NASAが商業月面輸送パートナー各社に新規貨物輸送の入札を募集

NASA(航空宇宙局)は、同局の商業宇宙パートナーによる月への貨物輸送を増やしたいと思っている。同局は2022年中に月に届ける必要のある科学技術貨物打ち上げの入札募集を行った(NASAリリース)。これは2024年に計画されているNASAのアルテミス有人月面着陸ミッションに向けた準備の一環でもある。

以前NASAは、月面への「ラストワンマイル」を担当する月面着陸機の提供という特殊なサービスを提供する承認済みメーカー集団を作るために、商業月面輸送サービス(CLPS)プログラムを立ち上げた。現在参加メーカーは14社を数え、Astrobotic(アストロボティック)、Blue Origin(ブルー・オリジン)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、SpaceX(スペースX)、Firefly(ファイアフライ)らが名を連ねる。各社は指定された貨物を月面に運ぶための契約に入札する資格を持つ。

NASAはこのCLPSプログラムの下ですでに2組の貨物輸送を契約しており、2021年6月に予定されているAstroboticのPeregrine Mission One、同年10月のIntuitive Machines IM-1、2022年12月のMastern社のMission Oneおよび2023年中に予定されているAstroboticのVIPERミッションという計4回の打ち上げが計画されている。

このラウンドの新規貨物には、月面表土付着検査装置、X線撮像装置、電場相互作用による防塵装置、および月面標本を地球に持ち帰って詳細に検査するための最新月面吸引装置など、さまざまな科学機器が含まれている。

CLPSに参加しているNASAの民間パートナー各社は、新たな10種類の実験・演示装置輸送の入札に参加することが可能で、2022年中に輸送することが目標だ。NASAはこのコンテストの勝者を2020年中に選ぶ予定だ。

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タグ:NASA

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがStarship宇宙船プロトタイプの短期試験飛行を成功、初の軌道上打ち上げへ向け前進

SpaceXは、Starship宇宙船試作機の2回目の「ホップ」飛行を1カ月足らずで実施した。具体的には、米国テキサス州ボカチカの開発サイトから150m(500フィート弱)の試験飛行だ。今回使用されたプロトタイプはSN6で、SpaceXが8月の初めに同様のテストを完了するために使用したSN5よりも新しいモデルとなる。

ホップ飛行は、StarshipとそのRaptorエンジン(液体メタン/LOXの液体燃料ロケットエンジン)のテストプログラムの重要な部分となる。これらのプロトタイプには1つのエンジンしかないが、最終的な製品版には6つのエンジンが搭載され、そのうち3つは地球の大気圏内を飛行、残りの3つは宇宙空間で使用される予定だ。

SpaceXは、このうち2回の飛行を制御された直立着陸を連続して達成したことで、宇宙船の開発プログラムにとって非常に良い兆しを見せた。以前のバージョンでは、燃料を搭載した状態をシミュレーションする際に、負荷がかかると加圧に失敗することがあったからだ。

ノーズコーンや最終的な着陸脚などの要素は含まれていないものの、これらのショートホップはSpaceXがRaptorエンジンの性能や、実物大のプロトタイプ宇宙船の性能に関するデータを収集するのに役立つだろう。また、これらのデータはすべて、民間航空機と同じくらいの高さを飛行することを目的としたはるかに高い軌道下大気圏飛行や、最終的には初の軌道上Starshipの打ち上げなど、その後のテストにも反映される予定だ。現在のところ、早ければ来年に行われる確率が高い。

SpaceXはStarshipの開発計画を急速に進めており、テキサス州のブラウンズビル近郊のボカチカビーチのサイトで何世代ものプロトタイプを一度に作成しており、迅速なテストと設計の改善を目指している。目標は来年中にStarshipの最初の運用ミッションを飛行させることだが、ロケットの開発サイクルの中にあることを考えれば、これが実現したとしたら、信じられないほど素晴らしいことになるだろう。

画像クレジット:NASA Spaceflight

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ボーイングとNASAは無人軌道飛行の再挑戦を2020年9月に設定

Boeing(ボーイング)とNASAは、Commercial Crew(商業乗員輸送開発)計画におけるボーイングのCST-100宇宙船の定期有人飛行用としての認可取得に向けた予定を更新した。CST-100とボーイングの商業乗員輸送開発にかける強い想いは、2019年に初めての無人軌道飛行テスト中の思わぬ障害に遭遇した。ソフトウェアのエラーのために飛行予定が狂い(未訳記事)、ミッションを早々に断念。国際宇宙ステーション(ISS)まで送るという目標を達成できなかったのだ。

米国時間8月28日のNASAのブログ記事には、NASAとパートナーであるボーイングは、無人飛行テストの再挑戦を2020年12月よりも前に実施することを目指していると書かれていた。これには、完全に再利用可能なStarliner(スターライナー)CST-100が使用され、人は乗らないものの、軌道上のISSとのランデブーとドッキング、帰還、着陸の操縦、カプセルの回収といった打ち上げの際の乗員の作業を、ライブかつ完全自動のシミュレーションで行うことにしている。

2019年12月に行われた最初の軌道飛行テスト(OFT)では、同宇宙船は、計画どおりUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)のAtlas V(アトラス・ファイブ)ロケットに載せられフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。ところが、ロケットから切り離された直後、宇宙船に搭載されたミッションタイマーに問題が発生した。それによりスラスターが誤作動し、燃料が浪費される事態に陥った。通信障害も発生したため、NASAはこの事故に対処できず、計画どおりにISSまで飛行するために必要な燃料を残せなかった。だが、カプセルは無事に地球に帰還し、飛行中の貴重なデータを提供してくれた。

