Raspberry Piの公式スターターキットがついに出た、売上台数は1000万を突破

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Raspberry Pi Foundationがやっと、その低価格マイコンの公式スターターキットを発行した。それは、同社曰く、Raspberry Pi 3 Model Bの“どこに出しても恥ずかしくない特別製品”、となり、Apple的な白を生かした光学マウスとキーボード、システムの立ち上げに必要と思われるありとあらゆるケーブル類、などが含まれている。唯一欠けているのは、スクリーンだ。

Piの公式スターターキットはイギリスではFoundationの代理店であるelement14RS Componentsからオンラインで99ポンド(+付加価値税)で買える。世界のそのほかの市場は、“数週間後”だそうだ。Piのもともとの構想は、子どもたちがハードウェアの面倒な使い方を試行錯誤で体験しながらプログラミングをおぼえる、というものだったが、それが今度のように‘箱から出せばすぐ動く’というプラグアンドプレイ型になってきたのは、Foundationとしては一種の革命だ。

立ち上げから4年半となる現在、シングルボードマイコンのPiは1000万台あまり売れ、Foundationは、ケーキの上に最後に飾るいちごのような、プロジェクトの総仕上げとして、その美麗なスターターキットを構想したのだろう。未来の、一層の幸運を祈ろう。昨年の2月にPiは、売上500万台に達した。しかしその後11月に、5ドルという超低価格のPi Zeroを出したことが、需要の伸びを一挙に加速したようだ。

そしてそれが伸びた方向も、Foundationの最初の構想を激しく逸脱している。今では、プログラミングを学ぶ児童生徒たちだけでなく、さまざまな電子製品のメーカーや独創性豊かなスタートアップたちが、Piをベースに何かを作っている。今回のスターターキットは、西欧世界の電子工作愛好家だけでなく、超安価なPiが広まっている途上国市場にとっても、ふさわしいものだ。

これまでは、公式スターターキットの不在を好機ととらえて、Kanoのような企業がPiを主役とする教材キットのような製品を市場化してきた。それらは、ゲーム的な要素を含むプログラミング教材だ。だから公式スターターキットが出た今後も、いろいろと変わった趣向を盛り込んだ教材的玩具的製品に、十分な市場機会があると思われる。特殊な、ニッチ的需要も、きっとあるだろう。

Piの公式スターターキットには、次のものが含まれている:

  • Raspberry Pi 3 Model B
  • 8GB NOOBS SDカード
  • 専用ケース
  • 2.5Aマルチリージョン電源
  • HDMIケーブル、1メートル
  • 光学マウスとキーボード、キーボードは高品質シザースイッチアクション
  • Adventures in Raspberry Pi Foundation Edition一冊

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

30台のRaspberry Piがカメルーンの田舎の中学校でコンピュータ教育に使われる

マイクロコンピュータRaspberry Piは発売後の1年で、合計100万台がメーカーたちや、電子工作マニア、親たち、子どもたちの手に渡った。子どもたちをコンピュータ科学に入門させるための教育玩具として作ったものが、こんなに広い層に売れるとは驚きだ。Pi Foundationはとくに、イギリスの子どもたちがこれでプログラミングを初体験することを意図していた。でもPiの力は実際には、最初に考えた使命よりも大きい: カメルーンでは、Piが中等学校のコンピュータ教育で使われているのだ。

Pi Foundationのブログのゲスト記事で、ベルギーのボランティアが書いている。彼らは資金を募り、30台のPiをスーツケースに詰め込んでカメルーンへ行き、コンピュータ教室を作った。ディスプレイとキーボードとマウスは、ベルギー国内で買った。このPiを使ったコンピュータ教室は、まだ電気が来ていない田舎なので、自家発電を使っている。

その学校、Saint Marcellin Comprehensive Collegeは、カメルーンの北西部のNkambeに近いBinshua村にある。今現在は、Piを使ってオフィスソフトの使い方を教えているが、ねらいは子どもたちにプログラミングを教えることにある:

OSは12月時点のRaspbian〔Raspberry Pi用のDebian Linux〕で、その上にLibreOfficeとCUPSをインストールしている。今は子どもたちにOfficeの使い方の基本を教えているだけだが、先生にはすでにScratchによるプログラミングを教えたし、良い本もあげた。だから次からは、学校のカリキュラムにScratch入門が入って欲しいと思う。

このコンピュータ教室にはまだインターネット接続がないが、この状況もベルギー人たちが変えようとしている:

コンピュータはすべてネットワークに接続している。ネットワークの中心はルータで、それはWANのモデムに接続されるのを待っている。近い将来にはインターネットへの接続を提供したいが、そうなるとこの田舎に小さな革命がもたらされるだろう。インターネット接続のない今でも、この未開発地域に相当高度なコンピュータ教室を作った、とわれわれは自負している。この地方の子どもたちに、より良き未来を切り開く力と機会を与えた。それこそが、われわれの動機だったのだ。

この、小さくて安くて低能力なマイクロコンピュータは、開発途上国の人たちに初めてのコンピューティング体験を与えることができる。Piのハードウェアは多くの場合、携帯電話よりも安い。スマートフォンよりも、もちろん安い。スマートフォンはこれまで、“次の数十億人”に最初のコンピューティング体験を与える、と持て囃されてきた。またPiは、そのほかのLinuxベースのローコストコンピューティングプロジェクト(たとえばOLPCXO laptop)よりも相当安い。もちろん、周辺機器の価格も考慮に入れる必要はあるが。

下のビデオでは、教師が生徒たちにPiを紹介している。彼女はMicrosoftのWindows OSの名も挙げているが、その言及は同社の人たちを喜ばせないだろう: “この小さなボックスはWindowsオペレーティングシステムでは動きません。別のタイプのオペレーティングシステムで動きます。それはLinuxといって、とっても人気があり、しかも無料です”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))