NASAが太陽帆宇宙船のテストにリトアニアの大学からスピンオフしたNanoAvionicsの小型衛星を採用

NASAは小型衛星の操縦のための推進剤によるスラスターの代わり、あるいは深宇宙ミッション用宇宙船の低コストでの輸送の可能性を判断するために、新しいソーラーセイル(太陽帆)システムをテストする。同宇宙局は米国時間4月29日、イリノイ州をベースとする小型衛星開発会社であるNanoAvionics(ナノアビオニクス)を、ソーラーセイルシステムのテストのための宇宙船メーカーとして選定したと発表した。

Advanced Composite Solar Sail System(ACS 3)と呼ばれるNASAのミッションは、同宇宙局のAmes Research Systemが率いるもので、地球低軌道に展開される小型衛星に、ほぼ1ベッドルームのアパートに相当する約800平方フィートの面積のソーラーセイルが装着される。ソーラーセイルは太陽光発電ではなく、太陽からの光子がソーラーセイルに衝突して発生するエネルギーを利用して、宇宙船を推進する。この方法は非常に微力だが、摩擦の影響を受けずに真空中に放たれた光子の力を利用することで、最終的にこの方法で推進する宇宙船は、かなりの量のエネルギーを蓄積することになる。

NASAがこの種の推進システムを開発する理由は、推進剤をまったく必要としないため、打ち上げや運用コストを大幅に削減できるからだ。これにより同宇宙局は太陽系を旅するような長期間の科学ミッションを行うことができ、最終的には従来の燃料システムではコストやロジスティックの制約で実現不可能な、深宇宙での小惑星採掘のようなより複雑な作業に挑戦することができる。

ソーラーセイル技術は新しいものではなく、NASAは2011年にもソーラーセイルの試験飛行を行ったが、2014年のSunjammerと呼ばれる2回目の実証飛行は、飛行テストの前に中止された。非営利の科学団体である惑星協会は昨年、クラウドファンディングによるソーラーセイル宇宙船を独自に打ち上げ、太陽の力だけで小型衛星を推進させられることを実証した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter