LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)