料理写真共有サービスmiil、リピーター数をもとにした飲食店ランキングを提供

5月の代表変更以降、サービスを「食を通じたコミュニケーション」のためのものと再定義した料理写真共有サービス「miil(ミイル)」。ユーザー数は33万人と決して大規模なコミュニティではないが、女性ユーザーを中心にして、月間40万枚の写真が投稿され、「食べたい!(Facebookの「いいね!」に相当)」は月間で900万件も付く。

6月に運営元のミイル代表取締役である大下徹朗氏に話を聞いたところ、今後はユーザーを拡大しつつ、有料オプション(月額300円)と食品EC支援事業、広告でのマネタイズをするとのことで、有料オプションについては機能を強化すると言っていた。その有料オプションの新機能「リピ店(リピテン)」が7月23日に発表された。iOS版のみでサービスが提供されており、Android版については8月以降の提供となる。

リピ店による「渋谷駅徒歩10分、焼肉、夜、予算指定なし」での検索結果

リピ店は、飲食店のランキング表示および検索機能だ。miilでは以前から飲食店の検索機能はあったのだけれども、それを改善して、ユーザーの写真投稿頻度をもとに「リピーター」を算出するようにしたそうだ。そのリピーターの多さをベースにして、独自の飲食店ランキングを表示、検索できるようになる。

その飲食店に一度しか訪れたことがないユーザーは、ランキングへの寄与度が低い。そのため、例え来店者が多い(=miil上で写真の共有が多い)飲食店であっても、ランキング上位には表示されにくくなる。一方で、異なる日付で同じ飲食店に複数回来店しているユーザーが多い場合はランキングの上位に表示されやすくなるのだそうだ。

常連がつくことがランキングに寄与するということで、オープンしたばかりの飲食店を発見するのにはちょっと向かない気もする。ただ、「常連さんが多い飲食店は良い飲食店」ということであれば信頼もできるし、何より飲食店選びに失敗するようなことはなさそうだ。飲食店を検索する際、食べログやRettyといったサービスを思い浮かべがちだが、匿名のユーザーによるレビュー、実名のユーザーによるレビューという基準ではなく、「常連がついているかどうか」は飲食店選びの新しい基準の1つになるのではないか。

リピ店の一部の機能(詳細な検索条件の指定など)は有料オプションでの提供になるが、8月10日までに限定して機能を無料で提供する予定。ミイルでは今後も有料オプション向けの機能を拡充するとしている。


実は女性8割のコミュニティになっていた料理写真共有サービス「ミイル」、体制を刷新して再始動

自分で作った料理や飲食店で食べた料理の写真に、美味しく見せるフィルターをつけてアップロードして交流する写真SNS「miil(ミイル)」運営のミイル。2013年に創業者だった中村仁氏が代表取締役を退任し、取締役だった高橋伸和氏が代表に就任。さらに2014年5月にはミイル(当時の社名はFrogApps)が創業期に出資を受けていたサイバーエージェント・ベンチャーズの元取締役である大下徹朗氏が代表となった。

先日代表に就任したばかりの大下氏に会ったところ、今後はミイルを「食を通じたコミュニケーションサービス」と再定義してサービスを展開するといった話を聞くことができた。

ミイルの登録ユーザーは現在32万人。そのうち8割は女性ユーザーで、中でも10〜20代のユーザーが6割を占めるのだという。月間で40万枚の写真が投稿され、Facebookの「いいね!」に相当する「食べたい!」は月間で900万件も付く。写真をきっかけにしたコメントのやりとりも多い。「料理は大変な家事。だがそれが作品や趣味として楽しめるようになっている」(大下氏)

ミイルがサービスを開始した当初、「スマホ時代のぐるなび、食べログ」の座を狙う料理写真共有サービスが複数あった。その多くは最近話題をあまり聞かなくなったのだが、ミイルはそういった店舗検索のサービスではなく、料理好きな女性に刺さるコミュニティとして成長していたようだ(その一方で、レストラン検索機能なども強化する予定があるそうだが、これは有料オプションとなるらしい)。ただまだユーザー数は30万人弱、まだまだ伸びしろはありそうだ。

そんなミイルは6月16日、「アンバサダー制度」を開始。あわせて、認定アンバサダーによる食品EC支援事業を開始した。

食品EC支援事業では、miilのアクティブユーザー数人を「アンバサダー」として認定。クライアント企業の商品をそのアンバサダーに無償で提供して、その商品を使ったメニューなどの投稿を促す。クライアント企業やミイルがアンバサダーへ金銭を支払うことはせず、いわゆる「ステマ」にはならないようにする。そのほかミイル内に「おとりよせショップ」を設置して、アンバサダーや商品購入者による写真の投稿や生産者による写真の投稿、ECサイトへの誘導などを進める。第1弾として、新潟県のカガヤキ農園と提携して事業を展開する。ミイルでは今夏中にも5件程度の提携を狙う。