活発な動きを見せる国内家族向けSNS–「KiDDY」運営のCompath Meが5000万円調達

最近では「Snapchat」や「Secret」「Wisper」といった匿名やクローズドなコミュニケーションサービスの話題を聞くことが多いが、日本では今、「家族」に限定したコミュニケーションサービスの動きが活発だ。TechCrunch Japanでも、ここ3カ月の間にTIMERSの「famm」やウェルスタイルの「wellnote」などを紹介している。

実はこの領域、国内の事業者に聞いてみると、海外の競合サービスとして名前が挙がるのは「23Snaps」くらい。国内では、デファクトスタンダードたる立ち位置となっているサービスはまだないようだが、各社ともに着実にユーザーを集めているという。

そんな国内のプレーヤーの1つで、家族向けSNS「KiDDY」を展開するCompath Meが5月29日、ベンチャーユナイテッドの運営するファンド「DACベンチャーユナイテッド・ファンド1号投資事業有限責任組合」を割当先とした約5000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。今回の増資をもとに開発体制の強化と海外対応の強化を図るとしている。同社はこれまでにOpen Network Lab、DGインキュベーション、アーキタイプ、BEENOS(旧ネットプライスドットコム)などから出資を受けている。

KiDDYは、夫婦や親戚で育児の記録や子どもの写真を共有できるサービス。写真はクラウド上に保管されており、安全にデータを管理できるという。毎月最大5枚までの写真を指定して、1枚のポストカードにして自動で郵送してくれる有料オプションや、最大30枚の写真を指定してアルバムを作る有料サービスなども展開している。このリアルなポストカードやアルバムの提供が現在のマネタイズポイントとなっている。

2012年12月にクローズドベータ版サービスを公開。現在は5万の家族が利用しているという。実は国外のユーザーも多いそうで、現在日本語と英語にのみ対応しているが、欧州の言語への対応ニーズなどは比較的高いという。実はポストカードの販売も海外対応しており、アルバムについても今夏には海外対応する予定だそうだ。

WAU(週間アクセスユーザー)は30%ほどで、1家族あたり1日5枚までの投稿に制限されているが、これまでに300万枚の写真がアップされている。「KiDDYはデータのストレージのハブになる。よくほかのサービスでも代用できると言われるが、実は家族に特化して、かつ簡単な操作のサービスはそうはない。KiDDYのユーザーの3割以上がFacebookもLINEも使っていないユーザーだ」(Compath Me代表取締役社長の安藤拓道氏)

海外も含めてサービスの好調ぶりを語ってくれた安藤氏だが、正直なところポストカードとアルバムの販売だけでビジネスでの大きな成長は難しいのではないだろうか。そう尋ねたところ同氏は、「ポストカードを一度でも利用してもらえば、アルバムの購入や(期間限定で展開していた)年賀状の印刷ニーズも高まる傾向にあり、ARPUで言えば数字は伸びている」と説明してくれた。
今後はポストカード以外にもオプション機能が利用できる有料プランの提供も予定しているほか、ユーザー数の拡大に合わせて広告やECなどの展開も視野に入れるとしている。