LGがスマートホーム製品向けAIチップを独自開発

かつて勢いがあったスマホ部門が影をひそめるにつれ、LGは新興テックに注意を向けている。LGはこれまでに自動車関連、なかでも自動運転能力に注力してきたが、今日、独自のAIチップを開発すると発表し、スマートホーム部門で賭けに出た。

新たなチップには、ロボット掃除機や洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどを含む未来のスマートホームデバイスに使われる、深層学習アルゴリズムを改善する独自のニューラル・エンジンが含まれる、とLGは説明した。このチップはデバイス搭載のプロセッシングのおかげでインターネット接続なしに作動する。そして個人情報の蓄積には“別のハードウェアに内蔵されたセキュリティゾーン”を使う。

「音声知能が正確に声や騒音の特徴を認識し、そしてプロダクト知能が周囲の物体や化学的な物質の変化をとらえることでデバイスの能力アップを図るように、AIチップは空間や位置情報、物体、ユーザーを認識・区別するビジュアル知能を可能にする」とLGは発表文で説明している。

今日までにAIや機械学習知能をチップセットレベルで求め、不動の地位を確立したきた企業はIntelやARM、Nvidiaくらいで、その一方で新参者としてはGraphcoreやCerebras、そしてVCが資金を注入しているWave Computingなどがある。

実際、AIや機械学習に挑む企業はブームのように増えている。昨年のニューヨーク・タイムズの報道によると、「少なくともスタートアップ45社がスピーチや自動運転車のようなタスクをこなすことができるチップに取り組んでいる」。しかし、ここには中国政府が財政面をバックアップしているノーマークのプロジェクトは含まれていない。

単独でAI分野に参入すると決めたのはLGだけではない。FacebookやAmazon、Appleも特定の目的のためにAIや機械学習のチップ開発に取り組んでいるとされている。LGの場合、開発するAIはスマートな家庭電化製品向けにカスタマイズされる。

「我々のAIチップは未来のLGプロダクト向けに最適化された人工知能を提供するようデザインされる。これは、我々の人工知能戦略の主要三本柱(進化、コネクト、オープン)を推し進めるものとなり、これまでよりも快適な暮らしを客に提供する」とLG電子の会長でCTOのパク・イルピョン氏は発表文で述べた。

同社の家庭電化製品部門は四半期としてはこれまでで最高の売上高を記録したばかりだ。スマホ部門の不振にもかかわらず、AIを活用する主要部門である家電や家庭エンターテイメント部門の好成績により、LGは昨年24億ドルの利益を出した。

イメージクレジット: ROBYN BECK / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi)