけでははない。

ある研究によれば、電子タバコを吸い始めた喫煙者のうち、実際にタバコを1年後に止めた者はわずかに10%だった。一度もタバコを吸ったことがなかった私の友人は、今では毎日1パックのJuulを消費していると私に語る。誰かが彼に、ナイトクラブで、一服試してみるように勧めたのだ。すぐに彼は他人にJuulをねだるようになった。やがて自分でそれを買い、それから決して振り返らないままだ。彼はこれまでパーティでずっとタバコの煙に囲まれていたが、決して自分でそれに手を出すことはなかった。Juulは抵抗する力をやすやすと奪ったのだ。

隠蔽可能性

タバコに火をつける行為は、多くの場所で禁止されている目立つ行為だ。これに対してJuulからちびちびと吸い込む行為はそれほどのものではない。

紙巻タバコはしばしば室内で喫煙することを禁じられている。それを隠すのは至難の業だし、下手をすると追い出されてしまうことになる。吸い始めるためにはライターを手に持って火を扱う必要がある。それらはポケットの中で潰れたり湿ったりするかもしれない。先端が燃えているために狭い場所では手に負えないものとなり、先端の火や落ちる灰はカーペットにダメージを与え、汚してしまうかもしれない。紙巻きタバコを吸うのは、どうしても紙巻きタバコを吸いたいからだ。

公的機関は、いまだにJuulsや他の電子タバコをどう扱うべきかを決めかねている。喫煙を禁止している多くの場所は、電子タバコに対する明示的な禁止を行っていない。匂いの少ない蒸気と、あまり目立たない動きによって、それを隠すのは実際簡単である。飛行機でも、知らん顔をして試して、もし咎められても規則を知らなかったのだと言うかもしれない。金属製のスティックは壊れにくい。誰も焦がすことはない。灰皿も不要だし、上着やソファに穴をあけるようなドジを踏むこともない。

バッテリーが充電されている限り、余計な道具は不要だ。そしてライターのようなもので誰かの注意を引くこともない。バッテリーの寿命を普通の喫煙者は心配することはないが、ヘビージューラー(heavy Juuler)にとっては主要な関心事だ。だがいまやJuulをいつでも使えるようにするために大きな携帯充電器を持ち歩いている人たちがいることを私は知っている。しかし、助け合いネットワーク現象も生まれつつある。iPhoneのコードと同じように、Juulsは他のユーザーからバッテリースティックや充電器を借りることができるくらい一般的になりつつある。

そして、多くも少なくも、好きなだけ何服でもできるために、Juulを無意識のうちにいつでも使うことになる。机の前で、ダンスフロアの上で、運転しながら、そしてベッドの中でさえ。友人の姪と甥は、クラスの10代の同級生たちが、袖口に隠しながらJuulを吸うところを見たと言う。数学の授業中に本物のタバコを吸うほど厚かましい子供はいないだろうに。

配布可能性

ジレットは素晴らしいカミソリとカミソリ刃のビジネスモデルを開拓した。時々割り引かれるカミソリ本体を買う、すると高価な専用カミソリ刃を買い続けなければならない。Dollar Shave Clubは、消耗品のカミソリ刃を自宅に届けるサブスクリプションモデルを提供することで、この戦略をレベルアップした。Juulはこの両者を、物理的に中毒性のある製品と組み合わせているのだ。

タバコを一箱吸い終わったならば、喫煙を止めることができるかもしれない。何も残っていないからだ。しかしJuulの場合には電子タバコパックを吸い終わったとしても、35ドルのバッテリーパックが後に残される。先行投資を回収するためだと、パックを買い続けさせて、Juulエコシステムに利用者を留めようとする誤った考えが存在している。

写真:Scott Olson/Getty Images

タバコと比較した場合の、Juulの唯一の普及阻害要素は、まだどこにでもあるわけではないということだ。タバコを売っている店舗にも、まだ取り扱っていない場所もある。しかし、ますます多くの店がそれらを扱い始めていて、Altriaの後押しによってそれは広まって行くことだろう。そしてJuulは「自動発送」オプションを提供している。これは4パックで16ドルの商品から2ドルを割引してくれるオプションで、こうなると自分で購入することを考える必要すらなくなるのだ。止めるきっかけを得られるだろうか?まあ、パックは次々に手に入るのだから、それをただ使って行くことになるのだろう。規制によるものか、イノベーション不足なのかは知らないが、私は従来のタバコのサブスクリプション配送オプションを見つけることはできなかった。

そして、JuulsやJuulパックを違法に購入したい未成年者たちにとっては、その小さなサイズは密かに購入したり、転売したりすることを容易にする。最近放送されたサウスパークのエピソードでは、小学4年生の複数の競合するシンジケートが、Juulパックをさらに幼い子どもたちに売っていた。

恥ずべき振る舞い

Juulの共同創業者James Monseesは、San Jose Mercury Newsに対して次のように語っている「最初の段階は、その価値を証明して、タバコを時代遅れにする製品を生み出すことです」。だが、彼は決してJuulはニコチンを時代遅れにしたり、中毒者の数を減らしたいとは言っていないことに注意して欲しい。

Juulの共同創業者James Monsees

もしJuulが本当に中毒との闘いを気にかけているのなら、ニコチンから利用者を引き離すための処方を提供するだろう。だが同社は、人が止めることを助けるような、低用量あるいは無用量のパックを販売してはいない。米国では、5%と3%のニコチンバージョンしか販売していないのだ。イスラエルのような最大用量に対する法的規制のある国に対しては、1.7%のパックを製造しているが、それを米国内で販売することは拒否している。最大のタバコ会社のうちの1社から120億ドル以上を調達したことを思うと、そのミッションステートメントも虚しく響く。

Juulは死のスティックビジネスに他ならないが、AppleやFacebookが得意とするような、プロダクトデザインと口コミの力で支えられているのだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)