ウォレットアプリのKyashが49億円のシリーズD調達、累計資金調達額約128億円に

ウォレットアプリのKyashが49億円のシリーズD調達、累計資金調達額約128億円に

ウォレットアプリ「Kyash」(iOS版Android版)提供のKyashは3月17日、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資による49億円の資金調達を実施したと発表した。累計資金調達額は約128億円となった。引受先は、JPインベストメント、米Block(旧Square)、英Greyhound Capital、米Altos Ventures、Goodwater Capital、StepStone Group(旧Greenspring Associates)、香港Yitu Capital、SMBC日興証券、三井住友海上キャピタル、AGキャピタル、ジャフコ グループ、SMBCベンチャーキャピタル、W venturesのそれぞれが運営するファンド。

調達した資金により、さらなる人材採用による組織拡充を行い、事業領域の拡大・サービス運用体制を強化する。

「Kyash」アプリは、インストールすると誰でもすぐにバーチャルカード(Visa)を発行可能。銀行口座やクレジットカード、デビットカードをアプリに登録すると、Visaオンライン加盟店で買い物が行える。Apple PayやGoogle Payにも対応しており、QUICPay+加盟店の決済もサポート。「Kyash Card」、「Kyash Card Lite」を発行すると実店舗でも利用できる。カードの利用限度額上限や利用可能場所はカスタマイズに対応しており、ICチップによるサインレス決済も可能。

2015年1月設立のKyashは、「価値移動」のサービス・インフラを開発・提供するテクノロジー・カンパニー。人々のライフスタイルに寄り添いながら、人々の価値観や想いが自由に届けられる「新しいお金の文化」を創造することを目指している。

ウォレットアプリのKyashが資金移動業の登録完了、アプリ内残高を現金として払い出し可能に

ウォレットアプリ提供のKyashが資金移動業の登録完了、アプリ内の残高を現金として払い出し可能に、新機能は後日公開

ウォレットアプリ「Kyash」(iOS版Android版)提供のKyashは8月27日、「資金決済に関する法律」に基づく資金移動業の登録を完了したと発表した。登録番号は「関東財務局長第00082号」(金融庁)。

資金移動業登録により、本人確認を経たKyashのユーザーは、アプリ内の残高を現金として払い出す(出金する)ことが可能となる。同社は、提供するサービスの可能性が格段に広がるとし、新機能の詳細については、後日公開するとしている。

「Kyash」アプリは、インストールすると誰でもすぐにバーチャルカードを発行可能。クレジットカードやデビットカードをアプリに登録するか、コンビニ・銀行からチャージすると、友人や同僚への送金、Visa オンライン加盟店で買い物が行える。また「Kyash Card」を発行すると、世界中のVisa加盟店約5300万店舗での利用が可能。カードの利用限度額上限や利用可能場所はカスタマイズに対応しており、ICチップによるサインレス決済も行える。

Kyashは、「価値移動」のサービス・インフラを開発・提供するテクノロジー・カンパニーで、ウォレットアプリ「Kyash」と同期して進化した次世代のカード「Kyash Card」を提供。人々のライフスタイルに寄り添いながら、人々の価値観や想いが自由に届けられる「新しいお金の文化」を創造することを目指している。

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ウォレットアプリのKyashが約47億円調達、チャレンジャーバンクへの進化目指す

ウォレットアプリ「Kyash」や決済プラットフォーム「Kyash Direct」を展開するKyashは3月31日、シリーズCラウンドで約47億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Kyashにとっては昨年7月に実施したシリーズBに続く調達で、本ラウンドを含めた累計調達額は約74億円となる。

今回興味深いのはリード投資家を務めたGoodwater CapitalとGreenspring Associatesを筆頭に、海外投資家が多く参画していること。具体的な投資家リストは以下の通りだが、既存投資家でもあるジャフコ以外は全て海外勢となった。

  • Goodwater Capital(既存投資家 / 米国VC)
  • Greenspring Associates(米国ヘッジファンド)
  • Altos Ventures(米国VC)
  • Greyhound Capital(英国グロースキャピタルファンド)
  • Partech Partners(米国VC)
  • Broadhaven Capital Partners(米国ヘッジファンド)
  • Tekton Ventures(米国VC)
  • ジャフコ(既存投資家)
  • Rahul Mehta氏(DST Globalのマネージングパートナー)

