クラウドによるクラウドのためのサイバー攻撃発生を前提としたインシデントレスポンス「Mitiga」

従来のインシデントレスポンス市場を「完全に変える」ことを目指すイスラエルのクラウドセキュリティ企業Mitigaは現地時間6月23日、シリーズAラウンドで2500万ドル(約27億7000万円)の資金を調達したと発表した。

Mitigaはサイバーセキュリティ分野の他の企業とは異なり、サイバー攻撃を防ぐことを目的としておらず、それらはどんなに対策を講じても避けられないものだと主張している。同社はむしろ、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境への移行時に、企業がインシデントレスポンスを管理できるように支援することを目指している。

2020年7月にシード資金として700万ドル(約7億8000万円)を調達したアーリーステージのスタートアップである同社は、インシデントに対する即応性とレスポンスのための技術スタックにより、インシデント発生後のリカバリーを数日から数時間に短縮できるとしている。Mitigaのサブスクリプションベースのサービスは、ネットワークが侵害されたことを自動的に検知し、迅速に調査を行い、ケースデータを収集して、組織内のすべての関連部門が迅速かつ効率的に対応できるように、修復ステップに変換する。また、Mitigaは各事象を文書化し、組織が今後の攻撃を防ぐために原因を修正することを可能にする。

MitigaのシリーズAラウンドは、ClearSky Security、Atlantic Bridge、およびDNXが主導した。TechCrunchに対し同社は、今回の資金を「インシデントに対する即応性と対応のあり方を変革し続ける」ために使用する他、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、セールス、マーケティングのスタッフを「大幅に」増強すると述べている。

同社は、今回の資金調達はインシデントへの即応性と対応に関して、企業組織の「意識の変化」が起こっている中で実施されたと付け加えた。パンデミックの影響でクラウドの導入が加速し、2021年だけでクラウドサービスへの支出は3320億ドル(約36兆8400億円)を超えると予測されている。McAfee(マカフィー)によると、クラウドサービスへのサイバー攻撃は、2020年の最初の4カ月間で630%増加した。

Mitigaの共同創業者兼CEOであるTal Mozes(タル・モゼス)氏はこう語った。「クラウドは、インシデントに対する即応性とレスポンスに新たな課題をもたらします。当社は、業界初のインシデント対応ソリューションを、クラウドのために、クラウドで提供します」。

「今回の資金調達により、リアルタイムでインシデントからの復旧を目指す企業のセキュリティ責任者との連携を強化し、業界で最も革新的なサイバーセキュリティの人材をさらに集め、パートナーネットワークを拡大することができます。サイバーセキュリティにおける即応性とレスポンスの重要性を理解しているクラウドファーストの組織のために、Mitigaが何を成し遂げられるか、この上ないほど胸を躍らせています」とも。

Mitigaは、モゼス氏、Ariel Parnes(アリエル・パーネス)氏、Ofer Maor(オフェル・マール)氏によって2019年に設立され、テルアビブで活動する42名のチームに加え、ロンドンとニューヨークにもオフィスを構えている。金融サービス機関、銀行、eコマース、法執行機関、政府機関など、複数の分野で顧客を抱える。Mitigaはサブスクリプション契約を結んでいない顧客に対しても、ランサムウェアやデータ漏洩などのアクティブなネットワークセキュリティインシデントに対する緊急対応を提供している。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Mitiga資金調達サイバー攻撃イスラエル

画像クレジット:Devrimb / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)