Aion NetworkがJava用ブロックチェーン仮想マシンを発表

Aion Networkは、ブロックチェーン技術を促進するためのツールの開発に注力しているNPOだ。米国時間の6月5日、一般的なJava Virtual Machine(JVM、Java仮想マシン)上に構築された新しい仮想マシンを発表した。最終的な目標は、デベロッパー間のブロックチェーン人気を高めることにある。

AionのCEO、Matthew Spoke氏によれば、ブロックチェーンの採用を広める際に障害となっているのは、Javaのような共通言語のデベロッパー向けツール類が欠如していることだと言う。長年使われてきたJVMの上に、ブロックチェーン専用の仮想マシンを構築することができれば、ブロックチェーンの利用をさらに推し進めることができるようになると、Aionは考えている。

Aionが発表したのは、AVM(Aion Virtual Machine)と呼ばれる、JVMの上で動作する仮想マシンだ。AVMを利用すれば、デベロッパーは使い慣れたツールセットを使って、ちょうどスマートコントラクトのような感じでブロックチェーンを使った開発が可能となる。JVMはいっさい変更する必要がない。

「JVMは変更したくなかったのです。そこで、JVMとやり取りできるある種の補助的なソフトウェアのレイヤーを作ればいいと考えたのです。ブロックチェーンには、固有のクライテリアがあります。決定性が求められ、演算処理はノードの分散ネットワーク上で実行される必要があります。しかし、JVMはこうした必要性を念頭に設計されたものではありません」と、Spoke氏は説明する。

Aionは、すでにあるものを作り直すことなく、ブロックチェーン用の仮想マシンを開発することにした。Javaが、もっとも人気のあるプログラミング言語の1つであることは十分に承知していたので、それに抗うこともしたくなかった。むしろ、その人気を利用したいと考えた。そこで、JVMの上で動作する一種のブロックチェーン用インタプリタを開発することにしたのだ。それならJVMの邪魔をすることがない。

「新しいシステムのメリットを売り込むのではなく、デベロッパーが慣れ親しんでいるシステムを、ブロックチェーンの上に持ってくることはできないだろうか、と考えました。そこで、その方向で開発を開始したのです。それから約1年間ずっと取り組んできて、こうしてリリースにまでこぎつけることができました。設定した課題を解決することができたのです」と、Spoke氏はTechCrunchに語った。

これまでのところ、Aionは仮想通貨のコミュニティに焦点を当ててきた。しかし同社は、ブロックチェーンを本当に広めるには、元来の信者の領域を超えていかなければならないと感じていた。それには、これまでブロックチェーンに真剣に取り組んだことのないデベロッパーを取り込めるようなものが必要だった。

「今私たちが注力しているのは、ブロックチェーンを利用したアプリの開発方法を、より伝統的なソフトウェア業界のデベロッパーに広く伝えることです。仮想通貨のデベロッパーの注目を得るために競うのではなく、ブロックチェーンをマイクロサービスのレイヤーのように扱えるものにしたかったのです。一般のソフトウェアデベロッパーが日々取り組んでいるようなものです」と、Spoke氏は続けた。

このようにして、ブロックチェーンのサービスにアクセスするための方法を提供することによって、それ以外の方法ではブロックチェーンに親しむことがなかったようなデベロッパーにも、ブロックチェーンのコンセプトを根付かせることができればと、Aionは考えている。これは、よりビジネス指向のユースケースにブロックチェーンを導入しようとする試みの1つに過ぎないが、Aionとしてはこれについて熟考を重ねてきた。そして、このアプローチによって、より広い分野のデベロッパーに対して、ブロックチェーンの利用を促すことができると信じている。

画像クレジット:scyther5/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)