Microsoftがオンライン学習にAI上級コースとソフトウェア開発入門を新たに加える

Microsoftが今日(米国時間4/2)、デベロッパーのためのオンライン教育プログラムに二つの新しいコースを加えた。ソフトウェア開発入門コースと、機械学習の知識を増やしたいと願っている中級以上のデベロッパーのためのAIコースだ。

誰もが知ってるように、データサイエンティストと機械学習のデベロッパーは、需要に対して供給がきわめて少ない。そのために今、多くの企業では、社員の知識と技能を高めるための社内教育に力を入れているが、今日から始まる誰でも受講できるAIコースも、最初はMicrosoftが自社の社員のために開発したコースだ。

そのMicrosoft Professional Program for Artificial IntelligenceはedX.orgで無料で受講できるが、お金を払えば修了証ももらえる。コースの期間は3か月で、各四半期の頭に始まる。当然ながら、Microsoft AzureとMicrosoftのCognitive Servicesを多く使うからAzureのアカウントは必要だが、使用するオペレーティングシステムは特定しない。

全部で10の必修クラスがあり、それらはAI入門データサイエンスのためのPythonプログラミングAIデベロッパーの倫理などさまざまだ。訓練モデルを使った実習も多い。ひとつのクラスは所要時間が8ないし16時間だ。

AIコースだけでなく、同じく今日発表されたソフトウェア開発の入門コースは、これもedXのコースで13の必修クラスから成る。とくに、JavaScriptとPythonが中心のようだ。ただしこれらのプログラミング言語を学ぶだけでなく、データ構造の基礎や、GitHubの使い方、コードをプロフェッショナルに書くためのそのほかのツールなども教わる。

こういった学習コースをいろいろ集めたものを、Microsoftは“Professional Programと呼んでいる。Microsoft Academyの方が、分かりやすいんじゃないかなぁ。今あるコースは、フロントエンドの開発、クラウドのアドミン育成、ITサポートのプロフェッショナル育成などだ。

画像クレジット: 写真提供, Dan DeLong/Microsoft

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ヨーロッパの子どもたちのためのプログラミング教育振興事業EU Code WeekにAppleとGoogleも協賛

EC(European Commission, 欧州委員会)が毎年主催する、児童生徒のためのプログラミング入門行事EU Code Week、今年は明日(米国時間10/7)から10月22日までの2週間行われる。

昨年と同じく、ヨーロッパ各国のさまざまな団体や組織により、何千ものプログラミング入門イベントが開催され、ヨーロッパをはみ出た部分もわずかにある。

各国各地のイベントの詳細は、この主催者ページで分かる。

昨年のEU Code Weekでは、総数23000のイベントに計100万名近くが参加した。第一回の2013年には、イベント数3000、参加者数10000だったから、すごい成長だ。

開催するイベントの数がいちばん多いのはイタリアで、今挙がっているものだけでも2659件、イギリスはやや慎ましやかに187件だ。

第二位のポーランドは497件、次いでトルコ244、フランス228、ドイツ225等となる。

子どもにプログラミングへの興味と初歩的な力をつけることが目的の行事だから、イベントも子ども対象が多いが、全年齢対象のイベントも少なくない。

イベントはプログラミングのさまざまなテーマを扱い、それらはアプリの開発、ロボット、AI、ゲームの設計など、いろいろだ。

今年はAppleも参加して、EU Code Weekの期間中にヨーロッパ各地のストアで無料のプログラミングコースを開催する。Swiftプログラミング言語の入門がメインだが、Star WarsやSpheroのキャラクターを利用する子ども向けのロボット入門もある。

Appleによると、来年はヨーロッパ全域10か国の100あまりのストアで、計6000以上のコースを開催し、それらをAppleがこれまでやってきた店内教育事業Today at Appleの一環として展開する。

Googleは、学校などで行われるイベントに資金を出したり、資金提供者を紹介したりする。

Googleの社会貢献部門は数年前に、その資金によりイギリスの児童生徒に大量のRaspberry Piマイクロコンピューターを寄贈した。

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BBCが100万人の子どもたちに配布するプログラマブルマイコンボードmicro:bit、いよいよ一般予約の受付を開始

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イギリスの公共サービス放送局BBCが配布する、子どもたちがプログラミングを学ぶための小さなプログラマブルボードが、いよいよ一般公開予約を開始する。当初の配布予定台数は100万台だ。

このmicro:bitと呼ばれるマイコンボードは、Element14のWebサイトで予約を受け付け、配布は7月を予定している。

お値段は、ボードだけなら£12.99(12ポンド99ペンス)、miniUSBとバッテリーパックと4つのプロジェクトアイデア含むスターターキットは£14.99、これら10セットから成る‘BBC micro:bit Club’パックは£140だ。学校のクラスなど、複数の子どもを相手にプログラミング教室を開講する場合は、Clubパックを利用できる。

micro:bitプロジェクトのねらいは、定款により‘放送’だけでなく‘教育’も事業とするBBCの、‘Make it Digital’イニシアチブの一環として、“新世代にプログラミングとデジタル技術による創造力を涵養する”ことだ。デバイスの配布は、当初の100万台以降も継続的に行われる。

このボードは、最初からいろんなセンサーがついていて、センサーに対するプログラミングができることが特徴だ。Bluetoothをはじめ、多様なI/Oも用意されているから、ほかのデバイスやセンサーなどとの接続も容易だ。サポートソフトウェアはWebサイトから提供され、さまざまなコードエディターやチュートリアルを利用できる。

イギリスにはmicro:bitの大先輩、Raspberry Piがいる。これも最初の意図は、子どもたちがプログラミングを自力で学んでいくためのデバイス、だった。その後本格的なプロダクション用途が発達していったRaspberry Piと違ってmicro:bitはもっとシンプルで、メインのターゲットは11歳以上(イギリスの7学年以上)を想定している。

Piは2012年に世に出てから今日まで800万台以上も売れているが、結果的にメインのユーザーは学童ではなく大人のメイカーたちだ。そこでBBCは、micro:bitが伸びる余地がある、と見ている。

Piを子ども向けの教材プラットホームにしようと頑張っているKanoのような企業もいる。これらに対してBBCは、micro:bitはオープンソースであり、売れることより、たくさんの子どもたちのあいだに広まることが目的、としている。

このデバイスの設計や生産に協力したパートナーの数は、とても多い。企画のスタートから学校への配布開始まで1年半もかかったのは、パートナーの数が多すぎたためかもしれない。

いよいよ一般的に可利用となったmicro:bitは、Piのユーザー層よりも若い世代にねらいどおり広まり、多くの子どもたちにプログラミングの能力を育み、‘Raspberry Piの弟’と呼ばれるほどの成功を、果たして収めるだろうか。

 

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BBCのmicro:bitは子どもたちがプログラミングを楽しむためのマイクロコンピュータボード、学校への配布がやっと始まる

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イギリスの子どもたちをプログラミングの世界に誘いこむための小さなコンピュータが、構想から半年を経た今日(米国時間3/22)やっと、学校に配布される。

micro:bitは、発表されたのが1年前だ。イギリスの放送局BBCには公益事業としての設立趣意書があり、その中には「教育」も目的として掲げられている。すなわち超小型コンピュータmicro:bitは、BBCの教育事業の一環として構想されたプロジェクトだ。放送局がコンピュータのハードウェアに手を染めるのはちょっと異様にも思えるが、実はBBCには、1980年代のBBC Microという前歴がある。

BBCは、micro:bitで“新しい世代がプログラミングを書き、構想し、デジタル技術と親密に触れ合う”ことにより、クリエイティブな人間になることを期待している。今は80年代と違ってモバイルコンピューティングデバイスが氾濫しているが、その上でDIYのプログラミングを楽しめる機種はほとんどない(ただしRaspberry Piマイクロコンピュータで成功しているイギリスは、他国よりは抜きん出ているが)。

BBCは昨年、2015年の秋には100万台のmicro:bitをイギリスの11歳の学童に贈る、と発表した。しかし時期は大幅にずれ込んで、学期半ばの今になってやっと、子どもたちの手に渡ることになった。そのため、その教育効果を心配する声もある。とくに先生たちはすでに、今年の授業計画を作ってしまっているからだ。

このmicro:bitプロジェクトは、パートナーの数が30社近くと、ものすごく多い。その中には、ハードウェアのメーカーやソフトウェアのメーカー、小売企業、教育機関など多様な顔ぶれがいる。船頭が多すぎたことが、遅れの原因かもしれない。

最初のロットを学童たちに手渡したあとは、BBCによると、 micro:bitのライセンスを管理する非営利団体を作り、そこが、micro:bitの製造を希望する企業にライセンスを提供していく。最初の3年間で500万台を売ったRaspberry Piの大成功を見ても、教育目的の‘クリエイティブコンピューティングデバイス’には。将来ますます需要がある、とBBCは考えている。その方面のスタートアップたちも、すでに登場している。

学校での展開に続いて、BBCの構想では、ハードウェアの仕様とmicro:bit用のソフトウェアの多くをオープンソースにし、デバイスはいろんなお店から買えるようにする。そして得られた販売利益は、“さらにもっと多くの人びとが‘プログラミング革命’に参加していけるための”企画に投入する、とBBCは言っている。

micro:bitのボードには、2列のLEDの集合、2つのプログラマブルなボタン、動きを検出するための加速度センサー、方位計(コンパス/磁石)、Bluetooth端子、そのほかの多様なI/O端子の集合がある。子どもたちが、自分がやってみたいいろんなデバイスやセンサーをつないでプログラミングできることを、ねらっている。プログラミングは子どもたちの新しい遊びである、というコンセプトだ。とても小さなボードだから、ウェアラブルにも十分挑戦できる。

また、micro:bitにはお助けWebサイトがあり、そこがいろんなコードエディターやチュートリアル、指導ビデオなどを提供している。

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子どもが自作するDIYコンピュータKanoに専用ディスプレイが加わった…6歳児がハードウェアのセットアップを初体験するため

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子どもたちがコンピュータを自作しながらプログラミングを学ぶDIYキットKanoにこのほど、10.1インチのHDディスプレイが加わった。そのディスプレイは上図のように、これまでの、キーボード+Raspberry PiをベースとするDIYコンピュータキットと合わせてワンセット(スクリーンキット)になる。5月に同社はシリーズAで1500万ドルを調達したが、今回のスクリーンキットの開発にはその資金の一部が充てられた。ただし資金調達の本来の目的は、Kanoをクリエイティブコンピューティングのブランドとして確立することだ。

Kanoの最初のキットがそうであったように、このスクリーンキットも、ハードウェアのセットアップというDIY的プロセスを子どもたち自身に経験させるためのアクセサリだ。ハンダ付けのような本格的な工程を含まない、ディスプレイ組み立ててをコンピュータに接続するだけという簡単なプロセスだが、6歳ぐらいの子どものハードウェア操作初体験としては、この程度がふさわしい。

このスクリーンキットはHDMIでコンピュータ本体に接続するが、副読本の絵本にはその過程の説明とともに、付録の拡大鏡(虫眼鏡)を使って部品や画面上のピクセルを調べるやり方が載っている。スクリーンキットは、コンピュータに挿入するドライバボード、LCDディスプレイ、プログラマブルなボタン、ベース、ケーブル、…以上をセットにしたキットとして子どもたちの手に渡る。これらを組み立ててディスプレイとして使えようになるまでを、子どもたちは経験する。

Kano Screen kit

スクリーンキットの予約受付は9月に始まった。価格は129ドルだから、同じサイズのローエンドのAndroidタブレットよりはお買い得だ。しかもKanoでは、コンピュータとディスプレイのほかに、教材としての絵本や、おまけのステッカーなどがつく。

