やわらかい指先を持ち、指先の変形を視覚的にフィードバックして細かい作業を精密に行うロボット、MITのBaxter

ロボットにも愛が必要だ。そこでMITの研究者たちはロボットのBaxterに触圧センサをつけ、やさしい愛撫や、やわらかい握手ができるようにして、愛し愛されている実感を持たせることに成功した。というのは嘘だが、でもBaxterは製造業の工程で利用されて、反復的な作業を行い、そのとき、物をつかむ指先に感圧パッドをつけることにより、動きのやさしさ、優雅さ、繊細さを実現する。

その視覚的なセンサはGelSightと呼ばれ、ロボットの‘はさみ’に、高度な感受性を与える。はさむ力を継続的にフィードバックすることにより、USB充電器のソケットへの差し込み(上図)や、卵を割らずに持ち上げることなどができる。はさみの先端の機構室が薄いゴムで覆われていて、内側からカラーLEDで光らせる。そのゴム膜は表面が反射性の塗料で塗られており、物を握ろうとしたときの変形をセンサに伝える。そしてその変形の過程から、はさみにとっての対象物の位置と、それに加えられている力を計算する。

MITの視覚科学の教授Edward Adelsonは、“自分の子どもたちを見ていて触感に関心を持った”、という。“子どもたちが視覚の利用方法を覚える過程に魅了されるだろう、と期待していたが、実際にもっと魅了されたのは彼らの指の使い方だ。でも自分の専門は視覚なので、指に来る信号を視覚的に見るためには、運動や触覚を表す信号をビジュアルな信号に変える方法を見つける必要があった。像として見えれば、その扱い方もわかるからね”。

つまり彼は、何千もの小さな感圧センサをはさみの指先に敷き詰める代わりに、ゴム膜の変形という形(光センサへの距離)を“見る”システムを作ったのだ。ゴムは、接触しやすい指先パッドにもなる。

しかもセンサの感度(精度)はミリメートル単位だ。すなわち:

“Plattの実験では、MITのRethink Roboticsから派生したBaxterロボットには指が2本のはさみがあり、その片方の先端にGelSightセンサがついている。ありふれたコンピュータビジョンのアルゴリズムを使って、そのロボットは、ぶら下がっているUSBプラグを認識し、それをつかもうとした。まず、USBプラグとはさみとの位置関係を、プラグに浮き彫りになっているUSBのシンボルから把握する。ロボットがプラグをはさむ位置で、二次元の各次元にそれぞれ3ミリの変差はあったが、それでもUSBプラグをUSBポートの挿入することができた。ポートが許す変差は、3ミリどころか、せいぜい1ミリ程度だったのに。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MITの電動四足ロボットはチータのように駆ける

上のビデオでご覧のとおり、MIT(マサチューセッツ工科大学)のフットボール競技場を電動の四足ロボットが軽快に走り回っているというのは驚くべき光景だ。Cheetah(チータ)と名付けられたこのロボットは、Boston Dynamicsが開発したBig Dogの弟分というところだが、外部動力源なしに時速48kmで走ることができる。

CheetahはMITのバイオミメティクス(生体模倣)・ラボが開発中の複雑な地形を自由に移動できる軽量で強力かつ電動の四足ロボットだ。このグループが開発した高トルク高密度アクチュエーターというテクノロジーにより金属骨格に損傷を与えることなく脚を精密に高速駆動することが可能になったという。このロボットの外骨格は本物のチータの骨格をモデルにしているという。本当に生体模倣テクノロジーであるわけだ。

ガソリンエンジンを動力とするBig Dogと違って、電動のCheetahは非常に静かで、軽快に見える。幸い、爪と牙は装備されていない―少なくとも、今のところは。

via ieee

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視力に応じて自動的に表示を調節するMITのテクノロジーで老眼鏡がいらなくなる

MIT〔マサチューセッツ工科大学〕の研究者グループはカリフォルニア大学バークレー校と協力して、ユーザーの視力に合わせて自動的に表示を調整するテクノロジーを開発中だ。これが実用化されれば、たとえば、老眼鏡をかけなくてもスマートフォンやカーナビの表示が読めるようになる。

