催眠術で健康に、Mindset Healthの主張に投資家が1.2億円を賭ける

Chris(クリス)とAlex(アレックス)のNaoumidis(ナオウミディス)兄弟は、洋服販売の世界から催眠療法にやってきた。

2019年に、ニューヨーク・タイムズが伝えたところによると、2人はもともと女性向けのP2P(ピアツーピア)方式のドレスシェアリングアプリでスタートアップ起業家の道を歩み始めた。オーストラリア生まれの兄弟は、スタートアップの世界で成功する能力に自信が持てずに気落ちしていたのだが、アプリがうまくいかなくなったとき、父親から催眠療法を試すよう勧められた。

その治療を受けたのをきかっけに、兄弟はMindset Health(マインドセット・ヘルス)を創設し、Fifty Years、YC、Gelt VC、Giant Leap VCさらに米国とオーストラリアのエンジェル投資家たちから110万ドル(約1億1800万円)の資金を調達した。

2019年12月にクローズしたこのラウンドは、小規模ながら数多くの投資家が参加しているわけだが、それは近年の精神的健康への投資家たちの関心の高まりを表している。

現代社会での生活に付きものともいえる精神障害の治療アプリは、この市場に大量に出回っている。セラピストとのマッチングをしてくれる企業もあれば、認知行動療養などの形で心の健康を支えるツールを提供する企業もある。マインドフルネスや瞑想を指導してくれる10億ドル規模の企業もあれば、催眠療法を提供する企業もある。

アレックスたちは、兄弟で受けた催眠療法からヒントを得た。「瞑想のようにできないだろうか。それを人々の役に立つ形で市場に送り込めないだろうか」とアレックス・ナオウミディス氏は私に話してくれた。

瞑想は数百万ドル(数億円)規模のビジネスだ。Calm(カーム)やHeadspace(ヘッドスペース)といったアプリは、何百万ドルものベンチャー投資をかき集め、数十億ドルの評価額を得ている。

アレックス・ナオウミディス氏は、彼らのアプリは治療用ではないと強調する。現在の規制では治療用として宣伝することができないのだ。「むしろ、自己管理ツールのようなものです」と彼はいう。「不安や『過敏性腸症候群』を持つ人たちが、家庭でそれらの症状を管理できるよう手助けして、治療努力を補完するのです」。

目標は、さまざまな症状に対処できる数多くのアプリをMindsetの傘下に揃えることだと、アレックス・ナオウミディス氏はいう。最初は、ごく標準的なメンタルウェルネスアプリとしてスタートしたが、今ではその汎用的なメンタルウェルネスMindsetツールキットに、過敏性腸症候群(IBS)に特化した製品であるNerva(ナーバ)も加わった。

Nervaのサブスクリプションは安くはない。99ドル(約1060円)の前払い金に加えて、3カ月のサブスクリプション料金として88ドル(約9400円)かかる。Mindsetのサブスクリプション料金は、ニューヨーク・タイムズの記者Nellie Bowles(ネリー・ボウルズ)氏が初めてこの製品を試したときは64ドル(約6850円)だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行期間中の価格として、今は11ドル(約1180円)に値下げされている。

バウルズ氏は、こう伝えている。

最初のステップとして、アプリは友だちにメールかTwitterで「自分自身に打ち勝った者は最強の戦士である」という格言を伝えるよう私に進言する。次の19分間は、優しい男性の声で、私の心はスローダウンできると聞かされる。それにより不安は決意に変換される。この行程は日常の習慣にもなる。そうなれば、私は行動的な人間になれる。行動的な人間だ。

私は他にも生産性の向上のモジュールも試した。こちらは、はつらつとした若者の声だ。イケイケな感じで私の耳の中で、「私は自分に、自分が何になりたいか、何をしたいかを知ることと、そしてそれを効率的にやることの許可を与えた」という彼の言葉を繰り返すよう言ってくる。

こうした精神的健康のためのアプリは(どんなアプリもサプリも事業も同じだが)、その健康上の効能を裏付けるためには臨床研究が必要になる。Mindsetの製品開発にも医師が参加している。最初のMindsetアプリは、Michael Japko(マイケル・ジャプコ)博士との共同開発であり、IBSアプリはSimone Peters(シモーヌ・ピータース)博士とともに制作された。

どちらの博士も、治療コース開発の代償として同社から分配収益を受け取ることになっている。

共同創設者の1人は、彼らはこのサービスが成功をもたらすと非科学的に信じているのだと話す。プログラムの始めと終わりに、利用者は自分の症状を自己申告するのだが、プログラム修了者のうち90パーセントの人の症状が軽減されたという(登録者の中のどれだけの人が修了したかは不明)。

「私たちの考えは、このようなすばらしいプログラムを開発した研究者を助けて、デジタルで提供するということです」とアレックス・ナオウミディス氏はいう。「より使いやすくするために、私たちは世界でも有数の研究者たちと協力してきました」。

画像クレジット:Scar1984 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

有望な新型コロナ抗体を米Sorrentoが発見、実験室では100%の効果と発表

カリフォルニアの新治療法研究企業、Sorrento Therapeuticsは新型コロナウイルス対策の突破口となる可能性のある物質を発見したと発表した。この物質はパンデミックの原因となっているSARS-CoV-2(COVID-19)ウイルスに対して臨床前実験で100%の感染阻止の効果を示したという。

5月15日にSorrentoは前臨床研究の論文を発表し「4日間にわたる培養で健康な細胞へのSARS-CoV-2の感染を100%阻止する抗体を発見した」と報告した。論文は前臨床研究の報告であり、まだ専門家の査読を受ける必要がある。これはインビトロ(「試験管内」という意味)の研究で、臨床前のものだが、有望な発見だ。SorrentoはさらにSARS-CoV-2ウイルスが変異しても有効な抗体の「カクテル」の開発を進めるという。

SorrentoによればSTI-1499と呼ばれる抗体が候補物質の中で際立った効果を示したのだという。同社は広汎なヒト抗体ライブラリーを持ち、数十億の候補をスクリーニングした。SARS-CoV-2ウイルスはスパイク状のタンパク質を標的細胞の受容体に結合させて細胞に侵入する。STI-1499はこの結合作用を完全にブロックする能力がみられた。つまり、ウイルスがヒトの健康な細胞に感染するのを阻止できるわけだ。

現在、Sorrentoは新型コロナウイルス治療薬を開発中だが、STI-1499は細胞への感染阻止に高い有効性があるため、この「カクテル」に含まれる最初の抗体の候補だという。「カクテル」と呼ばれるのは治療薬はウイルスが細胞と結合するのをブロックする効果のある多数の抗体を含むことになるからだ。これはウイルスがヒトからヒトへの感染ないし特定個人の体内で変異を起こしても効果が持続することを狙っているためだ。

実際、研究者が現在答えを求めている最大の問題の1つは、SARS-CoV-2変異原性だ。例えば普通の風邪のワクチンや抗ウイルス薬の開発が困難なのは、原因となるコロナウイルスが急速に変異する傾向を示すためだ。

Sorrentoが開発している抗ウイルスカクテルのCOVID-SHIELDは、さまざまな変異株に対しても効果があるよう多数の抗体をミックスさせたもになるはずだが、同社ではSTI-1499を単独の抗体として使用する研究も進めるという。Sorrentoは、STI-1499の実用化を加速するためにFDA(米国食品医薬品局)と協議中だとしている。またFDAの使用承認の取得を進める一方で、投与100万回分を生産する準備も進めている。

ただしSARS-CoV-2(COVID-19)を根絶できる「魔法の弾丸」となるようなワクチンや特効薬が、すぐに登場する可能性はほとんどないことに留意しておく必要があるだろう。そうではあっても、これは非常に有望な発見であり、今後の臨床試験の結果や使用承認のプロセスに注目していくべきだろう。

画像クレジット:Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Price.comが新型コロナで品薄の商品在庫を表示する機能を追加

商品比較ウェブサイトPrice.comと、関連するブラウザエクステンションを展開しているPrice Technologies(プライス・テクノロジーズ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)により米国で供給が不足しているいくつかの必需品の在庫を表示する機能を追加する。

アスピリン(消炎鎮痛剤)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)、ティッシュ、手指消毒剤、イブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)、お米、石けん、スープ、トイレットペーパー、その他のアイテムのオンライン店舗の在庫がPrice Technologiesのウェブサイトに表示されるようになる。

「我々は、新型コロナウイルス関連必需品がいかにオンラインで入手しにくくなっているのかを追跡してきた」と同社はブログに書いている。「そして今、そうした必需品の在庫状況をリアルタイムでアップデートする。この機能の初期バージョンを立ち上げていて、今後数週間で機能を拡大・洗練する計画だ」。

2016年に始まったPrice.comは、PayPalに2019年買収されたオンラインディスカウントショッピングHoneyのようなサービスと競合する。

Crunchbaseによると、Price.comは500 Startupsの創業者Dave McClure(デイブ・マクルーア)氏、Plug and Play Ventures、Social Capital、VentureSouqなど多くのアーリーステージ投資家の支援を受けている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi

Modernaに続きゲイツ財団が支援するInovioの新型コロナのワクチンが臨床試験へ

米国時間4月7日、FDA(米国食品医薬品局)は新薬臨床試験(IND)プログラムに基づいて新しい新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの候補を承認した。これにより直ちにINO-4800 DNAワクチンの臨床試験のフェーズ1が開始される。

開発元のバイオテック企業 InovioではINO-4800 DNAワクチンをボランティア被験者に接種する計画で、動物実験では免疫反応の増加が示されるなど有望な結果が得られている。

InovioのDNAワクチン候補は、特別にデザインされたプラスミド(細胞の核外に存在するDNA断片)を患者に注入する。プラスミドを受け取った細胞における、特定の感染源を標的とする抗体生成を増強させるのが目的だ。DNAワクチンは、獣医学においては各種動物の感染症に対して承認を受け、頻繁に利用されているが、人間への使用はまだ承認されていない。

Inovioの新型コロナウイルスのワクチン開発はゼロから始まったわけではない。これまでにも同社はMERS(中東呼吸器症候群)のDNAワクチン候補のフェーズ1臨床試験を完了し、有望な結果が出している。被験者は高レベルの抗体生産を示し、効果は長期間持続している。

Inovioには優れたスケールアップ能力があり、フェーズ1およびフェーズ2の試験を実施するためにわずか数週間で数千人分のワクチンを製造することができた。同社はこの実験にあたってMicrosoftのファウンダー、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が創立したBill and Melinda Gates Foundationからの支援を受けている。プロジェクトには他の非営利団体からの資金提供もあった。Inovioでは「 臨床試験が成功した場合、追加試験と緊急使用(承認が必要)のために今年中に100万回分のワクチンを準備できる」と述べている。

INO-4800は、FDAから臨床試験のフェーズ1の承認を受けたたワクチンとして2番目となる。我々も報じたとおり、 Modernaも2020年秋の限定実用化を目指して臨床試験を行っている。Inovioの臨床試験に参加する40人のボランティアはすべて健康な成人で、ペンシルベニア大学フィラデルフィア校のペレルマン医学部、あるいはカンザスシティの製薬会社、Center for Pharmaceutical Researchによってスクリーニングされる。 フェーズ1の試験は向こう数週間続けられ、夏の終わりまでまでに被験者の免疫反応、副作用の有無に関するデータが得られるものと同社では期待している。

新しいワクチンの広範な使用の承認が得られるまでには、1年から1年半以上かかるのが通例だが、新型コロナウイルスに対するワクチンの臨床試験開始のペースは並外れて速い。あまり長く待たずにすむことを期待しよう。

画像クレジット:Alfred Pasieka / Science Photo Library / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スタートアップのグループが新型コロナと戦う医療従事者にフラットパックの防護ボックスを提供

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対処する医療機関を支援できないかと、スタートアップ企業や起業家たちがいろいろな取り組みをしている。その中に、個人用防護具の需要に応えるCOVIDボックスプロジェクトがある。トロントのボランティアが立ち上げた活動で、スタートアップの創設者やその従業員、さらに医師や医療の専門家も参加している。

