スマホゲームの市場はすでに家庭用ゲームソフトの市場よりも大きい–CyberZ調査

スマートフォンゲーム市場は家庭用ゲームソフト市場の2.2倍——CyberZが3月25日に発表した「スマートフォンゲーム市場動向調査」で、このような調査結果が出た。この調査はCyberZとシード・プランニングが一般社団法人日本オンラインゲーム協会の協力のもとで実施したものだ。

調査結果によると、2013年のスマートフォンゲーム市場規模は、前年比178.0%となる5468億円へと拡大。この数字は家庭用ゲームソフトの市場規模である2537億円のおよそ2.2倍であり、国内ゲーム市場全体の約5割にあたる額という。スマートフォンと家庭用ゲームのハードウェアをどう比較するかは難しいところだが、少なくともソフトに支払っている金額という点では、スマホゲームのほうが多くなっているようだ。

App StoreやGoogle Playといったアプリマーケットでの、ダウンロード無料、追加課金(アドオン課金)型のゲームが急増したという。ジャンルとしては、クイズやパズルといったカジュアルゲームから本格的なロールプレイングゲームまで幅広くタイトルが増加。コアユーザーに加えて女性や中高年など新しいユーザーが増加した。

「やはりパズドラ(ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴン」)のパンチ力は大きかった」——今回調査を実施したCyberZ代表取締役社長の山内隆裕氏はこう切り出す。

CyberZ代表取締役社長の山内隆裕氏

同ゲームの月商は推定で100億円程度とも言われており、そのヒットはガンホーの業績・株価にも大きな影響を与えた。このパズドラのヒットに続いて、コロプラの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」、LINEの「ポコパン」など、パズルやクイズなど、比較的カジュアルなゲームに人気が集まった。「昔だとガチャでカードを集めてデッキを作って…というカードバトルなど、高ARPUな男性ハードコアユーザーが市場を作ってきたが、それが変化した」(山内氏)。余談だが、ジャストシステムが発表した調査でも、パズドラ人気を知ることができる。

山内氏はスマホゲーム隆盛の理由について、

・(主にハードコア層向けゲームで)リアルタイムバトルをはじめとしたコミュニケーションを高める要素が増えたこと

・前述のパズドラをはじめとして、女性をはじめとしたミドル層を獲得できるプレーヤーが増加したこと

・KingやSupercellなど海外のゲーム開発会社が日本に参入したこと——3点を挙げる。

昨年比ネイティブ2.3倍、ブラウザ1.3倍でスマホゲーム市場は拡大

また、ネイティブアプリとブラウザゲームで比較すると、ネイティブアプリ市場規模は、前年比237.2%となる3178億円、ブラウザゲーム市場規模は、前年比132.2%となる2290億円となった。

カジュアルなゲームを中心にネイティブアプリに注目さえている「すでにスマートフォンでアプリを立ち上げてゲームをするという行動習慣が成り立っており、ブラウザに行き着くという発想はない。しかしブラウザゲームでも好調なものもある」(山内氏)。調査でも、HTML5やクラウドの普及によりブラウザならではの特性を活かしたゲーム環境が提供される可能性があるとした。

一方で、市場の活性化に伴って大きな変化も起きると山内氏は語る。「開発の長期化に伴って、開発会社の再編なども進んでいる。資本金5億円でもアプリを2〜3本出せる程度。より資本が大きくないと生きていけないことになる。だがその一方では、カジュアルゲームで今まで取れていなかったユーザーが流入して成功することも大いにあり得る」(山内氏)

またゲーム開発会社の広告手法も変化しているという。これまでのリワードを中心とした施策だけでなく、リリース前のマーケティングなどにも注目が集まっている。CyberZの「イチハヤ!」やドリコムの「フライングガチャ」、AppBroadCastの「ゲームギフト」などの事前登録サービスなどもその1つだ。このほかには攻略サイトの立ち上げなども重要になるとした。「これからは戦略的なPRの需要の高まってくる」(山内氏)

2014年の市場規模は6584億円、2016年には8000億円に

調査によると2014年のスマートフォンゲーム市場規模は6584億円、前年比120.4%になるとしている。スマートフォン端末の普及にあわせて引き続き高水準で成長すると分析している。また2016年には、市場規模は8000億円に到達するとしている。