60代以上のフリマアプリ利用者は「お金」より「つながり」を重視、メルカリ調査

メルカリは全国のフリマアプリ利用者および非利用者1648名を対象に「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査を実施し、3月11日に調査結果を公表した。

結果を見ると、60代以上のシニアは「お金」よりも人との「つながり」を重視しフリマアプリを利用する傾向にあるのがわかる。

「フリマアプリ利用後の意識変化を教えてください」という問いに対し、60代以上のフリマアプリ利用者の26.8%が「社会とのつながりを感じるようになった」と回答している。これは20代の約3倍だ。逆に「新品を購入するとき、フリマアプリで売れるかを考慮するようになった」「生活の不安が軽減した」と回答している60代は20代と比較して少ない。

「フリマを始めた当初の利用目的」では20代の71.6%が「お金を得るため」と回答。まあ、妥当だろう。だが、比較すると同様の目的でフリマアプリの利用を開始した60代は約半数だった。「誰かの役に立つため」という回答も20代と比較して多いのが目立つ。

「歳を重ねても働く目的」は「生活資金を稼ぐため」がもちろん、最も多い。だが、2番目に多い回答は「趣味・娯楽」のための“小遣い稼ぎ”をしのぎ、「人とのつながりを持つため」だった。

「今後チャレンジしたいこと」に関しても「社会貢献活動」が20代と比較すると多いのがわかる。

60代以上の回答者に対し、金融資産、不動産、貯蓄などを含む現在の資産の状況を聴取し、利用者、非利用者別の資産合計額から平均資産額を算出したところ、利用者の平均資産額は約2500万円、非利用者は約2100万円となり、利用者の方が資産額が多かった。

「フリマアプリを利用して、あなた自身に起こった変化」についての自由回答では、60代以上の利用者から「日本中の購入者・出品者等、他者とのコミュニケーションを取れることに喜びを感じるようになった」「人と人とのつながりの大切さも実感するようになった」といった回答が得られたという。だが、そのような回答がどれほどあったのか、また、20代からも同様の回答があったのかは定かではない。

同調査は慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授監修の下、行われた。

前野隆氏

前野氏いわく、60代のフリマアプリ利用者の利用目的は「お金」より「つながり」を重視する傾向にあり、利用するシニアは利用しないシニアよりも「リッチで幸せであり、働く意欲が高く、チャレンジしたいことがある」。

そう説明しつつも「この調査からは因果は断定できないことには注意していただきたい」「フリマアプリ利用が原因なのか結果なのかは、この度の調査からはわからない」と同氏は加える。

だが、フリマアプリ利用の結果として「繋がりが増えた」「売買を通してのコミュニケーションが楽しかった」といった回答結果もあることから、「フリマアプリを利用した結果として多様なつながりが増えてリッチで幸せになった人がいるかもしれない」という可能性は否定できないそうだ。

【調査概要】
調査時期:2019年2月16日(土)
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、1648名
60歳~、男女824名(フリマアプリ利用者412名、フリマアプリ非利用者412名)
20~29歳、男女824名(フリマアプリ利用者412名、フリマアプリ非利用者412名)

メルカリが「ARスマートグラス」を用いた実証実験を開始

eng-logo-2015メルカリは2018年12月20日、ARスマートグラス「Vuzix Blade」を用いた実証実験を開始しました。

この実験は、同社が提供するフリマアプリ「メルカリ」において、スマートグラスに最適化したUIやUXの検証を目的としており、AR/VR/MRやAI技術を活用して研究開発を実施する同社の「mercari R4D」によるものです。

仕組みとしては、スマートグラスのカメラ画像から、商品情報を取得し、人差し指で指すジェスチャー操作でメルカリに出品されている類似商品を検索、販売価格を表示できます。また、親指を立てることで「お気に入り」へ登録する機能も備えています。

将来的には、スマートグラスを通し、メルカリでの商品の購入や出品を、ハンドジェスチャーのみで可能にすることを目指しています。

同社は、2019年1月8日(火)から米国ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2019」のVuzixブースにて、特許技術を活用したプロトタイプを公開します。

Engadget 日本版からの転載。

株式評価損は14.4億円、メルカリがロンドンの子会社を精算

メルカリは12月18日に開催された取締役会において、英国子会社のMercari EuropeとMerpayを解散し清算することを決議した。解散の理由としては、「期待する水準の事業の確立には至らなかったため」とのこと。なお、赤字が続いている米国を含むグローバル市場においては、マーケットプレイス関連事業の拡大に取り組んでいくという。

Mercari Europeは英国ロンドンを拠点として2015年11月に設立。2016年9月期に約4900万円(34万4000ポンド)、2017年6月期には約5億(354万7000ポンド)、2018年6月期には約10億(730万8000ポンド)と経常損失額が増加していたことから、今回の決定に至ったようだ。売り上げは2016年と2017年は計上されておらず、2018年6月期で約42万円(3000ポンド)だった。

欧州版メルカリのUI

Merpayも英国ロンドンに2016年4月に設立され、2017年6月期に約4000万円(28万7000ポンド)、2018年6月期に約4700万円(32万9000ポンド)の経常損失を出していた。売上は2018年6月期のみの計上で約14万2000円(1000ポンド)だった。

メリカリ本体には、拠点閉鎖に伴う諸費用などで概算2億円前後の費用が2019年6月期、または2020年6月期の連結決算で発生する見込みとのこと。

また同社はこれまでに、Mercari Europeに係る関係会社株式評価損を合計約13.5億円、Merpayに係る関係会社株式評価損を合計約0.9億円と認識しており、当該損失は、2019年6月期以降に税務上認容され、当社の連結及び単体の法人税などの金額が軽減される見通しだ。

米国展開とメルペイに注力——上場後のメルカリの今、そしてこれから

東京・渋谷ヒカリエで開催中のTechCrunch Tokyo 2018。初日の11月15日には、メルカリ取締役社長/COOを務め、国内事業を率いる小泉文明氏が「上場を果たしたメルカリ、これから目指すもの」と題し、メルカリ上場までのストーリーや国内戦略、今後注力していく事業・サービスなどについて語った。聞き手はTechCrunch Japan編集統括の吉田ヒロが務めた。

米国メルカリの課題は「認知」

まずは上場前後の話から。6月19日に東証マザーズ市場に上場を果たしたメルカリだが、上場のタイミングはどのように決まったのだろうか。

小泉氏は「中長期戦略の中で、メルペイの準備を始めた時期だったことが大きい。今後ペイメントや新しいチャレンジを考えている中では、社会的信頼が重要になってくる。上場するにはちょうどいいタイミングだった」と答えた。

上場による調達資金をはじめとした資金の投下先について、小泉氏は「決算説明会の資料にもあるとおり、日本は黒字だがUSは赤字、ペイメントはまだ売上がない。日本での収益とファイナンスをUSとペイメントに投資している」と説明。「まずはビジネスを当てることが大事」と言う。

米国メルカリの立ち上がりは「やはりそんなに簡単じゃない」という小泉氏。「アメリカのスタートアップでもしんどいと思う。彼らも(収益の上がりやすい)B2Bサービス、SaaSへ移っていて、コンシューマー向けサービスを提供するところは減ってきている。資金力とユーザー滞在時間を呼び戻すのが、みんなの課題となっている」(小泉氏)

米国ではアプリDL数は4000万。小泉氏によれば「継続率は日本ほど良くなっていないので改善が必要だ。また認知率が課題で、日本のようにテレビCMで5億、10億投下したら何とかなるというものじゃない」と米メルカリの課題について打ち明けた。「認知率についてはSNS広告やビルボード(屋外看板)なども行っていたが、時間がかかっている」(小泉氏)

小泉氏は一方で「アプリ内の(ユーザー遷移などの)数値はかなりいい」とも述べている。「CVCとか、日本と変わらないぐらい。プロダクトの中は良くなってきたから、認知に投資して、認知率が上がれば数字(売上)は上がるのではないか」(小泉氏)

3月に「思い切り変えた」というUSメルカリのアプリUIは、赤がキーカラーの日本と違って、米国では青が基調。タイムライン上にアイテムがずらっと並ぶ日本のUIに対し、USではジャンルである程度見せるよう、縦と横で切り口が違う見せ方になっているという。

「ある部分、日本より進んでいる、アメリカにマッチしたUIに変えている」(小泉氏)

米国で展開する広告では「Selling App(売るアプリ)」をうたっているメルカリ。ラジオ広告やビルボードで『売るだけ』をフィーチャーしてあおっているとのことだ。小泉氏は先日乗ったUBERの運転手にも「知ってるよ、“売るアプリ”だろう? ラジオで聞いてた」と言われたそうだ。

米国でのメルカリの仕組みの浸透については、小泉氏もそれほど心配していないようだ。「中古マーケットではeBAYがあるが、PCベースでの利用が中心で、日本でYahoo!オークションがあったのと同じ。スモールビジネスの売り手がいるというのも、日本に近いんじゃないか。フリマアプリ領域での競合も減ってきた。女性向けアプリなどが残っているが、オールジャンルをカバーするものではなく、もともとフリルがあった日本と同じような構造がある」(小泉氏)

「日本で普通の主婦が使っているのと同じように、20代の女の子とかが普通に使うアプリになってきている。テクノロジーにフィーチャーさせない方がいいかと思って、全ジャンル対応したものにしている」(小泉氏)

小泉氏は「システムが受け入れられるには、スマートフォンでいかになじむか、が大切。米国ならではのチャレンジはあるが、新しいコンセプトが必要、という感じではない」と話している。

アメリカへの投資については「ここが取れるか取れないかで全世界への展開に影響するから」と小泉氏は述べる。「アジアへの進出もよく言われるが、まずはアメリカ。PLや企業革新(の速さ)が変わってくる。実現できないと次のステージに会社として全然行けない」(小泉氏)

休止サービスの見極め方とメルペイへの意気込み

上場によって社内で変わったことは「特にない」という小泉氏。どちらかと言えば上場というよりは「ペイメントが入ることで、お金を扱うサービスとして信頼性を高める必要があると認識されるようになった」という。

ほぼ全社員がストックオプションを保有しているメルカリだが、上場で辞めたという人もほとんどいないとのこと。「まだまだメルカリの可能性はあるとみんな感じている。楽しんでいる」と小泉氏は言う。

今年に入ってメルカリでは、5月に「メルカリ アッテ」を終了、「メルカリNOW」「teacha」「メルカリ メゾンズ」の3サービスを8月に終了し、年内に「メルカリ カウル」を終了すると発表している。

休止サービスについて小泉氏は「山田(代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏)も自分もそもそも、スタートアップをたくさん作ってきた人間。『新規サービスはそう簡単には当たらないよね』というのが合い言葉のようになっている。無責任にサービスを延命してリソースを取られるのは避けた方がいい。メルペイのような重要なところへリソースを配分し直す、という考えだ」と語る。

サービス休止の見極めは「初動を見て」行うとのこと。「大きなチャレンジがたくさん出てきている中で、数値、そして感覚で見極める。経営会議で担当役員や事業責任者の話を聞きながら、冷静に判断している」(小泉氏)

当該サービスを担当していた社員は辞めてしまうんじゃないかとも思えるが「全然辞めない」と小泉氏は言う。「サービスが好きか会社が好きかで言えば、会社と会社のミッション、バリューが好きという社員が多い。(サービス休止で)会社に貢献できるなら、それはいいよねと思ってもらっている。いろいろ思うところはあるとは思うけれども、みんな比較的次の仕事に邁進しているという印象だ」(小泉氏)

「サービスを閉じるにあたっては、『いいチャレンジだったね』として学びを得ながら、成仏させて次のチャレンジをさせるようにしている。そうした情報はメルカン(メルカリの社内の取り組みを伝えるメディア)でも共有して、リソースを配分している」(小泉氏)

一方で車のコミュニティ「CARTUNE」を10月に買収しているメルカリだが、取り入れるサービスの線引きはどこにあるのか。

小泉氏は「メルカリのカテゴリ戦略の中で自動車カテゴリは大きい。CARTUNEは短期間で熱量の高いコミュニティができあがっている。創業者(福山誠氏)としての優秀さと事業の魅力が際立っている。いいパートナーがいてくれたと思っている」とCARTUNE子会社化に至った理由について説明する。

「CARTUNEはメルカリとは別で持って行く(成長を目指す)。彼らのコミュニティをきちんと大きくしていく。メルカリのカテゴリをその過程で大きくすることはあるが、短期的にマージすることは考えていない」(小泉氏)

また、メルペイでサービス同士をつなぐ、という発想も「なくはない」という小泉氏。「リアルな店舗で使えるだけでなく、オンラインでも使えるようにしていく」と話している。

「カテゴリーに特化するためのM&Aは今後もあるだろう。(自社は)IPOで調達しているが、M&Aも否定せずにやっていく」(小泉氏)

休止したサービスと似たようなものをまたやる可能性もある、という小泉氏は「メルカリが1回目で当たったのは奇跡。メルペイにも大変なチャレンジが待っているはず。中途半端にやっても大きな山には登れない」と語る。

今後フリマ以外で注力したいのは「やはりペイメント。ペイメントはフリマアプリとあわせることで、エコシステムが生まれてくると思うから」と小泉氏は言う。

ペイメント系サービスに関しては、LINE Payをはじめ、さまざまな先行サービスがあり、今年に入ってからもPayPayなど新規サービスも増えている状況だ。メルペイはどのように勝負していくつもりだろうか。

小泉氏は「メルカリとメルペイの連携が非常に大事」と言う。「単純にペイメントサービスを使ってください、ではハードルが高い。手数料競争になっても意味がない」(小泉氏)

「メルカリはメルペイの強み。(メルカリでアイテムを売った)アカウントに対してお金が振り込まれたら、それが店舗で払えるようになっていく。LINEにもYahoo!にもそれぞれ良さがあるのと同じ。銀行口座やクレジットー度を登録させて……というよりは、すぐ店舗で使えるようにする。それがあれば、さらに『メルカリでものを売ろう』という動きにもなる。ユーザー活性化のモチベーションにもなっていく」(小泉氏)

シナジー、ということでいえば11月にアプリがローンチされた「メルトリップ」とメルカリとの連携はあり得るのか。

小泉氏は「今はそれぞれスタンドアローン」と言いながら、「将来的には連携も可能ではないだろうか」と話している。「メルペイのように近いサービスはいいが、新規サービスを作るときに既存サービスを意識しすぎると複雑化したり、重くなったりする。大事なところ以外をケアしなければいけない、ということはあってはいけないことだ。お客さまに親しまれるサービスにしてから連携しようと考えている」(小泉氏)

個人としては「ノーロジック」で投資

小泉氏には、個人投資家としての顔もある。直近では10月17日に、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を展開するREADYFORへ個人として出資している。

メルカリの社長という激務の中で、個人投資家として活動する理由について、小泉氏に尋ねると「経営者としてやりたいことはいくつかあるが、身体は一つ。『こういう未来になってもらいたい』という夢を託すためにお金を投資している」という答えが返ってきた。

「ストラテジーがあって投資をする千葉さん(Drone Fundの千葉功太郎氏)と比べると、今までに投資しているREADYFORやファームノート(酪農農家向けIoTサービス)とかはバラバラに見えると思う。また、儲かる案件をスルーしていることもある。そういうのは僕じゃなくても誰か出してくれる人がいるだろうと思って」(小泉氏)

「(これまでに参画している)メルカリとかミクシィも個人をエンパワーメントする流れ。READYFORなどのクラウドファンディングとかはそういう感覚でいいと思う。ファームノートについては、僕が兼業農家の子どもで農家のことはよく見てきたから……。そういう感じで脈絡なく出資している」(小泉氏)

今後も比較的「ノーロジック」で投資していくだろう、という小泉氏。「(投資しませんかという)ディールはよく来る。期待されているな、ということはスタートアップからも感じる。普遍的に人やお金は大事だ。プロダクトについては事業をやっている人は一番考えていると思う。それに対して応援団として背中を押したい」(小泉氏)

メルカリ、振り袖など大量出品 『はれのひ』との関連は「確認できていない」

振り袖販売・レンタルを手がける業者「はれのひ」(横浜市中区)と、成人式当日に連絡が取れなくなった問題。ネット上では、フリマアプリの「メルカリ」に大量の振り袖などを出品していたユーザーとの関連を疑う声が上がっている。

メルカリの広報担当者はハフポストの取材に対し、現時点で「はれのひ」との関連は確認できていないと回答した。ただ、利用規約違反の可能性があるため、出品は非表示にしたという。

「はれのひ」公式サイトより

振り袖などが大量に出品されていた

「はれのひ」をめぐっては、成人の日の1月8日早朝、予約金を受け取りながら突然行方不明となり、多くの新成人が購入・レンタルした振り袖を着られなかった。

問題発生後、メルカリに振り袖や帯、草履などの関連商品が大量に出品されていることがTwitter上で指摘された。出品者のページには、振り袖や帯などの品物が数十品出されていた。

この出品について、メルカリ広報担当者は次のようにコメントした。

「一部報道において、メルカリ上で『振袖』を複数出品しているアカウントが『はれのひ』の関係者ではないかという憶測がなされておりますが、現時点でそのような事実は確認されておりません。

なお、インターネット上でその関連性が指摘されている該当アカウントにつきましては、『はれのひ』との関係性の有無にかかわらず、法人利用の禁止という利用規約違反の疑いがあるため出品中の商品を一時的に非公開とし、商品の入手先や本人確認を行っております」

「はれのひ」の被害相談、450件以上

「はれのひ株式会社」(横浜市中区)は、成人式用の振り袖販売、レンタル、写真撮影、着付けなどを手がけており、着物の幅広い品揃えや女性スタッフによるサービスを売りにしていた。

2008年に創業し2012年7月末に初の直営店を横浜にオープンさせた。公式サイトには横浜みなとみらい店、八王子店、つくば店、福岡天神店と全国4店舗が案内されている。また、民間信用調査会社の「東京商工リサーチ」によると、他に、横須賀市と柏市にも店舗があるという。

成人式の1月8日早朝、ネット上で予約金などをすでに払っていたにも関わらず、突然店舗と連絡が取れなくなったという報告が多数寄せられた。朝日新聞デジタルによると、9日夕方までに寄せられた被害相談の件数は450件を超える。

同社で振り袖を購入、着付け予定だった大学生の女性(20)はハフポスト日本版の取材に対して、「一生に一度しかない晴れ舞台を、こんな形にされて、悲しい気持ちもたくさんあるし、2度とこんなことが起こってほしくない」と話した。

HuffPost Japanからの転載。

山田氏「技術で差別化するフェーズになってきた」——メルカリが実装までを想定した研究開発組織「mercari R4D」を設立

「mercari R4D」のメンバーら。中央がメルカリ代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏

フリマアプリを軸に、グループ、投資先を含めて広くCtoC領域のサービスを展開するメルカリ。今度は新領域へチャレンジに向けて研究開発を強化していくという。同社は12月22日、社会実装を目的とした研究開発組織「mercari R4D(メルカリ アールフォーディー)」の設立を発表した。

同日開催された発表会の冒頭、メルカリ代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏が登壇。今までのメルカリを振り返り、UI/UXへのこだわり(エンジニア経験のある創業経営陣がおり、ユーザービリティテストを積極的に活用。また早期に分析基盤を構築してきたことなど)や積極的なマーケティング(オンラインマーケティングだけでなく、テレビCMも活用してきたこと)という2つで成長してきたと説明。

さらに直近では、AIを活用し、写真撮影をすれば自動的に商品のブランドやカテゴリ、価格などをサジェストする機能を導入。これによって出品率や出品物の販売率を向上させたほか、偽ブランドや禁止出品物の検知などに取り組んでいる。米国では、従量の自動推定にも取り組んでいるという。

「技術で差別化するフェーズになってきた」——山田氏はこれからのメルカリについてこう語り、3つの方針を打ち出した。1つめはロードマップを作って戦略的に研究・投資を実施するということ。そして2つめは現在100人ほどのエンジニアチームを3年で1000人規模まで拡大。各機能ごとにマイクロサービス化して、スケーラブルな組織を作るということ。3つめは外部パートナーとの共同研究やその実装を進めるということ。今回発表されたmercari R4Dはこの方針に沿ったプロジェクトだ。

今後の方針について

メルカリ取締役CPO(Chief Product Officer)の濱田優貴氏が説明するところによると、R4Dの言葉の意味は「Research for」の「R」と、「 開発(Development)」「設計(Design)」「実装(Deployment)」「破壊(Disruption)」の4つの「D」なのだという。いわゆるR&D(Research & Development)、研究開発との一番の違いはDeployment、つまり実装をすることだ。今回の発表でメルカリは「社会実装を目的とする」とうたっているが、採算度外視でもまず世に出してみて、反応をみていくということに重点を置くという。

なお今回発表されたパートナーと研究テーマは以下の通り。またシニアフェローとして、
アーティストのスプツニ子!氏、京都造形大学教授 クロステックデザイン研究室、ABBALab代表取締役、さくらインターネットフェローの小笠原治氏が就任する。

シャープ 研究開発事業本部
「8Kを活用した多拠点コミュニケーション」

東京大学 川原研究室
「無線給電によるコンセントレス・オフィス」

筑波大学 落合研究室
「類似画像検索のためのDeep Hashing Network」
「出品された商品画像から物体の3D形状を推定」
「商品画像から背景を自動特定」

慶應義塾大学 村井研究室
「ブロックチェーンを用いたトラストフレームワーク」

京都造形芸術大学 クロステック研究室
「Internet of Thingsエコシステム」

東北大学 大関研究室
「量子アニーリング技術のアート分野への応用」

山田氏によると、R4Dの2018年の予算は数億円程度。だが再来年以降は寄り大きくしていくという。さらに今後対象とするテーマについては、「直近1〜2年のものというより、3〜5年かかるような中長期的になるものを基準にしている」(メルカリ R4Dオフィサーの木村俊也氏)とのこと。

今後の実装イメージ

メルカリ、金融関連の新規事業に進出へ——代表取締役に元グリーCFOの青柳直樹氏が就任

写真左:メルカリ取締役社長兼COO 小泉文明氏、右:青柳直樹氏

12月4日、メルカリは金融関連の新規事業を行うメルカリの100%子会社・メルペイの代表取締役に、元グリー取締役の青柳直樹氏が11月28日付で就任したことを発表した。青柳氏はメルカリの執行役員も兼務する。

