フランスJoueのクラウドファンディングMIDI電子楽器に廉価版が登場

MIDIコントローラーのJoueは1月にも取り上げたが、そのときは同社がCESのピッチオフ(売込み大会)に出て優勝する直前だった。CESにはほかにも、クラウドファンディングを利用する楽器スタートアップが数社出ていたが、どれもなかなか良かった。

今週このフランスのスタートアップは、社名と同名のモジュール構造のMIDIコントローラーについて、もっとユーザーフレンドリーなバージョンであるPlayのKickstarterキャンペーンを立ち上げた。前にも書いたように、このシステムはSenselのMorphシステムと操作が似ていて、タッチインターフェイスに貼り付けたシリコンのパッドがさまざまな楽器を模倣する。ドラムやピアノ、ギターのほかに、電子楽器のインターフェイスにもなる。

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今回のニューバージョンはモバイルアプリを利用して、次のようなことを実現している。

  • 楽器は中央の円に集まっている
  • タイムラインが音楽イベントの並びをわかりやすく示す
  • ミキサーで各楽器のボリュームを調節できる
  • パッドから直接レコーディングできるので反応性が良い

iOSとmacOSとWindowsで使えるアプリが付いているだけでなく、前の機種よりも100ドル安い(Kickstarterのページ)。この価格で、ボードと5枚のシリコンパッドが提供される。なかなか、 うまくできているし、最初の製品よりも広い層に受けそうだ。前作もそれなりに人気があったが。

残念ながらこのデバイスは、みんなが家に閉じ込められている時期には手に入らない。発売の予定は10月だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

なぜAWSはMIDIキーボードを売って機械学習を教えようとするのか

今週の初めにAWSは、AIを勉強して音楽を作るウェブ上の一連のツールと、メロディーを入力するための99ドルのMIDIキーボードを組み合わせたDeepComposerをローンチした。しかしそのローンチはかなりの混乱を招いたので、私たちはAWSのAI DevicesグループのディレクターであるMike Miller(マイク・ミラー)氏に会って、DeepComposerが同社の一連のAIデバイスの中でどんな位置づけになるのかを聞いてみた。そのほかのAIデバイスとしては、DeepLensカメラAIカーのDeepRacerなどが挙げられるが、どちらも、AIの特定のコンセプトをデベロッパーに教えることが目的だ。前者は画像認識、後者は強制学習に特化している。

まず重要なのは、DeepComposerが学習ツール(教材)であることだ。ミュージシャンではなく、生成AIについて学びたいエンジニアが使う。「世界初のデベロッパーのための機械学習対応の音楽用キーボード」というAWSの説明はあまり理解の助けにならないが、キーボードそのものはごく普通のMIDIキーボードだ。それ自身に人工知能はない。AIの仕事はすべて、クラウドで行われる。

ミラー氏は「目標は生成AI(Generative AI)を、機械学習の最近10年間の最も興味深いトレンドとして教えることだ。具体的にはそれはGANs(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)のことで、2つのネットワークが一緒に訓練される。我々から見て興味深いのはそれが極めて複雑で、デベロッパーが2つを一緒に訓練するとき、機械学習のモデルの訓練に関するいろんな要素が絡み合っているからだ」と語る。

DeepComposerを使ってデベロッパーは、学習の基礎的な過程を一歩一歩学んでいく。キーボードから単純なメロディーを入力できるが、実際はそれをする必要はない。画面上のキーボードから第九交響曲の歓喜の歌などのデフォルトのメロディーを入れてもいい。そしてデベロッパーが曲調を指定すると、そのメロディーに合った伴奏をシステムが生成する。物事を単純化するためにこのシステムは、曲の速さや音の強弱など一部の要素を無視する。だからこれは、ミュージシャンが使う楽器ではない。しかしもっと重要なのは、デベロッパーが、システムが生成したモデルを調べられることだ。それらをJupyter Notebookにエクスポートすることもできる。

DeepComposerの目的にとってMIDIデータは、デベロッパーにGANsとSageMakerについて教えるためのデータソースの1つにすぎない。後者のSageMakerは、楽屋裏でDeepComposerを動かしているAWSの機械学習プラットホームだ。

ミラー氏によると「MIDIファイルを訓練用に使うことの利点は、訓練に使うデータの表現が、画像などの中のデータ表現と同じ形式であることだ。だからとても使いやすく(画像などとの)類似性がある。デベロッパーがSageMakerのnotebookを見てデータのフォーマッティングとその渡し方を理解すると、それを他の分野にも応用できる」とのこと。

そこでこのツールは、損失関数やアナリティクス、そして受容できる結果を得ようとしてトライしたときのさまざまな結果など、あらゆる生データを露出する。当然ながら音楽を作る道具でもあるので、ピッチや空の小節など、音楽に関するデータも露出する。

「デベロッパーはSageMakerのモデルを学ぶと思うので、音楽ではない他の分野への応用でも、自分で比較的楽にモデルを作れるようになるだろう」と同氏は語る。

これまでの結果を聴いたかぎりでは、DeepComposerからヒット曲が生まれることはないだろう。ドラムスのトラックは上手だが、ベースラインにはエラーがある。でも、機械学習のテクニックのデモとして見ればなかなかクールだ。個人的感想としては、DeepRacerほどの人気者にはならないだろう。DeepRacerは単純明快だから、多くのデベロッパーが気に入りそうだ。それに対し楽器の演奏は、苦手な人は苦手だろう。

追加記事提供:Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Kickstarterで話題を集めたINSTRUMENT 1の出荷が開始された

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Chapman Stickの腹の中に山ほどテクノロジーを詰め込んで、そのお尻にUSBケーブルを挿せば、INSTRUMENT 1ぽく見える何かが手に入る。これはArtiphonによって開発された、全く新しいタイプの楽器だ。7桁の金額に達するKickstarterキャンペーンで資金を調達して、ついに楽器の出荷が始まった、皆がそれでどんな音楽を創ってくれるのか、待ちきれない思いだ。

このキャンペーンは、何度も挫折と遅延を経験した。多くはお馴染みの問題だ:プロトタイプから大量生産品に移行することは本当に大変なことなのだ。数日前のKickstarterの支援者への手紙で説明されたように、特に、製造パートナーとどのように協業するかがとても難しかった。しかし、その問題も最早過去のものであるようだ。そして今やINSTRUMENT 1は、400ドルという驚くべき安価で入手可能である。

楽器が実際に何であるかを説明するには、触ってみることが1番だ。これはギターやキーボードのように演奏できるが、圧力感知器と加速度計を内蔵しているので、さらなる創造性のレイヤを重ねて行くことができる。まずは、ただ以下のビデオを観て、ミュージシャンたちが戸惑いながらも同時に豊かな創造性への興奮に浸る様子から雰囲気を掴んで欲しい。

楽器を演奏する際には、サウンドを選択したり、チューニングなどを行うことを助けてくれるコンパニオンアプリを利用することができる。またこれは、MIDI互換でもあるため、GarageBand、Animoog、SampleTank、Ableton Live、ProTools、Logic、Maistage、その他沢山の、クリエイティブな音楽制作のためのモバイル並びにデスクトップアプリの膨大な資産との互換性がある。

この製品をどう考えれば良いのかは、実のところとても難しい。実際、最初にそれを試すプロミュージシャンたちの様子はかなり面白いものだ。彼らは創造的な可能性がどこかに秘められていることは認識しているが、この新しい楽器をしっかりと身につけるには明らかな学習曲線が横たわっていることにも気がついている。

INSTRUMENT 1は、急な学習曲線だけでなく、潜在的に無限の創造性を発揮します。

INSTRUMENT 1は急峻な学習曲線だけではなく、潜在的に無限の創造性も提供する。

これを使って演奏することが許されていない曲は「天国への階段」だけだ。天国への階段が、許されないなんて! OK、冗談だ、もちろんできる。そしてこれはINSTRUMENT 1の多様性を見事に示している。

いくつかの初期のレポートは、INSTRUMENT 1が万能選手(jack of all trades)であることを示している。それがミュージシャンたちの、新世代の主要楽器になる日も来るだろうか。とても待ちきれない思いだ。クリスマスへの絶好のタイミングを前にして、この小さくて美しい楽器が、世界中の多くのギークなミュージシャンの今年のウィッシュリストに載ったとしても驚きではない。

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(翻訳:Sako)

Chrome 43(ベータ)は外付けMIDIキーボードをサポート、新たなパーミッションAPIも

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WebのAudio APIを使った楽器のWebアプリケーションを、すでにいくつかご存知だろう。しかし今度のChromeはWebのMIDI APIをサポートしているので、それらの楽器アプリケーションや音楽アプリケーションがMIDIにも対応していれば、MIDIキーボードをブラウザにつないで演奏ができる。

ブラウザがユーザのお気に入りのデジタルオーディオワークステーションに取って代わるとは思えないが、しかしこれによってデモなどが楽しくなるし、Audio APIを使ってみたくなるデベロッパも増えるだろう。

今度のChromeのもうひとつのビッグな機能は、Permissions APIだ。これまでは、ユーザの位置を必要とするサイトにアクセスすると、Chromeはただちに、ブラウザのウィンドウの上部に小さなリクエストを出した。それがどんな、何の、サイトかまだ分からない時点でも。しかし今度からは、デベロッパが(サイト〜Webアプリケーションが)パーミッションのステータスを調べたり見たりできる。Googleによると、“これによってサイト側のコンテキストの中でパーミッションを求めることができるので、ユーザ体験が改善される”、という。

Chrome 43はまだベータだが、デベロッパがレガシーなサイトでセキュアなHTTPSのリクエストとセキュアでない接続をミックスできる新しい方法が提供される。“変更できない大量のレガシーのWebコンテンツをHTTPS化するのは大仕事になる。リンク先がセキュアでないリソースだったら、いちいちウォーニングが出たりする”、とChromeのチームが今日(米国時間4/16)書いている。今度の新しい機能により、セキュアでないリクエストを、ダウンロードが始まる前に自動的にセキュアなリクエストにアップグレードする。ユーザは安全になるし、混成コンテンツに対するウォーニングも出なくなる。

今日のアップデートに関する詳しい説明(changelog)はここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa