ロサンゼルスを拠点にする高利回りのチャレンジャー銀行HMBradleyが正式オープン

ロサンゼルスを拠点とするデジタルチャレンジャーバンクのHMBradleyは、米国時間3月30日にそのドアを開いた。これにより、何千人もの順番待ちの利用者は直接預金が可能になり、サインアップボーナスを受け取ることになる。

同社は銀行の顧客に対して、四半期預金の貯蓄率に基づいて貯蓄額の最大3%の利息を提供する。

またHMBradleyは、ユーザーが特定の目標に向けて貯金することができる新機能も提供する。

PayPalの創業者であるMax Levchin(マックス・レヴチン)氏のHVF Labs、Walkabout Ventures、Mucker Capital、Index VenturesおよびAccompliceから提供された350万ドル(約3億8000万円)に支えられたHMBradleyは、貯蓄者にうま味のあるビジネスを目指している。

最大10万ドル(約1100万円)までの残高を持つアカウント所有者は、自分のアカウントから年間最大3%の利回りを受け取ることができる。これらの口座名義人は、預金残高の少なくとも5%を毎月直接入金することによって利回りを受け取る資格を得る。

HMBradleyの口座は、FDICの保険でカバーされるHatch Bankによって保持されている。

3%のレートを獲得するには、顧客は収入の20%より多い金額を貯蓄する必要があるが、収入の15%から20%を貯蓄するアカウント所有者は年間2%の利回りを受け取る。そして年収の10%より多く15%未満の貯蓄を行うアカウント所有者が受け取るのは年間1%だ。

HMBradleyの共同創業者CEOであるZach Bruhnke(ザック・ブルンケ)氏は声明で「私たちは、すべての利用者に経済的な力を与え保護し、銀行がどれだけ稼いでいようとも利用者である皆さんの味方であることを示したいと願っています」と述べた。

同社によれば、アカウント所有者は米国内の5万5000台の無料ATM、モバイル小切手入金、そして24時間サポートを利用できる。

また同社が発行するマスターカードには、免責額ゼロの損害賠償や旅行、詐欺警告、カードの停止などを、すべてオンラインポータル経由で設定できる機能などの、すべての標準的機能が備わっているということだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

PayPal創業者率いるフィンテックAffirmに約1600億円の増資観測

消費者向け金融会社がまた1社、創業以来最大の増資観測で投資家の注目を集めている。

PayPalのMax Levchin(マックス・レブチン)氏が創業したAffirm(アファーム)が、同社の資金調達の動きに詳しい筋によると、デットとエクイティの組み合わせで最大15億ドル(約1600億円)を調達するとのことだ。Josh Kushner(ジョシュア・クシュナー)氏が立ち上げたニューヨークのベンチャーキャピタルであるThrive Capitalが資金調達をリードするとみられている。サンフランシスコのSpark Capitalも参加する見込みだ。

Affirmはコメントを控えた。Affirmの既存株主であるThriveとSparkの代表も、コメントの要請に対し沈黙している。

Affirmは、これまでの典型的な個人向けローンやクレジット提供に代えて、消費者がオンラインで買い物をするときにファイナンスを提供する。Affirmに近い情報筋は、今回のラウンドの大部分が大規模な金融機関からのクレジットライン、いわゆるウェアハウス・ファシリティ(短期で回転する資産を担保にした貸付)で調達されると推測する。

Affirmは4月にThriveがリードしたシリーズFラウンドで3億ドル(約320億円)を調達したばかりだ。その際のバリュエーションは30億ドル(約3200億円)だった。しかし、融資とその回収が本業であるフィンテック企業は事業を維持するために膨大な資金を必要とするため、さらに資金を必要とするというのはあり得る話だ。投資マネーが余り気味な現状ではベンチャーキャピタルも応じるはずだ。

PitchBookによると、AffirmはこれまでRibbit Capital、Founders Fund、Andreessen Horowitz、Khosla Ventures、Lightspeed Venture Partnersなどから10億3000万ドル(約1110億円)を調達した。参考情報として、フィンテック「ユニコーン」クラブのBrex、Stripe、SoFi、Kabbageは、これまでにデットとエクイティ合わせて約50億ドル(約5390億円)を調達した。

Affirmは、オンラインで買い物をする消費者に分割払いプランを提供する。従来、車や高級家電などの大きい買い物に利用されてきた後払いの方法だ。消費者がAffirmを利用すれば、StockXで販売されているスニーカーからDiamond Nexusのダイヤモンドの婚約指輪まで、自身にあった分割払いプランを設計することができる。

Affirmはクレジットカードに代わる役割を目指し、加入時の各種書類への記入や、加入に必要なクレジットスコア(クレジットの信用度を表す指標)または収入額の最低基準を消費者に求めない。同社はクレジットカード会社と同様の収益を上げており、Affirmの貸出利率は10%から30%の範囲だ。

Affirmの資金調達は、消費者向けおよびB2Bの貸付に注力する企業が増えている傾向を象徴している。AffirmはB2Bビジネスにも力を入れており、今年初め、企業向けの新しい金融サービスビジネスを生み出した。Resolveという会社で、B2Bの販売フローに合わせて、企業が「今すぐ購入、後で支払い」できるサービスを提供する。

「従来のB2Bの資金調達には時間がかかり、不正確で、ビジネスが成長する可能性を制限している。電子メール、コールセンター、ファックス、および手作業の請求プロセスに過度に依存しているからだ」と、Resolveは4月のプレスリリースで説明している。「多くの企業は、標準の支払いサイトである30日という日数を、取引実績のある優良な一部の顧客にのみ提示する。その他の顧客は資金の手当てをクレジットカードや分割払いローンに頼らざるを得ない」。

StripeやSquareなどの企業は、金融サービスにおける他のフロンティアを開拓している。Stripeは今月、企業向け資金調達ツールコーポレートカードビジネスをそれぞれ立ち上げた。Squareは最近、Square Cardと呼ばれる新しいデビットカードを導入した。企業はSquareを通して回収した資金を引き出し、すぐに使うことができる。

米国に本社を置くフィンテック企業へのベンチャー投資は、過去最高水準に達する勢いだ。2019年は8月までに105億ドル(約1兆1300億円)がこのセクターに集まった。2018年は通年で過去最高の116億ドル(約1兆2500億円)だった。PitchBookによれば、世界的にも、フィンテックへの投資が増加しており、今年の調達額は200億ドル(約2兆1500億円)に迫っている。

フィンテック業界の競争が成長と革新を加速している。消費者にやさしく、ストレスを与えないツールが、保守的で高度に規制された金融業界を浸食しつつある。

フィンテックのメガラウンドが相次いだ今年に続き、来年すぐにフィンテック関連のIPOが続くと予想される。Affirm、Robinhood、Stripe、SoFi、Coinbaseなどが注目の企業だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

新薬開発をデータ分析で助け実験を効率化するElemental Machinesがシード資金$2.5Mを獲得

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ケンブリッジのElemental Machinesは、ウェットラボのソフトウェアシミュレーターを作っていて、とくに、新薬開発など薬の研究開発をデータによって行うことにより、その時間と費用を低減することをねらっている。

同社は、ラボで得られたデータで、シミュレーションにおける実験の再現性を改良することを目指しており、その新しい考え方に目をつけた投資家のFounders Fundは、同社に250万ドルのシード資金を提供した。

Founders Fundは、SpaceXや、Lyftの車の相乗りサービス、寿命延伸の研究など、未来をラジカルに変える可能性のあるアイデアに、よく投資をする。

Elemental Machinesの場合は、データをクラウドベースのソフトウェアプラットホームに適用することにより、ウェットラボの実験や研究を効率化して、新薬や治療法の改善方法の発見をスピードアップ〜短時間化する。研究者たちは、それらのデータが集められたコンテキストを十分に理解しながら、研究結果を解釈できる。

Elemental MachinesのCEO Sridhar Iyengarは、そういうデータ分析をベースとする実験や研究のことを、ラボにX線撮像装置があるようなものだ、と言う。“われわれは、テクノロジーを、これまでの世界から別の世界へ持ち込もうとしている。われわれは科学者たちに、さまざまな重要データを集めて視覚化するための容易で強力な方法を提供する。これまでのラボや、とくにラボのデバッグでは、データの積極的な利用ということは、まったく考えられていなかった。”、と彼は語る。

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同社のやり方は、ラボのコストも大幅に削減する。Deloitteのデータによると、生命科学のグローバルな研究開発に投じられる金額は、これまでのやり方を前提として推計すると2020年には1630億ドルに達する。しかし、実験とその結果を…データを利用して…正しく複製するやり方があれば、そのR&Dが必要とする費用は長期的には大幅に削減されうる。

ラボといっても非常にさまざまだから、一概にコスト削減を言うのは大雑把すぎるが、Iyengarが挙げる同社の顧客の例では、同社のソフトウェアとそれによるデータ分析により、研究に要する期間を大幅に減らすことに成功している。

Elemental Machinesのチームには、ウェアラブルの研究開発やデータ分析の履歴と実績を持つ科学者たちがいる。彼らはこれまでウェアラブルのMisfitを作ってそれを最近Fossilに売り、その後消費者対象のヘルステク企業AgaMatrixを作り、そのあと、ウェットラボに焦点を定めた。

同社の考え方は、同じくFounders Fundが投資しているEmerald Lab Therapeuticsに似ている。Emeraldはクラウド上でオーダーメイドのデータ分析を提供しているSaaS企業だ。Iyengarの考えでは、両社は競合するというよりむしろ共生的であり、とくにElemental MachinesはSeimensやGEのような大企業から、大規模データ処理の市場を奪おうとしている。

同社は1年近く前にひそかにローンチし、今ではLab Centralなど約30社を顧客にしている。

このラウンドに参加したそのほかの投資家は、Max Levchin, Project 11 Ventures, 2M Companies, そしてRock Healthだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

NSAは悪ではない、われわれを守ろうとしているだけだ。PayPalのMax Levchinは語る

NSAはわれわれをテロから守るためにある、たとえ境界を越えることがあっても。PayPalの共同ファウンダー、Max Levchinは、NSAを憎むべきではないと語る。これはテク業界の大多数とは正反対の感覚だ。TechCrunchファウンダーのMichael Arringtonも、NSAのスパイ行為はテロリズムを阻止しない ― それ自体がテロリズムだと考えている。

結局のところこの議論は、アメリカがいかに監視と聖域を両立させるかに行き着く。ベンジャミン・フランクリンの言葉を言い換えた「安全のために自由を犠牲にする者は、どちらを得るにも値しない」を支持する人々もいる。一方、強力な攻撃と防御がなければ、テロリズムはわれわれの暮しを揺がすと心配する人々もいる。いずれももっともだ。

Levchinは下のビデオで、NSA、スパイ行為、そしてなぜわれわれがよく考えるべきであるかについて、彼の見解を語っている。

NSA問題に関して様々なことが言われているが、私がCharlie Rose(NSAはやっていることは正しいと語った)と話して以来、さらに新しい情報が暴露され、中には明らかに不愉快なものもあった。私が有力メディアに同意できないのは、NSAが邪悪であると広く位置づけられていることだ。自分を、そして全国民を、危害、テロリズム、および外国勢力から守るための政府の責務に対して、一国民が悪意を抱くのはばかげている ― 自国を攻撃してくる相手を見定め、それを阻止するためにある政府組織を、邪悪扱いすることは非常識でしかない。

彼の言うことには一理ある。NSAが行っていることは邪悪かもしれないが、組織全体がそうであるとは限らない。だからといって、この監視が必要であるかどうかに疑問を持つべきでないとは言えないし、抗義して変更を要求すべきであることも意味しないが、無紛別にNSAを嫌悪すべきではない。

Levchinは続けて、政府のスパイ組織が勤勉な人たちであり、自分たちの国を守る力になろうとしていることを説明しようとした。

「その人たちは年に4万ドル稼いでいる。それは富への道だからではなく、認められるための方法でもない。

学生時代、私はNSAを志望したが、まだアメリカ市民ではなかったために受理されなかった。私は暗号オタクだった。来たばかりの国の役に立つために、暗号化技術を活用することに、私は大きな興奮を覚えた。求人担当者が一つはっきり言っていたのは、給料は雀の涙であるにもかかわらず、数学者として名声を得ることもない、なぜなら一切論文を公表できないから、ということだった。

だから幸いにも(あるいは見方によっては残念ながら)私はその道へ進まなかった。私は楽しみと利益のために会社を作った。しかし、基本的にその道を選んだ人たちは ― その多くが非常に才能があり頭が良かった ― この部屋が決して爆発しないようにという義務感から仕事をしている。私は彼らに何らかの尊敬の念を抱くのは良いことだと思う。彼らが私のセキュア・ソケット・レイヤーを破りたがっているという事実は私を悩ませる。私はいやだ。それが良いことだとは思わない。私はただ、NSAにまつわる議論が感情的で情報に欠けることが多く、時には理由もなく好戦的になっていると感じるだけだ。

われわれの怒りを収めることは難しいかもしれない。今ほど自分の政府に不信を抱いたことはない。私は頭に来ている。何とかする必要がある。しかしこの問題に対して、より思慮深く見識ある態度で臨むことは、われわれが物事を解決するために何よりも重要だ。見境のない憎悪は何も生まない。われわれはの怒りは邪悪な行動を取り払うことに集中すべきであり、それを実行している組織全体を悪者扱いすべきではない。

Levchinのリーダーシップに関するアドバイス、PayPalで得た教訓、および彼の新しいスタートアップで妊娠を支援するGlowに関する詳細は、下に貼ったDisrupt講演の全編を参照されたい。


ステージ裏インタビュー

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)