UPSと薬局チェーンのCVSが処方薬をドローン配達、フロリダ州の高齢者地区で

運送大手のUPSと薬局チェーンのCVSは、ドローンを使った処方薬の配達を、フロリダ州の大規模高齢者居住地区であるThe Village(ザ・ビレッジ)で開始する。これは、ドローンメーカーのMatternet(マターネット)との2019年に開始した提携の一環でもあり、同社のドローンシステム、M2を使ってノースカロライナ州の顧客に同様の配達サービスを既に提供している。2019年3月の発表によると、Matternetのドローンはノースカロライナ州のWakeMed(ウェイクメッド)系列の病院に医療用品を届けている。ドローンは5ポンド(約2.3 kg)の貨物を最大12マイル(約19.3 km)運ぶことができる。

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今回のサービス拡大は、各州のロックダウン政策によって全米の住民が外出を制限されていることを受けたものだ。フロリダ州の自宅待機命令は少なくとも4月30日まで継続される予定だが、州内の海岸では一部の制限が緩和されている。

このドローン利用はFAA(連邦航空局)の小型無人航空機規約、パート107に該当するもので、パンデミック中の操縦および期間終了後に必要となる作業を許可されている、とUPSは説明している。同社はあと2カ所の近隣CVS店舗にも配送を行う計画だ。

ご存じの通りシニア世代(60歳以上)はこの新型コロナウイルスに対して最も脆弱な人々だ。80歳以上になるとさらにリスクは高まり、ウイルスに感染した場合の致死率は15%に上る。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

配達用ドローンのランディングステーションはSF映画のセットみたいだ

配達用ドローンはもちろんハイパーローカルなテクノロジーのホットな話題だが、その未来の飛行物体はそもそもどこに着陸するのか?芝生?そこでMatternet(マターネット)は、同社の輸送ドローン用のランディングステーションを作った。しかし、それは配達のためのインフラというよりも、60年代のSF映画の殺人光線兵器に似ている。

離着陸の場所を特定しないPrime Airなどと違ってMatternetのドローンは、特定の場所を結びつける配達ネットワークを使う。そのやり方は確実ではあるが、病院など時間を争う配達には向いていないかもしれない。

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同社はスイスとノースカロライナでパイロット事業を行い、最近サンディエゴでも始めた。医療機関が交通渋滞などの問題に悩まされずに血液などの検体や医療品やワクチンなどの発送や受け取りが目的だ。

問題は、ドローンがどこに着陸してそのあとどうするか。誰かが電池交換をするのか?そのドローンに接近しても安全だと誰が言うのか?積荷をどうやって取り外すのか?どんな方法にせよ、なるべく容易でできるだけ自動化してほしい。それを実現するのが、ステーションの役目のはずだ。

テクノオーガニックな曲線と、花のような上部のハッチを見ると、高さ10フィート(3m)のそのステーションは「Star Trek: The Original Series」(スタートレック宇宙大作戦)とか「Lost in Space」(宇宙家族ロビンソン)なんかを彷彿とさせ、機能的であると同時に、明らかに目立つことも狙っている。

ドローンが到着すると上部が開き、ドローンはその中央に着陸する。ステーションの機構部がドローンをしっかりと固定し、積荷を下ろすとともに電池も換える。積荷は塔の部分に収容され、認証された人物が来るのを待つ。その人はドングルをスキャンしてドアを開き、パッケージを受け取る。

ドローンが1台だけなら、再び必要とされるまで上部のバルブのような部分に収まるだけだが、配達に複数の機を使用するときは中の機がすぐ離陸して約60フィート(18m)上空を「ドーナツ状に」旋回する。

このステーションは今年の第2四半期に、Matternetの既存の顧客である病院のひとつに設置される。そして安定稼働が実証されたら、もっと広く展開されるだろう。下のデモビデオは、俳優たちが演じるドラマになっている。

画像クレジット: Matternet

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドローンが子供たちの近くに墜落したことでスイスでの自律配送事業が中断

スイスでの配送ドローンの深刻な墜落事故によって、事業とパートナーシップが中断された。学校のすぐそばで発生したこの事故は、貨物搭載型自律飛行物体による破滅的な失敗の可能性を厳しく示した。

このドローンはスイスポスト(すなわち郵便サービス)とのパートナーシップによってMatternet(マターネット)が運営していたものだ。同社は優先的なケースにドローンを使って、ある医療センターからの検査サンプルを配送していた。ドローン配送の潜在的な可能性に関しては、言うまでもない。だがこれまでにこのドローンは2回事故を起こしている。1度目は軟着陸、そして今回の2度目はハードクラッシュだ。

1月に起きた最初の事故は、GPSハードウェアエラーによって引き起こされたものだ。このときはドローンは予め組み込まれていたエラー処理状態に移行し、緊急パラシュートを開いてゆっくり地上へと降下した。このときはGPSシステムを改善するための対策が講じられた。

しかし、5月に起きた2度目の事故では、ドローンは再びパラシュートを開こうとしたものの、どうしたことかパラシュートラインが切断されて地表に降下し、大勢の園児たちがいる場所からわずか150フィート(約46メートル)程の場所に墜落したのだ。被害を受けたものは誰もいなかったものの、これはサービスにとって、最悪の事態がかろうじて避けられたというものだった。単に機体が墜落しただけでなく、緊急システムも動作せず、しかも単に人がいる頭上で起きたのではなく、大勢の子供たちがいるすぐ頭上で起きた事故なのだ。この事故は前月報告書としてまとめられたが、広くは知られていない。

数百フィート(数百メートル)から落下する、合わせて12キログラム(約26ポンド)のドローンと搭載貨物は、容易に誰かに重症を負わせたり殺してしまう可能性がある。これこそが居住地や人の頭上を飛ぶことに関して極めて厳しい規制が存在しているいる理由なのだ。

当然ながら、この事故の後、運行は中止されている。そしてMatternetが、関連する様々な課題を解決できるまで、運行は再開されないだろう。たとえば、パラシュートラインがドローンの上でなにかによって切断されるようなことが、何故起き得たのかということだ。

米国でこのニュースを伝えたのはIEEE Spectrumだ。Matternetはこの件について次のように述べている。

私たちのドローンのパラシュートシステムが失敗したのは初めてです。報告書に述べられているように、飛行停止システムはドローンの仕様通りに起動されたのですが、パラシュートラインがその展開の最中に切断されてしまいました。

Matternetは、私たちの技術と運用の安全性をなによりも真剣に考えています。パラシュート安全機構システムの故障は容認できないものであり、私たちはそれに対処するために、あらゆる適切な措置を講じています。

スイスポストとMatternetはこの事故を受けて、このタイプのドローンも含む全ての運用を直ちに停止しました。私たちの専門家が事故を分析して適切な緩和策を提案しました、この案は現在FOCA(Federal Office of Civil Aviation:連邦民間航空局)によって評価されている最中です。運行が再開されるのは、Matternetとスイスポスト、FOCA、そしてスイスの病院のお客様たちが、適用された緩和策に満足したときになります。

ドローンによる配達は有望な分野だが、規制当局が検討する場合には、今回のような状況は良い材料とはならない。業界の明るい予想にもかかわらず、この飛行テクノロジーを証明するためにはまだやるべきことがたくさんある。3000回ほどの飛行のうち2回の失敗というのはあまり多いようには思えないかもしれないが、もしそのうちの1回が、あわや子供たちを巻き込みそうな事故だったということならば、業界全体を萎縮させかねないのだ。

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(翻訳:sako)

UPSがドローンスタートアップのMatternetと組んで医療サンプルを輸送

無人ドローンによる配達がUPSネットワークで採用される。ドローンスタートアップのMatternetとの提携によって、UPSは医療サンプルの無人ドローンによる配達をノースカロライナ州レイリーのWakeMed病院で開始した。

連邦航空局およびノースカロライナ州運輸支局の認可を受け、UPSとMatternetは医療サンプルの定期空中輸送を日々運用する。これまでWakemed病院は自動車輸送に頼っていたため交通渋滞による遅延の恐れがあった。

ドローンによる配送では、まず医療専門家が医療サンプルや血液サンプルなどの検体をドローンに載せる。その後ドローンは事前に決められた経路を飛んでWakeMed病院の本院および中央病理検査研究所に送られる。

UPSとMatternetはその後プログラムを分析し、全米のその他の病院での輸送を改善するためにドローンを利用する方法を検討することができる。以前UPSは、Ziplineと提携して遠隔地域の医療輸送をテストしたことがある

「無人航空システムは顧客ニーズを的確に捉え、ネットワークの効率を高めることでわれわれのビジネスが成長する機会を与えてくれる」とUPSの先端技術グループ担当VPであるBala Ganesh氏が声明で語った。

ドローンを配置することでコスト削減と効率化が見込める。Matternetは、昨年8月にFAAの無人航空機システム統合パイロットプログラム(IPP)の一環としてテスト飛行を実施した。

これ以前にMatternetは1600万ドルの資金調達ラウンドをBoeingのベンチャーキャピタル部門であるBoeing HorizonX Venturesのリードで完了した。最近FAAは、同局の無人航空機パイロットプログラムの一環として、米国病院のドローン輸送業者としてMatternetを指名した。2015年にMatternetは、スイス、チューリッヒで血液と病理サンプルを検査機関に運ぶテストを初めて実施した。

以来Matternetはスイスでの運用を拡大し、人口密集地域を1700回以上飛行し、850回以上患者サンプルを輸送した。

「UPSと共に、当社は米国の医療におけるオンデマンド輸送の現状をドローン配達ネットワークによって変革することを目標にしている」とMatternetのCEOであるAndreas Raptopoulso氏が声明で語った。「我々の技術によって、病院システムは医療物資をこれまでにないスピードで輸送することが可能になり、患者治療の改善と経費の節減に役立つことが期待できる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Matternet、スイスポストとの協力により、今年の夏よりドローンによる郵便物配送実験を開始

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スイスで郵便業務を行うSwiss Postが、配送システムとしてのドローンの開発を行なっているMatternetのシステムを使って、ドローン配送に取り組む予定なのだそうだ。今年の夏にも実証実験を行うことにしているとのこと。「法規制面や運用上の問題点を明らかにし、ドローンを活用する上での技術面およびビジネス面での課題を明らかにする」ことを目的としている。

実証実験段階ではあるわけだが、ともかく郵便物をロボットが配送するような時代になってきたわけだ。

Matternetが提供するONEという名前のドローンは、1度の充電で重さ1kgの荷物を20kmの距離まで運ぶことができる。薬や資料、あるいは機械のパーツなどの配送で試してみたい考えだ。

MatternetはAndreas RaptopoulosおよびPaola Santanaが設立した企業だ。Raptopoulosの、空を飛ぶ車を作ってみたいという夢から生まれてきた。NASA Ames Laboratoryで開催されたシンギュラリティ・ユニバーシティにサマープログラムに参加したのち、活用範囲の広い小型クワッドコプターの開発を行うMatternetを設立をしたのだった。Flextronics、Scott Banister、およびNasなどからシード資金として220万ドルを集めている。

Matternetはこれまでにも、ハイチにおける配達困難地域に対して薬や生活用品などを配送する実証実験を行なっている。今回はスイスにて何種類かの実験を行いたい考えだが、既に他社の追随を許さない飛行経験を持っているといえる。

「配送ソリューションに、弊社のプロダクトを組み込む形で参加したいと考えていました。そんなときに話をしにきてくれたのがSwiss Postです。その結果生まれたシステムについては、技術面ではすべて弊社が担当し(ドローン、離着陸施設、バッテリー、充電ステーション、クラウドソフトウェア等)、その運用をSwiss Postに任せる考えです」とRaptopoulosは言っている。

「クアッドコプターというのは、乗り物に関わる発明品として、内燃エンジンにまさるとも劣らない史上最大級のものだと思うのです。技術的には非常にシンプルでありながら、今後3年ないし5年でますます発展していくソフトウェアによって、さまざまな応用可能性が開けているのです。天候やGPSの状況によらずに安定して飛行し、また障害物を検知して避けるための技術なども磨かれていくこととなり、10年以内にはいっそう便利なツールとして各所に広がっていくことでしょう。“software eats xxxxx”というような言い回しが流行ったことがありました。クアッドコプターの世界では、まさにソフトウェアの進化がドローンの輸送部門への進出にまっすぐ繋がっているのです」。

迅速な配達がほとんど不可能な地域にも、都市部並みの商品配送を行えるようにする可能性を探ることが実験の目的だ。自律的に動作する安全なドローンを何台か飛ばすことで、自律的で安全な、そしてもちろん迅速な配送システムを構築しようとしている。

Raptopoulos曰く「時代の曲がり角にきているのです」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

無人機による配達をもっとも必要としているのはどこの誰か?–Amazonの大先輩Matternetが現状と課題を語る

先週は、eコマースの巨人Amazonが品物の配達を無人航空機で行うという事業、”Amazon Prime Air“のニュースがメディアを賑わした。AmazonのCEO Jeff Bezosはテレビの人気番組でAmazonの無人機構想を語り、視聴者をあっと言わせたが、しかし無人機を使う配達配送方式を着想したのは、彼が初めてではない。

シリコンバレーの小さなスタートアップMatternetは、数年前から無人機を使う配達技術を開発してきた。同社の協同ファウンダでCEOのAndreas Raptopoulosがこの夏行った、小型無人機による配達配送の潜在的なメリットに関するTEDの講演は、先月TEDのWebサイトに載って以降20万回以上視聴され…そしておそらくBezosにヒントを与えたのであろう。Bezosは、テレビ番組60 MinutesでAmazon Prime Airについて語ったとき、RaptopoulosがTEDの講演で使ったのと同じ言葉を使ったのだ。

ハイチにおけるMatternetの無人機配達のパイロット事業

ただしMatternetが構想している無人機による配達配送は、途上国の、まともな道路もない地域に対する食糧や医薬品など緊急必需品の送達が目的だ。ハイエンドの市場から徐々に貧乏人や貧乏国にも普及していく消費者技術製品…コンピュータ、携帯電話、自動車など…と違って、Matternetによる無人機配送は、それをまさに今、“喉から手が出るように必要としている人びと”が対象だ。そしてそんな配送網を、徐々に都市部や一般消費財にも広げていく、という普及の順序になる。

先週はMatternetのRaptopoulosと、同じく協同ファウンダのPaola Santanaが本誌TechCrunchのサンフランシスコ本社に来てくださり、同社の技術の進歩の様相や、無人機を取り巻く技術的な課題、制約や規制などについて話していただいた。ついでに、無人機配達へのAmazonの進出に対する感想も、述べていただいた。そのときのビデオがこの記事のトップにある。

そして下のビデオでは、ハイチにおける同社の無人機配達パイロット事業の一端を見ることができる。

ハイチにおけるMatternetMatternetVimeoビデオより。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))