Nestlé、Blue Bottle Coffeeの過半数株式取得――評価額7億ドル以上

シリコンバレーでも大いに愛されているコーヒーショップ、Blue Bottle Coffeeの過半数株式を食品大手のNestléが取得した。今朝(米国時間9/14)明らかになったこの準買収はコーヒーショップ市場に大きなビジネスチャンスがあることを示す何よりの証拠だろう。

NestléはBlue Bottle株式の68%を取得したが、経営陣は従来のままで変更はない。Financial Timesの記事によれば、NestleによるBlue Bottleの企業評価額は7億ドル以上で、5億ドル前後を支払ったという。この額はおおむね正しいだろう。

Blue Bottleはサンフランシスコ、ニューヨーク、東京などの大都市に店舗を設けており、Appleストアに足を踏み入れるような体験ができる。Blue BottleがStarbucksの向かいに店を出して客を奪い、すぐにもっと利益を出せるなら、市場シェアはスターバックスにははるかに及ばないだろうが、そうであっても非常に旨味のあるビジネスということになる。

Index Venturesのパートナー、Mike Volpiは声明で「現在、アメリカと日本でBlue Bottle Coffeeはスペシャルティーコーヒーのトップブランドだ。Blue Bottleの成功は、ジェイムズ〔・フリーマン、ファウンダー〕とブライアン〔・ミーハン、CEO〕の顧客を熱心なファンにするユニークな価値を生み出すセンスと能力を証拠だてるものだ。Blue Bottleというブランドの魅力はわれわれを同社に対する初期の投資家とした。 以後同社が永続性のある企業へと成長していくのを見ることはわれわれにこの上ない満足を与える経験となった」と述べた。

コーヒーショップはシリコンバレーの投資家、起業家にとってことにお気に入りのプロジェクトで、Blue Bottle、Philzを始めとする企業にはこれまでにも巨額の資金が注ぎ込まれている。言うまでもなく、Nestléがコーヒー事業に大型投資を行うのはこれが初めてではない。同社はKeurigのライバルであるNespressoコーヒーマシン事業を所有しているし、はるか以前からNescaféブランドで有名だ。Blue Bottleは生産性の高い企業であり、コーヒーショップの経営以外にも多数のコーヒー関連アイテムを製造、販売している。Starbucks同様、小さな袋に詰められたコーヒーを各種のチャンネルで販売している。

いささか皮肉なことに、TechCrunchは最近、AmazonはBlue Bottle、Philzのようなコーヒーショップ事業を買収すべきだと主張した。これはStarbucksのような既存事業に対して新しいスペシャルティーコーヒーにはAmazn Primeをさらに拡大する可能性があると考えたからだ。すでに傘下に多数のコーヒーブランドを所有しているNestléが、これほどの規模での投資を行ったとなると、もはやスペシャルティーコーヒーを実験的なビジネスと見ることはできないと同時に(Amazonや今回のNestléのような)十分な資金力あるパートナーを見つけることがStarbucksのような巨大企業と対抗していくために必要だろう。

Blue Bottleはこれまでに総額で1億ドル以上の資金を調達している。ちなみに、TechCrunchはちょうど1年前にBlue Bottleが新たな資金調達を試みてみる情報を得た。ただし同社はただちにこれを否定した。その後も資金調達に関して投資家と話し合いを行ったことはない。しかし動きの速いこのビジネスで1年というのは長い期間だ。Blue Bottleは今年中に新たに25店舗を開設しようと計画しているという。

なおBlue Bottleの広報担当者は、同社はこの取引に関して会社評価額その他の詳細を明かす予定はないという。

r画像: Kena Betancur/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、 Nestlé®と提携してAndroidの次世代版をKit Kat®と命名―緑色のロボットを印刷したチョコレート5000万個が売りだされるらしい

Googleは次世代Androidとなるv4.4をKitKat’と命名したが、そのためにNestléと契約を結んだという。Kit Katというコードネームは今朝(米国時間9/3)GoogleのSundar Pichai上級副社長がブログで発表し、即座に大量のコメントを呼び込んでいる。しかしGoogleは単にKit Katの名称を利用しただけではなかった。

GoogleのAndroidのaboutページに行くと、例によってAndroidロボットのかっこうをした大きなKit Katチョコレートの画像が出迎える。しかもページの最後のリンクをたどると「KitKat4.0―お菓子の未来がやってきた」というKitKatチョコレートの専用CMサイトに誘導される。インターネットの巨人と世界的食品メーカーという思いがけないコラボレーションだ。

われわれがGoogleに取材したところ、「両社の間に金銭的やりとりは一切ない」とのことだった。それでもお互いにメリットがあるクロスプラットフォーム契約となっているようだ。

ちなみにアメリカではAndroidサイトのリンクはHersheyチョコレートのサイトに飛ぶ。現在世界の大部分でKitKatを製造販売しているのはNestléだが、Rowntree社(後にNestléが買収)がHersheyにアメリカでの製造販売のライセンスを与えた関係でこうなっているのだという。このためGoogleが契約した相手がHersheyなのかNestléなのか当初混乱が生じた。.

今日のBBCニュースによると Androidのグローバル・パートナーシップ担当ディレクターのJohn Lagerlingは「この提携は金銭のやりとりはない。意外性があって面白いから企画した。たしかに以前コードネームとしてKey Lime Pieを考えたこともあったが、食べたことのある人の数が少なすぎるのでボツにした」と語ったという。LagerlingはKit Katになった経緯をこう説明する。

Googleのキッチンにいつも備え付けてあるお菓子の一つがKitKatだった。そこで誰かが「KitKatはどうだい?」と言い出した。

当時われわれはKitKatに関する権利をどこの会社が持っているのかも知らなかった。「使わせてくれ」といっても難しいだろうと思った。しかしダメモトでNestleに話を持っていくことにした。われわれは去年の11月の末に飛び込みでいきなりNestléのイギリスの広告代理店の代表番号に電話してタイアップを提案した。

すると翌日、スイスのNestlé本社から電話があって、カンファレンス・コールで話し合った。Nestléは24時間でOKと言ってきた。.

Nestléのマーケティング責任者の Patrice BulaがBBCに語ったところでは、Googleとの提携は即決だったという。世界中のコンビニやスーパーの店頭でAndroid4.4のプロモーションができるというのはGoogleにとって巨大な利益だ。いっぽうNestléも延べ10億台にも上るAndroidデバイスにKit Katという名前のOSがインストールされるならたいへんなブランド力の増強になる。

とはいえ、Googleは広告代理店でありライバルの食品会社の広告も扱っているのに、特定の会社とこのような大規模なクロスプラットフォーム・プロモーションをすることには私自身はいささか疑問を抱いている。いずれにせよ、NestléはAndroidのマスコットを印刷したKitKatを5000万個も製造するという。

Googleの社員も本社に巨大な彫像が立って初めて新Androidのコードネームを知ったようだ。記事トップの写真はGoogleのSundar Pichai上級副社長の撮影。

この記事のタイトルのアイディアはMike Hayにもらった。,

アップデート: マスコットの彫像は以前どおりThemendousの作成。去年われわれはJelly Beanの製作過程を取材した。 運送されるKit Katの彫像。.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+