アドビのCommerce CloudはMagentoにAmazonとGoogleを統合

Adobe(アドビ)がMagentoを16億ドル(約1760億円)で買収し、Adobe Commerce Cloudを立ち上げてから、まだ2、3カ月しか経っていない。米国時間5月13日、MagentoのImagine 2019カンファレンスで、同社はいくつかのアップデートを発表した。プラットフォームのカバー範囲を同社のサービスを利用する中小企業にも拡げることを狙ったものだ。

AdobeがMagentoを買収した際には、同社のサービスを利用していた中小企業の多くはAdobeが既存の大企業に注力するようになるのではないかと心配した。つまり、それ以前からAdobe Experience Cloudを利用していたような企業のことだ。今回の一連の発表は、さまざまな面でこうした懸念を打ち消すことを目指したものとなっている。

中でも、Magentoユーザーにとって最も重要な2つのニュースは、Amazon、およびGoogleとの新たな統合機能だ。

まずAmazonについては、業者は直接MagentoのバックエンドからAmazonの在庫を自動的に管理し、メンテナンスすることができるようになった。Amazon Sales Channelに適合した値付けルールを設定し、複数のAmazonアカウントを使って複数のAmazonブランドを管理し、さらにAmazonの製品データにアクセスすることも可能だ。

この新機能は、すでにMagento Marketplaceで入手できる無料の機能拡張を導入することで、すべてのMagentoユーザーが利用可能となってる。

「多くのブランドや業者にとって、Amazon内にストアを構築するのは簡単なことではありません」と、Adobeのコマースプロダクト&プラットフォーム担当副社長であるJason Woosley氏は述べている。「そのためは、運用上の課題のあれこれに適切に対処しなければなりません。新しいプラットフォームを導入し、チームのメンバーがその使い方をマスターして、管理、維持の方法を学ぶ必要もあります。もしチームの仕事量が限界を超えてしまったら、新たなスタッフを雇うか、そのままではビジネスの目標を達成できないロードマップを考え直す、といったトレードオフも必要となるでしょう」。

一方GoogleについてもMagentoは同日、Google Shoppingとのネイティブな統合機能を、やはり無料の機能拡張としてリリースした。これにより、Magentoの管理者はMagentoのダッシュボードからGoogle広告を管理し、Google Merchant Centerアカウントを運用できるようになる。さらに、Magentoから直接Googleのマーケティングキャンペーンも管理できるようになる。ここでも、Magentoを利用している業者は、すでに使い慣れたツールを使って他のプラットフォームまでも操作できるようになるのがポイントだ。これまでは、複数のサービスの間を行ったり来たりしながら、それらが同期して動くよう苦労していた。

さらにAdobeは、PWA(Progressive Web Application)Studioも発表した。これは、高い技能を持ったMagentoユーザーが、アプリ同様に使えるオンラインストアを構築することを可能にするもの。現状では、支払いオプションとしてPayPalのBraintreeをサポートしている。Woosley氏は、特に新興市場においては、多くのMagentoユーザーにとって、PWAこそ進むべき道であると期待しているという。

画像クレジット:Bogdan Vija/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)