新型Mac mini: 高性能で低価格なデスクトップMacの復活

最新のMac miniに小さなところはない。

Mac miniの小さなサイズや価格の安さを気にすることはない。この小さなデスクトップは、Appleの新しいチップセットのおかげで、ほとんどのユーザーにとって革命的な存在となった。M1と呼ばれるこのチッププラットフォームは、Appleのデスクトップコンピュータやポータブルコンピュータの心臓部に長年搭載されてきたIntel CPUに取って代わるものであり、その仕上がりは素晴らしいものになった。

M1 Mac miniの使い心地は、まるで新しいiPadやiPhoneを使っているような感覚だ。すべてが満足のいく形で、あるべきところに当てはまる。私は試用機が遅くなるのをずっと待っていたが、1週間近く経った今も、使い始めた日と同じくらい速い。新型Mac miniは驚異的だ。ほとんどのユーザーは既存のMacコンピュータが大幅にアップグレードしたとわかるだろう。価格は関係なく、これに勝てるマシンはほとんどない。

カジュアルなユーザー、つまりWebブラウザやAppleのアプリを使って生活している人にとって、Mac miniは文句なしの選択肢である。私が自分のために買うデスクトップということだ。パワーユーザー、つまり専用アプリケーションを使う人にとっても、Mac miniは真剣に検討すべき製品だ。主要なアプリケーションのほとんどは、新しいMac miniで十分に使える。特に、写真やビデオなどを扱うクリエイティブなアプリケーションには最適だ。

Mac miniは、Macのラインナップの中でも、長い間忘れ去られた存在だった。ほとんどアップデートされず、プロモーションもされず、何年もベンチを温めながら、Appleのポータブル機器がアップデートやモデルチェンジを繰り返し、世の中がモバイル化するのを眺めてきた。しかし今、我々は終わりのないパンデミックの真っ只中にいる。コーヒーショップが閉店し、出張が制限される中、COVID-19の危機はデスクトップコンピュータの再発見につながるかもしれない。

M1を搭載したMac miniは勝ち組だ。

レビュー

はじめに知っておくべきことがいくつかある。1つは、新しいMac miniがM1 SoCを搭載しており、Intelの先代モデルとは根本的に異なるということ。CPUの代わりにSoC(System on a Chip)を採用することには利点と譲歩がある。このチップセットはARMの設計を中心に構築されており、CPUよりも多くのコンポーネントが統合されている。多くの点において、従来のコンピュータで使用されているチップよりもスマートフォンやタブレットに使われているシステムに近い。この設計のため、これまで別々だったコンポーネントが、今ではチップに直接統合されている。

2つめ。Appleは私にテスト用のMac miniと共に6K 32インチのPro Display XDRを提供してくれた(これらはAppleに返却される)。私自身が所有する24インチのディスプレイもHDMI経由で稼働させている。Mac miniの製品ページによると、モニターは2台まで接続できるとのこと。サードパーティ製のソフトウェアを使って3台目のモニターをつなぐこともできたが、不安定なので使えるとは考えない方がいいだろう。

そして3つめ。TechCrunchでは新しい13インチMacBook Air13インチMacBook Proもレビューしている。これらのシステムを同じ条件でベンチマークを行い、ユニット間の違いを確かめた。

我々のテストでは、AppleのM1 system on a chip(SoC)が価格に関わらずライバルを上回ることがわかった。M1を中核に搭載するMac miniは、超高価なMac Proを除くすべてのApple製コンピュータよりも、ほとんどの点において高速で、ときにはMac Proよりも高速だ。さらに、このパフォーマンスの向上は、専用に作られたアプリケーション上のコンピューティングタスクに限らず、システム全体で顕著に現れている。このシステムはサクサクと動作し反応がよく、コンピューティングの新時代の幕開けのように感じられる。

新たなMac体験

新しいMac miniの体験をサクサクという言葉では表現しきれない。このシステムは爆速だ。ユーザーは起動時間からアプリケーションの起動までの速さも向上していることにすぐ気付くだろう。これまでは、パワフルなマシンでも、macOSはiOSに比べて重く感じたが、もうそんなことはない。M1チップとmacOS(Big Sur)の組み合わせは、軽くて自由で、使うのが楽しい。

さらに良いことに、ARMベースのM1チップによって、MacでiOSアプリを実行することが可能になった。MacでもiPadと同じようにスムーズに動作する。

Intelの入っていない新しいMacを受け入れることに、躊躇する人もいるかもしれない。いま使っているインテルチップ用のレガシー・アプリは新しいMacで動くだろうか? 快適に使えるだろうか? すべての可能性に答えることはできない。私は数日の間に十数本のアプリをこの新しいシステムにインストールして動かしてみたが、障害を経験したことは一度もなかった。 旧いプログラムを使っても、すべてが宣伝文句通りに動作し、ほとんどの場合は数ヶ月前に使っていた15インチのMacBook Proより、このM1搭載Mac miniの方が快適に動いた。新しいプラットフォームで実行できないアプリケーションは1つも見つからなかった。

最大の速度向上は、M1プロセッサ用のネイティブ・アプリケーションを使っているとき、最も顕著に現れる。AppleのFinal Cut Proでは、アプリケーションの読み込みは一瞬にして行われ、ボタンを押してから起動して使えるようになるまで、わずか2秒しか掛からなかった。

M1チップを使ってネイティブのFinal Cut Proアプリで8K映像を編集するのは、Intel Macで4K映像を編集する時よりも苦痛が少ない。しかし、ファイルの書き出しにはまだ時間が掛かる。これはIntelのプラットフォームがM1を上回る数少ない作業のひとつだ。

レガシーなソフトウェアを使っているときも、システムは軽々と処理をこなした。Photoshopでの編集はより円滑に感じられた。Lightroomではフォトアルバムの読み込み速度が上がり、なんの面倒もなかった。Premiereでのビデオ編集は、6Kの映像をスクラブしながら編集するのも簡単で苦ではない。ファイルの解凍さえもはるかに速くなった。

Image Credits: Matt Burns

くだらないデモだが、上のGIFを見てほしい。アプリケーションが瞬時に起動するのが分かるだろう。ほとんどすべてのアプリが同時に起動する。AppleがBig Surにもビーチボールを組み込んでいるとしても、私はまだそれを見つけていない。

M1チップはARMの設計をベースにしているため、Appleはこの新しいコンピューティングプラットフォーム上で動作するようにmacOSを作り直す必要があった。見た目はほとんど同じだが、Big SurはApple独自のシリコン用に作られている。再設計されたチップを最大限に活用するためには、アプリケーションをArmフレンドリーな設計になるようにコードを書き換えなければならない。にもかかわらず、意外なことがわかった。AppleのRosetta 2はIntelプラットフォーム用にエンコードされたソフトウェアを、新しいAppleのプラットフォーム上で動作させ、M1のパワーを活用することができるのだ。

ほとんどの用途では、このハードウェアとソフトウェアを総合的に構築するアプローチは、大きなメリットをもたらす。一般的なシステムレベルのタスク、例えばアプリの起動、スリープ状態からの復帰、ファイルの解凍などは一瞬で実行される。ビデオのレンダリングや写真の編集など、その他の処理も同様に高速だ。音楽や写真、Safariまで、新しいMacの発売時にはすべてのApple製アプリケーションがM1用に再エンコードされている。Adobeなど他社製アプリケーションの多くは、まだネイティブではないが、旧いバージョンでも問題なく動作し、そして多くの場合、IntelプラットフォームよりもM1の方が快適に動くのだ。

M1プラットフォームには専用のグラフィック処理ユニットがない。チップのコアに内蔵されているのだ。機械学習専用メモリのおかげで、ディスクリートGPUがないことは、プロのユーザーでもほとんど気にならないだろう。それでも、集中的なグラフィックス作業を行う人(プロのgfxビジュアルアーティストのような)は躊躇するに違いない。しかしそれも、アプリケーションが新しいARMアーキテクチャにネイティブになれば、この結論は変わるかもしれない。

M1はまた、eGPU(外部グラフィックスカード)を使用する機能を持たないが、ほとんどのユーザーは心配する必要はない。IntelベースのMac miniと強力なeGPUの組み合わせが、Mac Proの代わりになる低価格で有用な選択肢だと感じていたプロにとっては問題かもしれない。しかし、我々のテストによると、これらのM1システムのGPU性能は素晴らしく、クリエイティブなメディア編集アプリケーションにおいてさえ、ほとんどの人には十分な性能を発揮する。

一般的なワークフローに加え、システムがどれだけ反応するかを確認するため、いくつかのベンチマークを実行してみた。さらに一歩進んで、Appleの最上位システムと、新しい13インチのMacBook Airや13インチのMacBook Proとの間のパフォーマンスをチャートにした。

ベンチマークは時に結果を単純化しすぎてしまうことがあるが、それでも必要なテストである。これによって、様々なシステムを同じ環境で比較することができるからだ。複数のテスト結果を見たところ、結果は同じだった。M1は本当に優れている。

新しいMacのラインナップ

Mac miniには2つの兄弟モデルが存在する。Appleの13インチMacBook Airと13インチMacBook ProにもM1が搭載されているからだ。その性能の差は僅かだ。3台すべてが同じコンピューティングプラットフォームを採用しているが、MacBook ProとMac miniは冷却方式が異なる。これら2モデルは冷却性能が改善されているため、MacBook Airよりも持続的なパフォーマンスを発揮するのに適している。

我々のテストでは、3つのマシンはすべて同じようなパフォーマンスを見せた。Airは長時間のテストで低下し始めたが、これはファンを搭載せずパッシブ冷却を採用していることが原因だと思われる。MacBook ProとMiniのSoCはファンで冷却されるが、Airではヒートシンクが使われているのだ。

これにどれほどの意味があるだろうか。Airのパフォーマンスは長時間の集中的なタスクの間だけ遅くなるものの、ほとんどのユーザーにとって十分に高性能だ。ウェブの閲覧、写真の編集、動画の視聴といった仕事なら、Airは完璧にこなす。

新しいMac miniには、Intel製の兄弟モデルと比べて1つだけ欠点がある。M1 Mac miniは、Thunderbolt 3入力ポートを2つしか搭載していないのだ。ユーザーによってはこれを受け入れられない人もいるだろうが、私はそうではない。Mac miniのThunderbolt機能を拡張する方法は数え切れないほどあるし、私にとっては、そのパフォーマンスはポート数の制限を補って余りあるものだ。

また、M1 Mac miniには10GBのEthernetも搭載されていないため、サーバーとして活用したいユーザーの希望は叶えられない。これもM1の制限である可能性が高く、将来のチップセットの改訂で対応されることを期待したい。

マルチモニター対応は、M1 Mac miniの大きな欠点だ。1台はThunderbolt経由で、もう1台はHDMI経由で接続するしかないため、合計で2台のモニタしか使えない。サードパーティ製のソフトウェアを使えば3台目のモニターを低解像度で動作させることができたが、不安定でパフォーマンスも低かった。私を含む一部の人にとって、マルチモニター対応は大きな問題であり、2台のモニターでは十分ではないことが多いのだ。

ベンチマーク

AppleはM1を搭載したコンピュータを宣伝する際、チップセットについていくつか突拍子もない主張をした。しかし、その主張のほとんどは事実であることがわかった。我々はM1システムでいくつかのベンチマークを実行し、Mac Proを含む最新のMacと比較してみた。

ベンチマークは大雑把な表現で描かれるため、微妙なニュアンスを見逃してしまうことがよくある。ここでもそれが当てはまる。最初の数回のベンチマークではM1の速さが実証されているが、最終テストではFinal Cut Proの重要な側面を捉えきれていない。確かに、インテルベースのシステムよりも書き出しは遅いが、M1ネイティブバージョンのFinal Cut Proを使うと、旧いシステムよりもずっとスムーズに作業が行える。8K映像の操作、スクラブ、編集も、何の支障もなく簡単にできる。レンダリングはインテル版より時間がかかるものの、編集はずっと楽にできるだろう。

Image Credits: TechCrunch

このテストではXcode 12.3ベータをダウンロードし、その解凍時間を比較した。11.57GBのファイルを解凍すると28.86GBのフォルダになった。バーが低い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

次にWebKitをコンパイルしてその時間を計測した。バーが低い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

Image Credits: TechCrunch

Geekbenchを使って2つのテストを行った。1つはRosetta 2を使ってレガシー・アプリケーションを実行したときのシステムのパワーを実証するもの。もう1つはM1ネイティブモードでGeekbenchを実行し、Apple Siliconの実力をテストした。バーが高い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

Final Cut Proでは、8K動画(80GB)のレンダリングに要する時間を計測した。バーが低い方が優れている。

結論

長所

  • 価格の割には画期的な性能
  • レガシー(Intel)アプリやiOSアプリを簡単に実行できる
  • 排熱と静粛性に優れている

 

短所

  • モニターを2台しか接続できない
  • eGPUに対応しない
  • 2つしかないThunderbolt 3ポート

テストしたMac miniのスペック

  • 8コアCPUと8コアGPUを持つApple M1チップ
  • 16コアのNeural Engine
  • 16GB ユニファイドメモリ
  • 1TB SSD ストレージ
  • Gigabit Ethernet
  • テスト機の価格:$1299(同仕様の日本価格:13万2800円)

新しいMac miniは素晴らしいマシンで、静かな復活の始まりのように感じられる。別の時代にはAppleは信頼できる適正価格のデスクトップで知られていたが、その言葉はこのMac miniにもそのまま当てはまる。

長年Mac miniを愛用してきた私は、デスクワーカーのための素晴らしい選択肢として、Mac miniを再び見ることができて興奮を抑えられない。

M1チップセットにより、Appleはパーソナルコンピュータの長い歴史の中で新たな章を歩み始めた。このチップセットは、優れたパフォーマンスを小さくて電力効率に優れたパッケージで提供することで、コンピューティングのパラダイムを再定義した。Mac miniでは、M1はMacのデスクトップ機に新しい体験を提供する安定した馬車馬として輝きを放っている。新しいMacBook AirMacBook Proでは、M1は従来よりも大幅に長いバッテリー駆動時間と安定した性能を発揮する。これらのレビューはこちらこちらでご覧いただきたい。

新しいMac miniを買うべきか? デスクにかじりついている人ならそうするべき。新しいMac miniは最高だ。

 

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Apple M1チップ搭載の新MacはeGPUをサポートせず

Apple(アップル)は米国時間11月10日のイベント(未訳記事)で、同社初のMacハードウェア向きの自社開発プロセッサーを発表した。「M1」と呼ばれるそのシステムオンチップ(SoC)は、IntelではなくArmアーキテクチャーに基づいている。これは非常に大きな切り替えであり、発表のほとぼりが冷めるにつれ、新しいMacBook AirMacBook ProおよびMac Miniのオプションに関する詳細が明らかになってきた。

TechCrunchは、最初のApple Silicon MacはeGPUをサポートしないという情報を得た。正確にどこからの非互換なのかははっきりしない。M1チップ自身がeGPUと仲良くできないのか、この日発表された3台の新型Macに関する何かなのか。

以前から消費者は、メモリー負荷の高い作業を劇的に高速化するために外付けグラフィックカードに頼ってきた。eGPUは、ノートパソコンや性能不足のデスクトップに同じ体重物階級で抜きん出た力を与えることができる。中でも、アップルの過去のノートパソコンは十分なRAMとCPU性能を持ちながらグラフィック処理能力が不足しているといわれてきた。そこでユーザーは、旧世代Mac miniに拡張RAMとeGPUを加えることでMac Proに匹敵する性能をわずかな価格で手に入れられることを発見した。しかしながらさきほど発表されたMacではいまのところ不可能だ。

本日のM1発表の中で、アップルの広報担当者はチップに統合されたGPUを繰り返し称賛したが、詳しい技術仕様は明らかにしなかった。この日発表されたバージョンのM1は7または8コアで、同社によると同等のPC向けGPUと比べて2倍のGPU性能を33%の消費電力で実現するという。これが本当なら(チップのベンチマークが終わればわかる)、このM1はモバイルチップとしては本格的なGPU性能を有することになるが、専用外付けグラフィックカードとは比較にならないため、見捨てられたと感じるユーザーもいるだろう。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac EventApple M1

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルの新チップとMacは投資家を興奮させられなかった

ショーの終了時に、その価値が1985ビリオンドル(1兆9850億ドル、約208兆6000億円)だったApple(アップル)のMacイベントは、時価総額「2000ビリオン」、一般的な表現なら2トリリオン(2兆ドル)の勲章を得るために必要な最後の15ビリオンドル(150億ドル、約1兆6000億円)をもたらすことができなかった。

Appleの新M1プロセッサー一新されたノートパソコン製品群に目を光らせるだけでなく、会社の発言とともに変わる企業価値にも注目していた。アップルが世界の注目を欲しがるとき、私たちの疑問はいつもこれだ。会社が何を発表するかによって、市場が会社を見る目は変わるのか、その結果、価値は変わるのか?

答えはほぼ常に「ノー」だ。おそらくこれはアップルの新製品ラインの追加ペースが遅くなり、代わりに大きくて高価なiPhoneを作るようになって、いっそう明白になった。前者よりも後者をモデル化するほうが簡単なので、ほとんどの製品ニュースは、実際のデモを私たちが見る時のアップルの価値に織り込まれている気がする。

この日も例外ではなかったが、私は興味をもって臨んでいた。アップルが期待通り自社製チップを搭載した新しいコンピューターをたくさん発表したらどうなるだろうか?ハードウェア売上の利益率が良くなる可能性は投資需要と会社の価値を高めるのだろうか?

結果はといえば、答えは「ノー」だった。


アップルのイベントは太平洋標準時午前10時、上のグラフでは1pmに始まった。

発表中、アップルの価値は揺れ動き、まず、新MacBook Airのデモに向けて少し上がった。その後株価は下がり、新型Mac Miniはその下降を止めることができなかった。新しいMacBook Proの影響も限定的のようだった。AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が再び登場した頃、株価はその日の元値に戻った。これをどう解釈するかは読者の自由だ。

M1チップを、大手チップ会社としてのアップルの未来を、あるいはクパチーノ初の新型コンピューターを、「あなた」がどう思うかに関わらず、少なくとも投資家が新しい製品ラインに驚くことはなかった。

これでもIntelについて私たちがいえることよりも多い。アップルがM1テクノロジーを発表したその時から、同社にとってあまり良い日ではなくなってしまった。

おそらく、Apple M1の発表を知っていたアップル株主は全員、何が起きるかIntel株主に教えることができたはずだ。そうすればIntelのメンツも少しは保たれただろう。

ともあれ、アップルのホリデー製品群は出揃ったようだ。世界的都市封鎖が再び日常になる時、果たしてどんな売れ行きをみせるのか注目だ。おそらく前四半期の売行き不調を取り返すことはできるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Silicon MacではiOSアプリも動作する

米国時間11月10日、Apple(アップル)は新しいApple Silicon Macが従来より幅広い範囲のアプリを実行する能力を持つことについて詳しく話した。iOSデベロッパーがモバイルアプリのMac互換バージョンを公開していない場合でも実行できる。同社によると、新型Macに搭載されたmacOS Big Sur(ビッグ・サー)は、ユニバーサルアプリ(Apple SiliconとIntel Macの両方に対応するように作られたネイティブバイナリーを含む)だけでなく、ユニバーサルにアップグレードされていないその他のアプリも動作させることができる。

これは、新型Macが史上初めて、ユーザーのiPhone / iPadアプリを実行できることを意味している、とアップルは語った。この変革によってMacで利用できるアプリの選択肢は大きく広がる。

アップルはどうやってこれが可能になったのかをイベントで説明した。Rosetta 2(ロゼッタ2)と呼ばれる新技術が、IntelベースMac向けに作られたアプリがM1(Apple Siliconファミリー初のメンバー)上で動くのを助ける、と同社は語った。アップルは、グラフィック志向のアプリはRosetta 2を使った時のほうがIntelで動いたときよりも性能が向上するとまでいっている。

さらにアップルはイベントで、HBO MacとAmong UsといったiPhone / iPadアプリが新型シリコンMacで動作するところを披露してみせた。


アップルは他のデベロッパーが自社アプリを新型Mac対応にする計画を話しているところをビデオで紹介した。Panic、Cinema 4D、Baldur’s Gate 3、Hopscotch、mmhmm、Shapr3Dなどだ。

しかし9to5Macの記事によると、アップルはデベロッパーが新しいユニファイドアプリストアからオプトアウトすることを認めるらしい。Apple Silicon向けの新しいMac App Storeに自社アプリを提供しないデベロッパーとして9to5MacはGoogle(Gmail、Googleドライブ、Googleマップ)、Facebook(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)、Amaaon(Prime Video)、Snapchat、およびDisney+の名前を挙げている。

ただし、このオプトアウトは一時的な方策かもしれない。

アップルはユニバーサル・アプリ(Apple SiliconとIntelプロセッサーの両方に向けて作られたアプリ)について、さらに詳しく語った。ユニバーサルアプリを最初に公開する企業には、Omni GroupとAdobeが入っている。AdobeはユニバーサルバージョンのLightroomを2020年12月に、Photoshopを2021年に公開する予定だ。

ユニバーサルアプリのダウンロードは、App Storeでもウェブからでも可能になるとアップルはいう。。

もちろんアップルは自社アプリをすべてM1に最適化しており、macOSに含まれるアプリだけでなく、Pages、Numbers、Keynote、GarabeBand、iMovie、LogicPro、Final Cut Proなど、同社が提供している他のアプリも対象だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac Eventアプリ

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新macOS Big Surは米国時間11月12日に提供スタート

Apple(アップル)が米国時間11月10日に発表したところによると、同社の次期デスクトップおよびノートパソコン向けOS、macOS Big Surは米国時間11月12日にリリースされる。

カリフォルニアをテーマにしたMacOS Big Surには、新しいユーザーインターフェース、新機能、パフォーマンス改善が盛り込まれる。

iOS 14の機能の多くも移植されている。これには改善されたメッセージスレッドとインライン返信、再設計されたマップアプリが含まれる。macOS Big Surには新しいコントロールセンターが搭載されており、画面明るさやボリューム、Wi-FiとBluetoothへのすばやくアクセスできるようになる。

Safariにも待望の刷新が施されている。​新しいプライバシー機能とセキュリティ機能が搭載されており、ウェブ上でトラッカーが追跡するのを防ぐインテリジェンス追跡防止機能や、以前に侵入されたパスワードを使わないようにするパスワード監視機能などが組み込まれている。

macOS Big Surの動作の模様は、TechCrunchのBrian Heater(ブライアン・ヒーター)記者が8月に試している(未訳記事)。

​MacOS Big Surは、2013年以降のMacとMacBookでサポートされる。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac EventmacOS

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

​新型13インチMacBook Proは新M1チップ搭載し、13万4800円から

Apple(アップル)から新しい独自チップを搭載した3つの新デバイスが登場した。新型MacBook AirとMac miniの発表に続いて、同社は13インチのMacBook Proをアップグレードした。

米国時間11月10日のイベントでアップルは、このシステムを「M1チップができる究極の表現」と呼んだ。​少なくとも、このシステムは新チップの能力の限界を押し広げているようだ。​ウェブブラウジングで17時間、ビデオ再生で20時間という長いバッテリー駆動時間を実現しており、これは同社がMacBook製品で提供している最高のスペックだ。

現時点ではベンチマークの詳細は不明だが、アップルによると以前のモデルに比べてほぼ2.8倍の性能向上と、5倍高速なグラフィックスを実現するという。またMacBook Airとは違い、内部にはファンがある。Touch Barはそのままでウェブカメラも大きくは変わらないが、同社はソフトウェアベースの性能向上をアピールしている。また、マイクも強化されている。本体には2個のThunderbolt / USB 4ポートを搭載。8GBのRAMと512GBのストレージが最低構成で、それぞれ16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、前世代と比較してM1を搭載した13インチMacBook Proでは以下のことが可能になったという。

