iPhoneの速度低下問題で、司法省と証券取引委員会がAppleを共同捜査

米司法省(DOJ)および証券取引委員会(SEC)は、AppleのiPhone旧モデルを意図的に速度低下させたソフトウェアアップデートについての情報開示について共同捜査をしているとBloombergが報じた

本件に詳しい情報源によると、政府は同社のソフトウェアアップデートに関する情報提供の詳細を要求しているという。

現在両当局は捜査のごく初期段階にあるとBllombergは報じている。

本誌はApple、SEC、および司法省にコメントを求めており、情報が入り次第続報の予定だ。

背景を説明すると、AppleはiPhone旧モデルの性能が時間とともに低下していることに気づいた顧客と数多くトラブルを起こした。Appleは、バッテリーが劣化した旧機種で消費電力管理を性能に優先させるソフトウェアアップデートを提供したことを公表させられた。

当然ながら様々な反発がありAppleはアップデートの対応方法について謝罪せざるを得なかった

Appleが追加情報を要求されているのは米国だけではない。ヨーロッパからアジアまで世界の消費者擁護団体が速度低下問題の捜査を強く求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

一般庶民の日常的法律問題を助けるDoNotPayの訴訟書式チャットボットがついに1000種を超えた

[画像: 駐車券問題の対応]

自作のチャットボットDoNotPayが駐車券争いで役に立ち、一躍話題になった19歳のJoshua Browderはそれ以来、できるだけ多くの、よくある法律的ニーズをできるかぎり自動化して、司法を民主化したいという彼のクェストに、さらに没頭を続けた。その結果Browderは、アメリカのすべての州とイギリスで、これから訴訟を起こす人びとの訴訟文書の作成を助ける、およそ1000種あまりのボットを作ってしまった。

最初のDoNotPayボットは、徐々に新しい機能を加えていくにつれて、何のためにどうやって使うのかわからない、と訴えるユーザーが増えてきた。そこで彼はその路線をやめて、個々の訴訟案件タイプごとのアシスタント機能をできるだけたくさん作り、フルサービスの消費者向け法律ツールとして出直すことにした。

今日ローンチした新しいDoNotPayは、庶民がぶつかるあらゆる法律問題…出産育児休暇を認めないブラック企業、家主地主の契約違反、などなど…で、誰でも訴訟用のトランザクションフォームを書ける。その1000以上あるボットは、自然言語で検索できるから、ユーザーが自分の問題を述べれば、DoNotPayが自動的に関連のアシスタントへ連れて行く。

Browderはこのツールを作るときに、関連書式や法律の地域(州〜国)ごとの違いが膨大で、しかもそれらに対応しなければならないと覚悟した。今のDoNotPayはユーザーの位置を自動的に確認して、その地域に合った適切な情報を提供する。

[世界初のボット弁護士が今や1000種の案件をさばく]
[お困りの問題はなんですか?]
[出産休暇を延長したいんです]
[それはたいへんですね.やり方をお教えしましょう]

ここまで大きくなれば、誰もがVCからの資金や、収益化について考えるだろう。でもBrowderはVCには目もくれず、自分の作品が無料であることにこだわる。彼は今Greylockの社員起業家だから、給料もアドバイスも会社からもらえるのだ。

今後は、結婚、離婚、倒産などもっと面倒な法律処理にも対応したい、と彼は考えている。IBMはDoNotPayに対し、Watsonの利用をタダにしてくれている。ユーザーが自然言語で検索できるために、Watsonが必要なのだ。そんな技術も自分で作りたいが、今のところ彼の関心はほかのところ…訴訟関連とユーザー対策…にある。

今Browderがとくに力を入れているのは、エンゲージメントの増大だ。今のユーザーは数か月に一回ぐらいのペースで利用しているが、利用頻度がもっと増えても平気で処理できるほどの能力を、システムに持たせたい。

それが達成できたら、収益化が視野に入るだろう。Browderは、今でも自分が何をやりたいのかはっきりしていない、というが、一応構想としてあるのは、一部のボットには企業をスポンサーにできる、ということだ。たとえば駐車券問題のボットには、自動車販売店がスポンサーになりたがるかもしれない。

DoNotPay(そんな金払うな!)の語源となった駐車券問題ボットでは、人びとの930万ドルを節約し、37万5000件の紛争を扱った。今や、社会を変えたといっても過言ではない。そのツールは、AIの必要性を人びとが自然に理解できる理想的なケーススタディだ。技術的に革命的なところは、何もなくってもね。

VCたちがIPに私権の鎧を着せて、独創的なアルゴリズムや機械学習の博士号を守ろうとするのは当然だが、でも結局のところは、世界に対するAIのインパクトの多くは、既存の技術をうまく利用する、彼のような熱心な自由人の発想から生まれるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleとIntertrustの共同事業PatentShieldはスタートアップを特許訴訟から守る

GoogleとIntertrustが今日(米国時間4/25)、スタートアップを特許をめぐる訴訟から守るプログラムPatentShieldのローンチを発表した。この事業の‘参加料’は、スタートアップ各社の所有権(株式など)の小部分だ。

その基本的な仕組みは、この事業に参加するスタートアップに、GoogleとIntertrustのポートフォリオにある一定のパテントの所有権を与えることだ。そしてそれを抑止力に利用して、既成勢力からの特許訴訟から自分を守る。Googleが同社の特許の一部を提供してこのプログラムの基礎を築き、メディアストリーミングやIoT、セキュリティなどの分野のパテントポートフォリオを持つIntertrustは、同社の特許の一部と同社知財チームの力をスタートアップに提供する。

スタートアップが訴訟されたら、PatentShieldのポートフォリオから特許を選び、原告を反訴して自分を守る。

Google法務部の特許担当次長Allen Loはこう説明する: “このプログラムは、些細でほとんど意味のない訴訟をテクノロジーの世界から減らすためにGoogleが開発した一連のイニシアチブの延長だ”。実際にGoogleは、かなり前から、特許訴訟からほかの企業を守ることにも、一定の関心を示してきた。たとえば同社のOpen Patent Non-Assertion Pledgeでは、サードパーティが作った無料またはオープンソースのソフトウェアが同社の一定のパテントに抵触しているおそれがあるときは彼らを訴訟しない、と確約した。ただしその特許集合は、2014年以降アップデートされていない。

Google, Microsoft, Facebook, IBMなど数社が昨年共同で、特許を売り買いするマーケットプレースを作った

でも、この事業のいちばんおもしろい部分は、参加企業がPatentShieldに株式(ないし企業所有権)のごく一部を付与することだ。Intertrustによると、その付与ぶんの大きさが“会社とその製品の成熟度や、彼らのマーケットにおける訴訟リスクを測る目安になる”、ということだ。

今Googleに、この事業における同社の役割と、同社自身もこれらの企業の持ち分を得ることになるのか、問い合わせている。答が得られたら、この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

弁護士よ, 汝自身をディスラプトせよ

[筆者: Sarah Reed]

編集者注記: Sarah Reedは、VC企業CRVの法務部長(General Counsel, GC)*だ。同社はこれまで一貫して、ディスラプティブ(disruptive, 現状打破的)なイノベーションを支援してきた。〔*: General Counsel, 社員資格でない場合は‘顧問弁護士’。〕

本誌TechCrunchのデータによると、法律はVCの投資がいちばん少ない業種だ。私はこれまで25年近く法律の仕事をしてきたし、その環境もさまざまだった(大きな法律事務所、テク企業のGC、そして今はVC企業のGC)。そしてその間(かん)に、私の業界におけるとてもささやかなイノベーションも見てきたが、でもそれはVCたちが求める“ディスラプティブ”とは縁遠いものばかりだった。

しかしそれでも、イギリスにおける最近の改革や、ここ合衆国で進行中の訴訟(後述)は、もしかして私が生きているあいだに法律業界におけるディスラプティブなイノベーションを経験できるかもしれない、という希望を与える。

ギルド的性格が足を引っ張る

まず、ほかの業種や職業に比べて法律の仕事はなぜ、イノベーションに対する抵抗がすさまじく大きいのか? その根本的な理由は、業界が“ギルド”的な性格を帯びているためだ。13世紀に生まれたギルドは、職人や商人たちの組合で、各地域で同業者たちの業務のやり方を厳格にコントロールすることが目的だった。彼らの技術や技能は職業上の秘密として厳しく守られ、道具や原料材料に対する排他的な所有権を彼らは保持した。それはいわば、今の事業組合と秘密結社とカルテルを合わせたような性格をもっていた。

19世紀になってギルドは、その反自由貿易的で技術革新を妨げる性格が批判されるようになったが、法で認められているギルドは何世紀にもわたって生き延び、ギルドという構造の中核的な規範を厳守してきた。それは、して良いことと悪いことを自分たちで決め、それを自分たちで監視し、何かを決めるときには全員の承認を要するという、きわめて重い足腰を強いる規範だ。アウトサイダーには、何一つ、発言権や決定への参加権がなかった。

そこで、これまで長年、法律業界でイノベーションといえば、仕事の効率をアップしたり、業界の現状の長期安定性に貢献するような工夫や制度革新を意味した。つまりそれは、Clay Christensenの言う“ディスラプティブなイノベーション”ではなかった。Christensenは、効率や長持ちに貢献するイノベーションを、退屈でインパクトがない、と形容している。

たしかに、インドへ行ったPangea3や、他州(ウェストバージニア)に進出したOrrick などの例はあるし、検索や調査のためにはJudicataRavel LawなどのようにAIを積極的に利用しているところもある。

でも、それらの全然面白みのないイノベーションをよく見ると、どれも、彼ら自身やギルドの利益に貢献するものばかりで(例: 経費節減)、顧客は無関係だ。これまで、サービスの費用を減らすためのツールを使えるようになったため、必要なサービスを省略して削るということは少なくなった。法廷の弁護士たちは、電子技術のおかげで調べるべき情報が桁違いに増えた、と嘆いている。とくに特許関連の法律事務は効率化が進み、特許の数が爆発的に増えた。

また、一部のドキュメントがインターネット上で無料または低料金で入手できるようになり、そのこともイノベーションとみなされている。でも、思わず笑ってしまうのは、私は何年も前から、VCの投資業務に使用する法律文書をオープンソースにせよと主張して、この世界の闘士と思われていたのだ。そういう書式は今ではかなりメインストリームになり、LegalZoomやGoodwinの無料のFounders WorkbenchでDIYできる。Bartlebyが今の時代に生きていたら、法律関連のフォームを手書きせずにPCから取り出せただろう。でも一般的にわれわれ弁護士はそれを嫌う。そんな“コモディティ”タイプの法律文書や法律サービスで事足りる事案は、せいぜい、会社設立や争点のない離婚ぐらいだ。つまり、数が少ない。

法律サービスには, 未着手の広大な市場が残っている

ほとんどの法律サービスは“職人的”であり“コモディティ”的でなく、定型的なフォームでは扱えない。そこでこの国には、あまりお金を取れないような法律サービスのニーズが、つねに大量に残存している。弁護士を頼めるのは、お金持ちの世慣れた人たちだけだ。しかし、法律業界に本当の“ディスラプティブなイノベーション”がありうるなら、それは、この広大な未開拓市場に取り組めるものでなければならない。

私の出身校であるHarvard Law Schoolの学生法律相談を調べただけでも、この大量の需要の氷山の一角を嗅ぎ取ることができる。そのほか、囚人、低所得の借家人、貧しい被告人、差し押さえを喰らった持ち家保有者、移民、復員軍人、地方の零細企業、まだ学生のスタートアップ起業家、などなどに、今では無料の(当局の監督つきの)法律サービスが提供されている。しかしそれでも、法律業務の救急サービスや救急施設がもしもあったら、連日超満員になるだろう。

法律サービスにおける、この、需要と供給の大ギャップを填めるために、イギリスはギルド破壊に向けてのラジカルな第一歩を踏み出した。イギリスとウェールズでは、弁護士資格のない者でも法律サービスを事業として営める。イギリスのこの改革は、アンチギルドではあるがビジネス指向だ。

もちろんイギリスのこの改革も、既存“業界”の爺さんたちの猛烈な抵抗に遭った。でも実際に施行されてみると、不良な業者によって消費者が食い物にされる、という彼らの申し立ては杞憂に終わった。この新制度下で先頭に立って活躍しているのは弁護士たちであり、結局イギリスでは、爺さんたちが言うような、空が天から落ちるような大惨事は起きなかった。イギリスの政府当局は、新制度により法律サービスを受けられない消費者が減った、と言っている。この改革によって、新規参入者たちが新しい低価格の法律サービスを、これまでそんなサービスに手が届かなかった層に提供できるようになり、そしてそれとともに、既存の選手たちのあいだにも、健全で活気ある競争的姿勢が生まれたのだ。

イギリスのこの経験は、われわれ合衆国に住む者の尻(けつ)を蹴飛ばすだろうか? まじめな話、イギリスのディスラプティブなイノベーションから真っ先に学ぶべき者は、議会や政府関係者ではなく、われわれ法律業界の人間だ。イギリスって、まだ君主がいる国なのに、われわれより進んでるなんて!

知るかぎりただ一社、ニューヨークのJacoby & Meyersは、改革を待つだけでなく、そのきっかけを作るために、州を合衆国憲法違反で訴訟した。弁護士でない者に法律サービス企業を起業/保有することを禁じている州の法律を、覆(くつがえ)そうとしているのだ。どの州にも、これと同様の州法がある。弁護士たちが作った法律だ。

Jacoby & Meyersの成功を私も祈りたいが、全国的に盛り上がるのは一体いつのことだろう。サービスの裾野が広がり、受益者受給者が拡大し、今の、未対応の巨大市場が活性化されること、これが私の望みだ。これと似て将来は、看護師資格のない看護実践者、不動産取引資格のない者による商談締結、金融証券業資格のない者による低利の小企業投融資、などなども必要だ。それらにいちいち弁護士~法律事務所が関わるのではなく、本物の少数の弁護士が全体の監督役を務めればよい。係争や事故を処理するエンドツーエンドのサービスが、新しいタイプの企業として生まれるのもよい。苦情処理、医師医療機関検査、争議の調停、などなども、いちいちギャラの高い弁護士が出てきて仕切らなくてもよい。遺産処理、税務、財務計画サービスなども新たなサービス業へ統合できる。社内に大きな法務部を抱える大企業は、ひまなときの彼らのバイトを認めるべきだ。というか、彼らは年中、ほとんどひまで、専門的能力を宝の持ち腐れしているのだ。彼らに、低料金の出張サービスを認めるべき。

法曹界に籍をもつ私の兄弟姉妹のみなさまに申し上げたい。毎日海老サラダばかり食ってるあの連中のおかげで、われわれがラッダイトと見られてしまってもよいのか? そろそろ、われわれの周囲に立てられている保護壁を取り壊すべき時期ではないのか? その壊れた壁の残骸を乗り越えて、閧の声を上げよう。今こそディスラプティブなイノベーションを!と。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))