レンタカーを顧客の元まで届けるKyteが保有車両を1万台まで増やすことを計画中

レンタカーを顧客の元まで届けるビジネスを起こしたスタートアップ企業のKyte(カイト)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)とAres Global Management(アレス・グローバル・マネジメント)から2億ドル(約244億円)の資産担保金融を調達した。この資金は事業拡大に向けて新たな車両の購入費に充てられる。

Kyteは現在、米国内の13の市場で事業を行っており、今週にはオレゴン州ポートランドで営業開始を予定している。同社は今後1年間で保有車両を約1万台まで増やす計画だという。現在のところ、Kyteの保有車両に、電気自動車や先進運転支援システム(ADAS)を搭載した車両が(もしあったとしても)占める割合はそれほど高くないものの、同社は将来的に、顧客にこのような車両を優先的に提供したいと考えている。

「私たちにとって核となる原動力は、常にユーザーエクスペリエンスです」と、Kyteの共同創業者であるLudwig Schoenack(ラディック・シェーナック)氏は、TechCrunchにメールで語った。「ADAS機能そして最終的には完全な自動運転は、私たちが道路を移動する方法に大規模な変化をもたらすでしょう。【略】そして、センサーや認識技術を搭載したクルマは、たまにしか乗らない人にとって自分で所有するには高価になり過ぎるため、郊外へ出掛ける移動手段としては、Kyteが一番の選択肢となるでしょう。そういうクルマは、自分で所有する代わりにレンタカー会社が導入するようになると、私たちは確信しています。それが、Kyteが目指している未来です」。

2021年10月、Kyteは3000万ドル(約36億5000万円)のシリーズA資金を調達した際に、同社の長期的な目標は、遠隔操作や自動運転システムでクルマを配送できるプラットフォームを構築することだと述べていた。だが、それにはまず、今のビジネスモデルを拡大する必要があるだろう。同社は現在、ユーザーにクルマを届け、使用後に引き取る作業を「Kyte Surfers(カイト・サーファーズ)」と呼ばれる提携ドライバーに頼っており、その間の移動にはしばしばマイクロモビリティを使っている。クールな新技術に手を出す前に、ユニットエコノミクスを高め、ユースケースを証明する必要がある。

Kyteは以前、2022年に遠隔操作によってレンタカー車両を配送するテストを開始するとTechCrunchに語っていたが、このオンデマンドレンタカーのスタートアップ企業が、まだ統合する遠隔操作システムのプロバイダーを決めていないため、この目標は遠退いたようだ。

シェーナック氏によると、Kyteは複数のプロバイダーと「話し合い中」とのことだが、現在のところ、いずれの会社も公道で大量展開が可能なソリューションを持っていないとのこと。

同社には、テスト運用を行うために、なぜ「大量展開が可能なソリューション」が必要なのかと尋ねたのだが、現時点で説明は得られなかった。

また、近い将来、どのメーカーからクルマを調達したいのかという質問や、新たに導入する車両に自動運転機能を搭載したものや電気自動車があるのかという質問に対しても、同社は明確に答えなかった。

同社のウェブサイトを見ると、Nissan Versa(日産ヴァーサ)、Toyota Corolla(トヨタ・カローラ)、Hyundai Tuscons(ヒョンデ・ツーソン)が、各市場に導入されていることがわかる。料金は借りる曜日や時間によって異なる。例えば、日産ヴァーサは平日の1日レンタルで保険、配送、税金別で62ドル(約7600円)だが、週末に借りると72ドル(約8800円)に跳ね上がる。期待通り、長期間借りれば1日あたりの料金は下がる。

画像クレジット:Kyte

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モビリティ市場のニッチ、車両を自宅まで届けてくれるレンタカー事業のKyteが約9.2億円調達

2年以上前、Ludwig Schoenack(ルートヴィヒ・シェーナック)氏、Nikolaus Volk(ニコラウス・ヴォルク)氏、Francesco Wiedemann(フランチェスコ・ヴィーデマン)氏の3人は、米国のほとんどの都市部で利用可能なスクーターサービス、ライドハイリングアプリ、公共交通機関、カーシェアリングといった選択肢の数々に注目し、モビリティ市場にニッチがあることを発見した。

自家用車を所有したくはないが、数日から数週間ほどクルマが必要な消費者には「空港や市街地の郊外によくあるレンタカーセンターに向かう」「カーシェアリングプラットフォームを利用する」という2つの選択肢がある。3人の友人同士(全員がドイツからの移民でサンフランシスコで出会った)は、BMW、McKinsey(マッキンゼー)、Uber(ウーバー)に関する専門知識を結集し、多数の車両を所有して維持するというコストのかかるビジネスをすることなく、新しい種類のレンタカー体験を創造するためにKyte(カイト)を立ち上げることを決めた。

Kyteは、ユーザーがアプリやウェブサイトを通じて車両をレンタルできる車両物流プラットフォームを構築した。都心のハブに配置された車両は、ギグエコノミーの労働者が借り手の自宅まで届けてくれる。Kyteは車両のピックアップと給油も無料で行う。

「私たちは、人々がクルマを所有するのは、ドアを開けたらすぐの場所にクルマがほしいからだと考えています。だから、そこまでクルマを持って行ってあげればいいと思いました」。

シェーナック氏は最近のインタビューでそう語っている。

Kyteは多くの車両を管理するレンタカー会社などの企業と提携しており、このスタートアップ企業は消費者とテクノロジーに焦点を絞ることができる。

2018年後半に創業しボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコで事業を展開している同社は、投資家の注目を集めている。

Kyteは米国時間1月5日、DN Capital(DNキャピタル)とAmplo VC(アンプロVC)から900万ドル(約9億2000万円)の資金調達を行ったと発表した。モビリティ業界の個人投資家も多数参加しており、その中には元Uber幹部のEd Baker(エド・ベーカー)氏、Jörg Heilig(ヨルグ・ハイリグ)氏、Josh Mohrer(ジョシュ・モーラー)氏、William Barnes(ウイリアム・バーンズ)氏をはじめ、Lime(ライム)の共同創業者Toby Sun(トビー・サン)氏、Kayak(カヤック)とTravelocity(トラベロシティ)の共同創業者Terry Jones(テリー・ジョーンズ)氏などが含まれる。

今回調達された資金は、ワシントンD.C.から始まったKyteの市場拡大のためにすでに活用されている。

画像クレジット:Kyte

Kyteの創設者達はその収益について、月々「6桁は確実」ということ以外、開示しようとしなかった。シェーナック氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広まる中、より多くの人々がクルマに乗るようになった2020年3月から、Kyteの月次収益が400%成長したことを加えた。

「新型コロナウイルスが流行する前から、我々はクルマとの関わり方を変える必要があることは明らかでした」と、シェーナック氏は述べている。新型コロナウイルスが多くの人々を空の旅から遠ざけてしまったため、代わりにKyteのような代替品を試してみようと思う人が増えている。

このような急成長にもかかわらず、シェーナック氏によると、Kyteの予約は半分以上が定期的に利用するユーザーからのものだという。

Kyteはまた、クライアント(シェーナック氏は国内最大手のレンタカー会社としか表現しようとしなかったが)が意欲的で熱心であることも発見した。そのレンタカー会社が抱える車両を、Kyteは消費者の手に渡す手助けとなるからだ。レンタカー会社は、営業所の多くが空港にあるため、新型コロナウイルスによって大打撃を受けた。これらの企業には、収益を生み出すことがなかった数百万ドル(数億円)分の減価償却資産が残されていた。

DNキャピタルの共同創業者で取締役社長のSteve Schlenker(スティーブ・シュレンカー)氏は、Kyteがモビリティの未来を担う中核的なビルディングブロックになると考えている。

「新型コロナウイルス感染流行の影響で、都市や消費者行動の交通機関に関する変革が加速しています」と、シュレンカー氏はいう。「Kyteの独自のオペレーションレイヤーは、他のソリューションでは対応できないレベルのサービスと利便性を提供しながら、この変革を促進させます」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Kyte資金調達自動車

画像クレジット:Kyte

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(翻訳:TechCrunch Japan)