  • Xcodeでのコードビルドが最大2.8倍高速になる。
  • Final Cut Proでの複雑な3Dタイトルを最大5.9倍速でレンダリングできる。
  • ​Unity Editorで複雑なゲームシーンを最大3.5倍の速さでスムーズにデザインできる。
  • ML作成機能でMLタスクを最大11倍高速に実行できる。
  • ニューラルエンジンの驚くべきパフォーマンスにより、djay Pro AIでリアルタイムでレコーディングからビート、インストゥルメンタル、ボーカルトラックを分離できる。
  • DaVinci Resolveで、1フレームも落とさずにフルクオリティの8K ProResビデオを再生できる。
  • M1チップのワットあたりの性能の向上により、1回の充電で4倍のコードをコンパイルできる。

MacBook Airと同様、MacBook Pro価格は据え置きだ。価格は1299ドル(日本では税別13万4800円)からで、予約販売は始まっており、来週には出荷が開始される。

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タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac EventApple M1MacBook Air

画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

新型MacBook AirはApple M1を搭載しバッテリー効率向上、10万4800円から

Apple(アップル)独自のシリコンを搭載した初のMacBookが登場した。長年愛されてきた薄くて軽いMacBook Airは、同社の新しいM1チップを搭載している。システムは過去数世代のMacBook Airとほとんど同じように見えるが、大きな変化のほとんどは内部で起きている。

アップルによると、システムは以前のモデルよりも3.5倍高速で、2019年に販売されたPCノートパソコンの98%よりも速いという。注目すべきは、新しいARMベースのチップはファンなしで動作する点だ。同社は長い間、バッテリー効率が新チップの大きな利点の1つだと主張しているが、それは確かなようで、15時間のウェブブラウジングと18時間の動画再生を実現している。以前のモデルが12時間だったことと比べると大きな進化を果たしている。

アップルによると、このシステムはFinal Cut Proで4K ProResビデオの複数のストリームを編集できるほど強力だという。​ファンのないシステムがどれだけ耐えられるのか、気になるところだ。

TouchBarは搭載されていないが、ありがたいことに前モデルのMacBook Airから引き続きTouch IDがを採用している。残念ながら、ウェブカメラのハードウェアは同じように見える。多くの人がビデオ会議をしている事実を考えるとアップグレードが望まれるが、アップルは720pのカメラにいくつかのソフトウェア的な改善を行ったと主張している。また本体には2つのThunderbolt / USB 4ポートが搭載されている。RAMは8GB、ストレージは256GBが最低の構成で、16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、​前世代と比較してM1搭載のMacBook Airは以下のことが可能になっている。

  • iMovieでウェブ用プロジェクトを最大3倍速く書き出すことができる。
  • Final Cut Proで3Dエフェクトをビデオに最大5倍速く統合できる。
  • Final Cut Proで初めて、フルクオリティの4K ProResビデオの複数のストリームをフレームを落とさずに再生して編集することができる。
  • Lightroomから写真を最大2倍の速さで書き出せる。
  • Final Cut ProのSmart ConformなどのMLベースの機能を使えば、クリップを最大4.3倍速くインテリジェントにフレーム化できる。
  • ​バッテリ持続時間は最大18時間で、MacBook Airとしては最長。より多くの映画やテレビ番組を観ることができる。
  • FaceTimeなどのビデオ通話時間を最大2倍に延長できる。

MacBook Airの価格は999ドル(日本では税別10万4800円か)らで、新しいMacBook ProやMac Miniと同様に予約受付が開始されており、来週から出荷が開始される。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac EventApple M1

画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ARMベースMac発表イベントで、アップルの懐かしいCMに出ていた「私はPCです」氏が再登場

Apple(アップル)は、米国時間11月10日に開催したARMベースMacの発表イベントで、俳優のJohn Hodgman(ジョン・ホッジマン)氏をカメオ出演で呼び戻し、2000年代中期の同社CMのちょいと間抜けな「I’m a PC(私はPCです)」氏キャラクターとして再登場させた。彼の役割は、アップルのApple Siliconの未来に直面したIntelベースPCの慌てぶりを表現することだ。

この短編は、米国時間11月10日に開催された「One More Thing」イベントの終了後に放映された(今回のイベントでは新しいM1チップと、今後のMacBook Air、MacBook Pro、Mac Miniの新しいデザインが披露された)。ホッジマン氏演じるキャラクターは、昔なつかしいキャンペーン音楽と共に白い部屋の中に登場し、新しいマシンのパワーマネジメントをネタにして話した。

当時Mac役を務めていたJustin Long(ジャスティン・ロング)氏のカメオ出演は特になかった。ホッジマン氏の登場が単にに今回のイベントを飾るだけだったのか、あるいはアップルが懐かしいキャンペーンシリーズの計画を練っているのかは不明だ。いずれにしろ、それはアップルの人気キャンペーンを楽しく思い出させた。

下の動画の45:29からPC氏の姿を見ることができる。

カテゴリー:その他
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac Event

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表Apple(アップル)は11月11日、ARMベースの独自システムオンチップ(SoC)として、5nmプロセス採用の「Apple M1」を発表した。

Apple M1は、CPU、GPU、Neural Engine、入出力、セキュリティなど複数技術を統合することで、より優れたパフォーマンスと電力効率を実現。5nmプロセス製造により、Apple史上最も多い160億個のトランジスターを搭載。CPU性能は最大3.5倍、GPU性能は最大6倍、機械学習では最大15倍高速になったほか、バッテリー駆動時間は1世代前のMacよりも最大2倍長く持続するという。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

2.6TFLOPS(テラフロップス)のスループット(演算性能)を持つとするApple M1は、4つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載。これら8コアすべてが連係することで高い性能を発揮でき、ワット当たりのCPU性能は世界最高としている。

4つの高性能コアは、省電力シリコンとしては世界最速のCPUコアとしており、ディベロッパーはこれまでよりも約3倍速くプロジェクトのビルドが行える。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

また高効率コアは、従来の1/10の電力で高いパフォーマンスを実現。これら4コアだけで、現行世代のデュアルコアMacBook Airと同等のパフォーマンスを発揮できるが、作業に使う電力ははるかに低く抑えられる。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