NASAとボーイングは、その後、ボーイングのソフトウェア開発計画を包括的に見直し、さらにNASA自身も官民パートナーシップに付随する実務も再検討し、いくつもの是正処置を講じた。その審査が2020年7月に完了し、現在、NASAとボーイングは、2回目のテスト飛行に向けて活動を再開している。

ボーイングにとって、この出直しにかけるものは大きい。商業乗員輸送開発におけるNASAのもう1つのパートナーであるSpaceX(スペースエックス)には、認証プログラムに関して少なくとも1年は先を越されている。SpaceXは先日、Dragon(ドラゴン)宇宙船を使った初の有人試験ミッションを成功させ、早ければ10月には最初の有人運用ミッションを実施する予定だ。

OFT-2がボーイングの思惑どおりに進めば、Starlinerの最初の有人試験飛行は、早ければ2021年6月の打ち上げが可能となる。最初の運用ミッションは、現在は2021年12月に設定されている。もちろん、これらすべての予定は確定でない。

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タグ:Boeing NASA

画像クレジット:Boeing

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(翻訳:金井哲夫)

Blue Origin主導の開発チームが有人月着陸船の原寸大エンジニアリングモックをNASAに納入

Blue Origin(ブルー・オリジン)とその「ナショナルチーム」のメンバーであるLockheed Martin(ロッキード・マーチン)、Northrop Grumma(ノースロップ・グラマン)、Draper(ドレイパー)が、有人月着陸船のフルスケールエンジニアリングプロトタイプ(Blue Originプレスリリース)をNASAに納入した。NASAはこのプロトタイプの検査とレビューを進め、Artemis(アルテミス)計画の月ミッションに、最終的に利用する最終機体を作製するための準備を整える。

これによりBlue Originの有人着陸船は、テキサス州ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターでテストを受ける準備が整った。このモックアップは実際に機能するわけではないものの、例えばBlue Originが製造予定の下降モジュールやロッキード・マーチンが製造予定の上昇モジュールなど、計画されている着陸船システムのフルサイズのコンポーネントも組み込まれている。モックアップ全体の高さは40フィート(約12.2m)弱だ。

このモックアップにより、乗務員と相互作用するテストとシミュレーションを可能になる。テストとシミュレーションを早期に開始することで、Blue Originとそのパートナーは最終的に使われる着陸船を開発する際に計器とコンポーネントのレイアウト、キャビンからの窓越しの視認性、座席や出入り口などを含む、設計上のさまざな観点に対する貴重な洞察を得ることができる。

モックアップの設計を活用できるのと同時に、シミュレーションによって宇宙船の多くの要素の設計に役立つ情報を得られる。どちらもBlue Originとナショナルチームが手掛けていることで、宇宙船をあたかも使用しているような状況を生み出すことでのみ収集できる情報はたくさんある。コンピューターによるシミュレーションや過去の教訓だけから得られない情報も多いのだ。

Blue Originとそのナショナルチームは、NASAから最初の有人着陸システム(HLS)の契約を勝ち取った3社のうちの1つだ。今後も同チームは、このエンジニアリングモックアップの具体化を続け、開発が進むにつれて、最終的な生産モデルにさらに近付けるための要素を追加していく。最終的には、次の米国人男性と初の米国人女性を2024年までに月面に着陸させるという野心的な目標のために、NASAをサポートする。

画像クレジット: Blue Origin

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(翻訳:sako)

SpaceXがこれまでで最大規模となる約2000億円を資金調達

米国時間8月18日に米証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、SpaceX(スペースX)は新たに19億ドル(約2000億円)を調達した。最初にReutersが報じている。以前、SpaceXが資金調達中だとBloombergが報じており、今回の調達でSpaceXのポストマネーバリュエーションは460億ドル(約4兆8000億円)になると予想していた。

まだ未公開企業であるSpaceXにとって、今回のラウンドはさほど驚きに値するものではない。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるこのロケット打ち上げ会社は2020年初めから資金調達を模索していた。しかし投資家たちからの強い需要を受けて資金調達の規模を拡大した、とBloombergは先週報じている。

今回、募集枠を上回る申し込みがあったようだが、ラウンド参加者については情報は明らかになっていない(Bloombergの報道ではFidelity Investmentsが最大の出資者とされているが未確認だ)。このところの一連の成功を考えると、SpaceXは投資家から巨額出資を引き出すのに絶好の状況にある。

一連の成功には、米国からの打ち上げとしては初となる民間企業による有人宇宙飛行ミッションが含まれる。宇宙飛行士が乗り込んだDemo-2が2020年5月にフロリダから打ち上げられ、国際宇宙ステーションに2カ月滞在したのち宇宙飛行士は今月初めに地球に帰還した。このミッションの成功は、SpaceXが地球と国際宇宙ステーションの間の輸送サービスを定期的に提供できることを意味する。そして民間ツーリストや研究者ら向けの商業宇宙フライトサービスの提供にもかなり近づいた。

また、同社の宇宙船開発も順調で、今月プロトタイプの短いテストフライトを成功させている。加えて、NASAと米政府から打ち上げサービスでいくつかの複数年契約を獲得している。

同社は現在多額の資金を必要とする時期にあり、今回のラウンドもそうした理由によるものだ。巨大な衛星コンステレーションStarlinkの展開にも取り組んでおり、Starlinkの運用が始まればインターネット接続が難しいエリアに住んでいる人々に商業・家庭用のブロードバンドインターネットサービスを提供する。ちょうど8月18日朝、SpaceXはStarlink衛星58基を打ち上げたが、世界中をカバーするという最終目標を達成するにはまだ多くの衛星を打ち上げる必要がある。

