全日空や三井物産が支援する再生可能ジェット燃料のLanzaJetにShellも出資

アルコールをジェット燃料に変えるプロセスの商業化を図っているLanzaJet(ランザジェット)には全日空、Suncor Energy、三井物産、British Airwaysなどが戦略投資家として出資している。その投資家リストにエネルギー大手Shell(シェル)も加わった。

LanzaTechからのスピンオフで、最初のクリーンテックブームの最後の生き残り企業の1社である未上場企業LanzaJetは、法人から段階的に出資を受けるアプローチを取っている。これにより、LanzaJetが生産施設を拡大するにつれ、投資家は追加でLanzaJetに出資することができる。

Shellの出資の取引条件、出資後のLanzaJetの評価額は明らかにされなかった。

LanzaJetは、航空業界がネットゼロエミッションを達成するのをサポートできると主張する。パリ協定で設定された温室効果ガス削減目標を世界が達成するのを支えるための長い道のりだ。

「LanzaJetのテクノロジーは、ATJプロセスを使ったSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた新しいエキサイティングな道を切り開いていて、航空部門の差し迫ったSAF需要を解決します。これは、我々が力を合わせた時に業界が機敏に動いてより多くのSAFを供給できることを意味します」とShell Aviationl社長のAnna Mascolo(アンナ・マスコロ)氏は声明で述べた。「需要と供給の両方を推進するための適切な政策メカニズムと規制に関して業界、政府、社会が協業するこで、航空業界はネットゼロエミッションを達成できます。LanzaJetと戦略が一致するのはすばらしいことです」。

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LanzaJetは現在、アルコールをジェット燃料に変える施設をジョージア州ソパートンに建設中だ。完成すると、持続可能な合成ジェット燃料のための初の商業規模プラントとなり、年間1000万ガロンを生産できる。

燃料はエタノールを使って作られる。エタノールはShellが詳しいものであり、供給する用意も整っている。ブラジルの合弁企業Raízenを通じてShellはバイオエタノールを10年以上生産してきた。

LanzaJetは、二酸化炭素の排出を抑制する方法で飛行機を飛ばすために、持続可能燃料を従来の化石ジェット燃料に混ぜることを想定している。生産する燃料の約90%が航空燃料で、残り10%は再生可能ディーゼルだと同社は話した。

LanzaJetのSAFは化石ジェット燃料に最大50%混ぜることがASTM(米試験材料協会)に認められていて、エンジンや航空機、インフラに変更を加える必要のないドロップイン燃料だ。加えて、LanzaJetのSAFは従来の化石ジェット燃料と比べ、ライフサイクルベースで温室効果ガスの排出を70%超削減する。エタノールの汎用性、そして低炭素でゴミを材料とし、食品や餌をソースとしないこと、またエタノールが世界どこでも入手できることと併せ、LanzaJetのテクノロジーはSAFの永続的な解決策となっている。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

再生可能ジェット燃料LanzaJetが英国航空と提携、年間7500トン供給へ

再生可能ジェット燃料のスタートアップLanzaJet(ランザジェット)は、British Airways(ブリティッシュ・エアウェイズ、英国航空)に年間7500トンの燃料添加剤を供給することで同航空と契約をかわした。LanzaJetは長年、再生可能・合成燃料に取り組んでいるLanzaTech(ランザテック)のスピンオフだ。

今回の契約は英国企業とのものとしては2件目で、その前の2019年8月にLanzaJetは英国企業Velocysとも契約を結んでいる。また、LanzaJetにとって2つめのオフテイク契約(長期供給契約)だ。同社は全日本空輸(ANA)との提携も発表している。

契約を通じて英国航空は、額は非公開ながらLanzaJetのジョージアにある初の商業規模施設に投資する。両社によると、2022年末までにLanzaJetが製造した燃料がフライトに使われるようになる。

LanzaJetが数年内に英国航空のために米国に商業施設を設置するという広範な拡張に向けた取り組みの一環だ。

2021年後半にジョージアの施設の建設が始まる計画で、同施設では化学反応を使ってエタノールをジェット燃料添加剤に変える。

植物由来の燃料は、従来のジェット燃料に比べ温室効果ガスの排出を70%減らす。同社によると、これはガソリンあるいはディーゼルで走るクルマ2万7000台を毎年減らすのに相当する。

契約は、LanzaJetの親会社LanzaTechと米エネルギー省のパシフィックノースウェスト国立研究所が数年にもわたって努力した結果だ。

2020年6月にスピンオフしたLanzaJetは親会社LanzaTech、三井物産、Suncor Energy(サンカー・エナジー)などから投資を受けている。そしてLanzaJetが2025年までに大規模展開するという野心的なプログラムを視野に入れている現在、英国航空が他の戦略的投資家2社に加わる。LanzaJetは再生可能燃料のパイプラインを作る大規模プラント4カ所を立ち上げる計画だ。

「低コストで持続可能な燃料のオプションは航空部門の未来にとって重要です。廃棄物や残留物を化石燃料を使用しないSAF(持続可能な航空燃料)にリサイクルすることで、LanzaJetのプロセスは最もフレキシブルな原料溶液を大規模に提供します。英国航空は英政府とともに長らく廃棄物を燃料に変える取り組みを展開してきました」とLanzaJetのCEOであるJimmy Samartzis(ジミー・サマーティス)氏は述べた。「廃棄物ベースの燃料への適切なサポートにより、英国はLanzaJetプラントを商業展開する上で理想的なロケーションになります。これを実現するために英国航空ならびに英政府と引き続きやり取りすることを、そして首相のJet Zeroビジョンを現実のものとすべくサポートを続けることを楽しみにしています」。

LanzaJetの燃料は従来の灯油に最大50%混ぜて商業フライトに使用することが認められている。「航空マーケットが年間900億ガロンのジェット燃料を使っていることを考えると、その半分の450億ガロンの生産能力、そして最大ブレンドレベルに達することは大きな問題です」とLanzaTechのCEOであるJennifer Holmgren(ジェニファー・ホルムグレン)氏は電子メールで述べた。

ホルムグレン氏によると、LanzaJetのジョージア州にある製造施設はゼロウェイスト燃料を生産するためのものだ。英国航空は今後5年間、LanzaJetのバイオ精製所から毎年7500トンの持続可能航空燃料の提供を受ける。

提携は英国航空、Hangar 51(国際航空グループのアクセラレーター)、その他の間でのものだ。

バイオ燃料の取り組みに加え、英国航空は水素燃料企業ZeroAvia(ゼロアビア)のような企業とも協業している。ZeroAviaはAmazon(アマゾン)、Shell(シェル)、Breakthrough Energy Ventures(ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ)から出資を受けている。

「過去100年、我々は英国と世界を、世界と英国を結んできました。そして今後100年の成功を確かなものにするために、我々は持続可能な方法でそれを行わなければなりません」と英国航空CEOのSean Doyle(ショーン・ドイル)氏は述べた。

「持続可能な航空燃料の開発と商業展開の推進は航空産業の脱炭素化にとって重要であり、LanzaJetとの提携はネットゼロ(温室効果ガス排出ゼロ)に向けた英国航空の取り組みの前進を示しています」。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi