iPhoneとApple TVを使う新しい黒板「Kocri」、アプリをリリース—販売元はカヤックと業務提携

screenshot_397

 

5月に老舗黒板メーカーのサカワとカヤックが開発した“新しい黒板”「kocri」を紹介したが、そのiOSアプリが7月29日にリリースされた。App Storeで無料ダウンロードできる。価格は月額600円もしくは年額6000円。9月15日までは無料で利用できる。またこれに合わせて、両社は業務提携を発表した。これまで以上に強いタッグを組んでプロダクトの提供を進めるという。

kocriはiOSアプリ、Apple TV、プロジェクタを組み合わせることで、既存の黒板に図形などを映したりして、あたかも電子黒板のように利用できるプロダクトだ(サカワとカヤックではチョークも使えてプロジェクターや動画も使える「ハイブリッド黒板」という表現をしている)。

screenshot_358

以前にも紹介したとおりだが、政府は教育環境のIT化に向け、2019年をめどに電子黒板の導入を進めているところ。電子黒板の普及率については75.3%という数字もあるのだが、これは「学校に1台以上ある」割合。実際に全教室に設置しているというのはまだわずか4.6%と極めて少ない数字だ。

さらに、忙しい教師がその使い方をマスターしているかというとそうとも言い切れないそうで、サカワ常務取締役の坂和寿忠氏いわく、「昨年のデータになるが、6〜7割の電子黒板はうまく使い切れていないという調査結果もある」のだという。

電子黒板を手がけるメーカーにとっては補助金などもあって追い風の状況だという。しかし購入する自治体からすれば、電子黒板の価格も悩みの種となる。タッチパネル式の液晶を搭載した電子黒板となると、1台数十万円なんてモノはザラなのだ。

こういった背景もあってか、kocriは発表してすぐから想定を超える問い合わせがあったという。そこでサカワ側も「アップデートを続けて10年以上使える製品を提供したい」(坂和氏)となり、カヤックとの関係を強化。アプリも当初売り切りを予定していたが、月額課金で提供することを決めた。

今後サカワはKocriの販路拡大や教材の開発を進める。またカヤックは社内に専業チームを立ち上げて人材を募集。アプリおよびシステム開発を進める。両社は1年で2万教室への導入を目指すとしている。

老舗黒板メーカーとカヤックが生み出した新しい黒板「Kocri」はiPhoneとApple TVを利用

screenshot_360

政府が発表している「 世界最先端IT国家創造宣言工程表(2014年6月改定)」によると、教育環境のIT化に向け、2019年をめどに電子黒板の導入が進められているのだとか。

2014年6月に日本教育情報化振興会(JAPET)が発表した調査結果によると、電子黒板が学校に1台以上あるというのは全体の75.3%。それなりの普及率にも見えるが、全教室に設置しているというのはわずか4.6%(全教室に設置、全教室と特別学級への設置の合計)という数字。製品価格の高さが導入のボトルネックになっているという。

じゃあ手っ取り早く電子黒板の良さを取り入れるにはどうすればいいのか? 愛媛県にある1919年設立の老舗黒板メーカーであるサカワが出した回答は、既存の黒板と既存のガジェットを組み合わせるというものだった。同社は5月20日、カヤックとともに新しい黒板システム「Kocri」を発表した。

Kocriは画像ファイルや動画ファイルなどの教材を用意し、iPhoneに転送。その内容をApple TVにミラーリングし、さらにプロジェクターを通じて黒板に投影するという仕組みだ。まずは以下の動画をご覧頂きたい。

 

実際の授業では、アプリを通じて黒板に図形や五線譜などを投影。投影された図形に、チョークでの板書を継ぎ足すようなかたちで使っていく。投影には専用のアプリを利用。料金は5000円を想定するが、5月22日までに申し込めば無料になる。なお実際の提供は7月頃を予定している。

screenshot_358

サカワでは、カヤックとともに「みらいのこくばん」プロジェクトというものを進めてきた。その様子はTechCrunchの姉妹サイトであるEngadgetなんかでも紹介されている。Kocriはこのプロジェクトで得られた知見も数多くフィードバックされているそうだ。

現在Kocriのサイトでは前述のアプリの無料提供キャンペーンに加えて、機材一式の無料貸し出しも実施している。こちらの貸し出しも7月からスタートする予定だ。