青柳氏はドイツ証券を経て、2006年にグリーに入社。グリーではCFOとしてKDDIとの資本提携や2008年の東証マザーズ上場、2010年の東証1部上場などを主導した。2011年からはGREE International CEOに就任し、海外事業の拡大にも尽力。事業統括本部長などを歴任し、2016年9月に同社取締役執行役員常務を退任している。退任後はベンチャー企業への投資・支援に取り組むエンジェル投資家としても活動していた。11月14日には人事労務クラウドのSmartHRに株主として参画すると発表があったばかりだ。

メルペイの具体的な事業内容については明らかになっていないが、青柳氏のほかにも、元WebPayのCTOとしてLINEグループに参画し、LINE Pay事業を経験した曾川景介氏や、同じくメルカリの100%子会社としてブランド品に特化したブランド査定付きフリマアプリ「メルカリ メゾンズ」などを提供するソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏、元サイバーエージェント執行役員でAbemaTVなどを手がけた後、2017年6月よりメルカリに参画した横田淳氏らが役員に就く(松本氏、横田氏は7月に設立されたメルカリファンドのプロジェクトにも関わっている)。

メルカリ広報によると、サービスは来年以降の提供になる予定。その詳細については明らかにしていないが、曾川氏を中心にして「ブロックチェーン関連の開発も進めたい」(同社)とも話している。なお、メルカリは2016年にイギリス法人の子会社として同名のMERPAYという会社を設立している。こちらはイギリスでの事業展開のための会社であり、今回発表されたメルペイとは現時点で直接的な関係はないという。

メルカリがブランド品特化の新アプリ「メルカリ メゾンズ」、写真撮影で価格査定

ダウンロード数、世界7500万件を超えるフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリでは、書籍の売買に特化したフリマアプリ「メルカリ カウル」や近隣地域でのやり取りに特化した「メルカリ アッテ」といった姉妹アプリをリリース(子会社でのリリース含む)しているが、また新たなアプリをリリースしたようだ。

メルカリは8月21日、ブランド品特化の「メルカリ メゾンズ」を公開した。すでにApp Store、Google Play上にアプリは公開されているが、メルカリ社からの正式なリリースはまだ出ていないようだ。

メルカリ メゾンズはのブランド品の査定に特化したフリマアプリ。ユーザーはガイドに沿って自分の持つブランド品のバッグや洋服といったアイテムを撮影し、情報を入力すれば査定が可能。メルカリで販売する際の最適な価格を提示するという。また一度査定したアイテムはマイページに保存されるため、いつでも出品が可能だ。なお出品はメルカリ メゾンズとメルカリの同時に行われる。僕もメルカリに出品して即売れたという経験があるのだけれど、メルカリが発表しているところによると、メルカリで売れたアイテムの約50%は出品後24時間以内の取引なのだそうだ。

出品の際には、写真撮影画像に下敷きとなる画像(画像)を表示。デザインや色、模様などの情報を選択形式で入力し、売れやすい撮り方や画角をサポートするという。この仕組みは特許出願中だという。すでに800以上のブランドのアイテムを取り扱っているという。また、偽ブランド撲滅のためのサポート体制を完備。万が一、届いた商品が偽ブランド品だった場合は補償を行うとしている。

メルカリは2月にブランド品に特化したオークションサービス「スマオク」を運営するザワットを買収しており、その際にザワット代表取締役の原田大作氏が新サービスの提供について示唆していた。査定の仕組みなど気になるところだが、TechCrunch Japanでは現在メルカリに確認中だ。同社からの発表などもあるようなので続報をお待ち頂きたい。

メルカリがCtoCに特化した出資を加速、「メルカリファンド」を立ち上げ

7月2日に設立4周年を迎えたメルカリ。同社が発表したインフォグラフィックスによると、フリマアプリ「メルカリ」のダウンロード数は7500万件(日本5000万件:米国2500万件)まで拡大している。そんな同社がCtoC事業やその周辺事業を行う企業への出資を加速するため、7月4日に「メルカリファンド」の開始を発表した。

メルカリファンドはいわゆるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や子会社による投資ではなく、あくまでメルカリ本体でのプロジェクトを指している。

このプロジェクトでは、商材やサービスなど、特定の分野に特化したCtoC事業を行う企業や、マーケットプレイスの活性化を促進する事業を行う企業等を対象として投資を行う。メルカリはこれまでもネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEや家電・カメラ等のレンタルサービス「Rentio」運営のレンティオ、スマートフォンアプリ向け語学レッスンサービス「flamingo」運営のフラミンゴに出資している。このうちフラミンゴに関しては、メルカリファンドからの出資という扱いだという。

メルカリファンドの出資金額については特に上限を設定せず、個別案件ごとに検討するという。また出資する事業に関しては、メルカリやメルカリ アッテなどのサービスとの連携も検討する。メルカリは2月にフリマアプリ「スマオク」を手がけるザワットを買収しているが、「投資検討をする中で買収という選択肢をとることも視野に入れる」(メルカリ)としている。問い合わせはメールアドレス「mercari-fund@mercari.com」宛てとなっている。

目的はCtoCプラットフォームの拡大

ただメルカリが今回の取り組みで狙うのは、買収ありきというものではなく、あくまで特化型CtoCサービスや周辺サービスの支援によるCtoCプラットフォームの拡大だという。

この構造は、今やゲームの会社となったミクシィが、SNSの会社だった頃に取り組んだ「ミクシィファンド」に近いものを僕は感じる。ミクシィファンドもCVCではなくあくまでプロジェクトとして、ミクシィのSNSプラットフォーム向けにサービスを提供する事業者に出資し、プラットフォーム拡充を進めるというモノだった。実はこのミクシィファンドの立ち上げにも関わっているのが、当時ミクシィにいた、現・メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏。そしてそのミクシィファンドの第1号案件がコミュニティファクトリー。同社は現在メルカリ アッテを提供しているソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏が立ち上げたスタートアップだ。

7500万のユーザーを抱えるメルカリはいよいよプラットフォームとなった。であれば自分たちでCtoC領域の事業を展開するだけでなく、パートナーを募ってより大きなサービス群を立ち上げていく。その手段として、今回のメルカリファンドがあるというわけだ。

日本郵便がメルカリらと連携、個人間配送サービスを提供——匿名配送やコンビニ受け取りにも対応

日本郵便は、フリマアプリやオークションサイトとのシステム連携による、個人間の配送サービス「e発送サービス」を6月20日から提供開始すると発表した。

e発送サービスでは、フリマアプリやオークションサイトで取引が成立すると日本郵便のシステムに連携。出品者は受け取ったQRコードを使えば宛名書きが不要、全国約1000店の郵便局または約1万2000店舗のローソンで送り状の発行と商品の発送ができる仕組みだ。

対象となるのは「ゆうパック」「ゆうパケット」による配送で、配送料金の決済はサイト上で完結、料金は一部をサイトの運営者が負担する(負担額はサイトにより異なる)。また利用するサイトによっては、出品者・購入者が互いに匿名で商品を配送するサービスや、商品の受け取り場所をコンビニエンスストア、郵便局、宅配ロッカー「はこぽす」に指定するサービスも利用できる。

6月19日現在、e発送サービスの導入を表明しているのは「フリル」、「メルカリ」、「モバオク」、「ヤフオク!」、「ラクマ」の各サイト。このうちメルカリとラクマでは6月20日から新しい配送サービスを追加、フリルでは7月上旬からの提供を予定している。

メルカリの新配送サービス「ゆうゆうメルカリ便」は全国一律料金で利用でき、通常のゆうパケットやゆうパックの配送料金との差額はメルカリが負担する。A4サイズ・厚さ3cm・1Kg以内のゆうパケットのサイズであれば、メルカリ便の中でも最安値の175円(税込)で発送できる。出品者も購入者も住所・氏名のやり取りをせずに匿名で利用でき、購入者は郵便局、ローソン、ミニストップ、はこぽすでの受け取りが可能だ。

これまでメルカリでは、ゆうゆうメルカリ便と同じく、宛名書きが不要で匿名配送が可能、全国一律送料の配送サービス「らくらくメルカリ便」をヤマト運輸との連携で提供してきたが、自宅以外での商品受け取りが可能となるのは、ゆうゆうメルカリ便が初めてだ。

ラクマも、これまでヤマト運輸との提携で提供してきた全国一律送料の配送サービス「ラクマ定額パック」に、ゆうパケットと「らく得パック」を追加する。ゆうパケットの利用料金は全国一律180円(税込)、縦・横・高さの合計が100cm以内で30Kgまでのサイズのらく得パックは全国一律680円(税込・2017年内に料金改定予定)となる。ラクマ定額パックでも、ゆうパケットおよびらく得パック利用の場合は、郵便局、ローソン、ミニストップ、はこぽすで受け取ることができるようになる。

フリルでも、ヤマト運輸のネコポス、宅急便コンパクト、宅急便を利用できる全国一律送料の配送サービス「かんたんフリルパック」を提供してきた。7月上旬からスタートする「かんたんフリルパック(日本郵便版)」では、ゆうパケットの料金は全国一律179円となる予定だ。

現行貨幣などの出品を禁止したメルカリ、安心・安全への取り組みについてアナウンス

現行の貨幣やチャージ済みの交通系電子マネーの出品が話題となり、現在は出品の禁止や削除対応などを進めているフリマアプリ「メルカリ」(昨日4月26日には特殊景品も出品禁止とした)。サービスを提供するメルカリは4月27日、「メルカリ、安心・安全への取組みについて」として同社の見解やサポート体制についてあらためて発表した。

既報の通りだが、4月22日には現行の貨幣の出品を禁止。現在は24時間体制で監視・削除の対応を行っているという。また同24日にはアプリ上でユーザーへの注意喚起を実施。さらにチャージ済みの交通系電子マネー等も不正利用に繋がる恐れがないか監視中だ説明する。

同社のカスタマーサポートは現在200人以上。年中無休で問い合わせや規約違反への対応を行っており、受信した問い合わせは12時間以内に対応。加えて不具合や、利⽤履歴の確認が広範囲に及ぶ事案についても、最⻑24時間以内に対応しているとした。さらに規約違反が確認できる商品については、通報から30分程度で削除等の対応を実施。権利者からの削除要請も1〜2⽇以内に対応しているとしている。加えてユーザー登録時や取引時、現金の引き出し時と複数回の不正チェックも実施中だという。

加えて、警察や経済産業省、国民生活センター等と情報交換を実施。警察庁や各都道府県警との連携や、捜査照会への対応などの協力体制を構築。600社超のパートナーとともに偽ブランド品など知的財産権等を侵害する商品の出品抑止を進めているという。

メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏はソーシャルメディア上で、今回の発表について「安心・安全に取引が出来るマーケットプレイスであるよう引き続き対応強化してまいります」とした上で、個人的な意見として次のようにコメントしている。

「メルカリは誰でも簡単に何でも売買できる自由さが大事であり、その自由さを今後も維持して行きたいということです。何も削除対応ばかりしてマーケットプレイスを厳しくコントロールして行こうということではなく、自由さの上で安心・安全さを提供して行きたいと思っています」

フリマアプリ「メルカリ」、家具や家電の梱包・配送から開梱まですべて“お任せ”の「大型らくらくメルカリ便」を開始

メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏(左)とヤマトホームコンビニエンス代表取締役社長の市野厚史氏(右)

これまでも「らくらくメルカリ便」の提供などで連携してきたメルカリとヤマトグループ。今度は大型商品の取引に向けた新サービスの提供に乗り出した。メルカリとヤマトホールディングス傘下のヤマトホームコンビニエンス(YHC)は4月17日、フリマアプリ「メルカリ」において、「大型らくらくメルカリ便」の提供を開始した。

メルカリの月間流通額は現在100億円、1日の出品数は100万品超へと成長した。そんなメルカリ上で、出品者が商品を送る際に活用されているのがらくらくメルカリ便だ。メルカリのユーザー(出品者)がクロネコヤマトの営業所や取扱店であるコンビニに商品を持ち込めば、宛名書き不要かつ匿名・全国一律の送料で配信できるサービスとなっている。僕も昨年、実際にサービスを利用したのだけれど、営業所のスタッフから「(らくらくメルカリ便の)配送数は確実に増えている」という話を聞いた。実数こそ出していないがメルカリも「ユーザーの皆様から大変好評をいただいております」としている。

ただこのらくらくメルカリ便、取り扱いサイズが最大でも3辺合計160cmまでの商品に限定されていた。家具や家電といった大型商品を取り扱うには、従来通り自分で梱包するか、業者を手配する必要があったのだ。

今回提供を開始した大型らくらくメルカリ便は、そんな大型商品の配送の煩わしさを解決してくれる。出品の際にアプリ上で「大型らくらくメルカリ便」を選択すると、取引の成立後にYHCのスタッフが出品者の自宅に訪問。荷物の梱包から配送までを行ってくれる。届け先では開梱から設置、使用済み資材の回収までに対応する。料金は3辺合計200cmまでで4320円から。メルカリ上では、出品者が設定した商品価格に送料を上乗せした金額が「販売価格」として表示される。

メルカリ、取締役の小泉氏が代表に——創業者の山田進太郎氏はイギリス市場立ち上げに注力

鹿島アントラーズとのスポンサー契約も発表したばかりで、まさに飛ぶ鳥落とす勢いのフリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリで人事の大きな発表があった。同社は4月14日、取締役だった小泉文明氏を取締役社長兼COOに昇格することを明らかにした。メルカリ創業者であり、代表取締役社長を務めてきた山田進太郎氏は代表取締役会長兼CEOという役職となる。2017年3月にサービスを開始したイギリスでの事業に注力するかたちとなる。この人事はメルカリのグローバルでの成長を加速するためのもの。

小泉氏は早稲田大学商学部を卒業したのちに大和証券SMBCに入社。ミクシィやディー・エヌ・エーなどのネット企業のIPOを担当した。2007年にミクシィに入社。取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任し、個人でエンジェル投資やスタートアップの支援などを行った後、2013年12月メルカリに参画した。2014年3月には同社の取締役に就任している。

メルカリの山田進太郎氏(左)と、小泉文明氏(右) (メルカリ2周年の2015年7月にTechCrunch Japanが撮影)

メルカリが鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーに、リアルとの融合はかる

フリマアプリ「メルカリ」を展開するメルカリ。テレビCMやフリマイベントなどリアル展開も積極的に行う同社が、今度はサッカークラブのスポンサーになるのだという。メルカリは4月7日、鹿島アントラーズ・エフ・シー(鹿島アントラーズ)とクラブオフィシャルスポンサー契約を締結したことを明らかにした。4月8日開催のJ1リーグ第6節より、茨城県立カシマサッカースタジアムでのホームゲームで各種の施策を展開する。

全長16メートルのウォール。これにノベルティが貼り付けられる

具体的には、スタジアムの最寄り駅である鹿島サッカースタジアム駅からスタジアムまでの太陽光発電下の道を「メルカリロード」と命名。4月8日限定で、メルカリ×鹿島アントラーズのノベルティグッズを取り付けた全長16メートルのウォールを設置(ノベルティを取り外すと、メッセージが現れるという仕掛けだ)。

また試合後には、メルカリのアプリ上に鹿島アントラーズ選手のサイン入りグッズを出品していくという。また鹿島アントラーズ公式マスコットキャラクターの「しかお」とメルカリのコラボレーションステッカーを配布(テック企業とスポーツのマスコットキャラのコラボは初めて見るかも)するなどさまざまな取り組みを進める。試合後の出品に関しては、今後はLIVE配信とも組み合わせて展開する予定だ。またメルカリロードでのフリマイベントなども検討中だという。

「しかお」とメルカリのコラボステッカー

鹿島アントラーズの2017年のスローガンは「Football Dream つなぐ」。説明には「デジタルという新たなプラットフォームで、サポーターと心をつなぐ」とあるように、デジタル、ITを使った施策を模索している。一方でメルカリはこれまで以上に広い層(やはり現状は女性ユーザーが多いそう)に訴求を強めたいという思いががあった。

「スポーツは国民全員が盛り上がれるようなコンテンツ。今のメルカリとはまた違うユーザー層もいる。より多面的に訴求をしていきたい。リアルとネットの境目は本当になくなってきているので、リアルでのコラボレーションをしていく。またメルカリは日本発グローバルを掲げている。同じく鹿島アントラーズも2016年のクラブワールドカップ  ジャパンで準優勝。世界のトップを目指している。我々はスポーツに対してもっと貢献していきたい」——メルカリ取締役の小泉文明氏は今回の取り組みについてこう語る。

メルカリはこれまでにもスポーツ活動支援の取り組みを行っている。1月には車いすバスケットボール選手2人を社員として雇用する旨を発表している。

HR Techの現状と未来を語る──TechCrunch School #9 HR Tech最前線 イベントレポート

人材(ヒューマン・リソース)分野へのテクノロジー適用の現状と未来を語るイベント「TechCrunch School #9:HR Tech最前線 presented by エン・ジャパン」が3月14日夜、TechCrunch Japanの主催で東京・外苑前にて開催された。HR Techサービスの提供者や人事・採用担当者を中心に100名以上の方に来場いただき、4人の登壇者の熱いトークもあって、活気あふれるイベントとなった。そのパネルディスカッションの様子をお伝えする。

まずは登壇いただいたスピーカーの4名から、各社のHR Techへの取り組み、トピックスについて紹介してもらった。モデレーターはTechCrunch Japan編集長の西村賢。

サイダス代表取締役:松田晋氏

組織内の人材の見える化と最適配置を進められるプラットフォーム「CYDAS(サイダス)」を提供する松田氏からは、今後のサービス構想について踏み込んだ紹介があった。

「人材プロファイル管理のサービスをやっていて気づいたことがある。より使いやすくするためには、人の活動データや行動情報を集めなければならないということだ。そこでソーシャルアプリで得られたデータをAIに蓄積し、CYDAS HRへ反映する、という構成のサービスを6月にリリースする予定だ(下図)。外部アプリケーションも含め、いろいろなアプリとつなぐことで、いろんなことができると考えている」(松田氏)

 

エン・ジャパン執行役員:寺田輝之氏

無料で簡単に人材採用ホームページが作成できる「engage(エンゲージ)」を提供する、エン・ジャパンの寺田氏は、HR Techで実現したいこととして「入社後活躍」の推進を挙げている。

「採用された人が入社後、会社と合わずにすぐに転職すれば、採用サービス側からしたら儲かるが、それはやっちゃいけない。絶対やらない」という寺田氏は「海外も視野に入れながらHR Techを進めている。入社後活躍につながる取り組みとして、求職者側の情報収集先として最もニーズの高い“口コミ”“企業内の採用ページ”を、それぞれ口コミサイトの『カイシャの評判』とクラウド型の採用支援システム『engage』として提供している」と話す。engageの主な利用企業はスタートアップで、うち採用サイトを用意していなかったという企業が3割になるそうだ。

KUFU代表取締役:宮田昇始氏

労務関連手続きを自動化するクラウドサービス「SmartHR」を提供するのがKUFUだ。SmartHRは労務書類の作成と電子申請を機能としてスタートしている。そのSmartHRの現況をKUFUの宮田氏が説明する。

SmartHRは現在は労務を広くカバー(下図)し、利用企業は3700社超、社員数1600名規模の企業でも導入されているという。「労務の時間が3分の1になり、担当者がリモートワーク導入など新制度の導入に時間を割けるようになったことで、社員6割の生産性が向上した例もある。現在は、SmartHR APIによって、給与計算や勤怠管理、チャットツールなど、各社の既存システムとのつなぎこみや他社ベンダーとの連携も進めている」(宮田氏)

メルカリ HRグループ:石黒卓弥氏

そして今回、HR Techのユーザーサイドとして参加したメルカリの石黒氏。メルカリでは企業情報発信に力を入れていて「サイト『mercan(メルカン)』で毎日情報発信しているので、皆さんぜひ見てください」とのことだ。

「メルカリでは“新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る”をミッションに掲げ、『Go Bold』『All for One』『Be Professional』をバリューとしている。そこでHRグループとしては『当社にとって価値のある優秀なメンバーを集めること』『メンバーが思いきり働ける環境をつくること』『思い切りやったことに対して、適正に評価すること』をミッションとした」と石黒氏は言う。「ここ3四半期ほどは、入社社員の2〜3割はイングリッシュ・スピーカー。HR Techに関してはSmartHRなど、いろいろと取り入れている」ということだ。

HRツールの導入・運用コスト、どう考える?

HR領域の業務は求人・募集から入社後のタレントマネジメントまで幅広い。統合的にこれらを扱おうというパッケージもあれば、今回の登壇者企業が提供するような個々の業務に特化したサービスも存在する。HR領域の市場は、個別のサービスの長所を組み合わせた“ベスト・オブ・ブリード”モデルになるのか、それとも特定ブランド下に集約されるのだろうか?

SmartHRの宮田氏は「ユーザー側に立ったら、理想は1ブランド集約だが、いざベンダー側に立つとHRの全領域をカバーするのは無理」と話す。「確かに米国のWorkdayのように規模が大きく、扱う業務の幅も大きなサービスもある。だが、個別業務に必要な機能に対して“とがって”ちゃんと価値を提供しなければ、と思うと、網羅的なサービスにはなかなかできない。SmartHRにしても、やればやるほど奥が深く、下手に他に手を出すとどの機能も中途半端になってしまう」(宮田氏)

宮田氏が言うには「今取れるべき戦略は“とがったものをつないで使いこなす”のがいいのかな」とのこと。「労務データの入力と電子申請書類の提出だけなら単純かと言えばそうでもなく、日本の法律に沿った運用をしていると複雑な条件分岐があって、これは地道に開発を進めるしかない。SmartHRでは機能追加などについては、5社以上の要望がなければ検討に入れない。ただ、アウトプットが役所への手続きということで最終的には同じなので、同じような要望が挙がりやすい」(宮田氏)

サイダスの松田氏も「CYDASも全面展開に見えて実はそうじゃない。既存のソーシャルアプリがあるなら、それとつないでください」と言う。「CYDASが大事にしているのは情報。顧客には大手企業が多く、たいていは既にERPが導入されている状態だが、やりたいことができない、APIが提供されていない、ということでCYDASを使いたい、と言ってもらっている。使いやすいもの同士をつなげて、ちゃんと活用していけばいいんじゃないかと思うので、1社で完結していいということはない」(松田氏)

では、HRツールの存在そのものの意義についてはどうか。社員10人規模の企業でツールを入れる理由はあるのか。Excelで管理していればよいのでは?という問いに対し、宮田氏は「SmartHRについては10人未満の企業でもニーズがあると思う。導入が楽で、チャットサポートぐらいで、セルフサービスで使い始められるので、経営者の労務関連の学習コストを下げるために使われている。そういう意味ではExcel、手書き、郵送、メールが競合ツール」と答える。

労務自動化によるコストメリットについて宮田氏は「顧客にとっては金銭的なコスト削減より、時間コストの削減の影響が大きい。また経営側から人事部門に、労務事務よりも採用や働きやすい環境作りに時間をかけて欲しいという要望がある」と話す。

一方、松田氏は「CYDASは、イニシャルコストを考えれば10人規模だと必要ない」と言う。「目的に応じてつないでいく使い方ならいいと思う」(松田氏)

社員マスターをExcelで管理する企業も、特に小規模では多いが、これについてはどうだろう。

顧客企業の社員マスターを見てきた経験を、宮田氏はこう話す。「マスターとして使われてきたExcelが担当者を渡り歩くうちに“秘伝のたれ”みたいになっていって、もうその人でなければ触れないみたいなことも(笑)。データが正規化されていない状態が多い。SmartHRのユーザー企業は50名〜1000名弱の規模が多いが、導入時に半分はExcel管理で、2割は何も管理していない。うちでも3人でスタートした時には人事マスターなんてなかった」(宮田氏)

メルカリの石黒氏も、2015年に60人規模だったメルカリにジョインした際には、ツールはなく、Excelが社員マスターだった、と振り返る。「当初はExcelを使い続けていたが、ツールは一人目から入れた方がいい。これは間違いない。でも後回しにしちゃうんだよね、移行ができないから。ただ最初にフォーマットがあれば、後の人はそれに倣ってくれるので、そろえるなら早いほうがいい」(石黒氏)

顧客に大手企業も多いサイダスの松田氏は「大手でも社員マスターはけっこうみんなムチャクチャで、データの整理に時間がかかる。ツールを入れていても、実はマスターがまだまだできていないこともある。半角カナなどの影響で、元々あったERPがいたずらしていることもある」と打ち明ける。「データクレンジング専門の人事データマネジメントという仕事が出てくるかも」(松田氏)

応募・採用のミスマッチはテクノロジーで防げるのか?

続いての話題は、応募・採用について。求職者が企業の情報を検索して調べられる時代、企業はどのように情報を発信していけばよいのか。

エン・ジャパンの寺田氏は、応募と採用のミスマッチが起こる原因について「ミスマッチが起こる理由はさまざま。どう防ぐのかはアメリカでも研究が進んでいるが、採用側の企業は応募者の情報を確認することができるのに対し、求職者は意思決定するための情報を得られないという非対称がある」と話す。「企業の考え方にもよるが、engageを利用するスタートアップや中堅企業の場合、情報を出したくても出せなかったり、何を出せばいいのか分からないというケースが多い」(寺田氏)

ソーシャルリクルーティングにしてもリアルではない、と寺田氏は言う。「人事が“ココを(発信する情報として)使う”と決めて出されている採用情報は多い。ソーシャルでも自社の情報をどれだけ出せるか、どれだけ発信していくかが大事」(寺田氏)

メルカリの石黒氏は「キラキラした写真ばかりが出ている会社が多く、リアリティがない。いい社員のいいエピソードと写真を出した方が求職者も多く来るのは事実なんだけど」とミスマッチの理由について話す。「メルカリでは自社メディアmercanをつくって、10カ月運用してきた。執行役員の経歴のようなしっかりした記事もあれば、毎日のお茶目な日常の記事もあって、ありのままを伝える努力をしている。将来的にはHRソーシャル運用者を採用したい。グローバル採用が進む中で、口コミなどでイヤな体験もいい体験も表に出やすくなっているので、それをマネジメントする担当者がいればと思っている」(石黒氏)

口コミについては、寺田氏がこう話している。「口コミはどうしても評価が偏っていく。そんな中で、発信する情報全部がカッコいい必要はない。企業で、その人たちがいいと思っていることを発信すればいい。思ってもいないことを出すから合わない人が来る。自分たちの言葉で自分たちの情報を出すのが大事。ジョブディスクリプションの出し方については、海外だとglassdoorとかも参考になるかも」(寺田氏)

HR Techという観点からは、採用時に集めたデータの活用で、採用失敗の予測ができるのか、といったところも気になるところだ。API連携によって、採用後の予測ができる未来は来るのだろうか?

「入社前のデータと労務データが一緒になることで、どのメディアを経由して来た人が長続きしているかは一気通貫で見ることができるだろう」と言う宮田氏に、松田氏は「SmartHRのデータと採用適性検査などで、予測ができるようになっていくかもしれない」と期待を膨らませる。「海外ではAIと連携して分析するサービスも出ているので、そういう時代になると思う」(松田氏)

石黒氏からはHR担当の目線から「メルカリでは全員に履歴書情報があるわけではない。担当者目線では、エントリーシートの項目を増やして書かせることで情報はたまるが、書かせるATS(応募者管理ツール)は応募のハードルを上げてしまう。OCRを使った履歴書解析ツールとかがあるといいかもしれない」との希望が。

また、寺田氏は「エン・ジャパンには、知能テスト、性格価値観テストを受けた90万人のデータがあるが、テストはテスト。SmartHRなどとデータを連携して、入社後のパフォーマンスが出せれば」と話す。履歴書データと知能検査のデータを並べて管理することに関する倫理的な課題については「求職者の側にも結果の情報を提供していくのがよいと思っている。不採用の理由が性格の傾向や価値観のところで分かることは、求職者にとっても役に立つと思う。双方向に情報が見られるならフェアだし、お互いの不幸が減る」と寺田氏は言う。

採用後の人材活用とツールの使いこなし方、人事評価について

採用後の人材活用についても話を聞いてみた。ありがちなのは、採用担当と労務担当が別々で、システムも分断されているケースだ。

「確かにメルカリでも、SmartHRと採用管理システムの『Talentio』とのAPI連携は利用しているが、採用と労務とで人・システムとも現状では連携していない」と石黒氏は言う。「システム連携については、Facebookログイン機能みたいに、人事労務管理に関するキーとなるIDを扱うプレイヤーが勝てるのではないか。根っこのIDを取れば認証ができて、(役割やシステムの)分断を意識せずにやれればよいのだが」(石黒氏)

HR Techでは米国に対し、数年は遅れを取っているといわれる日本。ビッグデータを活用した組織や人材の最適化、AIの活用は今後進むのだろうか。

サイダスの松田氏は「AIを使う時代は来る。でも、人が見て何か判断しなければいけないので、システムからの通知が重要だ」と言う。「CYDASのデータとAIを重ねると、適材適所の配置とかいろいろ見えてくるものがある。でも(その配置を)決めるのは誰か。ツールを使いこなせる人だろう。自分自身は分析が好きでシステムを使い倒していると思うが、お客さんは違う。なので(お客さんがツールを使いこなしやすいように)システムを作り直している」(松田氏)

エン・ジャパンの寺田氏は「仕事は、どの会社でも異なるタスクの集合体になっていて、タスクとタスクは重なり合っている。人間の仕事をAIに置き換えられるとはいっても、実は兼任などの重複カバーを考えると置き換えは難しい」と採用の観点から、業務の切り分けの難しさとテクノロジーによる人材活用との関係について話す。「人材を活用するためには、タスクの可視化を、それぞれの企業や人事担当が分かっていなければならない。日本では難しいとされるジョブディスクリプションが発展していくと、AIの導入もしやすいかも」(寺田氏)

HR Techの遅れを取り戻すにしても、北米発祥のグローバル企業のツールは、日本企業の風土に合うのだろうか。

メルカリの石黒氏はこの点について「複雑な問題だ。日本企業の人事担当者に英語が得意な人がいないとか、『このボタンは右にあった方がいい』といったカスタマイズを要求する(がベンダーはカスタマイズを入れたがらない)とか、そういう課題もあるし、日本独特の労働法の問題もある」とした上で「だが、使えるものも多い。使わずにあれこれ言うのはいけないと思う」と話す。

また、ツールそのものをHR部門で使いこなすことにも課題がある。たとえば目標管理ツールの導入で、方法論まで一緒にインストールすることはできるのだろうか?

石黒氏は「ツールが使いやすければいいが、評価のためだけに四半期に1回しか使わないツールはいつまでも使いこなせないと思う。書かないと給料がもらえない、とか能動的でない理由で使っているのでは、結局“Excelが最強”ということになってしまう」と話す。また人事管理ツールでは、しばしば権限設定の複雑さに問題が出ると石黒氏は言う。「性善説に立って、評価される方が権限を設計できるようにしちゃえばいい。人事部がやろうとして複雑すぎるから“やめた”ということになる。もっとみんなが積極的に使いたくなるツールになればいい」(石黒氏)

松田氏も同様に「目標管理ツールは、毎日、毎週ログインするものと連携して、使える形の方がいい」と話す。「ただ、そうなってくると会社の(評価)制度の問題になってくる」(松田氏)

ツールの使いこなしについては、会場からも質問があったのだが、石黒氏は「ツールを使うのが好きであること、目的を見失わないことが大事。人事に携わって、いろいろないい経験やイヤな思いを持っている人が、システムのデザインをやるといい」と答えている。また宮田氏は「ツールの使い方で言えば、技術的な知識はいらないと思っている。API連携も簡単になっていく」と話していた。

日本のHR Techの未来を一緒につくりたい

ディスカッションの最後に、日本のHR Techの未来について、スピーカーから一言ずつコメントいただいたので紹介する。

「今後労働人口が半分になり、採用が激化して、人事の仕事のステータスは上がるだろう。そうした中で、なるべく業務を効率化し、付加価値の高い人事制度の設計や、採用設計に時間を使って欲しい」(SmartHR 宮田氏)

「HRのSNS運用や、HRデータサイエンティストの分野にはお金がまだ流れていない。ここにチャンスがある。人がまだやっていない逆説的なキャリアを歩むのもよいのではないかと思う」(メルカリ 石黒氏)

「中堅企業の採用が変われば日本は変わる。オフィシャルな情報をもっとオープンにしていってもらいたい。HR Techは人事本来の業務に集中できるのが利点。一緒に活用法をつくらせてもらえればと思う」(エン・ジャパン 寺田氏)

「一番大切なのは、システムって使う人も楽しくなければ、ということ。人事の人がいかに楽しく仕事ができるのか、ということを一緒に進めていければと思う」(サイダス 松田氏)

メルカリ創業者の山田進太郎氏、日米5500万DLの躍進をTechCrunch Tokyoで語る

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11月17日、18日に、東京・渋谷で開催したTechCrunch Tokyo 2016。18日のキーノート・セッションでは、フリマアプリ「メルカリ」創業者でCEOの山田進太郎氏に、日米5500万ダウンロードを達成したメルカリの海外展開の取り組み、プロダクトへの姿勢について語ってもらった。聞き手はTechCrunch Japan編集長・西村賢。

躍進するメルカリの海外展開

今年3月に84億円の大型資金調達を果たし、未上場ながら評価額はビリオン(10億ドル)超、日本発のユニコーン企業として注目を集めるメルカリ。この週、11月15日にメルカリでは決算公告を発表していた。既に2015年末時点で黒字化、2016年3月時点で月間の流通総額100億円以上を達成していたメルカリ。2016年6月期の決算では、売上高は122億5600万円と前期の約3倍となり、営業利益は32億8600万円で、2013年創業から4期にして黒字化、大きな話題となった。

発表された決算の数字の中でも興味深いのは、90%を超える高い粗利率。山田氏は「原価のほとんどが人件費」と言う。「日本で300人ぐらいの人員がいて、海外でも結構増えています。」(山田氏)

山田氏はしかし、この超優良な決算公告の数字を「まだ日本単体で、海外や子会社の数字は含まれていない。(世界)全体として見たらまだまだ投資している(モードだ)」と控えめに評価する。「国内でも伸びしろはあるが、次の桁を変えるには海外へ出て行かなければいけない。開発リソースは9割、米国に割いている。最悪、日本を落としてでも、米国市場を取っていく」(山田氏)

なぜ米国にこだわるのか。タイや台湾などは、日本と文化的にも親和性が高いし、インドネシアであれば多くの人口を狙っていけるが、東南アジアではいけないのか。この質問に「米国市場は大きい。ミッションである”世界的なマーケットプレイスを創る”ためには、米国でサービスが使われていないといけない」と山田氏は話す。

「個人的には、世界のいろんな人にサービスを便利に使ってもらうことで、大きく言えば人類への貢献ができるんじゃないかと考えている。そのために会社を作ったんだし、そこ(世界へのサービス展開)をやっていく」(山田氏)

「実は最初(に起業した時)から、(世界への展開に対する)意識はあった」という山田氏は、ウノウのZyngaへの売却と、Zynga Japanへの参加についても「グローバルなインパクトを出すことができると考えたから。Facebookで強かったZyngaはユーザーが全世界に3億人以上いて魅力があった」と言う。

今年だけでも84億円の調達を実施し、株式市場への上場も視野に入っているはずのメルカリだが、これまでのところ、上場は選択していない。海外展開に当たって、海外市場への上場などは検討しているのだろうか。「いろんなオプションを探っているところだ。いつIPOするかも含めて、まだ何も決まっていない。会社が大きくなっていけば、社会責任を果たすこと、社会の公器になることは必要だと思うけれども、まだタイミングではないですね」(山田氏)

そのタイミングとは。山田氏は「米国でのサービスは伸びているが、もっともっと成功しなければ。米欧で成功できれば、いろんな国で継続的に成功していく方法論が確立するのでは、と思っている。今のところ、どうやって米国で成功するかに集中している。その後、日米欧3拠点でどうやって開発していくのか、コミュニケーションをどう取っていくのか、多拠点での事業の進め方も考えなければならない。まだ、事業計画を出して(ワールドワイドで)継続的に成長していくという段階ではない」と堅実に事業を進めていく考えを示す。

プロダクトの差別化は少しずつの改善の積み重ね

アプリケーションとしてのメルカリは、2016年8月時点で、日本で3500万ダウンロードを達成している。メルカリの日本での今後の見通しについて、山田氏は「減速の予見はない。流通額も伸びている」と話す。「PC時代やガラケー時代に比べると、スマホ時代はユーザーが多い。LINEなんかもMAU(月間アクティブユーザー数)が国内で6000万ぐらいある。一家に1台だったPCと比べると、ひとり1台に普及していることが大きい」(山田氏)

米国でも、2000万ダウンロードを2016年9月に達成。ダウンロード数の推移を見ると、この夏、急速に伸びていることが見て取れる。

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「この伸びは、CMなど特別なプロモーションを打ったわけではなくて、インスタグラマーやSnapchatユーザーが“メルカリはいいよ”と投稿を始めて、そこから招待コード制度で拡散したことが理由。App StoreやGoogle Playのランキングに載ったことで、さらに加速した」(山田氏)

現在の米国の状況については「一時よりは落ち着いたが、ベースが上がっている感じ。招待コードキャンペーンは続けている。インフルエンサーにお金をかけるプロモーションは行っていない。ただ、あらゆる機能改善を米国にフォーカスして、1年ぐらい続けてやってきていて、それが広がる下地となった」と山田氏は話している。

この施策が当たった!というものはなく、少しずつの積み重ねが、米国でのDL数増に功を奏したと言う山田氏。「GoogleでもSnapchatでも、エンジニア中心の小さなチームが無数にあって、それぞれが改善を続けている。Facebookで動画が急にきれいに見えるようになったりしたのも、そうした結果。みんな、ちょっとずつそういう改善を続けて、Facebookの場合なら友だちが増えたり投稿が増えたりしていって、今や誰も追いつけないくらいの機能とユーザー数になっている。メルカリにとっても、1%の改善をどれだけ繰り返せるか、ということをやり続けることが強みになっている」(山田氏)

開発には現在100人ぐらいが関わっているが、役割を固定せず、流動性を大きくしている、と言う山田氏。「A/Bテストができる基盤は作ってあるので、各チームの中で自由に『こういうことしたら、いいんじゃない?』と(機能の調整を)やってます」(山田氏)

「Facebookなんかだと、少しずつ違う機能や見た目が部分的に反映された、何万というABテストが(同時に)走っている。メルカリでも数十本は走ってる。米国版ではテストが特に多い。(米国版の機能で)日本だと受け入れられるかどうか、というものは日本でもテストしているので、パターンは膨大にある」(山田氏)

アプリの機能以外のサービス面でも、米国ではトライアルが続いている。手数料の導入はサービス面での大きな変更だ。「米国でも新規の出品者に10%の手数料を導入したところ。まだ結果は分からない。来週からは出品者全体で手数料を始めるので、勝負どころになります」(山田氏)

山田氏は、米国でも日本でも、今までのウェブサービスの普及パターンと違う動きが見えると言う。「LINEなどもそうかもしれないが、日本だと、ユーザー数でいえば東京は多いんだけれども、地方ユーザーでも若くて子どものいるお母さんみたいな層から火が付いた。米国の場合もこれまでは東西海岸の都市部が普及の中心だった。それがメルカリでは、カリフォルニアは確かにユーザー数は一番多いけれども、その後はテキサス、フロリダと続いていって、普通の人が使っている印象。両海岸から広がっているのは今までと同じだが、広がるスピードが早くなっている。スマホ時代になって、時間×量という意味では、地方に住んでいる可処分時間が多い人がサービスを使うようになった。ユーザー数と時間・量の全体で見たときに、総時間では都市も地方も同じになっているのではないか」(山田氏)

メルカリ特有の“文化”について

「取り置き」「○○さん専用ページ」「確認用ページ」……。メルカリにはアプリ独自で、利用規約やシステムとは連動していないユーザーによる“私設ルール”がたくさんある。これらの“メルカリ文化”ともいうべきルールについても、山田氏に聞いてみた。

photo03「本来はシステムや機能で解決すべきだとは思います。Twitterの返信で使われている“@”なんかも、元々はユーザーが勝手に使い始めた運用をシステムで取り入れた例。ユーザーの使われ方によって、機能を取り入れられるのが良いとは思う。メルカリでもやりたいんですが、優先順位の問題で取り入れられていないですね。米国にフォーカスして(開発を)やっているので、日本でやったらいいな、ということがなかなかできていない。それは申し訳ないけど、これから要望に応えていく部分もあるので……」(山田氏)

日本だけにフォーカスした機能は、ローカライズが進みすぎるので避けたい、とも山田氏は言う。「バランスを取っていかなければ。シンプルで誰が見ても使える、というものをユニバーサルに作っていきます。会社全体、経営陣として、全世界に必要な機能は議論(して検討)する。それが日本ローカルな機能なら、優先順位は低くなる」(山田氏)

またeBayなどのオークションサービスでは価格が安定しているのに対し、メルカリでは出品物の価格のばらつきが大きく、状態もさまざまだ。このことについては「オークションでは、モノに適正な値段を付けるというところがある。でも(メルカリの場合は)価格だけじゃない。同じ物でもコンビニはスーパーより高く売っているけれども、それはその分便利という価値がある、ということ。メルカリならすぐに買える、店にないものがある、という購入者の感情と、自分はいらないから誰かに使ってもらいたい、という出品者の感情をうまくつなげている。中には、タダでもいいから、もったいないから使ってほしいという出品もある。その気持ちに経済的価値があるんです」と山田氏は話す。

山田氏は、ポイントの存在も購入行動に影響を及ぼしていると見る。「アマゾンより高い出品もあるのに、なんで売れるのかというと、ユーザーが別の出品で売上を持っていて、ポイントなんかを使う感覚なのではないか。売上を引き出してアマゾンで買えばいいんだけど、それだと手間と時間がかかるので、利便性を取っているのではないかと思う」(山田氏)

メルカリの日本での利用の伸びについては、こうも話している。「昔は日本でも道ばたでモノを売るような世界があったし、新興国では今でもまだそういう売買のシーンがある。それが単純にオンラインで仕組み化されたことで、復活してきているということではないか」(山田氏)

メルカリでは、企業ではなく個人ユーザー同士によるCtoCのフリマにこだわっている。運営側が常に見てくれていて、ヤフオクなどと比べると気を遣ってくれている感じ、安心感がユーザーにあるのではないだろうか。だがここへ来て、業者ではないかと思われるユーザーも出てきているようにも見える。ユーザーのサポートやケアについて、山田氏はどう考えているのか。

「メルカリはできる限り、自由な場であってほしい。(先日Twitterなどで話題になった)お子さんが仮面ライダーカードを買うために、お母さんが子どもの拾ってきたドングリをメルカリに出品したケースのように、何でもやり取りしてもらえれば、と思う。規制していたら、ドングリみたいな新しいものは生まれないです」(山田氏)

一方で取引のトラブルや、悪い出品者・購入者に当たったというケースもある、と山田氏は続ける。「そこでメルカリに問い合わせをすれば、解決してくれる、という安心感があれば、場が健全に保たれる。商品が送られてこなかった、という時でも、すぐにお金を返してくれた、となれば、『今回はたまたま悪い取引に当たっただけで、メルカリ自体はいいところだ』と思ってくれるでしょう」(山田氏)

「こういう出費は5年先、10年先を考えたら回収できる」と山田氏。「長期的に使ってくれて、何十年も続いていけるサービスにしたいと思って、そういうカスタマーサポートをやってます。今はエンジニアとカスタマーサポートにお金をかけている」(山田氏)

日本発ユニコーン企業の先駆者として

日本人メジャーリーガーとして活躍し、イチローや松井秀喜のメジャーリーグ入りに先鞭をつけた、投手・野茂英雄。彼を例えに、山田氏に米国での躍進と、後進への思いについて聞いたところ、その返事は意外なほど慎ましいものだった。

「誰かが(アメリカへ)行って通用すると分かれば、フォロワーが出る。先駆者がいれば後も変わっていくと思っているので、何とかして成功したいとは思っている。だが、そこまで余裕があるわけじゃないんです。自分たちが何とかしなければ、という危機感は社内にも強い。2000万ダウンロードで順風満帆、人材も潤沢で完成されているように見えるかもしれないけれども、実際は大変。日本のプロダクトも改善は足りないし、相当の危機感がある」(山田氏)