このグループが作っている新型コロナウイルス感染症患者の挿管に使う箱は、ポリカーボネート製で、輸送しやすいようにフラットパックになる(平らに折り畳める)。受け取った先で即座に組み立てができ、医療機関などの医師が患者に挿管するときに使用できる。挿管とは、患者の気管にプラスティック製の管を挿入して気道を確保することをいう。特人工呼吸器を使わなければならない人には欠かせない処置だ。新型コロナウイルス感染症が重症化すると、通常は人工呼吸器による治療が必要となる。

挿管ボックスは、医療従事者を守るもう1つの防護層になる。透明プラスティックが使われているので、処置に支障はない。デザインは世界中の新型コロナウイルス感染症患者の挿管をできる限り医療従事者の安全を守りながら行うというグローバルな課題に対処するために、台湾の賴賢勇(ライ・シェンヤン)医師が考案しオープンソース化したものをベースにしている。

COVIDボックスプロジェクトでは、必要な材料がある場合に自作できる手順も公開しているが、もっと大量に配布できるように彼らは大量生産の道を探っている。まずはカナダの病院から開始して、全世界の医療機関の需要にも応じていく予定だ。Taplytics(タプリティクス)の共同創設者でCTOでもあるプロジェクトの共同創始者のJonathan Norris(ジョナサン・ノリス)氏は、チームは1週間かけてプロトタイプの作ったと話している。

「先週の初めに、Taplyticsの財務責任者Gloria Cheung(グロリア・チャン)が私たちのところへやって来て、新型コロナウイルス感染症の患者に挿管するときに医療従事者を守るための簡単なプラスティックの箱を医師たちが欲しがっていると教えてくれました」と彼はメッセージで話してくれた。「私たちは医師グループと、Taplyticsのエンジニアたち、そしてFIRSTロボティクスプログラムで指導をしてくれた私の知人たちとを引き合わせ、その目的に適ったフラットパックにできる箱のデザインを行い、いくつものプロトタイプを作ることができました。私たちはEventscape(イベントスケープ)と協力して、急いでプロトタイプを作り、最終バージョンを仕上げ、昨日、トリリアム・ヘルス・ネットワークでの使用許可をもらったところです」

グループでは、大量生産のための寄付製造を手伝ってくれる仲間を募っている。特にCNCルーターを持っているところが望ましい。むしろ、基本的にCNCルーターさえあれば作ることができるものだ。また、1/4インチ(6ミリ)厚ポリカーボネート板の提供者も探している。

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(翻訳:金井哲夫)

この腕輪は麻薬の過剰摂取を検出して死を未然に防ぐ

カーネギーメロン大学の学生たちのプロジェクトが、人命を救うかもしれない。HopeBandと名付けられた腕輪が、血中の酸素濃度が低いことを感知して、それが急を要するレベルならテキストメッセージとアラーム音を送る。

学生のRashmi Kalkunteが、IEEEにこう語っている: “友だちの誰かがいつも過量摂取を心配していたら、その使い方パターンを理解し、どんなときには誰に助けを求めるべきか知ってる人が近くにいるといいよね。HopeBandは、そんな人の代わりになることを目指して、設計したんだ”。

9月に行われたHealth 2.0カンファレンスでチームは、Robert Wood Johnson財団主催のOpioid Challengeコンペに応募して三位になった。彼らはその腕輪を、ピッツバーグの針交換事業*に送るつもりだ。売価は20ドル未満をねらっている。〔*: 注射針を新品の針に交換することでエイズなどの伝染を防ぐ。多くは地方自治体の公衆衛生事業の一環。〕

今年アメリカで過量摂取で死んだ人は72000人を超えている。こんなデバイスがあれば、人びとを少しは安全にできるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

温度を自己管理するナノ粒子ががん細胞だけを焼き殺して人間には無害

イギリスのサリー大学と中国の大連工科大学の研究者たちが、加熱されてがん細胞を殺し、自己規制により健康な細胞は焼かない、というナノ粒子を作った。その粒子の温度は摂氏42-45度に上げることができ、がん細胞を殺すには十分である。一定の温度に達したら自分の温度を上げず、健康な細胞に害を与えない。

“この研究で作られたZn-Co-Cr(亜鉛・コバルト・クロム)フェライトのナノ粒子には自己調節機能があり、45℃に達すると加熱を止める。また毒性は低く、人体に恒久的なダメージは与えない”、と彼らのリリースは書いている。

“これで、がん患者の治療法が抜本的に変わる。がんの治療を、がんを殺すに十分なだけの温度レベルに維持でき、それが健康な組織にとって無害なほど低い温度ならば、重要な治療の深刻な副作用の一部を防げる”、と、サリー大学Advanced Technology InstituteのトップRavi Silvaが述べている。

磁力を利用する温熱療法では、磁性に反応する化学物質を腫瘍に導く。磁力は熱に変換されて腫瘍を焼くが、そのとき体のほかの部分に害が及ぶこともある。しかしこのシステムでは温度を自動的にコントロールするので、外部的な温度管理の必要性が軽減される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米FDA、針を使わない血糖値モニターを認可

米国食品医薬品局(FDA)が現代科学技術に向けて準備運動している証拠がまた一つ見つかった ―― このたびFDAは、血液サンプル採取のために針を刺す必要ない初の連続血糖値モニターを承認した

今日(米国時間9/28)FDAは、Abbot社のFreeStyle Libre Flash Glucose Monitoring Systemを認可した。皮膚の下に挿入した小さなセンサーワイヤーを使って、成人糖尿病患者の血糖値を測定する装置だ。別の棒状の装置をセンサーにかざすことで血糖値の測定結果を読み取ることができる。

これはFDAにとって記念すべき一歩だ。現在米国には300万人近くの糖尿病患者がいて、一日数回、何かを食べるたびに自分に針を刺して血糖値を測定しなければならない。

ただし、針を使わない血糖値モニターのアイデアは新しいものではない。ここ数年多くのIT企業がこの巨大な糖尿病市場に関心を持っている。Appleもこの種のデバイスを開発しているという噂があり、CEO Tim Cookが、Apple Watchと接続するプロトタイプらしきものを装着しているところを目撃されたこともあった。

ほかにも現在まだ開発中のGlucowiseを始め、いくつもの会社が同様の製品開発に取り組んでいる。

しかし、針のない血糖値センサーの開発は容易ではなさそうだ。Googleは血糖値を検出するコンタクトレンズを作ろうとしたが、医薬品会社のNovartisが2014年にライセンスして以降、プロジェクトは行き詰っているようだ。やはりFDA認可済み非侵襲血糖値モニターのGlucoWatchは、2000年代初頭に認可されたが、消費者は使いにくいと感じ、中には悪性の皮膚疾患を起こした例もあった。

しかし、今日Freestyleのモニターがあらゆる苦難を乗り越えて認可されたことで、新たな希望がでてきた。この装置は18歳以上が対象で、12時間の始動期間の後最長10日間装着できる、とFDAウェブサイトの声明に書かれている。

「FDAは、糖尿病などの慢性疾患を抱えて暮らす人々の治療を、簡単かつ管理しやすくする新技術に常に関心を寄せている。」とFDA広報担当者のDonald St. Pierreは言う。「このシステムを使えば糖尿病患者は、時には痛みを伴う血液採取をすることなく治療に必要な情報を得ることができる ―― 読み取り装置をかざすだけだ」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

不妊治療関連サービスの市場はいまや30億ドル規模に拡大

2016年の統計で出産した人の年齢をみると、30歳代の人が初めて20歳代の人を上回ったのだそうだ。高齢出産のリスクについてはさまざまな調査が行われているが、出産の高齢化に伴う「問題」はそれだけではない。CDCの統計によると、アメリカでは8組のうちの1組のカップル(年齢問わず)が、何らかの原因による不妊に悩んでいるのだとのことだ。ますます多くの人が体外受精などの不妊治療を行うようになっているのだとのこと。

医療の進歩により、不妊に対処する可能性は増えてきているわけだが、しかしこうした治療は非常に高額になることが多い。アメリカにおける体外受精には1万2000ドルないし2万ドル程度の金額が必要だとのこと。無事妊娠できた場合にも、胎児の遺伝子検査などでさらに数千ドルの費用が必要となる。これでは平均的な収入レベルで手を出せるものではない。

それをなんとかしようとするのが、ベイエリアに拠点をおくスタートアップのFuture Familyだ。妊娠可能か否か、どの程度の時間が残されているのかを自宅で検査できる妊娠可能年齢テストなど、比較的安価な不妊検査/治療手段を提供している。

設立したのはSolar Cityを運営していたClaire TomkinsとEve Blossomだ。Claire Tomkinsは自身でも6度の体外受精を行なって、出産にいたるまでに10万ドルを費やしたのだそうだ。この自身の経験から、より多くの女性ないしカップルが利用できる不妊治療手段を提供したいと考えるようになったわけだ。

「治療費はあまりに高額で、大いに悩むことになりました」とTomkinsは述べる。「これまで医者にかかるようなこともなかったのですが、不妊治療を経験することで、経済的な負担を心から感じることになりました」。

他の女性も困っているのではないかと、自身と同様の治療をうけた人たちにインタビューするなどして、Future Familyの起業を決意したのだとのこと。

不妊治療を資金面からサポートしようとする仕組みは他にもある。医院でも、保険に応じた資金サポートを行なっているところが大半だ。中には不妊治療をまかなえる保険もあるので、治療を受ける際にはきちんとチェックしておくことが必要だ。Google検索でも、さまざまな費用オプションを見つけることができる。しかしFuture Familyでは休みなしの24時間体制で相談窓口を設けている。また体外受精や卵子凍結費用については頭金なしのローンなども提供している。さまざまな治療オプションについて検討して、可能な限り費用をおさえようとする提案も行なってくれる。ちなみにFuture Familyの提供する妊娠可能年齢検査は、一般的な金額の半分である300ドルで提供している。

卵子の凍結保存は、月額75ドルからの金額となっている。この金額には、1年間にかかる検査、治療、および保存のための費用がすべて含まれるのだそうだ。体外受精費用も、必要な額をすべて含んで月額換算125ドル程度から可能となっているようだ。

不妊治療関連を手がけるサービスは、最近になって数多く登場してきている。しかし市場規模も30億ドル近くにまで成長してきており、ビジネス的な可能性は大きいといえそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

医療へのアクセスは、自宅検査サービスから始める方法もある

ScanaduCorなど、多くの自宅検査システムが今もFDA(食品医薬品局)の認可を待っている。一方、簡単な検査であれば自宅で採取した検体を検査機関に送ることで実施できる。数多くのスタートアップが、STD(性感染症)や食物アレルギーの検査サービスを提供している。

テキサス州オースチン拠点の自宅用検査システムのスタートアップ(TechCrunch Disruptのバトルフィールド参加企業でもある)、Everlywellは、検査を低価格で誰もが使えるようにすることを目標にしている。2年前にデビューして以来短期間に大きく成長した。ファウンダーのJulia Cheekは本誌に、現在Everywellは数百万ドルの売り上げを生み、米国の46州に出荷していると話した。最近の発表によると、200万ドルのシード資金を獲得し、計500万ドルとなった資金をサービス拡大に役立てている。

これまでにEverywellは、食物アレルギー、甲状腺、代謝の検査や受胎能検査など8種類の検査サービスを提供しており、それぞれの機能の状況を正確に把握できるようにしてきた。

MyLabBoxというスタートアップは、自宅など自分の都合に合わせて使用できる様々なSTD検査を提供している。費用は保険が適用されないと(自宅検査は殆どが対象にならない)高く感じるかもしれないが、FSA/HSAなどの医療費積立制度の払戻しを受けられる場合もある。

アメリカの医療保険をどうするかについては議論が続いているが、こうしたスタートアップは医療産業に新たな分野を拓くものであり、非正規雇用者など健康保険に加入していないことの多い人たちが少ない費用で医療を受けられるために役立つだろう。

手順はは実に簡単だ。オンラインで注文すると検査キットが郵送されてくる。検査の種類によって血液または唾液の試料を採取し、指示にしたがって検査機関に郵送する。

この種のスタートアップのアイデアは、苦境に立たされている血液検査会社、Theranosがかつて目指していたものと似ている部分もある。Theranosは設立当初、一滴の血液で数百種類の病気の検査が可能だという大きな約束を掲げた。しかし、結果を知るためにはWalgreenの提携検査に行く必要があった。

最近の検査スタートアップは、自分で採取した検体を第三者の検査機関で正確に測定する方法を提供している。こうした検査は、医者に行くかどうかを決める前に結果を知りたいという人たちにも適した方法といえる。あなたは性感染症にかかっている、と言われるかもしれない人と対面することは大きな恐怖だ。

どちらのスタートアップも検査結果の正確性を約束している。私はEverlwellで食物アレルギーの検査をして、腹痛の原因となる食物を識別するのに役立った ―― 原因の一つはグリーンピースだったが、検査の前には思いもよらなかった。

私自身、医療へのアクセスが良好とはいえない状態だが(これも問題だが別の機会に)、数多く出てきた新たな医療スタートアップは、保険料を支払うことなく自分の体の中で起きていることを知る安定した方法を提供してくれるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ショーン・パーカーのがん研究所、治療の有効性がわかる血液検査法を発見か

ITビリオネアSean Parkerが設立したパーカーがん免疫療法研究所の協力を得た科学者チームは、腫瘍内のPD-1(プログラム細胞死タンパク質-1)経路を標的とする治療が、メラノーマ(悪性黒色腫)患者に有効かどうかを単純な血液検査で判定する方法を発見したと、科学論文誌Natureで発表した。

元FacebookプレジデントのParkerは、自分の名前を冠した研究所を設立し、米国内の様々なトップレベルの研究大学から数百人の一流科学者を集めて最先端免疫治療を使ってがんと戦う連合組織を結成するために、30億ドルの資産の中から2.5億ドルを投入した。

この発見は病気を治癒するものではないが、Parkerの研究所の動向を見守る人たちにとって意義は大きい。Parker Instituteの業績が主要科学雑誌に載るのはこれが初めてであり、研究者と大学が一体となって病気の治療にあたる同研究所の方法の今後が期待される。

ペンシルべニア大学とメモリアル・スローンケタリングがんセンターの研究者が、プロジェクトで初めて共同作業を行った(ただし、発見の説明は微妙に異なっている)。彼らは血液バイオマーカーの値と突然変異荷重(全身腫瘍組織量)を比較することで、がん患者が治療に応答するかどうかを判定できることを発見した。

詳しい仕組みは専門外の人間には少々難しいが、興味があればNature誌の論文を読むことをお薦めする。

なおこうした取り組みは、シリコンバレーなどで数多く行われている人間の苦しみを取り除く試みのひとつにすぎない。Illuminaからスピンアウトしたバイオ技術会社のGrailも、血液検査でがんを検出する長期プロジェクトに取り組んでいる。Alphabetの生命科学子会社、Verilもこの分野でいくつかプロジェクトを立ち上げた。スタートレックを思わせる診断装置のTricorderは、体内のがんが転移する前にいち早く検知することができる。

IT業界で際立った存在であるParkerは、大規模な共同研究に必要な費用と人材を提供している。これは彼のビジョンが具体化するかもしれない最初の希望の光だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ホウレンソウの葉が血管網の生成を助けるなど再生医療で大活躍

あなたがサラダは健康にいいと思っているまさにそのときに、ウースター工科大学の研究者たちは、脱細胞したホウレンソウの葉で、医師が器官を再生するときに必要とする血管網を作れることを発見した。このプロジェクトを専門誌Biomaterialsが特集しており、現状はまだ概念実証の段階だが、その真価は、別のもので前にあった血管系を代行できることを証明した点にある。

研究者たちはこう書いている: “セルロースには生体適合性があり、これまでも、軟骨組織や骨の組織の再生医療への利用や、傷の治療などに広く利用されている”。

そこで、ホウレンソウの葉のようなものを、デリケートな体組織のためのカバーや足場として利用できるのだ。このような葉は損傷した心臓の組織に酸素を送って、新しい器官や再生組織が移植後に死なないようにする。また、これらの酸素ポンプ役の葉は、シェフがすばらしいサラダを作るためにも使える。


[ホウレンソウの葉が血液を運んで人間の組織を成長させる]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この小さなワイヤレス水分センサーが熱中症を予妨する

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ノースカロライナ州立大学の研究員らが、ウェアラブルなワイヤレス水分センサーを作った。胸に貼ったパッチや手首に巻いた装置で、喉の乾き具合を知ることができる。

このデバイスは、脱水による熱中症の怖れがあることを知らせるように作られている。

「喉の乾き具合を定量的に測ることは難しいが、これは軍人からスポーツ選手、消防士まで、現場やトレーニング中に熱中症にかかるリスクのある人全員にとって重要な問題だ」と研究者のJohn Muthは語る。

デバイスは「ユーザーの皮膚水分をリアルタイムで」測定し、アスリートの能力を高めるほか、脱水を防ぐために水を飲むことのできない高齢者の水分状態を追跡するのにも使える。

「化粧品の保湿効果を測ることもできる」と研究員のYong Zhuは言った。

センサーは銀ナノワイヤーを使って皮膚の電気特性を感知する。小さなセンサーが、現在水分測定に使われている大型で複雑なセンサーと同等の働きをする。従来の製品は8000ドルもするが、この新しいセンサーは約1ドルなので、水分センサー分野にとって大きな一歩であり、様々なセンサー用途への道を開くことだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

もっと簡単に誰もが医者になれるべきだ…医学教育のインターネット化に向かう第一歩BoardVitals

Medicine doctor hand working with modern computer interface as medical concept

BoardVitalsは、基本的には難問をたくさん集めたレポジトリで、これから医師試験を受ける人たちが勉強のために利用するサイトだ。しかし同社は、医師資格試験を主宰する州の医事委員会(medical board(s))と、そこが行う試験を変えることによって、医学教育そのものを変えたいと願っている。

同社は小額のシード資金を獲得したあと、Rock Creek CapitalからシリーズAで110万ドルを調達した。同社はこれまで3万名あまりの医師を教育し、150の教育機関で利用されている。

学生と医師は、同社のサービスを利用して、事前に選ばれた何千もの質問を使って試験の練習をする。質問はすべて、これまで医事委員会の試験で使われた本物の質問に基づいており、この練習で自分の知識を洗いなおし、試験に備える。

“質問集をコンピュータ化/ネット化しただけじゃない。最終的には、医学教育の新しいエコシステムを作りたいんだ”、と協同ファウンダのDan Lambertがプレスリリースで言っている。“うちのプラットホームは、すべてのコンテンツがたえず評価され、毎週何百ものフィードバックが来るから、コンテンツを頻繁に確実にアップデートせざるをえないのだ”。

これでお分かりと思うが、究極の目標は医事委員会の試験を完全にネット化し、そしてさらに究極的には、基礎的医学教育をWeb上で行うことだ。YouTubeで頭蓋開口術や放血について教えるのは無理でも、瘴気理論や水銀治療の基礎なら、実証済みで信頼に足るソースから学べるだろう。精神医学や腫瘍学の基礎も。BoardVitalsのようなツールは、その方向へ向かう第一歩だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

紫外線消毒ロボットLittle Moeはエボラウィルスも殺せる

サンアントニオのXenexは、同社の、紫外線パルスを発射するロボットLittle Moeのおかげで、メディアの露出度が急増している。このロボットは、病院の病室などを5分で消毒し、ウィルスもそのDNAを融解して破壊する。下の、かわいらしいニュースビデオを、ご覧いただきたい。

その技術は新しくはない。物の表面に紫外線を当てて、ウィルスのDNAを損傷する。強力なキセノンランプを照射することによって、微生物を貫通し、独特のやり方で損傷を与える、という。。

ただしRoombaのように、病院内を自走していくことはできない。人間がロボットを部屋へ連れていき、部屋のタイプなどを設定し、武装させる。すると部屋中に紫外線のパルスを照射し始める。

医療用ロボットはビッグビジネスで、しかも毎日のように変化している。一時はテレメディシン(遠隔診療)がメディアにもてはやされたが、Little Moeのようなロボットが重要なのは、一つのことをとても上手にやるからだ。Moeくんの場合は、消毒を。医学の進歩のためにかわいい名前とエボラの脅威が貢献するのなら、Moeには声援を送りたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))