Limeがアプリを刷新してWheelsの電動バイクと連携、今後も競合他社を取り込む計画

Lime(ライム)は、鮮やかな緑色のマイクロモビリティデバイスや、最近では象徴的な赤いJumpの電動自転車を所有していることで最もよく知られているかもしれない。しかし現在、同社は、独自のアプリ上で他の多くのマイクロモビリティブランドを「収容」する方法で事業を拡大しようとしている。

Limeアプリは、顧客が自転車やスクーターを探したりレンタルしたりするために使用されているが、特定の都市ではWheelsブランドの電動バイクの提供を開始する予定だ。今冬には、テキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ワシントン州シアトルと、ドイツ・ベルリンのユーザーがLimeアプリを開くと、近くにあるWheelの電動バイクが自動的に地図に表示され、価格情報が表示される。利用者はLimeアプリを使って、Whiesの電動バイクをレンタルできる。

Wheelsとの提携はまだ始まったばかりだ。Limeは、今後もシェア型マイクロモビリティのプロバイダーを増やし、他の市場にも拡大していく予定とのこと。

Limeは「Wheelsのユニークなデザインと、安全性とアクセシビリティのメリットがあるから」という理由で、最初にWheelsをプラットフォームに選んだ」と述べている。Wheelsは、Wagの創業者であるJonathan Viner(ジョナサン・バイナー)氏とJoshua Viner,(ジョシュア・バイナー)が立ち上げた企業で、より使いやすく設計されたペダルレスの電動バイクを所有している。Wheelsはまた、自転車に一体化した共有可能なヘルメットシステムも開発した。スマートフォンでロックを解除できるこのヘルメットには、取り外し可能な衛生的なライナーが付属している。

「人々は、都市の周りの小旅行をするために、より多くの電動で共有可能な、手ごろな価格の交通手段を求めている」とLimeのCEOウェイン・ティン氏は声明で述べている。「Limeは近い将来、、5マイル(約8km)以下で車を使わない旅行をしたいと考えている人のための一気通貫のサービスになるでしょう。我々は、都市交通の代替モードに対する膨大で成長している需要を考えると、乗客にさらに多くの選択肢を提供するプラットフォームを立ち上げることに興奮しています」と続ける。

この動きは、買収計画を示唆するものではない。Wheelsは今後も独自の会社であり続けるだろう。その代わりに、WheelsのCEOであるバイナー氏は「提携によってLimeアプリにWheelsが搭載されることは、誰もが安全なマイクロモビリティの選択肢にアクセスできるようにするという自社のミッションをサポートするものだ」と述べている。

「Limeはシェアードマイクロモビリティサービスの最大のプロバイダーであることを考えると、当社のミッションを推進する上でLimeと提携できることに興奮しています」とバイナー氏は述べている。

なお、Wheelsの車両は「Wheels」アプリでも引き続き利用できる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lime、Wheels、電動バイク

画像クレジット:Wheels

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(翻訳:TechCrunch Japan)

電動キックボードのLimeが12都市から撤退し約100人を解雇

Limeは今年、全従業員の14%を解雇し、12マーケットから撤退して黒字化を達成しようとしている。Axiosが最初に報じた

「財政的な自立が我々の2020年の目標だ。Limeが次世代モビリティ企業として黒字化を達成する最初の企業になる自信がある」とLimeのCEOであるBrad Bao(ブラッド・バオ)氏はTechCrunchに宛てた文書で述べた。「チームメンバー、ライダー、Juicer(スクーターを充電する人)、我々をサポートしてくれた都市に深く感謝している。時が来たらこうしたコミュニティに再び戻って来られるよう願っている」。

Limeは、米国ではアトランタとフェニックス、サン・ディエゴ、サン・アントニオから、オーストリアではリンツから、コロンビアではボゴタから、アルゼンチンではブエノスアイレスから、ウルグアイではモンテビデオから、ペルーではリマから、メキシコではプエルト・バヤルタから、そしてブラジルではリオデジャネイロとサンパウロからそれぞれ撤退する。

Limeがサービスを展開していたマーケットから撤退するのは今回が初めてではない。過去1年間でLimeは新たに69マーケットに参入した一方で、少なくとも11マーケットから撤退した。2018年から2019年にかけて競合相手のBirdは36マーケットに参入し、38マーケットから撤退した。

解雇はいただけないが、これはLimeに限った話ではない。昨年BirdとLyftも従業員を解雇した。Birdは3月に全従業員の5%を、続いて12月には買収したScootの従業員12人をレイオフした。同様にLyftも、3月に自転車とスクーターのチーム50人を解雇した。

Limeは2月にBain Capitalがリードする資金調達ラウンドで31000万ドル(約3400億円)を調達し、バリュエーションは24億ドル(約2630億円)となった。

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(翻訳:Mizoguchi

電動キックスクーターのLimeが週ごとのサブスクリプションを提供

Lyft(リフト)と提携先のUber(ウーバー)に続き、Lime(ライム)も電動スクーターのサブスクリプションを開始した。LimePassと呼ばれるこのサービスは、1回につき1ドルや1ユーロを支払うのではなく、無制限に乗車できる(移動ではない)電動スクーターを1週間単位で利用可能だ。

LimePassは現在、米国、オーストラリア、ニュージーランドにて展開されている。さらにLimeは来月初めに、このサービスを他の市場でも展開する予定だ。LimePassの料金は市場によって異なるが、Limeによると米国のほとんどの都市では4.99ドル(約550円)かかるという。つまり、元を取るには少なくとも週に5回はLimeを利用する必要がある。Limeがこのようなやり方をするのは賢明で、以前と変わらず毎回の移動から利益が得られ、人々にもっと多くの乗車を促せるからだ。

世界中のライダーの50%以上が、市街地での通勤や日常的な移動においてLimeを信頼している」と、Limeでプロダクトマネージャーを務めるKevin Shi(ケビン・シ)氏は声明で述べた。「新しいLimePassを利用することで、より効率良く街を移動し、忙しいスケジュールをやりくりできることを誇りに思う」。

来年初めに、Limeはアフリカで初めて電動シェアスクーターを展開する企業になる予定だ。米国やヨーロッパでは公共の歩道にスクーターを設置しているが、アフリカではスクーターは市中のプライベートなエリアに設置される。

今年初め、LimeはBain Capital主導のシリーズDラウンドで3億1000万ドル(約340億円)を調達した。このラウンドにより、これまで調達した資金の総額は8億ドル(約880億円)を超えた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ライドシェアLyftがレンタカー参入、Uberは撤退済み

ライドシェアの登場により、金をかけて車を所有する必要性は減ってきた。だが、遠くまで行く際などにはライドシェア以外の選択肢が必要なこともあるだろう。米ライドシェア大手のLyftは、レンタカーでそのようなニーズを満たすことを目指す。Lyftは12月12日、サンフランシスコ、オークランドとロサンゼルスでレンタカーサービスの「Lyft Rentals」を、まずは一部ユーザーを対象に提供開始した。

Lyft Rentalsでは、ユーザーはLyftのアプリから予約などの手続きができ、同社いわく、並ぶことなく車両をピックアップすることが可能だ。それ以外の強みは、Lyftいわく、想定外の追加料金が発生しない点。走行可能な距離は無制限で、期間は最長で2週間。ガソリンを入れずに返却しても、地域の市場価格に基づいたガソリン料金が請求されるだけで済む。

車をピックアップする場所への移動、そして返却後の移動に関しては、各移動に対しLyftが最大20ドル分のライドシェア料金を負担するため、同社は「ドア・ツー・ドア」のサービスであることを売りにしている。車をピックアップする際にはLyftのコンシェルジュから鍵を受け取る必要がある。ここに関しては、スマホで車両を探し鍵を開ける個人間カーシェアリングのGetaroundが持つようなコネクテッドカー技術による利便性は今のところ見られない。車の返却時には、鍵を専用のボックスに投函する。

車種は、サンフランシスコとオークランドではVolkswagen PassatとVolkswagen Atlas、ロサンゼルスではMazda3とMazda CX-5が利用可能となっており、今後はハイブリッド車も追加される予定だ。ペットの乗車も可となっている。Lyftは、Lyft Rentalsで提供する車両をライドシェア目的でドライバーが利用することは今のところは不可としている。

Quartzいわく、Uberは前述のGetaroundと共にレンタカー事業の「Uber Rent」を展開していたものの、提供を開始した2018年内に、わずか6ヵ月ほどでサービスを終了している。ローンチ時にGetaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏が、ライドシェアによる短距離移動、そしてカーシェアリングによる長距離移動のコンビネーションにより、ほぼ全ての人たちの移動のニーズを満たすことができる、と綴っていたのにも関わらずだ。同氏は「車の所有を所有しないことを洗濯した人たちにとって完璧なコンビネーションになる」ともコメントしていた。

Quartz記者のAlison Griswold氏によると、Uberの担当者、Kaitlin Durkosh氏は「Uberアプリを通じてレンタカーを提供する上での最適な手段を模索したい」とメールでコメントするのみで、詳細を説明しなかった。Griswold氏は、Uber Rentがあまり使われていなかったため、電動キックボードや電動自転車のようなマイクロモビリティ領域に注力した可能性、そしてUberの出資先である電動キックボードのLimeがレンタカーを開始する予定であったことを指摘している。なお、TechCrunchによると、2018年11月にシアトルで開始したLimeのレンタカー事業「LimePod」は今年中に終了する予定だ。

Limeがケープタウンで電動スクーターをローンチ

Lime(ライム)はアフリカで電動スクーターを運用する、初の大手オペレーターとなる。同社は来年初め、南アフリカのケープタウンで電動スクーターをロールアウトする。なお、米国やヨーロッパでは歩道にスクーターが設置されているが、Limeはケープタウンにてスクーターを市中のプライベートな場所に設置する。

Lime GlobalにてOperations and Strategy部門の責任者であるWayne Ting(ウェイン・ティン)氏はプレスリリースにて「ケープタウンはアフリカのテクノロジーとイノベーションを前進させる手助けをする」と述べている。「私たちの使命は持続可能で手頃な価格の交通手段を通じて、都市の生活を改善することであり、ケープタウンに住み、あるいはそこへ向かう南アフリカの人々が有意義な移動手段を利用でき、カーボンエミッションを削減できることを楽しみにしている」。

「私は電動バイクの展開を、ぜひ実現したいと思っている。なぜなら、そこには新しいソリューションをすぐに受け入れる非常に若くて革新的な住人がいるからだ」と、Birdのヨーロッパ、中東、アフリカ地域を担当するPatrick Studener(パトリック・スチューダー)氏は昨年7月に語った。

Limeは今後数週間のうちにアラブ首長国連邦、アブダビ、ドバイにも電動スクーターを配備すると述べている。同社のアブダビ進出は、Limeにとって中東における3番目の市場となる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

電動キックボードLimeのCBO、David Richter氏がTechCrunch Tokyoに登壇決定

LimeのCBO、David Richter氏

今年も11月14日、15日に渋谷ヒカリエで開催される、スタートアップとテクノロジーの祭典、TechCrunch Tokyo。モビリティー関連では、これまでに自動運転OSのAutowareを開発したティアフォー取締役会長兼CTOの加藤真平氏や、トヨタの自動運転の取り組みに関わるソフトウェアの先行開発を行っているTRI-ADのCEO、James Kufner氏の登壇を発表してきたが、本日は新たにLimeのCBO、David Richter氏の参加が決定したことをお伝えしたい。

TechCrunch Japanでも何度か取り上げているLimeは電動キックボードのシェアリング事業をコアなビジネスとして展開している、マイクロモビリティー領域におけるキープレイヤーだ。9月には福岡市の貝塚交通公園にて同社にとって日本では初の実証実験を行い、最新型の電動キックボード「Generation 3.0」を披露した。

今後、日本でのサービス展開を目指すLime。Richter氏には日本でのサービスインに向けたプランや、電動キックボードは日本においてどのようなポテンシャルを持つのか、政府や交通機関とどのように交渉し連携していくのか、などについて話を聞きたいと思う。

Richter氏は2018年10月にLimeにChief Business Officerとしてジョイン。それ以前はライドシェアUberでVP, Global Head of Business and Corporate Developmentを務めていた。

現在発売中のTechCrunch Tokyo 2019のチケットは後述のとおり。

  • 学生向けの「学割チケット」(1万8000円)
  • 5人以上の団体向けの「団体チケット」(2万円×5枚以上)
  • 「前売りチケット」(3万2000円)
  • 専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1万8000円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)

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電動キックボードのLimeが日本に初上陸、全国的な展開を視野に、まずは福岡市でのサービス提供を目指す

左から、デジタルガレージ取締役の大熊将人氏、Limeアジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏、DGインキュベーションのマネージング・パートナーのテレンス・ジャン氏、Limeアジア太平洋地域進出ディレクターのジョージ・モリソン氏。

アメリカ発の電動キックボードの大手Lime(ライム)が日本に初上陸。同社は9月7日と8日の2日間、福岡市の貝塚交通公園にて実証実験を行なった。この実証実験はLime、デジタルガレージ、KDDIが主催し、福岡市が協力。デジタルガレージとKDDIはLimeに出資している。Limeは今後、福岡市でサービス提供を開始し、その先は日本各地に展開していくことを目指す。

LimeのCEO、ブラッド・バオ氏は以前にインタビューで「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」と述べていた。9月7日に実証実験を訪れたところ、同社のアジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏もTechCrunch Japanの取材に対し、バオ氏同様に「日本は注力市場だ」と語った。

プライス氏いわく、同社が日本において最優先する目標は福岡市でのサービス開始。同氏は「日本の各地に展開する準備はできているが、まずは福岡市だ」と意気込み、「今後も実証実験を行っていくことで、人々に電動キックボードに慣れ親しんでいただきたい」と加えた。

福岡市長の高島宗一郎氏は2月、内閣府での国家戦略特区会議にて、福岡における電動キックボードの規制緩和を提案。そのため、他都市よりも先に、福岡市でのサービス開始が見込めるとLimeは考えているようだ。

日本にはLuup(ループ)やmobby(モビー)、WIND(ウィンド)、ema(エマ)などの競合が存在し、8月31日と9月1日には同じくアメリカ大手のBirdが貝塚交通公園にて実証実験を開催した。だが、プライス氏は「(Limeが)グローバルリーダーだ」と話すなど、強気だ。「我々のキックボードは市場に出回っているどの機種よりも優れている。Limeのキックボードは最も大きく、強く、そして安全だ」(プライス氏)。

Limeはハードウェアを自社でデザインし、製造している。プライス氏いわく、キックボードは「コンピューターのようなもの」。福岡市での実証実験でも使用された電動キックボード「Generation 3.0」の特徴は、ホイールが大きく、前輪にはサスペンションがあり、デッキ下にバッテリーを積むなどすることにより重心が安定しやすいよう設計されている点だとプライス氏は説明した。自社製造していることで機体のモニタリングやトラッキング、そしてアップグレードなどをより頻繁に、かつ簡単に行える。加えてもちろん、オペレーションも自社で行う。日本でも求人を開始した。