好調決算についても「日本単体での数字で、それもアメリカへの投資に使っているわけだし、まだまだ」とさらなる成長を追求する姿勢だ。

さらに競合に関する質問では「プロダクトで勝つしかないので、競合という視点はないんです。プロモーションなどでお金をかけることはできるが、結局いかにいいものにし続けられるかが大事」と山田氏は語る。そのプロモーションについては、メルカリではTV CMに大きく費用を投下しているという。「米国でもCMのテストを行っている。まだ結果は分からないが、分析を続けて、あらゆるチャレンジをしている」(山田氏)

最後に、起業家志望の方に向けて、山田氏からメッセージを伺った。「僕も必死でやっているところだけれど。海外へ出て、何かを作って、便利に使ってもらうことはとても価値があること。一緒に頑張っていきましょう」と山田氏。学生起業を目指す人にはこう語った。「僕が1990年代後半の楽天に内定して働いていた頃は、毎月のように人が増えていて高揚感があった。それが起業家としての原体験にもなっていて、そのころの雰囲気をメルカリでいかに再現するかが指標にもなっている。だから伸び盛りの会社に一度行ってみるのもいいと思う。ただ、やりたいことがもうハッキリしているなら、早くやればいいと思うよ」(山田氏)

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「いま」「ここ」だけの体験をどう設計するか? 経営とオフィスデザインを繋ぐ5つの視点

メルカリのオフィス入り口から続く「メルカリウォール」

編集部注:この記事は、ツクルバ代表取締役 CCO 中村真広氏による寄稿である。同氏は、東京工業大学にて建築デザインを学んだ後、不動産ディベロッパー、展示デザイン業界を経て、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する「株式会社ツクルバ」を2011年に共同創業。建築・不動産・テクノロジーの交差領域にて、デザイン・プロデュースの視点から事業を展開している。2015年4月からは建築とその周辺産業関係者で作る一般社団法人HEAD研究会の理事に就任。本稿では、そんな中村氏に変化する働き方と、その働き方に適したオフィスのあり方について語ってもらった。

グループウェアやコラボレーションツール等、情報空間における労働環境の進化によって、「いつでも」「どこでも」仕事に取り組むことができると言われるようになって久しい。この数年を振り返っても、オフィスに縛られず、都市の中から働く場所を見いだす「ノマドワーカー」や、一企業が専有するオフィスや自宅の書斎ではなく、所属にかかわらずスキルやアイディアをシェアする場としての「コワーキングスペース」をはじめ、「働く」を取り巻く新しいワードが生まれてきた。また、新興企業のオフィスデザインは、GoogleやFacebook等を先導役として、ガレージやキャンパス、カフェのような場所を参照して、これまでの「オフィスらしい」空間とは距離を取ったデザインが大きな潮流を作ってきている。

この数年、実空間に現れてきたワークスタイルやワークプレイスの変化は、情報空間における労働環境の進化による影響を無視することは出来ないだろう。働くことが「時間」と「空間」の制約から解放されたこの時代において、会社のメンバーで時間と場所を共有するオフィスという場をどのように作っていけばいいのだろうか。

マクレガーの「XY理論」でひもとくオフィスのあり方

「オフィス」という言葉から想像するのはどんな場所だろうか。同じ形の机が役職順に整然と並べられた場所か、はたまた必要なときだけ立ち寄るハブのような場所か。働き方が多様な現代では、その言葉から想起するイメージは様々だ。オフィスの変化は、何も近年急速に起こったものではない。1960年前後のアメリカにから今に繋がる変化の兆しがあった。

米国の心理学者・経営学者であるダグラス・マグレガーの「XY理論」はご存じだろうか? X理論とは、「人間は本来怠け者で、責任感がないので、放っておくと仕事をしない」という性悪説的な人間観をベースにし、権限に基づく命令と賞罰を与えることにより、生産効率をアップできるというもので、おもに肉体労働などの単純労働に適用されてきた。

それに対してY理論とは、「人間は本来働き者であり、自己実現のために自ら行動し、主体的に問題解決に取り組む」という性善説的な人間観ベースにしている。このY理論が生まれた背景には1960年代、X理論が主体性や積極性そして創造的な思考を必要とする知的労働には応用できず、別の手法が求められるようになってきたということがある。知的労働において優秀な人材の生産性を高めるためには、「仕事そのものへの好奇心や興味」という内側からの自発的な動機を重視し、「積極性・自主性・自律性」を引き出すことが重要だというのがマグレガーの提案だった。

この理論をオフィス環境に当てはめてみよう。X理論が主流だった頃の労働は、単純作業をいかに効率的に回していくかがテーマだった。命令と賞罰による管理がしやすいよう、ツリー状の組織図をそのまま机配置に反映したような、いわゆる「島型対向」のオフィスデザインが日本においては当たり前だった。

1960年頃を節目に「Y理論」を実践しようとする組織が生まれていく。だが、組織の変化に環境が対応しきれず、経営の方針とオフィスデザインの間に「時差」がある時代になっていく。既存のオフィスの型を運用で乗りこなそうとした工夫の1つは積極的な「席替え」だ。定期的に新しい環境に切り替えることは、社内のコミュニケーションを誘発し、思わぬ意見の掛け合わせからアイディアを生みやすくする。経営の方針は「Y」になりつつあったものの、オフィスデザインはまだ「X」のままであり、そのギャップを埋めるために運用上の工夫による環境づくりが実践されてきた。

グループウェアやコラボレーションツール等の進化も追い風になり、近年はオフィス環境も「Y」へとシフトしてきた。オフィスの中で自席を固定しない「フリーアドレス制」の導入。それに伴って効率化された床面積を、アイディアの発想やカジュアルなディスカッションなどの場所にするオフィスも増えてきた。さらには、働く場所をオフィスに限定しない「リモートワーク」を採用し、自宅や都市の中をオフィス化する働き方を推奨する会社も出てきている。

「経営方針 / オフィスデザイン」のそれぞれに「XY理論」を当てはめるならば、「X/X」→「Y/X」→「Y/Y」というように環境が変化してきている。最近のオフィスデザインの傾向が、ガレージやキャンパス、カフェのような一見オフィスらしくない空間を参照しているのは、オフィスにも「Y理論」の思想が適用されてきているからだと言える。

経営とオフィスデザインを結ぶ5つの視点

働くことが時間と空間の制約から解放され、Y理論の思想を反映した場が求められている時代において、オフィスづくりで考えなくてはいけないことは何なのだろうか? 経営とオフィスデザインを繋ぐ5つの視点を以下に挙げてみたい。

1.企業のアイデンティティは何か

まず、オフィスはその企業のアイデンティティを社内外に向けて表現するものであるということを自覚した方がいい。どんな雄弁なメッセージで彩られたパンフレットよりも、オフィスは企業のアイデンティティに直結する。働くことが時間と空間の制約から解放された時代だからこそ、オフィスには「いま」「ここ」でしか得られない体験が必要になってきている。身体よりも大きなスケールで包みこみ、連続した場面の総体を体験として与えられることは、空間の力の一つである。この力を最大限生かして、企業のアイデンティを体現するオフィスづくりをすることが重要である。

例えば、メルカリのオフィスでは「メルカリウォール」と名付けた棚(記事冒頭の写真だ)が、来客用のエントランスから執務スペースまで貫いて配置されている。グリッド状に分割された棚の1つ1つにはメルカリで取引されるアイテムが展示されている。ツクルバデザインでは、メルカリのサービスにおける「モノを商品としてパッケージする枠組み」という側面をこのメルカリウォールで表現した。

ウォールはオフィス内まで続いている

執務スペースまで続く「メルカリウォール」

 

2.少し未来に直面する組織の課題は何か

オフィスをデザインし直すタイミングというのは、メンバーが増えて拡大する、何らかの課題があって現状のオフィスをリニューアルする、ネガティブな事情があって縮小する、の大きく3つに分類されるだろう。オフィスデザインにおける与件の設定としては、組織においてそのタイミングに顕在化している課題だけではなく、少し未来に直面する課題についても考えておきたい。

組織の課題というのは、階層間・チーム間・新旧メンバー間におけるギャップとどう向き合うか、つまりはコミュニケーションの課題であることが多い。特に拡大期においては、「昔はチーム間の意思疎通がスムーズだったのに」「どんどんメンバーが増えていくからコミュニケーションが追いつかない」「経営層の考えが浸透しにくくなってしまった」などの課題をよく耳にする。このような課題に対して、グループウェア等のオンラインでのコミュニケーションが果たす役割は年々大きくなってきている。その一方で、空間デザインも決して万能薬ではないが、物理的な環境づくりによって人の振る舞いを誘発し、オフラインのコミュニケーションの機会を多くしたり少なくしたりすることはできると思っている。

一口にコミュニケーションといっても、偶発的なもの=「たまたま」と、計画的なもの=「わざわざ」に分けられる。例えば、コピー機やコーヒーメーカー、個人ロッカー等のまわりで起こるコミュニケーションは「たまたま」のものが多い。コーヒーを入れに行ったら、他チームのマネージャーに出くわして、ちょっと立ち話、といった具合に。一方で、取引先を含めたフォーマルな会議から、チーム内のアイディア出しまで、ある目的があって「わざわざ」集まるコミュニケーションもある。何の目的で集まるのかによって、その場所の最適な配置やデザインも変わってくる。少し未来に直面する組織の課題の解決に向けて、これらの「たまたま」と「わざわざ」を組み合わせて、オフラインのコミュニケーションの機会をデザインしていくことが大切である。

3.どのような働き方を推奨するか

オフィス内にタクシー車両が置かれた日本交通の新オフィス

オフィス内にタクシー車両が置かれた日本交通の新オフィス

今のオフィスを見渡してそれぞれの働き方を観察してみると、見えてくるものがある。同じ職種でもチームごとに使っているツールが違っていたり、ミーティングの頻度が違っていたりするし、職種をまたいで比較してみると、転用できるアイデアもあったりする。まだ物理的な環境は用意されていないものの、運用で上手く使いこなしている事例もあるかもしれない。

「どのような働き方を推奨するか?」を考えることは、「会社の未来において用意されるべき環境がどのようなものか?」という問いに展開していく。会社の中で未来の働き方を実践している人に合わせて次の環境がデザインされ、その環境がさらに次に入ってくるメンバーを逆指名することにも繋がる。

例えば日本交通のオフィス移転プロジェクトでは、交通・モビリティ分野におけるシステム開発チームとして、新しくブランディングされた「Japan Taxi」の採用を促進することは課題の一つだった。既存事業に関わる社員はもちろん、これから増員していくエンジニアにも支持されるオフィスづくりを目指し、新旧の社員の方々とともにオフィスのデザインを進めていった。

日本交通 新オフィスのモック

日本交通 新オフィスのモック

4.オフィスに本当に必要なモノは何か

運用するにつれてオフィスにはどんどんモノが溢れてくる。あるルールに則って、共用の書類庫や個人のサイドチェストなどの備品が購入していくと、いつの間にか運用ルールが当たり前のものになってしまい、見直す機会を見失いがちになる。オフィスをデザインすることは、運用ルールを見直すには恰好の機会である。今あるモノを前提として次のオフィスを考えるのではなく、身の回りのモノと向き合い、業務に関する必需品をシンプルにした上で、それらを次のオフィスの条件にするのがよい。

デバイスの小型化やオンラインサービスの進化に伴い、個人で保有する物質量が少なくなってきているのに加えて、フリーアドレスなど運用面での効率化も進むと、個人で専有する備品は少なくし、共用の備品は利用率を高めて適切に配置することがテーマになっていく。例えば、スタンダードな収納として個人ロッカーを用意するだけではなく、見せる収納として個人の持ち物を通じてその人のキャラクターを表現する場をつくると、最小限の備品で副次的な効果も期待できる。本を切り口にした「シェアライブラリー」などは導入しやすい事例である。

5.オフィスデザインの射程範囲をどこまでとするか

企業にとってオフィスのデザインをリニューアルすることは、社史に残る事件である。その波及効果を最大限生み出し、積極的に活用したほうがいい。オフィスデザインの射程範囲をどこまでとするか?を考えて、プロジェクト全体を設計することが大切である。

例えば、採用活動やチームビルディング。各事業部の有志を集めて、ワークショップ形式でオフィスデザインの与件出しをしたり、部分的に仕上げない壁面を残しておき、社員を集めてみんなで塗装をしたり、企画や施工の様々なフェーズにおいて社内を巻き込む機会をつくることができる。オフィスデザインのプロセスに関わり、みんなで協働したという経験は、場所への帰属意識を高めることにもなるし、社員同士の相互理解の後押しもしてくれる。そして、そのような協働の取り組みも含め、オフィスデザインのプロセスを映像に収めて、企業のプロモーションビデオとして採用活動に繋げることもできるだろう。
様々な副次的な効果を生むようにプロジェクト全体を設計することで、オフィスデザインの射程範囲は拡張できる。

求められるのは「いま」「ここ」だけの体験

経営心理学の変化を追いかけるように、オフィスデザインの考え方も変化してきた。特に近年は、情報空間における労働環境の進化が目まぐるしく、それにより実空間のオフィスデザインも影響を受けてきている。働くことが「時間」と「空間」の制約から解放された時代だからこそ、現代のオフィスにはその企業らしさを象徴する「いま」「ここ」でしか得られない体験を社員や来訪者に提供することが求められていると思う。

「その時代にその企業で働くとはどういうことか?」という経営の思想にリアクションするように、オフィスデザインの潮流はこれからも変わっていくだろう。経営とオフィスデザインはキャッチボールを繰り返しながら、未来の働き方をつくっていく。経営者とオフィスデザイナーだけではなく、もちろんそこで働く人も含め、それぞれが当事者としてそのプロセスに関わること。それが未来に向けた一歩になると考えている。

Facebookが「保存ボタン」を外部に開放、日本では楽天とメルカリがファーストパートナーに

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Facebookが4月12〜13日(米国時間)にかけて開発者向けカンファレンス「F8」を開催中だ。かねてからうわさになっていたチャットボットやVR撮影カメラの「Surround 360」をはじめとして、さまざまな内容が発表されている。すでに初日の発表内容はまとめ記事も用意されているが、日本で独自にパートナーと組んだ動きもあったのでこちらを紹介しておこう。

Facebookは今回のF8に合わせて、「保存ボタン(Saveボタン)」の外部提供を開始した。日本では楽天およびメルカリがローンチパートナーとして本日4月13日よりボタンの導入を開始した(まずはPCおよびモバイル向けのウェブサイトのみ。アプリは今後対応を検討する)。今後は利用動向を見て逐次パートナーを拡大していく。

保存ボタン自体は2014年7月にFacebookに搭載された機能だ。Facebookで友人やフォローしたユーザーの投稿を保存すると、ブックマークのようにあとから読んだり、あとからシェアしたりできる機能だ。世界で2億5000万人がすでにこの機能を利用しているという。

これまではFacebook内の記事に限定して提供していた機能だが、この機能を「いいね!ボタン」や「シェアボタン」、「コメントプラグイン」同様にパートナーサイトに対して開放する。これによって、例えば楽天やメルカリで気になった商品があれば保存し、それをFacebook上で管理することができる。

ここまでであればPocketやはてなブックマークのようないわゆるソーシャルブックマーク、“あとで読む”的なツールでしかない。だがこの機能では、保存されたページの情報がアップデートされた際、Facebookを通じてユーザーに通知を送ることができるのだという。

当初のパートナーとしてEC関連のサービスを選んだのは、「『価格の変動情報が欲しい』というニーズはある。一方でFacebookには滞在時間の長いユーザーも多い。そこ(Facebook上)がユーザーとの接点を持てるツールになると思っている」(Facebook執行役員 パートナーシップ事業 日本代表の横山直人氏)。メルカリでも「アプリのダウンロード数も2700万以上、当初は20代女性が中心だったが男性など(Facebookも多用するユーザー層)も増えてきた。Facebookからの流入の期待も高まり、その一方でFacebookはその価値を上げられる。ユーザーが欲しがっている情報であれば、やらない理由はない」(メルカリ取締役の小泉文明氏)と説明する。

今回の発表はFacebookがこれまでも進めてきたプラットフォームのオープン化施策の1つだ。今回のF8はチャットボットが話題をかっさらっていた印象はあるが、この保存ボタンの開放を含めた開発者向け機能のアップデートも注目すべき情報だろう。

クラシファイドサービス「メルカリ アッテ」、招待制を廃止して本格稼働

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先月突然App Storeに現れて僕らを驚かせたCraigslistライクなクラシファイドサービス(売ります・買います掲示板のような三行広告が並ぶサービスだ)「メルカリ アッテ」がいよいよ本格的にサービスを展開する。メルカリは3月17日にメルカリ アッテのサービスの招待制を廃止。誰もが利用できるように仕様を変更した。

メルカリ アッテは無料で利用できるクラシファイドサービス。アプリ(現在iOS版のみ。Android版も今後提供予定)をダウンロードし、メールアドレスとユーザー名を設定すれば、すぐにサービスを利用できる。インターフェースはメルカリに似ており、写真と商品、価格の一覧がフィードとして流れ、気に入ったアイテムに「いいね(ハートマーク)」を付けたり、コメントをつけたり、購入ならぬ「応募」をすることができる。投稿のカテゴリは「あげます・売ります」「ください・買います」「貸して・教えて・助けて」「貸します・教えます・助けます」「仲間募集・イベント」「求人」「賃貸・ルームシェア」の7つ。

特徴的なのは出品するユーザーの所在エリアがざっくりと表示されること。アッテでは手渡しでの商品の譲渡・売買を推奨しているためにこのような仕様になっているようだ。出品されるアイテムも「徒歩圏内」「自転車圏内」「バス圏内」という範囲で検索できるようになっている。

このサービス、App Store上ではメルカリのアカウントで配信されているが、2015年9月に立ち上がった同社の100%子会社であるソウゾウが開発・運営を行っている。ソウゾウ代表取締役である松本龍祐氏は、コミュニティファクトリーの創業者で同社をヤフーに売却した後に同社のモバイル部門に注力。その後、新規事業を立ち上げるためメルカリに参画した人物だ。

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

「メルカリの“次”を何にするかという難題をもらった」——メルカリ参画当時を振り返って松本氏はこう語る。

会社としてはCtoCやシェアリングエコノミーという文化にはこだわりたい。そう考える中で「TaskRabbit」を代表とするようなサービスCtoCを考えたが、メルカリも特化型ではなく「全方位」のサービスだ。そこで幅広いカテゴリをカバーする「アッテ」の原型が生まれた。

ドリコムが提供する「Clip」の記事でも書いたけれども、この領域はまだWeb1.0…どころか下手すると0.5の世界。そこで米国でも打倒Craigslistを掲げるサービスは続々登場しているそうだ。松本氏率いるソウゾウでは、「チャット形式のUI」でやりとりできるサービスとしてクラシファイドサービスの再構築を目指すとしている。

アッテの提供に先立ち、メルカリとソウゾウでは共通IDを開発。すでにメルカリのIDを持っていれば、アドレス登録だけでログインできるようにした。今後メルカリからの送客などでユーザー数の拡大を狙う。

メルカリからの送客と聞くと、ユーザーを食い合うのではないかという疑問も生まれる。松本氏は「社内でそんな議論はあった」としつつ、「だが市場は大きいので、取れるならば取っていくほうが早いと考えた。後は仕様的に近所(遠くても「バス圏内」だ)の出品しか見えないようにしている。競合するとしたら、『港区内の住人同士の売ります・買います』というものくらい」と考えているそうだ。

また、基本は「会って、手渡し」という世界観を目指しており、決済システムを用意する予定は直近ではないようだ。そうなると、売ります・買いますという相手の信頼性が気になるところだが、「メルカリでの評価情報を始めとして、信頼性をグループでどう作っていくかは課題。カスタマーサポートもメルカリチームと連携してやっていく.CtoCは信頼できるかが大事だと考えている」(松本氏)としている。

マネタイズについては当面は検討せず、まずはサービスの拡大に努める。「数百万ダウンロードを実現しないとプラットフォームにはならないので、まずは拡大に注力する。将来的には掲載順位課金などもできると思うが、アクティブなサービスになってから。メルカリも数百万ユーザーになってからマネタイズを始めた。遅くはない」(松本氏)

フリマアプリのメルカリ、今度は84億円の大型資金調達——評価額10億ドル超の日本発ユニコーンに

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2月29日にLINEがフリマアプリ「LINE MALL」のサービス終了(5月末)を発表したのは驚きだったが、フリマアプリで先行するメルカリがさらに驚くような大型の資金調達を発表した。メルカリは3月2日、三井物産、日本政策投資銀行、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合および既存株主のグロービス・キャピタル・パートナーズ、World Innovation Lab(WiL)、グローバル・ブレイン、経営陣を引受先とした第三者割当増資による総額約84億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

メルカリが外部から調達した資金は合計126億円に上る。もちろん金額だけでその是非を比較する話ではないが、資金調達ラウンド単位の調達額としてはgumiの50億円(2014年7月)という数字を超えており、僕が知る限り、ITスタートアップとしてはここ数年でもっとも大きい額だ。バリュエーション(評価額)は公開していないが「ビリオン(10億ドル=約1130億円)を超える」(メルカリ取締役小泉文明氏)という。つまり、日本発のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場IT企業)が誕生したわけだ。

同社が提供するフリマアプリ「メルカリ」のダウンロード数は日米合計で3200万件(日本:2500万件、米国:700万件)、米国でも現在コマースカテゴリで10位以内をキープしているという。月間の流通額は国内で100億円超、2015年末には、黒字化についても明らかにしている

メルカリでは調達した資金をもとに、国内外の事業拡大を進める。まずは海外を優先するとのことで、米国でのマーケティング活動なども積極化。また、イギリスでも現地オフィスを立ち上げており、ヨーロッパ参入の準備を進めるという。「海外でのマーケティングは『飛び道具』的なものは存在しないので、きちんとやっていく」(同社)。また国内でも採用に向けた施策を強化するほか、BASE同様の資金投資、M&Aも積極的に行うとしている。さらに子会社のソウゾウでは、先日紹介した「メルカリ アッテ」をまもなく正式ローンチする予定だ。

実はこの数カ月、メルカリが上場準備を進めているのではないかという噂も業界内では流れていた。これについて改めて聞いてみたが、「上場するという選択肢よりはフレキシビリティを持って動いている」(メルカリ執行役員CFOの長澤啓氏)とのことで、今回VCや事業会社からの資金調達を進めたという。