エイズ薬を法外な値段で売ろうとしたあのマーティン・シュクレリをF BIが逮捕

NEW YORK, NY - DECEMBER 17:  Martin Shkreli (C), CEO of Turing Pharmaceutical, is brought out of 26 Federal Plaza by law enforcement officials after being arrested for securities fraud on December 17, 2015 in New York City. Shkreli gained notoriety earlier this year for raising the price of Daraprim, a medicine used to treat the parasitic condition of toxoplasmosis, from $13.50 to $750 though the arrest that happened early this morning does not involve that price hike.  (Photo by Andrew Burton/Getty Images)

この男の行動を知るものには驚きではなかったというが、FBIは製薬ベンチャーのCEO、マーティン・シュクレリを詐欺の容疑で逮捕した。シュクレリは、HIV/AIDSなどによる免疫不全に大きな効果のある薬品を1錠あたり13.5ドルから$750ドルに値上げしたことで世界に広く知られるようになった。FBIによれば逮捕容疑は多数の証券取引法規に違反したことだという。

FBIの発表によれば、今回の逮捕はAIDS薬の価格水増しとは直接関係ないようだ。同名の製薬会社が販売するDaraprimは免疫不全症候群やガンに効果があり、1953年から販売されていた。この8月にシュクレリはDaraprimを買収しチューリング・ファーマスーティカルズ(Turing Pharmaceuticals)の傘下に収めたBloomberg Businessの記事によると、.検察当局はシュクレリが2011年から2014年にかけて経営していたRetrophinの株式を不当に利用したという疑いを持っている。

Newsweekの9月の記事は、「シュクレリの容疑は(古い薬を不当に値上げしたことより)はるかに重大かつ複雑である可能性がある」と報じていた。同誌は情報源の証言を引用してシュクレリは「金とみれば取り込み、公表すべき事実とみれば隠し、証券法規とみれば破った」書いている。シュクレリにかけられている容疑はあまりに多数でどこから説明を始めていいか迷うほどだそうだ。

シュクレリは2014年にRetrophinから解雇され、後に取締役会から訴えられている。

Daraprimの価格吊り上げでシュクレリはドナルド・トランプにさえ攻撃されるほどの「世界でもっとも嫌われる男」になったが、本人はいっこうに気にする様子もなかった。むしろ世間の注目を楽しんでいるふうで、Twitterにはブガッティ・ヴェイロンを背景にした自画撮りを投稿し、 われわれのLoizos記者も報じたように、 Daraprimを値下げすると空約束を繰り返した。そのかたわら、シュクレリはウータンクランの最新アルバムの支援に数百万ドルも投じ、「ものごとがうまくいかなくなったときの備えに(同グループの)“Once Upon A Time In Shaolin”のプライベート・アルバムに投資した」のだとうそぶいていた。であれば、シュクレリは今そのアルバムを聞いていることだろう。

TechCrunchはシュクレリのTuring Pharmaceuticalsにコメントを求めている。

画像: Andrew Burton/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

エイズ薬を1錠750ドルで売ろうとした傲慢CEOに鉄槌―ライバルが同じ薬を1錠1ドルで販売へ

2015-10-24-shkreli

1月ほど前に32歳の元ヘッジファンド・マネージャー、マーティン・シュクレリ(Martin Shkreli =上の写真)が大部分を出資して設立した製薬ベンチャー、チューリング・ファーマスーティカルズ(Turing Pharmaceuticals)は、はるか以前に開発されたエイズ治療薬をいきなり1錠750ドルに値上げして大炎上した。その経緯は読者の記憶にも新しいだろう。

誕生以来62年の製薬会社、Daraprimはトキソプラズマ症その他に効果のある薬剤を販売していた。シュクレリが5500万ドルを投じてDarapirimを買収するや、問題の薬剤は1錠あたり13.50ドルからいきなり750ドルという法外な価格に値上げされた。

シュクレリはこの暴挙に当初まったく謝罪の態度を見せず、「アンビエン(睡眠薬)を飲んでいるので夜はよく眠れる」とツイートした。この人物のいささか驚くべき行動についてはわれわれもここで報じている

シュクレリはRetrophinというバイオテック・ベンチャーのCEOとして頭角を表したものの、重大な人格的欠陥によってその地位を追われている。昨日((米国時間10/22)、サンディエゴに本拠を置く上場製薬会社のインプリミス・ファーマスーティカルズ(Imprimis Pharmaceuticals)はダラプリムと同種の薬剤を開発し、1錠ほぼ1ドルで販売する計画を明らかにした。シュクレリにとって自らの行動にふさわしい結果だろう。

「チューリング社が自ら適切と考える価格で薬剤を医療機関に販売する権利は尊重するもの、われわれは同種の薬剤をはるかに効率よく生産することができる。患者、医師、保険会社はこれによって大きな利益を得られるだろう」とImprimisは声明を発表した。

Imprimisの新薬は葉酸系のジェネリック薬品を含んでおり、こちらはFDAの認可を受けているが、新薬全体としてはまだ認可は出されていない。San Diego Union-Tribuneの報道によれば、現在この薬品は医師の処方箋によって特定の患者に投与することが可能だという。

チューリングを設立したシュクレリは今年8月、9000万ドルのシリーズA資金を個人的にほぼ独力で調達したと伝えられる。シュクレリはこの資金調達には「匿名の機関投資家多数が参加している」と声明を出していた。

チューリング社には高優先度の担保付き債務が存在するが、こ種のスタートアップとしては異例だ。シュクレリがDaraprimを焦って値上げした理由はこれによって説明できるかもしれない。

あらゆる方面からの非難の集中砲火を浴びてシュクレリはABCニュースのインタビューに対して、「Daraprimの価格を適切な水準に下げる」と約束した。

これは2週間前のことだが、値下げはいまだに実現していない

今日(米国時間12/23)、チューリング社は「てんかん性脳障害に効果のある薬品」の臨床試験がFDAによって認可されたと発表している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+