マンガ特化型AI翻訳システムのMantra Engineが新バージョンをリリース、14カ国語・縦スクロール作品に対応開始

マンガ特化型AI翻訳システムのMantra Engineが新バージョンをリリース、14カ国語・縦スクロール作品に対応開始

「Mantra Engine」を用いた縦スクロールコミックの翻訳作業 ©︎table桌子

マンガに特化した機械翻訳技術の研究・開発を行うMantraは2月28日、マンガ翻訳システム「Mantra Engine」の新バージョンをリリースしたことを発表した。新バージョンでは、縦スクロールコミック(Webtoon、SMARTOON)の翻訳対応、14カ国語への多言語翻訳対応が実装された。

Mantra Engineは、出版社やマンガの制作・配信事業者を対象にした法人向けクラウドサービス。Mantraが独自に開発したマンガ専用の機械翻訳技術と、プロの翻訳者による修正・校閲を組み合わせることで、高速な多言語展開・翻訳版の制作を行える。マンガの翻訳版制作に関する様々な作業をウェブブラウザー上で行えるほか、進捗をリアルタイムに把握することも可能。Mantra Engineは、国内外10社以上のマンガ配信事業者や翻訳事業者、出版社に導入されており、月間約2万ページ(単行本換算で約100冊分)のマンガ多言語化に活用されているという。

マンガ特化型AI翻訳システムのMantra Engineが新バージョンをリリース、14カ国語・縦スクロール作品に対応開始

「Mantra Engine」を用いた日本語組版 ©︎朽鷹みつき

「世界の言葉で、マンガを届ける。」をスローガンに掲げるMantraは、国内外のより多くの作品の多言語展開を支援するため、今回のMantra Engineの大規模アップデートを行なった。新バージョンでは、「ルビ・縦中横・禁則処理などCJK言語特有のレイアウト処理」「合成フォントや自動カーニング、ベースラインシフトの組版処理」といった柔軟な編集機能を採用。

また、14カ国語の多言語翻訳をサポート。入稿対応言語は、日本語、英語、中国語(簡・繁)、韓国語。翻訳対象言語は、日本語、英語、中国語(簡・繁)、韓国語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ポーランド語、ロシア語となっている。

・入稿対応言語:日本語、英語、中国語(簡・繁)、韓国語
・翻訳対象言語:日本語、英語、中国語(簡・繁)、韓国語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ポーランド語、ロシア語

マンガ特化型AI翻訳システムのMantra Engineが新バージョンをリリース、14カ国語・縦スクロール作品に対応開始

「Mantra Engine」での英語組版 ©︎table桌子

Mantraがマンガ特化の多言語翻訳システムで小学館「マンガワン」英語版展開を支援、海賊版サイトの作品取り下げにも寄与

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)

マンガに特化したAI翻訳技術の研究・開発を行うMantra(マントラ)は11月1日、小学館のマンガ配信サイト「マンガワン」の英語版展開を、多言語翻訳システム「Mantra Engine」で支援すると発表。共同による取り組みを開始した。


マンガワンの海外展開は、海外で広く普及している海賊版への対処でもある。Mantraが2021年に行った調査では、小学館が出版したマンガのうち、正規の手続きを踏んで翻訳された公式版に対して、海外海賊版は約5倍の量が流通していることがわかった。なかでも、「ケンガンアシュラ」と「ケンガンオメガ」のシリーズは、確認できた海外海賊版サイトだけでも閲覧回数が1億回を超えていた。

ただ、海賊版の制作者に対するアンケートでは、公式な翻訳版がないためという回答が67.7%あり、大好きなマンガを広めたいという気持ちが強い熱烈なファンによる行為であることがわかる。その証拠に、「ケンガンアシュラ」「ケンガンオメガ」の公式な翻訳版の配信予定が発表されると、海外海賊版制作グループは海賊版の制作を停止し、公開済みエピソードの配信取り下げを発表したという。

小学館では、そうした熱烈なファンの力を活用して、正規の翻訳版制作に取り組んでいる。上記の理由から、公式版の公開が急がれるが、そこでMantra Engineの能力が活かされることになる。このシステムでは、翻訳担当者に原稿データを送ることなくウェブブラウザー上で作業が行えるほか、AI技術による支援機能により安全性と効率性が両立され、制作時間が従来の約半分に短縮されるとのことだ。

翻訳を行うのは、Mantraが個別に面談し協力を依頼したマンガファン。彼らはMantra Engineで作業を行った英語版は、英語圏向けマンガ配信サービス「Comikey」から日本語版と同時に公開される。

Mantraと大日本印刷がマンガ用AI翻訳エンジン開発、大日本印刷独自のマンガ多言語化システムに搭載

Mantraと大日本印刷がマンガ用AI翻訳エンジン開発、大日本印刷独自のマンガ多言語化システムに搭載し2021年度中に実用化

大日本印刷(DNP)は9月8日、マンガに特化したAI翻訳サービスを展開するMantraと共同で、マンガのためのAI翻訳エンジンを開発したと発表した。これは、DNPが独自に開発したマンガを多言語化するシステム「DNPマンガオンラインエディトリアルシステム MOES」(モエス)に搭載されるもの。2021年度中の実用化を目指している。

海外での日本のマンガの需要が増加し、マンガを多言語化してグローバル展開するための体制整備が進められているが、マンガの翻訳については、話し言葉が多いことや、吹き出で文章が細切れになることなどから自動翻訳が難しく、翻訳タイトル増加のネックになっているという。コストや負担の面から翻訳タイトルの数を抑える出版社も多いとのこと。そこで、DNPとMantraは、マンガに特化して精度を高めたAI翻訳エンジンを開発した。

MOESは、マンガの翻訳・レンダリング・校正・進捗管理などを行うクラウドシステム。2016年から印刷物や電子書籍の翻訳版マンガ制作に利用されている。DTPソフトを使わずに、マンガのレイアウト上に直接翻訳文章を書き込めるため、文章の入れ違いなどのミスが防止できるほか、時差のある海外との作業では、データの授受や進捗管理を容易にして作業負担の軽減や時間短縮を可能にするという。これにAI翻訳機能が搭載されることで、ある翻訳会社の評価テストでは、翻訳作業時間が従来に比べて30%短縮されたという。

今後は、海外での需要が高い着色や縦スクロール化などの機能を開発し、MOESを軸とした海外版マンガ制作、製造体制を強化するとのこと。また、雑誌から単行本、海外版制作から電子コミックの配信という一連の流れを支援し「海外のマンガファンが多くの作品に触れる機会を創出」するという。さらに、サプライチェーンの最適化、コンテンツ価値の最大化などに取り組み、生み出した利益をコンテンツホルダーなどに還元することで、出版界の継続的な発展に貢献するとDNPは話している。

このシステムと国内外のマンガ制作関連事業で、DNPは5年後までに120億円の売上げを目指す。

2020年1月設立のMantraは、「世界の言葉で、マンガを届ける。」ことを目指し、マンガに特化したAI技術の研究開発およびサービスを提供するスタートアップ。2020年に公開したマンガの多言語翻訳システム「Mantra Engine」は、国内外のマンガ配信事業者・翻訳事業者・出版社に導入され、マンガ多言語展開の高速化に寄与しているという。2021年には、独自のマンガ機械翻訳技術が、人工知能分野のトップ国際会議AAAIに採択された。

 

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年11月8日~11月14日の情報をまとめた。岩手銀行のマイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験、GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、大手オリーブオイルブランドがトレーサビリティにIBM Food Trustを採用について取り上げる。

岩手銀行、マイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験にIBM Blockchain Platformを採用しブロックチェーン技術を拡充

岩手銀行は11月13日、ブロックチェーン技術を活用したマイナンバーカードとスマートフォンによる電子契約の実証実験を開始したことを発表した。法人、個人を問わず幅広い顧客を対象とする、マイナンバーカードを活用した電子契約環境の構築を目指し、その有効性の検証を行っていく。

菅新政権の発足により高まるペーパーレス、押印レス、非対面ビジネスへの社会的ニーズに対応するため、岩手銀行は、政府が普及促進を進めるマイナンバーカードを活用した電子契約環境の提供を目指す。

実証実験は、フィッティング・ハブ(FTH)日本IBM日本電気(NEC)が提供する電子契約実証実験環境において行われる。FTHが実証実験のスキーム全体を管理し、電子契約にはHyperledger FabricをベースにIBMが提供するIBM Blockchain Platformと、NECが提供するマイナンバーカード認証サービスを利用する。

電子契約にブロックチェーン技術(スマートコントラクト)を活用し、スマートフォン上で契約可能とするマイナンバーカードで法人契約を実現する。法人と法人、法人と個人の契約、各種申込など、幅広い契約形態に対応する。実証実験の環境構築を2020年11月から2021年3月までに行い、2021年4月から検証を実施する予定となっている。

マイナンバーカードを活用した法人契約では、法人から特定の個人(法人代表者など)へ電子契約権限を委任する。委任された個人のマイナンバーカードによる電子署名で法人契約を締結し、契約者の厳格な本人確認も同時に行うという。

電子契約は、金銭消費貸借契約などの当事者の一方だけが相手方に対して債務を負う片務契約、当事者双方に履行責任が発生する売買契約、請負契約などの双務契約に対応する。法人と法人、法人と個人など、顧客相互の契約や各種申込にも利用できる。片務契約スキームに対応することで、各種サービス申込など幅広い電子化にも対応可能という。

実証実験では、従来のICカードリーダーに替えてスマートフォンアプリでも電子契約を実現する。PCとスマートフォンアプリの連携により、必要に応じてPCで細かな契約内容を確認するなど、よりスマートな契約手続きが行えるようになる。

電子契約にブロックチェーン技術を活用することで、スマートコントラクトによる契約処理が可能になる上、契約の改ざんが極めて困難になり、契約当事者以外の第三者による閲覧を防止できるという。

今回の実証実験では、具体的には「事業性融資における金銭消費貸借契約証書」「個人ローンにおける金銭消費貸借契約証書」「法人、個人間(お客さま間)の双務契約」に対応するという。マイナンバーカードによる電子契約に関する法的課題解決に向けたシステム要件を検証する。また、ペーパーレス融資スキームの実現可能性、その他の各種契約の実現可能性を検証していく。

岩手銀行は、ICカードや電子証明書の管理を不要とする独自のスキームを提唱し、他行、他社、関係機関への参加を広く呼びかけ、検証を進めていく予定という。

岩手銀行、マイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験にIBM Blockchain Platformを採用しブロックチェーン技術を拡充岩手銀行と日本IBMは、ブロックチェーン活用の実証について2017年から共に取り組んでおり、電子交付サービスにおいてブロックチェーン技術を活用している。今回の実証実験は、電子書類の署名付与にマイナンバーカードを利用する方式を検証するもの。

IBM Blockchain Platformは、エンタープライズ用途を意図したオープンソース・ブロックチェーン。Hyperledger Fabricの商用配布として、SLA(サービス品質保証)と24時間365日サポートを提供する。また開発向けに、Visual Studio Code(VS Code)拡張機能を使用し、スマートコントラクト開発とネットワーク管理をスムーズに統合。スマートコントラクトは、JavaScript、Java、Go言語で開発できるという。

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減

エンターテインメント業界のDXを推進するGaudiy(ガウディ)は11月12日、マンガ特化の機械翻訳技術やマンガ専用の多言語翻訳システム「Mantra Engine」を開発するMantra(マントラ)との業務提携を発表した。AIとブロックチェーンを活用し、マンガの多言語翻訳と海外販売を低コスト・高速に実現するサービスの共同開発を開始する。

Gaudiyは、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された人気マンガ「約束のネバーランド」へのブロックチェーン活用の公式コミュニティサービスの提供など、人気マンガや有名キャラクターなどIP(Interllectual Propery。知的財産権)独自のコミュニティを提供する事業や、ブロックチェーンを活用したNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)電子書籍を展開している。

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減
今回の業務提携では、GaudiyはマンガAI翻訳技術を持つMantraと共同で、コミュニティを活用したマンガ翻訳サービスの共同開発を開始する。日本のマンガは、アジア・欧州・米国など海外で人気が高まっているものの、現状、翻訳される作品は一部の人気マンガのみ、かつ翻訳言語も英語が中心であり、海外では海賊版の翻訳マンガが多く出回っているという。これは、日本のIPビジネスとしても大きな機会損失であることから、両社はどんな作品でも即時性の高い多言語翻訳と海外販売が簡単に実現できる仕組みを構築し、日本のIPビジネスのさらなるグローバル成長の後押しを目指すとした。

共同開発するサービスの概要

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減
両社の目指すサービスは、マンガAI翻訳技術とトークンエコノミー(コミュニティ)を通して、即時性の高い、マンガの多言語翻訳と海外販売までを一貫して実現するという。

固有名詞が多く、また作品特有の言い回しが多いマンガの翻訳は、通常の翻訳よりも難易度が高く、Mantraが提供するMantra Engineの翻訳精度でも30~70%程度のため(言語や作品にもよる)、修正が欠かせないそうだ。そこで同プロジェクトでは、コミュニティを通して、海外ファンが様々な形で翻訳結果の修正に参加・協力できる仕組みを作り、Mantra Engineの精度を向上させていくという。

さらに、翻訳に貢献したファンには、マンガの販売収益の一部を貢献度に応じて分配するなど、トークンエコノミーを活用する。ブロックチェーンを活用し、適正な価値還元を実現させていく、海外ファンが販売にも積極的に参加・貢献が可能なエコシステムを構築する。

Gaudiy-DID-System

これらの貢献は、Gaudiy提供の「Gaudiy-DID-System」において、個人の貢献スコアにも反映されるという。

Gaudiy-DID-Systemは、ブロックチェーンを活用した分散ID(DID。Decentralized IDentity)管理システム。Gaudiy-DID-Systemを導入しているサービスの場合、新規システム開発などを行うことなく異なる企業・サービス間の相互連携が可能になり、特定のIPコンテンツのクロスメディア施策を実施できる。また、IPが提供する他サービスにおいても貢献スコアに応じた異なる体験が提供可能という。

Mantraは、出版社やマンガ(コミック)の制作・配信事業者を対象にした法人向けクラウドサービスMantra Engineを開発・提供するAIスタートアップ。東京大学情報理工学系研究科出身で、機械翻訳や自然言語処理が専門の石渡祥之祐CEOと、画像認識が専門の日並僚太CTOが、2020年1月に設立した。

法人設立前の2019年には、東京大学FoundX Founders Program、IPA未踏アドバンスト事業、東大IPC 1st Round(東京大学協創プラットフォーム開発の起業支援プログラム)、AIスタートアップの登竜門であるHONGO AI 2019ファイナリスなどに採択・選出された。

2018年5月設立のGaudiyは、「IPコンテンツがライフインフラになる『ファン国家』を共創する」をミッションに掲げ、エンターテインメント業界にイノベーションを起こすことを目指す、ブロックチェーンスタートアップ。音楽・ゲーム・マンガ・アニメ・アイドルなど、日本の代表的なエンタテイメント領域のDXを推進し、日本が誇るIPコンテンツから世界規模のビジネス展開を目指している。

両社は共同で、多言語翻訳と海外販売を低コスト化するサービスを提供し、日本のIPビジネスを海賊版から守り、さらなる海外市場の発展と成長を目指していく。

大手オリーブオイルブランドが、トレーサビリティ・真贋・品質の保証のため、ブロックチェーン利用の食品追跡システム「IBM Food Trust」を採用

オリーブオイルブランド大手、スペインのConde de BenaluaとアルゼンチンのオリーブオイルサプライヤーRolar de Cuyoは11月11日、ブロックチェーンを活用したIBMの食品追跡システム「IBM Food Trust」を利用し、オリーブオイル製品のトレーサビリティ・正規品であること(偽造品ではないこと)を示す真正性(Authenticity)・品質などの情報を消費者に提供するサービスの提供開始を発表した

IBM Food Trust

IBM Food Trustは、IBMとWalmart(ウォルマート)の取り組みによりスタートした食品トレーサビリティシステム。ブロックチェーン技術であるHyperledger Fabricをベースに開発された。国内でも伊藤忠が同システムを用いたコーヒー豆のサプライチェーンに利用するなど、様々な食品の由来と流通経路を明らかにするために用いられている。

オリーブオイル業界では、「TERRA DELYSSA」ブランドを製造するチェニジアを拠点とするCHOと、2020年に参加したイタリアの製油工場I Potti de FratiniがすでにIBM Food Trustを活用しており、両社はこれに追従する形になる。グローバル展開をするオリーブオイル大手ブランドは、ブロックチェーン技術を用いて自社オリーブオイルに対する消費者の信頼を高め、より効率的で透明性の高いサプライチェーンの構築に取り組み始めているという。

大手オリーブオイルブランドが、トレーサビリティ・真贋・品質の保証のため、ブロックチェーン利用の食品追跡システム「IBM Food Trust」を採用

消費者は、各ボトル付属のQRコードをスキャンするだけ

IBM Food Trustにより、消費者は、オリーブオイルの各ボトルに付いているQRコードをスキャンすることで、オリーブの栽培場所、オイルに加工した製油工場、流通経路、販売店舗といった、オリーブオイルの生産・流通行程を確認できる。また、オリーブがどこで収穫され、搾油されたかを画像で見ることが可能なほか、農家や作業員などの生産者を知ることもできる。

さらには、各ボトルに入っているオイルがどのような基準を満たしているかを確認できる。例えば、オリーブがエキストラバージンオリーブオイルのラベル付けに必要な基準に沿って加工されているかどうかや、オーガニックであることなどをトレース可能だ。

生産者側のメリット

IBM Food Trustは、生産者側にもメリットがある。サプライチェーンメンバーは、より信頼性と効率性を高めた協力作業のもと、取引の永久的なデジタル記録を作成し、許可された関係者間で情報を共有可能となる。IBM Food Trust内のデータを共有することで、食品の鮮度保証、保管時間の管理、無駄な廃棄物の削減に活用可能になるという。

Bolar de Cuyoディレクター、Guillermo Jose Albornoz(ギレルモ・ホセ・アルボルノス)氏は「私たちの使命は、消費者に高品質のオリーブオイルを提供し、本物の健康的な製品を楽しんでいただくこと。我々がブロックチェーン技術を利用する目的は、世界中のオリーブオイルパッカーの信頼を得て製品を選んでもらうようにすることです」と述べている。

また、IBM Food Trustを先行導入したCHOアメリカのセールスマネージャーであるChris Fowler(クリス・ファウラー)氏は、「年初にQRの付いたトレーサブル・オリーブオイルのボトルを店頭に並べるようにしてから、当社プレミアム・オリーブオイルのTERRA DELYSSAブランドは需要が急増している。米国とカナダの消費者は現在、1万軒を超える食料品店やオンラインショップでTERRA DELYSSAのプレミアムエキストラバージンオリーブオイルを購入できるようになった」と語っている。

最近のIBM Institute for Business Valueの調査によると、73%の消費者が、購入製品の完全な透明性にプレミアムを支払うことを明らかにしているという。

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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: 岩手銀行オープンソース / Open Source(用語)Gaudiy(企業)食品(用語)DID / Decentralized IDentityHyperledger Fabricマンガ(用語)Mantra(企業)