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カテゴリー:宇宙

タグ:SpaceX イーロン・マスク Demo-2 NASA Starlink 資金調達

画像クレジット:NASA/Bill Ingalls / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

NASAとSpaceXは公式有人宇宙飛行の初号機打ち上げを10月23日に定める

NASAとSpaceXは、SpaceXのCrew Dragon(クルー・ドラゴン)宇宙船を使った公式としては初の有人ミッションである「Crew-1」の具体的な日程を設定した。Crew-1は、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏、野口聡一氏の4人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ。これは、NASAによるCrew Dragon宇宙船の開発・試験プログラムが認証されたあとに、最初の定期的なミッションとなる。

Crew Dragonの最終テストは、5月30日にBob Behnken(ボブ・ベーケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏の二人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられたミッション「Demo-2」だった。両氏は今月初めに地球への帰還に成功してそのミッションを完了したが, 技術的にはまだCrew DragonとSpaceXのFalcon 9ロケットのための認証プロセスの一部だった。今回は正式に有人宇宙飛行の認定を受け、Crew-1から始まる通常ミッションの運用が始まるわけだ。

NASAは、9月下旬の時間枠を議論していたが、結局のところ10月下旬に目標を定めることになった。10月下旬には、ロシアからISSへ向かうソユーズ宇宙船の接近と、現在ISSに滞在しているクルーのローテーション終了による帰還が許可されるという。なお、Crew DragonとDemo-2ミッションのデータと認定基準の完全なレビューはまだ実際されていない。実際にはかなり計画どおりに氏進んだと思われるが、本当にそうであったことを確認するために、NASAとSpaceXのスタッフによって子細にチェックされる。

このデータのレビューがうまく進んで10月にCrew-1が飛ぶなら、Crew-2は来春に打ち上げられ、さらに4人の宇宙飛行士がCrew-1の宇宙飛​​行士とともに、鼈の科学と宇宙ステーションの運用のプロジェクトに備えることが可能になる。

画像クレジット:NASA

[<a target="_blank" href="https://techcrunch.com/2020/08/14/nasa-and-spacex-target-october-23-for-first-operational-astronaut-launch/“>原文へ]

(翻訳:TechCrunch Japan)

Crew Dragonテスト成功でSpaceXはNASA初の有人民間宇宙飛行事業者へ


既報のとおり、SpaceXとNASAは極めて重要なミッション「Demo-2」を成功させて、宇宙飛行の新たな歴史を作った。SpaceXのCrew Dragon宇宙船は初の有人飛行を無事完了したのだ。NASAの2名の宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は5月30日に軌道上国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、約2か月間実験などに従事したのち無事に地球に帰還した。

Crew Dragonは当初の計画どおりに全任務を進めることができたようだ。打ち上げ、ISSへのドッキング、逆噴射による衛星軌道離脱、完全自動操縦により着水という重要なステップを予定どおり実施し、何より重要なことだが、すべての段階で2名の宇宙飛行士の安全を確保できた。

今回のミッションの最終段階はベンケンとハーリーの両飛行士を乗せたCrew Dragonをメキシコ湾にパラシュートで着水させ、ゴーナビゲーターと呼ばれるSpaceXの回収船に引き上げることだった。このプロセスは米国東部時間午後3時18分(日本時間8月3日午前5時18分)にスムーズに完了した。その後、午後4時ごろにカプセルのハッチが開かれ、4時6分に両宇宙飛行士が姿を現した。

周辺には多数の民間船が見物のために集まっていた。これは航行禁止区域の違反でセキュリティー上の問題なのだが、SpaceXは制止線を作って作業を続行した。ともあれこの状況では他に方法はなかっただろう。

今回の飛行が成功したことで、Crew DragoとFalcon 9ロケットをNASAの正規の基準により商用有人宇宙飛行システムとして認証する準備がすべて整った。ただし最終的な認証決定までには今回の飛行に関する情報をすべて詳細に審査し、解決を要する何らかの問題が残っていないかチェックする必要がある。我々が中継で見た限り、Demo-2は終始絵に描いたように順調に作業が進んだように思われるので、NASAの認証を得るための困難は大きくないだろう。もうひとつ記憶すべき点は、これが45年ぶりの有人着水だったことだ。前回の着水は1974年のSkylabの最後のクルー(NASAプレスリリース)だった。

Crew Dragonが進むべき次のステップは宇宙ステーションへの往還における米国の主要手段となることだ。次回からは本番任務となり、Crew-1と呼ばれる。スケジュールとしては9月中が予定されており、NASAの宇宙飛行士と日本の宇宙開発機関であるJAXAの星出彰彦宇宙飛行士がISSへ向かう(JAXAプレスリリース)。

これによってNASAは2011年のスペースシャトルの退役以後失っていた自国(および友好国)の宇宙飛行士を自力で宇宙ステーションに往復させる能力を取り戻す。ただしこれは商用クループログラム(Commercial Crew program)とう名前が示すとおり、スペースシャトルの際のようにNASAが打ち上げから機体運用まですべて単独で実施するものではなく、あくまで民間企業との協力によって行われる。全ミッションを完了したのはSpaceXが最初となったが、ボーイングもNASA向け商用宇宙飛行の実施の2社目となるべく準備を進めている。

NASAは将来にわたってISSへのアクセスを確保したい意向だ、また宇宙産業育成の資金とするためにできるかぎりコストを節約したいのでCrew DragonもボーイングのStarlinerも有料の乗客のための席を確保している。SpaceXはすでにCrew Dragonによる宇宙往復(ISSには滞在しない)旅行のチケットの予約を取り始めている。Dragonカプセルは最大7名の収容能力がある。NASAはこのうち4席のみを予約している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXの有人宇宙船Crew Dragonがメキシコ湾に着水し船上回収成功

SpaceXと NASAはこれまでで最大の共同ミッションを遂行中だ。Crew Dragon Demo-2による有人宇宙飛行を完了する準備を整えている。Crew Dragonは、一般人の宇宙飛行を可能にするよう設計された宇宙船だ。今回のミッションはCrew Dragonが商用宇宙飛行に適格であると認定するもので、SpaceXとNASAの協力の成果の集大成となる。

NASAの2名の宇宙飛行士は数時間にわたって高度を下げ、フロリダ半島東側、アラバマ州ペンサコラ沖に着水する。

Behnken(ベンケン)氏、Hurley(ハーリー)氏の両宇宙飛行士は米国東部時間8月1日午後7時30分(日本時間8月1日午後9時30分)にすでに国際宇宙ステーション(ISS)を離脱しており、以後の飛行はCrew Dragonのシステムが自動操縦となる。SpaceXは、Crew Dragonの打ち上げと帰還飛行を完全に自動化するようデザインされているのだ。前回の無人無人宇宙飛行ではこれに成功している。

Demo-2ミッションは ベンケン氏とハーリー氏をメキシコ湾のペンサコラ沖に米国東部標準時8月2日午後2時48分(日本時間8月3日午前43時48分)着水させること完了する。ここにはSpaceXの回収チームが待ち受け、回収船に収容する。Crew Dragonは 5月30日にEndeavourの飛行を成功させているが、今回は宇宙飛行の歴史上最初の商用宇宙飛行の成功となる。

Dragonカプセルは大気圏を降下し、まず小型のパラシュートを使って姿勢を安定させ、さらにメインパラシュートを展開して時速24km程度に減速する。ISSを離脱してから着水までに非常に長い時間が必要な理由は、ISSをスタートしたきは時速2万8000km程度で飛行しており、非常に大きな減速の必要があるためだ。

NASAとSpaceXは回収の模様をペンサコラ沖とカリフォルニア州ホーソーンのミッションコントロールの双方からライブで中継している。新しい情報が確認でき次第、記事をアップデートする。

【Japan編集部追記】ペンサコラ沖の洋上回収に成功。両宇宙飛行士に異常はなく、カプセルは回収船のU型クレーンによって船上引き上げられハッチが開かれるのを待っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX Crew Dragonが国際宇宙ステーションから無事離脱、地球への帰還の途に就く

NASAの宇宙飛行士であるBob Behnken(ボブ・ベーンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は、地球への帰還の最初の重要なミッションとなる国際宇宙ステーション(ISS)からのドッキング解除に成功した。このあと彼らは、宇宙から大気圏を通って地球に戻ってくるコースを下降し、SpaceXCrew Dragon(クルー・ドラゴン)宇宙船のパラシュートを広げ、機体回収のために大西洋に落下する準備をしながら速度を落として進むことになる。

ドッキング解除と沿岸作業およびスプラッシュダウン(宇宙船をパラシュートで水域に着陸させる方法)の作業は、SpaceXCrew Dragonのために設計したシステムを利用してすべて自動制御される。これにはISSから離脱したカプセルの移動と大気圏へ突入する際の噴射も含む。大気圏に再突入する間、Crew Dragonはとてつもないストレスを受けるため、二人の宇宙飛行士の安全を確保しながら降下角度を調整しつつ、パラシュートを安全に展開できる地点までコントロールするのだ。

機体回収作業には何時間もかかる。SpaceXとNASAは、米国東部標準時(EDT)の8月2日午後2時42分(日本時間8月3日午前3時42分)ごろに、カプセルは最終的なスプラッシュダウンになると予想している。

今回は、NASAとの商用クループログラムにおけるSpaceXのDemo-2ミッションの最終段階。NASAが宇宙飛行士を宇宙ステーションと地球を往復させる通常運用ミッションのためにCrew Dragonを認証するために必要なプログラムだ。ベーンケン氏とハーリー氏は、5月30日にSpaceXが製造した民間宇宙船に搭乗した初の宇宙飛行士で、歴史的なミッションの第1部で打ち上げに成功し、それから数カ月間は宇宙ステーションで通常のクルーミッションに従事してきた。

Crew Dragonは、Demo-2を終了するためにフロリダ沖に着水する。SpaceXの地上クルーは、その時点で宇宙飛行士を回収したあと陸地を目指す。すべてが計画どおりに進めば、前述したようにSpaceXは正式に宇宙飛行士の定期飛行を開始する準備が整う。

今後の動きについては最新情報が入り次第、記事をアップデートする。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

NASAが火星探査車搭載ロケットの打ち上げに成功、古代微生物の痕跡を探す旅へ

NASA(米航空宇宙局)は史上最も重要な科学ミッションの一つとされるMars 2020ミッションのスタートを切り、火星探査車(ローバー)であるPerserverance(パーセヴェランス)を載せたロケットを打ち上げた。この探査車はロボッティック探査車 Curiosity(キュリオシティー)の後継であり、火星で古代微生物の痕跡を発見するために作られたセンサーを装備している。

Mars 2020は米国東部夏時間7月29日午前7時50分(日本時間7月30日午後8時50分)に、フロリダ州ケープ・カナベラルを出発した。PerseveranceはUnited Launch Alliance(ULA)のAtlas Vロケットに搭載され、ロケットは順調に離昇したあと第2ステージを切り離し、火星への旅に向けて待機するためのパーキング軌道に宇宙船を送り込む。火星には2021年2月に到着する予定だ。

火星に着いたら、2021年2月18日に着陸船がPerseveranceを火星表面に運び、Jezero Crater(ジェゼロ・クレーター)と呼ばれる着陸地点に向かう。そこは、かつて火星が現在のような乾燥してほこりまみれで低温な環境と異なるはるか昔には湖だった場所だ。ここが選ばれた理由は、存在するかもしれない微生物の何らかの痕跡を見つける最良の場所であり、火星で最も保存状態のいい三角州沈殿物が見られるからだ。

NASAの科学者らはPerseveranceに搭載した機器を使って火星の生命の存在を確認できるとは期待していない。しかし、かつて生命が存在するために必要だった環境や物質を示す強い可能性を発見できると考えている。究極の証拠は、2026年に予定されている待望の火星サンプル回収ミッションで見つかるかもしれない。このためにNASAは、Perseveranceが収集したサンプルを載せて火星表面から離陸することが可能な帰還用ロケットを火星に送り込む。ロケットはその後、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げ予定の探査車とも出会ったあと、科学者たちの待つ地球への帰路につく。

Perseveranceには、動力源である原子力電池、環境センサー、カメラ、その他何らかの古代生命の保存された証拠を収集するための機器群に加え、マイクロホンを搭載している。別の世界の表面にマイクロホンが持ち込まれるのはこれが初めてであり、つまり、別の世界の表面でどんな音がするのかを聞けることを意味しており、これはこれまでになかったことだ。

Perseveranceには、Ingenuity(インジェヌイティー)と呼ばれるヘリコプターも載せられている。史上初めて自力で飛行する小型ドローンで、冷たい火星の夜を生き延びるために自身を温めるように作られている。30日間に5回の飛行を予定しており、カラー写真も撮影する。見晴らしのよい空中から撮る初めての写真だ。

歴史的Mars 2020ミッションは大きな第一歩を踏み出した。注目すべき次の大きな節目は約2週間後に宇宙船がエンジンに点火して地球軌道を離れ、火星への長い旅を始める時だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAが火星探査機「Perseverance」の打ち上げに成功

NASAは米国時間7月30日の朝、最新のローバー(探査車)を火星に向けて打ち上げた。打ち上げは米国東部夏時間7月29日午前7時50分(日本時間7月30日午後8時50分)に設定されており、放送は米国東部夏時間7月29日午前7時00分(日本時間7月30日午後8時)だった。このミッションでは、ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットを打ち上げ、2021年2月に火星に到着し数カ月間におよぶ火星探査ミッションとなる「Perseverance」を実施する。

重量2260ポンド(約1トン) のこの探査機には、火星で過去に発見された微小な有機生命体の痕跡を探すためのさまざまなセンサーが搭載されているほか、火星の大気や地質を調査することもできる。またヘリコプター型ドローン「Ingenuity」も搭載しており、火星の大気中を飛行する初の装置となることを目指している。

Perseveranceはいくつかの点で、以前のローバーから大きくアップグレードされている。例えば、1日あたりの自律的な移動距離でこれまでのどの探査車よりもより多くの場所をカバーでき、またこれまで以上に多くの科学調査が実施できる。車体には19個のカメラを搭載しており、周囲の様子を詳細かつ高品質に地球に向けて映し出すことができる。このローバーはまた、将来の有人火星探査(および長期の有人月探査)を手助けするように設計されており、火星の大気中に存在する二酸化炭素から酸素を生成する装置であるMOXIEのような実験を搭載している。これは火星において自立型電源として機能し、将来開発される洗濯機サイズのバージョンのための実質的な準備となる。

またPerseveranceは、収集したサンプルの一部を再利用するための準備をしている点でもユニークだ。最終的にはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の協力を得て、将来の探査機と回収ランダーを利用してPerseveranceが回収容器に残した火星の土のサンプルを回収し、地球に持ち帰って直接研究する計画だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが第2次Crew Dragonミッションの宇宙飛行士を発表、JAXAの星出彰彦さんも参加

NASAとSpaceXは、同社のCrew Dragon宇宙船の最後のデモミッションを今週末に完了させる予定で、すでに2021年春に予定されているCrew Dragonの2番目の運用フライトであるCrew-2に向けて準備を進めている。その打ち上げには2人のNASAの宇宙飛行士と宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの1人、欧州宇宙機関(ESA)からの1人の合計4人が搭乗することが明かされた(NASAリリース)。

NASAのMegan McCarthur(メーガン・マッカーサー)宇宙飛行士とShane Kimbrough(シェーン・キンブロー)宇宙飛行士は、JAXAの星出彰彦宇宙飛行士とESAのThomas Pesquet(トーマス・ペスケ)宇宙飛行士とともに、Demo-2が終了した後の9月下旬に予定されているCrew-1の次のミッションに参加する。これはISSに長期的に人員を配置するための通常の運用ミッションにあたり、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在(6カ月間)し、ロシアのソユーズ宇宙船を利用する3人の宇宙飛行士と軌道上の研究プラットフォームを共有することになる。

つまり、同時に7人の乗組員がISSを共有することになり、通常の6人よりも多くなる。NASAによると7人体制が新たな標準になる予定で、追加されたクルーは「宇宙で実施できる科学実験の量を効果的に倍増させる」ことを意味する。

ISSのクルーが日常的なメンテナンスや作業に多くの時間を費やしていることを考えて欲しい。7人目の乗組員が日常的な作業を手伝うことで、ISSの良好な動作を維持するための分割時間を削減につながり、実験や研究のために多くの時間を割けるようになる。

このクルーメンバーは全員、以前に宇宙に滞在したことがあるが、マッカーサー飛行士にとっては初めてのISSでのミッションとなる。彼女が最後に宇宙に行ったのは2009年にスペースシャトルに搭乗し、ハッブル宇宙望遠鏡の最後のサービスミッションに参加したときだ。マッカーサー飛行士は仲間の宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベーンケン)飛行士の妻でもあり、ベーンケン飛行士はCrew Dragonで打ち上げられた史上初の宇宙飛行士として、ISSに滞在している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAがサッカー場サイズの高高度気球で光の波長を観測する成層圏望遠鏡を浮かべ誕生まもない星を研究

NASAの最新ミッションは、実際には宇宙に到達しない。しかしサッカースタジアムサイズの高高度気球で構成される巨大な観測船と、地球の大気に遮られた星から発せられる光の波長を観測できる新たに開発された特別な成層圏望遠鏡によって、宇宙へと限りなく近づく。

このミッションは「Astrophysics Stratospheric Telescope for High Spectral Resolution Observations at Submillimeter-wavelengths(サブミリ波の高スペクトル分解能観測のための天体物理学成層圏望遠鏡)」と名づけられているが、省略してASTHROSと呼ばれている。現時点では2023年12月に南極から離陸するように設定されており、そのメインペイロードは科学者が星形成活動を観察してきた天の川の2つの領域を含む、4つの主要なターゲットを補足する8.4フィート(約2.6メートル)の望遠鏡だ。

ASTHROSの望遠鏡はこの方法で輸送される最大のもので、地上から科学者がその方向を正確に設定でき、また完全に膨らませたときには約400フィート(約120メートル)幅となるバルーンによって空中に保持される。そのミッションには、高高度成層圏の気流に沿って3〜4週間の間に、南極上空を2〜3周するものも含まれる。その後、望遠鏡はバルーンから分離しパラシュートで減速して地球に帰還するが、将来的には回収され再び飛行させる可能性もある。

気球を地球の大気圏の端まで浮かべるというのは、ロケットで人工衛星を打ち上げるよりも簡単に聞こえるかもしれないが、NASAのジェット推進研究所のエンジニアであるJose Siles(ホセ・サイレス)氏によれば、気球観測ミッションは宇宙観測ミッションよりも実際にはリスクが高いとNASAのリリースで述べている。しかし同時に、ロケットでの衛星打ち上げに比べて、コストを抑えて大きな成果を得られる可能性もある。

ASTRHOSの最終目標は、誕生したばかりの星の周囲にある領域が、その星の発達を妨げたり星の誕生を促したりすることができるのかをより理解するための「ガスの密度、速度、運動に関する最初の詳細な3Dマップ」を作ることだ。この研究は銀河の形成と進化に関する既存のシミュレーションを洗練させるのに役立つだろうと、NASAは述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXとNASAはCrew Dragonの初の業務運用を9月に設定

SpaceX(スペースX)とNASAは今週、SpaceXの有人宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)の最初の公式運用ミッションを9月中に実施するとNASAのメディア向け最新情報で伝えた。この打ち上げは、当初は8月に設定されていたのだが、「9月後半」に予定が変更された。Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏と Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏が参加しているCrew DragonのDemo-2(デモツー)有人ミッションは、早ければ8月1日に両宇宙飛行士がSpaceXのこの宇宙船で地球に帰還・完了することになっているが、それを見届ける時間の猶予が必要なためだ。

Demo-2ミッションは、実際に国際宇宙ステーション(ISS)に人を送り込むことに成功したが、これはあくまで最終試験であり、Crew DragonとFalcon 9に人を乗せて評価を行う開発工程の最終段階に過ぎない。今後、この宇宙船とロケットは、宇宙飛行士の定期的な輸送サービスが可能かどうか、NASAの目によって審判される。これに対してCrew-1は最初の運用ミッションだ。つまり、定期的に宇宙飛行士を運ぶというSpaceXの契約に記されたひとつの基準を、初めて満たすものと考えられる。

Crew-1は、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、 Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏の3人のNASAの宇宙飛行士と、JAXAの野口聡一氏をISSまで運ぶ。フロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられ、宇宙飛行士たちはそこで通常の任務期間を過ごす。この国際チームは、NASAとパートナーに依頼された数々の実験や研究を、力を合わせてこなすことになっている。

もちろん、Crew-1が9月に打ち上げられるためには、いくつかの条件がある。そのひとつが、ハーリー氏とベンケン氏がISSから無事に帰還することだ。SpaceXの証明プロセスを完了するためには、この部分がスムーズに進行しなければならない。その後、NASAによる検証が行われるのだが、それには少々時間がかかる。

ベンケン氏とハーリー氏は、ISSにドッキング中、「居住性評価」と呼ばれるもうひとつの重要なテストを完了させたところだ。ドッキングハッチの開閉、廃棄物システムが予定どおり操作できるか、ISSから荷物をCrew Dragonにうまく運び込めるか、などが試された。NASAの認証を得るためには、NASAが要求する膨大な数の試験項目のすべてに合格マークが付かなければならないのだ。
画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

ロシアの衛星兵器テスト疑惑で明確化する宇宙軍事化の証拠

米国宇宙軍は、ロシアが軌道上の既存探査機を使って実施していると疑われている衛星攻撃兵器(Anti-Aatellite Weapon)テストに関する詳細を発表した。問題のロシア探査機は2020年始めに米国のスパイ衛星を追尾している見られたことで大きく取り上げられたのと同じものだ。宇宙軍によると、その同じ宇宙船が何らかの投射物を発射し、現在地球軌道を周回している物体を監視していると見られている。

米国宇宙軍のJohn Raymond(ジョン・レイモンド)宇宙作戦部長は、The Vergeの取材に対して「『ロシアが宇宙ベースのシステムの開発、テストを続けている』こと、およびそれが米国および同盟国の宇宙資産を危険に晒す戦略を追及しているさらなる証拠である」と語った。

宇宙の軍事化は新しい話ではなく、あらゆる方面のあらゆる部隊が攻撃、防御両方の宇宙兵器技術の開発を追究している。考えられる最大のリスクの1つが、今回のように衛星から発射して他の衛星を破壊する兵器であり、地上の通信、諜報、監視など、あらゆる軍事行動の命令、制御に使用されている重要な宇宙基盤を破壊する可能性がある。

宇宙の軍事化に関して米国を悩ましているのはロシアだけではない。4月にインドが行ったテストで、同国は地対宇宙衛星破壊ミサイルシステムを誇示したが、NASA長官はこれを「人間の宇宙飛行と相容れない」ものとして否定した。もちろんこの種の能力を明らかにしたのはインドが最初ではなく、米国、中国、ロシアいずれも同様のテストを実施している。

軌道対軌道攻撃兵器によるリスクの高まりは、米国を始めとする各国軍隊の宇宙内資産の優先度に劇的な影響を与えた。例えば、米国防総省および他の米国防衛・情報機関は、従来利用してきた膨大なコストがかかる巨大な地球同期衛星への依存度を減らし、冗長性を内包する低地球軌道で動作する機敏な衛星群へと転換しているようだ。彼らは商用小規模打ち上げスタートアップにも積極的な投資を行っており、SpaceXなどの既存ロケット企業以上に迅速な軌道ロケット打ち上げサービスの提供を期待している。

宇宙の軍事化に関しては声高な批判者が数多くいることは明白だが、その膨大な戦術的優位に期待する世界の超大国が巨額を投じている事実は変われない。この種のテストの頻度は社会的注目の高まりを踏まえると、中でも米国にとっては、創造的で高度なソリューションを提供できる民間セクターの支援を大いに期待できる分野である。

画像クレジット:Erik Simonsen / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXとNASAが宇宙飛行士を乗せたCrew DragonのISS出発を8月1日に予定

SpaceX(スペースX)のCrew Dragon(クルードラゴン)カプセルは、5月の歴史的な最初の有人打ち上げの後、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングされており、現在帰還準備中だ。NASAはISSでの作業の必要性に応じてISSに宇宙船と宇宙飛行士を滞在させる計画だったが、最初のCrew Dragonの有人宇宙飛行ミッションを帰還によって締めくくる時は近づいている。

NASAジョンソン宇宙センターの広報担当者であるKyle Herring(カイル・ヘリング)氏は8月2日を帰還予定日だとツイートしたが、確定するまでにすべきことはたくさんあると明らかにした。NASAはその後、8月1日出発、8月2日着水を予定していると公式に発表した。

宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏はISSに到着以来、数々の科学やメンテナンスの作業に参加した。ベンケン氏は4回の宇宙遊泳にも参加し、3回はすでに終了、残り1回は来週の予定だ。へリング氏は最後の1回を、具体的な帰還計画の前にやってくる重要な仕事だと語った。今回が最初となるCrew Dragonの有人飛行は実際にはまだデモミッションであり、ISSの正式なオペレーションによるクルーの打ち上げではないが、NASAはベンケン氏とハーレー氏が通常のステーションのオペレーションに関われるよう延長を要請した。

帰還はSpaceXとNASAのCommercial Crew(コマーシャルクルー)コラボレーションの全体的な成功にとって、5月の打ち上げと同じくらい重要だ。SpaceXの有人宇宙船が宇宙飛行士を確実に宇宙ステーションに運ぶだけでなく、再び安全に帰還できることの重要性は明らかだ。

帰還プロセスの中でCrew Dragonカプセルは、ベンケン氏とハーレー氏が搭乗した状態で、離脱と帰還時の飛行操縦を自動で行う。SpaceXが設計およびテストしたパラシュートシステムで地球の大気に突入し、降下を遅らせる。うまくいけば宇宙飛行士は大西洋にソフトランディングし、SpaceX専用の回収クルーが宇宙飛行士を回収する。

帰還のためには気象条件が整う必要がある。このDemo-2ミッションでは、風速の許容範囲がかなり厳しい。とはいえ、8月は着水予定地域の風が比較的穏やかになる傾向があるため、それが助けになるはずだ。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:Mizoguchi

NASAとJAXAがアルテミス有人月面探査における協力で正式合意

NASAと日本は新しい協定に調印した(NASAリリース)。両国はISS(国際宇宙ステーション)における現在の協力を継続すると同時に、NASAのアルテミス計画に日本の宇宙開発機関であるJAXAが協力していく。

日本時間7月11日にNASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官と日本の萩生田光一文科相がリモート会議でそれぞれ協定文書に署名した。 この文書は共同声明(JEDI)の形式で、 ロボットおよび有人の月面探査を含むアルテミスプロジェクトにおける両国の役割を具体的に定めるプラットフォームとなるものだ。

日本はNASAのルナゲートウェイ構想に参加した国際パートナーの最初の国の1つで、その発表は2019年10月にさかのぼる。 これ以降、カナダをはじめとする多くの国と機関が同様の意向を表明している。カナダはISSで使用されているロボットマニュピュレーターであるカナダアームの3番目のバージョンを開発する。また欧州宇宙機関(European Space Agency)も参加する。

今回の協定は、これまでの合意を文書の形で正式なものとした。今後、両国はプロジェクトにおける役割分担などさらに具体的な部分を検討していくことになる。

日本は火星の衛星の探査を計画しており、最大の衛星であるフォボスのサンプルをロボットで採取し、地球に持ち帰ろうとしている。打ち上げは2024年の予定だ。日本のJAXAはすでに探査衛星であるSELENE(かぐや)を月周回軌道に乗せて各種の調査を行うと同時に高度な姿勢制御技術をテストしている。JAXAではSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)と呼ばれる小型月着陸実証機の打ち上げを2022年に計画している。 これはJAXAとして初の月着陸ミッションとなる。

画像クレジット:NASA

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滑川海彦@Facebook

NASAがアルテミス月探査計画に向けてブースターロケット6基を調達へ

NASA(航空宇宙局)は、コアブースター・ロケット SLS 6基をNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)社に追加発注する準備を進めている(NASAプレスリリース)ことを今週発表した。6基のブースターは、NASAがArtemis 1(アルテミス1)、Artemis 2、Artemis 3のために確保している既存の3基に加わる。Artemis は2024年に予定されているミッションで、米国人を再び、そして米国人女性を初めて月に送り込む計画だ。

