NASAが火星探査機「Perseverance」の打ち上げに成功

NASAは米国時間7月30日の朝、最新のローバー(探査車)を火星に向けて打ち上げた。打ち上げは米国東部夏時間7月29日午前7時50分(日本時間7月30日午後8時50分)に設定されており、放送は米国東部夏時間7月29日午前7時00分(日本時間7月30日午後8時)だった。このミッションでは、ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットを打ち上げ、2021年2月に火星に到着し数カ月間におよぶ火星探査ミッションとなる「Perseverance」を実施する。

重量2260ポンド(約1トン) のこの探査機には、火星で過去に発見された微小な有機生命体の痕跡を探すためのさまざまなセンサーが搭載されているほか、火星の大気や地質を調査することもできる。またヘリコプター型ドローン「Ingenuity」も搭載しており、火星の大気中を飛行する初の装置となることを目指している。

Perseveranceはいくつかの点で、以前のローバーから大きくアップグレードされている。例えば、1日あたりの自律的な移動距離でこれまでのどの探査車よりもより多くの場所をカバーでき、またこれまで以上に多くの科学調査が実施できる。車体には19個のカメラを搭載しており、周囲の様子を詳細かつ高品質に地球に向けて映し出すことができる。このローバーはまた、将来の有人火星探査(および長期の有人月探査)を手助けするように設計されており、火星の大気中に存在する二酸化炭素から酸素を生成する装置であるMOXIEのような実験を搭載している。これは火星において自立型電源として機能し、将来開発される洗濯機サイズのバージョンのための実質的な準備となる。

またPerseveranceは、収集したサンプルの一部を再利用するための準備をしている点でもユニークだ。最終的にはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の協力を得て、将来の探査機と回収ランダーを利用してPerseveranceが回収容器に残した火星の土のサンプルを回収し、地球に持ち帰って直接研究する計画だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAでもリモートワーク、Curiosityチームが自宅から火星探査機を運用中

何百万マイルも離れた惑星に存在する、天文学的に高価なローバーを運転するのは、そもそも極めて困難だ。しかしNASAのCuriosityチームはそれを成し遂げている。

NASAは米国時間4月15日、数百人が参加する重要かつ現在進行系のミッションを直接会わずに管理しなければならないという前例のない状況に、チームがどのように適応してきたかについて投稿した。

「通常、我々は全員が1つの部屋で画面や画像、データを共有する」と、チームリーダーのAlicia Allbaugh(アリシア・オールボー)氏は語る。「今では別々の部屋にいるだけでなく、スケジュールやコンピュータのセットアップも異なる。「私は15ほどのチャットチャンネルを常時監視している。通常よりも複雑な状況だ」。

もちろんビデオ通話も利用され、ときには数ストリームが同時進行する。一方、これまで高性能ワークステーションで行われていた処理は、現在はラップトップとウェブサービスで処理される。複雑さが増したことでプロセスの効率は低下しているが結果は出ている。

3月中旬には、カリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所(JPL)のオフィスは空となり、別の場所での作業は中断していた。しかし、Curiosityはまだ稼働している。探査者は岩まで走り、サンプルを採取し、チームに確認のメールを送った。そして今も作業は続いている。

「火星は我々を待っておらず、また我々も探査を続ける」とオールボー氏は語る。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの火星探査車「Mars 2020」が6輪ホイールで初接地

NASAの火星探査車であるMars 2020は、地球から何億マイルも離れた過酷な環境の中で、自律的に活動しなければならない。現在はまだNASAのジェット推進研究所で開発中だが、どのマイルストーンも重要なものだ。そして今週、Mars 2020は完全に組み立てられ、自身の6輪のホイールで自重を支えながら接地した。

この接地テストは、原子力エンジンやホイールの移動能力、センサーアレイ、ナビゲーションシステムなど、探査車で進められている多くのテストのうちの1つだ。この6輪のロボット探査プラットフォームは、2020年7月に予定されている打ち上げの準備を進めており、火星探査機のCuriosityのミッションを引き継ぐために火星へとに送られる予定だ。

Curiosityは2011年に打ち上げられ、2012年8月に火星に着陸した。この探査機は2年間のミッション用に設計されていたが、2012年12月に無期限のミッション延長が決定された。そして着陸から7年たった今も、今年にはコンピューターを切り替えつつ稼働を続けている。

Mars 2020の探査車はCuriosityから多くのアップグレードが実施されているが、これは新しい探査車の開発チームによる、何年にも及ぶCuriosityの火星表面での経験の恩恵であることは想像に難くない。Mars 2020では環境に対する耐久性の向上などの改良が施されており、Curiosityを補完するさまざまな科学・研究装置も搭載される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

探査車キュリオシティが火星にオアシスがあった証拠を発見

第1級の科学者たちによると、火星のGale Crater(ゲイルクレーター)への旅で探査車キュリオシティが見つけたものは、その直径150kmのクレーターの底にオアシスがあった証拠だという。

キュリオシティを担当している科学者たちは、今週発行された「Nature Geoscience」誌の記事で、その情景を記述している。探査車からのデータを分析した研究者たちは、そのデータから外挿した結果、その鉱物塩を豊富に含む岩石は、塩水の池が長年にわたって乾燥と溢水を繰り返した証拠だ、としている。それらの沈殿物は、火星の気候変動によって作られた、いわば水位標であり、火星の気候は太古のウェットな状態から今日の極寒の凍結状態へと変わってきた。

しかし科学者たちが次に知りたいのは、その変化がいつ起こり、何年続いたのかだ。米国カリフォルニア州パサデナにあるNASAのジェット推進研究所の声明文は、そう述べている。

ゲイルクレーターは、火星の表面を変えた衝撃によって生じた地質学的形状の名残だ。その後クレーターの中には水と風が満ち、凝固した沈殿物を風が削り、今のMount Sharp(シャープ山)と呼ばれる地質学的形状が作られた。キュリオシティ探査車は今その表面を採取している。

NASAによると、今後探査車は徐々にクレーターの上の方の層のサンプルからデータを送ってくるので、火星上の環境の長年にわたる形成に関する、新しい情報が得られるという。

研究論文の主筆であるカリフォルニア工科大学のWilliam Rapin(ウィリアム・ラパン)氏は「そこが変化していく火星のユニークな記録を保存しているから、我々はゲールクレーターへ行ったのだ。この惑星の気候がいつどのようにして変わり始めたのかを知ることは、もうひとつのパズルのピースだ。そのパズルとは、火星はいつごろ、そして何年ぐらい、その表面の微生物の生命を支えられたのか、という疑問だ」とコメントしている。

ラパン氏と彼の共著者は、キュリオシティが最初に訪ねた2017年に、沈殿物によってできた岩の高さ150mのところに塩を見つけた。そのSutton Island(サットン島)と呼ばれる場所にあった塩は、形成時にプールには水が溜まっていて、その後間欠的に極めて乾燥した乾期が訪れたことを示唆している。この乾湿のサイクルそのものは、科学者たちがすでに発見していた。

科学者たちは、その地質学的形状が南米アルティプラノの塩湖に似ていたのではないか、と憶測している。そこでは、連山からの流れや川が火星の地形に似た盆地を作っている。そしてあの一連の湖は、同じく気候変動の産物だ。

テネシー大学で堆積層の研究をしているチームメンバーのChris Fedo(クリス・フィード)氏は、こう言う。「傾いた層は大きな変化を表している。そこでは地形の一部が水面上にも出ていたはずだ。昔々は、深い湖の時代があったのだろう」。

今後キュリオシティは、さらに傾斜した層に向かい、岩石の組成を調べる。それらが乾期にできたものなら、クレーターの発達の新しい段階を意味するかもしれない。そしてそれは、数百万年前の火星の生物の秘密を明かしてくれるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASA探索車が火星にて生命存在の可能性を示すガスレベルを検知

NASAの探査車「キュリオシティ」が、火星地表から高レベルなメタンの存在を検知したことを、New York Timesが報じた。6月19日のミッション中に発見され、NASA研究者によって観測されたこの発見は、微生物が火星地下に存在していたことを証明する可能性がある。

地球上において、メタンは生物からの排出物により高密度で存在していることが多いため、研究者たちはこのガスが火星地下の微生物からの排出物である説を裏付ける、より確証の高い証拠を調査しようとしている。すべてが計画通りに進めば、早ければ6月24日にはキュリオシティによる新たな調査手段による結果が報告されるはずだ。

火星研究者にとって、測定可能な量のメタンの検知は注目に値する。なぜなら、メタンの測定値が正しいとすれば、それは最近生物によって生成された可能性が高いのだ。もしそうでなければ、比較的短時間で自然に分解されてしまう。一方で、地中に溜まっていたガスが小さな割れ目から噴出した場合など、メタンは生物がいなくても生成される。

NYTによると、研究者が火星でメタンを発見したのは初めてではないが、これまで観測された中で最も高い濃度であり、また少なくとも探査車の数値はNASAのMRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)によっても暫定的に裏付けられている。地球以外で生命の存在の可能性が発見されたのは今回が初めてではないことを忘れてはならないが、また同時に、地球だけが生物を保持する唯一の存在である証拠が確認されたこともないのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの火星用ヘリコプターが2020年のミッションに向けて最終テストへ

NASAの火星用ヘリコプターであるMars Helicopterは、この赤い惑星を探検する未来の人類にとっても重要な実験だ。それはNASAの2020年の火星ミッションに積載され、地球以外の大気における大気よりも重い重量物の飛行試験に向かう。最後の一連のテストに合格した同機は今、2020年7月の火星打ち上げを目指して最後の準備作業に入っている。

この重量4ポンド(約1.8kg)で自動操縦のテスト用ヘリコプターは、火星探査車Mars 2020に乗って火星まで運ばれ、地球からの数か月に及ぶ長旅を経て、予定では2021年2月18日に、探査車が火星のジェゼロ・クレータ(Jezero Crater)に着地した後に展開される。ヘリコプターはカメラを搭載し、電源としてソーラーパネルがある。今回はそのほかのセンサーや科学的機器類はいっさいなく、火星で果たしてドローンを飛ばせるか?という唯一の疑問に答えることだけを目的とする。将来の実験では、地上車である探査車にはできなかったデータを集めるためにセンサーが載ったりするだろう。

これまでMars Helicopterは、打ち上げと着地をシミュレートする激しい振動環境や、火星の表面のような過酷な温度条件、そして電気系統と機械系統の完成度をテストされてきた。現在はソーラーパネルも取り付けられ、ローターの試運転も経て、あとは現実に近い条件での最終的なストレステストが残っているだけだ。

NASAのMars 2020ミッションは最短でも1火星年、地球上の687日間行われ、新設計のコンパクトカーサイズの探査車には、火星の表面よりも下の岩石や土を採取する新しいコアサンプリング(円柱状標本採取)ドリルが搭載される。

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オポチュニティの最後の火星パノラマ写真は素晴らしすぎて言葉がない

火星探査車オポチュニティは、公式には永久にオフラインになったが、その科学と画像の遺産は存続する。そしてNASAは米国時間3月13日、あのロボットがその後塵の毛布に包まれていく前に送ってきた最後の、完全に近いパノラマをシェアした。

火星の表面にこれまで5000日(地球日ではなく火星日で)以上いたオポチュニティは、その最後をエンデバークレーターの中、その東縁にあるパシビアランスバレーで迎えた。生存の最後の1か月彼は、自分のまわりを規則正しく撮影し、多くの感動的なパノラマにまた一つを加えた。

パノラマカメラ「Pancam」は、撮影をブルー、グリーン、ディープレッド(深紅色、近赤外線色)の順にフィルタをかけて行い、354の画像で多様な地形や自分の一部、そして谷を踏み歩いた軌跡を拾う。下の画像をクリックすると完全な注釈つきのバージョンを見られる。

それは、人が望みうる火星の風景画像としてこれ以上のものがありえないほど完璧で、細部の違いまで詳細だ。色を加工しているので、この世のものとは思えぬ独特の美しさがある(元の色のバージョンはここにある)。そしてそのため、この探査車の最後のショットだという切なさが胸を打つ。彩色は実は完成していない。左下にあるモノクロの部分は、これから彩色する箇所だ。

厳密に言うとこれは、探査車が最後に送った画像ではない。あの致命的な塵の嵐が迫ってくるとき、オポチュニティは最後のサムネイルを送ったが、本体画像は送られなかった。それは、日没寸前の太陽の画像だ。

塵の雲が完全に太陽を覆い、オポチュニティが漆黒の闇に包まれたことは最後の送信でわかる。

上の画像中にある閃光やドットは、すべて画像センサーのノイズだ。本当は完全な闇で、その嵐の規模が全惑星サイズであることから考えると、数週間は続くだろう。

オポチュニティは、とてつもない幸運に恵まれた。設計寿命の何十倍も長持ちして旅をし、チームの最長予測すら超えた。しかも最後の日まで美しくて価値あるデータを取り続けたことは、その設計と制作が堅牢かつ細心であったことの証明だ。

画像クレジット: NASA/JPL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

LINEが完全無線イヤホン「MARS」公開、日英のリアルタイム翻訳も可能?

eng-logo-2015コミュニケーションアプリのLINEは11月10日、グローバルの公式Twitterで完全無線のBluetoothイヤホン「MARS」のティザーを公開しました。

「MARS」は、LINEのクラウドAIプラットフォーム Clovaを搭載し、ラスベガスで来年1月に開催される国際見本市「CES 2018」のヘッドホン部門で「BEST OF CES」のアワードを受賞しているとのこと。

それ以外の詳細な仕様は不明ですが、公開されたティザー動画によれば、まるで「翻訳こんにゃく」のように、日本語と英語をリアルタイム翻訳する機能の搭載が示唆されています。

リアルタイム翻訳機能を備えたイヤホンといえば、完全無線ではないものの、40か国語に対応した「Google Pixel Bud」などがあります。

また「MARS」はClovaと連携するため、声でニュースや天気予報などを訊ねられる同社のスマートスピーカー「Clova WAVE」のイヤホン版となる可能性もありそうです。なお「Clova WAVE」も年内に日本語・英語・中国語・韓国語の翻訳機能を実装することが発表されています。

「MARS」は2018年初頭にまず韓国で発売される予定です。

Engadget 日本版からの転載

イーロン・マスク、火星探査計画「Red Dragon」は早ければ2018年に実現

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どうもElon Muskは退屈しているらしい。それがわかるのは、彼が太陽系を植民地化することについて夢中でツイートし始めるからだ。「早ければ2018年にはDragonを火星に送る」と今日(米国時間4/27)SpaceXが唐突にツイートした。その後、いつものMuskスタイルで詳しい話が続いた。

どこでも? だったら金星も、と誰かが言った。

Muskは、推進力着陸(パラシュートや緩衝材ではなく)と同社独自の高性能遮熱材を用いれば、惑星 ― 火星であれ金星であれ海王星であれ ― 表面に着地するのは容易だと語った。しかし、そこへ到達するのは別の話だ。

言い換えると、最初のSpaceX火星探査は間違いなく無人だ ― しかしそれは伴うリスクを考えれば当然だ。Muskはいずれ詳細を発表するに違いないが、リスクを許容範囲に留めるためには、数多くのテスト飛行と補給任務が必要になる。

Red Dragonのコンセプトは新しいものではない ― 何年も前から語られてきてが、これが初めての公式発表だ。昨年SpaceXは、Red Dragon計画がどんなものになるかのイメージ画像を公開している。

乗組員室も改善が必要だ。SUVサイズの空間に地球上で数時間いるだけでも不快な体験だ。ましてや数ヵ月、数年間も外に真空しかないところでなど。ちなみに、現世代のDragonは、比較的この惑星近くに留まるだろう。少なくとも人間を乗せているときは。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASA、火星表面の360度ビデオを公開

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今日(米国時間2/8)NASAのジェット推進研究所は、新たな360度ビデオを公開し、火星表面の仮想ツアーを可能にした。ビデオは火星探査車キュリオシティが2015年12月18日に撮影した画像をつなぎ合わせて作られた。

映像はナミブ砂丘と地平線上に見えるシャープ山から始まる。探査車キュリオシティに塔載されたマストカメラは、ミッションの1197ソル(火星の日)目にこれらの画像を撮影した。火星の一日は地球よりも約40分長い。

ビデオはスマートフォンのYouTubeアプリで見るのが一番だ。端末を動かすことによって、キュリオシティと周囲の火星表面を360度高画質で見ることができる。

このビデオの最初のバージョンは、1月30日にFacebookで公開されたが、画像接合の方法により地平線が歪み、その結果360度パノラマ画像の方向が不安定だった。今日の360度画像は初期バージョンより大きく改善され、はるかに明瞭なバーチャル体験を与えてくれる。

キュリオシティの写真から360度画像が作られたのはこれが初めてではない。去る2012年、NASAはキュリオシティから撮った同様のパノラマ画像を公開した 。しかし、今やFacebookとYouTubeでユーザーによる360度ビデオのアップロードが可能になり、視聴者は赤い惑星をインタラクティブに見る手段を得た。

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キュリオシティの自撮り/画像提供:NASA

NASAはもう一つ、キュリオシティー塔載カメラの1台を使って「ローバーセルフィー」[探査車自撮り]を撮ったことでも知られている。上記のシーンは、キュリオシティーのロボッティックアームに取付けられた火星ハンドレンズを使って2016年1月19日に撮影された57枚の画像を組み合わせて生成された。

火星探査車キュリオシティは全部で17台のカメラを装備し、ナビゲーション、危機回避、科学分析等に用いられている。

Curiosity's 17 cameras / Image courtesy of NASA

キュリオシティの17台のカメラ/画像提供:NASA

キュリオシティはNASA最大の火星探査車で、2012年8月6日にスカイクレーンという新技術によって火星に着陸した。同機は火星に生命を維持する能力が存在したかどうかを評価する目的で作られた。

昨年春、キュリオシティは「ガーデンシティ」と呼ばれる地域で岩石の特異な配列を発見し、それが火星の歴史上水の存在する時代が2回あったことを示唆していた。液体の水が生命体の重要成分であることから、これは現在あるいはかつて、火星で生命が維持されたかどうかを、今後科学者が探る手がかりになる。

原子力駆動の同探査車は、超高密度のシリカ(二酸化ケイ素・石英)を含む岩石を発見した。超高密度シリカは、大量の水の活動から作られかと考えられるため興味をそそられる。おそらくさらに興味深いのは、地球上の高密度シリカ鉱脈が、しばしば微生物の生命が維持された場所と関連づけられていることだ。

現在キュリオシティの研究チームは、探査車の発見を説明するために複数の仮説を立て、火星の過去の謎を解明しようとしている。それを待つ間も、われわれは未だすべてを理解できていない赤い惑星を、360度画像で見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAとマイクロソフト、ホロレンズを使って火星での遠隔作業を可能に


MicrosoftとNASAが協力して、赤い惑星での遠隔作業を現実にしようとしている。新たに発表されたHoloLensヘッドセットとそれをサポートするWindows Holographicテクノロジーを使用する。このプラットフォームはOnSightと呼ばれ、カリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)で開発されている。火星探査機キュリオシティーをテレプレゼンス・ロボットのように使い、科学者が比較的快適な地球で作業することを可能にする。

キュリオシティーから送られたデータを使って、OnSightのソフトウェアが火星表面の3Dシミュレーションを行い、科学者はバーチャル環境を物理空間に投影するHoloLensのおかげで、直接調べることができる。その後科学者はキュリオシティーの操作対象を一人称視点から確かめ、今後探査機の作業計画を練ったり、予想される結果のシミュレーションを見たりするることができる。

Microsoftがヘッドセットで使用しているHoloLensとホログラフィック・コンピューティングは、火星の地形を3Dで送ってくるだけではない。画面上に、距離、センサーデータの値、その他補促情報を重ね合わせることによって、使用者が他の端末へ調べに行かなくても、キュリオシティー視点のまで作業を続けることができる。

OnSightは、JPLのロボット制御による宇宙船および探査装置に関する、現在進行中の研究の一環であり、これは人間が現地に出向く前に、火星へのロボット計画がもっと見られるかもしれないことを意味している。キュリオシティーのOnSightテクノロジーを利用した作戦は、年内にスタートする予定であり、2020年火星探査ミッションには、HoloLensおよびMicrosoftのクレイジーな拡張現実イノベーションが入るだろう、とNASAは言っている。

私は小説『火星の人』をまさに読み終えたところなので、これを言わずに記事は終れない。もしHoloLensとOnSightがあの近未来フィクションに存在していれば、マーク・ワトニーの救出にさぞかし役立ったことだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


地球に戻れない火星探査機キュリオシティが自分のために誕生日ソングを歌う

この記事は、Mars Curiosity Roverの誕生日祝いとしてはちょっと遅い。彼が赤い惑星に上陸したのは1年前の8月5日だった。ここでは遅れの埋め合わせとして、Florence Tanの話をビデオでご紹介しよう。彼女はこの無人機の船上にある化学実験室の室長だ。このビデオでは、同機にコマンドを送って、彼に自力で”Happy Birthday”を歌わせた経緯を説明している。

それは、今週のネット上のビデオの中でもっとも奇跡的な作品であると同時に、ある意味ではもっとも悲しい。この火星探査機は、化学装置の中で土壌のサンプルを動かすために使う振動板を使って、歌っている。その歌声は、リズムは間延びしていておかしいけど、音程は合っている。

これもまた、人類の偉業、かもしれない。人類のもっとも先進的な技術の結晶である火星探査機が、荒涼とした火星の大平原で120年前のフォークソングを歌っているのだ。このかわいいロボットはたぶん地球に帰還することはなく、完全な孤独状態で見事な実験を行っている。でも、いちばん驚異的なのは、地球から送られてきたコマンドに応えて、自分を祝う歌を歌っていることだ。要するに、そのときわれわれ地球上の人間も、インターネット的な意味では、小さな探査機と一緒に火星にいて、そしてそのことこそがまさに、彼への最大の誕生日プレゼントだったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))