Red Hatが企業向けモバイルアプリ開発プラットホームFeedHenryを$82Mで買収…企業ITのモバイル化というビッグトレンドに対応

【一部要訳】

企業向けのLinuxディストリビューションを軸に、企業のITのためのサービス(とくにクラウドサービス)やデベロッパのための開発プラットホームも提供しているRed Hatが、アイルランドのこれまた企業向けのモバイルアプリ開発プラットホームFeedHenryを買収した。この買収に関する声明文の中でRed Hatは、6350ユーロ(8200万ドル)のキャッシュをFeedHenryに払う、と述べている。今日(米国時間9/18)はRed Hatの2015会計年度第二四半期の決算報告が行われる日なので、この買収の完了は第三四半期へ持ち込まれるものと思われる。同社は、買収の結果としてガイダンスを更新する、と述べている。

スマートフォンの今年の売上台数は120億台に達すると言われているので、Red Hatにかぎらず今やどの企業も、モバイルを無視できない。企業も、大企業も小企業もスマートフォンやタブレット、あるいはローミングするPCのためのアプリケーション開発やセキュリティ対策にこぞって取り組んでいる。IDCの調査によると、モバイルのアプリケーションプラットホーム(開発プラットホーム)の市場規模は2013年で14億ドル、2017年には48億ドルになる、という。

Red Hatのアプリケーションプラットホーム事業担当SVP Craig Muzillaは、声明文の中で、“モバイルのアプリケーションプラットホームは企業向けのソフトウェア市場において最速で成長している分野の一つだ”、と言っている。“今では企業のコンピューティングのあらゆる部分にモバイルが浸透しているので、企業向けアプリケーションのデベロッパたちも、これまでの企業向けアプリケーションの能力を拡張するようなモバイルアプリケーションを効率的に開発する方法を求めている。FeedHenryにより弊社の顧客は、Red Hatのエンタプライズソフトウェアが持つセキュリティとスケーラビリティおよび信頼性にモバイルの能力が持つアドバンテージを組み合わせて利用できる”。

エンタプライズサービスの分野ではかねてからヨーロッパのスタートアップが強くて、FeedHenryもその好個の例である。2010年に創業した同社は、昨年のシリーズAラウンドの一回だけで900万ドルを調達している。投資家はIntel CapitalやVMWareなどだ。FeedHenryのこれまでの顧客には、Aer Lingus、Baystate Health、アイルランド政府などがいる。

FeedHenryのCEO Cathal McGloinは声明の中で、“弊社は創業時から、オープンな技術とクラウドをモバイル開発とその管理の中軸に据えている。オープンソースのエンタプライズソリューションにおけるリーダーであるRed Hatの一員になることを嬉しく感じており、これはモバイルとクラウドの組み合わせが強力であることの、ひとつの証拠だと見ている。今やモバイルアプリケーションとMBaaSプラットホームはマスマーケットが採用するところとなっており、そしてNode.jsの人気も拡大している。Red Hatに加わったことによって、弊社の優れたモバイルアプリケーションプラットホームを、グローバルな顧客とパートナーから成るより広いオーディエンスに提供でき、彼らによるモバイルファーストの世界の最適化努力を支援できる”。

FeedHenryはRed Hatが2013年9月に発表したJBoss xPaaS for OpenShiftの取り組みを一層強化し、とりわけエンタプライズアプリケーションと統合化とビジネスプロセスオートメーションをオープンなPaaSとして提供して行くことに貢献する。“モバイルのアプリケーションサービスはこのビジョンの鍵であり、FeedHenryはモバイルアプリケーションをサポートするためのセキュリティとポリシー管理と同期化と統合化機能を提供してくれる”、と同社は言っている。

FeedHenryのアーキテクチャはNode.jsをベースとし、企業によるAndroidやiOS、Windows Phone、BlackBerryのアプリケーションや、HTML5によるWebアプリケーションの開発を助ける。アプリケーションの構築のためには、各ネイティブのSDK、Apache Cordova、HTML5、Titanium、およびフレームワークとしてXamarin、Sencha Touch、各種のJavaScriptフレームワークをサポートする。デベロッパがFeedHenryからリンクできるアプリケーションは、salesforce.com、SAP、Oracle、デバイス管理サービスAirWatchとMobileIronなどだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ビッグデータ分析で営業に序言と予見を与えるモバイルアプリClariがステルスを脱して$6Mを調達

SalesforceやOracleなど、CRMの巨人たち、それにDomoのような成熟したスタートアップが、このところモバイルに大々的に侵入してきて、とくに営業の人たち向けのアプリを売り込んでいるが、モバイルファースト*でよりすっきりとしたソリューションの方が良いのだと主張する新進のスタートアップもいる。ここでご紹介するClariは、リアルタイムのビッグデータ分析で営業を支援するモバイルファーストのアプリだが、今日(米国時間4/2)はSequoia Capitalなどから600万ドルの資金を調達したことを契機に、ステルス状態を脱した。今“数十社”といわれる顧客にはFortune 500企業が多く、VMware、Juniper、Cisco、Box、Nimble Storageなどもその中にいる。〔*: mobile-first, 最初からモバイルで行くこと、デスクトップからのポート(移植)などではないこと。〕

CEOでファウンダのAndy Byrneによると、大手の競合他社たちとClariとの重要な違いは、前者が良いレポートを作成することに力点を置いているのに対し、Clariはもっとよく売れる営業活動の実現に集中していることだ。

この違いは大きい。Clariでは情報が、ユーザがそれを必要としているまさにそのときに提供されるが、他社のアプリでは情報分析が営業が会社に帰ってデスクに向かったときに行われる。まったく別人が情報分析を行うこともある。

Byrneはこう語る: “前にいた会社では、営業がものすごくやり辛かった。CRMも使い辛かった。個別ばらばらのアプリケーションがたくさんあり、また仕事のやり方にも、至る所に謎めいた“黒魔術”があった。しかし、営業からこれらの苦痛を取り除いてあげることが、われわれの機会だと感じた。しかもBYODというトレンドとモバイルによって、その機会を開拓する絶好の環境が企業内に生まれていた”。

Clariには、効果的かつ効率的な営業活動を支えるための、重要な機能がいくつかある。

まず、営業データやCRMのデータを分析してデータマイニングを行うクラウドサービスがある。今の企業が使っている主なCRMや、そのほかの主要アプリケーションのデータがすべて、マイニングの対象になる。それらは、Salesforce、Microsoft Sharepoint、Microsoft Exchange、Box、Dropbox、LinkedIn、Gmail、ニュース、そしてTwitterだ。

“Deal assistant”(営業活動アシスタント)は営業のためのパーソナルアシスタントで、コンピュータのサマンサのように出力は声、そしてユーザからの入力も音声だ。

“CRM accelerators”(CRMアクセラレータ)という、プッシュ通知を利用する機能は、タイミングが重要な、つまり今伝えておいた方が(見ておいた方が)良い、と思われる情報やアドバイスなどを、営業のモバイルに送る。その中には、今進捗中のほかの営業活動からの情報もある。

“deal progression dashboard”(営業活動進捗ダッシュボード)は、営業の部屋によく置かれているホワイトボードの電子版で、クラウドや重要なリンクから豊富な情報が配達される。

これらの機能のデモが、ここにある

そして、Clariの着眼点は、以下のようなところにある:

・ビッグデータ分析の効能をデータサイエンティストと呼ばれる専門家のものから、営業というエンドユーザのものにすること。

・スタートアップが、疑いの目ではなく、期待と好奇心の目で見られるようになったという、時流に乗ること(大企業からもバカにされないようになった)。

・有名企業数社を顧客として確保したあとで、ステルスを脱すること(その方が今後の営業がやりやすい)。

(Clariの営業も、確実に、Clariを利用しているのだろう。)

・セールストークには、顧客/見込み客が前のめりになって関心を示す、実際の体験談経験談を必ずまじえること。

Sequoiaが今回Clariへの投資に踏み切ったのは、Byrneという人物を高く評価しているためだ。Clariの前には、長年Clearwellの役員(同社はその後Symantecが買収)。Clearwellは、ビッグデータ分析の実用化におけるClariの先輩企業でもある。その前はTimestockのファウンダ…同社はその後Wily、さらにComputer Associatesが買収した。

Clariのステルス期の顧客に有名企業が多いのも、やはりByrneの名声と信用のせいだ。なお今回の投資で、SequoiaのパートナーAaref HilalyがClariの取締役会に加わる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))