IVS Launch Padの優勝はエアロネクスト

12月18日、19日の2日間、石川・金沢にある石川県立音楽堂で開催されたInfinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawa。2日目の朝にはスタートアップ企業14社によるピッチイベント「Launch Pad」が行われた。各社の持ち時間は6分、Q&Aはなしというスタイルだ。

2時間以上にもおよぶ熱戦を勝ち抜いて優勝したのはエアロネクスト。同社は10月に開催されたB Dash CampのPITCH ARENAに続いての入賞となった。2位はバーチャルキャスト、3位はRevComm、4位はRF Locus、5位はPLIMES。

■審査員

  • 慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長 山岸広太郎氏
  • KLab代表取締役会長兼社長CEO 真田哲弥氏
  • 大和証券 専務取締役 企業公開担当 丸尾浩一氏
  • YJキャピタル代表取締役/CEO 堀 新一郎氏
  • ディー・エヌ・エー 川田尚吾氏
  • Skyland Ventures代表パートナー&CEO 木下慶彦氏
  • フリークアウト・ホールディングス 本田謙氏
  • ITC Holding EVP & Director of International Business Development Corina Birta氏
  • e.ventures Partner Brendan Wales氏
  • AppWorks Partner Joseph Chan氏
  • ウォンテッドリー代表取締役CEO 仲 暁子氏
  • Drone Fund投資家 Drone Fund General Partner投資家 千葉功太郎氏
  • クラウドワークス 吉田浩一郎氏、gumi代表取締役会長 國光宏尚氏

gemfuture

傷つかない恋AIを。 恋愛ナビゲーションサービス「AILL(エイル)」

コミュニケーションをAIがナビゲートとする世界唯一のマッチングサービス。AIが出会いから相手の気持ちの変化、自分の行動による結果などをリアルタイムで分析。事前にライフプランを共有でき、最適な異性を1〜5人を紹介してくれる。デートを誘うまでの会話についてもAIのチャットアシストがあり、効率よくコミュニケーションが取れる。5年後の年間売り上げ目標は50億円。仕事と愛を両立できる社会を目指す。

RevComm

電話営業を、人工知能で可視化する「MiiTel(ミーテル)」

電話営業を人工知能で可視化するサービス。顧客と担当者が何を喋っているかわからないというブラックボックス問題を解消する。数を打てば当たるという従来の電話営業の生産性を高くすることが目的。会話はすべて録音・解析され、ダッシュボードで一元管理。これにより沈黙の回数などがわかり、オペレーターと顧客のスピードがマッチしているかも判断できる。MiiTelwo導入するとPLのP(Profit)が上がりL(Loss)が下がる。将来的には自動でアポを取るAIなどの開発を目指す。

Hubble

法務ドキュメントのバージョン管理システム「Hubble(ハブル)」

法務ドキュメントのバージョン管理システム。Wordをベースにした従来の契約書の作成や締結までワークフローでは、メールで何度もやり取りが必要で、やり取りが多いほど煩雑になる。現在もうまく管理する方法が確立されていない。Hubbleでは、ドキュメントのバージョンと修正履歴を自動で管理できるほか、過去の交渉過程や検討したリスクも後から確認でき、蓄積したナレッジも共有可能。コメント機能も備わっており、迅速な意思決定が可能になるそうだ。Hubbleをビジネス版Githubとして位置付けリーガルの世界を変えたいとのこと。

GVA TECH

AI契約サービス「AI-CON (アイコン)」

コストの問題で弁護士に頼めない、法的理解がない、時間がないといった課題解決のために作られたのがAI-CON。現役の弁護士が立ち上げたAI契約書レビューサービスで、AIとクラウドを活用して契約書のレビューを行う。サービスにログインし、WordファイルやPDFファイルをアップロードすれば、1営業日以内に条文ごとのリスク評価や修正案などが提示される。GVA TECHは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

Zenport

貿易業務のコラボレーションツール「 Zenport(ゼンポート)」

煩雑な貿易業務の効率化をサポートするクラウドサービス。貨物のトラッキングや受発注・在庫管理、データ分析、貿易書類の管理などの機能を提供している。同サービスが効率化する分野は大きく分けて書類管理と輸送管理。書類管理については、10枚ほどの書類のやり取りが必要な従来の流れをダッシュボード画面で一元管理することで、それぞれの関係者が必要な情報をすぐに見られるのが特徴。今後、国際貿易のプラットフォーム、国境のない経済を目指す

RF Locus

高精度RFIDタグ位置測定システム「P3 Finder(P3ファインダー)」]

RAIN RFID(UHF帯RFID)タグが貼付された物品を高速・高精度にサーチするためのソフトウェア開発キット「P3 Finder(Phase based 3D RAIN RFID tags Finder SDK)」を共同開発。10メートル以上の読み取り可能なRAIN RFIDタグ位置をユーザーに正確に示すことで、紛失物、サイズ・色違い品、消費期限間近品などを早期に発見できるのが特徴。RFIDリーダ制御の詳細な知識不要で、数行のSwift言語を記載することでアプリケーションに組み込める。

エアロネクスト

4D Gravity®搭載 次世代ドローン「Next(ネクスト)」

機体のフレーム設計を基本から見直して機動性の向上と特徴的な飛行姿勢を実現した、4D Gravity技術を搭載したドローンを開発。産業用途にも応用できるという。具体的には、ドローンの飛行部(プロペラ、モーター、アーム)、搭載部(カメラ、積載物)を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで、機体バランスの安定を図っており、従来のドローンとは異なり軸がぶれない飛行を可能にする。エアロネクストは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

マッシュルーム

世界で唯一のネットワーク・電源敷設不要なスマート宅配ボックス「VOX(ヴォックス)」

宅配クライシス、再配達問題を解決する箱のスマート化を目指すスタートアップ。スマホを利用して解錠が可能な宅配ボックスを開発。配達ドライバーが宅配ボックスに荷物を入れると、ユーザーのスマホアプリでその通知を受け取れる。受け取りの記録が宅配事業者に送信されるため、受取確認の捺印書類などが不要になる。ネットスーパーやフードデリバリーの受け取りなども可能。目指すのは「時間消費の束縛から解放」。

モノオク

モノ置きのシェアサービス「monooQ(モノオク)」

個人間で荷物を預けることのできるシェアリングエコノミー型のサービス。例えるなら物置き版のAirbnb。登録できるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益を上げることができる。小さなスペースをかき集め、テクノロジーと組み合わせることで新たな価値を生み出したいとのこと。

Review

企業を発展させるビジネスマップ「macci(マッチ)」

ネット検索ではなかなか見つからない街の情報を写真付きで閲覧できるサービス。主に不動産会社や求人広告会社が必要とする、直近3カ月以内の空地、更地、駐車場、新築物件、求人広告などの情報を提供する。調査専用のiPhoneアプリを自社開発し、スピーディに信頼度の高い情報を収集。調査撮影した画像情報を社内スタッフが手作業にて入力しているとのこと。圧倒的な低コストで町のタイムリーな情報をデータベース化。アプリを一般公開することで主要都市から全国展開を目指す。

Velodash

「Velodash(ベロダッシュ)」

サイクリングイベントプラットフォーム。これまではサイクリング関連のイベント情報がさまざまなソーシャルプラットフォームに散乱していたほかマッププラニングツールも数多くあり煩雑だったが、Velodashには必要な機能がすべて備わっているという。チーム同士の位置の把握やチャットも可能。

Eco-Pork

カイゼンをデータから。養豚管理システム「Porker(ポーカー)」

農家の改善を支援し、最適な養豚経営を実現させるシステム。データ分析や業界標準から業務のあるべき姿を設定・共有することで、組織での継続的な経営改善を狙う。豚肉の生産性をデータを活用し生産性の改善を可能に。農家が抱える生産コストだけでなく持続可能性を脅かす社会的コストも最小化し、「みんな安心して食べられる環境」を目指す。Eco-Porkは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

PLIMES

人工知能が嚥下を測る「GOKURI(ゴクリ)」

人工知能が嚥下を測るウェアラブルデバイス「GOKURI」を開発。このデバイスは、筑波大学および筑波大学附属病院における研究成果である、頸部装着型嚥下モニター(特許第5952536号)と情報システムがベースになっている。首に装着したセンサで嚥下音や姿勢を計測し、AI技術とクラウドデータベースが解析し、正しく嚥下できたかどうか、嚥下能力がどの程度なのか定量化するという。日本人の死因の1つである肺炎、その肺炎の7割が誤嚥によるもの。GOKURIを使えば97.3%の制度で嚥下を探知できるという。

バーチャルキャスト

脳汁ドバドバ!次世代コミュニケーションを生み出すVRプラットフォーム「Virtual Cast(バーチャルキャスト)」

ちょっと間違えた未来を作る。ミッションは脳汁の最大化。現実より楽しい仮想現実を提供する。開発者は「本物の美少女になりたい」というその一心でこのサービスを作った。日本の次は中国進出を目指す。後半はバーチャル空間でのプレゼンとなり、来場者を沸かせた。

FacebookとOculusがVRコンテンツとダイバーシティと教育に$250Mあまりを投資、VRを本気でメジャー化するつもりだ

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Oculusが望むのは、次のコンピューティングプラットホームが確実に、これまでみたいに白人男性が支配するものではないようにすることだ。同社は、女性や有色人種の人びとによるVRアプリやビデオの創造を支援するために、1000万ドルの基金を設ける、と発表した。

これと並行してFacebookとOculusはさらに2億5000万ドルを、高品質なVRコンテンツの潤沢な開発を加速するために投資する。これまでにもVRコンテンツに2億5000万ドルを投資しているから、一挙に倍増となる。

そのダイバーシティ資金は、OculusのLaunch Pad及びVR For Good事業へ行く。またそれは、“新しい声を増幅する”ためにも投じられる。多様なVR作者とオーディエンスを支援することによって、人生や正義や不平等など、さまざまな視点視野に関する理解が深まる。Oculusは今日(米国時間10/6)、Diverse Filmmakers Projectというダイバーシティ事業を立ち上げた。

1000万ドルの方はOculusのNextGen事業へ向かう。それは、UnityのワークショップとSamsungやAMDおよびOculusのハードウェアを大学に寄贈し、大学におけるVRコンテンツ創造事業を振興する。VRには、コンピューター科学以外にもさまざまな学科の学習を活性化する力がある。VRによる教育アプリ/アプリケーションは、授業をよりおもしろくし、児童生徒は歴史の教科書の上のテキストを読むだけでなく、実際に過去の戦場を体験できる。

デベロッパーがそのUnityのプラットホームで開発することの、リスクを減らすために、FacebookはUnityのロイヤリティを、デベロッパーたちの収益が最初の500万ドルに達するまで負担する。デベロッパーは、自分たちのアプリが商業的に軌道に乗ったら、その後は自分で払うことになる。

モバイルゲームのデベロッパー用に、5000万ドルが取り置かれる。ケーブルを引きずりながら体験するOculus Riftが今は注目されているが、VRの真価はSamsung Gear VRやGoogleのCardboardとDaydreamヘッドセットなど、モバイルのプラットホームにある。今後のユーザー人口を大きく増やすためには、ポータビリティと価格の手頃感が重要である。

何にも増して、こうやってFacebookが巨額を投じたからには、これからはVRデベロッパーにとって良い時代になるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウド労務管理サービス「SmartHR」が優勝——IVSのピッチコンテストLaunch Pad

5月26日〜27日にかけて宮崎県で開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2016 Spring Miyazaki」。2日目の朝には恒例のピッチコンテストの「Launch Pad」が開催された。14社のスタートアップが6分間のプレゼンテーションに挑んだ。その中で見事優勝を果たしたのはクラウド労務サービス「SmartHR」を開発するKUFUだった。僕らが手がけるイベント「TechCrunch Tokyo 2015」のスタートアップアトル、招待制イベントB Dash Campのピッチアリーナに続きスタートアップ向けのピッチコンテストで優勝したことになる。

2位は触感型ゲームコントローラーを開発するH2L、3位はスマートフォン向けの情報配信用プレートを開発するアクアビットスパイラルズ。4位はナレッジシェアアプリを開発するTANREN、チャット型の弁護士相談アプリを開発する弁護士トーク、運転支援システムを開発するPyreneeの3社。各社のサービス概要は以下の通り。

ハックフォープレイ:あそべるプログラミング「HackforPlay

ゲームを遊ぶことを通してプログラミングを学習できるサービス。ゲームをプレイしたり、そのゲームのプログラムを改造してプレイ・再投稿できるゲーム投稿サイト。他のユーザーのコードも見れるので、それを見つつ、技術を学ぶことを促す。現在700以上のゲームが投稿されている。その中心は小学生だという。また同社は金沢市でリアルなスクールを開講。子ども達のプログラミング学習の機会を提供している。

TANREN:ナレッジシェアアプリ「TANREN

TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルにも登壇してくれたTANRENは店舗販売員向けのナレッジシェアのサービス。接客業の営業ロールプレイングを動画で撮影・指導できる。マネージャーが課題を設定し、該当する店舗にメールで通達。その後は実際のロールプレイングを携帯電話で撮影してアップロードすることで、マネージャーが指導を行える。携帯電話販売業を中心にサービスを展開。最近ではRIZAPなどでも全店舗導入を実現した。

弁護士トーク:チャットでする新しい法律相談「弁護士トーク

アプリを通じて無料で弁護士と相談できるサービス。テーマや弁護士名をもとに弁護士を検索。チャット型のUIで情報を入力していくことで弁護士に相談を行うことができる。写真などもアップロードして共有可能。より詳しい相談をする場合はアプリから弁護士に正式に依頼する。アプリリース6カ月で5万1000件の相談が寄せられている。特徴は一括見積もりでの弁護士の比較機能。プレゼンでは「弁護士ドットコム」を引き合いに出し、同サービスとの強みについて、弁護士スキルを比較できることこそが強みだと語った。

selfree:5分で電話窓口を開設できるクラウド電話システム「CallConnect

ブラウザベースのクラウド型電話サポートシステム。取得したい番号や会社情報などを入力すれば、すぐにも導入可能なのが特徴。音声ガイダンスの録音や音声ファイルのアップロード、転送機能など各種機能を導入。Salesforceなど各種サービスとの連携を実現。顧客情報の繋ぎ込みなどが可能だ。すでに個人事業主からコールセンターまで150以上の企業が利用している。

KUFU:クラウド労務ソフト「SmartHR

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル優勝企業であるKUFUが提供するクラウド労務サービス。社会保険や雇用保険など労務手続き自動化をしてくれる。最近では開発者向けに「SmartHR for Developers」を公開。SmartHRのユーザー企業の社内システムや他社製クラウドサービスとのデータ連係を実現した。 すでに1000社がサービスを導入している。

RENO:ソーシャルヘッドハンティング「SCOUTER

審査を通過したユーザーが友人・知人を企業に推薦することで報酬を得られるサービス。ただし人材紹介の業務委託は違法になる。そこでユーザーとRENOが契約社員(スカウター)になる(弁護士ドットコムの契約サービスを利用)ことで実現する。スカウターには時給および転職後の年収5%をフィーとして提供する。企業のニーズに対して、スカウターが人物を紹介。現在登録は200人。求人700件。すでに実績も出ているという。

Labit:10秒で出品できる、本のCtoCフリマサービス「ブクマ!

本に特化したCtoCのフリマサービス。書籍・雑誌につくISBNバーコードを撮影すると、書籍の情報やAmazon.co.jpでの最安価格などを自動で取得できる。あとは希望価格と本の状態を設定すればすぐに出品できる。現在サービスを開発中。6月下旬にもサービスをリリースする予定だ。 Labitではこのサービスとは別にクラウドファンディングサービスのCAMPFIREでリアルな書店立ち上げのプロジェクトを立ち上げている。

ウリドキネット:買取比較サイト「ウリドキ

スマートフォンやブランド商品の ネット買い取りの価格比較サイト。これまでは価格比較の機能のみを提供していたが、最新版では価格の比較から直接買取申し込み(対応する店舗のみ)までをサイト上で実現した。買取業者はサイト上で商品の買取価格を設定可能。競合比較や買取依頼管理のステータス管理などの機能を提供する。この機能によって1日3時間の管理業務が1時間に短縮した事例もあるという。

Bizcast:YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar

YouTuberを起用したマーケティングなどを行うためのマッチングプラットフォーム。一部を除き、YouTuberの多くは収益化に悩んでいるのが実情。また一方で企業は最適なYouTuberと出会うことが難しい。これをオンラインでマッチングするほか、実際に動き出した案件についてはデータ解析機能を提供する。延べファン数2500万人のYouTuberが登録する。またInstagramなど各種のソーシャルメディア向けにもサービスを展開する。

CANDLIFY VR:Technologies すばやく、簡単に、結果を出すVR制作プラットフォーム「InstaVR

通常制作には数週間から数カ月が掛かるVRコンテンツを手軽に制作できるツールがInstaVRだ。360度写真や動画があれば、簡単にブラウザ上でVRコンテンツを制作できる。コンテンツ内に動画を埋め込んだり、電話発信やサイトへのリンクを付けることも可能。視線情報を取得しているため、ヒートマップの機能も提供する。サービスは2015年末にローンチ。これまで100カ国1000社が採用。スミソニアン博物館をはじめとして北米でも採用実績がある。

WHITE:世界初の触れるVRゴーグル「MilboxTouch

Google Cardboardやハコスコ同様の段ボール製VR筐体。競合との差別化ポイントは1枚のシール。導電性インクで描かれたこの回路シールを触ることで、スクロールやスワイプ、タップの入力が可能になる。この技術はすでに特許を取得しており、今後は各種VR筐体メーカーに対してOEM提供を進めていく予定だ。今後はSDKをオープンソース提供していく予定(Unityは提供済み)。プレゼンではVR版パックマンのプレイ動画なども紹介された。

H2L:世界初の触感型ゲームコントローラ「Unlimited Hand

Unlimited Handは腕に電気刺激を与えることで触感を実現したVR向けのコントローラーだ。インプット、アウトプットの両方を実現しており、指ごとの操作が可能。ハードウェア、ソフトウェアともにオープンプラットフォームを採用、あらゆるVR端末、コンテンツに利用可能だという。2015年にKickstarterにプロジェクトを掲出。7万2000ドルを集めた。今後は反響の大きかった順に北米、ヨーロッパ、中国に出荷していく予定だが、本日から日米amazonで319.99ドル(3万5000円)で販売を開始している。

Pyrenee:いまある車に付けられる運転支援システム「Pyrenee Drive

人類が負傷する最大の原因である「交通事故」。そんな交通事故の約8割はドライバーの不注意で起こっているという。そんな交通事故を防ぐための後付け運転支援デバイスがPyrenee Driveだ。立体物を認識し、ぶつかるものがないかを確認。ぶつかりそうになった際はアラートを出す。最近の車には自動ブレーキも搭載されているが、それでも事故が起こる可能性はある。スマートフォンとBluetoothで連携し、プロダクトの透過スクリーン上で操作することができる。2017年3月には日本、米国、欧州、アジアで販売する予定。

アクアビットスパイラルズ:瞬間コミュニケーションで世界をつなぐ「スマートプレート

「ググらせない」をテーマにしたプロダクト。スマートフォンにタッチすることで、特別なアプリを導入することなく各種のアプリを立ち上げたり、情報をプッシュする小型のプレート。プレゼンでは技術解説はなかったが、AmazonのDash Buttonに近いイメージだ。例えばタッチすることでタクシーの配車を行ったり、商品のECサイトを立ち上げる、といったことを実現する。専用アプリ・クラウドでリアルタイムなデータ解析も可能。設置については特許技術を持っているという。

IVS 2015 Fallのローンチパッドで優勝したのは農作業向けサービスの「AgriBus-NAVI」

LaunchPadの入賞者ら

12月7日から10日まで京都で開催されている招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」。3日目となる12月9日の朝には、同イベント恒例のプレゼンバトル「Launch Pad」が開催された。

登壇した12社のスタートアップの中で見事優勝を勝ち取ったのは農業スタートアップの農業情報設計社。「AgriBus-NAVI」というAndroidタブレットを使ったトラクターによる農薬散布のためのソリューションで、もともと農林水産省で研究していた専門家による既存市場への切り込みという点で審査員からの評価が高かった。1位以下は、縫製マッチングプラットフォーム「nutte」(2位)、クラウド上で契約書類が作成できる「クラウドサイン(弁護士ドットコム)」(3位)、「乗ってみたい」に出会えるカーシェアアプリ「Anyca」(4位)、モバイルアプリの課題発見と解決ができる「Repro」(5位)となった。

以下、登壇企業についてご紹介する。

wizpra NPS(wizpra)

「wizpra NPS」は顧客体験を向上させるサービス業向けクラウドサービス。多数の導入実績やNPS(ネット・プロモーター・スコア)活用事例をもとに、NPSの最適な活用方法からアクション提案までを行う。

NPSとはもともとベイン&カンパニーが開発した顧客満足度の指標。現在アップルやリッツカールトンをはじめとして大手企業も導入している。

サービスは月額20万円。リリース1年弱でインテリジェンス、西武鉄道、読売新聞、ピザーラなど約100社への導入実績がある。創業者である今西良光氏はユニクロでマネジメント職を務めた後に起業した。wizpraの製品を導入したある転職エージェントでは、採用決定率が37%向上したという実績もある。

チェーン店など複数店舗の接客改善のために利用する場合、多店舗で効果が上がった施策をレコメンドするといったこともできる。これによってベテラン店長でなくても、接客の改善施策を回すことができるという。またリアルタイムでの問題解決にも効果があるという。例えばトイレットペーパーが切れた、レジが混んでる、看板が倒れたといった事象のアラートを上げることも可能。

クラウドサイン(弁護士ドットコム)

日本初となるウェブ完結型のクラウド契約サービス。融資の際など、1案件で100件の契約を結ぶこともあるのだという。契約に際してはそれらを全て印刷し、ホチキス止めして製本テープを貼り、署名と押印をして…これで初めて契約が成立する。しかし、契約成立までに2週間近い時間と印紙代や郵送代といったコストがかかる。また契約資料への印鑑は習慣であり、法的にはなくてもよいそうだ。これをクラウドに持っていくことで、より簡単に契約を結べる社会にすることがサービスの目的だ。

クラウドサインで契約書をクラウドに移行することのメリットは2つある。1つは、契約成立までのスピードが短縮することだ。契約書をクラウド上で送付し、パソコンやスマートフォンからでも、押印まで1分もかからない。もう1つは、大幅にコスト削減が実現できることだ。印紙代、郵送費を削減し、保管スペースも確保する必要はない。クラウドサインはローンチから7週間で上場企業含めて658社が利用しているという。この契約書の関連市場は市場は4450億円になる。

世界展開を視野に入れ、ベンチマークにしているのはアドビ・システムズだという。弁護士ドットコムの弁護士9000人、税理士ドットコムに登録している税理士2000人のネットワークがあることが強みだという。今後、指紋認証によるセキュリティー強化、必要項目を入力するだけで契約書が作成できる契約書の自動作成エンジン、そして国際取引にも対応できるマルチ翻訳機能を導入する予定だ。

Repro(Repro)

アナリティクスツールを使うと、ユーザーがどこで離脱したのかは分かる。だが「なぜ離脱したのか」までは分からない。一方でプッシュ通知に代表されるマーケティングツールは、ターゲットの絞り込みが難しいという現状がある。これを解決するのがReproだ。

ユーザーの導線を設定することで、たとえばECサイトでは「カートへ入れたが購入に至らなかった」といったユーザーをドリルダウンで抽出するできるほか、「決済にたどり着くまでになにをやっているか」といった経緯も動画で見ることができる。ユーザーの画面遷移を再現することで、離脱要因を理解し、改善に繋げられるというわけだ。

またユーザーの定着率を図るリテンション分析なども可能。例えばダウンロードから7日後の定着率を上げるためには、7日目にユーザーに対してアクション(カスタマイズしたメッセージのプッシュなど)をとるということができる。

現在17カ国にユーザーがいる。フリーミアム形式で、課金割合は5.6%。1.8兆円のモバイルマーケティング市場を狙っている。2016年夏には米国に進出することを目指す。

LiveConnect(Z-Works)

Z-WorksはIoTプラットフォーム「Life Engine」のクラウドサーバーを開発、運用するスタートアップ。このプラットフォームを使い、「頑張らない介護」を支援するのが自宅見守りサービスの「LiveConnect」だ。

要介護者が危険と判断したタイミングでスマホにアラートを通知するほか、温度やモーション、明るさなどの情報を取得、さらに施錠センサーでドアの開閉を取るといったセンサーデータの閲覧が可能。湿度や温度をもとに、ダニやカビ、風邪への注意といった環境ワーニングも表示できる。

さらに、事前にシナリオを登録していれば、カギの締め忘れの通知などを送ることができる。クラウドファンディングサービス「kibidango」にてプロジェクトを掲載。当初予定の2倍以上の額(200万円超)を集めることに成功した。

夜から朝まで空回りするドアノブなど、現在1万人以上いるとも言われる徘徊者の防止になども役立つデバイスも提供する。また家族等が自宅で死亡した際には現場検証が大変になる。このシステムを使ってログを貯めることで、確実に「介護をしていた」ことを証明するといった使い方もできる。

AgriBus-NAVI(農業情報設計社)

世界中の農業機械の運転をアシストするトラクター運転支援アプリ。

例えば農薬散布など、農作業には作業の跡が残らないモノも多い。だがまっすぐ等間隔に農薬を散布するというのは、収益に直結する重要な作業…とは言っても重ならないよう、隙間なく散布するのは難しい。

これを解決すべく10年ほど前からはGPSガイダンスシステムが出てきた。しかし専用端末で価格は50〜60万円、ちょっとオプションつけるとすぐ100万円になってしまうため、国内トラクター200万台のうち5000台しか普及してないのが現状。これを同社は専用GPSとAndroidタブレットで実現する。

来月からは月額500円のサブスクリプションサービスを提供する。正式版は2月リリース予定。利用者数は1万7000以上、すでにシェアは世界1位。9割以上が海外からの引き合いで、「プアマンズGPSだ」と評する超えもあるという。

創業者の濱田安之氏は14年前、農林水産省に研究者として勤めていた。そこで研究していたロボットトラクターの技術が同社のプロダクトのベースになっている。今後は自動操舵オプションをリリースするほか、複数トラクターの同時操作機能なども提供予定だ。

Anyca(ディー・エヌ・エー)

国内の自家用車は6000万台もあるが、平均稼働率は3%だという。それに加え、都心の駐車場は高額で年間50万円がかかることも良くあることだ。一方、車を借りたくても連休は予約が取れないこともある。

Anycaはそのような問題を解決するカーシェアリングサービスだ。Anycaは、体験を軸に車を探せるという。例えば、デートに行くのか、友だちとアウトドアに行くのかというシチュエーションで探すことができる。もちろんマップからも検索可能だ。

乗りたい車を見つけたら、車のシェア条件、空き状況、注意事項を確認し、日時を選択すると自動で料金が表示される。Anycaでは一日単位で自動者保険も提供している。また、自動車のオーナーのプロフィールや他のユーザーからの評価を見ることができるので安心感につながるという。クルマの受け渡しでは、電話やメッセージ、写真やGPS情報などを送れるなど、より受け渡しが簡単にできる工夫をしているという。カーシェアリングが終わった後には、オーナーとユーザーが相互にレビューを行う仕組みだ。

プラットフォーム手数料は10%で、9月9日にサービスをリリースしてから3カ月で1500回シェアが行われたそうだ。月1回以上貸しているオーナーの場合、月に平均2.5万円維持費の軽減になっているという。カーシェアリングのコミュニティーもサービスの付加価値になっているという。「おみやげありがとう」「今度飲みに行きましょう」といったコミュニケーションが発生し、それも価値になり始めているそうだ。来春には「クルマ版のAkerun」とも言えるスマートロックを発表する予定だという。ODB2にアタッチして、Bluetoothで連携する。そうすると車をアンロックできるのだそうだ。

おくすり宅配(ミナカラ)

自宅に薬がやってくるサービスが「おくすり宅配」だ。夜間・休日に病院が開いていなくて、治療をがまんしている、いわば医療難民になっている人は少なくないのではないだろうか。

同サービスは、自宅やオフィスで待っているだけで医薬品を届けてくれるサービス。処方箋があれば、処方薬の提供を受けられる(アプリ上で写真撮影すればよい)ほか、処方箋がなくても、症状から市販薬を薬剤師がピックアップして届けてくれる。

アプリ上で届け先を入力すれば、最短30分で届く。現在はバイクで宅配のテストを提供している。現在は朝9時から夜24時まで、山手線内の中央線より下のエリアでテスト中だ。売上単価は平均5000円。これは原価や薬剤師の人件費をぬいても500円以上の利益になる。現在8万人、再来年には10万人にもなるという薬剤師。だが資格があるのに働いていないという人も少なくない。スポットで働ける人たちをネットワーク化することも検討している。

Popcorn(Coubic)

サロンやマッサージの当日・事前予約サービス。

クレジットカードによる事前決済で店舗側のキャンセルリスクを防ぐことができる。Popcorn限定のサービスメニューも用意。当日予約限定で割安のメニューもある。予約が埋まっている場合は、空きが出るとプッシュ通知が送られる「あいたら教えて」機能も用意。

サービスは成果報酬モデル。ポップコーン経由だけでなく、予約システム「Coubic」の顧客管理のダッシュボードを通じて、誕生日メールを送ったり、プッシュ通知したりもできる。予約数はここ2〜3カ月で30〜40%増のペースで伸びている。

対象エリアは関東を中心に550以上のオーナー。福岡でもテスト的に展開。
海外へのエリア展開も視野に入れている。

Spectee(Spectee)

「パリのテロ情報をどこで知りましたか?」とSpecteeは問う。日本テレビの人も、Specteeで事件を知り、驚いたという声があったという。私たちは目の前で起きていることを撮影して、リアルタイムで配信することができるようになった。これは新しい報道のカタチだ。しかし、既存のメディアは、何かが起きてから報道するまで通常90分ほど時間がかかるという。つまり、ソーシャルメディア上に写真も動画があるにも関わらず、報道があるまでは空白状態になっている。このとき、ほとんどの人はネット検索をしているという。報道関係者もネットを検索しているが、正しい情報を探すのには課題がある。「パリ テロ」で検索しても、正しい情報ばかりではないし、多数の異なるSNSを検索するのは不可能だ。

SpecteeはAIエンジンで365日24時間、様々なソーシャルメディアを解析し、映像を配信している。Specteeは事件発生からユーザーに情報が届くまでの空白を埋めるための映像配信プラットフォームを目指すという。Specteeのプッシュ通知後のアプリ起動率は96%だそうだ。これは一般的アプリの30〜40%より遥かに高いという。

Specteeは報道の現場にも彼らのサービスを訴求する予定だ。例えば、NHKは4人体制で24時間ソーシャルメディアを監視しているという。彼らにSpecteeのダッシュボードを提供する。ダッシュボードから現場の映像をリアルタイムで見ることができ、映像をソートしたり、再生したりすることもできる。地図で場所を指定して検索することも可能だ。すでにテレビ局を含む2社に提供が決まっていて、東京キー局でテスト配信を開始する予定だという。報道分野は5000億円規模だそうだ。

FITTY(スカラインターナショナル)

下着のオンラインフィッティングサービス。

実は8割の女性がフィッティングした上でブラジャーを買いたいと考えているそうだが、その半数は「フィッティングしたいが、できていない」のだという。また7割の女性が、ブラジャーのサイズ選びを間違っているのだそう。

面倒なフィッティングを、24時間誰にも見られず、専門家からアドバイスを受けられる。というのがFITTYだ。店舗などでは通常、15分かけてサイズなどのデータを集めて、20〜50点からレコメンドするが、フィッティーではたった4問(サイズ、体型、バストのカタチ、悩み)の測定、30秒で診断するのだとか。取り扱いアイテムは約500点。専門家にチャットで無料相談する機能も用意。

FITTYはまた、フィット感(伸縮性、ワイヤー、安定感、パッドの厚さなど6項目)を数値化したことも特徴なのだとか。過去データーがあるので、将来的には服を脱がずに店舗フィッティングもできるようになる世界を期待する。

・Partee(g&h)

写真やデザインをTシャツやiPhoneケースにできるサービス。デザインを投稿し、別のユーザーが利用した際には報酬を得ることもできる。ミュージシャンが写真をファンと共有してiPhoneケースにする、友だちの写真を使うといったことができる。企業やブランドのオフィシャル利用も可能だ。

作成できるのはTシャツ、クッション、キャンバスアート、トートバッグ、フェイスタオル、パーカーなど10品目。写真のサイズ・位置、色をアプリ上で調整して、サイズや数量を指定して購入できる。工場と提携しており、1点から発注し、最短3日で届くのだという。

monomy(モノミー)

8歳でもアクセサリーブランドが持てるのがmonomyだ。monomyのスマホアプリからブランドを開設し、ユーザーは自分でデザインしたアクセサリーを販売することができる。デザインは、スマホアプリから気に入ったアクセサリーパーツを組み合わせて制作する。パーツは3000種類以上から組み合わせることが可能で、その組み合わせにはゲームエンジンを使った物理演算を活用しているという。

他のユーザーが気に入った作品を購入すると、アクセサリーに必要なパーツが運営側に届いて、職人が作るという流れだ。monomyはアクセサリーの製造、決済、梱包、配送を担うため、ユーザーが製造販売のための手間やリスクを負うことはない。さらに、monomyは36の工場と提携しているという。「ユーザー、職人、パーツ製造業者の誰もリスクがない」という。

プレリリースから2ヶ月で、monomyに登録しているブランド数は1500以上になり、掲載作品数も4233点になったという。150人以上のインフルエンサーがいて、ユーザーの中には440作品以上を提供している人気ユーザーもいるそうだ。他のプラットフォームと比較すると、手作り作品のマーケットプレイスのminnneの利益率は10%だが、monomyの利益率は50%になるという。monomyは「誰でも売れる」コマースを目指すという。

LaFabric(ライフスタイルデザイン)

カスタムオーダーのファッションサービス「LaFabric」はオーダーメード並の品質のスーツが量販店の手頃価格の2〜5万円のレンジでオーダーできるサービス。ライフスタイルデザイン創業者の森雄一郎氏は地元岡山で繊維産業に従事していた親類の仕事が海外に流出するのに心を痛めたことが起業の背景にあるという。アパレル業界に入って気付いたのは、中間業者が多く存在してい現場の工場が儲からないこと。そこで仕組みを変えて現場の職人に活躍できる場を提供するようにした。

LaFabricのサービスでは、イタリアのカノニコなど名門の生地メーカーを含むアイテムなどから自由にに選び、ボタンやポケット、裏地など選ぶ。体型のサイズは15箇所をカスタマイズできる。このデータはクラウド上に保存されるので、2度目以降のオーダーは非常に簡単だという。採寸については、出張採寸サービスもパートナー企業と協業することで提供している。サービスリリース3カ月の実績としては、利用者の3人に1人がリピーターになるほど、という。

これまではオーダーメードスーツのみで展開してきたLaFabricだが、最近オーダーコートもリリース。ジーンズなどほかのファッションアイテムも提供していく。また詳細なサイズデータを保有することから、今後はヘルスケア分野への応用も考えられるという。

nutte(ステイト・オブ・マインド)
ファッションアイテムを1点から作れる縫製のマッチングプラットフォーム。

アパレルの展示やステージ衣装のための職人は数万人いるが、基本的には自宅で仕事しており、下請けの存在。そのため課題になるのは大きな案件が個人だと受けられないということ。nutteは縫製職人の見える化を実現する。

プロ職人のネットワークだけではなく、家庭用ミシンを使うのセミプロのネットワークも持っているのが特徴。2月のサービスリリースからこれまで1800事業者が登録。売上は前月の4倍になっており、「発注がガンガン入ってる」(代表の伊藤悠平氏)状態。国内縫製市場は3000億円。