この視度対応ディスプレイには裸眼3Dテクノロジーが応用されている。ただし3D表示とは異なり、左右の目に対して異なる像を表示するのではなく、それぞれの瞳孔の異なる部分に向けて少しずつ異なる像を表示する。これによって水晶体の焦点距離が補正され、網膜に正しい像が結ばれるようになる。その代償として解像度が若干低下するがこれはさほど大きなものではない。しかし、瞳孔の特定部分に光を送るために微細なピンホールを利用しているため表示の明るさは大幅に低下する。そういう難点はあるものの、十分に商用化可能なテクノロジーだ。

このディスプレイの用途についてMITのチームは、主として遠視として現れる加齢に伴う視力低下の補正に特に有効だろうとしている。2焦点、あるいは多焦点レンズのメガネをかけないとカーナビが読めない老眼の人々に、そういうわずらしいメガネがいらなくなるわけだ。

このテクノロジーがKindleのようなタブレットに組み込まれたら素晴らしいだろう。私自身もいずれ2焦点メガネが必要になるはずなので、それまでにこのディスプレイが実用化されていることを切に願うものだ。

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アイスクリームを成形プリントする3DプリンタをMITの学生が開発


[三度目のテストでやっと成功]

もうすぐ、3Dプリントを利用した家庭用ソフトクリーム製造機が買えるようになる。MITの三人の学生、Kyle HounsellとKristine BunkerとDavid Donghyun Kimが作った家庭でアイスクリームを作る3Dプリンタは、ソフトクリームを押出成形したらすぐにそれを冷凍するので、冷やしたお皿におしゃれに盛り付けることもできる。

そのシステムはまだ概念実証の段階だが、甘い甘いクリームから、かなり複雑な形でも作り出すことができる。Bunkerはこう説明する:

このプリンタを設計しようと思ったのは、3Dプリントという最新の技術で何か楽しいものを作り、とくに子どもたちの心をつかみたいと思ったからだ。新しい技術を生み出すことも重要だが、若い世代に科学や技術への関心を持ってもらうことも、それに劣らず重要だから、極端なことでもやってみたい、と思っている。


[Cuisinart製のソフトクリームサーバを改造, 台の下部が冷凍機(液体窒素容器は上部に)]

春学期にこのプロジェクトを始めた彼らは、まず星の形をプリントするところまでこぎつけた。まだ商用化する意思は彼らにないが、でも実用性は十分にありそうだ。

“このマシンを作ってるときは大量のアイスクリームを食べた。とくに、二日間徹夜したときには、夜中の間食も朝食もアイスクリームだった。でも、とっても楽しいプロジェクトだった”、と彼女は言っている。

彼らはJohn Hart教授のクラスで食品添加物について勉強している。プリンタの製作も勉強の一環だ。Solidoodleの3Dプリンタを使って、受け皿と押出成形をコントロールし、成形されたアイスクリームを液体窒素で冷凍する。そこがうまくいかないとアイスクリームは溶けて、甘い液のプール、食べられる悲惨ができあがる。アイスクリームが大好きなぼくは一度に3ガロンも食べることがあるぐらいなので、このマシンはぼくの頭の中でも3Dプリントしまくっていた。



[上の図の現物写真]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


剛体から軟体に変化し、狭い穴でもするりとぬけられるロボットをMITが開発

近未来のロボットは、映画「ターミネーター」のT-800 Model 101ではなく「ターミネーター2」に登場するT-1000みたいになるかもしれない。MITのチームが開発した相が変化する素材は、ワックスとフォームという平凡な材料を使用しているが、剛体から軟体まで随意に変わることができる。低コストのロボットにも使えるので、形を変える性質がロボット掃除機やロボット暗殺者などにも応用できるだろう。

この素材を作った機械工学と応用数学の教授Anette Hosoiは、教え子のNadia Chengやそのほかの研究者とチームを作っている。今後の可能性としては、たとえば、内蔵や臓器、血管などに形を自在に変えながら入り込んでデリケートな手術を行うロボットなどが考えられる。MITのニュースによると、倒壊した構造物の中に入って生存者を探すロボットもあり、ということだ。


クレジット: 制作–Melanie Golnick, MIT News; ビデオ素材提供–Nadia Cheng.

