Microsoft、Sendを発表―メールをインスタント・メッセージ的に利用するアプリ

2015-07-23-send

今日(米国時間7/22)、Microsoftはスマートフォンでのメールのやりとりを迅速化するアプリを発表した。このSendは件名などメールの構成要素を大幅に省き、メールをインスタント・メッセージのように利用することを可能にする。ユーザーは数秒で短いメッセージを発信することができる。

モバイルでのメールにインスタント・メッセージのような役割をもたせようという試みはこれが初めてではない。Hopというスタートアップが2013年に同じようなアプリをローンチした。別のスタートアップ、MailTimeも去年の9月のTechCrunch Disruptでメールをメッセージ化するアプリを発表している。

このコンセプトにはそれなりの説得力があるが、これまでの普及状況ははかばかしくない。一般ユーザーはモバイルではメールを使わず、Facebook Messenger、 WhatsApp、iMessageなどのサービスを使うか、単にSMSを使っている。

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しかしMicrosoftはメールを利用するショート・メッセージの存在価値はあると主張する。たとえば同僚に「プレゼンはまだ発表しないこと!」とか「10時にチャットしたい」などといったメッセージを送ったり、「今日は会社にいる?」「ノー」というような簡単なやりとりをするような場合だ。

SendはMicrosoft Garageの最新作だ。GarageというのはMicrosoftの社内ベンチャー・プログラムで、社員のチームが自分たちのアイディアを実際の製品にしている。その多くはクロスプラットフォームのモバイル・アプリだ。

Sendは今日iPhone版がリリースされたが、開発は続行中で、近くWindows Phone版とAndroid版がリリースされるという。

現在SendはOffice 365ビジネスのユーザーを対象とした限定公開だが、今後広く一般公開される予定だ。

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現在のSendはOffice 365ビジネスあるいは学校メール・システムのユーザーでもっとも頻繁に連絡を取り合っている相手をアプリのホームページに表示する。ユーザーはメッセージを送りたい相手をタップするだけで会話を始めることができる。メッセージの受け手には「後でこちらから連絡します」とか「そちらへ向かっている途中です」などのよく使われる定形文をワンタッチで発信する機能も用意されている。

Sendがこれまでプロダクトより優れているのはこのユーザー・インターフェイスだろう。スマートフォンのユーザーはメールを使っていると意識せず、本当のメッセージ・サービスと同様の感覚で手軽にコミュニケーションができる。

Sendにはメッセージ・サービスと同様、「入力インジケーター」が備えられ、相手が何か入力していることが分かるようになっている。またSendはすべての着信メールを表示するのではなく、このアプリから発信されたメッセージだけを表示する。ユーザーはスパムメールの山に煩わされることがない。この仕組みも使い勝手を大きく高めるものだ。

これまでのメールをメッセージ化するアプリが一般ユーザーを対象としていたのに対して、Sendは企業ユーザーをターゲットとしているのも特長だ。会社がメッセージ・サービスの利用に制限を設けているような場合に、Sendは非常に便利なコミュニケーションのチャンネルとなるかもしれない。

SendはiTunesから無料でダウンロードできる

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Yahoo、自動消滅型メッセージングサービスのBlinkを(人材目的で)買収

Yahooが、モバイル向け自動消滅型メッセージングサービスのBlinkを買収したようだ。Snapchatが有名で、その他にも最近登場したFranklyや、Confide、あるいはWickrなど、競合となるサービスがひしめいている分野だ。買収の詳細については明らかにされていない。

Blinkは現在7人で運営されており、ファウンダーを含む全員がYahooに加わることとなっているらしい。

Blinkの開発を行ったのはMeh Labsで、元GoogleのKevin StephensおよびMichelle Norganにより設立された。元々は位置情報サービスのKismetを提供していた。SXSW 2012の頃にはHighlightなどとともに話題になっており、Banjoなども同種のサービスを提供しようとしているところだった。しかしKismetは充分な利用者を獲得するにいたらず、結局は別の人気ジャンルで再スタートを切ることとなったのだ。そのジャンルがモバイル向けのプライベートメッセージングの分野だ。

Blinkがリリースされたのは約1年前のことで、iPhone向けアプリケーションとしてリリースされた。現在のアプリケーションではメッセージ、写真、ビデオ、音声などを、個人ないし特定のグループ間で共有することができるようになっている。また有効時間をタイマーで設定できるようになっていて、すなわち送ったメッセージや写真などを、見始めてから何秒間表示するかを設定することができる。

今年になってAndroid版がリリースされたが、その時点でのダウンロード数は10万ほどで、利用者のうちの半数以上がアメリカ在住であった。アメリカ以外では中東での利用者が増加する傾向にあり、大きな成長が期待されていた。

Stephensもアラビア語をサポートするなどして、中東市場に注力していきたい旨を表明していた。またビジネス用途でも利用できるような「プロ版」の提供なども考えていたようだ。

しかしそうした予定についてはご破算ということになる。Blinkのサービスは数週間のうちにも消え去ることになるらしいのだ。すなわち、このBlinkの買収もサービスそれ自体を活用するというよりも、人材の方を目的としたものだということだ。そしてStephensのことだけを考えても、Yahooにとっては良い買収(人材獲得)であると言えるだろう。Boxeeでデバイスプロダクトパートナーシップ部門のディレクターを務め、あるいはGoogleおよびYouTubeでのPMの経験もあり、さらにAppleでもエンジニアとして働いていた。

Kismetを運営していた時代に、Meh Labsはシード資金としてTriple Point、NEA、AngelPad、およびShiva Rajaraman、Steph Hannon、Roham Gharegozlou、Ben Narasinなどのエンジェルから併せて100万ドルを調達していた。今回の買収により、投資家たちにはそれなりの見返りがある模様だ。但し、投資面に限っていえば「大成功」というわけでもないらしい。

尚、YahooのM&Aでは、買収の詳細についてあまり明らかにしてくれないのが最近の状況となっている。人材獲得のための企業買収を行うことについて非難されることも多く、また投資家たちもそうした買収戦略が有効に機能しているのかどうかを疑問に感じ始めているようなのだ。私たちの取材に対して、Blink側も詳細なデータを明かしてはくれなかった。

Blinkのサイトで公開された文章を掲載しておこう。

2014年5月13日付で、BlinkはYahooの傘下に入ることとなりました。私たちはメッセージングを、実際に会話するような自由さで利用できるようにと考えてBlinkの開発を行いました。こうした概念をYahooに持ち込み、その中でできる新しいことを考えていきたいと思っています。

どのようなプロダクトを提供できるかについて、まだ具体的なお話ができる段階ではありません。しかしこれからもぜひ、私たちBlinkチームの活躍に期待していただきたいと考えています。

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(翻訳:Maeda, H


Vine風ビデオをプライベートチャットに活用するConvies登場

Vineがプライベートなビデオメッセージを送ることができるようにしたその直後ではあるが、新たなビデオチャット用アプリケーションのConviesがリリースされた。友人(ないし複数の友人)にビデオメッセージを送ることを主目的にするものだ。プライベートなビデオチャットが第一義のサービスだが、FacebookやTwitterで共有することもできるようになっている。

ConviesはLerer VenturesのSoho Tech Labsのインキュベーションを受けて誕生したものだ。友人の間で利用するためのVine風アプリケーションを生み出そうとしてきたのだが、サービスのリリース直前に、Vineがプライベートメッセージ機能を実装して発表してしまった。

しかしファウンダーのMichel Loenngrenは、Convies独自の魅力があり、マーケットでも受け入れられるはずだと考えているのだそうだ。さらに、VineやInstagramなどはそもそもパブリックな写真/ビデオ共有ツールであり、一定の認知が行われたあとにダイレクトメッセージング機能などを追加してもあまりうまくいかないのが一般的だと感じてもいるとのこと。

「Vineはそもそもソーシャルアプリケーションで、そこにダイレクトメッセージの機能を追加しようとしています」とLoenngrenは述べる。「ConviesはWhatsAppやLineのように、まずチャットを指向したアプリケーションなのです。プライベートなチャットツールの中でのビデオの扱いについて、深く考えた設計となっています」。

Loenngrenは、このConvies以前にTimeFreezeというモバイル向けビデオアプリケーションを作った経験を持つ。日本の投資銀行で働く傍ら、サイドプロジェクトとして生み出したアプリケーションだ。Loenngren曰く、これがモバイルメッセージング分野の人材を探していたLerer Venturesの目に止まったのだそうだ。

Lerer Venturesとの交渉の末、Loenngrenは日本での職を辞し、ニューヨークに居を移した。そこでConviesのアイデアを生み出されることとなった。

Loenngrenはエンジニアリングおよび物理関係のバックグラウンドをもっており、それもあってTimeFreezeではビデオの再生速度をいろいろといじる仕組みを実装していた。ConviesでもTimeFreezeにて実装した機能をいろいろと再利用しているようだ。たとえばメッセージの送信前に、アプリケーションでスライダーバーを操作することによりビデオメッセージの再生速度をスローにしたり、あるいは逆に高速化することができる。

ともかくビデオありきのメッセージングアプリケーションということも、汎用的なメッセージングアプリケーションとは異なる魅力を備える要因となっている。ビデオのやり取りが自在の行えるように設計され、また複数ビデオの連続再生機能なども備えている。

ビデオの撮影はVineと同様の方法で行い、収録時間は6秒となっている。やり取りされるビデオメッセージは外部サイトで共有することもできるが、「locked」指定をすることで、あくまでもプライベートなものとしておくこともできる。尚、Vineのビデオフィードのような形で、特定の人に向けてではなく、公開ビデオとすることもできるようになっている。Conviesの中で公開しておくこともできるし、またFacebook、Twitter、WhatsApp上で公開したり、あるいはリンクをシェアすることもできるようになっている。

Lerer Venturesは40%の持ち分と引き替えにかなりの額を出資していて、またオフィスおよび各種リソースの提供も行っている。Conviesの運営に携わるメンバーは現在のところ4名で、Vineに似たところも多いアプリケーションを通じて、独自の使用感などもアピールしつつ、利用者を開拓しつつあるところだ。

VineというのはTwitterを使う場合と同様に、パブリックな意味合いを強くもつものだと言える。そしてVineについてはそれが魅力となり、いろいろな人が面白いビデオを作ろうとしている。Conviesの方はメッセージングに注力することで、よりパーソナルな魅力をアピールしようとするものだ。

モバイルメッセージング全般と同様、ビデオメッセージングの分野も非常に多くのサービスが競合しているエリアだ。ビデオ共有アプリケーションはもちろん、SMSツールとして親しまれてきたものも、ビデオなどのマルチメディアに対応するようになっている。そのような中、Cinviesがどのような動きを示していくのか興味深いところだ。

Conviesは現在iOS版が提供されており、Android版も開発中だとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


TuneIn Radioが密かにスタートした「音声ベース」ソーシャルネットワークの「OpenMic」。まず大学生を対象にサービス開始

TuneInのオンラインラジオサービスは非常にうまくいっている様子だ。月間利用者数は4000万を超えている。このTuneInが、軌道に乗っているオンラインラジオサービス以外に、音声ベースのソーシャルネットワーキングサービスを提供しようとしている。iTunes App Storeに登録されたTuneIn OpenMicで実現するものだ。利用者の「ストーリー、冗談話、レビューなど」をブロードキャストしたり、面白い話を友人とシェアしたりして利用する。

ソーシャルメッセージングサービスを頻繁に使っている人は、きっと興味をもつサービスなのではなかろうか。

App Storeでのレビューを見てみると、OpenMicは「他にはない全く新しいソーシャルネットワークを経験できる」、「非常に面白い」サービスなのだそうだ。

但し、この音声を使ったソーシャルネットワークというのが、全く新しいアイデアであるというわけではない。他にもSpreakerDubblerBubblyTalkbitsなどといったサービスがある。また、Voxer、Whatsapp、さらにはFacebook Messangerなどのメッセージング用アプリケーションも、録音した音声をやりとりできるという意味では、この範疇に加えることができよう。

TuneInのOpenMicは「音声版Twitter」という新しい方向性を目指す意味と、熱心なPodcast利用者のための集客ツールとしての意味との双方を持つ(双方の中間)ものなのだろう。

現在のところは、このアプリケーションを利用できるのは大学の学生のみに限定されている。利用登録に.eduのメールアドレスが必要となっているのだ。

利用登録が完了すればプロフィールを書き込み、そして友だちを探してフォローして、いろいろな投稿を聞いてみてお気に入り登録をしておいたり、あるいはOpenMic上の友人たちと共有したりすることができるようになる。もちろん他の人の投稿にコメントしたり、あるいはもらったコメントにリプライするようなこともできる。音声を登録するには、アプリケーション画面の大きな赤い「Record」(録音)ボタンを押す。関連する写真があるようならば、添付することもできる。

iTunesに登録されているスクリーンショットを見れば、OpenMicがどういう使い方をされたがっているのかということがよくわかる。たとえばアメフトの試合の様子、パーティーでの一コマ、音楽、そしてもちろん、学生らしく宿題についてのことなども登録して欲しいと考えているようだ。TuneInによれば、このアプリケーションはまずスタンフォードで試験運用を行ったそうだ。それでスクリーンショットもスタンフォード関連のものが多い。

TuneInは今年初めに2500万ドルの新規資金調達を行っている。リードしたのはIVPで、前回出資しているSequoia Capital、Google Ventures、そしてGeneral Catalystも参加している。資金調達を行った2013年4月頃の発表によれば、番組聴取時間は10億時間を突破して、オンラインミュージックサイトとして、Pandoraに次ぐ二番手につけているとのことだった。扱っている局数はAM、FM、そしてインターネットラジオをあわせて7万局にものぼり、提供プラットフォームも200以上にもなるとのことだった。サービス提供国も230以上の国と地域にのぼるとしていた。以来局数はさらに増え、今では10万局に達しているようだ。

こうした数値から判断するに、TuneInはこれまでのビジネスから完全に乗り換えようとしているわけではないはずだ。サービスを「拡張」しようとする意図なのだろう。今のところOpenMicは試験的なプロダクトに過ぎないわけだが、人気を集めることになれば、新たな広告リーチチャネルを獲得することにもなる。すなわちモバイルを積極的に活用する、若い層に向けた広告を取りやすくなることだろう。ちなみにアプリケーションは無料でiTunesからダウンロードできる。但し、先にも述べた通り現在のところは利用登録に制限が設けられている。今後の展開を注目していきたい。

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(翻訳:Maeda, H


使い捨て電話番号のBurner; ベーシックな電話で何ができるか, 可能性の氷山の一角

【抄訳】

NSAいくつかの国家が、世界中の一般市民に対する大規模なスパイ行為を行っていることを、世界が知る前から、モバイルアプリBurnerは、ユーザに使い捨ての電話番号を提供してきた。そういう電話番号は、プライバシーの保護やそのほかの目的に利用できる。たとえばCraigslist(オンライン三行広告)にポストするときやオンラインデートでは匿名が便利だし、旅行中や誰かに嘘をつきたいときにも、ニセの番号を利用できる。そのBurnerが今日(米国時間9/26)、Founder CollectiveとVenrockが仕切る投資ラウンドにより、200万ドルの資金を調達した。またこれと並行して、iOSアプリのデザイン変更と機能のアップデートも発表した。

Ad Hoc Labsというスタートアップが開発したこのアプリは、今ではiOSとAndroid用があり、使い方はとても簡単だ。まず、自分の本物の電話番号をBurnerに教える。代わりにBurnerがくれる電話番号は、入呼も起呼もOKで、SMSもできる。そのほかボイスメールによるあいさつとか、呼び出し音の指定、SMSの通知なども指定できる。複数のBurner番号を使うときは、番号ごとにあいさつや呼び出し音を変えられる。複数のニセ番号を目的別・相手別に使い分けるユーザが、けっこう多い。

協同ファウンダのGreg Cohnによると、Burnerはロングテイルのユースケースがおもしろい。“ありとあらゆる使い方があるね。デートやCraigslistなどありふれたものから、教師、弁護士、ミュージシャン、産婆さん、いなくなった犬を探している人、それにセレブたちも、Burner番号を利用している”、という。Cohnの説明でおもしろいのは、“人びとが使い捨て番号を使うのは、実際にそれを捨てるためというよりむしろ、いざとなったら捨てられるという安心感のためだ”、というあたりだ。実際に、最初短期間(3~5日)の無料サービスを利用したユーザの多くが、その後、長期の有料ユーザに変わる例が多いそうだ。

今では、電話とSMSというベーシックに代わって、独自の機能やサービスを提供するモバイルメッセージングアプリがたくさん雨後の筍している。それらの中には、消費者向けのソーシャルアプリ(Whatsapp、LINE、Snapchat、Viber、WeChat、Pathなどなど)もあれば企業用(SendHub、Ansaなどなど)もあり、その中間(Voxer、GroupMe、Google Hangoutsなどなど)もある。Burnerはこれらの混雑の中で、伝統的な携帯電話によるコミュニケーションを、より便利にしようとする。Burnerがあれば、友だちでも家族でも会社の同僚でもない人たちと、安心してコミュニケーションできるのだ(ただし今は合衆国とカナダのみ、TwilioのSDKを使っている競合サービスHushedは多くの国で使える)。

“うちはまだまだ、モバイル上のプライバシーと本人性という問題の、表面をかすっているだけだ。しかしキャリアは、あれほどバカでかい市場を抱えているにもかかわらず、この問題に関しては何もイノベーションしない”、とCohnは言う。“だからこの分野には大きな機会があり、しかも音声とテキストによる伝統的な電話コミュニケーションは、昔からの原始的な状態のままで、キャリアもソーシャルネットワークも魅力的なプロダクトを作り上げていない…うちなんかが多くの人から利用されるのも、そのためだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))