後払い決済「クラーナ」がブラウザー機能拡張を公開、支払いとクーポン利用が可能

フィンテックスタートアップKlarna(クラーナ)は、同社のモバイルアプリが提供するさまざまな機能をデスクトップPCでも使えるようにするブラウザー機能拡張を公開した。Klarnaの決済を管理する以外に、チェックアウトページに進むと自動的にクーポンコードを適用することができる。

Klarnaはこの自動クーポン機能のためにPiggy(ピギー)を買収した。Piggyが最初に作ったのは、何かを買った時にクーポンやキャッシュバックの存在を知らせるブラウザー機能拡張で、FinancerFWDが最初にこの買収を報じた。Klarnaは契約条件を公表していない。

Klaranaのこの動きは興味深い、なぜならつい最近PayPal(ペイパル)がHoney(ハニー)を買収したばかりだからだ。Honeyもチェックアウトページでクーポンコードを使うためのブラウザー機能拡張を作った会社だ。言い換えると、PalPalとKlarnaは、ショッピング用ブラウザー機能拡張を支配するための開発競争をしている。

既存のPiggyユーザーは新しいKlarna機能拡張に移行される。Klarnaのアカウントを新規作成する際、既存のPiggyのデータを移行するか、1から始めるかを選ぶことができる。現在Piggyでは70人の従業員が働いていて、買収前時点で120万人のユーザーがいた。チームはKlarnaに加わり、現在Piggyのクーポン機能を他のKlarna製品に統合する作業に取り組んでいる。

Klarnaではクーポン集約機能の他に、ユーザーはキャッシュバックやギフトカードを貯めることもできる。対象は国によって異なり、米国とドイツでは報酬をキャッシュバックの形で受け取り、英国とフランスではギフトカードを受け取る。

画像クレジット:Klarna

画像クレジット:Klarna

しかしKlarnaの新製品は、単なるHoneyライクな機能拡張ではない。Karnaの後払い決済(BNPL)を使うためにも使える(そもそもKlarnaは分割払いでよく知られている)。現在、高額の買い物の支払いを分割するためにKlarnaの機能を利用するにはいくつかの方法がある。

Klarnaボタンの付いているチェックアウトページにいる時は、Klarnaアカウントでログインして、後払いを選ぶことができる(Klarnaアカウントを使って今すぐ払うこともできる)。

Klarnaは、店舗内購入でもBNPLを使えるオプションも提供している。一部の地域では、最大30日後に支払えるカードも提供していて、オンラインでも店舗内でも使える。

しかし、元々Klarnaをサポートしていないオンラインストアで後払いしたいときはどうすればいいか?Klarnaのモバイルアプリを開いてチェックアウトページ内でワンタイムカードを作成することができる。カードは普通のVisaカードのように使えるが、分割払いでカードに請求される。

Klarnaの新しい機能拡張を使うと、ワンタイムカードをデスクトップブラウザーで作ることができる。支払いの段階でカード情報を決済画面にコピー&ペーストすればよい。

モバイルアプリとブラウザー機能拡張は同期されている。例えばデスクトップで保存した項目をモバイルアプリで追跡することができる。現在この機能拡張はGoogle ChromeとMicrosoft Edgeで利用できる。

同社はFirefoxとSafariでも機能拡張を提供する予定だ。米国、英国、ドイツ、およびフランスのユーザーが同機能拡張をダウンロードできる。他の国々にもいずれ展開する予定だ。

この新製品によって、KlarnaはB2B決済ビジネスだけでなく、消費者向け商品も作りたいことを改めて示した。PayPalはデジタルウォレット業界の明らかなリーダーだ。果たしてKlarnaがPayPalに挑んで、消費者がオンラインで支払うときの習慣になれるのだろうか、その成り行きは興味深い。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スウェーデンのフィンテックスタートアップKlarnaがドイツで銀行口座サービスを開始

フィンテックスタートアップのKlarnaが、モバイルアプリをドイツのバンキングアプリに変えようとしている。ドイツ現地の顧客はコンシューマー向け銀行口座を開設し、Visaデビットカードを取得することができる。

現在のところ、Klarnaは限られた数のユーザー向けに銀行口座を開設している。同社は今後数カ月のうちに、より広範囲に展開する予定だ。

ユーザーが利用できるのはドイツのIBANコードを持つ銀行口座で、お金を受け取り、口座振替や引き落としを設定することができる。デビットカードはGoogle PayとApple Payで動作する。月に2回の無料ATM引き出しも利用できる。

米国時間2月9日のローンチでは、Klarnaは金融におけるスーパーアプリを作りたいと考えている。Klarnaはまず、eコマースサイトの支払い方法としてスタートした。同サービスでは高価な商品を複数回に分けて支払える。マーチャントは最初の取引が発生したときに支払いを受け、Klarnaは顧客のクレジットラインを透過的に管理している。

Klarnaのモバイルアプリでは、過去の購入履歴や今後の支払いを確認できる。アプリではストアのマーケットプレイスにアクセスしたり、配送状況を確認したり、値下げ通知を設定したりもできる。

このデータだけでは、自分の財務状況を完全に把握することはできない。しかし銀行口座を追加すれば、入金から出金まですべてを完全に把握することができる。

それは、クレジットラインの新たな機会を開くことができるかもしれない。たとえば店舗で高価なものをKlarnaカードで購入した場合、3カ月間に分けて支払いをするという通知を受け取ることもできるだろう。

Klarnaはまた、貯蓄目標や貯蓄口座の追加も計画している。同スタートアップはすでにスウェーデンで貯金口座をローンチし、柔軟性のある定期貯金口座を提供している。

Klarnaは独自のコアバンキングシステムを構築しており、銀行口座の管理をBanking-as-a-Service(サービスとしての銀行)のパートナーに依存していない。ドイツではN26やVivid Moneyなどの、他のデジタル銀行と競合することになるだろう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:ドイツKlarna

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

後払い販売(Buy-Now-Pay-Later)が英国で規制対象に

政府による審査の結果、英国の金融サービス規制当局はKlarna(クラーナ)、AfterPay(アフターペイ、英国内ではClearpay)などの企業によって普及した「buy now, pay later(バイ・ナウ・ペイ・レイター、後払い販売)」業界を規制するよう指示された。

業界への聞き取りは継続中であり、その後議会の日程が合い次第「buy now, pay later」規制法案が可決される見込みだ。

これによって英国の金融行動監視機構(FCA)は、無利息のbuy now, pay later契約の規制を厳格化することを求められる。たとえば企業は融資の前に包括的な支払い能力審査を行い、顧客が公正に扱われることの確認を「特に返済に苦しむ弱者」について要求される。これまでこの業界は、クレジットカードなどの利付商品に含まれていないために規制対象から外れており、消費者は問題が起きた時に頼る術がなかった。

「多くの消費者は無利息のbuy-now-pay-laterを信用販売の一種であると認識していないため、信用販売と同レベルの監視が適用されず、サービス提供者によるチェックも企業にとってのリスクに焦点を当てたものであり顧客にとって購入可能であるかどうかの視点がありませんでした」と英国財務省は語った。

FCAのChristopher Woolard(クリストファー・ウーラード)氏による審査報告では、信用調査の問題および売買契約者間における透明性の欠如が適切に指摘されている。「通常の取引は比較的少額ですが、買い手は複数のサービス提供者と契約することが可能であり、審査結果によると、信用照会期間や主要金融機関から見えない状態で1000ポンド(約14万3000円)程度の負債が容易に生じます」と財務省は指摘する。

さらに審査結果によると、英国における後払い販売市場は27億ポンド(約3885億円)に上り、パンデミックでオンラインショッピングがブームになって以来、500万人が利用しており、その多くはすでにその他の信用販売で支払いを滞納している。

これまで小売業者が提供する無利息後払い販売は、英国の信用に基づく金融商品から消費者を守る目的の規制の対象外だった。英国の金融問題活動家であるAlice Tapper(アリス・タッパー)氏は2020年6月に「#regulateBuyNowPayLater(BuyNowPayLaterを規制せよ)」キャンペーンを開始し、これは「規制がテック巨人に追いついていない典型例」だと以前。私に話している。

「消費者信用法は1970年に制定されたもので、アルゴリズムや瞬時の融資判断を想定していません」と彼女は説明した。「これは事実上消費者保護がゼロであることを意味しています。消費者は購入あるいは広告を見た時点でリスクに関する情報を与えられていません。債務回収や責任ある支出についの言及もありません。これは、若者や脆弱な消費者など信用商品を使った経験のない人たちにとって特に深刻です」。

一方、たとえばKlarnaは規制強化に反対ではないという姿勢を貫いている。もちろん悪魔は細部に宿っていて、まだ決着はついていない。「有意義なかたちで作られた良い規制は意味をなすと思っています」とCEO・共同ファウンダーのSebastian Siemiatkowski(セバスチャン・シェミアトコフスキ)氏は2020年私に話した。「私たちはどの点についても反対ではありません、それが市場にいる全プレーヤーに公平である限り」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Klarnaイギリス

画像クレジット:FCA

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook