リクルーターが直接投稿した求人と求人サイトの広告を集約、既存サービスと対抗する求人情報ポータルTalent.comが約141億調達

オンライン採用は、第一次インターネットブームの初期の大ヒット商品の1つだった。しかし、より多くのビジネスプロセスがオンラインに移行する中、オンライン求人検索はただ与え続け贈り物のような存在だ。そこで米国時間3月16日、この分野の別のポータルが、より革新的で確かな技術でこの分野の既存企業に対抗するために、大規模な資金調達を行ったというニュースが飛び込んできた。リクルーターが直接投稿した求人広告と、サードパーティの求人サイトの広告の両方を集約するポータルサイトのTalent.com(タレントドットコム)は、シリーズ Bラウンドの1億2000 万ドル(約141億9800万円)を調達した。同社はこの資金を、国際展開を続け、このプログラム検索プラットフォームにさらに投資し、ユーザー向けの新しい製品とサービスを導入するために使用する予定である。

Talent.comはかなり国際的なプロフィールを持っている。現在、78カ国、29言語にわたって100万社の約3000万件の求人情報を掲載し、その範囲内で毎月2800万人以上のアクティブな訪問者があるのだ。しかし、このスタートアップ自体はモントリオールを拠点とし、今回のラウンドではカナダのVC、Inovia Capital(イノヴィア・キャピタル)がリードし、以前の支援者 Caisse de depôt et placement du Québec (ケベック州金融公社/CDPQ) と新しい投資者 Investissement Québec(インベストメント・ケベック)、Climb Ventures(クライム・ベンチャーズ)、BDC Capital(ビーディーシー・キャピタル)、Fondaction(フォンダクション)およびHarbourVest Partners(ハーバーべスト・パートナー)も参加している。この1億2000万ドル(約141億9800万円)の株式と同時に、BMO Financial Group(ビーエムオー・ファイナンシャル・グループ)のTechnology & Innovation Banking Group(テクノロジー&イノベーション・バンキング・グループ)から新たに3000万ドル(約35億5000万円)の負債性資金も調達している。

Talent.comの共同創業者で共同CEOのLucas Martínez(ルーカス・マルティネス)氏は、Maxime Droux(マキシム・ドルー)氏、Benjamin Philion(ベンジャミン・フィリオン)氏と共同で同社を設立した。同士はインタビューの中で、この資金を使って、消費者が探しているものにもっと関連した結果を見るための技術をさらに構築し、広告の反応性を測定するツールやクリックされた人に応じて料金を請求するツールを使って、雇用主にとってより魅力あるプラットフォームとすることが目的だと語っている。

(コンテンツに興味を持ってもらうためには、適切な表現が必要であることを、同社自身が身をもって知っている。同社は以前、フィンランド語で「アドバイス」を意味するNeuvooという社名だったのだが、収益性は高かったものの、その単語の発音につまずく人が多く、またその意味が大衆市場とは特に関係がないこともあり、あまり急成長しなかった。そこでNeuvooは2019年に社名を見直すことを決め、Talent.comが売りに出されているのを見ると、それに飛びつき、ブランドを変更したのだ。このドメインには130万ドル[約1億5000万円]を支払ったが、不思議なことに残りの詳細は3年間NDAの対象であり、誰が売却を行ったのかは不明である。マルティネス氏は「Google?」と私が聞くと、笑って「違う」と答えたが、それ以上詳しくは語らなかった)

また、同社はこの資金をさらなる国際展開のために投資している。マルティネス氏は、同社が欧州の新たなハブ拠点を設立しているバルセロナから取材に応じた。

現在、この市場には、Indeed.com(時価総額660億ドル[約7兆8090億円]、SimplyHiredなどのブランドを所有する日本の人材大手Recruit Holdingsが所有)や、2021年上場したZipRecruiter(ジップリクルーター)、LinkedIn(リンクトイン)、検索大手Google(グーグル)などのビッグプレイヤーがいる。しかし、今日、新しいテクノロジーと市場からの期待の変化を活用して、新たな競争戦線を導入し、これらの老舗企業に真っ向から立ち向かうスタートアップが数多く存在する。

Deel(ディール)Remote(リモート)のように、自らをリモート従業員の雇用を支援するプラットフォームと位置づける企業もあれば、Turing(テューリング)のように、リモートという概念を取り入れ、エンジニアという特定の人材プールに焦点を絞っている企業もある。SmartRecruiters(スマートリクルーターズ)は、人材紹介の「Salesforce(セールスフォース)」になることを目指しており、Beamery(ビームリー)のような他の企業もこの目標を追いかけている。Dover(ドーバー)は、別の企業分野からコンセプトを借りて(そのバズワードはオーケストレーション)、採用プラットフォームを構築している。そしてJobandtalent(ジョブアンドタレント)Workstream(ワークストリーム)Fountain(ファウンテン)は、カジュアル、ギグ、時間給労働者をターゲットにしたビジネスモデルを持っている。

Talent.comは、後者3社と同様に、時間給労働者やギグワーカー、熟練労働者を含む市場を主なターゲットとしている。求人広告のプログラムアプローチに加え、雇用主向けのその他のツールとしては、既存の応募者追跡システムやCRMを統合する機能がある。消費者向けには、基本的な求人情報の検索に加え、給与の調査、居住地の税金を差し引いた給与の計算、検索結果をより適切にするためのプロフィール質問への回答などの機能が提供されている。これは、この製品が将来どのように発展していくかという道筋を示すものでもあるだろう。

「これは非常に重要なことです」とマルティネス氏はいう。「就職活動は意欲的なものです。多くの人が、応募している仕事に適性がありません。そこで私たちは、経験と教育を組み合わせ、ユーザーが例えばエンジニアになりたいのであれば、そうすべきであると導いているのです。私たちは、あなたが誰であるかを知り、あなたの履歴書を私たちのプラットフォーム上に置き、その分野の教育プログラムをオンラインで紹介します。これが、ユーザーに対してより多くの価値を提供することになるのです」。と語った。

投資家の興味をそそったのは、ユーザーからより多くの収入を得るための幅広いサービス群に対する取り組みだ。

「人材獲得競争は、企業が今直面している大きな課題によって、さらに激化しています。Talent.comは、雇用主が人材を調達し、採用するための最大かつ最も国際的なプラットフォームの1つになるまで急成長しました。このパートナーシップは、真の求職者中心のプラットフォームとなるための一連の付加価値製品を立ち上げ、成長の新たな段階を促すものです」とInovia CapitalのパートナーであるChris Arsenault(クリス・アーセノー)氏は声明の中で語っている。

画像クレジット:Patrick Strattner / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

LinkedInがイスラエルのウェブ分析Oribiを92〜104億円で買収、マーケティングテクノロジーの拡充を図る

専門分野に関して人々とつながり、仕事を探したい人のためのソーシャルネットワークで、8億1000万人以上のユーザーがいるMicrosoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、独自プラットフォーム上で長年、マーケティングや広告のビジネスをしている。同社は米国時間2月28日、インターネットのさらに幅広い範囲にわたる分析やインサイトを提供したいという同社の野望を示していると考えられる買収を発表した。LinkedInが買収したのは、マーケティングのアトリビューションテクノロジーを専門とするテルアビブのスタートアップ、Oribiだ。この買収により、LinkedInはイスラエルに初めてのオフィスを開設することになる。

買収を発表したブログ記事では条件は明らかにされていないが、情報筋によると買収額は8000万〜9000万ドル(約92億1600万〜103億6800万円)とのことで、他のメディアでもこの金額が報じられている。PitchBookのデータによると、OribiはSequoia、TLV Parnters、Ibexなどから2800万ドル(約32億2500万円)近くの資金を調達し、Google(グーグル)のローカルアクセラレーターとしても若干の資金を得ている。

この買収は2つの点で興味深い。1つめとして、これはLinkedInが同社の中で急速に成長している分野であるマーケティングと広告のサービスへの投資を続けていることの現れだ。最高プロダクト責任者のTomer Cohen(トマー・コーヘン)氏は米国時間2月28日のブログ記事で、マーケティングサービスの売上は対前年比で43%成長したと記している。しかしLinkedIn上では5700万社ほどの企業が「ブランドのページを作成」し、毎週2万4000件以上のバーチャルイベントが作成されていることを考えると、利用している企業にさらに機能とツールを提供すればさらなる成長の余地が大いにあることは明らかだ。ここ数年で、LinkedInはこの分野を拡大するための買収を1件しかしていない。その1件は、2019年Drawbridgeの買収だ。

そしてもう1つ、Oribiの買収はLinkedInのマーケティングに関する大きな変化をはっきりと示している。以前にTechCrunchでお伝えしたように、Oribiのミッションはウェブ分析を民主化することだ。つまり同社は、小規模な企業が簡単に独自の分析を構築、実行してマーケティング戦略の影響を測定できるようにすることを目指している。大企業ならそのためのチームがいるだろうが、小さい組織はリソース不足のためたいてい諦めざるを得ない。

Oribiの創業者でCEOのIris Shoor(アイリス・ショーアー)氏は以前にTechCrunchに対し「アナリティクス企業の多くは、ハイエンドを狙っています。もっぱら技術的なリソースや他とのインテグレーションに基づいたソリューションを提供しています。Mixpanels風、Heap Analytics風、Adobe Marketing Cloud風といったものです」と述べていた。

注目すべき点として、OribiはGoogle Analyticsなどと競合している。つまりLinkedIn(そしてこれに関連してMicrosoft)が、Googleの圧倒的なデジタル広告・マーケティングマシンに立ち向かっていくことにもなる。

米国時間2月28日にコーヘン氏は次のように記している。「Oribiのテクノロジーを我々のマーケティングソリューションプラットフォームに統合することで、お客様はさらに充実したキャンペーンのアトリビューションを利用して広告戦略のROIを最適化できるようになります。お客様は自動のタグとコードフリーのテクロノジーを活用して、ウェブサイトのコンバージョンを簡単に測定し効果的なオーディエンスを構築できます。しかもすべてプライバシーを最優先に設計されています」。

LinkedInはOribiの従業員が何人ジョインするかを明らかにしていない。ただし「創業者で経験豊かな起業家であるアイリス・ショーアー氏を含むOribiのチームの数人」がLinkedInにジョインして、LinkedInの新しいテルアビブオフィスで働くと記されている。

画像クレジット:LinkedIn China via Weibo

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

LinkedInが独自のポッドキャストネットワークを開始

LinkedIn(リンクトイン)が、ポッドキャストの世界により深く踏み込もうとしている。同社はLinkedIn Newsチームによる自社制作の番組や、業界の著名人による番組を配信するポッドキャストネットワークを開始すると発表した。

当然のことながら、番組はプロフェッショナルな視聴者を対象としている。テクノロジーについての理解、メンタルヘルスの管理、採用プロセスの解説などの分野に焦点を当てるとのこと。LinkedInの共同創業者で会長のReid Hoffman(リード・ホフマン)氏は、個人的な起業家精神をテーマにしたポッドキャスト「The Start-Up of You(自分というスタートアップ)」の共同司会を務め、今春に配信を開始する予定だ。

同社は、LinkedIn Podcast Network(リンクトイン・ポッドキャストネットワーク)は、LinkedIn Newsが制作し、ホストのJessi Hempel(ジェシ・ヘンペル)氏が進化する仕事のあり方を掘り下げるポッドキャスト「Hello Monday」の成功をベースにした試験的な取り組みであるとしている。番組は広告付きで、最初のスポンサーはEngadgetの以前の親会社Verizon(ベライゾン)だ。

このポッドキャストネットワークは、ニュースレター、ライブイベント、ビデオ、投稿など、LinkedInの他の製品と連携しており、ホストと視聴者が番組以外でも会話を続けられるようになるという構想に基づいている。リスナーは、ホストをフォローしたり、ニュースレターを購読したりすれば、そこからLinkedIn上で直接ポッドキャストを聴くことができる。またこれらの番組は、Apple PodcastsやSpotify(スポティファイ)など他のポッドキャストプラットフォームでも配信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:mixetto / Getty Images

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(文:Kris Holt、翻訳:Den Nakano)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

LinkedInの中国向け新アプリ「InCareer」のスクリーンショット

2019年、LinkedInが中国ユーザーの電話番号を求め始めたとき、プロフェッショナルなソーシャルネットワークが同国で異なるルールに従わなければならないことは明らかだった。しかし、中国当局が求める実名認証体制を整えるだけでは不十分で、検閲の要求と表現の自由を謳う「西側の価値」を守ることのバランスを取るという難題が山積していることに気づいた。

解決策は「撤退」だった。2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はLinkedInの中国版を終了させると発表した。中国版LinkedInは、携帯番号認証などの特別な要件を除けば、依然として「グローバル」版とほとんど同じように機能していたのだ。2021年12月13日、Microsoftは中国のApp StoreとサードパーティのAndroidストアで「InCareer」と呼ばれるLinkedInの代替アプリを紹介した。このアプリは求人に特化しており、LinkedInの外観を備えているが、中国のMicrosoftチームによるコンテンツ監視が必要になるため、ソーシャルフィードやコンテンツ投稿のオプションがない。ただ、InCareerは、メッセージング機能は維持している。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInはブログの投稿で、この動きについてこう説明している。

中国の会員が仕事や経済的な機会を見つける手助けをすることに成功しましたが、情報を共有したり、把握したりするような、よりソーシャルな側面では同じレベルの成功は見つけられていません。また、中国での事業環境は非常に厳しく、コンプライアンス要件も厳しくなっています。

中国からサービスを撤退した外国の大手ハイテク企業はMicrosoftだけではない。近年、中国は、インターネット企業が収集できるデータ量から国境を越えたデータ移動の方法まで、すべてを規制する新たなサイバー規制を多数導入している。TechCrunchの親会社であるYahoo(ヤフー)は最近「ビジネスと法的環境がますます厳しくなっている」ことを理由に、中国から撤退している。

LinkedInのアプリを使用している中国ベースのユーザーは、InCareerをダウンロードするよう促されるが、ウェブブラウザとVPNを介してフルバージョンにアクセスすることは可能である。しかし、これらの追加フェンスは、すでに中国でのリーチが限られていたプラットフォームからユーザーを遠ざけることになりそうだ。

LinkedInは、主に外国人や多国籍企業や国境を越えたビジネスに従事する中国人ユーザーの間で人気があったが、一方で地元の競合であるMaimai(マイマイ)の方がより知られている。市場調査会社の iResearch(アイリサーチ)によれば、4月には、中国のユーザーが専門的な SNS アプリに費やした時間の 91% が Maimai によって占められているという。

Microsoftの中国におけるもう1つの生き残りサービスであるBingも、最近困難に直面している。ユーザーからの報告やGreatfire.orgによると、12月20日の時点ではオンラインに復帰したようだが、同検索エンジンが12月18日に中国でアクセス不能になっていたという。TechCrunchは、この状況についてMicrosoftに問い合わせている。

検索エンジンを提供する同社が掲示した告知によると、この出来事は、Bingが「中国の法律に基づいて」中国での検索自動入力機能を30日間停止したことにともなったものだという。同サイトがどの法律のことを指していたのかは不明だ。

Bingは2019年、地元のライバル企業であるBaidu(百度)の評判が落ちた際に、中国で一時的に停止していた。当時は、Bingに大量に移行したBaiduのユーザーが米国のサイトをクラッシュさせたのではないかという憶測が飛び交った。

長年放置されてきた海外のテック企業が、中国の法律にキャッチアップしていく姿は珍しいことではない。Apple(アップル)は、関連する規制が施行された数年後に、中国のApp Storeから無許可のモバイルゲームに対する取り締まりを開始した。Bingの停止は、中国では利用者が少ないために長い間注視されてこなかった同検索エンジンが、ついに抜け道である検閲官の神経を逆なでするような自動入力候補機能を閉じるよう命じられた同様のケースといえるかもしれない。

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

LinkedInがヒンディー語サポートを開始、インドの5億人にリーチ目指し

インドの人口13億人のうち、英語を話す人は20%にも満たない。しかし、世界最大のプロフェッショナル向けソーシャルネットワークであるLinkedIn(リンクトイン)は、これまで世界第2位のインターネット市場である同国で、このひと握りの人々のニーズにしか応えていなかった。しかしインド時間12月2日、Microsoft(マイクロソフト)が所有する同サービスは、その状況を変え始めていると発表した。

LinkedInは、同社のソーシャルネットワーク上でヒンディー語への対応を開始したと発表した。ヒンディー語は、インドでは5億人以上、世界では6億人以上が話す、あるいは理解する言語であり、同SNSでサポートされる最初のインド系言語となる。

25の言語に対応している同社によると、LinkedInウェブサイトとモバイルアプリで、ユーザーは自分のフィードやプロフィール、メッセージにヒンディー語でアクセスできるようになるとのこと。また、ユーザーはLinkedInのデスクトップおよびモバイルアプリを通じ、ヒンディー語でコンテンツを作成できるようになるという。

インドはいくつかのグローバルサービスにとって主要な市場だが、LinkedInはこの国に深く浸透することができずにいる。分析会社のSimilarWebによると、LinkedInが1カ月間に獲得する13億以上のアクセスのうち、インドが占める割合はわずか6%強だという。LinkedInによると、インドには8200万人以上のユーザーがおり、そのうち2000万人以上が過去3年間にサービスに参加している。LinkedInの世界的なユーザー数は8億人を超える。

一方で、LinkedInと同じ問題に取り組み始めているスタートアップもひと握り存在している。インドでの仕事探しを支援している創業2年目のスタートアップ「Apna」は、2カ月前にインドで最も若いユニコーンとなった。インドの複数の言語でアプリを提供しているこのスタートアップは、9月時点で毎月1800万件以上の就職面接を促進しており、最近行った調査で、インドのユーザーの57%が英語よりも現地語のインターフェースを好んで使うことがわかったとしている。

トラクション以外にも、LinkedInはインドでトップの役職に就く人材を維持するという課題にも直面している。過去4年間で、少なくとも3人の異なる人物がインドでのLinkedInトップの仕事を任されている。その連鎖は、現在Notion(ノーション)のCEOであるAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)が2018年にLinkedInインドのトップ職を辞任したことから始まった。

また、2日の発表は、Microsoftが世界最大のインターネット市場である中国でLinkedInを閉鎖し、同社の重要なソーシャルサービスをジョブボードに置き換えてから2ヶ月も経っていないタイミングでのことだ。

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LinkedInのインド地域マネージャーであるAshutosh Gupta(アシュトシュ・グプタ)氏は投稿でこう述べている。「インドでは、LinkedInは、人々がつながり、学び、成長し、パンデミックやこの新しい仕事の世界で採用されることを支援するミッションクリティカルな存在です。ヒンディー語に対応したことで、より多くのメンバーや顧客が、コンテンツ、仕事、ネットワーキングを通じて、プラットフォームからより大きな価値を引き出し、自分が使いやすい言語で自己表現することができるようになりました」。

LinkedInは、今後数カ月の間に、ヒンディー語を話すプロフェッショナルが利用できる求人情報の幅を業種を問わず広げていくことに取り組むと述べている。他にも、今後数週間のうちにヒンディー語のパブリッシャーやクリエイターを増やし、プラットフォーム上でのヒンディー語によるエンゲージメントを高めることも検討している。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

LinkedInがフリーランスのためのサービスマーケットプレイスをグローバルに展開

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、仕事に就いている人や仕事を探している人が、同じ分野の人とつながるためのプラットフォームだ。採用の観点では、正社員の候補者探しや求人広告で知られる。そのLinkedInが、フリーランスのためのジョブマーケットを開拓している。

この新機能では、短期間の仕事向けに誰かを雇いたい人は広告を出すことができる。熟練知識労働者を探せるFiverrやUpworkなどと競合することになる。

今回のフリーランス向けプラットフォームの立ち上げは、他の求職ツールに関するいくつかの重要なアップデートと同時に行われた。雇用市場や働き方の新しい流れに、LinkedInがいかに適応しようとしているかを示している。

新しく検索フィルターが設けられ、リモート、ハイブリッド、オンサイト(つまり正社員)のいずれで働けるのかが表示される。採用担当者からの連絡を受けられるよう「オープン・トゥ・ワーク」をオンにしている場合、そこに上記の情報が表示される。また、求人情報を検討する際、企業の予防接種要件を確認することができるようになった(企業がその詳細を表示している場合)。

Service Marketplace(サービスマーケットプレイス)は2021年2月、小規模なテストの段階で初めてリークされた。それ以来、米国でこのサービスのベータ版を静かに稼働させ、LinkedInが全世界で抱える約8億人のユーザー(米国時間10月26日の決算発表時点)の中から、すでに200万人のユーザーを獲得した。

10月27日からService Marketplaceは全世界で提供される。フリーランスのプロフィールを設定するには、自分のプロフィールページにアクセスし、上の方にあるボタンを押し、指示に従って設定を行い、自分が興味を持って取り組める仕事にフラグを立てる。

この新機能は、Microsoftの傘下に入ったLinkedInにとって興味深い転換点となる。LinkedInは前四半期に約2500万人の新規ユーザーを獲得した。

長い間LinkedInが構築してきたのは、同社が「エコノミックグラフ」と表現するものだ。人々が仕事上の関係でどのようにつながっているかをマッピングすることで、世界経済をより深く理解することができるという構想だ。

その意図はもちろん、同社のビジネスの商業的な側面、すなわち人材紹介ビジネスをより強固なものにすることにある。同社のプラットフォームは、リクルーターにプレミアム会員権を販売して潜在的な候補者に関する詳細なデータを入手できるようにしたり、求人広告を出したり、求職者が仕事を見つけられるようになっている。

このビジネスは着実に成長している。LinkedInは10月27日の決算説明会で、プラットフォーム上で確認された採用数が前年同期比で160%以上増加し、広告収入全体も61%増加したと発表した。また、採用担当者に幅広いトレーニングコンテンツをアップセルしているLinkedIn Learningは現在、1万5000社以上の法人顧客を抱えている。

だが、その過程で、LinkedInは市場の大きな部分を切り離してしまった。この10年間で、フルタイムの長期雇用から短期のフリーランスへと移行する人が急増したからだ。

彼らがLinkedInを利用して、ネットワークを広げたり、同じ分野の人々と連絡を取ったり、仕事を見つけたりすることを妨げるものは何もなかったが、これまでLinkedInには短期のフリーランスに関わる正式な方法がなく、特にそれを収益化できていなかった。

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Service Marketplaceは、他の人材紹介製品と同様、現在は料金を請求していないが、LinkedInが将来提供し得るサービスの基礎となる。

Service Marketplaceは、250の職種カテゴリーでスタートし、500種まで拡大する計画だと、プロダクトマネージャーのMatt Faustman(マット・ファウストマン)氏はインタビューで語った。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」と同氏はいう。これまでのところ、マーケットプレイスで引き合いが強いカテゴリーの1つとして、マーケティングが挙げられると付け加えた。

注:ファウストマン氏がLinkedInに入社したのは、前職のリーガルテック専門会社のスタートアップであるUpCounselがLinkedInに買収された時だった。前職での最初のプロジェクトは、短期的な仕事に必要な弁護士を探すマーケットプレイスを構築することだったが、それは自然に、より広範なService Marketplaceに取り組むことへと発展した。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」という言葉はピッタリかもしれない。

今のところ、仕事の料金を交渉したり、請求書を発行したりするツールは用意されていない。また、人材を探す側は、候補者との会話が深まるまで、料金について具体的な説明をする必要はない。

レビューに関していえば、クライアントは契約相手をレビューすることができるが、個人側はクライアントのレビューを残すことができない。

また、マーケットプレイスに自身を掲載している人は、自分から仕事を探すことはできない。誰かに見つけ出してもらうのを待つために存在するのであって、自らの仕事を探すためではない。

仕事を探しているクライアントは、LinkedInの大きなドロップダウン検索メニューを使って人材を探す。例えば、ブランドマーケティングのスペシャリストを探している場合、検索ウィンドウにそのフレーズを入力し始めると、LinkedInがオートコンプリートで「in Service Marketplace」と表示し、そのカテゴリーの候補者一覧を出す。

候補者の抽出には、クライアントであるあなたが、仕事や個人的なつながりで、各個人とどれだけ密接につながっているかが考慮される。

しかし繰り返しになるが、一例として、ブランドマーケティングの専門家の人は、包括的な案件リストに目を通すことはできない。これは意図的なものだとファウストマン氏はいう。この機能は今のところ、クライアントの体験のために開発されたものであり、クライアントにターゲットを絞った依頼をさせ、専門家に応募が殺到して選別に時間を取られることがないようにしようという考えだ。

ゆくゆくは、上記の点や、決済など現在用意されていない機能も再検討すると同氏は語る。

LinkedInが労働者を開拓し、彼らの信頼を得たいなら、その点が重要になる。フリーランスは、料金の透明性の低さに悩まされることが多く、結果的に低価格で搾取される危険性がある。ファウストマン氏は、この点が問題であることを認め、LinkedInのプロダクトチーム内でも議論になっていたと話す。

「価格設定については、今後対応していきますが、今のところは見合わせることにしました」と同氏は述べた。

もう1つの興味深い点は、LinkedInが他の種類の労働者をどのように市場に呼び込むのかということだ。つまり、第一線で働く人やその他のサービス業に従事する幅広い人々をどうカバーするのか。Service Marketplaceにそうした層を含める計画は手元にない、とファウストマン氏は語る。しかし「長期的には、LinkedInに存在するあらゆるカテゴリーに拡張する可能性があります」。

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

米国のテック巨人Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月14日、同社傘下のプロフェッショナル向けソーシャルネットワーク「LinkedIn(リンクトイン)」を年内に中国市場から撤退させると発表した。

Microsoftは2016年に260億ドル(約2兆9550億円)以上でLinkedInを買収した。

このニュースは、中国で規制の変更が相次ぎ、Microsoftと同国の間で緊張が高まっている中でのことだ。Microsoftは2週間前、中国で特定の米国人ジャーナリストのプロフィールをブロックするという決定を下したことで、厳しい批判を受けた。

中国政府の権威主義的な要求と自社のビジネス目標とのバランスを取るのが難しいと感じている米国企業は、Microsoftだけではない。Microsoftは、時間が経てば経つほど悪化する可能性の高い問題に対して、急激なアプローチを取った。中国国内のメディア環境を考えれば、ジャーナリストがブロックに悩まされるのは驚くべきことではない。同社は、中国政府が容認できないと判断した個人プロファイルへのアクセスを制限するという同国政府の要求に屈するか、あるいは撤退するかを選ぶことができた。

Microsoftは後者を選んだ。

LinkedInはこのニュースを取り上げたブログ記事の中で、同社が2014年に中国市場への参入を決定したことについて、それは「インターネットプラットフォームに関する中国政府の要求を遵守」しながらも、なおかつ「表現の自由を強く支持する」ことを意味していたと書いている。

しかしLinkedInは、現在「中国では、著しく困難な運営環境とより厳しいコンプライアンス要件に直面している」と書いている。このような市場環境の変化により、同社は「中国の人々がLinkedInのグローバル・ソーシャルメディア・プラットフォームにアクセスする手段である、現在のローカライズ版LinkedInの提供を年内に終了させるという決定を下した」としている。

Microsoftの株価は午前中の取引で約1.6%上昇しており、テクノロジーに特化したNASDAQ総合株価指数とほぼ同程度の上昇率となっている。投資家はこのニュースを肩をすくめ無視している、ということだ。

この決定が、Microsoftと中国の市場および国家との関係にどのような意味を持つかは、現時点では明らかではない。中国共産党は、例えば国内のクラウド市場において、外国企業の商業的な将来を制限するような変化をもたらしている。Microsoftの中国LinkedInの決定は、テック企業と中国のより長期的な分離の可能性というレンズを通して見ることができるかもしれない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

LinkedInが有料チケット式のイベントサービスをテスト中

LinkedIn(リンクトイン)は先日、そのプラットフォームにオリジナルコンテンツ(とエンゲージメント)を増やすため、クリエイターを中心とした新しい取り組みを発表したが、このネットワークサイトにさらなる活動をもたらそうとする努力は、それだけではない。LinkedInがイベント(特に有料イベント)に関するテストを行っていることも確認した。

我々は匿名を希望する情報源から、そのイベントテストに関連するコードを初めて入手した。そのコードは、LinkedInがチケットを販売して、イベントの企画者がダッシュボードで販売状況や収益を監視し、もちろんLinkedIn自身でもイベントを運営することを示唆していた。LinkedInの広報担当者はこの情報を認め、次のように我々に語った。

「仕事の世界が変化し、ほぼすべてがリモートワークに移行する中で、LinkedIn Events(リンクトイン・イベント)は急成長を遂げており、2020年にはLinkedInのあるイベントに2100万人が参加しました」と、LinkedInの広報担当を務めるNicole Leverich(ニコル・レベリッチ)氏は述べている。「私たちは、メンバーやカスタマーフィードバックから学び、LinkedIn体験を改善するための新しい方法を試し続けています。その一環として、イベント主催者からのフィードバックに基づき、イベントへの支払い方法のオプションを模索しているところです」。

我々の理解しているところによれば、これは同社が映像や音声を使ったサービスを大幅に改善しようとしている取り組みの一環だ。おそらく今後はこれらがイベントサービスの中核になると思われ、すべてが今後数週間から数カ月の間に展開される見込みだ。LinkedInは2021年6月に、バーチャルイベントプラットフォームのHopin(ホピン)へ出資すると発表したが、直近の8月の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8620億円)の評価を受けたHopinが、これに関与するかどうかは明らかになっていない。

LinkedInは、新型コロナウイルス流行前の2019年に初めて導入したLinkedInイベント機能を中心に、何年も前からイベントに関する機能に取り組んできたが、当初は人と人が対面する集会に重点を置いていた。しかし、新型コロナウイルス感染流行が始まってから数カ月後には、よりバーチャルなイベントで使用されていた方法の一部を形式化し、バーチャルな結びつきを目的としたオンライン投票やビデオイベントを導入した。

このように、LinkedInはプロフェッショナルネットワークのSNSという地位を確立していたため、大規模な業界の展示会やカンファレンスと、より小規模な集会の両方において、すでに自然な強い関わりを持っていた。多くの大規模なイベントでは、参加者のログインを管理するためにLinkedInが使用されており、イベントのコンテンツをLinkedInで共有したり、カンファレンスに参加した人は、実際に会って(あるいは最近ではバーチャルに)交流した後に、LinkedInを使ってネットワークを継続している。

だから、LinkedInにとって、そのプロセスの中で、事業としてより積極的かつ中心的に関わる方法を模索し、自らそのようなイベントを主催して、そしておそらく、そこから少しでも利益を得ようとすることは、理に適っている。

さらなる情報が得られたらまたお伝えする。

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画像クレジット:LinkedIn China via Weibo

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(文:Ingrid Lunden、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】増えてきたTikTokきっかけの就職、そこに潜むバイアスに注意

ソーシャルメディアは、その登場以来、成功への足がかりとなってきた。自作のYouTube(ユーチューブ)動画が話題を呼び、レコード会社との契約に至ったというストーリーは、ソーシャルメディアプラットフォームの神話となっている。それ以来、ソーシャルメディアは、テキストベースのフォーマットから動画共有のようなビジュアルメディアへと一貫して推移してきた。

ほとんどの人にとっては、ソーシャルメディア上の動画がスターダムに上がるためのチケットになるわけではないが、ここ数カ月、TikTok(ティックトック)に投稿した動画がきっかけとなって職に就いたという話が増えてきている。LinkedIn(リンクトイン)でさえ、最近「Cover Story(カバーストーリー)」という機能を追加し、ユーザープロフィールに動画を取り込めるようにした。これにより求職者は自身のプロフィールを動画で補強できるようになった。

テクノロジーが進化し続けると、正規の履歴書がTikTokの動画だというような世界も来るのだろうか。もしそうなった場合、労働力に及ぼすマイナスの結果や影響として、どのようなことが想定されるだろうか。

なぜTikTokが求職分野に向かっているのか

ここ数カ月、米国の求人数は1010万人と史上最高を記録している。パンデミックが始まって以来、求人数が労働者数を上回ったのは初めてのことだ。雇用側は、空いたポジションに見合った優秀な候補者を集めるのに苦労している。その点から見れば、多くの採用担当者が人材を見つけるためにTikTokのようなソーシャルプラットフォームや動画の履歴書に頼っているのもうなずける。

しかし、労働者が不足しているからといって、その職務に適した人材を見つけることの重要性を疎かにしてよいわけではない。採用担当者にとって特に重要なことは、ビジネスの目標や戦略に合致したスキルを持つ候補者を見つけることだ。例えば、ビジネスを遂行するうえでデータ駆動型のアプローチを採用する企業が増えると、収集したデータの意味を理解するために、アナリティクスや機械学習のスキルを持つ人材がより多く求められる。

採用担当者は、このような新しい候補者を見つけるのに役立つイノベーションに前向きであることがわかっている。採用活動は、以前のように人事チームが紙の履歴書や正式なカバーレターの束をより分けて、適格な候補者を見つけ出すような手作業ではなくなった。また、LinkedInの台頭にともない、オンラインでのつながりを活用するようになり、GlassDoor(グラスドア)のようなサードパーティの求人サイトを利用して有望な求職者を引き寄せることもできるようになった。バックエンドでは、多くの採用担当者が高度なクラウドソフトウェアを使って、受け付けた履歴書を精査し、職務内容に最も適した候補者を見つけ出している。しかし、これらの方法はいずれも、依然として従来のテキストベースの履歴書やプロフィールをアプリケーションの中核としている。

ソーシャルメディア上の動画では、候補者の口頭でのコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力など、書面では簡単に伝わらないソフトスキルをアピールすることができる。また、採用担当者が候補者の個性をより詳しく知り、自社の文化にどのように適合するか判断する手段にもなる。このようなことは多くの人にとって魅力的なことかもしれないが、その結果に対する準備はできているだろうか。

クローズアップに対する準備不足

採用活動におけるイノベーションは、仕事の未来にとって重要な位置を占めるが、TikTokや動画の履歴書による過剰なアピールは、採用環境を後退させる可能性がある。求職者が企業に自分を売り込むための新しい手段を提供する一方で、求職者、採用担当者、ビジネスリーダーが注意すべき潜在的な落とし穴があるのだ。

動画履歴書の可能性を広げる最大の要素は、同時に最大の問題点でもある。動画は、スキルや実績よりも人物そのものを必然的に強調してしまうのだ。採用担当者が候補者について最初の評価をまとめるとき、候補者が人種、障害、性別などに基づき保護されたクラスに属しているかどうかなど、通常であれば評価プロセスのかなり後にならないと目にすることのない情報に直面することになる。

ここ数年、雇用主が職場の多様性をどのように優先しているか、あるいは優先していないかに対する意識や監視の高まりとともに、多様性、公平性、インクルージョン(DEI)への関心が急速に高まってきている。

しかし、動画によって候補者を評価することは、無意識、あるいは意識的なバイアスがかかる機会を増やすことにつながり、これまでのDEIにおける成果を台無しにしてしまう可能性がある。慎重に対処しないと、企業イメージに傷をつけたり、差別訴訟のような深刻な事態を招いたりする可能性があり、企業にとっては危険な状況となる。

多様性に対する実績が乏しい企業では、候補者の動画を観たという事実が訴訟で不利に働く可能性がある。動画を見ている採用担当者は、候補者の人種や性別が自分の判断にどのような影響を与えているか気づいてさえいないかもしれない。そういった理由から、筆者が見てきた多くの企業では、採用フローに動画のオプションを導入しても、採用担当者は採用プロセスの後半まで動画を見ることはできない。

しかし、たとえ企業が保護されたクラスに対する偏見を管理しDEIの差し迫った問題に対処したとしても、採用活動に動画を利用することで、神経多様性や社会経済的地位など、十分に保護されていないクラスでは問題が残る。優れたスキルと豊富な実績を持つ候補者が、動画では自分をうまく表現できず、動画を観る採用担当者には頼りない印象を与えるかもしれない。その印象は、たとえ仕事とは関係なくても、採用担当者の意識に影響を及ぼす可能性がある。

また、裕福な環境にある候補者は、優れた機材やソフトウェアを利用して魅力的な動画履歴書の録画や編集ができるだろう。そのような環境にない他の候補者の動画は、採用担当者の目には、洗練されたプロフェッショナルなものとは映らないかもしれない。しかしそれでは、チャンスを得るうえで新たな障壁となってしまう。

職場でのDEIの対処について重要な岐路に立たされている今、雇用主と採用担当者は、候補者を見つけて採用するプロセスにおいて、バイアスを低減する方法を確立することが急務だ。業界を前進させるにはイノベーションが重要だが、最優先事項が損なわれてはいけない。

ボツにされないために

このような懸念にもかかわらず、ソーシャルメディア、特に動画ベースのプラットフォームは、ユーザーがパーソナルブランドを拡大し、雇用の可能性につながる新たな機会を生み出している。これらの新しいシステムは、求職者と雇用者の両方にメリットをもたらす可能性がある。

まず、採用活動で使う従来のテキストベースの履歴書やプロフィールを置いておく場所を常に確保する必要がある。たとえ採用担当者が候補者の能力に関する情報をすべて動画から得られたとしても、カメラに映らない方が自然と安心できる人もいる。採用プロセスでは、書面であれ、ビデオであれ、できるだけ良い印象を与えようとする気持ちが重要だ。それは、自分以外の力を借りても構わない。

その代わりに、候補者や企業は、過去の同僚や上司が候補者を推薦する場として動画を利用することを検討すべきだ。他者による推薦は、単に自分自身で長所をアピールするよりも、応募者の能力に信頼を置いている人がいることも示すため、応募において大きな効果がある。

企業が優秀な人材を獲得しようと躍起になっている昨今、動画の履歴書は、これまで以上に簡単に作成や共有できるため注目を集めている。しかし、この目新しい履歴書の共有方法に飛びつく前に、成功のための準備を確実に整えておく必要がある。

新しい採用活動のテクノロジーの目標は、新たな障壁を作ることなく、求職者が自分自身を輝かせる機会をより簡単に見つけられるようにすることだ。動画の履歴書がそれを実現するには、いくつかの対処すべき重大な懸念があり、雇用主は、今までのDEIへの取り組みの成果を損なう前に、動画履歴書の弊害について考慮することが重要だ。

編集部注:本稿の執筆者Nagaraj Nadendla(ナガラジ・ナデンドラ)氏は、Oracle Cloud HCMの開発担当SVPで、Oracle RecruitingやTaleoなどのクラウド採用ソリューションの開発を担当している。

画像クレジット:C.J. Burton / Getty Images

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(文:Nagaraj Nadendla、翻訳:Dragonfly)

米国人の半数はSNSが情報源、ただしその割合は減少

Pew Research(ピュー・リサーチ)の最新レポートによると、米国成人の約3分の1は、現在もFacebook(フェイスブック)から定期的に情報を得ているが、割合は2020年の36%から2021年の31%に減っている。この減少は、情報を何らかのソーシャルメディアから得ていると答えた米国人の全体的数字のわずかな減少を反映している。その割合も2020年の53%から2021年の48%へと5ポイント下がっている。

ここでいう「定期的に」は、調査回答者が「often(頻繁に)」あるいは「sometimes(時々)」情報をデジタルニュースから得ていると答えたという意味で、他の選択肢は「rarely(まれに)」「never(一切ない)」、および「don’t get digital news(デジタルニュースを見ない)」だ。

この変化は、テック企業が自社プラットフォームで誤情報の拡散を許していることについて厳しい監視下にある状況の中で起きている、とPewは指摘している。こうした批判はパンデミック期間中に増加し、ワクチンの忌避や拒否につながり、その結果誤情報を受け入れた多くの米国人の健康状態の悪化を招いた。

こうした問題に関わらず、さまざまなソーシャルメディアから定期的に情報を得ている米国人の割合は前年からさほど大きくは変わっておらず、ネットで日々のニュースを見る一部の人たちの習慣を反映している。

画像クレジット:Pew Research

定期的にFacebookで情報を得ている米国成人の3分の1に続いて、22%がYouTube(ユーチューブ)から定期的に情報を取得している。Twitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)はそれぞれ13%および11%の米国人の定期的情報源だ。

しかし、多くのサイトにおいて自身のサイトを定期的情報源としているユーザーの数字がわずかに減少している、とPewは指摘している。これは、各サイトをニュース源として使っている米国成人のずっと小さな割合とは意味が異なり、サイト自身のユーザーベースがどう認識しているかを示している。ある意味でこれは、具体的には概して若いソーシャルメディア・ユーザーのニュース消費行動の変化を測ったものだと言える。

現在Twitterユーザーの55%が同プラットフォームから定期的に情報を得ており2020年は59%だった。一方Reddit(レディット)ユーザーの情報源としての同サイトの利用は42%から39%に減少した。YouTubeは32%から30%、Snapchat(スナップチャット)は19%から16%に減少した。Instagram(インスタグラム)はほぼ変わらず2020年が28%、2021年が27%だった。

今回、唯一ニュース源として成長したソーシャルメディアプラットフォームは、TikTok(ティックトック)だ。

2020年、ショートビデオプラットフォームのユーザーで定期的にそこで情報を取得している答えた人は22%だった。2021年には29%に増加した。

しかし全体的に見ると、これらのサイトのほとんどが米国の成人人口全体にごくわずかしか掴んでいない。米国人でReddit(7%)、TikTok(6%)、LinkedIn(4%)、Snapchat(4%)、WhatsApp(3%)、Twitch(%)を情報源としている人はいずれも10人に1人以下だった。

画像クレジット:Pew Research

サイトを利用しているユーザーの人口属性による違いもある。

白人成人は情報源としてFacebookとRedditに目を向ける傾向がある(それぞれ60%と54%)。黒人およびラテンアメリカ系成人は、Instagramを定期的情報源としている人の割合がかなり大きい(それぞれ20%と33%)。若年成人はSnapchatとTikTokに頼る傾向が強く、LinkedInを情報源とする人の過半数が四年制大学の学位を持っている。

もちろん、2021年7月26日~8月8日に実施されたPewの最新調査は個人の申告データに基づいている。つまり、被験者の答えはさまざまなサイトを情報源として使っていることに関するその人自身の認識に基づいている。これは、現実世界でユーザーがどれほど頻繁にニュースを読みにサイトに訪れるかの測定値とは異なる結果を生むことがある。利用の割合を過小評価する人も過大評価する人もいるからだ。

また、人はソーシャルメディアでニュースを読むことの予期せぬ影響を正しく理解できていない。見出しや投稿は扇動的なクリックベイト(クリックを誘う餌)に隠されてリアクションやコメントによるエンゲージメントを誘発しようとしている。そうした手口はしばしば強いリアクションを誘うことがあるが、必ずしも聞く価値のある人によるものではない。Pewによる最近の調査で、ソーシャルメディアニュース利用者は、選挙や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの重要な話題に関する事実の知識が少ない傾向があるという結果が出た。そしてソーシャルメディア消費者は過激な陰謀論に接する機会が多い(コメントを読んでいる人にとっては実に明らかだ)。

今回の調査の全標本数は、回答者1万1178名で、標本誤差範囲はプラス・マイナス1.4パーセンテージ・ポイントとなる。

関連記事:米国成人の大半はニュースをソーシャルメディアに頼っていることが明らかに

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

LinkedInが新ラーニングハブ、無料コース、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、雇用の世界に大きな変化が訪れた。仕事を探したり、ポジションを埋めてくれる人を見つけたり、あるいは単にプロとして成長したりすることは、今や私たちの多くにとって以前と同じものではない。そうした分野に対応するビジネスモデルを構築してきた企業も変化しているのは当然のことだ。9月9日、Microsoft(マイクロソフト)の社会人向けソーシャルネットワーキングプラットフォームであるLinkedIn(リンクトイン)は、時代の変化を先取りした一連のニュースを発表した。

LinkedInは、従業員にプロフェッショナルとしての能力開発などのトレーニングを提供する組織を対象とした、新しいラーニングハブを立ち上げる。また、LinkedInのメンバー向けに40のコースを無料で提供する。足元の変化に対応するためで、ハイブリッド・ワーキングへの適応方法、新しい時代においてより良いマネージャーになる方法、オフィスへの復帰方法、従業員がオフィスビルだけでなく自宅に分散している状況でのファシリティ管理の方法などのコースがある。さらに、労働環境の現状などを考慮に入れ、ユーザーが求人情報を掲載・検索する際に使う詳細な情報に調整を加え始めた。

ラーニングハブは、今年4月に初めてプレビューされ、限定的なベータ版として運用されてきた。9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とLinkedIn社のCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が主催する、仕事の世界の新しいトレンドについて議論する大きなイベントの一環として、このハブがより広く展開されることになった。

LinkedInは長年にわたって教育に取り組んできた。2015年にリモートラーニングプラットフォームのLynda(リンダ)を買収し、自社の教育戦略と専門能力開発のためのプラットフォームとしての戦略と地位を強化した。提携により大量のサードパーティーコンテンツを導入し(例えば、2018年にサードパーティー経由で約1万3000のコースを追加した)、スキル開発の概念を職業上のプロフィールと結びつけ、ユーザーのためにリサーチしたり、インタラクティブなツールを構築したりするなどしてきた。

本日発表した無料コース(10月9日まで無料)は、リモート環境からオフィス環境への移行を始める(あるいは考える)企業にとって役に立つ、時宜を得た動画群だが、より大きなプロダクトである「The Learning Hub」の発表は、その長い旅路の中で、単に誰かの役に立とういう試みではない。現在のLinkedIn Learning Proユーザーは、2022年7月まで、あるいはそれ以上の期間、無料で利用することができるという。これは、ビジネスに特化したサービスを提供し、企業の人事部を強く巻き込み、収益の柱の1つである採用関連を強化するという、同社の大きな取り組みにもつながっている。

学習体験プラットフォーム(LXP)として、LinkedInは独自のラーニングハブを再構築し、360Learning、Coursera for Business、Workday、Cornerstoneなど、数多くのプラットフォームと競争することになる。さまざまな組織が、自社やサードパーティーのプロフェッショナルトレーニングコンテンツを管理するために、そうしたプラットフォームを利用している。また、LinkedInは、雇用動向に関する自社のデータに加え、AIを活用し、組織やユーザー向けにコンテンツをパーソナライズするという。だが、企業の人事チームが求人情報を掲載したり、候補者を探したりするためのプラットフォームでもあるという事実が、このサービスをより安定したものにし、いろんなものが断片的になっている昨今、まとまりがあると感じられるかもしれない。

この点で、LinkedInが採用サービスに新領域を導入することも注目に値する。採用担当者は、仕事がリモート、ハイブリッド、オンサイトのいずれかを示すことができるようになり、近々、仕事を探している人も、新しい仕事に求める条件を示すことができるようになる。また、企業は、予防接種の必要性などに関して、自社の状況をより詳細に示すことができるようになり、物理的なオフィスが開いているかどうかを世界中(従業員、パートナー、顧客、関心のある人たち)に知らせることができるようになる。

こうした新しい領域は、小さなことのように聞こえるかもしれないし、少なくとも、私たちが今日生きていく上での関心事や状況にのみ関連しているように聞こえるかもしれない。だが筆者はそれ以上に注目すべきことだと思う。こうした領域は、LinkedInが考える(そして私たちの多くが感じている)、今日の私たちが仕事というものを捉える際に優先するものが何かを物語っている。このことは、LinkedInが、企業や個人のプロフィールにおける詳細な情報のうち何を、また、採用の際に利用できる詳細な情報というものを、考慮するのか、するとすればどのように、ということついて扉を開く。これは、LinkedInがすでに少し前から取り組んでいることで、6月にはプロフィールに代名詞を追加するオプションをユーザーに提供し始めた。こうしたことが重要なのは、もっと小さな企業が多く存在し、誰かがLinkedInを今の地位から引きずり下ろすよう求める声があるからだ。LinkedInが新しい形式に手を出したり、あるいは別の形式をやめたりするのは、同社がそうした状況に適応しようとしていることを示している。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInのメタデータツールDataHubを商用化するAcryl Dataが約10億円を調達しステルスを脱却

2019年、LinkedInのエンジニアリングチームは「DataHub」を発表した。同社の膨大なデータコレクションからインサイトを整理、検索、発見するのに役立つように構築されたメタデータツールだ。LinkedInは2020年にこれをオープンソース化している。そしてこのたび、DataHubの開発者の1人と、Airbnbのデータポータルの開発に貢献した元上級エンジニアが共同で設立したスタートアップがステルスを脱し、LinkedInなどの支援を受けて、DataHubプラットフォームをその最新チャプターとなる商用化へと導こうとしている。

Acryl Dataと名付けられた同社は米国時間6月24日、8VCが主導し、LinkedInとInsightも参加した900万ドル(約10億円)でローンチした。企業が自社のビッグデータのニーズに合わせてこのツールを利用できるように支援していく。

Acryl Dataの推進力は、ビッグデータが、運用に大規模なデジタルコンポーネントを有する組織にインパクトを与える難しい課題を抱えているという、顕著な事実から生み出されている。具体的には、ビッグデータの組織化や理解を促進し、断片化されたビッグデータの宝庫(SnowflakeやDatabricks、Lookerなどの複数の場所から取得されたり、そこで利用されている情報を含む)を最大限に活用できるようにすることだ。従来、大手テック企業はこの問題に対処する上でより革新的な存在となっており、その多くは自社の技術をオープンソース化して他の企業が利用できるようにしている。

Acrylの創業者たちにとってのブレークスルーは、メタデータがビッグデータ情報を整理するための鍵を握ると認識したことを契機に訪れた。同社を立ち上げる前、まだ彼らがそれぞれの大手テック企業で働いていた頃のことだ。

「メタデータに関して興味深い側面は、それが事実上ビッグデータにおける解決すべき問題になっていることです」と、LinkedInでCEOを務め、Swaroup Jagadish(スワロウプ・ジャガディシュ)氏(AirbnbのCTO出身)と共同で同社を設立したShirshanka Das(シャルシャンカ・ダス)氏は語る。「つまり、私たちが保有するデータインフラのDNAはすべて、大規模なデータコレクションの構築、ストリーミング、インデックス作成、検索といった点で、現代の企業の要求に実際に対応できるメタデータ管理ソリューションを必要としているのです。それこそが当社が提供する、解決の鍵となる妙策であると考えています。私たちは、データインフラを適切に運用するためのベストプラクティスを取り入れたメタデータプラットフォームを構築し、それをメタデータインフラの運用に適用することを可能にしました」。

オープンソースプロジェクトとして、DataHubは大きな牽引力を得ている。LinkedIn自身に加えて、Expedia、Saxo Bank、Klarnaをはじめとする多くの企業が、本質的には一般化されたメタデータ検索および発見ツールであるこのフレームワークを利用しており、独自のメタデータグラフを構築して、さまざまなデータエンティティを相互接続している。プロジェクト全体でGitHubのスターは3200人を超え、100人以上のコントリビューターがいる。

Acryl Dataは、他のオープンソースの商用化の取り組みと同様、フレームワークのスケールアップを容易にし、より多くのユースケースに適用できるようなツールセットの構築に着手している。特に、これらの実装を独自に構築するリソースが不足している企業に向けたものだ。その第1弾は、Airbnbのデータポータルから得た設計情報に基づくデータカタログになるという。LinkedInは、今後の製品に関して、より広範なオープンソースコミュニティに加えて、Acryl Dataとの協業を進めていく予定だ。

LinkedInの最高データ責任者であるIgor Perisic(イゴール・ペリシク)氏は、声明の中で次のように述べている。「LinkedInの世界経済に対する独自の見解は、データ駆動型のインサイトとAIを活用した製品を通じて、世界中の何億人もの人々の経済的成果を改善する機会をもたらします。適切なデータを発見して、研究者やエンジニアが毎日使用する何万もの派生データセットをナビゲートし、それらを適切に管理するために、DataHubの存在は欠かせないものです。Acryl Dataと提携して、DataHubをさらに進化させていくことに、私たちは大きな期待を寄せています」。

これは意義深い好機といえるだろう。同じ分野の競合であるCollibraは、2020年に23億ドル(約2540億円)の評価額でラウンドを行った。別の競合、Alationは2021年6月初めに12億ドル(約13330億円)と評価された。しかし、イノベーションの余地は十分に残されており、この分野で最も基礎的なツールを開発した人財がこの課題に取り組むために起業家として留まっているのを見るのは、とても興味深いことだ。

「最新のデータスタックにおいては、メタデータの管理方法を根本的に見直す必要があります」と、Insight PartnersのMDであるGeorge Mathew(ジョージ・マシュー)氏は声明の中で語っている。「次世代のリアルタイム・メタデータ・プラットフォームが求められています。Acryl Dataは、DataHubでの先駆的な活動をベースに、この変革をリードしていく最高のチームです」。

画像クレジット:Who_I_am / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

LinkedInがストーリーズ機能を廃止しショートビデオ機能を開発中

LinkedIn(リンクトイン)とTwitter(ツイッター)の共通点は何か?どちらも消滅型ストーリー機能を提供したが、はかなく消え去ることになってことだ。米国時間8月31日、LinkedInは同サービスのLinkedIn Stories(LinkedIn ストーリーズ)機能を9月30日で打ち切り、ショートビデオを投稿する別の方法の検討を開始することを発表した。

LinkedInは、ストーリーズの合間に流れる広告をすでに購入している可能性のある広告主に警告するために、来たるべき変更を告知した。それらの広告は代わりにLinkedInフィードに掲載されるが、自分のページで直接ストーリーズを宣伝したりスポンサーしていたユーザーは作り直す必要がある。

なんだよ。妻とはLinkedIn Storiesで出会ったのに。

LinkedInがStoriesを導入したのは2020年9月で、Twitterがその後廃止することになるFleets(フリート)を一般公開したのと同じ時期だった。今回の変更はウェブとモバイルの大がかりな改訂の一環で、在宅勤務のプロフェッショナルたちがつながりを保つためにZoom(ズーム)、BlueJeans(ブルージーンズ)、Teams(チームズ)などとの統合も行った。しかし同社によると、消滅型投稿はLinkedInではあまりうまく機能しなかったという。

関連記事:
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「Storiesの開発に当たり、ユーザーは自分のプロフィールに私的なビデオを載せたがらないだろうが、消滅型であれば投稿の障壁を下げられるだろうと想定していました」とLinkedInのプロダクト担当シニアディレクター、Liz Li(リズ・リ)氏はブログで述べている。「結果的に、ユーザーは職業的な話題を私的な形で紹介することで、個人の特性と専門知識の両方を見せられる永続的ビデオを作りたいことがわかりました」。

リ氏は、ユーザーが「魅力的なビデオを作れるもっとクリエイティブなツール」を欲しがっていることも付け加えた。Storiesにはスタンプやプロンプトを付加できるが、ユーザーはもっとクリエイティブな機能を求めていた。

もしLinkedInが計画どおりショートビデオ作成機能を追加すれば、TikTok(ティックトック)ライクなフィードを提供しているSnapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)の仲間入りを果たすことになる。ユーザーがLinkedInとパーソナルなSNSに同じコンテンツを投稿することはほとんどないが、実際著名なTikTokユーザーがキャリアアドバイスや面接のヒント、履歴書の書き方などをシェアしている例もあるので、LinkedInがビデオに方向転換するのはさほど奇妙なことではないかもしれない。

画像クレジット:Ali Balikci / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

LinkedInがヘイトスピーチの削除に関するEUの行動規範に正式署名

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、欧州連合(EU)における同社のプラットフォームから違法なヘイトスピーチを迅速に排除するため、自主的な行動規範に正式に署名し、より一層の努力を約束した。

欧州委員会は現地時間6月25日の声明で、LinkedInがEUの「オンライン上の違法なヘイトスピーチに対抗するための行動規範」に参加したことを発表した。Didier Reynders(ディディエ・レンデルス)司法委員は、LinkedInの(遅ればせながらの)参加を歓迎し、行動規範は「デジタルサービス法によって確立された枠組みを含め、ヘイトスピーチに対抗するための重要なツールであり、今後もそうあり続けるだろう」と声明で付け加えた。

「オンラインの世界から憎しみがなくなるよう、より多くの企業に参加していただきたいと思います」とレンデルス氏は付け加えた。

LinkedInは、これまでこの自主規範に正式に参加していなかったが、親会社であるMicrosoftを通じて、この取り組みを「支援する」と述べた。

今回、正式に参加することを決定した声明で、LinkedInは次のようにも述べた。

「LinkedInは、人々がつながり、学び、新しい機会を見つけるために訪れる、プロフェッショナルな対話の場です。現在の経済状況や、世界中の求職者や専門家がLinkedInに寄せる信頼の高まりを考えると、我々は、メンバーのために安全な体験を作る責任を負っていると言えます。我々のプラットフォームでヘイトスピーチが許されないことは、あまりにも明白です。LinkedInは、メンバーのキャリア全体において、プロフェッショナルとしてのアイデンティティーの重要な部分を占めています。それは、雇用主や同僚、潜在的なビジネスパートナーからも見られる可能性があります」。

EUでは「違法なヘイトスピーチ」とは、人種差別的または外国人を差別する見解を支持するコンテンツ、または人種、肌の色、宗教、民族的出自などを理由に、ある集団に対する暴力や憎悪を扇動しようとするコンテンツを意味する。

多くの加盟国がこの問題に関する国内法を制定しており、中にはデジタル分野に特化した独自の法律を制定している国もある。つまり、EUの行動規範は、実際のヘイトスピーチに関する法律を補完するものだ。また、法的な拘束力もない。

関連記事:ドイツがオンラインヘイトスピーチを取り締まる法律を厳格化

この取り組みは2016年に始まった。ひと握りの大手テック企業(Facebook、Twitter、YouTube、Microsoft)が、違法なスピーチの排除を加速させることに合意した(あるいは、そうすることで自社のブランド名をPRする機会とした)。

この行動規範が運用されるようになってから、2020年10月に動画共有プラットフォームのTikTok(ティックトック)を含め、他のテック系プラットフォームもいくつか参加した。

しかし、多くのデジタルサービス(特にメッセージングプラットフォーム)はまだ参加していない。そのため、欧州委員会は、より多くのデジタルサービス企業に参加を呼びかけている。

同時に、EUは違法コンテンツの分野でハードなルールを固めようとしている。

2020年、欧州委員会は、既存の電子商取引規則の大幅な更新(別名、デジタルサービスアクト)を提案した。これは、違法コンテンツや違法そのものの商品などの分野において、オンラインに関わる法をオフラインの法的要件と一致させることを目的とした運用上の基本ルールを定めるものだ。これにより、今後数年間で、EUは単なる自主的な行動規範ではなく、ヘイトスピーチの問題に少なくとも高いレベルで取り組む法的枠組みを得ることになる。

また、EUは最近、テロリストコンテンツの削除に関する法律を採択し(2021年4月)、来年からオンラインプラットフォームへの適用を開始する予定だ。

関連記事:EUがプロバイダーによるテロ関連コンテンツの1時間以内の削除を法制化

しかし、興味深いのは、おそらくさらなる議論を呼ぶであろうヘイトスピーチの問題(これは表現の自由に深く関わる可能性がある)について、欧州委員会が今後の法規制と並行して自主規制という選択肢を維持したいと考えていることだ。レインダース氏の発言がそれを裏づけている。

ブリュッセルは、議論の焦点となっているデジタル規制の問題について「アメとムチ」を組み合わせることに価値を見出しているようだ。特に、言論規制という物議を醸す「危険地帯」においてはそうだ。

デジタルサービス法は、標準化された「通知と対応」の手順を盛り込み、デジタルプレイヤーらが違法コンテンツに迅速に対応できるようにしている。一方で、ヘイトスピーチの行動規範を維持することで、主要なプラットフォームが欧州委員会から法律の文言以上のことを約束するよう促される並行した導線が存在することになる。(それにより、議員がより拡張的な言論統制措置を法律に盛り込もうとした場合に、論争を回避することができる)。

EUでは、数年前から「オンラインの偽情報に関する行動規範」を自主的に制定している。また、LinkedInの広報担当者は、親会社であるMicrosoftを通じて、LinkedInがその開始時から署名していたことを確認した。

議会は最近、この規範を強化する計画を発表した。矛盾した表現だが「より拘束力のあるもの」にするためだ。

欧州委員会は6月25日、ヘイトスピーチの行動規範に関して追加の声明を発表し、2020年6月に行われた5回目のモニタリング演習で、企業は平均して、報告されたコンテンツの90%を24時間以内に審査し、違法なヘイトスピーチであると考えられるコンテンツの71%を削除したと述べた。

欧州委員会は、この結果を歓迎すると同時に、署名企業に対し、特にユーザーへのフィードバックや、報告と削除に関する透明性の確保に向けた取り組みを強化するよう求めた。

欧州委員会はまた、偽情報に関する行動規範に署名したプラットフォームに対し、プラットフォーム上で氾濫している「フェイクニュース」に対処するための、より一層の努力を繰り返し求めている。公衆衛生に関しては、欧州委員会が2020年「新型コロナインフォデミック」と呼んだものが含まれる。

新型コロナウイルスの問題は、デジタル領域を効果的に規制する方法という複雑な問題に議員らの心を集中させることに寄与し、EUの多くの取り組みを加速させたことは間違いない。

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タグ:LinkedInヘイトスピーチEU

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米最高裁がLinkedInのスクレイピング禁止訴訟の再審問を指示

最高裁判所は、LinkedIn(リンクトイン)に対し、ライバル会社がユーザーの公開プロフィールから個人情報をスクレイピングするのを止めさせるチャンスを再び与えた。LinkedInが違法であるべきだと主張するスクレイピング行為が禁止されれば、インターネット研究者やアーカイビストには予期しない影響を与える可能性がある。

LinkedInは2019年、CFAA(コンピューター犯罪取締法)は企業がインターネットで公にアクセス可能なデータをスクレイピングすることを禁止しないとする連邦第9巡回区控訴裁判所の裁定によって、Hiq Labsを訴えた裁判に敗訴した。

Microsoft(マイクロソフト)傘下のソーシャルネットワークは、同社のユーザープロフィールの大量スクレイピングは、許可なくコンピューターをアクセスすることを禁止しているコンピューター犯罪取締法に違反していると主張した。

公開データを使って従業員の減少を分析するHiq Labsは、LinkedInに有利な裁決は「インターネットのオープンなアクセスに深刻な影響を与えるものであり、30年前にCFAAを制定した時に議会が意図したはずのない結果だ」と主張した(Hiq LabsはFacebookからも訴えられた。当時同社はFacebookとInstagramだけでなく、Amazon、Twitter、YouTubeもスクレイピングしていた)。

関連記事:Facebookがデータスクレイピングを実行する2社を提訴

最高裁判所はこの件を扱わず、最新の裁定を踏まえて再度審問するよう控訴裁判所に命じた。裁定は、使用を許可されたコンピューター上のデータを不適切にアクセスした場合はCFAAに違反することがないとした。

一時CFAAは、テクノロジーや法律の書籍で「最悪の法律」と批判され、時代遅れで曖昧な文言が現在のインターネットのスピードに追いついていないと長年言われてきた。

ジャーナリストやアーキビストは、古いサイトや閉鎖されるサイトのアーカイブコピーを保存する方法として、公開データのスクレイピングを長年行っている。しかし、それ以外のスクレイピング事例はプライバシーと市民の自由を巡って怒りと懸念の火をつけた。2019年に、あるセキュリティ研究者は数百万件のVenmo取り引きをスクレイピングした。Venmoはデフォルトでデータをプライベートに設定していなかった。賛否の分かれる顔認識スタートアップClearview Alは、許可を得ることなく300億枚以上のプロフィール写真をスクレイピングしたと言っている。

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、LinkedIn(リンクドイン)、そしてTiger Globalが出資しているインドのスタートアップShareChat(シェアチャット)やKoo(クー)はいずれも同国の新しいIT規則を全面的あるいは部分的に受け入れ、順守している。この件に詳しい情報筋、そしてTechCrunchが入手した政府のメモで明らかになった。

2021年2月に発表されたインドの新しいIT規則では、懸念を解決すべく企業に法令順守、判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命して連絡先を共有することを求めている。

関連記事:インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

上記の企業はこの要件を満たしたと政府のメモにはあり、情報筋もそのように述べた。企業は今週までに新ルールを順守するよう求められていた。

Twitter(ツイッター)はまだこのルールに従っていない。「Twitterは担当者ならびに苦情処理責任者としてインドの法律事務所で働いている弁護士の詳細を昨夜遅くに連絡してきた」とインド政府のメモにはあり、ルールではそうした担当者は直接雇用している従業員でなければならない、とも書かれている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっている。今週、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類したことについて調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員に関する懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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WhatsApp(ワッツアップ)は新規則に則っているが、トレーサビリティについての要件は満たしていないと情報筋はTechCrunchに語った。WhatsAppは今週初め、メッセージの発信者を追跡する方法の確保を求めている要件について、インド政府を相手取って訴訟を起こしている。このルールを満たすようにするにはあらゆるユーザーのプライバシーを危険にさらすことになるとWhatsAppは指摘した。

iMessageを展開しているApple(アップル)、そしてSignal(シグナル)がこのルールに従っているか、現時点では不明だ。

TechCrunchが真っ先に報じたように、インドの電子情報技術省は現地時間5月26日、ソーシャルメディア企業にコンプライアンス状況をアップデートするよう求めた

関連記事:インド政府がWhatsAppの新規制撤回を求める訴訟は「反抗行為」「無謀」と批判

FacebookやGoogleを含む一部のテック大企業にとってインドは鍵を握る海外マーケットだ。前述の2社はユーザー数においてインドを最大のマーケットだと認識している。隣国パキスタンは2020年、インドと同様のルールを提案したが、テック大手が結束してパキスタンから撤退すると脅したのち、パキスタンはルールを撤回することとなった。

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タグ:インドSNSGoogleFacebookTelegramLinkedInWhatsAppTwitterShareChat

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInがクリエイターモード、動画プロフィール機能、MSとの提携による新しいキャリアトレーニングツールを導入

世界中に7億4000万人のユーザーを持つソーシャルネットワークLinkedInは、プロフェッショナルが自身の職業をリストアップしたり、他の仕事のヘッドハンティングを受けたり、仕事を探したりするオンライン上の場としてのアイデンティティを確立している。しかしLinkedInは、そのポジションをさらに有効活用してトレーニングや教育、専門能力開発、人脈作り、ニュースなどの関連分野に進出する方法を数年にわたって模索してきた。そして米国時間3月30日、LinkedInはプラットフォームへのエンゲージメントを高めるために今後数カ月のうちに順次展開する一連の新機能を発表した。

同社はユーザーのプロフィールに動画を追加できるビデオ「Cover Story」をローンチする。ユーザーが自身について語り、自分のホームページ上で公開できる簡易動画の機能だ。また、LinkedIn上での自分の描写について誰もが正確に表現できるよう、性別の代名詞機能も追加される。

これと並行して、同社は新しく「Creator」モードを正式にローンチする。これは同社のインフルエンサーネットワークの、より洗練されていながらいっそう一般化されたバージョンとなる(選択すれば誰でもクリエイターになれる)。また、プロフィールに新機能のService pageを追加し、フリーランサーのためのプラットフォームとしての地位も確立しようと試みている。

LinkedInの教育およびトレーニングへの取り組みもいくらか強化されている。このプログラムは元々、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済状況の変化を受け、LinkedInを所有するMicrosoftとともに2020年6月に開始された。同プログラムでは10の専門分野で無料のオンライントレーニングを提供しており、企業のトレーニングサービスの利用者が249カ国で3000万人を超えたため、サービス提供期間が2021年末まで延長されることになった。LinkedInとMicrosoftは、同プログラムを通じて人材を採用する企業の数が25万社に達することを期待している。

Microsoftとの新たな提携として、LinkedInはTeamsを使用する学生を対象とした新しいTeamsベースのアプリ「Career Coach」も発表した。このCareer Coachは、LinkedInのAIツールを利用してユーザーが職業として何に興味があり、何を追求したいのかを特定するのを支援し、LinkedInやMicrosoftの学習コンテンツへのリンクを通じてその過程をサポートする。

総合すると、一見したところ共通点のなさそうな一連の発表はすべて、LinkedInにとっての大きな進展につながるものだ。ソーシャルメディアは、コンテンツの投稿者であっても、自分が共感できる投稿を閲覧するだけの人であっても、個人のエンパワーメントという意味で非常に大きな影響力を持っている。LinkedInは、こうした多様な機能や製品を通じて、個人のアイデンティティや声、自己向上といったものを独自の方法で自社のプラットフォームに取り入れようとしているのだ。

以下では、こういった新領域についてのより詳細な感想をご紹介しようと思う。

動画ベースのCover Storyは、より消費者向けのソーシャルメディアプラットフォームであればステータスとして投稿するような、自身についての短い動画を作ってみてはという発想から生まれている。経歴や学歴のリストは人物像の一部を物語るが、自撮りの動画によってその人の別の側面を伝える事ができ、情報のギャップを埋める事ができるという考えだ。

LinkedInのチーフプロダクトオフィサーであるTomer Cohen(トマー・コーエン)氏によると、このスペースを使って履歴書には通常載せることのない興味や願望を伝え、より人間らしい角度から自身を説明することができるという。これは人々がプロフィールを訪れたときに自動再生されるものだが、コーエン氏はこれを魔法世界の動く新聞「Daily Prophet(日刊予言者新聞)」になぞらえ「ハリー・ポッター」効果と呼んでいる。現時点ではユーザーのプロフィールに表示されるだけだが、将来的には検索結果に動画が表示されるようになるかもしれない。

かなり魅力的に思えるが、実際にリクルーターの注意を引くものを作り出すというより、フォーマットを上手く整えようとする人向けに偏っている印象だ。

皮肉なことに、就職活動の際に人々を過度にプロファイリングしたり型にはめてしまうようなものを排除する傾向があるにも関わらず、こうした動画を追加することによりその種の判断材料が再び生まれてしまうかもしれない。結局は動画がどのように適用され、活用され、評価されるかという部分が重要視されてしまうからだ。

LinkedInが動画に力を入れているのは、ここ数年の同社のメディアへの取り組みの一環であり、例えばライブ配信などのサービスをタイムラインに追加している。TikTok、Snapchat、Facebook、Twitterなど、ソーシャルメディアの幅広い領域で動画がどれほど定着しているかを考えれば当然である。

LinkedInや同社の事業と関連する分野でも同様の展開が顕著になりつつあるようだ。同社が実施した調査によると、求職者の約61%が、今後動画が従来のカバーレターの代わりになる可能性があると回答しており、人事担当者の80%近くが、候補者の審査で動画は重要な位置を占めると述べている。したがって、この新たな傾向は単なる可能性には留まらず、確実に必要なツールになっていくのだろう。

動画はプロフィール機能だけでなく、さらに大きな役割を果たしつつある。その一環としてLinkedInはCreatorモードをローンチし、すでにLinkedIn Liveの動画やその他のコンテンツを作っている人々が、プロフィールを一般のLinkedInユーザーではなくCreatorsに移行できるようにした。これはLinkedInが少数のソートリーダーに提供するインフルエンサータグとは異なり、ユーザーが自分で選択するものであり、LinkedIn上で「フォロー」されることで、他の人々が投稿内容を見たり、最新の情報を入手したりすることができる。

クリエイターをフォローするためにInstagramに行くのと同じ感覚で、エンターテインメントを求めてLinkedInを訪れるというシナリオは想像し難いものの、LinkedInのコンテンツを作ること自体が、見る側にとっても見られる側にとっても最終的な目的になるのだろう。

LinkedInがDan Roth(ダン・ロス)氏率いる編集部門で構築してきたオリジナルコンテンツの展開は徐々に進められているようで、同社は2021年2月に、ロス氏が主導するCreator製品の最初のステップを発表した。ただしInstagramやYouTube、TikTokのようなプラットフォーム上のクリエイターとは異なり、今のところLinkedIn Creatorには収益化への直接のルートは存在しないようだが、状況は変わるかもしれない。

LinkedInのクリエイター戦略担当グループプロダクトマネージャーであるKeren Baruch(カレン・バルク)氏はQuentin Allums(クエンティン・アルムス)氏の言葉を引用しながら次のように語っている。「LinkedInでコンテンツを共有できるようにして以来、LinkedInはずっと間接的に人とチャンスを結びつけてきました。アルムス氏がLinkedInの動画を投稿し始めたとき、彼は失業中でお金もなく、絶望的な状況でした。しかしその後動画が大きな人気を集め、同氏はその成功からLinkedIn上で独自のビジネスを立ち上げる事ができたのです」。

「今後の可能性を検討する際には、メンバーからのフィードバックに耳を傾けながら、クリエイターのために価値を創造する方法を進化させていきます」とバルク氏は付け加えた。

Service Pagesは、LinkedInが2月に種をまき始めた製品やプロジェクトの起点でもあるようだ。LinkedInはさらに大規模なフリーランサーのマーケットプレイスを構成し、9月までには完成すると報じられている

このような小さな一歩を踏み出した同社。決済の設定やそれに類する処理へのリンクはないし、FiverrやFreelancer.comのように、ビジネスを生み出すためのプラットフォームを提供することでもたらされる利益をLinkedIn自体は得ていない。今のところは単に状況を検証し、一部の人に経歴を入力してもらうための手段にすぎないかもしれないが、将来的にはプレミアム購読やリクルーターのためのツール、その他の広告という形ですでに存在する収益創出機能に加えて、新しい種類の広告ユニットや支払いサービスへの道として注目すべきものになっていくかもしれない。

最後に、LinkedInがプラットフォーム上の機会を民主化しようと大々的に取り組んでいることを考えると、フリーランサーがプラットフォームに投稿するためのリンク提供は、ナレッジワーカーだけでなくより多くの人に扉を開く可能性を秘めている。こういった人々が現在LinkedInユーザーの主要部分を形成してはいるものの、仕事の世界にはまださまざまな分野が存在し、同社は長期的に新たな分野へと取り組みを広げていくのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:LinkedInMicrosoftSNS

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

その求人情報からNYCとロンドンの電動キックスクーターパイロット参加企業が見えてきた

Twitterでのつぶやき、そして求人情報からLime(ライム)やSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)といった企業が、スクーターシェアリングサービスにとって最後のフロンティアであるロンドンとニューヨーク市でのサービス展開の準備を進めていることがうかがえる。

求人情報をチェックすると、企業のウェブサイトやLinkedInでLimeやDott(ドット)がロンドンでのサービス開始を準備していて、一方でLimeとSuperpedestrian、そしておそらくSpin(スピン)もニューヨークでの立ち上げを準備している。求人情報はこうした企業が切望している事業許可を与えられたという決定的な証拠ではないが、どの企業が許可を勝ち取りそうかは示している。

都市居住者が社会的距離が取れる移動手段を模索していた2020年夏に、ロンドンの交通当局とニューヨーク市議会はそれぞれ電動スクーターのパイロット事業を承認した。ロンドンのパイロット事業は2021年初めに開始するはずだった。そしてNYCはもともと3月1日に立ち上げられる予定だった。しかしいずれの都市もどの企業に許可を与えるかまだ決まっていない。情報筋によると、ロンドンは5月6日の市長選が終わるまで発表しないようだ。NYCの交通当局はコメントを却下した。

関連記事:ニューヨーク市の電動スクーター参入競争が開始

ロンドンではDott、Tier、Lime?

ロンドンのパイロット事業では、Dott(ドット)とLime、そしておそらくTier(ティア)が展開することになるとの憶測がある。DottとLimeのウェブサイトにある情報、LinkedInプロフィール、そして採用ページでロンドンのポジションで募集をかけている。業界情報筋はTechCrunchに、すでになくなっているが、Tierのホームページにはロンドンでの求人が掲載されていたと話した。

英国でまだ事業を展開していないDottは「英国でゼロから事業を立ち上げる」ための英国居住のオペレーションマネジャーを募集している。同社はまた「Dottの英国マーケットのための声」となる公共政策マネジャーも募集している。

Dottのウェブサイトにあるサービスエリアを示すマップでは、ロンドンのところに小さな黄色い旗が立っている。旗をクリックすると「ページが見つかりません」のエラーメッセージが表示される。

世界をあっという間に席巻しているようにみえるモビリティ企業Limeは、すでにJumpの電動自転車という形態で昨夏からロンドンで事業を展開している。LinkedInの新たな求人からするに、Limeは事業拡大の準備をしているようだ。

関連記事:需要増を受けLimeがJumpの電動自転車をロンドンに再配備

同社のLinkedInページではロンドン拠点のゼネラルマネジャーを募集していて、業務には「英国のマーケット成長を支える運用インフラ」の構築・実行がある。この求人は1週間前に投稿され、同社は積極的にLinkedInで人材募集をかけている。

約1カ月前に、Limeはロンドン拠点のオペレーション・マネジャーの職の募集をかけ、まだリクルート中のようだ。

LinkedInでの求人からするに、Voiもまだパイロット事業のレースに残っているかもしれない。4月8日に同社はロンドンで6カ月限定のアンバサダーとスーパーバイザーの募集を追加した。これは現場での役割のようで、その職務が一時的であるというのはロンドンでの1年間のパイロット事業と関係があるかもしれない。同社が展開している英国の他の都市を管理するためにロンドンに置く人材を探しているだけ、ということもあり得る。

Birdはすでにロンドンのオリンピック公園で夏からサービスを展開しており、道路や歩道でのスクーター使用に関するロンドンの規制を変更するためのロビー活動を積極的に行った。オリンピック公園で展開しているためにBirdのサービス展開マップはロンドンを目立たせているのかもしれないが、同社がロンドンでのオペレーションと英国全体のオペレーションを管理するオペレーションアソシエートを募集していることがことをややこしくしている。

ニューヨークはLime、Superpedestrian、その他

画像クレジット:Lime

LimeはNYCにすでに馴染みがある。同社jは電動自転車をクイーンズのロックアウェイで展開してきた。そして現在、メカニックオペレーションスペシャリストの2つの職種で求人をかけている。Lime電動スクーターのマネジメント、メンテナンス、展開・回収と業務説明にはある。

マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のSuperpedestrianは自社ウェブサイトとLinkedInで4件の求人をかけている。NYC居住を理想とするCEO補佐役を探している。また、ゼネラルマネージャーの職も募集していて、この職には「ニューヨークとニュージャージーにおけるスクーターシェアリングを成長・成功させること」が求められている。

LinkedInでSuperpedestrianはNYCでの2つの職種で求人を出している。まず1つが1週間ほど前に投稿された、スクーター充電や安全点検、スクーターの展開、スクーターの修理・組み立てを管理するオペレーションアソシエートだ。もう1つが1カ月前に投稿されたスクーターメカニックだ。しかし公平を期していうとこの求人には「当社がNYCでのオペレーションを許可された場合」という注意書きが含まれる。

Spinもまた(1週間ほど前)ニューヨーク拠点のオペレーション人材の求人を出した。職務は「Spinの日々のオペレーション、ドライバーとメカニクスの管理、高効率なオペレーションチームの構築」だ。Ford傘下のSpinがNYCのパイロット事業の認可を得たことを正確に示してはいないが、募集をかけている職は立ち上げ業務に関わっているようにみえる。求人情報はまた、新規採用がSpin車両の構築・展開につながっていることをにおわせている。

欧州では大規模に展開しているが米国では今からというVoi(ボイ)はNYCが米国参入の足がかりとなることを望んでいる。同社はNYCの業務の求人を一切出していないが、求人情報にある勤務地のドロップダウンメニューにはNYCが含まれている。

最後にBirdだが、同社はニューヨーク勤務の求人2件をLinkedInに出し、推測の混乱に輪をかけている。4週間前に投稿され、今も積極的採用をかけているゼネラルマネジャーの職はかなりニューヨークに関われる人物を求めているようだ。4月7日に投稿されたオペレーションアソシエートの職務がNYCでの勤務になるのかどうかについては、やや曖昧なものとなっている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:電動キックスクーターロンドンニューヨークLimeSuperpedestrianLinkedIn

画像クレジット:Photo by TOBIAS SCHWARZ/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInもClubhouse類似機能を開発中

Clubhouse(クラブハウス)の競争相手は増え続けている。このたびLinkedIn(リンクトイン)も、クリエイターたちがネットワーク上でコミュニティでつながる仕かけとして、そのアプリ内でソーシャルオーディオ体験をテストしていることを認めた。現在、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が開発しているClubhouseライバル機能とは異なり、LinkedInは、そのオーディオネットワーキング機能が、ユーザーの単なるソーシャルプロフィールではなく、プロフェッショナルなアイデンティティと結びつくという点で、差別化できると考えている。同社はすでにクリエイターコミュニティを支援するプラットフォームを構築しており、現在はストーリーズLinkedInライブビデオニュースレターなどのツールを利用できるようになっている。

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そして米国時間3月30日より、LinkedInはこうした一連の動きを新しい「クリエイター」モードとして正式提供を始めた。このモードを使うことで、クリエイターは自分のプロフィールの更新情報、たとえばストーリーズやLinkedInライブビデオなどをフォローしてもらえるようになる。

このようにクリエイターに焦点を当てたことで、LinkedInは、現在音声ベースのネットワーク機能を現在さまざまなレベルで開発しているFacebook、Twitter、Telegram(テレグラム)、Discord(ディスコード)といった企業たちと比べて、独自のClubhouse機能の拡大という点で競争力を持つことになる。

Twitterが開発中の、ClubhouseライバルであるTwitter Spaces(ツイッター・スペース)は、すでにベータテストが開始されているが、まだクリエイターのための完全なツールは揃っていない。実際Twitterが、たとえば新しい「スーパーフォロー」機能などを通じて、より大規模なクリエイター向けサブスクリプションプラットフォームの計画を発表したのは、2020年2月になってからだ。そして、買収によってニュースレター分野にやっと参入したのも、2021年になってからだ。一方、Facebookはこれまでクリエイター向けの機能を数多く提供してきたが、最近ではニュースレターのようなツールにも力を入れている。

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LinkedInは、メンバーやクリエイターから、そのプラットフォーム上でのより多くのコミュニケーション手段を求める声が寄せられていたことから、音声ベースのネットワーク機能を開発することにしたのだという。

LinkedInの広報担当者であるSuzi Owens(スージー・オウエンス)氏は、オーディオ機能の開発を認めた際に「LinkedInでの50%近くの会話の増加は、ストーリー、ビデオ共有、プラットフォーム上の投稿などにに反映されています」と語った。また「プロフェッショナルアイデンティティと結びついたユニークな音声体験を実現するために、いくつかの初期テストを行っている最中です。イベントやグループなど、LinkedInの他の部分にもオーディオを導入し、メンバーがコミュニティとつながる方法をさらに増やすことができるようにすることを検討しています」と述べている。

クリエイターからの関心の高まりを受けて、同社はルーム内のスピーカーを並べるステージと、その下にリスナーを配置する機能をいち早く開発した。また、リバースエンジニアのAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・ポルッツィ)氏が、LinkedInのAndroidアプリ内で発見したインターフェースのスクリーンショットをみると、ルームへの参加や離脱、コメントへの反応、発言のリクエストなどのツールも用意されている。

ポルッツィ氏は、ユーザーインターフェースに自分のプロフィールアイコンを表示しした画像をツイートしたが、これはLinkedInによるものではない。その代わりにLinkedInは、ルームでの体験に関する概念的なUXを示す独自のモックアップをTechCrunchに示した。このモックアップは、この機能がローンチされたときにどのようなものになるかについての、より具体的な例を示している。

画像クレジット:LinkedIn

LinkedInは、この音声エクスペリエンスが、ユーザーの職業上のアイデンティティと結びついていることで、ユーザーは安心してコンテンツについて話したり、コメントしたり、その他の方法で関わることができる、とTechCrunchに語っている。また、LinkedInライブなどの他の機能のために、すでに提供されているモデレーションツールを活用して、すでにClubhouse悩ませ始めている不適切もしくは有害な議論に対する懸念に対処することができる。

「私たちの優先事項は、参加者が安全だと感じ、生産性を高めることができる、信頼できるコミュニティを構築することです」とオウエンス氏はいう。「私たちのメンバーは、現実世界の人びとと、敬意を持って建設的な会話をするためにLinkedInに集まっています。私たちそのための安全な環境を確保することに注力しています」と彼女はいう。

さらにLinkedInは、音声ネットワーキングは、グループやイベントなどの他の分野の自然な延長線上にあるとしている。こうしたネットワーキング分野は成長を続けているが、特にパンデミックの中ではその傾向が著しい。

2020年には、約2100万人がLinkedInでのイベントに参加し、LinkedIn全体のセッション数は前年比で30%増加した。全世界に広がる7億4000万人のLinkedInメンバーも、2020年は48億回の接続を行い、コミュニティを形成し、会話を交わし、知識を共有している。

パンデミックによって活況となった多くの企業と同様に、LinkedInは、パンデミックによって、オンラインネットワーキング、リモートワーク、バーチャルイベントへの自然な流れが加速されただけだと考えている。そもそもこれらはロックダウン以前から行われていたものだ。例えば、LinkedInは、パンデミック前はリモートワークを行うメンバーは8%だったが、2020年末までにはそれが60%以上になっているという。パンデミックが収束した後も、世界の労働人口の半数以上が、少なくともある程度の期間は自宅で仕事をすると予想されることから、LinkedInはこの変化は定着すると考えている。

そのため、音声エクスペリエンスなどの、新しい形のオンラインネットワーキングが成長する余地があるのだ。

LinkedInは、この音声ネットワーク機能の開始時期を正確には決定していないが、まもなくベータテストを開始すると表明している。

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タグ:LinkedInClubhouse音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)