米FDA、針を使わない血糖値モニターを認可

米国食品医薬品局(FDA)が現代科学技術に向けて準備運動している証拠がまた一つ見つかった ―― このたびFDAは、血液サンプル採取のために針を刺す必要ない初の連続血糖値モニターを承認した

今日(米国時間9/28)FDAは、Abbot社のFreeStyle Libre Flash Glucose Monitoring Systemを認可した。皮膚の下に挿入した小さなセンサーワイヤーを使って、成人糖尿病患者の血糖値を測定する装置だ。別の棒状の装置をセンサーにかざすことで血糖値の測定結果を読み取ることができる。

これはFDAにとって記念すべき一歩だ。現在米国には300万人近くの糖尿病患者がいて、一日数回、何かを食べるたびに自分に針を刺して血糖値を測定しなければならない。

ただし、針を使わない血糖値モニターのアイデアは新しいものではない。ここ数年多くのIT企業がこの巨大な糖尿病市場に関心を持っている。Appleもこの種のデバイスを開発しているという噂があり、CEO Tim Cookが、Apple Watchと接続するプロトタイプらしきものを装着しているところを目撃されたこともあった。

ほかにも現在まだ開発中のGlucowiseを始め、いくつもの会社が同様の製品開発に取り組んでいる。

しかし、針のない血糖値センサーの開発は容易ではなさそうだ。Googleは血糖値を検出するコンタクトレンズを作ろうとしたが、医薬品会社のNovartisが2014年にライセンスして以降、プロジェクトは行き詰っているようだ。やはりFDA認可済み非侵襲血糖値モニターのGlucoWatchは、2000年代初頭に認可されたが、消費者は使いにくいと感じ、中には悪性の皮膚疾患を起こした例もあった。

しかし、今日Freestyleのモニターがあらゆる苦難を乗り越えて認可されたことで、新たな希望がでてきた。この装置は18歳以上が対象で、12時間の始動期間の後最長10日間装着できる、とFDAウェブサイトの声明に書かれている。

「FDAは、糖尿病などの慢性疾患を抱えて暮らす人々の治療を、簡単かつ管理しやすくする新技術に常に関心を寄せている。」とFDA広報担当者のDonald St. Pierreは言う。「このシステムを使えば糖尿病患者は、時には痛みを伴う血液採取をすることなく治療に必要な情報を得ることができる ―― 読み取り装置をかざすだけだ」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

あなたの英文の文法チェックをしてくれるGrammarlyが初めての投資ラウンドで$110Mの巨額を調達

文法が苦手な人は少なくない。ちなみに、“a lot”は二語だし、 “Your”と“you’re”は同じ語ではない。

知る人ぞ知るGrammarlyは、ソーシャルメディアやメールで好印象を与えたいと願っている学生やライターや一般人のための、フリーミアムの文法チェッカーだ。同社は今、General CatalystやIVP, そしてSpark Capitalから1億1000万ドルを調達して、事業の底入れ強化を目指している。

8歳の同社にとって、これが初めての資金調達だ。Grammarlyはすでに利益を上げているから、投資家たちも気前が良い。

IVPのゼネラルパートナーJules Maltzは語る、“サンフランシスコの平均的なスタートアップよりも成長がはやい。同社は今後ますます、重要な企業になるだろう”。

Grammarlyのアクティブユーザー数は一日あたり690万だ。その多くが、無料で利用している。同社の収益源は、センテンスの構造や語彙までチェックしてくれる月額11ドル99セントの有料会員の会費だ。

ネット上の文法チェッカーはいろいろあるが、検索で簡単に見つかるそれらに比べればGrammarlyはずっと優秀だ、と同社は自負している。ネットにつながった状態で文書の校正をリアルタイムでやってくれる、Chromeエクステンションもある。

CEOのBrad Hooverは曰く、“うちは人工知能を使ってユーザーの文章の文意や文型をチェックしている”。今度の資金は、社員の増員とアルゴリズムの改良に充てる予定だ。

HooverはGeneral Catalystにいた人物だが、Grammarlyを知って以来、このウクライナ発のスタートアップの将来性に着目していた。

Spark CapitalのゼネラルパートナーJeremy Philipsは、投資の動機を、“良いプロダクトだし、人びとのコミュニケーションを良くするというミッションも気に入った”、と語る。

(私はこの記事を公開する前にGrammarlyでチェックしてみた。誤字を一つ見つけてくれた。)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

イギリスのケンブリッジ大学が現代ウェールズ語の研究にTwitterを利用

Twitterはすごい、のまた一例: ケンブリッジ大学の言語学者たちが、ツイートを分析して、イギリスのケルト語系言語の一つであるウェールズ語の使われ方の変化を調べている。ウェールズ語はウェールズの住民の1/6(約56万人あまり)が使っているにすぎないが、でもその多くがツイートもウェールズ語でやっているため、研究の出発点となるには十分な量の生(なま)データが得られるのだ。

ケンブリッジ大学の理論および応用言語学部(Department of Theoretical and Applied Linguistics)のDavid Willis博士は、研究におけるTwitterの役割を次のように述べる…中でもとりわけ言語学にとって有益なのは、それが日常的な会話言語であることだ。つまり、人が日常使っているとおりの言葉であること:

言葉の日常の用例を拾おうとするときの難題は、回答者が緊張して構えることなく、こちらが求めるふつうの言葉を語ってくれることだ。特定の構文について、それがどの地方の人びとの言葉かを知りたいとき、通常なら、相当な時間をかけて試験的研究を行わなければならない。しかしTwitterなら、人びとが実際に使っている言葉そのものを、30分で捕捉できる。

私の中心的な関心は言語のシンタクス–文の文法的構造にある。そして私の長期的なねらいは、ウェールズ語方言のシンタクスの総覧集を作り、言語の今日的な使われ方と、その変化の原因となっている多様な影響要素を理解することだ。そのために必要なのは、ウェールズ語を話す人口を構成している多様なセクタから口語の実例を集めて、時空双方にわたる比較を行うことだ。

Twitterを利用することによってWillisは、ウェールズ語が今どのように変わりつつあるかという、変化の諸側面を同定できた。そしてそのデータを利用して、次のフィールドワークで行う口頭インタビューのための質問を作った。

これまでの研究で同定された言語学的変化には、代名詞や多重否定形の使い方が、ウェールズ語を家庭で学んだか学校で学んだかによって違うことが挙げられる。学校で学んだ者のウェールズ語には、英語的な構文が紛れ込みやすいのである。

研究社たちによると、ウェールズの人口の約1/5はウェールズ語で学校教育を受けるので、言語の取得場所の違いに関するこのようなデータは、ウェールズ各地における今後のより適切な言語教育方針の確立に資するであろう。たとえば、第二言語としてのウェールズ語はどの形のものを教えるべきか、あるいは、学校でもウェールズ語の方言と書記言語(書き言葉)としての標準ウェールズ語の両方を認めていくべきか。

下の画像は駐車(ウェールズ語で‘maes parcio’)に関するお喋りのツイートだが、これが今後の言語教育の方針確立に役立つのだ。そのわずか140文字の情報片が、これだけクールにお役に立つとは。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))