このプロジェクトはGoogleが買収したロボット企業、マサチューセッツ州のBoston Dynamicsで開発が行われている。最初それは、DARPAの助成金による化学ロボット(Chemical Robots)の研究事業で、狭いところへもするりと入り込める蛸のような能力のあるロボットの開発を目指していた。工学的レベルでの最大の課題は、ぐんにゃりとした軟体でありつつ、対象物にしっかり力を加えることのできる素材を作り出すことだった。それが可能であるためには、剛体と軟体とのあいだで相変化が可能な素材でなければならない。

このたびHosoi教授らが開発した素材はワックスを利用し、そこに加熱用のワイヤが血管のように通っている。加熱されると柔らかく、冷めると硬い。この構造には、剛体のときに受けたダメージを自動修復する利点がある。まさにT-1000のように、ロボットは平面状態から起き上がったり、深い傷でも治ってしまう。

この素材は、いわゆる液体金属ではないが、しかし研究者たちは、今後のバージョンではワックスではなく、半田や白鑞(しろめ)のような強度のある材料を使えるだろう、と考えている。T-1000も、原料は一種の石なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


撮影用照明ドローン、MITとコーネル大で研究中

いったい空飛ぶクワッドコプターに出来ないことはあるのだろうか?MITおよびコーネル大学の研究者らは、空飛ぶ撮影用照明システムを作った。露出計、カメラフラッシュ、連続照明を備え、フォトグラファーはどんな角度からでも完璧なショットが撮れる。

ロボットは、ホバーリングしながら被写体の位置と撮影者の位置を考慮して、極めて厳密なライティングで被写体を照らすことによって、完璧なスナップショットを撮ることを目的にしている。

このシステムは、「rim width[リム幅]― 照らされた被写体の縁の理想的な幅」という考えに基づき、「動きのあるショットでも繊細なリムライティングを可能にする」。この照明効果は、写真ハウツーサイトによると、背面照明あるいはヘアーライトなどと呼ばれることもあり、被写体の後方から照明を当て、光の輪隔を作るものだ。

もちろん、いつでもリムライティングが欲しいわけではないので、もう少しバラエティーに富んだ写真を撮れるよう、ヘルパーロボットを訓練できるものと思いたい。これは、ロボット飛行体がいかに人間と一緒にスムーズに働けるかを示す、コンセプト証明でもある。

「苦労したのはUAV[無人飛行体]の非常に複雑な動きと、照明推定のフィードバックだった」と研究者のFrédo Durandは言った。「われわれはそこに力を注ぎ、ドローンが飛び続けるために必要な非常に高速な状態でも動作するように、またライダー[レーザー式レンジファンダー]や照明推定システムから来る情報を確実に処理できるようにした」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


写真撮影スタジオのライティングを無人機(ドローン)にやらせてプロカメラマンの生産性を大幅アップ

MITで行われている研究は大胆不敵で、人をあっと言わせるものが多い。この、無人機の編隊を使った写真撮影用の自動照明装置も、その例外ではない。プロトタイプは8月に行われる、「グラフィクスと視覚化と画像処理におけるコンピュータ利用の美学」(Computational Aesthetics in Graphics, Visualization and Imaging)に関する国際シンポジウムでデモされるが、それは軽量の無人機を一機だけ使ってバックライティング(逆光照明)を作り出し、被写体の縁(ふち)の部分の光を強調する。

初期のシステムでは、写真家が照明が及ぶ範囲(幅)を指定すると、無人機が適切な位置に空中停止して適切な照明を作り出す。また、照明==無人機の三次元の位置を、写真家はリアルタイムで調節できる。そしてまた、位置調整を、人間などの被写体の動きに自動的に合わせることもできる。これにより、ライティングの微妙な変化による大きな写真的効果を作り出すことができる。

設計者の一人Manohar Srikanthによると、無人機をコントロールするコンピュータに毎秒20回の撮影をさせることにより、これまで写真家自身が(==カメラが)あちこち動いて検討していた構図の決定を、より効率的にできるようになる。コンピュータが撮ったそれらの写真はカメラのメモリには保存されず、コンピュータのストレージに保存される。量が多いためカメラ本体への保存は無理だ。

このシステムの将来のバージョンでは、複数の無人機をコーディネートしながら飛ばし、より複雑な照明効果を作り出す。複数の照明器具のセッティングは、いわゆる‘組み合わせ’の数が膨大なので、人間が手作業でやると、膨大な試行時間を費やした挙句、最高の美を得るためには天才的な勘の助けを借りなければならない。それを複数の無人機の編隊と、それらに対するコーデネイションプログラムがやれば、相当な費用と時間を節約できる。プロの写真家たちの、生産性も上がるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


小鳥のように電線の上にとまって電力を補給するドローン(無人機)が可能に

ドローンが飛んでるとき、電池の寿命が尽きたらどうなるだろう? 今のクァドコプターなら、頑張って基地に戻って充電してもらうか、または落下する。でも、第三の方法として、“空中給電”が議論されている。ドローンが電線の上に停泊して電気を盗み、飛行を続けるのだ。

問題は、ドローンを電線の上にとまらせる方法だ。そう、鳥の真似をする。小鳥が木の枝や電線にとまるように、ドローンをとまらせるのだ。

回転翼機はホバーリングができるから、正しく操縦すれば電線の上に停止できる。でも、固定翼の航空機はどうするか? 電力線のまわりの磁界を感知して、巧みな自己操縦をする。MITの研究者たちが作った、軽量で投げることもできるロボットは、どこにでも、指定した場所に正確に“着陸”できる。そのとまり方は、電線の上にとまる鳥に似ていて、意外にもかわいらしい。

Joseph MooreとRick CoryとRuss Tedrakeが書いた論文には、その概要が説明されている。機は複数のセンサとモーターを利用しながら空中停止を開始し、機首を上げ、フックを正しい位置に移動する。あえて複雑難解な操作を避けているため、このシステムは必要とする機器もごく少なく、軽量のドローンにも実装できる。ドローンは小鳥のように停泊し、電力をたっぷり食べたら、再びエンジンを始動して飛び去っていく。

この技術のせいで、電気を盗む大量のロボットカラスの群れが現れるとは思わないが、無人機の“無人”性を一挙に高める技術としてなかなか魅力的だ。これなら、人間がミッションを一度入力してやれば、あとは完全に自助努力で長距離を飛び続け、使命を終えたら自力で帰還するだろう。飛べるだけでなく、空中停止もできるロボットは、ぼくも大歓迎だ。

出典: Spectrum, 画像出典: Fotopedia

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MITのBitcoinクラブ、在学生全員にBTC 100ドル分を配布

Bitconがもらえる! そう、MITの学生は全員bitoinをもらえる。MITの大志ある学生たち、コンピューターサイエンス学科2年生のJeremy RubinとMBA候補Dan Elitzerの2人は、50万ドル以上の募金を集め、MITの学部生4528人全員が100ドル相当のBTCを配ろうとしている。なぜか? 2人はMITの学生たちに暗号化通貨を教育し、来年までにキャンパス内の全店舗でBitcoinを使えるようにしたいからだ。

ElitzerはMITのBitcoinクラブの代表で、教育の機会を作ると共に、店舗がBitcoinを採用してMITの誰もがキャンパス内で使えるよう努力している。

「Bitconやその他の暗号化通貨は、個人データが新たなデジタル資産区分になる道を拓くものだ。MIT Bitcoinプロジェクトは、様々なデジタル資産区分を研究する基盤を提供する実に興味深い試みだ」と、支援者の一人で、MIT Kerberos & Internet Trust Concortium理事長のThomas Hardjonoがリリース文で語る。

学生たちがBitcoinを受け取るのは今年の秋で、それまでにキャンパスがBitcoin対応する時間は十分にあるはずだ。目標は、キャンパスにおけるBitcoin利用の試験台を作り、技術インテリ上流階級の間で流行させることだ。学生たちが怪しげなDogecoinにひっかからないためにもなるだろう。

もう少し詳しい説明はこちらで読める。果たしてこの秋、Bitcoinはケンブリッジのオタクたちの選ばれた通貨になるのだろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


指をさせば文字を読み上げてくれるMITメディアラボのFingerReader

(本稿の執筆はEvan Fleischer)

MITのメディアラボにて、Roy ShilkrotやJochen Huberらが「FingerReader」の研究を行っている。これを指輪のように指につけておくと、搭載されているカメラで印刷された文字を認識して、合成音声で読み上げてくれるものだ。オープンソースのソフトウェアに改造を加えて機能を実現している。

上のビデオでもわかるように、FingerReaderの音声は、機械的でやや聞き取りにくいものとなっている。あまり口を動かさずにもごもごと話しているような感じだ。もちろん開発者もこの点を十分認識していて、他の機能も含めてさらなる改良を行っているところだ。プラスチシン素材で作られている現在のFingerReader自体もまだまだ試験段階のものなのだ。現在のところでは重さは普通の指輪程度となっている。この指輪を付けた指で読みたいテキストを指すと、リングに搭載された小さなカメラが文字を認識して読み上げてくれる。

薬の入った小さな瓶や、雑誌などに掲載される野球の成績データほどに文字が小さくなると、さすがに読み取りはできない。しかし12ポイント程度の文字であれば、コンピュータ上のものでも認識して音声化してくれる。文字の書いてある部分から指が外れてしまえば、それを通知してもくれる。文字が書いてあるところに戻れば、再度、読み上げ作業が始まる。ここまでの説明を読んで「Reading Pen」を思い出した人もいることだろう。HuberおよびShilkrotは、リアルタイムのフィードバックが行える点でReading Penより優れるものだとしている。FingerReaderでは「行」を読み取りの対象としており、この点でも「単語」を読み取るReading Penとは異なるものだと主張している。

ShilkrotとPh.Dの学生にインタビューしたところ、FingerReaderは視覚障害を持つ人のみを対象としたものではないと述べていた。万人向けのデバイスとして進化させていく予定で、たとえば翻訳機能を持たせるというような方向性を考えているのだそうだ。視覚障害者専用のものでないというのは、障害を持つ人の心理的障壁を低める効果もあるのだとのこと。ちなみにイギリスの王立盲人協会(Royal National Institute of the Blind)が行った2011年の調査によれば、大活字版や音読版ないし点字版が用意されている書籍は、電子版も含めて全体の7%に過ぎないのだとのこと。大活字版を有効に活用できるデバイスが登場してくれば、これまでは大活字版などを考えたこともなかったような書籍も前向きに検討されるようになるかもしれない。

先にも記したように、FingerReaderは、直ちに市場に出てくるというものでもない。Shilkrotは、コスト面でもまだまだ実用には遠いのだと述べる。今のところは最終的にどの程度の価格で出てくることになるのか予想もできない段階ではある。製品はまだまだ発展の余地を多く残しており、さらなる小型化や、スタンドアロンのデバイスとしての進化も、またPCやスマートフォンとの連携を深める方向でもも、可能性が探られているところだ。

Video credit: FingerReader – Wearable Text-Reading Device from Fluid Interfaces on Vimeo.

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(翻訳:Maeda, H


小さく切って折り曲げられる画期的マルチタッチセンサーを開発中

MITのメディアラボとドイツのマックス・プランク研究所のチームが小さく切ったり、折り曲げたりできるマルチタッチセンサーを開発中だ。このセンサーはどんなに小さく切ってもマルチタッチ機能を発揮する。またさまざまな形状の表面に貼り付けることができる。

現在のデザインではセンサーの縦端と横端に設置された出力コネクタにタッチを感知する素子が格子状に結線されている。そのため端の部分が損傷すると広い範囲のタッチ情報が読み出せなくなる。この新しいセンサーでは素子がスター状に結線され、コネクタは中央に配置されている(ビデオ参照)。つまり端を切り取っても内側の素子の読み出し情報が失われることはない。たとえば長方形のセンサーの周囲を切り取って円形にしても作動するわけだ。

研究チームのSimon Olberding、Nan-Wei Gong、John Tiab、Joseph A. Paradiso、 JürgenSteimleは次のように書いている

このように切り落として自由に形状を変えることができれば、エンドユーザーがさまざまな物体、たとえばプロトタイプやペーパークラフトにさえ容易にマルチタッチ・センサーによる対話機能を与えることが可能になる。われわれは切断、破損その他の障害に対するセンサーの耐久性を向上させることができる新しいプリント配線のトポロジーおよびエラー訂正に関するテクノロジーを提案している。

研究報告書はこちら。布や紙にもマルチタッチ機能を組み込めるということだから、バンドにマルチタッチを組み込んだスマートウォッチや、それどころか、袖にマルチタッチ機能を組み込んだシャツが現れるかもしれない。

といっても今すぐに実用化されるわけではなさそうだ。今のところごく初期のプロトタイプ段階のようだが、大いに期待のもてるテクノロジーだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


MIT研究者グループ、外部動作部なしに自己組換を行うモジュラーロボットを開発

自分で構造を変えることのできるロボキューブ(robo-cubes)の登場だ。外部に動作部を持たずに自力で動きまわるようなものが出来るわけがないという意見もあった中、MITのリサーチサイエンティストがついに作り上げた。これでついに完璧版なリアルテトリスが楽しめるようになる(もちろん開発の目的なそのような用途ではない)。バラバラに散らばった状態から、自動的に秩序ある構造に組変わる。ドクター・フーに登場したダーレク(Dalek)の軍隊をつくって、他の惑星に送り込むようなことができるようになるかもしれない。

このロボキューブはM-Blockと名付けられている(上のビデオに動作の様子あり)。ひとつひとつのキューブを「モジュール」に見立てている(今のところは実用性はない)わけだが、外部に動作部がないのがとても面白い。動きの秘密は内蔵しているフライホイールにある(毎分2万回の速度で回転する)。これにより、他のブロックの上にのぼったり、ジャンプしたり、あるいは回転したりという動作が行えるようになっている。動作部どころか出っ張りも何もないキューブが自在に動くのは不思議な感じだ。動作部が存在しないことで、キューブがどちらを向いていても動作可能であるというのも大切なポイントだそうだ。

キューブには磁石も入っていて、それにより移動の方向を定めたり、他のブロックとぴったりと重なりあうように制御することになる。M-Blockの小さな一歩が、何かのきっかけで大きすぎるジャンプとなり、机の下に転がりこんでしまうようなことを防いでいるわけだ。もちろん、そうしてどこかに隠れることが目的であるのなら、そのように動かすこともできはする。ブロックの端の方は、回転運動中に磁石の力が届かなくなってしまわないように、面取りもしてある。

ロボットのモジュール化を進めるにあたって、外部の動作部を持たせないでおくというのは長年の目標だった。聖杯(Holy Grail)であったと言っても良い。エレクトリカル・エンジニアリングおよびコンピューターサイエンスの教授であり、かつCSAILのディレクターであるDaniela Rus曰く「モジュラーロボットを研究するコミュニティで、ずっと実現が夢見られていた技術です」とのこと。インタビューの様子も上のビデオで御覧いただける。「新たな仕組みを考えだす力と、諦めない忍耐力が今回の発明に繋がったと思います」。

「モジュラーロボットで目指しているのは、目的に応じて自身を組み立てたりあるいは組み替えたりすることのできるロボットを実現することです。行うべき作業に応じて自らの姿を全く異なるものに変えることができるのです。ロボットというのは一般的にひとつの作業を行うのに特化して作られています。その特定の作業では素晴らしいパフォーマンスを発揮するものの、他の作業はからっきし駄目だという状態でした。こうした状況を変えることができるわけです」と、インタビューの中でも述べている。

長期的な話としては、たとえばモジュラーロボットを小さなマイクロボット(あるいはさらに小さくナノボット化でもいい)化して、作業現場で必要な応じた形式ないし大きさに変化するようなロボットの実現を目指しているのだそうだ。モジュールの組み合わせによって、多様な作業を行うことができる。但し、これは今のところ遠い将来の話、ないしはSF的な話ではある。

もちろん、現在のサイズのままでもモジュラーロボットにはさまざまな可能性があるのだと、M-Blocksの研究者たちは言っている。たとえば緊急時に、建物や橋などの構造物として機能させることもできる。あるいは用途に応じて組み替える家具や、あるいは大型機械としての用途もあるかもしれない。それぞれのキューブにカメラ、ライト、バッテリーなどのモジュールを搭載して、ほぼ無限の用途に利用することができるようになる。

現在は100のキューブを使って、それぞれが自在に移動して各種のテストを行っているところだ。それぞれのキューブの移動を制御する効率的アルゴリズムも開発中だ。将来的には全くランダムに配置された状態から、キューブ同士がお互いを認識して、自律的に必要とされる形(たとえば椅子やハシゴなど)に組み替えることができるようにと考えている。

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(翻訳:Maeda, H


Facebookを長時間使いすぎている人にショックを与えて警告するPavlov Poke

あなたは、Facebookで過ごす時間が多すぎる、と思ってるかな? そんな人には、たとえばニュースフィードをクリックする回数が多すぎたら死なない程度のショックを与えるのはどう? MITで博士号準備中Robert R. MorrisとDan McDuffの二人が、どちらも毎週Facebookで50時間以上を消費していることに気づき、おもしろくて、しかも意味深なプロジェクトを立ち上げた。

McDuffが言うには、“ショックは不快だけど危険ではない”。ただし、痛い! そのシステムはユーザのアクションを監視して信号をArduinoのボードに送り、そしてそいつが、特性のキーボードレスト(リストレスト)からショックをトリガする。すると徐々にあなたはFacebookを避けるようになり、部屋のすみですすり泣くようになる。

だろうか?

“分からないね”、とMorrisは言う。“苦痛の回数と、正しい条件づけが効果を左右するだろう。ぼくたちの場合は、インストール直後に装置を取り外してしまったけど、Facebook時間はやや減ったと思うね”。

AmazonのMechanical Turkを利用して見知らぬ人に電話をかけさせる、という方法も検討した(下のビデオ)。結果は、びっくりするし笑ってしまうが、ショック療法のように痛みはない。電話をかける人は、あらかじめ用意された台本を読み、Facebookを使いすぎているユーザを叱責するのだ。

プロジェクトの全容はここで見られるし、台本はダウンロードできる。Morrisによると、Facebookはタバコと同じぐらい有害だそうだ。彼は、こう書いている:

人びとは、特定のテクノロジを、自分がそれを使いたいし、使えば自分の利益になる、と信じて使う。でもその想定は、そのテクノロジの本来の目的や機能に必ずしも即していない。Facebookのようなサイトは、エンゲージメントを定量化しようとする。そのために、毎日のアクティブユーザ数を数えたり、ユーザのサイト滞留時間を計ったりする。でも、それらの測度は幸福の大きさを計れない。だから、エンゲージメントの計測値がものすごく大きなサイトも、ユーザの幸福にとっては極度に有害なことがありえる(ちょうど、タバコがそうであるように)。

スーパーに多種類のジャンクフードを売ってるように、インターネットの上にはFacebookのようなジャンクネットがある。それはわれわれにとって有害であり、快適ではあるがなんとなく物足りない。短時間楽しくても、そのあと一日中人を不快にする。この、禁酒ならぬ禁FBプロジェクトは、半分冗談で言うなら、われわれ全員が日常のインターネット生活で直面している重大な問題の解決を目指しており、さらにもっと重要なのは、そもそもわれわれが数時間おきに必ず、Zuckerbergの巨大なゴミ捨て場を訪れるのはなぜなのか、それを再検討するための良い機会である。

“このプロジェクトはジョークだけど、コミュニケーション技術の設計~デザインについては、真剣な議論が必要だと思う”、とMorrisは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))