Limeの電動キックボード「Generation 3.0」。実証実験では20台ほどが使用された。

「Limeは電動キックボードのデザイン、製造、デプロイし、全てのプロセスをマネージする唯一の企業だ」(プライス氏)。

だが、各国での展開において、他社と協力して規制を緩和し、協力していくのがLimeの姿勢。プライス氏いわく、ドイツでは今年、電動キックボード利用に関する法律が定められたことで免許証なしで利用ができるようになったが、それに関しても他社との協力により成し遂げられた。日本展開においても、LimeはデジタルガレージやKDDIによるサポートは必要不可欠であり、日本のスタートアップなどとの連携も重要視していると考えている。

デジタルガレージ取締役の大熊将人氏は「業界全体を盛り上げていくことが重要。(他社と)協力しながらやっていきたい」と話す。「敵対視をする気は全くない。業界で一枚岩となり、規制の緩和に向け働きかけることが重要」(大熊氏)。国内電動キックボード事業者を中心とした、Luup、AnyPay、Zコーポレーション、mymerit、紀尾井町戦略研究所による「マイクロモビリティ推進協議会」にLimeが加わることも考えられるかもしれない。

Limeは日本展開の第一歩を踏み出したばかりだが、プライス氏は今後に関してかなり野心的だ。「対話を進めていく」ことが次のステップだと、あくまで慎重な姿勢を見せつつも「ある人物と『東京五輪までに電動キックボードがあれば素晴らしくないか』という話をした」と加えた。

「日本には海外から多くの人々が訪れることとなる。フランスやドイツ、アメリカ、オーストラリアなどから来る旅行者は既にLimeアプリをダウンロード済み。そして彼らは優れた移動のオプションの利用を熱望しているはずだ。電動キックボードは渋滞を緩和し、人々の移動を楽にする優れたソリューションだと考えている」(プライス氏)

DGインキュベーションのマネージング・パートナー、テレンス・ジャン氏は「東京オリンピックは決して東京だけでなく、日本中が盛り上がる祭典だ。旅行者は日本各地に訪れる」とプライス氏の発言にに付け足した。「Limeは多くの都市で同時に実証実験を行える。それは他社にはできない強みだと考えている」(ジャン氏)

電動キックボードのLimeが上陸へ「日本は参入が最も難しく、最もポテンシャルが大きい市場」

LimeのCEO、Brad Bao(ブラッド・バオ)氏

電動キックボード事業を展開するLime(ライム)は早ければ今年中に日本市場に参入する。同社のCEOのBrad Bao(ブラッド・バオ)氏がTechCrunch Japanとの取材で明かした。

日本といえば規制大国。電動キックボードを取り巻く環境についても例外なく厳しい。

Limeは出資を受けているデジタルガレージとともに日本展開に向け準備しているが、なぜ日本で電動キックボードのシェアリングサービスの展開を目指すのだろうか。「Limeは日本での電動キックボードの普及に大いに貢献できる」と意気込むバオ氏に、電動キックボードとマイクロモビリティーの日本における可能性について話を聞いた。

電動キックボードの“社会的な意義”

ライドシェアやカーシェアリング、自転車のシェアリングなど、近年、様々な移動のオプションが誕生してきた。だが、そんな中でも電動キックボードのシェアが圧倒的に拡大している理由は、混雑を緩和できる、時間を節約できる、環境に優しい、など、「他の乗り物にはない利点」が多く存在するからだとバオ氏は説明する。

バオ氏はKinzon Capitalの代表パートナーでもある。モビリティ領域を研究する中、Uberのようなライドシェアに注目していたが、「Uberにより交通渋滞や環境汚染が改善されるわけではない」と気付き、2017年にLimeを共同創業する。創業から約2年だが、同社はこれまでに7.77億ドル(約844億円)調達し、バリュエーションは24億ドル(約2600億円)だ。

「車やUberを使っても交通渋滞に引っかかってしまうので、毎日のように同僚と『今日も渋滞はヒドかった』と会話をすることになる。だからこそ、苦しみ続けながら繰り返し文句を言うのではなく、何らかのアクションを取る必要があった。単に『短距離移動』にビジネスチャンスを見出しただけではなく、社会的意義を感じてこの事業を立ち上げた」(バオ氏)。

LimeはこれまでにLime BikeやLime Transit Podなども展開しているが、現在注力しているのが電動キックボード。

Limeが4月に発表したレポートによると、「車でなくLimeを利用することで、ユーザーは1日26ドル節約でき、年間200kgものCO2を削減できる」。同社いわく、Limeはこれまで90万ガロンものガソリンを節約。これは1700台の車が一年間稼働しなかった際に節約できるガソリンの量と同等だ。

加えて、National Household Travel Surveyが2010年にリリースした調査結果によると、車や自転車の利用を含む全ての移動の40%が2マイル以下、そして1マイル以下の移動の60%は車、ピックアップトラックやSUVなどの自家用車によるもの。そのため、移動の多くは車でなく電動キックボードで済む、とも言えるだろう。

車以外の選択肢だと、電動キックボード以外にも自転車シェアリングなどがあるが、自転車はドックまで取りに行く必要があるうえ、最悪必要時にすべて貸し出されていることも。その点、アプリでその辺に転がっている電動キックボードを探すのは比較的楽だ。

また、電動キックボードは「自転車と違い、どんな服でも乗ることが可能」。バオ氏いわく、「性別や年齢を問わず乗りこなすことができるため、自転車と比べて女性の利用者の率が高い」。確かに、スカートを履いている場合やスーツをきている場合などには、自転車よりも電動キックボードのほうが乗りやすいだろう。

同社が3月にリリースしたレポートによると、Limeユーザーの33%は女性。一方、通勤で自転車を利用する人たちのうち28%が女性。大差ないように思えるが、バオ氏いわくこの差は今後も開いていく見込みだ。

電動キックボードの王者、Limeは日本をどう見ているのか

日本の規制が厳しいことはバオ氏も十分に理解している。だが、同氏はそれ以上に「可能性」を日本に見出しているようだった。

「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」(バオ氏)。

展開する場所は現段階では定かではないが、地方都市で実証実験を行なった末、いずれは「ビッグチャンス」である東京での展開も視野にある。

「日本は都心部の人口密度が非常に高く、交通機関は混雑しており、シェアリングサービスが活躍できる。加えて、我々はサービスを提供し利益を得るだけでなく、『新たなライフスタイル』を提案することが重要だと考えている。より環境に優しく、効率的で楽しく。そして東京のような街は文化的な影響力が強い。他の街や国へ文化が伝わっていく」(バオ氏)。

バオ氏いわく、東京では高いタクシーに金を出すか、駅で電車を待つしか選択肢がないため、Limeの電動キックボードは大いに活躍することができるという。東京、もとい日本にはUberなどのライドシェアもないも当然。

なぜ他社の日本参入よりもLimeの上陸のほうが「電動キックボードの普及・定着」に大きな意味があるのか。バオ氏は、それはこれまでLimeが都市と「データをシェア」することで業界をリードしてきたからだと話す。

「そのデータをもとに、都市はキックボードの設置エリアなどを検討する。このようなデータは街は持っていないし、プライベートカンパニーは従来、シェアすることを拒んできた」(バオ氏)。

Limeでは乗車位置や降車位置のほか、交通状況、ホットスポットなどに関するデータも蓄積している。

「プラニングのため、街と情報をシェアしたり、安全のためのキャンペーンや低所得層やスマホを持っていない人たち、クレジットカードを持っていない人たちでも利用できるようにしている。日本では現金がよく使われているが、すでにソリューションはある」(バオ氏)。

そして「Limeは世界中の地下鉄やバスなどの交通機関との連携してきた。そして我々はあくまでラストワンマイルに最も適したソリューションを提供している」と同氏は加えた。

現在は日本には電動キックボードに特化した規制はなく、道路交通法の規定により公道の走行には一定の制約がある。具体的には、国内では原付バイクと見なされるため、前照灯、番号灯、方向指示器などを搭載しないと公道は走れない。利用者は、原付バイクの免許の携帯とヘルメットの着用が必須となる。

だが、バオ氏は「我々が交渉した街や政府は変化に対し柔軟な姿勢だった」と話し、「UberLyft、そしてその他のサービスがあったからこそ、ライドシェアが盛り上がった」ように、他のローカルプレイヤーと連携することで電動キックボードの普及に貢献し、海外では実現してきた規制緩和を日本でも現実のものとすることを誓った。

現在、日本では、電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」が、将来的な実装に向け「安全性・利便性を検証する実証実験」を7月1日より浜松市と開始したほか、同様の事業を展開するmobby rideが福岡市での実証実験に続き神戸市にて体験会を8月9日に開催するなどと発表している。

ユーザーの安全のために2018年11月より半年間で25万個ものヘルメットを世界中に無料配布すると宣言したり、飲酒運転を阻止するべく対策を練っているというLime。

バオ氏は「あくまでも規制は厳守する」と繰り返し、規制や他社の介入をディスラプトするのではなく、あくまでも「業界のリーダー」として日本での電動キックボードの普及に貢献すると誓った。

「デジタルガレージやローカルチームと協力し、ローンチまでに市場の分析を進めていく」(バオ氏)。

Uberは自転車やスクーターを前線に配備

Uberは、マイクロモビリティをコアサービスの中に取り込むため、新たな一歩を踏み出しつつある。米国時間7月1日から、UberはJUMPの自転車とスクーター、そしてLimeのスクーターを、Uberアプリを起動すると最初に開くメインマップに表示しはじめた。まずはジョージア州アトランタと、カリフォルニア州サンディエゴからだ。

Uberがサードパーティのサービスを、自社のアプリ内で目立つように表示したのは、今回が初めてのこと。Uberは、パートナーのLimeを通じて、いくつかのアプリを数か月前から提供してきたが、これまではそれほど目立つようなものではなかった。さらにLimeは、上記の都市で、スクーターにUberブランドを表示し始めた。UberとLimeが正式に提携して、ほぼ1年が経過してからのことだ。

「人々が、持っているすべての選択肢を把握できること、そしてその中から自分に最適なものを選べるようになることを願っています」と、UberのNew Mobility Platform部門の責任者、Billy Guernier氏はTechCrunchに語った。

新しいモビリティのサービスが、より目立って表示されるようになったことで、自動車から自転車やスクーターへと、ある程度利用が移行していくことをGuernier氏は期待している。かつてUberがサンフランシスコで、JUMPの自転車をアプリに追加したときには、Guernier氏は「ライドビジネスから、新たなモビリティビジネスへの真の動き」を目指しているのだと語っていた。

将来、こうしたサービスをより幅広く展開することが計画されているが、それについての具体的なスケジュールは明らかにされていない。

画像クレジット:Uber

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ラテンアメリカの電動スクーターシェアの「Grow」が1000万回の利用回数を達成

ラテンアメリカのGrow Mobilityは、マイクロモビリティのGrinとYellowが今年のはじめに合併してできた企業だ。Grinは1年前にメキシコで事業を開始した。その後YellowRideとの合併を経て、ラテンアメリカの23都市へと事業を拡大してきた。そのGrowの利用回数が1000万回に達した。

これは、BirdとLimeがそれぞれ最初の1年で達成した記録と同じペースだ。昨年9月にBirdは開業後約1年でスクーターの1000万回の利用を達成した。同じ月にLimeは開業後14カ月でバイクとスクーターの1150万回の利用を達成した

Grow Mobilityの営業地域

米国時間6月26日に、米国のLimeはラテンアメリカで電動スクーター事業を拡大し、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、メキシコ、チリで営業すると発表したばかりだった。Limeの利用回数はこれまでに6500万回に達している。

Growは1億5千万ドル(約160億円)を調達し、ラテンアメリカでスクーター、バイク、電動機付き自転車を共有する同社のユーザーは500万人いる。Growのマイクロモビリティを使ったユーザーの移動距離は、合計で1450万キロ以上となった。

画像:Yellow

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(翻訳:Kaori Koyama)

美容師のためのアプリ「LiME」がアイスタイルから2.2億円を調達

LiMEのメンバー。写真右端が代表取締役の古木数馬氏

美容師のための顧客カルテ・予約管理アプリ「LiME(ライム)」を提供するLiMEは3月27日、「@cosme」などを運営するアイスタイルを引受先として、2億2000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。LiMEは2018年2月にもアイスタイルから7000万円を調達しており、今回の増資はこれに続くものとなる。

美容師アプリのLiMEは、これまで紙で管理されてきた顧客のヘアスタイルやヘアケア情報などを記録したカルテを電子化してスマホで管理できる、基本無料のツールだ。アプリ内に写真やメモで顧客の髪型履歴を残すことができるので、美容師からは「サロンに残って施術情報を書かなくても、帰宅時やちょっとした空き時間に入力ができて効率的」と評価されているそうだ。

LiMEからは連絡先が分かる顧客に「そろそろカットにいらっしゃいませんか」といったメッセージを送信することも可能。また予約管理ツールとしての機能もあり、ウェブまたは顧客用予約アプリの「RiZM(リズム)」経由で、顧客から直接予約を受け付けることもできる(オンラインの予約受付は有料機能)。

RiZMを利用する顧客とは、写真やメッセージなど、カルテの一部を共有することもできる。

LiME代表取締役の古木数馬氏は、自分のサロンで美容師をしながらLiMEを2014年8月に設立した人物だ。現場で働く美容師としての視点から開発したアプリLiMEを2016年4月にリリース。現在は1万7000人以上の美容師が登録するツールとなっているという。

顧客とのヘアスタイル履歴共有やオンライン予約機能は、2018年10月に追加されたものだ。この追加により顧客がレビューの投稿もできるようになり、カルテや予約管理ツールとして利用しているうちに、自然と口コミや感想を蓄積することも可能となった。

また、これまでLiMEは美容師がスマートフォンで、個人個人で使うツールとして展開されてきたが、サロン全体で俯瞰してカルテ管理・予約管理ができるPC・iPad用のサービス「LiMEsalon」も開発している。LiMEsalonでは、LiMEアプリと連携することで、サロン全体の予約表や顧客管理、売上レポート機能を利用することが可能。今後LiMEでは、サロン向けサービス展開についても強化を図る。

さらにLiMEでは、今回の資金調達をきっかけに、アイスタイルが運営する@cosmeとの事業提携も検討していくということだ。

セグウェイ、新型電動スクーターと無人配送ロボットを発表

物理的消耗は電動スクーターにとって主要な問題であり、個体の寿命は短くなり経済性に劣る結果を招いている。本日(米国時間1/3)のConsumer Electric Showで、Segway -Ninebotは新型電動スクーターModel Maxを披露した。BirdやLimeのようなサービスの運用・維持コストを低減することが目的だ。

「Model Maxは複雑なシェア利用形態や消費者による過度な使用、運用ビジネスモデル、維持コストなどを考慮にいれて作られている」とSegwayがプレスリリースに書いた。「それと同時に、Segway-Ninebotは様々な運営会社のニーズや、市場ごとに異なるユーザーや消費者のニーズを広く受け入れている」Segwayは仕様の詳細については明らかにしていないが、1月8日に追加情報を発表すると言った。

Segwayの一部のNinebotスクーターがLimeに安全上の問題をもたらしたことは知っておくべきだろう。昨年8月、LimeはSegway Ninebotスクーターの一部に潜在的問題があることを認識した。具体的には、早期バージョンのスクーターの一部で、2台のバッテリーのうち1つに問題があった

同じくNinebotのスクーターを使用しているBirdは、調査の結果Segway-Ninebotから購入した車両に問題がなかったことを報告した。

また今日Segwayは、ラスト1マイル用無人運転車両、Loomo Deliveryも発表した。このロボットを使って食品、小荷物などの無人配送を行うことが狙いだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Mapsが世界の13の都市のLimeの自転車とスクーターの場所を表示

Googleが電動スクーターのLimeとパートナーして、世界の13都市のレンタル自転車とスクーターの場所をGoogle Mapsに表示することになった。Limeのスクーターが近くにあったら、Google Mapsはそこまでの距離や目的地までの推定利用料金、走行時間などを教える。

Google Mapsは前にもUberを統合したが、LimeでもタップするとLimeのアプリが開く。まだインストールしていない人は、Apple App StoreやGoogle Play Storeへ連れて行かれる。

今利用できるのは、オークランド(ニュージーランド)、オースチン(テキサス州)、ボルチモア(メリーランド州)、ブリズベン(オーストラリア)、ダラス(テキサス州)、インディアナポリス(インディアナ州)、ロサンゼルス(カリフォルニア州)、サンディエゴ(カリフォルニア州)、オークランド(カリフォルニア州)、サンノゼ(カリフォルニア州)、サンアントニオ(テキサス州)、スコッツデール(アリゾナ州)、シアトル(ワシントン州)だ。Googleによると、そのほかの都市も目下作業中だそうだ。

9月にLimeは、開業14か月で1150万の自転車とスクーターの利用者を記録した。Limeはこれまでに4億6700万ドルの資金を調達している。いちばん最近は、GVがリードしUberが参加する3億3500万ドルのラウンドだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Lime、シアトルでカーシェアリング展開へ

明るい色のドックレス自転車と電動キックスクーターで知られ、資金もたっぷり調達しているLimeは、ユーザーに新たな交通手段を提供する。車だ。

今週から、シアトルのLimeユーザーはLimeブランドの2018 Fiat 500“LimePod”をLimeのモバイルアプリで予約できるようになる。50台でサービスを開始し、今月末にはさらにその台数を増やす見込みだ。

「Limeのカーシェアリングに使うLimePodは地域社会にとって便利で、そして手頃料金で利用でき、耐候性あるモビリティソリューション」とLimeの広報はTechCrunchにコメントしている。「スクーターや電動アシスト自転車とまったく同じように、車探しや解錠、支払いが簡単に済ませられる」。

LimePodの利用は、車を解錠するのに1ドル、使用1分ごとに40セントかかる。Limeはカーシェアリングを来年カリフォルニアでも展開する計画だ。参考までに、電動キックスクーターと電動アシスト自転車の使用料金は解錠するのに1ドル、使用1分ごとに15セントかかり、通常の自転車では解錠1ドル、使用1分ごとに5セントとなっている。

カリフォルニア大学バークレー校卒業生のToby SunとBrad Baoによって設立されたこのスタートアップはこれまでに、GV、Andreessen Horowitz、IVP、Section 32、そしてGGV Capitalなどから資金4億6700万ドルを調達している。報道によると、Limeは現在も資金調達中で、企業価値30億ドル、もしくは最新の企業価値の3倍近くを目標にしている。

Limeは急速に事業を拡大していて、最近ではオーストラリアに電動キックスクーターと電動アシスト自転車を上陸させた。また毎週のように幹部を採用している。先月はAlphabetのベンチャー部門GVのゼネラルパートナーで取締役会の現メンバーでもあるJoe Krausを初のCOOに選出した。その前は、Uberの最高業務責任者だったDavid Richterを、初の最高業務責任者ならびに臨時の最高財務責任者としてひっぱってきた。

7月にLimeはLimePodを主導してもらおうとPeter DempsterをReachNowから引き抜いていた。


イメージクレジット: Lime

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(翻訳:Mizoguchi)

LimeのスクーターのライダーがワシントンD.C.で今月二人目の死亡事故に遭う

生後18か月のサンフランシスコのスタートアップLimeは、今やその明るいグリーンの自転車やスクーターがアメリカ中の都市に広まっている。今日(米国時間9/11)はタコマとワシントンでパイロット事業を立ち上げたが、でもその小さな勝利は、短命と感じられたかもしれない。その理由は、この国の反対側〔イーストコースト〕で今日、Limeのライダーが、ワシントンD.C.のDuPont界隈を乗り回しているとき、一台のSUVに殺されたからだ。地元の消防署が救助時のビデオをビデオをシェアしたが、被害者の成人男性を車の下からひきずり出さなくてはならなかった。

それは、知られているかぎり同社にとって二度目の死亡事故で、今月初めにはダラスで、24歳のテキサス州の男性が自分が乗ってるスクーターから落ち、頭を強打して死亡した。

ある面でそれらの事故は、不運だったとはいえ、現状のライダーやe-スクーターの劣悪な脆弱性があるかぎり、誰にとっても意外ではないはずだ。e-スクーターの利用は増えていて、LimeとそのL.A.のライバルBirdは今週、彼らの顧客が1000万を超えた、と発表した。しかしそれと同時に、各都市はからと、歩行者の事故防止のために歩道での使用を禁止している。そこでライダーたちは、彼らがいずれ徐々に追い払いたいと願っていたものと同じタイプの、巨大で排気ガスを吐きまくるマシンと、街路を共有することになった。ところが、追い払うどころか、SUVの売上台数は、失業の減少と製品に対する消費者の高い信頼、そしてアメリカ人の心から消えることのない巨大な乗り物への愛が相まって、どんどん増え続けている

e-スクーターの企業とその投資家たちが前から言っている解決策は、専用レーンを設けることだ。Birdは、自転車とスクーターの安全を確保するインフラストラクチャを作るためのファンドまで創設している。

ヘルメットの着用義務も有効と思うが、カリフォルニア州は反対している。水曜日(米国時間9/19)にJerry Brown知事は、電動スクーターに乗る〔年齢18歳以上の〕カリフォルニア州民は1月1日よりヘルメット着用を義務付けられない、という法案 に署名した。

この法案はBirdがスポンサーだ、と報じられている。

画像クレジット: Lime

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

電話予約や紙のカルテが不要に――美容師のカルテ管理アプリ「LiME」が7000万円調達

美容師のカルテ管理サービス「LiME(ライム)」を提供するLiMEは2月7日、「@cosme」などを運営するアイスタイルを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は7000万円だ。

LiMEのメンバーら。写真一番左が代表取締役の古木数馬氏

腕の良さそうな美容院をネットで探し、電話で予約する。その際、「ご希望の担当は?」と聞かれるが、初めてで誰がよいのか分からないので、「空いている人で」と言い返す。そんなやり取りがなくなるかもしれない。

美容院で扱う顧客カルテとは、顧客の髪質や過去の髪型を書き留めておく書類のことだ。通常、そのようなカルテは紙で保管されており、人気の美容師であればあるほどその数は膨大になる。

LiMEを使うことで、美容師はその顧客カルテをスマホアプリで管理することが可能になる。アプリなので顧客の検索も簡単で、スマホで写真をとってアップロードすれば過去の髪型もすぐに見返すことができる。また、LiMEは予約管理ツールとしても機能する。受付のPCから予約情報を入力すると、美容師がもつアプリに搭載されたカレンダーにもリアルタイムで予定が反映される。

LiMEは今回調達した資金を利用して、美容師に通う一般ユーザー向けに予約アプリ「STEKiNA」の開発にも着手する予定だという。STEKiNAはLiMEの予約台帳は一元管理される予定で、このアプリが完成すれば、ユーザーはわざわざ美容院に電話連絡をしなくても、アプリ上のカレンダーにある「空き」の部分に予定を入力するだけで予約できる。

また、このアプリはお気に入りの美容師を見つけるための手段にもなる。美容師と一括りに言っても、それぞれが得意・不得意の分野をもっている。ある人はカラーやショートヘアーが得意な一方で、ある人はパーマやロングヘアーが得意といった具合だ。STEKiNAは美容師専門のSNSのような要素もあり、美容師が過去に手がけた髪型や日々の仕事の様子などを投稿することができる。それに加え、ユーザーからのレビュー機能も追加される予定だ。

ユーザーはそれを見て、自分がなりたい髪型が得意そうな美容師を見つけ、そのままアプリでその美容師のスケジュールをチェックし、予約することも可能になるという。

LiMEはフリーミアムのマネタイズモデルを採用。カルテ管理、予定管理、売上レポートなどの基本機能は無料で提供し、美容師間でのカルテの共有・閲覧、より詳細な売上レポートは月額7800円で提供する。

「ユーザーがInstagramを通して(美容室ではなく)美容師を探すという例が増えている。従来のサービスのように事業体である美容室に光を当てるのではなく、個人である美容師に力を与えるようなサービスを作りたかった」と、LiME代表取締役の古木数馬氏は語る。

美容師から起業家へ

ちなみに、古木氏は現役の美容師だ。平日は起業家としてサービスを開発するが、週末には今も美容師としてハサミをもつ。スタートアップ業界とは無縁だったという古木氏が起業するきっかけになったのは、彼が所属していた美容院にたまたま通っていた、ツクルバ代表取締役の村上浩輝氏との出会いだった。

古木氏は美容師として働くうちに、美容業界が抱える課題を認識するようになったという。しかし、その具体的な解決方法を見出すことはできずにいた。「浩暉さんの担当として髪を切っているとき、どんなわけか、僕が胸に抱えていたモヤモヤを話すことがあった。それを聞いた浩暉さんは、その解決策の1つとして『起業』という手段があることを教えてくれた。その言葉を聞いたのは、それが生まれて初めてだった」と古木氏は語る。

起業を決意した古木氏は、これから手がけるビジネスについてのイメージを固め、ピッチイベントにも参加した。でも結果は惨敗で、「ボコボコにされてしまった」(古木氏)。ビジネスについての知識の無さを痛感し、そこから猛勉強を重ねたという。

そして2016年4月、LiMEをリリースした。サービスリリースから約1年半がたった今、LiMEに登録した美容師の数は9000人に拡大している。古木氏は、LiMEはまだ大々的なPR活動を行っておらず、この数のユーザーを集められたのは美容師間の口コミの効果が大きいと話す。美容師である古木氏は、美容院の現場で実際に働く人々の目線でこのサービスを作った。だからこそ美容師たちに受け入れられ、口コミが生まれたのかもしれない。