Kyash代表取締役の鷹取真一氏によると、同社にとって今回の調達は「決済からその先を作っていく」ことを目的としたものだ。以前から鷹取氏が言及していたデジタルバンク(チャレンジャーバンク)への進化に向け、関連するライセンスの取得なども含めて体制や事業基盤を整えていくという。

新しくなった「Kyash Card」を発表

Kyashでは昨年7月のシリーズB以降、いくつかのアップデートを行ってきた。

個人向けのウォレットアプリ・Kyashでは10月より新たなインセンティブプログラム「Kyashポイント」の提供をスタートし、2020年2月からは新しくなった「Kyash Card」の申し込みも開始した。

概要発表時にも紹介した通りだが、Kyash CardではICチップを搭載して新たにサインレス決済やVisaタッチ決済にも対応。これまで以上にスムーズな決済体験を実現するとともに、1回の利用限度額(30万円)と1ヶ月の利用限度額(100万円)を従来のリアルカードから大きく拡張した。

鷹取氏いわく「(従来の)ライトなプリペイドカードから、カード事業者としてより深く決済事業に入り込んでいくフェーズに差し掛かっている」状況だ。

法人向けのKyash Directについても10月にサービスを始めた。これはKyashがウォレットアプリを通じて培ってきた決済技術を外部企業でも使えるようにする取り組みで、カード発行からプロセシング業務まで、決済に関わる一連のプロセスをAPIを通じてワンストップで提供する。

利用企業にとっては長期の開発期間と大規模な初期投資が必要とされてきた法人Visaカードを、スピーディーかつ低コストで発行できることが大きな特徴だ。この基盤を用いたサービスとして、経費精算サービスと一体となった法人プリペイドカード「Stapleカード」がすでに発行を開始している。

ペイメントからバンキングへの進化へ

鷹取氏の中ではこの2つのサービスをAmazonにおける「Amazon.comとAWS」のような関係性だと捉えていて、今後のKyashにおいても両サービスを軸に展開していく計画。ただ足元ではウォレットアプリの方が1つの大きな転換期を迎えつつあり、これから決済・送金アプリからチャレンジャーバンクへの進化に向けた動きもありそうだ。

「現時点で開示できる情報は限られるが、バンキング関連の準備が徐々に整ってきている。今までは決済および送金ができるペイメントサービスの色が強かったが、今後はそれを軸に周辺の金融サービスも含めて横断的に提供することを目指していく」(鷹取氏)

Kyashが狙っているのは、ローンの引き落としや貯蓄といったセービングアカウントではなく、日常生活での支払いなどで活用するチェッキングアカウントとしての役割だ。

海外ではこの2つが明確に分けられている場合が多いそうだが、日本では「銀行口座」として1つにまとめられている。まずは国内で利便性の高いチェッキングアカウントとして使えるように、関連する機能を準備していく計画だという。

「今でも1ヶ月、1週間で必要な金額をKyashにチャージして支払いに使っているユーザーも多く、管理のしやすさやお金の流れを見える化できる点に利便性を感じてもらえている。その体験をより口座に近い概念で提供できると、もっと便利に使ってもらえる感覚がある」(鷹取氏)

鷹取氏の言う「口座に近い概念」が実現すると何が変わるのか。たとえば、そもそもチャージしなくても使えるようになる。わかりやすく言えば、Kyash上で給料を受け取れるという話だ。

もちろん現行の日本の労働基準法では電子マネーでの給与支払いが認められていないため、法律が変わらない限りは実現できない。ただこれについては以前から議論が進んでおり、規制の見直しが期待されている分野でもある。

Kyashでは電子マネーでの給与支払いが解禁されることも見据え、解禁後に少しでも早く対応できるようにライセンスの取得や体制の強化を進めていくとのことだった。

特定のライセンスに関する言及はなかったものの、現時点で同社は資金移動業者として登録されていないため、仮に給料をアプリ上で受け取れるようになっても現金で引き出すことができない。資金移動業の取得は当然視野に入っているだろう。

デジタルバンクとして新たな市場を作るチャレンジ

Kyash代表取締役の鷹取真一氏

今回同社が新たに資金調達を実施したのは、上述したようにデジタルバンク事業を推進することが大きな目的だ。本ラウンドでは複数の海外投資家が参加しているが、投資家からは既存事業のトラクションやプロダクト基盤なども踏まえた上で「海外のデジタルバンクと今後同じ軌道を辿っていけると期待してもらえた結果、投資に繋がった」という。