この発表は、提携企業が長納期のブースターを、NASAが必要とする時期に納入できるように準備するのを助けることが目的であり、実際の発注はまだ大きなステップだ。総コストは4950万ドル(約53億2000万円)に上り、現在初回の予算が公開されている。現在のスケジュールでは、6基の追加ブースターは2030年12月31日までに納品される予定なので、Artemisのミッション4~9が実際に飛び立つ時期はらある程度想像できる。

ソリッドブースターは、NASAの大型ロケット SLS(Space Launch System)の打ち上げに2基一組、SLSコアステージの両側に1基ずつ配置され、打ち上げの離陸フェーズに使われる推進力の約75%を受け持つ。そのデザインは事実上スペースシャトルプログラム時代に使われたものを踏襲しているが、もっと重くて大きいSLSを地球の大気圏から宇宙に送り込むために必要な力が追加されている。

さらにNASAは、Artemisプログラムの最初3回のミッション以降に必要なRS-25エンジンとコアステージを購入する手続きを進めており、Artemis 1は、ロケット組み立てプロセスでブースターの設置準備がほぼ終わった状態だ。現在Artemis 1は2021年11月の打ち上げを目標にしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAがビッグなアイデアを持つスモールビジネスに合計55億円の助成金を支給

NASAは300以上の企業に対して、貴重なアーリーステージ資金となる新たなスモールビジネス向けの助成金を合計5100万ドル(約55億円)提供したことを発表した。今回選ばれたフェーズ1のプロジェクト(SBIRリリース)は、1つの企業が最大で12万5000ドル(約1350万円)を受け取り、新しいテクノロジーの商品化を進めることができる。

この「Small Business Innovation Research/Technology Transfer(スモールビジネス・イノベーション研究/テクノロジー移転、SBIR)」プログラムは、起業家や発明家のアイデアを研究段階から商品化へと移行させる手助けをするものだ。この資金は投資ではなく助成金に近い。さらにフェーズ1で資金を獲得した企業は、条件を満たすことでより規模の大きなフェーズ2助成金の申し込み資格を与えられる。

2020年も例年のように、数多くの学術分野、幅広い業種が対象となった。ニュースリリースで紹介されたNASAが注目するアイデア(NASAリリース)には、高出力ソーラーアレイ、都市上空飛行のためのスマート航空管制システム、月面で使用する水浄化システム、改良型リチウムイオン・バッテリーなどがある。

さらに医療現場でも使える「宇宙船素材に使用するコンパクトな殺菌装置」を開発した企業には、個別の賞も贈られた。

関連記事:NASAが月での採鉱や太陽レンズなど奇抜な研究開発に7億円超の助成金

受賞者リストを見て、放射線の耐性を持つチップからソフトウェア技術に至るまで、神経形態学的コンピューティングの研究が数多くあったことに私は衝撃を受けた。これらは実際にニューラルネットワークのスパイクや可塑性を導入するというより、機械学習手法を活用し促進させるためのヒントやアプローチなのだと私は理解した。

NASAは2019年のフェーズ2を先月発表(SBIRリリース)したばかりなので、2020年のフェーズ2の発表はまだ先になるだろう。

SBIRプログラムは、10ほどの政府機関に数十億ドル(数千億円)が割り当てられスモールビジネスに分配されるという、図らずも米連邦政府の穴場的プログラムとなっている。詳しくはSBIR.govをご覧いただきたい

画像クレジット:VICTOR HABBICK VISIONS/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

NASAがより良い月面トイレの設計のため、クラウドソースでの支援求める

NASAは米国人を月に再び立たせ、月面に人類の恒久的なプレゼンスを確立することを目標とするArtemis(アルテミス)計画の準備を進めており、HeroXとの提携で開始したクラウドソーシング・コンペティション(HeroX記事)では、宇宙飛行士が月面で大小の排泄をするためのより良い方法の設計を募集している。このコンペティションでは具体的に「宇宙と月面の両方で使用できる、完全な機能を備えた軽量トイレのための革新的なデザイン」を募集している。

このコンペティションは「世界的なイノベーターのコミュニティー」に対して誰でも門戸が開かれており、8週間にわたって開催され、優勝者には最高3万5000ドル(約380万円)の賞金が贈られる。驚くべきことに、NASAが外部の人やHeroXのクラウドソーシングプラットフォームを利用して、人間の排泄物の管理に関する革新的な技術を集めたのは、これが初めてではない。2016年のSpace Poopチャレンジ(HeroX記事)も大きな注目を集め、3人の受賞者に総額3万ドル(約320万円)が贈られた。

以前のコンペティションでは完全な宇宙服を着た宇宙飛行士に最適なシステムを設計することに焦点が当てられていたが、これは宇宙飛行士がアルテミスの着陸船に乗って月面に移動する際に使用する、大きくてかさばるEVAスーツを宇宙飛行士が脱いでいるときに使用する今回の挑戦で求められていたトイレ設計とは、まったく異なるものである。NASAによると、国際宇宙ステーション(ISS)で使用されている微小重力用のトイレはすでに機能しているが、月の低重力環境では異なる設計が必要となり、また月への旅の性質から小型で電力効率の良い設計が求められている。

もちろんNASAは、ユニークで革新的な宇宙用トイレのデザインを考え出すために、外部の人々に完全に頼っているわけではない。すでに内部では、既存バージョンの小型化に取り組んでいる。しかし航空宇宙産業の外からの新鮮な視点が、同分野で働くことに慣れていた人々では考えられないような解決策を見出す助けになることを期待しているため、これを外部の学者や研究者、デザイナー、エンジニアにNASAは公開したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter