Canonicalはまず外部資金の調達を初体験してから将来のIPOに備えたいという

【抄訳】
Mark Shuttleworthが自分の投資でCanonicalとそのUbuntuプロジェクトを創業してから14年になる。当時はもっぱらLinuxのディストリビューションだったが、今では同社はエンタープライズサービスの大手としてさまざまなプロダクトサービス提供している。これまではShuttleworth自身がプロジェクトに資金を提供し、外部からの資金には関心を示さなかった。しかし今、それが変わろうとしている。

Shuttleworthによると、最近の彼はIPOを真剣に考えるようになり、そこへのひとつの過程として外部投資家を求めている。同社が最近エンタープライズへとフォーカスを変え、Ubuntu Phone(Ubuntuブランドのスマートフォン)やデスクトップ環境Unityを廃棄したことは、誰もがすでにそう思っていたように、どれもそれに結びついていた。Shuttleworthは外部資金の調達を、その方向へ向かう一歩と見なしている。そうやって、会社を徐々に、上場にふさわしい形に整えていくのだ。

“第一段階は、未公開株式だろう。外部投資家を募り、取締役会に外部のメンバーができたら、報告義務も生ずるし、それらはIPOに向かうプログラムの一部になる。私が考えてきた手順としては、未公開投資家たちが求めていたことにまず応じてから、そのあと、上場へ向かうべきだ。両者は、まったく違う文化だからね”。

最近はよく目立つひげを生やしているShuttleworthは、前はこれ〔未公開外部資金〕にも反対していたし、そのことを彼自身も認める。“それは私に関する正しい性格付けだった、と私も思う。私は、自分の独立をエンジョイしており、自分で長期の経営を構想できることも好きだ〔四半期決算報告などの短期的義務が生じないこと〕。今でも自分にその能力があると感じているが、人の金に対して責任が生じるのもすごく良いことだ。それが自分の金でなければ、金の使い方もやや変わるだろう”。

【後略】
〔IPOの前段としての未公開株式投資に関しても、投資家、金額、スケジュール等すべて未定。現状は、すべてShuttleworthの頭の中の構想である。〕

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Ubuntuで自分のビジョンを追究したいCanonicalのMark Shuttleworthは買収よりIPOに関心あり

IBMがRed Hatを340億ドルで買収する計画を発表して以来、Red Hatと競合するSuseやCanonicalの今後の行方を云々する声が賑やかになってきた。しかしCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthには、同社を売ることへの関心はまったくないようだ。少なくとも、今のところは。

今日ベルリンで行われたOpenStack Summitの会場近くで彼としばらく話をしたが、彼は、“重要なのは独立だ”、と言った。それはまず、彼は個人的にはお金を必要としていない、ということだが、CanonicalとUbuntuに懸けた彼のビジョンを最後までやり遂げたい、という意味でもある。

彼が1999年にThawte Consultingを5億7500万ドルでVerisignに売ったとき、人びとは彼に、死ぬまで休暇か?と尋ねた。そして彼はそのお金の一部を使って二人目の宇宙旅行者になり、慈善団体を立ち上げたが、そっち方面への関心がないことは、明らかだった。

しかし彼によると、売ってもよい状況が一つだけある。それは、彼のCanonicalのビジョンが加速されることだ。

しかし、何にでも価格はあり、そしてShuttleworthがお金を必要としていないとしても、売却は確実に、Canonicalの社員の多くにとって有意義な金銭的報奨になるだろう。

でも、よく知られているように、Shuttleworthの関心はCanonicalのIPOにある。今年の前半に彼は、それはまだ検討中、と述べたが、正しいタイミングというものも必要だ。最近同社は再びエンタープライズにフォーカスし、それとあまり関係のないUbuntu PhoneやUnityデスクトップなどを閉鎖した。結果は好調のようだから、IPOはまだ選択肢の一つとして生きている、と言える。

今週後半にShuttleworthへのもっと本格的なインタビューを予定しているので、お楽しみに。

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Linuxの新しいパッケージフォーマット、Ubuntu生まれのSnapsは、小アプリケーション群のためのコンテナのようだ

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Dockerのコンテナでアプリケーションを分散化する技術は、Linuxの世界の分裂をやや縫合することに役立っている。そして今度は、互いに会話/対話する、あるいは一緒にアップデートされる、複数の小さなアプリケーションのための新しいパッケージフォーマットが、同様の効果を期待している。それはUbuntuにアプリケーションをインストールするために、今年初めにCanonicalが導入したSnapsと呼ばれるパッケージングフォーマットで、今では複数のLinuxディストリビューションが、デスクトップやサーバー、クラウド、それに各種デバイスといった複数のプラットホームにわたって利用している。

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Linuxの新しいパッケージングフォーマットは、RedHatのRPMやDebianのdebなどのフォーマットと競合するので、多くのディストリビューションがサポートしないかぎり、普及は難しい。Canonicalはしかし、Dell, Samsung, Linux Foundation, The Document Foundation, Krita, Mycroft*, Horizon Computingなどかなりの数のサポーターと、Arch, Debian, Gentoo, OpenWrt, Ubuntu, およびこれらのディストリビューションの派生系といったコントリビューターを集めることに成功した。そしてCanonicalによると、今ではSnapsはArchとDebianとFedoraの上、およびUbuntuベースのディストロであるKubuntu, Lubuntu, Ubuntu GNOME, Ubuntu Kylin, Ubuntu MATE, Ubuntu Unity, Xubuntuでネイティブに動き、またCentOS, Elementary, Gentoo, Mint, OpenSUSE, OpenWrt, およびRHELの上では目下検証が行われている。そのほかのLinuxディストリビューションの上でも、容易に利用できるそうだ。〔*: Mycroft, Microsoftではない!〕

Canonical自身が最初にSnapsのアイデアを実験したのは、Ubuntuの”Snappy”エディションの上だ。CanonicalのファウンダーMark Shuttleworthによると、Snapsは最初、CanonicalのディストリビューションであるUbuntuのために開発されたが、コミュニティの力でいち早くそのほかのディストリビューションにも広まっていった。

本誌のインタビューに対して彼は、“今日のニュースはUbuntu関連ではなくて、Linuxの分裂と多様化に関するニュースだ”、と語った。“多くのデベロッパーからのコントリビューションのおかげで、パッケージングアプリケーションSnapsは、すべてのメジャーなLinuxの上で、何も変えずにそのままで動く”。

Snapsのねらいは、ソフトウェアのベンダがLinuxベースのアプリケーションをもっと容易に配布できるようにすることだ。MozillaのFirefox担当VP Nick Nguyenが、声明文の中でこう述べている: “われわれは、ユーザーにすばらしい体験を提供し、Firefoxが多くのプラットホームで使えるよう、努力している。Snapsを導入したことによって、Firefoxの継続的最適化が可能になり、Linuxユーザーにも、もっともアップツーデートな機能を提供できる”。

Snapsの初期のユースケースとして彼が挙げるのは、Cassandraのような、複雑なデータベースを動かす必要のある、“依存性の巨大な塊のような”アプリケーションだ。それらのアプリケーションにはたくさんの依存性があり、インストールが難しい。またTelegramメッセージングやAtomエディターのような消費者アプリケーションはJavaScriptで書かれているので、Linuxで使えるけどLinux上に“インストール”はできない、そういうアプリケーションもSnapsは、部品を集めて束ねることができる。それらは互いに会話はできても、互いに、また他のデータからも隔離されている、とNguyenは述べる。そのためにSnapsは、カーネルの隔離機能と、特製のセキュリティ機構を使っている。

これらに加えて、Snaps中のアプリケーションはアップデートもできるし、旧バージョンへの復帰もできる。この機能はすでに、IoTで利用されている。

“IoTの市場は多様化が激しく、複雑であり、デバイスメーカーが完全なソフトウェアスタックを構築するのは高くつく”、と、Samsung Strategy and Innovation Center(SSIC)のエコシステム担当VP兼IoTゼネラルマネージャーのCurtis Sasakiは、声明文で述べている。“だからSamsung ARTIKモジュールをベースに新しいプロダクトを作るデベロッパーは、Snapsのエコシステムを利用してプロダクトのライフサイクルを加速したいのだ。そのためにこそわれわれは、ARTIKの上でSnapsが使えることを喜んでいる”。

Shuttleworthが創業したCanonicalは、Ubuntuのサポートや関連サービスが収益源だ。彼によると、Snapsにはそういう財務的事業的な視角はない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))