GPUについては、統合型グラフィックス機能として、2万5000近くのスレッドを同時に処理できる最大8つのコアを搭載。複数の4Kビデオのスムーズなストリーミング再生、複雑な3Dシーンのレンダリングなど、高いパフォーマンスを要求する作業を軽々とこなせるという。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

CPUとGPUでメモリーを一部共有するユニファイドメモリアーキテクチャーを採用し、ひとつのパッケージとしてApple M1にメモリーをまとめている。これにより、CPU・GPUなどが複数のメモリープール間でコピーすることなく同じデータにアクセスできるようになり、パフォーマンスと効率が一段と向上した。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

またApple M1は、毎秒11兆の演算処理が可能な16コア「Apple Neural Engine」を搭載。Apple M1のCPU、GPU、Neural Engineは、それぞれ異なるタイプの機械学習(ML)作業ができるよう設計されている上、MLパフォーマンスコントローラーがMLのタスクを適切な場所に配分するため、パフォーマンスを最大化できるという。

さらに、行列の掛け算を高速化するために作られたふたつの専用MLアクセラレーターが、1秒間に最大1兆回の演算処理を行う。Neural Engineほどの大きなパワーを必要としない、低レイテンシーのMLタスクを処理するのに最適としている。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

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Apple Siliconファミリー初のチップ「M1」が登場

予想どおりApple(アップル)は米国時間11月10日、初のARMベースのラップトップとなるMacBook Air、Mac mini、Macbook Proを発表し、それにともなってARMベースのApple Siliconチップファミリーも発表している。最初にApple Siliconを発表したときに同社はあまり詳細を提供していなかったが、本日の発表ではかなり多くの情報が明かされた。このファミリーの最初のチップは、5nmプロセスで製造される「M1」である。

「私たちは10年以上も前からApple Siliconを開発してきました。これはiPhone、iPad、Apple Watchの心臓部であり、いまではMacにも搭載したいと考えています。これによりMacはApple Siliconによる驚異的なパフォーマンス、カスタムテクノロジー、および業界をリードする省電力性で飛躍的な進歩を遂げることができます」とアップルは述べている。

M1はARMチップのスタンダードを踏襲し、4基の高性能コアと4基の高効率コアを搭載される。

アップルによればM1は同社最高性能のチップであり、低消費電力の高効率コアは現在のIntel(インテル)ベースのデュアルコアMacBook Airと同等の性能を提供すると主張している(公平を期すると、MacBook Airは決してパフォーマンスマシンではない)。もちろん、高性能コアははるかに高速だ。

さらに重要なのは、これらのチップは他のシステムよりもワットあたりのパフォーマンスでも優れているということだ。

GPU側では、M1は最大8コアで128の実行ユニットを搭載する。これは最大2万4576の同時スレッドと、2.6テラフロップスのピーク性能を処理できる。アップルによると、これは世界で最も高速な統合グラフィックス体験をノートパソコンにもたらすという。

予想通り、このチップには機械学習のワークロードを加速するアップルのニューラルエンジンも搭載される。

画像クレジット:Apple

アップルが2020年初めに出荷した開発者向けユニットには、同時期に登場した2020年モデルのiPad ProでデビューしたA12のカスタム版であるA12Zチップが搭載されていた。アップルが本当に「開発者移行キット」のためにその8コアのA12Zチップを変更したようには思えないが、この開発者向けキットはエントリーレベルのMacBook Airと同等のパフォーマンスレベルを達成している。

​アップルがこのチップのデザインを自社の目的に合わせて変更したことは明らかだが、ARM自身もここ数年、サーバーとデスクトップ、ラップトップ対応チップのIPポートフォリオを構築してきたことは注目に値する。​ラップトップでは、Microsoft(マイクロソフト)が一部のSurfaceデバイスをARMベースに変更したことでいくつかの勝利を収めたが、全体的にはニッチな市場のままだ。​しかしサーバーの分野ではARMはパートナーに適切な設計を提供し、適切なパワーと性能のトレードオフでチップを構築できることを明確に示している。

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アップルがM1チップ搭載した新型Mac Miniを発表

Apple(アップル)はMacBook Air(未訳記事)に加えて、新しいMac Miniも発表した。Mac MiniにはMac専用に設計されたアップル初のカスタムチップセットであるApple M1を搭載している。おなじみのデザインはそのままだが、チップはARMベースのものが採用されている。

「Mac miniをこの価格帯で最も売れているデスクトップと比較すると、miniはサイズが1/10であるにもかかわらず、最大で5倍高速です」と、ハードウェアエンジニアリング担当シニアマネージャーのJulie Broms(ジュリー・ブロムス)氏は語っている。

M1には、4基の高性能コアと4基の高効率コアが搭載されている。​製造プロセスは5nmだ。GPUコアは8基で実行ユニットは128個で、ピーク時の性能は2.6テラフロップスになる。​また、アップルの機械学習用のニューラルエンジンも搭載している。

アップルによると、新型Mac MiniはCPU性能に関しては前モデルよりも最大3倍速くなっているという。GPU性能に関しては、最大6倍高速化されている。MLアクセラレーションも最大15倍高速化されている。

背面にはEthernetポート、6Kディスプレイに対応するThunderbolt / USB4ポート×2、HDMI 2.0ポート、USB Aポート×2、3.5mmイヤホンジャックを備える。

価格は699ドル(日本では税別7万2800円)からで、新型Mac Miniは来週発売される。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルがARMベースの新Macを紹介するイベントをこのページで観よう

Apple(アップル)が米国時間11月10日(日本時間11月11日午前3時)から、ここ3カ月で3度目となるイベントを行おうとしている。アップルはイベントを自社のウェブサイトでもライブでストリーミングしているがYouTubeでも観ることができる。

アップルはすでにデベロッパーカンファレンスで、ARMベースのプロセッサーを載せた新しいMacを2020年に出すとアナウンスしている。そのため今回のイベントは、アップル独自のプロセッサーを搭載する新しいコンピューターを紹介する絶好の機会のようだ。

また、macOS Big Surがいつリリースされるかもわかるだろう。この新しい大型アップデートは、アップルの新しいコンピューターにおそらく搭載されるだろう。また、この機会を利用して、新しいアクセサリーなどその他の細かい発表もありそうだ。

Apple TVを持ってる人は、新しいアプリをダウンロードしなくてもApple TVアプリを開いてApple Eventsを見つければいい。そこで今回のイベントをストリーミングできるし、以前のイベントも観られる。

Apple TVを持っておらず、YouTubeでも観たくない人はアップルのウェブサイトのApple Eventsからイベントをライブストリーミングできる。この動画はメジャーなウェブブラウザー(Safari、Firefox、Microsoft Edge、そしてGoogle Chrome)のどれでも見ることができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

日本時間11月11日午前3時開催、アップルの「One More Thing」イベントに期待するもの

Apple(アップル)がWWDCで大々的にApple Silicon搭載Macの発表を行ってから5カ月が経ち、いよいよ今週のビッグイベントで最初のモデルが登場することを声高に宣言している。どのモデルが、どのようにアップグレードされるか、何カ月も噂されているが、まだ明らかになっていない。

ここ数カ月の間、アップルは小規模なイベントを数多く開催してきたが、今回が同社にとってホリデーシーズンが本格的に始まる前の最後のイベントであることも注目に値する。つまり、待ちに待った製品が靴下やクリスマスツリーの下に置かれるのに間に合うように到着するかもしれないということだ。

まず明らかなのは新しいMacが登場するということだ。アップルは6月に、ARMベースのチップを搭載した最初のモデルが2020年に発売されることを認めている。この件に関して、同社の公式は発表をはるかに上回る数多くの噂が飛び交っている。iMacや他のモデルも示唆されているが、今週のイベントでは特に2台の新しい13インチノートパソコン、つまり新しいMacBook ProとMacBook Airが登場するのではないかと考えられているようだ。

先週のBloombergの報道では、2020年のiPhone 12とiPad Airに搭載されているのと同じA14をベースにしたチップの詳細が紹介されている。アップルはこの新チップが「業界をリードするパフォーマンスと協力な新技術を提供する」と豪語している。その他の利点としては、電力効率やバッテリー寿命の向上、セキュリティや機械学習などのモバイルデバイス向けに開発された機能などが挙げられている。

同社は、ファーストパーティのシリコンに完全に移行するための2年間の計画を明言していることを覚えておいてください。つまり、私たちはiMac(これはかなり最近になって1つを受け取った)、Mac miniやMac Proへの大きなアップデートを見ることはできそうにないということだ。

ハイエンドモデルである16インチMacBook Proのアップグレード版の発表も今回のイベントで予定されているかもしれないが、アップルは長い間噂されていたiMacと合わせて再設計に着手しているようだ。同社はファーストパーティーのApple Siliconへの完全移行が2年間の計画であることを明言しており、iMac(2020年夏に新モデルが発売)、Mac mini、Mac Proが大幅にアップデートされることはなさそうだ。

そしてもちろん、新しいソフトウェアも発表されるだろう。アップルは6月のイベント以来、macOS Big Surのリリース日を発表していない。つまりmacOS 11.0が配信されるのはほぼ確実だろう。ここ数年間のデスクトップ用OSにおける最大のアップデートの1つとして、macOS Big SurはMacにいくつかの重要なデザイン変更と新機能をもたらしてくれる。

繰り返しになるが、これがホリデーシーズン前のアップル最後のビッグイベントであることを考えると、我々は1つか2つのMac以外の発表を見られる可能性が高いように思える。最も確度が高い候補は、私たちがここ数カ月間、すべてのアップルのイベントに向けて議論してきたもの、つまりAirTagsとAirPods Studioだ

最近のiPhoneイベントは、HomePod miniの登場と一緒にオーバーイヤーヘッドフォンを発表するには絶好のタイミングにように思えたが、この製品は製造上の問題に直面していると報じられている。現在、市場で最もよく売れているオーバーイヤーヘッドフォンブランドであるBeatsを所有していることを考えると、これは驚くべきことだ。しかし早々に壊れてしまうものよりも、発売が遅くなったほうがいい。

AirTagsは、長い間噂されてきたTileのライバルだ。これはAirPods Studioよりも長く噂リストのトップにあった。現在は間違いなく、発表するのにいいタイミングだ。

現時点での噂リストはここまで。アップルの「One more thing」Mac イベントは米国時間11月10日午前10時(日本時間11月11日午前3時)から始まる。

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タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac Event

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Appleが悪名高いMac用マルウェアを誤って承認

Apple(アップル)は悪意のあるソフトウェアが同社のアプリストアに侵入するのを阻止するために、最も厳格といわれるルールを運用しているが、時として悪いアプリが網の目をくぐり抜ける(未訳記事)ことがある。

アップルが「notarization」(公証)と呼ぶそのプロセスでは、アプリにセキュリティ上の問題や悪意あるコンテンツが含まれていないかを検査する。承認されると、Macに組み込まれたセキュリティ検査システムであるGatekeeper(ゲートキーパー)はそのアプリの実行を許可する。セキュリティテストを通過していないアプリは拒絶され、実行できない。

しかし、あるセキュリティ研究者チームは、誤ってアップルに承認されてしまったMac初のマルウェアを見つけたといっている。

Peter Dantini(ピーター・ダンティーニ)氏は、著名なMacセキュリティ研究者のPatrick Warlde(パトリック・ヴァルデ)氏と2人で、Adobe Flashのインストーラーに偽装したマルウェアを発見した。このマルウェアはよく見られるものであり、近年Flashがほとんど使われていないにも関わらず、数年来出回っている。そのほとんどは検証されていないコードを使用しているため、開かれると直ちにMacがブロックする。

しかしダンティーニ氏とヴァルデ氏が見つけた悪意あるFlashインストーラーには、アップルが承認したコードが使われているため、Mac上で実行できる。

この悪意あるインストーラーはアップルに承認され、最新バージョンのmacOSで実行される。画像提供:Patrick Wardle

ヴァルデ氏は、アップルがこのShlayerというよく知られたマルウェアが使用しているコードを承認したことを確認した。セキュリティ会社のKaspersky(カスペルスキー)はShlayerを、2019年にMacが「最も多く直面した脅威」だと語った。Shlayerは、アドウェアの一種で、暗号化されたウェブトラフィックを(HTTPSを利用しているサイトであっても)傍受し、サイトや検索結果を広告に置き換えて不当に広告料金を取得する。

「私の知る限りこれは最初の例だ」とヴァルデ氏がTechCrunchに知らせたブログ記事に書いている。

ヴァルデ氏によると、アップルはこの悪意あるコードが申請された際に検出できず、Macで実行することを承認した、という意味であり、2020年に公開予定のmacOS Big Sur未公開ベータ版でも動作することになる。

ヴァルデ氏の連絡を受けたアップルはアプリの承認を取り消し、将来このマルウェアがMac上で実行できないようにした。

アップル広報担当者はTechCrunch宛の声明で「悪意あるソフトウェアは常に変化しており、アップルの公証システムはMacからマルウェアを排除するとともに、発見された際には迅速に対応することを可能にしている。このアドウェアの存在を知り、我々は該当する変種の承認を取り消し、デベロッパーのアカウントを無効化し、関連する承認を取り消した。当社ユーザーの安全を守るために協力してくれた研究者たちに感謝する」。

しかしヴァルデ氏によると、アタッカーはその後すぐに新たな承認済みコードを使って復活し、Macのセキュリティを再び回避したという。アップルは、そのコードもブロックしたとTechCrunchに伝えた。イタチごっこは続く。

関連記事:Apple macOS security protections can easily bypassed with ‘synthetic’ clicks, researcher finds(未訳記事)

カテゴリー:セキュリティ

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが独立修理店による純正部品を使った修理でMacも対象に、「修理権」問題にも対応

Apple(アップル)は、独立した修理店に部品やリソース、教育訓練を提供するプログラムを拡大し、Macコンピューターのサポートもその対象となった。修理プログラムは2019年秋に発表され、消費者が保証期間が切れたiPhoneの修理を容易にすることを目的としている。今では中小企業を含むサードパーティのショップを利用して、正規の修理用パーツやその他のツールに入手することができる。

このプログラムは、Best Buyをはじめおよそ5000以上のApple公認サービスプロバイダを補完するもので、保証期間内と期間外の両方の修理を受け付けてくれる。このプログラムは、消費者の要望に応えて生まれた面もある。これまで多くのiPhoneユーザーがショップが家から近い、修理が早い、安いといったさまざまな理由で非公認の修理ショップを利用してきた。しかしこのやり方では、ショップがアップルの正規部品を使えないため、結果にむらがあった。

米国でスタートして以来、このプログラムを利用する140社の企業に拡大し、700店以上が開設されている。今夏、アップルは、この事業を拡大してヨーロッパとカナダでも拡大すると発表している。

これまで修理プログラムはiPhoneの修理だけが対象で、Macは含まれなかった。しかしこれからは、これらの修理ショップと有資格店は、保証期間外のMacを修理するために必要なアップル正規のツールや修理マニュアル、診断技術、純正パーツなども入手することができるようになる。修理プログラムへの登録は無料であり、修理の教育訓練も無料、とアップルはいう。

このプログラムの拡大はロイターが最初に報じている。アップルはTechCrunchに対して安全で信頼の置ける修理は、教育訓練を経た技術者がアップルの正規の部品を使った場合に得ることができると語っている。また、正しく修理が行われていると消費者に確信して欲しいとも述べている。

先に行われた下院の反トラスト小委員会の調査では、消費者の「修理権」に対するアップルのスタンスが問題として取り上げられたため、プログラム拡大のニュースはタイムリーでもある。

小委員会で2020年7月に行われた公聴会(未訳記事)では、アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が、App Storeの手数料などさまざまな問題で質問攻めにあった。そのとき小委員会が調査の一環として集めたドキュメントには、それほど重視されなかったとはいえ、同社が何年もの間、反対運動を展開してきた修理プログラムと修理権に関する法案について、同社がどのように葛藤してきたのかを示す内部のメールが含まれていた。

あるメールの中でアップル幹部は、消費者に優しい修理ポリシーへの同社の取り組みを示すために当時まだ立ち上げ前の「正規部品による修理プログラム」について記者に説明したという。また幹部たちは承認を得ないまま修理マニュアルが公開された経緯についても触れており、アップルの修理ポリシーに対する一貫した戦略ができていなかったことを示唆している。

独立した事業者による修理にMacが加わったことで、正規部品の使用を拡大して顧客の評価を高めるだけでなく、今後の反トラストの調査を少なくともこの特定の話題からは逸らすことができるだろう。

関連記事:アップルが他社店舗での純正パーツ取り扱いを拡大

カテゴリー:ハードウェア

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画像クレジット:Felix Besombes/Unsplash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ARMベースMacは13インチMacBook Proからスタートか

Apple(アップル)情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo(ミン^チー・クオ)氏の新しいレポートは、最近発表されたばかりのアップルのARMベースの独自プロセッサ導入に向けたロードマップの可能性について重要な詳細を伝えている。

クオ氏によれば、今年の第4四半期(10月〜12月)にはアップルの独自プロセッサを搭載した13.3インチのMacBook Proが登場すると改めて指摘している。さらにこれに続いて、最近独自のアップグレードが行われたMacBook Airの新バージョンが2020年第4四半期から2021年第1四半期(1月〜3月)に登場すると報告している。

さらに興味深いのは、14.1インチと16インチの新型MacBook Proが登場すると報じられていることだ。これは、年末までにアップデートされた16インチモデルが13インチモデルと同時に登場するという以前のレポートから変化している。なおMacRumorsが指摘しているように、再設計されたiMacはこのレポートでは言及されていない(MacRumors記事)。

多くの報道によると、新型iMacは年内までに再設計され登場する予定だが、これにはIntel(インテル)製プロセッサが搭載されるという。Apple Siliconを採用したバージョンがデスクトップ向けに登場するのは早くて来年になる可能性が高く、新型iMacは登場してもすぐに時代遅れになるかもしれない。

今のところ公式に発表されているシステムは、開発者向けに特別に設計されたMac miniだけだ。同社はWWDCを利用して、今後のハードウェアのアップグレードに向けて十分な時間をアプリ開発者に与えるために、将来の技術についての貴重な初期情報を提供した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter