Googleが不動産販売のMatterportとパートナーして屋内ストリートビューの360度3D画像を一挙に充実

知らない場所へ行くときには、事前にGoogleのストリートビューを見ると、だいたいの様子が分かる。しかしそれが屋内の場所なら、そのやり方が通用しない。

でも最近のストリートビューでは、一部の家やお店、企業などの建物の中に入って見れるようになった。それが今日(米国時間5/9)、GoogleがMatterportとパートナーしたおかげでさらに増えた。

Matterportは不動産会社で、顧客がその家を実際に見に行くか行かないかの判断材料として、3Dスキャンの画像を作って提供している。同社は最近、Qualcomm Ventures, Greylock Partners, そしてY Combinatorからの約6500万ドルの資金調達を公開した。

【3D画像】

〔ここに3D画像が表示されない場合は、原文のページを見てください。〕

ストリートビューの場合と同じように、クリックしたりドラッグしたりして建物内を3D/360度で見て回れる。画像中の二重丸のようなボタンをクリック(タップ)すると、特定のアイテムの前でとまる。

このような屋内見学は、すでにGoogleが360度写真家たちとのパートナーシップである程度実現しているが、Matterportとのパートナーシップでそれが一挙に50万箇所あまりに拡大した。それらはWebのほかに、VRのヘッドセットでも見ることができる。Matterportも個人の写真家と契約しているので、内容の充実は今後の彼らの活躍にかかっている。でも同社は、不動産販売のお客用以外の画像も今後大きく増やしていく、と言っている。

GoogleがストリートビューのAPIを公開しているのはMatterportだけではないが、360度スキャンに加えて3Dの画像も提供するのは同社だけだ。GoogleもVR(仮想現実)などの新しい技術に意欲的だから、そのための強力な画像や映像が今後さらに充実していくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

部屋をスマホで撮ったらその映像から部屋の仮想現実空間(VRスペース)を作り出すMatterport、このほどシリーズCで$30Mを調達

上のビデオで紹介される4500ドルのカメラは、現実世界を仮想世界に変える。Matterportのハードウェア製品は不動産売買の代理店に重宝されてきたが、今日シリーズCで3000万ドルを獲得した同社は、そのお金と、同社のソフトウェアと、GoogleのProject Tangoとのパートナーシップにより、高価なカメラを使わなくても、歩きながらスマートフォンを振り回すだけで、まわりの世界をVR(仮想現実)としてとらえ、保存する技術を目指す。

たとえば、ぼくが仕事をしているサンフランシスコのアートギャラリーThe SubをMatterportでVR化すると、下図のようになる。

上のようにインテリア空間をVRとして捉えるためには、Matterportがそれを民主化するまでは5万ドルぐらいの費用がかかった。しかし同社はそのカメラをこれまでに数千台売り、それらが何万もの仮想シーンを作り出し、毎月120万あまりのユニークビューワーがその仮想空間の中をぶらついた。CEOのBill Brownによると、“売れ行きが好調だからすぐに黒字になった”そうだ。

でも同社は、単なるカメラ企業で終わりたくない。今回得られた資金で、同社は強力なソフトウェア企業にもなり、いろんな映像を縫い合わせてVRを作れるようになりたい。そのビジネスは、今後、スマートフォンで撮られた大量の映像が洪水のように流入してくるようになれば、爆発的な人気を獲得するだろう。専用カメラから、そこらのスマートフォンへ、という大革命だ。

上のビデオではMatterportのカメラやソフトウェアとともに、Brownへのインタビューも見ることができる。

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Matterportは2010年のXbox Kinectのハッキングブームから生まれた。ファウンダのMatt Bellは当時、ジェスチャ認識の企業で仕事をしていたが、そこは、5万ドルのカメラと熟練工を使って大きなCADファイルを作り、それらに専用のアプリケーションでアクセスしていた。しかしBell自身は、150ドルのKinectのパワーに感嘆していた。彼は、比較的安いデバイスで同じ技術を動かせるかもしれない、と考え、誰もが部屋を3Dで捉えて、それにWebからアクセスすることができるのではないか、と思った。

BellはDavid Gausebeckと組んだ。GausebeckはCAPTCHAによる商用のセキュリティシステムを初めてPayPalで考案した人物だ。二人はY Combinatorの傘下に入り、2012年にはDCMから160万ドルのシード資金を獲得した。さらにその後は、多くのVCから計840万ドルをシリーズAとして調達した。

1年前にMatterportは自分たちの技術の商業化に目覚め、とくに不動産業界に売り込んで行くための資金として1600万ドルのシリーズB資金を調達した。不動産代理店のために物件の写真を提供している企業も、ターゲットにした。

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しかしモバイルがメインのターゲットになるにつれて、プロ用の4500ドルのVRカメラを売ることが次第に重荷になってきた。画期的なパートナーシップを結んだGoogleのProject Tangoも、スマートフォンのカメラをスキャナとして使って、室内のVRマッピングをしている。IntelがVRセンサハードウェアRealSenseを出すという話があり、Googleはスキャニングのソフトウェアをパワーアップしようとしていた。そういった中で、Matterportは、スマホの映像を縫い合わせて没入的なVRシーンを作ろうとしていた。

下のビデオは、TangoとMatterportのパートナーシップの成果だ:

今回得られたシリーズCの3000万ドルは、優秀な技術チームを作ってモバイルのVRスキャニング技術を実用化することに投じられる。またそのほかのデベロッパたちがMatterportの映像縫い合わせ技術を使ってユーザにVR体験を提供できるために、SDKとAPIを作らなければならない。

VRのモバイル化にとってMatterportが必須の技術なら、同社の未来の快調ぶりは今からすでに約束されている。もう、不動産代理店にカメラを売ることがメインのビジネスではない。現代はソーシャルメディアと、テキスティングと、写真と、ビデオがコミュニケーションを支えている。そこにMatterportの技術が加われば、もう、ただパーティーの写真を共有するだけではなくて、360度の没入的な視野で、遅まきながら、そのパーティーの会場に自分が“いる”ことが、可能になるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビデオ: GoogleのProject Tangoで室内を3D撮影するとこうなる

昨日はGoogleの3D感知型スマートフォンProject Tangoについてお伝えし、そこに使われている視像プロセッサや、それが携帯電話の未来にもたらす意味について論じた。

そして今回お見せするのは、実際にTangoのプロトタイプデバイスを使ってMatterportが作った3Dの室内マップだ。Matterportはこれまでにもコンピュータビジョンや知覚コンピューティングの技術を駆使して、室内など3D空間の捕捉や再現を行うソフトウェアを作ってきたので、Tangoのプロトタイプ機をGoogleからもらえる数少ない企業の一つに選ばれたのだ。

MatterportのCEO Bill Brownに、Project Tangoの3Dシーンを再現する能力について聞いてみた。Brownによると、このプロジェクトによってモバイルの3D化が急速に進むだろう、という。3Dの捕捉とマッピングをモバイルデバイスほど迅速簡便に、そして気軽にできるデバイスは、同分野の既存の製品や技術の中にはない。だからモバイルデバイスは事実上、3D技術を今後一般化大衆化していくための唯一の乗り物になる。

Matterportは同社の一連のソフトウェアによって3Dデータを、カラーカメラデータと完全なメッシュデータの両方で一度に捉える。そしてそれらを、正確なモデルへと再構成する。Matterportはそのためのカメラを、価格など一般市販を意識しながら独自に作ってきたが、Brownによると、Tangoデバイスの能力は現状ですでに立派なものだそうだ。

“まだプロトタイプだからメッシュのクォリティは、うちのカメラほど良くないけどね”、とBrownは言う。

このプロトタイプTangoデバイスは、カメラの解像度も低いから画像が粗い。でもカメラの解像度を上げるぐらいのことは簡単にできる、とBrownは言う。

このビデオでもお分かりのように、Tangoの能力は現状でもすでに十分に感銘を与える。やがて、われわれが日常的に持ち歩く携帯が、このように自分の身の回りの環境を感知したり解釈したりできるようになるのだ。

Matterportはバルセロナで行われるMobile World ConferenceでQualcommのキーノートを担当する。その機会に同社は、同社の3D捕捉再現ソフトウェアをモバイルデバイスに載せてデモし、このような3D技術の大衆的普及がもたらすメリットについても語るだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))