ユニークな強みを持つデバッグと可観測性プラットフォームのLightrunが25.3億円調達

開発者による本番コードのデバッグを支援するスタートアップLightrunが米国時間5月26日、Insight PartnersリードするシリーズAで2300万ドル(約25億3000万円)を調達したことを発表した。同社の400万ドル(約4億4000万円)のシードラウンドを仕切ったGlilot Capital Partnersもこのラウンドに参加している。

モニタリングのスタートアップは海水より多いが、その中でLightrunが傑出しているのは、ITのチームよりもデベロッパーを重視し、彼らが自分の日常のIDE(統合開発環境)からプロダクションコードをデバッグできるようにするからだ。彼らはわずかなキーストロークでモニタリング用のコードを装備できるが、ここで重要なのはLightrunが、コントロールをデベロッパーに持たせるための、同社が「ops-free」と呼ぶプロセスを提供することだ。この「シフトレフト」のアプローチにより、アプリケーションをモニタリングする工程をSplunkやNew Relicのようなops中心のツールから外して、デベロッパーがすでによく知っているワークスペースの中へ置く。

Lightrunの共同創業者でCEOのIlan Peleg(イラン・ペレグ)氏は次のように説明する。「可観測性の市場は極めてITのオペレーター指向です。ITのオペレーターが、サービスがダウンしているという恐れていたページをもらうと、彼らはサーバー上で実働しているインスタンスのヘルスメトリックスを見て、さまざまなフェイルオーバー方法とサービスの健康回復策を試みます。しかも彼らは、システム管理のために日常的に使っているのと同じインタフェイスの上でネイティブにそれを行おうとします。しかし、デベロッパーがバグがあるという恐ろしい通知をもらったら、それは犯罪の初動捜査のようなものになり、容疑者不在でわずかな手がかりしかありません」。

 

現在このサービスはJavaと、それ用の開発環境であるIntelliJのみをサポートしているが、言語とプラットフォームは今後もっと増やし、まずPythonとNode.jsをサポートし、対応するIDEも増やす予定だ。

ラウンドをリードしLightrunの取締役会に入ることになったInsight PartnersのマネージングディレクターであるTeddie Wardi(テディ・ワルディ)氏は、次のように述べている。「さまざまな可観測性ソリューションが市場に参入していますが、その中でLightrunのシフトレフトのアプローチは本当にユニークだ。可観測性をソフトウェア開発のライフサイクルの左(初期工程)へシフトすることの主眼は、可観測性をデベロッパーの日々のワークフローに合体することです。Lightrunは可観測性をさらにops抜きでリアルタイムで、他のどんなプラットフォームよりも開発工程にとってより人間工学的にしています。彼らは今後、敏速な機能開発と高頻度なデリバリーを最優先する企業の開発チームの、巨大な国際市場を手中にする位置にある、と私たちは信じています」。

同社は最近、サービスの無料のコミュニティエディションをローンチし、またDatadogやIntelliJ IDEA、Logz.io、Prometheus、Slack、StatsDなど一連の新たな統合を導入した。Lightrunの現在の顧客には、TaboolaやSisense、Tufinなどがいる。

同社の社員数は、2020年の1年間でそれまでの倍に増えた。今度の資金はデベロッパーコミュニティの育成の継続と、さまざまな能力を持った人材の雇用に当て、米国におけるプレゼンスも、もっと大きくしたいという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Lightrunデバッグ資金調達

画像クレジット:Andrea Giampietro/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)