協同ファウンダのAlex Kleinによると、9月に始まった予約販売の売上台数は2600台あまりだった。

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“結果を楽しめる”プログラミング教育でないとだめ、Scratch由来のTickleがKickstarterに登場

子どもたちにプログラミングを教えると称するゲームやパズルは、今やとても多い。しかしその中でも、Tickleは傑出している。今KickstarterしているこのiPadアプリは、UCバークリー校コンピュータ科学の教授、Mike Chenの作だ。

Tickleは、子どもたちにプログラミングの基礎を教えるための言語としてかねてから有名なScratchを使用している。Tickle(くすぐる)という名前も、Scratch(ひっかく)にあやかっている。このアプリでは子どもたちはまず、部品的なコードブロックを組み立ててキャラクターを動かすことをおぼえる。

その次は既存の人気ゲームの自己流バージョンを作り、その後実際にApp Storeで売れるオリジナルのゲームを作る。また、スマート電球のPhilips Hueやドローン(無人機)AR.Droneなど、すでに実際にあるもののプログラミングを勉強する。

Kickstarterの締め切りまであと20日という今日(米国時間8/19)の段階で、Tickleは目標の3万ドルの1/3を集めている。Chenによるとアプリのベータのリリースは9月の予定で、Kickstarterで125ドル以上を支援した人はそれにアクセスできる。資金の募集は、開発費用を回収してアプリそのものはApp Storeで無料アプリとしてリリースするためだ。

Chenが言うには、大学で人に教えるという立場から、これまでのプログラミング教育の方法に不満だった。そしてそこから、Tickleというアプリが生まれた。

“大学では初等コンピュータ科学を教えているが、今のプログラミング教育に用いられている方法は要するにおもしろくない”、と彼は語る。“そこで、プログラミングを楽しいものにしたい、と考えた。そのためにはApp Storeで人気のあるゲームを利用するレッスンがよいだろう。Tickleは’Flappy Bird’や’Angry Bird’などのゲームもサポートしている。プログラミングを勉強するという視点でこれらのゲームを見ていくと、確かに子どもたちも積極的な関心を持つね”。

Tickleは、そのほかのプログラミング教育アプリと違って、インタフェイスはカラフルだし、ゲームのキャラクターを利用する。そして子どもたちのモチベーションをキープするために、一つのプログラミングの概念(例: 条件分岐)をおぼえると、それを使ったプログラムを彼らに実際に作らせる。

Chenは語る: “私がやりたかったのは、‘それで何ができるのか’というプログラミングの実用性を子どもたちに体験させ、子どもたちの関心を維持持続させることだ。実際に動く例を見せて、次は子どもたち自身にそれを作らせる。実際にゲームを作れるようになるまでの、段階的なレッスンがある。子どもたちは、自力でゲームを作れたらそれをApp Storeにパブリッシュできる。このように完全に実践的なところが、これまでのプログラミング学習アプリとの最大の違いだ”。

Tickleには、Scratchを使ってより高度なプログラミングの概念を教える部分もある。

Chen曰く、“Scratchはかなり複雑な言語で、大学のコンピュータ科学で教えるようなコンセプトもたくさん含まれている。オブジェクト指向プログラミングとか、パブリッシュ-サブスクライブパターン、並列処理など。だからこの言語を勉強すると、より高度なゲームも作れるようになる”。

このアプリはAirPlayを統合し、投射された画像上にタッチポイント(今子どもたちがiPadの画面のどこに触れているか)を表示する。それを見て親や教師は、子どもが今やってることを理解できる。

Tickleについて詳しく知りたい人は、Kickstarterのページを訪ねてみよう。

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子どもたちがプログラミングを学べるiPad上のヴィジュアル言語Hopscotchがシードで$1.2Mを調達

次世代のプログラマを育てる、と称するシステムは、今やとても多い。その一つ、ニューヨークのHopscotchが今日(米国時間5/8)、v2.0の発表とともに、昨年8月に120万ドルのシード資金を獲得していたことを公表した。

そのシード資金を出したのは、Resolute VenturesCollaborative FundKapor Capital、それに挙名されていない投資家数社(数名)だ。資金はチームの増員とコミュニティの立ち上げ、そしてアプリのバージョン2の構築に使われた、と協同ファウンダのJocelyn Leavittが言っている。

Hopscotchの特徴は、モバイルデバイスに絞っていることだ。具体的にはiPad。子どもたちはiPadの上で、Hopscotchのグラフィカルなプログラミング言語をドラッグ&ドロップしてプログラミングを学ぶ(上図)。同社はこの言語を“iPadプログラミング言語”と呼んでいる。つまりScratchに似ているけど、ただしiPadsオンリーなのだ。

Leavittはこう説明する: “Hopscotchでは、カラフルなコードブロックをドラッグ&ドロップしてルーチンを作る。それらのルーチンを保存しておき、いろんなオブジェクトにくっつけたり、あるいはiPad上のいろんなイベントによって起動できる(たとえば“iPadを揺すった”、“iPadが大きな騒音を聞いた”、など)。そこでたとえば、手を叩くたびに熊さんが宙返りをするプログラムを作れる。

“Hopscotchはオブジェクト指向プログラミング言語だが、ヴィジュアルな言語だ。ヴィジュアルだから、文字をタイプしていくプログラミング言語のように誤字の心配がない”。

Apple App Storeに出てから1年経つが、これまでに作られたプロジェクトは150万あまり、そのために5700万のコードブロックをコンパイルした。創業は2011年で、これまで百か国あまりの教師や子どもたちに使われてきた。ユーザ数は公表していない。

今度の新バージョンでは、エディタの部分と、プログラムが動くステージの部分を一つの画面にまとめた。また、関数やサブルーチンに相当する”abilities”(アビリティー)というものを導入した。これでユーザは、より高度なプログラミングの概念を用いてアプリケーションを作っていける。

子どものプログラミング教育とその分野での競争について、Leavittはこう言う: “ヴィジュアルプログラミング言語は何百もある。人気があるのはScratchとAliceとBlocklyだ。でもそれらは大学のプロジェクトがほとんどだから、競合他社とは呼びたくない(BlocklyはGoogleだけど)。というか、実はScratchを作りMIT Media LabでScratch 2.0を作ったJohn Maloneyは、私たちのアドバイザーだ”。

“モバイル上の‘子どものためのプログラミング’アプリも最近いろいろ出てきたけど、その多くは、問題が次々と難しくなるパズルみたいで、全然プログラミング言語ではない。つまりそれらは、子どもたちがそれを使って、何かを創造できるツールになっていない。Hopscotchは、それを使ってデジタルトイ(toy(s), 玩具)を作れるデジタルトイだ。21世紀のLegoね”。

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プログラミングを学校の必須科目にするためのキャンペーン”Hour of Code”と国の”コンピュータ科学教育週間”が同時期に

今年の1月にAli/Hade Partovi兄弟が立ち上げたCode.orgのミッションは、単純だった: プログラミングとコンピュータ科学を、アメリカ人がこれらに対してこれまで持っていたイメージを変えて、大衆化すること。

ほぼ1年たった今、Code.orgはどうなっているだろうか。そして多くのアメリカ人が、STEM*を国家的最優先事項にする必要があることを、認めるようになっているだろうか。その答えが、今週、ある程度分かるだろう。今週(12/9-15)行われるコンピュータ科学教育週間(Computer Science Education Week)の幕開けの祝辞としてオバマ大統領と共和党の下院院内総務Eric Cantorがそれぞれ、合衆国の児童生徒学生はプログラミングの学習を全員必須とすべし、とメッセージする、ビデオによる声名を発表した。〔*: STEM, science, technology, engineering, mathematics; 理数系~理工系教科。〕

一方Code.orgも今週、数か月かけて準備したキャンペーン”Hour of Code“(1時間のプログラミング)を立ち上げる。コンピュータ科学教育週間と同じ週にこのキャンペーンは、合衆国の教師たち全員に、児童生徒にコンピュータ科学とプログラミングを教える時間を1時間確保するよう、求める。全員だから、英語や歴史の先生も対象に含まれる。

Partovi兄弟がCode.orgを立ち上げた動機も、今のアメリカの学校におけるコンピュータ科学やプログラミング教育の乏しさにある。だいたい10校のうち9校は教科にコンピュータ科学が含まれない。今は少しずつ変わり始めてはいるが、それでもコンピュータ科学とプログラミングが選択科目である学校が多い。つまりそれらは、成績証明に含まれない。Partovi兄弟とCode.orgは、カリフォルニア州に対してはこれまで積極的にロビー活動を積み重ね、徐々に状況を変えつつある。

Hadi Partovi(元Microsoft、MySpace、iLikeなど)によると、Code.orgの最初のミッションは、各州がコンピュータ科学を必須学科にすることだ。官僚主義とのたたかいは容易ではなかったが、彼らの説得に耳を傾ける州も少しずつ増えつつある。“ロビイスト活動の中では、むしろ、それほど苦労しなかった方ではないか”、とHadiは言っている。

そして今度は、州に次いで国が腰をあげる。また、”Hour of Code”キャンペーンに参加するのは合衆国の学校だけでなく、世界167か国の33000のクラスの500万人あまりの児童生徒の参加が期待されている。Hadiの“500万人あまり”とは、1000万のことだ。

Code.orgのその目標達成を助けるために、AppleとMicrosoftは全世界の小売アウトレットで”Hour of Code”のクラスを行う。Appleは、各店で”Hour of Code”のクラスを展開することを、専用のWebサイトで公示している。同社によると、‘きわめて対話的な’状況および雰囲気の中でプログラミングの基礎を教えるそうだ。こうやって、自社の店舗などでこのキャンペーンを助けるという企業は、100社近くある。その中には、テクノロジ系でない企業もある。

Googleの検索ページは、右図のようなGoogle Doodleでコンピュータ科学教育週間を祝っている。この絵に登場する女性は、女性プログラマの元祖でCOBOLプログラミング言語を作ったGrace Hopperだ。絵の下には”Hour of Code”へのリンクもある。このほかCode.orgは、Yahoo、Youtube、Apple、MSN、Bing、Disney、 有力政治家たち、映画などのスターやアスリートたちにも、キャンペーンの宣伝への貢献を求めている。

現在協力を表明している俳優やミュージシャンはShakira、Ashton Kutcher、Angela Bassettら、アスリートはChris Bosh、Warren Sapp、Dwight Howardら、テクノロジ世界のリーダーの中からは生前のSteve Jobs、Bill Gates、Mark Zuckerberg、Susan Wojcickiらだ。全国レベルの政治家では、民主党、共和党の両派が協力を表明し、オバマ大統領と共和党下院院内総務Eric Cantorのほかに、上院議員Cory BookerNewt Gingrich、教育大臣Arnie Duncanらが、”Hour of Code”を支持するビデオを掲出している。

Code.orgは、”Hour of Code”キャンペーンに協賛してチュートリアルを提供する企業や大学、非営利団体などのリストと、 Mard Zuckerbeg、Chris Bosh、Bill Gatesらが登場するビデオチュートリアルを提供している。この前の”Learn to Code”キャンペーンのビデオは2週間で1200万回見られた。

また10月には、LinkedInのCEO Reid Hoffmanが、なぜ全アメリカ人がプログラミングを学ぶべきか、その実利的な理由を本誌の記事で語っている。

下のビデオは、オバマ大統領のメッセージと、Code.orgによる、多くの有名人が登場する”Hour of Code”の立ち上げビデオだ。

さて、これからのアメリカはどうなるか。全国民がプログラミングを学ぶだろうか? まずCode.orgのページを見ながら考えてみよう。〔*: 日本でも現安倍政権の構想では、“いずれ”義務教育からプログラミング教育が導入されるらしい。〕

〔訳注: Code.orgに関する過去記事: (1)(2)(3)。〕

〔Code.orgのビデオの大阪弁バージョン。〕

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