「海外では『Monzo』や『N26』など自分たちより数年先を行っているプレイヤーがいるが、各社はバンキングになったタイミングで一気に評価額を上げた。(デジタルバンクは)モバイルファーストの体験によってユーザーの利便性を上げているだけでなく、顧客獲得コストや管理コスト、収益構造なども従来の金融機関とは全く異なる」

「そこに業界を変革できる可能性があることを海外の投資家はいち早く目の当たりにしている。今回のラウンドではテクノロジーカンパニーがこの市場を変えていくと本気で信じている投資家に参画してもらえたことが自分たちにとっても大きい」(鷹取氏)

実際にGoodwater CapitalやGreyhound Capitalなど、すでに海外のチャレンジャーバンクへ出資している投資家が加わっているのも興味深いポイントだ(前者はMonzo、後者はRevolutに出資済み)。

チャレンジャーバンクに関しては欧米を中心にグローバルで複数のユニコーンが存在し、競争が激しくなってきている。一方でこの領域は法規制や既存事業者の状況など地域ごとでも大きく環境が異なるため、各地でローカルのプレイヤーが生まれやすい側面もある。少なくとも今回の投資家陣は、Kyashには日本で市場を作っていけるポテンシャルがあると考えているのだろう。

とはいえ日本の競争環境もシビアだ。昨年末の「ヤフーとLINEの統合合意」や「Origamiのメルカリグループ参画」のニュースは大きな注目を集めたが、変化のスピードが早い上に、豊富な資本力によるパワープレイの要素も大きく、スタートアップが単独で生き残っていくことは簡単ではない。

その点について鷹取氏は「国内の競争環境は当然無視できないものであり、ユーザー視点でも複数の選択肢が存在することは事実」としつつも、「他社サービスに勝つ・負けるということ以上に、日本の金融市場や社会において(デジタルバンクという)新しい市場を作っていけるかが最大の挑戦だ」と話す。

「自分たちの特徴はニュートラルで中立性が高いこと。何か別で本業のミッションがあるわけではなく、『ユーザーのファイナンシャルサクセスを実現すること』に注力して事業に取り組んでいるのはユニークなポジションだと考えている。新しい道を切り開き、市場を作っていけるようなリーディングプレイヤーを目指したい」(鷹取氏)

Kyashがサインレス&タッチ決済対応の新カードを20年初頭に提供、限度額や利用場所をカスタマイズ可能に

「新しいKyash Cardはじまる」——。送金・決済アプリ「Kyash」を軸にVisa加盟店で使えるバーチャルカードやリアルカードを展開するKyashが、突如新たなカードの提供を予告したのは11月のこと。一部では新機能の予測なども飛び交っていたけれど、本日その概要が明らかになった。

Kyashは12月19日、次世代カード「Kyash Card」のデザインや仕様とともに、同カードを2020年初頭より提供することを発表した。

新カードではネイビー、シルバー、ピンクの3色を用意し、カード番号やカード名義などを裏面に配置したシンプルなデザインを採用。ICチップや非接触決済機能を搭載したVisaカードとして、表側にカード番号がないプリペイドカードは日本で初めてだという。

機能面の主な特徴は以下の通りだ。

  • サインレスでスムーズな支払い体験
  •  ICチップ搭載でVisaタッチ決済も可能
  • リアルタイムに利用履歴を反映
  • 利用限度額をユーザー自身が設定可能、利用場所も「オン/オフ設定」でカスタマイズ(海外利用可能)
  • スマホ上でカードロック可能
  • 割り勘・送金をスマホで完結

上述したようにKyash CardではICチップを搭載しているため、新たにサインレス決済やVisaタッチ決済にも対応。これまで以上にスムーズな決済体験を実現する。

大きな変更点として、ユーザーの本人確認が必要になる代わりに24時間あたりの決済上限額(5万円→30万円)と月あたりの決済上限額(12万円→100万円)が大幅に上がり、国内だけでなく海外でも利用できるようになった。利用限度額や利用場所はアプリ上でカスタマイズできるため、従来のリアルカードに比べてさらに自由度が高くなったと言えるだろう。

リアルタイムに利用履歴が反映されることで利用後の残高や明細をすぐにチェックできる点や、アプリ上で割り勘や送金がサクッと完結する点はリアルカードと同様だ。利便性だけでなく、カードロックなどのセキュリティ機能も備える。

なお現在のリアルカードは「Kyash Card Lite」として引き続き提供する計画。今後はバーチャルカードも含めて3種類のカードを展開していく形となる。

3種類のカードの仕様。「Kyash Card」と「Kyash Card Lite」に関してはそれぞれ発行手数料が必要になる

決済の未来を作るためのアップデート

Kyash代表取締役の鷹取真一氏は今回新たにKyash Cardをリリースすることについて「決済の未来を自分たちの手で作っていくこと」が大きなテーマになっているという。

「国内ではQRコード決済に対応するお店が少しずつ増え盛り上がりつつあるものの、その一方でグローバルの潮流を見るとVisaのお店で使えるタイプのサービスが圧倒的な指示を集めてきている。自分たちも(Visa加盟店で使えるというのを1つの特徴として)これまで本人確認なしでライトに使えるカードを展開してきたが、今後はKyash Cardに色々な機能を乗せて、よりスムーズで心地いい決済体験を提供していく」(鷹取氏)

Kyashではサービスに触れてもらうハードルをどこまで低くできるかを考え、これまではKYC(本人確認)にしても、カード取得の体験にしてもなるべく少ない情報で済むような設計にしてきた。ただ、ある程度の支持を集められたら本人確認を取り入れて機能を拡充させていくことは以前から想定していたそうだ。

7月の資金調達時にも少し言及があったが、Kyashは決済事業者という域を超えてバンキングサービスをモバイルアプリ上で展開する「チャレンジャーバンク」の構想を掲げている。本人確認の採用についても「本人確認が必要となる各種金融サービスや金融行為にアクセスしていくための土壌を作るという側面があるのは事実」(鷹取氏)とのことで、Kyash上に今後新たな金融サービスを乗せていくことも踏まえたアップデートだと言えるだろう。

また高額な利用や幅広い利用が制限されるといった、本人確認をしないことによる“制約”を取っ払う意図も大きい。鷹取氏の話ではクレジットカードと紐付けてKyashを使っているユーザーが多いため、Kyashの方が先に上限金額に達してしまいそれ以上使えなくなるという現象が起き始めていたそう。

Kyash Cardではそこを大幅に拡張することによって、スピーディーにお金を動かしたり、お金の動きを確認したりできるというKyashの特徴をさらに広い範囲へ届けていきたいという。

「既存のカードの仕組みでは『今、いくら使っているのかが本当にわからない』という点に対して、Kyashではお金の流れを見える化して利用状況をリアルタイムで把握できる仕組みを作ってきた。実際にそこが好評で利用に繋がっているケースが多い。キャッシュレスの時代において『お財布に近い体験』を実現するには、お金の状況を透明化していくことが重要。単なるデータ連携ではなく、直感的に把握できるような仕組みも今後取り入れながら、より心地いい体験を実現していきたい」(鷹取氏)

経費サービス一体型法人プリペイドカード「Staple」カードとは?

クラウドキャストは10月4日、Visa加盟店で利用できる経費精算サービスが付帯した法人向けプリペイドカード「Staple」(ステイプル)カードを発表した。11月15日より申し込みを受け付ける。

Stapleカードは、企業の経理担当者によるリアルタイムチャージが可能な法人向けプリペイドカード。ほとんどのVisa加盟店で、交通費や会議費、接待費、出張旅費、そしてネットの支払いに使える。支払い履歴を基にした経費レポートの作成、利用ロック、チャージリクエストなどの機能も備える。

詳細は随時追記する。

ウォレットアプリの「Kyash」が約15億円調達、3大メガバンクと米VCが投資

左からKyash代表取締役の鷹取真一氏、CTOの椎野孝弘氏

Kyashは7月3日、サンフランシスコに本社を置くGoodwater Capitalならびに三菱UFJキャピタルをリードとするシリーズBラウンドにおいて約15億円の資金調達を実施したと明かした。同ラウンドには凸版印刷、ジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタルも参加している。

Kyashは2016年12月に発表されたシリーズAでは約10億円を調達しており、累積資金調達額は約28億円となった。

Kyashは2017年4月にウォレットアプリの「Kyash」をリリース。今年の4月には法人向けの決済プラットフォーム「Kyash Direct」を提供開始し、決済技術を他社へ開放した。

今回のラウンドに三菱UFJキャピタルがラウンドに参加したことにより、Kyashの投資家勢に3メガバンクが揃うかたちとなった。Kyashはこれまでに三井住友銀行ならびにみずほキャピタルからの出資を受けている。

FacebookやTwitter、Spotifyなどに投資を実施してきたGoodwater CapitalのマネージングパートナーであるEric J. Kim氏は「Kyashは、従来の銀行が提供しているサービスをより合理的な方法で提供することができ、世界中で急拡大しているチャレンジャーバンクの類型に属している。プロダクトのリリースからわずか2年足らずで、決済領域におけるテクノロジーカンパニーのリーダーとして『価値移動のインフラ』を創りあげ、Visaからカード発行ライセンスを取得するまでにいたったKyashのさらなる成長を期待している」とコメント。

TechCrunch Japanでは、今回の調達に関してKyash代表取締役の鷹取真一氏に話を聞いた。

今回のラウンドには米のGoodwater Capitalが参加しているが?

鷹取氏「日本には巨大な小売市場があるけれど、キャッシュレス比率が諸外国と比べて圧倒的に低い。すなわち、ポテンシャルがまだまだある。日本では10月から政府がキャッシュレス還元を支援したり、来年にはオリンピックが開催される。更に、政府はキャッシュレスビジョンの中でキャッシュレス比率を40パーセントまで高めるという明確なコミットをしており、この大きな市場を魅力に感じる海外の投資家が増えてきている。とはいえ、日本の決済市場はかなりの飽和状態であり、『興味はある』という方は多くいるが、本当に出資にいたったのは今回のケースが初。Goodwater CapitalはFacebookやTwitter、Spotifyなど世界でも有名な企業の投資実績があり、これからの銀行になっていくような事業者に、グローバルに出資をしている。日本の中で可能性がありそうな事業者ということで、お話をいただき、ご縁にいたった。そしてKyashとしては、国内だけではなく、中長期としては海外も当然見ている」

日本の決済市場におけるKyashのポジションは?

鷹取氏「端的な答えとしては、金融領域のインフラを作っているというところ。KyashでもKyashというウォレットを出しているが、他の事業者もウォレットや自社のサービスとしてエンドユーザーに届けるところは色々とやっている。そのような中で、Kyashの強みは、プロセシングや送金などの仕組みのテクノロジーを他社に解放しているところ。プラットフォーム化をして、自社のサービスだけではなく他のサービスもそこに乗って収益化ができるような場を提供していく。そういう事業者であるという部分が他社との大きな違いだ」

日本のキャッシュレス化の現状をどう見ているか?

鷹取氏「僕の中で、『キャッシュレス1.0』が、ポイントばら撒きやインセンティブにより、まずは『経済的な便利』で使い始めてもらうというステージ。『キャッシュレス2.0』では、本当の意味での金融機能が価値を発揮してくる。支払いサイクルや受け取りのサイクルが短くなるなど、金融機能がより強化されることにより生まれる付加価値に、より強力なユーザーがユーザーが付いてくると思っている。現在はかなりの飽和状態で、ポイントや還元の話が盛り上がっている。だが、僕たちはその先を見ており、給料や報酬が即座に受け取れるとか、1ヵ月後にしか払われなかったものが1〜2週間で払われるとか、金融機能を強化していくことによって、人々がよりお金にアクセスしやすくなる仕組みを作っていきたい」

調達した資金をもとにKyashは開発体制強化のための人材を確保する。鷹取氏は「決済事業者という域を超えて、バンキング領域やそういうところに入っていく。新しいライセンスの取得やセキュリティーに対する投資を強めていきたい」と話していた。

Kyashが決済技術を他社へ開放、法人向けプラットフォーム「Kyash Direct」を提供開始

ウォレットアプリ「Kyash(キャッシュ)」を提供するKyashは4月25日、法人向けの決済プラットフォーム「Kyash Direct(キャッシュダイレクト)」の提供を開始した。同時にVisaとのパートナーシップを強化し、「Fintechファストトラックプログラム」契約を締結したことも明らかにしている。

Visaとの提携強化でカード発行ライセンスを取得

TechCrunch Japanでも何度となく紹介してきたが、2017年4月にリリースされたKyashは、個人間で送金・請求が無料でできるウォレットアプリ。アプリ内で発行されるバーチャルカード「Kyash Visaカード」に、チャージしたり受け取ったりしたお金が貯まり、Visaオンライン加盟店での決済などに使える仕組みだ。2018年6月にはリアルカードも発行できるようになり、実店舗でも利用が可能となった。またGoogle Payにも対応したことで、QUICPay対応店舗でも支払いに使える。

