ライカが新型フラッグシップのデジタルレンジファインダーカメラ「M11」発表、税込118万8000円

Leica(ライカ)は奇妙な会社である。毎年、ほんのひと握りのカメラしか出さず、そのほとんどが過去のモデルのリミックスかマイナーチェンジ版だ。2017年以来、同社のフラッグシップモデルは、堅実だがどこか古風な「M10」だったが、同社は今回、その後継モデルとして、さらに堅実だがどこか古風な「M11」を発表した

ライカは、カメラにおけるレンジファインダーのスタイルを確立し、そのフィルム用モデルは伝説的だ。デジタル時代のライカは、何よりもその高い価格で知られている。M10やQ2などのカメラのつくりや画質は文句のつけようがなかったものの、他のメーカーならもっとはるかに安い価格でもっと多くのカメラを手に入れることができた。この点についてはM11でも変わないが、少なくともこの最新モデルでは、必要とされていた現代的な機能がいくつか搭載されている。

中でもおそらく最も重要なのは、裏面照射型センサーへの変更だろう。裏面照射型センサーとは、センサーの受光部を配線などに囲まれた状態ではなく、裏面の開口側に向けて配置することをいう。裏面照射型センサーは通常、従来の表面照射型よりも性能が高く、ライカは概して当初からセンサー技術に長けていた。興味深いことに、ライカは優れたピクセルビニングを意識して、非ベイヤー方式のサブピクセルレイアウトを選択したようだ。

新しいフルフレーム(フルサイズ)6030万画素の裏面照射型CMOSセンサーは、もちろん最大解像度で撮影できるものの、最近ではそれを必要とする人はほとんどいない。6030万画素以外に選べる3650万画素と1840万画素での記録時には、線や領域だけでなく、センサー全体をサンプリングし、ノイズやアーティファクトを低減する。もし私がこのカメラを手に入れたら、36MP(3650万画素)に切り替えて、決して戻すことはないだろう。また、1.3倍と1.8倍のクロップモードも、そうやって楽しみたい人向けに用意されている。

画像クレジット:Leica

M11には簡単に割り当て可能な3つのファンクションボタンが新たに備わっている。背面のタッチスクリーンは、旧型のM10より解像度が2倍に増えているが、本当のライカファンであれば、光学ファインダーに目が行くだろう。

興味深いが議論の余地がありそうなのは、M11では常にCMOSセンサーを使って測光する方法が採られたことだ。基本的にこのカメラは常に「ライブビュー」モードにしておけば、正確な露出が得られるが、DPReviewに掲載された最初のレビューによると、起動時間が長くなっているという。一般的にライカのカメラは、電源を入れてから電光石火で撮影できるものなのだが。

M11にはUSB-Cポートが備わり、新しい大容量バッテリーを充電したり、SDカードや64GBの内蔵メモリからショットを取り出したり、スマートフォンやコンパニオンアプリに直接吸い出したりすることができる(フルレゾで撮影しないもう1つの理由だ)。

ライカのMシリーズは比類のないカメラであり、単に楽しむために写真を撮っているような人が選ぶカメラでは決してない。そういう人は、M11ボディの8995ドル(日本での価格は税込118万8000円)という価格には当然ながら抵抗を感じるだろう。M10は2017年に6600ドル(日本では税別85万円)で発売されたが、インフレを考慮しても新モデルの価格には目が飛び出そうになる。もちろん、これはレンズを購入する前に払う金額だ。

しかし、今回の記事のポイントは、特にこのカメラを人々に勧めることではない。それよりも私が言いたいことは、ライカという会社が今でも技術的に興味深く、非常に優れたカメラを作っており、その技術は時折、私やあなたのような一般人でも(1~2カ月間カップラーメンを食べて生活した後なら)買えるような価格にまで下がることがある、ということだ。

今後、M11のバリエーションが増えることを期待しつつ、ここで示されたデザインの知見の一部が、より手頃な価格の製品に応用されることも期待したい。いや「手頃な」価格ではなく「中古の自動車よりも安い」価格だ。

なお、ライカM11は日本では1月21日発売予定となっており、現在予約を受け付けている。

画像クレジット:Leica

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)