楽天トラベル元代表が創業したCocoliveが1億円を調達、不動産会社向けMAツールでデジタルマーケを支援

不動産会社向けのマーケティングオートメーション(MA)サービス「KASIKA」を開発するCocoliveは11月1日、XTech Ventures、みずほキャピタルおよび自社の役員や従業員を引受先とした第三者割当増資により総額1億円を調達したことを明らかにした。

Cocoliveの代表取締役である山本考伸氏は楽天トラベルの元代表取締役。それ以前にもエクスペディア在籍時にプロダクト責任者として、トリップアドバイザー在籍時に代表取締役としてそれぞれの会社で日本語サービスの立ち上げに携わるなど、IT業界での事業経験が豊富な人物だ。

そんな山本氏が2017年に創業したのがCocolive。同社では不動産会社に特化したMAツールという切り口から、工務店や不動産デベロッパーをサポートする。

KASIKAのひとつの特徴が、自社のサイトを閲覧している顧客の行動履歴を基に興味の度合いを“色”で判断できること。これによって営業経験が浅い担当者でも「どの顧客に営業をすればいいのか」の判断がスピーディーにできるようになり、確度の低い不要な営業電話を削減することにも繋がる。

同サービスでは顧客ごとに自動で「顧客カルテ」が作成。そこに各顧客がいつ、どんなメールを読んだ・クリックしたのか、サイト上のどんな情報に関心を持っているのかといったデータが蓄積される。

担当者はその情報を基に顧客にあった提案をすることで、アポ数や来場数のアップが見込めるという。同社によると導入企業の営業担当者1人あたりのアポ数平均増加率は、15~25%を記録しているそうだ。

その他KASIKAでは顧客育成のためのステップメール機能やポップアップを手軽に実装できる機能などを通じて、マーケティングや営業に関する業務をサポート。ツールの提供に加えて読まれやすいメルマガの内容やデザインに関するアドバイスなども提供している。

Cocoliveでは今回の資金調達を踏まえ、KASIKAの改良を図りつつ、工務店や戸建て分譲会社、不動産仲介会社、新築分譲マンション販売会社へのサービス提供を加速させる計画だ。

なお同社は2017年5月にもエボラブルアジア、ベンチャーリパブリック、その他個人投資家から総額5100万円を調達している。

元楽天トラベル社長が次に手がけるのは、不動産の顧客分析サービス

Cocoliveは5月19日、不動産会社向け顧客分析&可視化サービス「KASIKA」の提供を開始すると発表した。

また、Cocoliveは同日、アジアを中心としたオンライン旅行事業などを手がけるエボラブルアジア、旅行比較サイト「Travel.co.jp」などを運営するベンチャーリパブリック、その他個人投資家から総額5100万円の資金調達を実施したことも併せて発表している。

Cocoliveが手がけるKASIKAは、住まいを探す顧客の潜在ニーズをリアルタイムに可視化するサービスだ。

KASIKAでは、自社Webサイトを閲覧している顧客の行動(物件検索、提案メールの開封など)を検出し、その内容をユーザーにリアルタイムでアラートする。このアラートには、顧客の情報、Webサイトの閲覧日時、メール開封日時、閲覧物件、滞在時間、顧客が希望する地域や価格帯などの情報が記載されている。

KASIKA(可視化)という名前からも分かる通り、同サービスには顧客の潜在ニーズを分かりやすい形でユーザーに届ける機能も備わっている。顧客が閲覧した物件ページ、滞在時間、流入経路などのデータに基づいて潜在ニーズを分析し、それをグラフやランキング(閲覧回数ランキングなど)を利用して可視化する。また、ページの滞在時間の長さに応じて物件情報の背景色を変化させる”ヒートマップ”のような機能もある。

KASIKAには、取得した情報をユーザーに見せるだけでなく、そこから顧客の生活パターンを予測する機能もある。顧客が物件を探すことが多い曜日、時間、デバイスなどからその人の生活パターンを予測するのだ。これにより、最適な営業タイミングをある程度把握することができるだろう。

KASIKAは既存のWebサイトにタグを埋め込むだけで簡単に導入できる。初期費用もかからない。月額利用料はユーザー(社員)1人あたり9800円だ。

Cocolive代表の山本考伸氏

今回の資金調達にあたり、Cocoliveの創業者兼代表取締役である山本考伸氏は、「この度の資金調達により、データの力で不動産会社が直面する課題を解決すべく、お客さまの活動データから本当に欲しい住まいの条件・提案を受けたいタイミングを分析するシステムの開発を加速してまいります」とコメントしている。

創業者の山本氏は、2006年にエクスペディアに入社後、プロダクト責任者として日本語サービス「expedia.co.jp」の立ち上げに関わった。その後の2008年にはトリップアドバイザーの代表取締役に就任し、同じく日本語サービスの「tripadvisor.jp」を立ち上げるなど、これまでにも新サービスの創出に多く携わっている。

その後、山本氏は2013年に楽天に入社。楽天トラベルの代表取締役を務めた後、2017年にCocoliveを創業した。

今回の調達ラウンドに参加したエボラブルアジア(山本氏は2017年4月1日付で同社の社外アドバイザーに就任している)とベンチャーリパブリックは、両社ともに旅行関連ビジネスを展開している。これまで旅行業界に深く関わってきた山本氏ならではの投資家リストだとも言えるだろう。

エボラブルアジアは出資に際するリリースの中で、「この資本参画は当社の投資事業の一環での取り組みであり、同社の今後の成長によるリターンを期待しております」とコメントしており、今回の出資は事業シナジーを狙うような戦略的な意味合いを持ったものではないようだ。