これまでKyashはバーチャル/リアルのVisaカードを、国内カード会社との提携により発行してきた。今回KyashはVisaとのパートナーシップを強化し、Visaがフィンテック企業やスタートアップ企業支援のために設立したFintechファストトラックプログラムの契約を締結。Visaプリペイドカードの発行ライセンスを取得し、自社単独でのカード発行が可能となった。

通常、企業が自社ブランドでVisaカードの発行を行うには、ライセンスを持つ銀行やカード会社と提携する必要があり、Visa加盟店との決済処理を行うシステム事業者とも契約が必要だ。このためサービス提供までには年単位の期間と、高い初期費用がかかるのが一般的だ。

Kyashは発行ライセンス取得により、カード発行から決済処理(プロセンシング業務)までの一連のプロセスを、ワンストップで他の事業会社に提供することが可能になった。そこで決済プラットフォームとして、Kyash Directの提供をスタート。従来より早く、低コストで企業がカード発行〜決済の仕組みを導入可能になるという。

Kyash代表取締役の鷹取真一氏は「ウォレットアプリが大きく規模を伸ばしていることに加えて、新サービスであるKyash DirectにもVisaから期待を寄せられており、発行ライセンスの取得につながりました」と話す。

個人向けウォレット技術を決済プラットフォームへ投入

Kyash Directを使えば、企業はこれまでKyashがウォレットアプリで提供してきたVisaプリペイドカードの仕組みを、自社のサービスに組み入れることができる。オリジナルブランドのバーチャルVisaカードが発行でき、リアルカードの発行にも対応できるそうだ。

APIにより、企業の銀行預金や売上金などの金融資産を連携し、国内外のVisa加盟店での決済が可能。QUICPayでの非接触決済への対応も予定しており、スマホ決済手段も提供していく構えだ。

利用シーンとしては、クラウドサービスを運営するスタートアップ企業が顧客向けの独自カードを発行する場合や、ユーザーの保有する仮想通貨やポイントを日本円に転換した後、Visa加盟店で利用できるようにするといった例、サービス内の売上金や報酬を即時にVisa加盟店で決済できる、バーチャルVisaカードの発行などが想定されている。

鷹取氏は「各社から『うちのサービス内でもKyashのように決済できるようにしたい』という相談は、数多くありました」と述べている。確かにメルペイのように、自社アプリを通してユーザーが得た売上やポイントを外部サービスや店舗で使える仕組みを持ちたいが、独自にスクラッチでシステムを構築できるわけではない、という事業者は多いことだろう。

2015年の創業時から、KyashではVisa加盟店での決済処理を行うプロセシングシステムを独自で構築してきた。ウォレットアプリでは、決済時の残高不足額を登録クレジットカードや銀行口座から即時充当する技術を使っている。同社は「独自システムにより、決済フローを柔軟に設計することができ、送金や決済などの取引データをリアルタイムに取得することも可能だ」とする。

また国際的なクレジットカード業界のセキュリティ基準「PCI-DSS」や個人情報認証基準「TRUSTe」にも完全準拠し、クラウドベースで金融機関と同等のセキュリティ水準を確保しているという。

Kyashの最高技術責任者で、Kyash Direct事業を率いる椎野孝弘氏は「PCI-DSSの基準をクリアするには、大変高レベルなガイドラインへの対応が求められます。KyashではクラウドコンピューティングのAmazon Web Service(AWS)を利用していますが、AWSが提供する対応マニュアルに沿って準拠を進めました」と話す。今後、資金移動業者として財務省への登録も行う予定で「リファレンスアーキテクチャの策定などで、まさに今苦労しているところ」ということだった。

鷹取氏は「ウォレットアプリのKyashでは、2018年11月に一度、非常に多くの取引が集中したために、決済障害が起きたことがあります。それを機に、障害が起こらないようシステムのアップグレードを行い、Visaからのお墨付きも得ることができました。洗礼を受けたことで、より強固で、安心して他社へも提供できる仕組みとなっています」と話している。

「Kyash Directを通じて、自社が持つ決済テクノロジーとアセットを企業へ開放する」というKyash。鷹取氏は「我々が決済プラットフォームとしてKyashの仕組みを提供することで、国内のキャッシュレス推進に大きな役割を果たせると考えています」と語る。2019年初夏には、実際に他社サービスへ展開される見通しだ。

ウォレットアプリの「Kyash」がリアルカードを発行、Visa加盟店舗で利用可能に

個人間で送金や請求ができるウォレットアプリ「Kyash」を提供するKyashは6月7日、全国のVisa加盟店で利用できるリアルカードの発行を開始した。

2017年4月に個人間で送金や請求が無料でできるアプリとしてスタートしたKyash。受け取ったお金はアプリ内で発行されるバーチャルカード「Kyash Visaカード」に貯まり、オンラインVisa加盟店での決済時や、モバイルSuicaにチャージすることでコンビニや交通機関などで利用できた。

そして今回のリアルカードの発行によりコンビニやスーパー、飲食店といった実店舗での決済時にもKyashを使えるようになる。以前TechCrunchでも紹介した通り、Kyashでは実店舗での決済対応を見据えて2018年3月にUIを刷新。5月にはGoogle Payに対応し、今夏以降は国内のQUICPay対応店舗で支払いができるようになることも発表したばかりだ。

また決済時にインセンティブを提供するプログラムも開始。決済金額の2%を翌月にKyashの残高としてキャッシュバックし、そのまま送金や決済に利用できるようにする。これはリアルカードの決済だけでなく、アプリ内で発行されたバーチャルカードでの決済も対象だ。

Kyashではウォレットアプリとしての使いやすさ向上を目指し、今後も機能追加や外部連携を進める方針。「キャッシュレス社会の実現に貢献するべく、サービスの拡大に努めてまいります」としている。

ウォレットアプリの「Kyash」がリアルカードを発行、Visa加盟店舗で利用可能に

個人間で送金や請求ができるウォレットアプリ「Kyash」を提供するKyashは6月7日、全国のVisa加盟店で利用できるリアルカードの発行を開始した。

2017年4月に個人間で送金や請求が無料でできるアプリとしてスタートしたKyash。受け取ったお金はアプリ内で発行されるバーチャルカード「Kyash Visaカード」に貯まり、オンラインVisa加盟店での決済時や、モバイルSuicaにチャージすることでコンビニや交通機関などで利用できた。

そして今回のリアルカードの発行によりコンビニやスーパー、飲食店といった実店舗での決済時にもKyashを使えるようになる。以前TechCrunchでも紹介した通り、Kyashでは実店舗での決済対応を見据えて2018年3月にUIを刷新。5月にはGoogle Payに対応し、今夏以降は国内のQUICPay対応店舗で支払いができるようになることも発表したばかりだ。

また決済時にインセンティブを提供するプログラムも開始。決済金額の2%を翌月にKyashの残高としてキャッシュバックし、そのまま送金や決済に利用できるようにする。これはリアルカードの決済だけでなく、アプリ内で発行されたバーチャルカードでの決済も対象だ。

Kyashではウォレットアプリとしての使いやすさ向上を目指し、今後も機能追加や外部連携を進める方針。「キャッシュレス社会の実現に貢献するべく、サービスの拡大に努めてまいります」としている。

Google PayがSuica、WAONに対応。今夏以降にはウォレットアプリ「Kyash」での店頭支払いも

eng-logo-2015Googleは5月24日、同社のモバイル決済サービス「Google Pay」において、SuicaとWAONが利用可能になったと発表しました。これまでに対応していた楽天Edy、nanacoとあわせ、4つの電子マネーサービスに対応となります。

Android端末上ではすでに「おサイフケータイ」がありますが、各電子マネーに対応したアプリをインストールする必要があるおサイフケータイと違い、Google Payでは1つのアプリ内で各電子マネーサービスを利用できるのが大きな違いです。

また、Google Payに登録しているクレジットカードを使い、アプリ内で各電子マネーにチャージを行うことも可能。対応したアプリ・WEBサイトでは、Googleアカウントに紐づけたクレジットカードでオンライン決済も行えます。

なお、モバイルSuicaで利用できる特急券の購入などはGoogle Pay上からは行えませんが、購入したデータはGoogle Pay上でも確認できるとのことです。

このほか、今夏以降には、Kyash、JACCS、JCBの発行するクレジットカード、プリペイドカード、デビットカードを使い店舗支払いも可能になるとしています。

ただし、日本国内でGoogle Payの電子マネーサービスを利用できるのは、おサイフケータイに対応したAndroid 5.0以降の端末のみ。残念ながら、おサイフケータイに非対応の端末では利用できません。

複数のアプリを使い分ける必要がなく、オンライン決済で利用できるのは強みですが、おサイフケータイとの明確な違いが見えてこないのも事実です。

これからGoogle Payなりの独自性を発揮してくるのか、このままおサイフケータイと共存することになるのか、今後の対応にも注目したいところです。

Engadget 日本版からの転載。

 

個人間送金アプリ「Kyash」が実店舗での決済対応を見込み、UIをリニューアル

個人間送金アプリ「Kyash」を提供するKyashは3月5日、決済もまとめて行えるウォレットアプリとしての機能強化を目指してアプリのUIリニューアルを行い、公開した。新UIでは、初期画面にチャージや買い物、送金、請求の各機能がまとめられた。

Kyashは個人間で送金や請求が無料でできるアプリとして、2017年4月にiOS版が公開された(Android版は同年7月にリリース)。アプリを介して受け取ったお金は、アプリ内のバーチャルなクレジットカード「Kyash Visaカード」に貯めることが可能。また、クレジットカードおよびコンビニや銀行ATM、オンラインバンキング経由で、Kyash Visaカードへのチャージができる。

カードに貯まったお金は、国内外のVisaが使えるネットショップで決済に利用できるほか、モバイルSuicaにチャージしてコンビニや交通機関などで使用できる。ただし、現時点ではモバイルSuicaを使う以外に、実店舗での買い物に利用することはできない。

同社では「今春以降、実店舗での支払いへの対応を予定している」と述べており、「今回のUIリニューアルは、買い物もまとめてKyashアプリで完結するウォレットアプリとしての進化を目指したもの」としている。チャージ方法についても、現在の手段以外に、仮想通貨や各種ポイントなどからのチャージを可能にすべく、多様化を検討しているという。

個人間送金に使えるアプリとしては、LINEの「LINE Pay」やヤフーの「Yahoo! ウォレット」、割り勘での利用を想定したAnyPayの「Paymo」などがあるが、このうちLINE PayとPaymoではQRコード・バーコードを利用した、実店舗での決済が既に可能となっている。

個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版を提供開始─残高を買い物で使うことも可能

スマホによる送金・決済システムを開発するスタートアップKyash(キャッシュ)は4月5日、個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版の提供を開始した。

Kyashアプリでは、割り勘の精算や贈り物の共同購入など、個人間のお金のやり取りを手数料無料で、キャッシュレスで行うことができる。SNSや電話帳でつながるユーザーなら、相手がアプリを持っていない場合でも、送金・請求のメッセージを送信でき、アプリのインストール後にお金のやり取りが可能だ。

Kyash社は、2016年12月にシリーズAで10億円超の資金調達を実施。同時にKyashアプリのベータ版サービスを開始していた。その後、資金決済法上の第三者型前払式支払手段の発行事業者として2017年1月に金融庁から承認を受け、今回の正式版の一般公開に至った。前払式支払手段の承認事業者から提供される個人間無料送金アプリは、Kyashが国内初となるという。

この点は、同じく4月5日に「アプリなし支払い」機能を追加した「paymo」とは立ち位置が異なるところだ(paymoを提供するAnyPayは、収納代行サービスとしてのスタンスを取っている)。Kyashアプリは、法的にはSuicaやPASMOなどと同じ枠組みでプリペイド型のカードに近い。前払式支払手段を枠組みとすることで、本人確認の手続きを省略でき、アプリのインストールからすぐに使い始めることができるのもKyashのメリットとなっている。

一方でSuicaと同様プリペイド型なので、別のクレジットカードからのチャージや送金で得たお金を現金として引き出すことはできない。その代わりに受け取った残高を、VISAカードの使える店舗などで支払いに利用することが可能だ。Kyash社は「現金化ができることより、キャッシュレスで、スマホで人や店とのお金のやり取りを完結させたいと考えている」としている。

なお現状での支払いは、オンラインショップなどインターネット決済での利用に限定されている。Kyash社は「iDやApple Payなど、非接触型の電子マネー決済への対応に向け、事業者との話も具体的に進めており、今年夏ごろには実店舗でも利用できるよう目指したい」という。

また、現在はiOS版のみ提供されているKyashアプリだが、Kyash社では「学生など、iOSの利用率が高い若年層に向けてiOS版を先に提供開始したが、近いうちにAndroid版も提供を予定している」とコメントしている。

Kyash社では今後、2020年までにサービスの国内利用者1000万人を目指すとしており、事業・資本提携企業をはじめとする事業者との連携や施策展開を予定している。またKyash社からは「完全に独自でシステムを開発していることから、汎用性の高い通貨の送金を安く実現したい。単なる決済ゲートウェイではなく、新しい通貨プラットフォームを目指している」ともコメントがあり、海外への送金を安く提供するなどの海外展開も視野に入れているそうだ。